説明

ベッセルビーム発生装置

【課題】本発明は、組立て調整作業が容易で、コンパクトで取扱いが容易なベッセルビーム発生装置を提供する。
【解決手段】光源と、前記光源から出射した光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバの出射端に取り付けられたレンズと、前記レンズから出射した光でベッセルビームを発生させるベッセルビーム発生素子と、前記レンズが入射端に挿入され、前記ベッセルビーム発生素子が出射端に挿入されるフェルールと、を備えたことを特徴とするベッセルビーム発生装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非回折性ビームの一種であるベッセルビームに関し、特に、ベッセルビーム発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、加工用や顕微鏡用に有用な焦点深度の深いビームが求められており、これに適したビームを発生させる装置として、ベッセルビームを発生させるベッセルビーム発生装置が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−261027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のベッセルビーム発生装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光をコリメータレンズ等により平行光として空間伝播させ、これを円錐状のアキシコンプリズムに入射してベッセルビームを発生させるものであった。
【0005】
このため、従来のベッセルビーム発生装置では、平行光を得るためのコリメーション調整やレーザ光に対する各光学部品の光軸の調芯調整の難易度が高く、組立て調整作業が困難であった。
【0006】
また、従来のベッセルビーム発生装置は、その形状が大きく、設置の自由度や加工時の取扱いの自由度が低かった。
【0007】
そこで、本発明は、組立て調整作業が容易で、コンパクトで取扱いが容易なベッセルビーム発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記課題は、次の手段により解決される。
【0009】
本発明は、光源と、前記光源から出射した光を伝搬する光ファイバと、前記光ファイバの出射端に取り付けられたレンズと、前記レンズから出射した光でベッセルビームを発生させるベッセルビーム発生素子と、前記レンズが入射端に挿入され、前記ベッセルビーム発生素子が出射端に挿入されるフェルールと、を備えたことを特徴とするベッセルビーム発生装置である。
【0010】
また、本発明は、前記フェルールは、前記レンズの挿入を止める第1位置決め部と、前記ベッセルビーム発生素子の挿入を止める第2位置決め部と、を有する、ことを特徴とする上記のベッセルビーム発生装置である。
【0011】
また、本発明は、前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とは、前記レンズから前記ベッセルビーム発生素子へ平行に光が入射するようにして、前記レンズと前記ベッセルビーム発生素子の挿入を止める、ことを特徴とする上記のベッセルビーム発生装置である。
【0012】
また、本発明は、前記レンズは、前記光ファイバと略同じ直径であり、前記光ファイバを伝搬する光を平行光にして出射する屈折率分布型のレンズである、ことを特徴とする上記のベッセルビーム発生装置である。
【0013】
また、本発明は、前記ベッセルビーム発生素子は、入射端側のコアまたはコア及びクラッドが円錐形状とされた、入射した光をベッセルビームにして出射する光ファイバである、ことを特徴とする上記のベッセルビーム発生装置である。
【0014】
また、本発明は、前記円錐形状は、90度以上150度未満の頂角を有する、ことを特徴とする上記のベッセルビーム発生装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、組立て調整作業が容易で、コンパクトで取扱いが容易なベッセルビーム発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置を説明する図であり、(a)はベッセルビーム発生装置の概略断面図であり、(b)はフェルールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置を説明する図であり、(a)はベッセルビーム発生装置の概略断面図であり、(b)はフェルールの概略断面図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置10は、光源11と、光ファイバ12と、レンズ13と、ベッセルビーム発生素子14と、フェルール15と、を備える。以下、順に説明する。
【0020】
[光源11]
光源11には、例えば、レーザ光源を用いる。
【0021】
[光ファイバ12]
光ファイバ12は、光源11から出射した光を伝搬する。光ファイバ12は、コア12aとクラッド12bとを有している。
【0022】
[レンズ13]
レンズ13は、例えば光ファイバ12のクラッド12bと略同じ直径のものとし、光ファイバ12の出射端に融着などの方法により取り付ける。
【0023】
レンズ13には、例えば、光ファイバ12を伝搬する光を平行光にして出射するコリメータレンズを用いる。コリメータレンズとしては、グリンレンズなどの屈折率分布型のレンズを用いることができる。
【0024】
[ベッセルビーム発生素子14]
ベッセルビーム発生素子14は、レンズ13から出射した光でベッセルビームを発生させる。すなわち、ベッセルビーム発生素子14は、レンズ13から出射した光が入射した場合に、ベッセルビームを出射する。
【0025】
ベッセルビーム発生素子14としては、例えば、入射端側のコア14a(またはコア14a及びクラッド14b)が円錐形状とされた、入射した光をベッセルビームにして出射する光ファイバ14を用いる。なお、この円錐形状が90度以上150度未満の頂角を有する光ファイバ14は、入射した光を効率よくベッセルビームにして出射するため、本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生素子14として特に好ましく用いることができる。
