説明

ヘルメット

【課題】本発明は、簡易な構成で歩行者や車両等を音により注意力を喚起することのでき、安全性のあるヘルメットを提供することを課題とする。
【解決手段】自動二輪用乗車時使用し、少なくとも頭部全体を保護するためのヘルメット本体と、ヘルメット本体に設けられ顎部分に装着する紐体とから構成されたヘルメットであって、該ヘルメット本体には、両耳に相当する部分に外部の音を聞き取りするのに適する大きさの複数の孔が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動二輪に乗車する際に頭部に装着するヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭部及び耳部分を保護するのにヘルメットを装着することが知られている。特に、自動二輪に乗車する際に使用し、運転者及び同乗者の頭部の安全を保護するヘルメットが一般的である。
【0003】
上記ヘルメットは、頭部(後頭部から前頭部)を保護するヘルメット本体と、該ヘルメット本体の頭部よりの離脱を防ぐために顎部分に架け渡す装着用紐と、顔部分を保護する透明の保護カバー体とから構成されている。尚、ヘルメット本体は、後頭部より前頭部にわたって頭部全体を保護する帽子状の型状と、冬等の寒い時に適する頭部、顔部分全てを保護するフルフェース型状とに分類されている。
【0004】
また、上記どちらの型状も基本的に両耳部分はヘルメット内に位置するために、耳の位置する部分は内側が少し窪んだ状態に形成され、スムーズな装着を可能としている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のヘルメットは装着時の快適性や圧迫感を減少することを目的と形成されているために、ヘルメットの内側を窪んだ状態に形成するだけでは、外部の音を聞き取りにくく、必要とする安全上の音に対する反応も遅れるという欠点があった。
【0006】
特に走行中はエンジン音等のために外部の音はほとんど聞き取れないのが現状であり、歩行者及び車両等の走行中の注意は目による割合が多くを占めるために、安全性の面で大きな問題点があった。
【0007】
また、上記ヘルメットの内側を窪んだ状態に形成する耳部分の加工に多くのコストがかかりヘルメットのコスト高を招くという欠点があった。
【0008】
そのため、運転者は信号停止等においてしばしば後方や周囲を振り返って見ることで、安全性の確認を図らなければならず発進時、走行時の安全性には不安があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決することを目標とし、簡易な構成で歩行者や車両等を音により注意力を喚起し、安全性の高いヘルメットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、上記課題を達成するための本発明の解決手段は、請求項1に記載のように、自動二輪用乗車時使用し、少なくとも頭部全体を保護するためのヘルメット本体と、ヘルメット本体に設けられ顎部分に架け渡す紐体とから構成されたヘルメットであって、該ヘルメット本体には、両耳に相当する部分に外部の音を聞き取りするのに適する大きさの複数の孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、具体的には請求項2に記載のように、孔が設けられている部分には、孔部分を閉塞するための閉塞手段が設けられている。
【発明の作用、及び効果】
【0012】
次に、本発明の作用について説明する。
本発明は主に自動二輪用で使用するヘルメットであり、自動二輪に乗車する際に、頭部を保護すべく装着することで使用する。ヘルメットの装着は、ヘルメット本体を頭部(後頭部より前頭部)を被覆するように装着した後、ヘルメット本体に設けられた紐体を顎部分に架け渡すように取り付けることでヘルメット本体の離反を防止すべく装着する。
【0013】
この装着した状態で、自動二輪に乗車して運転すると、運転者は外部の音、自動車の接近してくる音、対向車の接近する音、横断歩道をわたる人の話声等がヘルメット本体の耳部分に設けられた複数の孔より適切に聞き取りすることができる。
【0014】
従って、乗車時に運転における危険に対する注意を目で見てることと、耳による音の聞き取りとで判断することができるので、従来に比し高い注意力を喚起することができ、運転時の高い安全性を維持することができる。
【0015】
このため、事故を未然に防止する確率を格段に向上することができることとなる。
【0016】
また、雨等天候の悪い日、又は走行中に急に雨が降った場合においては、ヘルメットの孔部分を閉塞手段で容易に閉塞することができ、走行時に孔部分より雨等が内側に入るのを防ぐことができ、このため、ヘルメットの内側を快適に保つことができる。
【0017】
この場合も、孔部分に閉塞手段があるだけなので、従来の孔のないヘルメットに比し音を聞き取ることが可能であり運転の安全を一定以上に維持することができる。
【0018】
このように、本発明のヘルメットは音を聞き取りやすいようにヘルメットに孔が設けられているために、運転時に音と目とで常に安全を確保することができ、従来のバックミラーを中心とする目のみでの安全確認に比し、格段に安全運転を行うことができ、事故を未然に回避することができる。
