説明

ベッド装置

【課題】この発明はベッドフレームの側部に利用者に近付くことを可能にする凹部を形成した場合、側柵を設けるのに支障がないようにしたベッド装置を提供することにある。
【解決手段】幅方向の少なくとも一側部に複数の支持孔が形成されたベッドフレーム3と、ベッドフレームの幅方向の少なくとも一側部に幅方向の内方に凹んで形成された凹部8と、ベッドフレームの幅寸法よりも小さな幅寸法に形成されベッドフレームの上面に凹部を露出させて設けられる床板18と、ベッドフレームの凹部が形成された部分に凹部に突出した起立状態とベッドフレームの幅方向内方へ折り畳んだ倒伏状態とに回動可能に設けられるとともに先端部に第2の支持孔が形成された支持部材13と、支持部材を起立させた状態においてベッドフレームの第1の支持孔9と支持部材の第2の支持孔12のうちの複数の支持孔に脚部を着脱可能に係合させて取り付けられる側柵25とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は布団がずれ落ちたり、患者が落下するのを防止する側柵がベッドフレームの幅方向の側部に着脱可能に設けられるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、病人用などとして用いられるベッド装置は、床板を有し、この床板上に載置されたマットレスに仰臥した利用者が落下したり、掛け布団がずれ落ちるのを防止するために側柵が設けられる。ベッドフレームに側柵を設ける場合、ベッドフレームの幅方向の一側部或いは両側部の上面に長手方向に対して所定間隔で複数の支持孔を形成する。そして、これらの支持孔を利用して上記側柵を着脱可能に取り付けるようにしている。
【0003】
上記側柵は、たとえばベッドフレームの長さ寸法の約半分程度の長さ寸法に形成されていて、そのときの利用目的などに応じてベッドフレームのヘッドボード側に設けたり、フットボード側に設けるなど、取付け位置を変更できるようになっている。
【0004】
一方、上記マットレスに仰臥した利用者が病人や身体の不自由な老人などの場合、その利用者を医師が診察したり、介護者が身体の世話をすることがある。そのような場合、医師や介護者は利用者にできるだけ近付いた方が診察や介護がし易いということがある。
【0005】
そこで、ベッドフレームの長手方向の中央部分であって、幅方向の少なくとも一側部に、幅方向内方に向かって凹んだ凹部を形成する。そして、医師や介護者が利用者を診察したり、介護する場合、上記凹部に身体を位置させることで、利用者に近付くことができるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ベッドフレームの幅方向の側部に側柵が設けられるベッド装置において、側柵をベッドフレームの長さ寸法の約半分程度の長さにし、その側柵をヘッドボード側或いはフットボード側のいずれかに選択的に取り付けることができるようにする場合、側柵の端部に設けられた脚部を支持する支持孔をベッドフレームの長手方向中央部の側部にも設けることが必要となる場合がある。
【0007】
しかしながら、医師や介護者がマットレス上に仰臥した利用者に近付き易くするため、ベッドフレームの長手方向中央部の側部に幅方向内方に凹んだ凹部を形成するようにすると、ベッドフレームの長手方向中央部の側部に側柵を支持するための支持孔を設けることができなくなるため、側柵の取付け位置に制限を受けるということになる。
【0008】
この発明は、ベッドフレームの長手方向中央部分の側部に凹部を形成しても、その凹部に側柵を支持するための支持孔を設けることができるようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、幅方向の少なくとも一側部に複数の支持孔が形成されたベッドフレームと、
このベッドフレームの幅方向の少なくとも一側部に幅方向の内方に凹んで形成された凹部と、
このベッドフレームの幅寸法よりも小さな幅寸法に形成され上記ベッドフレームの上面に上記凹部を露出させて設けられる床板と、
