説明

ヘルメット用ゲージ

【課題】非常に簡単にヘルメットを選ぶことができるようにする。
【解決手段】シート部材3に貫通する開口部4が形成され、開口部4は、頭部5が当接するヘルメットの頭部当接部の水平断面形状と同一の形状となっている。シート部材3の表面には、頭部5を開口部4に嵌め込んだときの正しい装着状態を示す説明部11が設けられている。開口部4の左右幅L1は、ヘルメットの内壁における左右幅よりも10%〜15%小さく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットを選定するために用いるヘルメット用ゲージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭部を保護するために様々なヘルメットが開発されている(例えば、特許文献1)。ヘルメットは店頭で販売されおり、購入者は、店頭で数あるヘルメットの中から所望のヘルメットを選び、購入するのが一般的である。ヘルメットを選定する際は、頭部の大きさ(頭の全周の長さ)をメジャー等で測り、頭部の大きさに対応したヘルメットを選択している。或いは、購入者がヘルメットを直接装着してヘルメットのフィット感を確かめ、フィット感の良いヘルメットを数ある中から選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−9347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、店頭では、様々なヘルメットが数多く揃えられており、その中から購入者に合ったヘルメットを選択することは非常に大変であるのが実情である。特に、年齢が1歳〜3歳程度の幼児は、ヘルメットのフィット感が良いか悪いかという判断をすることは難しく、数あるヘルメットの中から幼児に適したヘルメットを選ぶことは非常に難しかった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、非常に簡単にヘルメットを選ぶことができるヘルメット用ゲージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、シート部材に貫通する開口部が形成され、前記開口部は、頭部の水平断面に対応していて頭部が当接するヘルメットの頭部当接部と同一形状に形成されている点にある。
前記シート部材の表面には、頭部を前記開口部に嵌め込んだときの正しい装着状態を示す説明部が設けられていることが好ましい。
【0007】
前記開口部の左右幅は、前記ヘルメットの内壁における左右幅よりも10%〜15%小さく形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非常に簡単にヘルメットを選ぶことができる。特に、幼児用のヘルメットを選びやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態におけるヘルメット用ゲージの正面図である。
【図2】ヘルメット用ゲージの平面、底面図及び図1のA−A線断面図である。
【図3】ヘルメット用ゲージの右左側面図及び図1のB−B線断面図である。
【図4】ヘルメットの正面図である。
【図5】ヘルメットの左右断面図とヘルメット用ゲージとの関係図である。
【図6】ヘルメットの前後断面図とヘルメット用ゲージとの関係図である。
【図7】頭部モデルを示した図である。
【図8】(a)コンピュータシュミュレーションにおける転倒試験の模し図であり、(b)頭部モデルと頭に掛かる応力との関係を示した図である。
【図9】(a)頭部の幅と深さとの関係を示した図であり、(b)比率と頭蓋骨に掛かる応力(頭蓋骨応力)との関係図である。
【図10】側頭部とヘルメットとの隙間と脳内に掛かる応力(脳内せんだん応力)との関係図である。
【図11】(a)1歳児における比率と応力との関係を示した図であり、(b)2歳児における比率と応力との関係を示した図であり、(c)3歳児における比率と応力との関係を示した図である。
【図12】第1実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の表面を無模様にした正面図である。
【図13】第1実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の一部を円弧状にした正面図である。
【図14】第1実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の一部を楕円形にした正面図である。
【図15】第2実施形態におけるヘルメット用ゲージの正面図である。