【0019】
また、耳部分を被覆する全てのヘルメットに対応することができ、また、既存のヘルメットに後から対応することも可能である。
【発明の好ましい実施の形態】
【0020】
以下、本発明のヘルメットを図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例であるヘルメットを示す概略側面説明図であり、図2はヘルメットの孔部分を内側より示す概略説明図であり、図3は孔部分を示す拡大断面説明図である。
【0022】
本発明のヘルメット1は、頭部全体(後頭部より前頭部〉を被覆すべく下方側(首挿入部)から顔部分を開放した開口部2の設けられた略卵状のヘルメット本体3と、開口部2下端側の左右に取り付けられ、顎部分に架け渡す一対の紐体4と開口部2の顏部分を保護する開閉式のカバー体5とから構成されている。
【0023】
前記ヘルメット本体3の内側全体には、装着時及び転倒時等のクッションが設けられ、耳部分には、耳が位置するのに適する大きさの空間部6が設けられている。前記空間部6のヘルメット本体3部分には、複数の孔7が形成され、外部の音が孔7を通して耳に入りやすい状態となっている。尚、孔7の数は複数個であれば空間部6の大きさに応じて自在に設定することができる。
【0024】
前記孔7の形状は、外側が小さく内側に沿ってテーパー状に広がるように形成することで、外側より入ってくる音を耳に広がった状態で伝え、小さな音も聞き漏らさないように形成されている。
【0025】
尚、孔7の形状は、上記形状に限定されるものでなく、外側より内側へ斜め状に形成することで、後方の音を聞き取り易くするように形成する事も可能である。
【0026】
また、孔7の数もその径により調整しているために、音が聞きやすい状態であれば特に限定されるものでない。
【0027】
また、必要に応じて孔7の外側又は内側には、雨等の水滴が孔7より内部に入るのを遮断する閉塞手段としての薄く板状でヘルメット本体3に沿って形成された閉塞体8が設けられている。尚、閉塞体8は着脱が自在であり、晴れた日は取り外し、雨の日のみ装着することで有効に利用することができる。
また、閉塞体8を薄膜で形成することで、ヘルメット本体3に密着した状態で取り付け、孔7部分を確実に被覆することで、薄膜を通じての音を聞きやすくすることも可能である。
【0028】
上記のように構成されたヘルメット1の使用例として、自動二輪に乗車する場合について説明する。
【0029】
先ず、自動二輪に乗車する前にヘルメット本体3を頭全体を覆うように装着し、紐体4を締結することでヘルメット1を頭部に固定し、カバー体5を下方に移動して顔面部分を覆う。
【0030】
この状態で、運転するとヘルメット本体3の孔7部分より外部の音が直接耳に入るために、音による安全の確認と、バックミラー等の目による安全の確認とにより、従来に比し格段に優れた安全に対する判断ができ、安全走行で自動二輪を運転することができる。
【0031】
特に、音は外部より孔7部分のテーパーに沿って耳に入るために、マイクと同様に音が広がって入り、より良く聞くことが可能となる。
【0032】
また、自動二輪による走行中に、急な雨等があれば孔7部分を閉塞体8で閉塞することで、走行時に耳に水が入ることなく安全に走行することができる。また、閉塞体8を音の伝導性の高い薄膜で形成することで、雨の中でも音を孔7を通して聞き取ることが可能となる。
【0033】
このように、本発明のヘルメット1は、従来のヘルメットに比し格段の走行時の安全性を維持することができ、自動二輪の運転者の注意不足による事故をできうるかぎり事前に回避することができる。
【0034】
また、ヘルメット本体3の形状は上記実施例に限定されるものでなく、全体を包む通称フルフェースヘルメットでも可能である。
【0035】
また、従来のヘルメットの耳部分に後から孔7を形成し、閉塞体8を取り付けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例であるヘルメットを示す概略側面説明図
【図2】ヘルメットの孔部分を内側より示す概略説明図
【図3】孔部分を示す拡大断面説明図
【符号の説明】
【0037】
1−ヘルメット、3−ヘルメット本体部、4−紐体、7−孔、8−閉塞体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪用の乗車時等に使用し、少なくとも頭部全体を保護するためのヘルメット本体と、ヘルメット本体に設けられ顎部分に架け渡す紐体とから構成されたヘルメットであって、該ヘルメット本体には、両耳に相当する部分に外部の音を聞き取りするのに適する大きさの複数の孔が形成されていることを特徴とするヘルメット。
【請求項2】
前記孔が設けられている部分には、孔部分を閉塞するための閉塞手段が設けられている請求項1に記載のヘルメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−191432(P2009−191432A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68512(P2008−68512)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(599025020)
【Fターム(参考)】