上記ベッドフレームの上記凹部が形成された部分に上記凹部に突出した起立状態と上記ベッドフレームの幅方向内方へ折り畳んだ倒伏状態とに回動可能に設けられるとともに先端部に第2の支持孔が形成された支持部材と、
上記支持部材を起立させた状態において上記ベッドフレームの第1の支持孔と上記支持部材の第2の支持孔のうちの複数の支持孔に脚部を着脱可能に係合させて取り付けられる側柵と
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【0010】
上記凹部には上記ベッドフレームに一端が固定された固定部材が設けられ、この固定部材の他端に上記支持部材が回動可能に連結されていて、上記固定部材は先端が上記床板の幅方向の端面とほぼ同じ位置或いは幅方向内方に位置する長さ寸法であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ベッドフレームの幅方向の側部に形成された凹部に、側柵を支持する支持孔が形成された支持部材を折り畳み可能に設けたから、側柵を支持しないときには支持部材を折り畳むことで、医師や介護者が身体を凹部に入り込ませて利用者を診察したり、介護することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はこの発明のベッド装置の斜視図、図2は平面図、図3は側面図である。ベッド装置は図3に示すようにベースフレーム1を有する。このベースフレーム1は四隅部に設けられたストッパ付きのキャスタ2によって移動可能となっている。このベースフレーム1にはベッドフレーム3が図2に示す上下駆動機構4によって高さ調整可能に設けられている。
【0013】
上記ベッドフレーム3はフレーム本体5と、このフレーム本体5の幅方向の両側の中央部を除く一端部と他端部とに、それぞれ連結部材6によって取付け固定された側部材7とによって構成されている。それによって、上記ベッドフレーム3の長手方向中央部分の幅方向両側には、幅方向の内方に向かって凹んだ凹部8が形成されている。上記側部材7の長手方向両端部にはそれぞれ上面に開口した第1の支持孔9が形成されている。
【0014】
上記フレーム本体5の上記凹部8に対応する部分の側面には固定部材11が一端を固定して設けられている。この固定部材11は図5に示すようにフレーム本体5を構成する角パイプに取付け固定されるベース板11aと、このベース板11aに基端を固着した上下一対の連結杆11bとからなる。
【0015】
上記固定部材11の他端、つまり連結杆11bの先端はベッドフレーム3の幅方向外方に向かって突出していて、その先端部には支持部材13の基端が支軸14によって回動可能に連結されている。上記支持部材13の先端部には、上記第1の支持孔9と同径の第2の支持孔12が上下方向に貫通して形成されている。
【0016】
上記固定部材11に上記支軸14によって連結された上記支持部材13は、その支軸14を支点として折り畳み可能になっている。そして、支持部材13は、図4(a)に示すようにベッドフレーム3の幅方向外方に向かって突出した起立状態と、図4(b)に示すように折り畳まれた倒伏状態とに回動させることができるようになっている。
【0017】
上記支持部材13を、図4(a)に示すようにベッドフレーム3の幅方向外方に向かって突出する起立状態にしたとき、図2に示すように側部材7に形成された一対の第1の支持孔9の間隔L1と、一方の第1の支持孔9と上記支持部材13に形成された第2の支持孔12との間隔L2とがほぼ同じになるように、上記支持部材13の位置が設定されている。つまり、支持部材13はベッドフレーム3の長手方向の中央に設けられている。
【0018】
上記ベッドフレーム3の長手方向一端にはヘッドボード16が設けられ、他端にはフットボード17が設けられている。さらに、上記ベッドフレーム3の上面には床板18が設けられている。この床板18は複数、この実施の形態では5つの床部18a〜18eに分割されている。
【0019】
すなわち、ベッドフレーム3の長手方向中央部にはこのベッドフレーム3に固定された固定床部18cが設けられている。この固定床部18cの一端には腰床部18bと背床部18aとが順次回動可能に連結されている。上記固定床部18cの他端には第1の脚床部18dと第2の脚床部18eとが順次回動可能に設けられている。