【図16】ヘルメット用ゲージの平面、底面図及び図15のA−A線断面図である。
【図17】ヘルメット用ゲージの右左側面図及び図15のB−B線断面図である。
【図18】アジャスタ機構付きヘルメットの正面図である。
【図19】ヘルメットの左右断面図とヘルメット用ゲージとの関係図である。
【図20】ヘルメットの前後断面図とヘルメット用ゲージとの関係図である。
【図21】第2実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の表面を無模様にした正面図である。
【図22】第2実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の一部を円弧状にした正面図である。
【図23】第1実施形態におけるヘルメット用ゲージの変形例であって、シート部材の一部を楕円形にした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1〜3は、ヘルメット用ゲージを示したものである。
図1〜6に示すように、ヘルメット用ゲージ1は、例えば、自転車用のヘルメット2を選ぶときに用いるものであって、主に、シート状の部材(シート部材)3に開口部4を貫通状(厚み方向に貫通させる)に開けることにより構成されている。
【0011】
ヘルメット用ゲージ1を説明するにあたり、まず、ヘルメット2の基本構成について説明する。なお、ヘルメット2を装着する側を下側と言い、反対側を上側という。また、前後又は左右は、ヘルメット2を装着した状態を基に定義したものとする。
図4〜6に示すように、ヘルメット2は、合成樹脂等のシェル9の内壁側に、頭部5を囲んで衝撃を吸収するキャップ形(帽子形)のライナ6を設けることにより構成されたものである。
【0012】
少なくともライナ6の内壁の下部側(内壁下部側)には、パット7が設けられている。このヘルメット2では、ライナ6の内壁下部側の全周にパット7が設けられている。当然にヘルメット2のライナ6の輪郭やライナ6に取り付けたパット7の輪郭は、頭部5に対応した形状とされている。
さて、シート部材3は、紙、フィルム等から構成されていて縦横方向にある程度撓ませることができるものである。なお、シート部材3を合成樹脂で構成してもよいし、他の材料で構成してもよい。
【0013】
シート部材3に設けられた開口部4は、上述したパット7の内壁(内側)に沿うような形成とされ、シート部材3をヘルメット2の下側から重ね合わせて見ると、シート部材3の開口部4の輪郭と、パット7の内壁下側部の輪郭とが略同じ(一致)するものとなっている。
言い換えると、ヘルメット2を装着したときはパット7に頭部5が当接するようになっているため、開口部4は、ヘルメット2内において頭部5を直接当接させる頭部当接部(例えば、パット7)の水平断面と同一形状に形成されている。さらに、言うと、シート部材3の開口部4は、ヘルメット2の下側を水平断面した(輪切りにした)ときの最も内側の輪郭と同じとなっている。
【0014】
なお、開口部4は、ヘルメット2の下側(装着側)に近い頭部当接部を水平に断面した
ときの水平断面形状に一致させるか、又は、頭部当接部の中で最も大きな水平断面形状に一致させることが好ましい。
したがって、シート部材3の開口部4に後述するように適正な位置まで頭部5を嵌め込み、頭部5の輪郭と開口部4とが略一致すれば、ヘルメット2を直接頭部5に装着しなくても当該シート部材3に対応したヘルメット2を選ぶことができる。
【0015】
ヘルメット用ゲージ1について、さらに詳しく説明する。
シート部材3の開口部4は、前後の幅が左右幅よりも長い略卵形の形状であり、開口部4の前部がおでこを当てるおでこ当接部10とされている。シート部材3の表面には、頭部5を開口部4に嵌め込んだときの正しい装着状態を示す説明部11が設けられている。
詳しくは、説明部11には、頭部5を開口部4に嵌め込んだとき状態がイラストにより描かれており、シート部材3の左側(一方)の説明部11aには、頭部5を開口部4に嵌め込んだとき(装着状態)の平面図が示され、シート部材3の右側(他方)の説明部11bには、装着状態の側面図が示されている。そして、左側の説明部11aには、装着状態のときに、おでこをおでこ当接部10へ当てる旨の説明が記載され、右側の説明部11bには装着状態のときにシート部材3を耳の上まで位置させる旨の説明が記載されている。さらには、右側の説明部11には、描かれたイラストによって装着状態では、シート部材3を水平にする旨の内容が記載されている。
【0016】