【0026】
[フェルール15]
フェルール15は、レンズ13が入射端に挿入され、ベッセルビーム発生素子14が出射端に挿入される。
【0027】
フェルール15は、レンズ13の挿入を止める第1位置決め部15a、15bと、ベッセルビーム発生素子14の挿入を止める第2位置決め部15c、15dと、を有している。
【0028】
第1位置決め部15a、15bと第2位置決め部15c、15dとは、レンズ13からベッセルビーム発生素子14へ平行に光が入射するようにして、レンズ13とベッセルビーム発生素子14の挿入を止める。
【0029】
より好ましい例では、第1位置決め部15a、15bと第2位置決め部15c、15dとは、レンズ13からベッセルビーム発生素子14へ入射する光の平行度が最大となるようにして、レンズ13とベッセルビーム発生素子14の挿入を止める。
【0030】
なお、第1位置決め部15a、15bや第2位置決め部15c、15dは、レンズ13やベッセルビーム発生素子14の形状に合わせた形状にすることが好ましい。
【0031】
例えば、レンズ13を光ファイバ12の出射端に挿入する場合は、第1位置決め部15a、15bの形状を図1に示すような下がり壁とし、この下がり壁に光ファイバ12の出射端を押し当ててレンズ13の挿入を止め、フェルール内におけるレンズ13の位置決めを行うことが好ましい。
【0032】
また、例えば、ベッセルビーム発生素子14の入射端側の形状を円錐形状にする場合は、第2位置決め部15c、15dの形状を図1に示すような円錐形状の壁とし、この円錐形状の壁にベッセルビーム発生素子14を押し当ててベッセルビーム発生素子14の挿入を止め、フェルール内におけるベッセルビーム発生素子14の位置決めを行うことが好ましい。
【0033】
フェルール15は、レンズ13とベッセルビーム発生素子14とを挿入した場合に、これらと嵌合する形状であることが好ましい。このようにすれば、レンズ13とベッセルビーム発生素子14とをフェルール内において容易に位置決めすることができる。
【0034】
なお、レンズ13とベッセルビーム発生素子14とは、フェルール15に挿入された後、接着剤などでフェルール15に固定することができる。
【0035】
以上説明した本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置10によれば、レンズ13とベッセルビーム発生素子14とをフェルール15に挿入することにより、レンズ13とベッセルビーム発生素子14とを予め定めた位置関係でフェルール内に配置できるため、コリメーション調整や光軸の調芯調整が容易になる。
【0036】
また、本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置10は、フェルール15を用いて構成されているため、その形状が小さく、設置の自由度や加工時の取扱いの自由度が高い。
【0037】
したがって、本発明の実施形態に係るベッセルビーム発生装置10によれば、組立て調整作業が容易で、コンパクトで取扱いが容易なベッセルビーム発生装置を提供することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は、これらの説明によって何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
10 ベッセルビーム発生装置
11 光源
12 光ファイバ
12a コア
12b クラッド
13 レンズ
14 光ファイバ(ベッセルビーム発生素子)
14a コア
14b クラッド
15 フェルール
15a 第1位置決め部(下がり壁)
15b 第1位置決め部(下がり壁)
15c 第2位置決め部(円錐形状の壁)
15d 第2位置決め部(円錐形状の壁)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した光を伝搬する光ファイバと、
前記光ファイバの出射端に取り付けられたレンズと、
前記レンズから出射した光でベッセルビームを発生させるベッセルビーム発生素子と、
前記レンズが入射端に挿入され、前記ベッセルビーム発生素子が出射端に挿入されるフェルールと、
を備えたことを特徴とするベッセルビーム発生装置。
【請求項2】
前記フェルールは、
前記レンズの挿入を止める第1位置決め部と、
前記ベッセルビーム発生素子の挿入を止める第2位置決め部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベッセルビーム発生装置。
【請求項3】
前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とは、前記レンズから前記ベッセルビーム発生素子へ平行に光が入射するようにして、前記レンズと前記ベッセルビーム発生素子の挿入を止める、ことを特徴とする請求項2に記載のベッセルビーム発生装置。
【請求項4】
前記レンズは、前記光ファイバと略同じ直径であり、前記光ファイバを伝搬する光を平行光にして出射する屈折率分布型のレンズである、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のベッセルビーム発生装置。
【請求項5】
前記ベッセルビーム発生素子は、入射端側のコアまたはコア及びクラッドが円錐形状とされた、入射した光をベッセルビームにして出射する光ファイバである、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のベッセルビーム発生装置。
【請求項6】
前記円錐形状は、90度以上150度未満の頂角を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のベッセルビーム発生装置。


【図1】
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【公開番号】特開2012−159749(P2012−159749A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20249(P2011−20249)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)