シート部材3の表面には、どのヘルメット2用のチェックゲージであるか識別するための内容(種別、型式、名称)を表示する識別表示部12が設けられている。
開口部4の左右幅(最大の左右幅)L1は、ヘルメット2の内壁(ライナ6の内壁下側部)の左右幅L2よりも10%小さく形成されている。このシート部材3の開口部4に頭を嵌め込み、シート部材3の開口部4と頭との大きさとが一致するヘルメット2を選択して装着した場合、ライナ6の内壁下側部と頭との間には隙間Sができる。即ち、開口部4の左右幅L1がヘルメット2の内壁よりも10%小さく設定することにより、このヘルメット用ゲージ1を用いれば、頭に対して少し大きなヘルメット2が自動的に選択することができる。
【0017】
また、シート部材3の開口部4の両側には、ライナ6の内壁下側部の左右幅L2よりも15%小さくしたときの頭幅が示されている。例えば、シート部材3の開口部4の両側には、「隙間は5mmです」との表示がされていて、装着状態のときに頭と開口部4との隙間Sが5mmであれば、頭幅がライナ6の内壁下側部の左右幅L2よりも15%小さいということが分かるようになっている。
【0018】
言い換えれば、仮に開口部4の左右幅L1を、ヘルメット2の内壁の左右幅L2よりも15%小さくした場合の数値が、シート部材3の開口部4の両側に示されていて、これを用いれば、頭幅に対して15%大きな幅を有するヘルメット2を選択できるようになっている。なお、開口部4の左右幅L1を、予めヘルメット2の内壁(ライナ6の内壁下側部)の左右幅よりも15%小さく形成してもよい。
【0019】
本発明のヘルメット用ゲージ1を用いて、ヘルメット2を選定する方法について説明する。
まず、ヘルメット2毎に、ヘルメット2に対応したヘルメット用ゲージ1を用意しておく。例えば、店頭において、ヘルメット2を置いている場所にヘルメット用ゲージ1も置く、このとき、ヘルメット2に対応するヘルメット用ゲージ1をヘルメット2の近くに設置することが好ましい。また、ヘルメット2の種別を示すカラーを予め定めておき、ヘルメット2と当該ヘルメット2に対応するシート部材3(ヘルメット用ゲージ1)との色を同一にすることが好ましい。
【0020】
ヘルメット2の購入者は、まず、数ある中から所望のヘルメット2を選び、ヘルメット2が頭に合うかヘルメット用ゲージ1により確かめる。具体的には、所望のヘルメット2に対応したヘルメット用ゲージ1を手にとって、当該ヘルメット用ゲージ1の開口部4に購入者の頭を嵌め込む。このとき、購入者の頭が、正しく開口部4に嵌め込むことができた場合(例えば、購入者の頭の大きさと開口部4との大きさが一致していたり、購入者の頭と開口部4との隙間がシート部材3に表示された範囲内である場合)、購入しようとし
ているヘルメット2は、購入者の頭に適応できると判断することができる。
【0021】
一方、シート部材3に表示された説明部11の通りに開口部4に購入者の頭を嵌め込むことができなかったり、購入者の頭と開口部4との隙間Sが大きすぎてシート部材3に表示された範囲外である場合は、ヘルメット2が購入者の頭に適用していないと判断できる。このような場合は、ヘルメット2の大きさと購入者の頭の大きさとは最適でないため、ヘルメット2のサイズを代え、再度、サイズを代えたヘルメット2に対応するヘルメット用ゲージ1を用いて選定作業をやり直す。
【0022】
なお、上述したヘルメット用ゲージ1では、開口部4の左右幅L1をヘルメット2の内壁(ライナ6の内壁下側部)の左右幅よりも10%小さくしたり、15%小さくしてもよいとの説明をしたが、この数値は、後述するように、ヘルメット2の保護機能を大きく向上させることができる指針の数値であり、開口部4の左右幅L1とヘルメット2の内壁の左右幅L2とを一致、即ち、開口部4の大きさとヘルメット2の内壁の左右幅とを同じ大きさにしてもよい。
【0023】
次に、開口部4の左右幅L1をヘルメット2の内壁(ライナ6の内壁下側部)の左右幅L2よりも10%〜15%小さくしている理由について説明する。
ヘルメット2を装着することによって、頭部5を保護することができるが、さらに、ヘルメット2の保護機能を向上させることを考えた場合、頭部5の大きさとヘルメット2の大きさとに最適な関係があると思われる。そこで、頭部5の大きさとヘルメット2の大きさとの関係を、コンピュータシュミュレーションにより求め、側頭部5aの幅(頭幅)とヘルメット2の内寸法(左右幅)との比率(寸法比率)を1.1〜1.15の範囲にする、即ち、ヘルメット用ゲージ1から見れば、開口部4の左右幅L1をヘルメット2の内壁の左右幅よりも10%〜15%を小さくすることが良いことを見出した。
【0024】
なお、寸法比率は、後述するようにコンピュータシュミュレーションにより求めたものであるが、その寸法比率の適用範囲は、1〜3歳児に限らず、それ以上の年齢である児童若しくは大人にも適用可能である。
まず、コンピュータシュミュレーションでは、頭蓋骨、脳脊髄液、脳(左右大脳、小脳、脳幹)、膜類(硬膜、大脳鎌、小脳テント、軟膜)から構成された1〜3歳児の頭部5の有限要素モデルを準備して、この頭部有限要素モデルを用いてシュミュレーションを行った。ここで、1〜3歳児の頭部5の形状は、様々なものがあると考えられるため、1〜3歳児の頭部5の幅(頭幅)、頭長、頭の高さ(全頭高)を測定して、測定データを整理し、表1に示すように、頭部5の各寸法の最大値、最小値を求めた。さらに、図7及び表2に示すように、各寸法が平均である頭部モデルの他に、6つの頭部モデルを各年齢毎に用意した。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
次に、各年齢毎に用意した7つの頭部モデルに対して同一のヘルメット2を装着し、当該ヘルメット2を装着した状態で自転車が横倒しになったときに頭部5に作用する主応力について調査を行った。
具体的には、図8(a)に示すように、各頭部モデルにヘルメット2を装着させた状態において、側頭部5a(ヘルメット2の横)を地面等を模した剛体平面Fに平行にした姿勢でモデルを落下させるシュミュレーションを行った。
【0028】
その結果、図8(b)に示すように、他の頭部モデルに比べて頭幅が最大であるとき、どの年齢でも頭部5に作用する主応力が大きいことが分かった。即ち、ヘルメット2に対する頭幅が、ヘルメット2の保護機能に影響を与えることが分かった。
そこで、更に検証した結果、図9(a)に示すように、ヘルメット2に対して頭幅が小さい場合は、ヘルメット2を装着したときの装着深さ(頭頂部とヘルメット2との隙間)が深く、ヘルメット2に対して頭幅が大きい場合は、装着深さが浅いことが考えられ、装着深さによって頭部5に作用する応力の大きさも変化することが考えられる。
【0029】
そこで、3歳児の頭幅最大モデルを用いて、ヘルメット2の内寸法(ヘルメット2の内壁における左右幅)を徐々に大きくし、このときの頭部5に作用する主応力(頭蓋骨へ作用する頭蓋骨応力)ついて調べた。
図9(b)に示すように、頭幅とヘルメット2の内寸法との比率(寸法比率)が1.10より小さくなると、頭蓋骨にかかる応力は徐々に大きくなる傾向にある。寸法比率が1.15を超えた場合は、頭蓋骨にかかる応力は略一定となった。
【0030】
したがって、ヘルメット2の保護機能をさらに向上させることを考えた場合は、寸法比率は1.1以上とすることが好ましく、ヘルメット2は頭幅に対して小さ過ぎず、若干大きいのがよい。
ここで、寸法比率が大き過ぎる場合、ヘルメット2を装着したときに側頭部5aとヘルメット2との隙間が大きくなる。この場合、転倒時にヘルメット2内で頭が動き易くなり、ヘルメット2の保護機能が向上させることが難しい可能性がある。図10に示すように、側頭部5aとヘルメット2との隙間が大きくなればなるほど、ヘルメット2内で頭が動くことに起因して脳にかかるせん断応力(脳内せんだん応力)が増加する傾向にある。
【0031】
そこで、寸法比率とせん断応力との関係を調べた結果、比率が1.15以下であれば、せん断応力を抑えられることが分かった。
図11は、1歳〜3歳までの幼児において、脳内せんだん応力及び頭蓋骨応力と寸法比率との関係をまとめたものである。
図11に示すように、頭に掛かる応力が最小値の120%以下(最小値の1.2倍以下)とすることを考えたとき、寸法比が1.1〜1.15倍であれば、脳にかかる応力も頭蓋骨にかかる応力も小さくすることができ、より、ヘルメット2における保護機能を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明によれば、シート部材3に開口部4が形成され、開口部4が、頭部当接部の断面形状と同一に形成されているため、ヘルメット2を選ぶときに、わざわざメジャーなどで頭の周囲を測らなくても開口部4に頭を嵌め込んで、その状態を見るだけで、簡単に頭の大きさに適切な大きさのヘルメット2を選ぶことができる。特に、ヘルメット2のフィット感の良し悪しが分からない幼児のヘルメット2が選び易く、非常に便利である。
【0033】
シート部材3の表面には、頭部5を開口部4に嵌め込んだときの正しい装着状態を示す
説明部11が設けられているため、シート部材3を見るだけでヘルメット用ゲージ1の使い方が分かり、ヘルメット2を選ぶことが不慣れな人でも簡単にヘルメット2を選ぶことができる。
開口部4の左右幅L1は、ヘルメット2の内壁における左右幅よりも10%〜15%小さく形成されているため、ヘルメット用ゲージ1を頭に嵌め込むだけで、頭に対してより保護機能を向上させることができるヘルメット2を選定することができる。
【0034】
なお、図12〜14は、ヘルメット用ゲージ1の変形例を示したものであり、図12に示すようにシート部材の表面を無模様にしてもよいし、図13及び図14に示すように、シート部材を矩形状ではなく円弧状や楕円形状にしてもよい。
[第2実施形態]
第1実施形態のヘルメット2は、ライナ6の内壁下部側にパット7を設けられていてアジャスタ機構14は具備されていないものであるが、第2実施形態のヘルメット2は、アジャスタ機構14を設けたものである。即ち、第2実施形態では、アジャスタ機構14付きのヘルメット用ゲージ1について説明する。
【0035】
図15〜20に示すように、アジャスタ機構14付きヘルメット2においては、ライナ6の内壁下部側に取付部材16を介して帯状のバンド部材15が当該内壁下部に沿って設けられ、当該バンド部材15の両端部はヘルメット2の後部側でアジャスタ機構14により連結されている。バンド部材15の両端部を連結したアジャスタ機構14によってバンド部材15の長さが調整できるようになっている。
【0036】
シート部材3に設けられた開口部4は、上述したバンド部材15の内壁(内側)に沿うような形成とされ、シート部材3をヘルメット2の下側から重ね合わせて見ると、シート部材3の開口部4の輪郭と、バンド部材15の内壁の輪郭とが略同じとなっている。
言い換えれば、開口部4は、頭部当接部(例えば、バンド部材15)の水平断面と同一形状に形成されている。
【0037】
なお、アジャスタ機構14は、バンド部材15の長さを調整するとヘルメット2の後部側においてバンド部材15の位置に変わるため、このヘルメット用ゲージ1(シート部材3)の開口部4においては、アジャスタ機構14を中立(バンド部材15で調整できる長さの中間)にしたときのバンド部材15の位置をベースとして、バンド部材15に沿うように開口部4が形成されている。
【0038】
また、アジャスタ機構14付きのヘルメット用ゲージ1では、開口部4において、少なくともアジャスタ機構14によって調整する範囲に相当する部分C(アジャスタ調整範囲の部分)を除く、非調整範囲の部分Dを頭部当接部に一致させてもよい。例えば、図15に示すように、開口部4において、アジャスタ調整範囲の部分Cは、ライナ6の内壁下側部に沿う形状とし、非調整範囲の部分Dをバンド部材15に沿う形状としてもよい。
【0039】
なお、図21〜23は、ヘルメット用ゲージ1の変形例を示したものであり、図21に示すようにシート部材の表面を無模様にしてもよいし、図22及び図23に示すように、シート部材を矩形状ではなく円弧状や楕円形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ヘルメット用ゲージ
2 ヘルメット
3 シート部材
4 開口部
5 頭部
6 ライナ
7 パット
9 シェル
10 おでこ当接部
11 説明部
11a 説明部
11b 説明部
12 識別表示部
14 アジャスタ機構
15 バンド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材に貫通する開口部が形成され、前記開口部は、頭部が当接するヘルメットの頭部当接部の水平断面形状と同一の形状となっていることを特徴とするヘルメット用ゲージ。
【請求項2】
前記シート部材の表面には、頭部を前記開口部に嵌め込んだときの正しい装着状態を示す説明部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット用ゲージ。
【請求項3】
前記開口部の左右幅は、前記ヘルメットの内壁における左右幅よりも10%〜15%小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘルメット用ゲージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−31541(P2012−31541A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172761(P2010−172761)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(592244789)株式会社オージーケーカブト (5)
【Fターム(参考)】