【0020】
上記背床部18aと腰床部18bは図2に示す背上げ駆動機構21によって図3に実線で示す倒伏状態から鎖線で示すように起立させることができるようになっている。上記第1の脚床部18dは脚上げ駆動機構22(一部だけを図2に示す)によって図3に示すように実線で示す倒伏位置から鎖線で示すよう起上させることができるようになっている。
【0021】
上記第1の脚床部18dを図3に鎖線で示すように起上させると、この第1の脚床部18dの起上に一端が連結された第2の脚床部18eが連動する。この第2の脚床部18eの他端には図示しない保持杆の一端が枢着されている。この保持杆の他端は上記ベッドフレームに枢着されている。それによって、上記第1の脚床部18dを起上させると、その起上に第2の脚床部18eが連動し、上記保持杆によってほぼ水平な状態で保持されるようになっている。
【0022】
上記床板18の各床部18a〜18eの幅寸法は上記ベッドフレーム3の幅寸法よりも小さく設定されている。すなわち、図2に示すように各床部18a〜18eの幅寸法は、ベッドフレーム3の側部材7を除く部分の幅寸法とほぼ同じに設定されている。それによって、上記ベッドフレーム3の幅方向両側に長手方向の中央部に形成された一対の凹部8は、上記床板18によって覆い隠されることがない。つまり、凹部8は床板18からベッドフレーム3の上面側に露出している。
【0023】
そして、ベッドフレーム3のフレーム本体5の側面に取り付けられた上記固定部材11は、先端が床板18の固定床部18cの側端面から外方へ突出しない長さ寸法に設定されている。それによって、上記固定部材11に連結された支持部材13を、図4(a)に示すように起立させれば、この支持部材13は上記固定床部18cの側面から外方、つまり凹部8へ突出し、図4(b)に示すように倒伏させれば、上記固定床部18cの下面側に隠れ、この固定床部18cの端面から外方へ突出しないようになっている。
【0024】
上記ベッドフレーム3の幅方向一側又は両側には、図3に鎖線で示す側柵25が着脱可能に取り付けられる。この側柵25は長さ寸法が上記ベッドフレーム3の長さ寸法の約半分に形成された枠部材26を有し、この枠部材26の長手方向両端部及び中央部にはそれぞれ下方に向かって突出した脚部材27(図5に示す)が設けられている。3本の脚部材27は上記側部材7と支持部材13とに形成された第1、第2の支持孔9,12の図2に示す間隔L1、L2とほぼ同じに設定されている。
【0025】
上記脚部材27は図5に示すように枠部材26よりも小径で、第1、第2の支持孔9,12(第2の支持孔12だけを図示)とほぼ同径に形成されている。それによって、側柵27はベッドフレーム3の側部に上記脚部材27を上記各支持孔9,12に着脱可能に挿入して設けられる。
【0026】
側柵25に設けられた3本の脚部材27の間隔が第1、第2の支持孔9,13の間隔L1、L2と同じに設定されていることで、上記側柵25を図3に鎖線で示すヘッドボード16側の位置だけでなく、フットボード17側の位置或いはベッドフレーム3の長手方向中央部など必要に応じて取付け位置を変更することができるようになっている。
【0027】
上記床板18の上面には図1に示すようにマットレス29が載置される。このマットレス29は、上記床板18の固定床部18cを除く各床部18a,18b,18d,18eを起上させたときに、その起上に応じて屈曲可能な構成になっている。そして、このマットレス29上に利用者が仰臥することになる。
【0028】
このような構成のベッド装置によれば、ベッドフレーム3の幅方向の両側の、長手方向中央部分に凹部8を形成するとともに、この凹部8に対応する部分に側柵25の脚部材27を支持することができる第2の支持孔12が形成された支持部材13を倒伏可能に設けるようにした。
【0029】
そのため、ベッドフレーム3の側部に側柵25を支持する場合には、上記支持部材13を図4(a)に示すように起立させて固定床部13cの下面から凹部8に突出させ、この支持部材13に形成された第2の支持孔12及びベッドフレーム3の側部材7に形成された第1の支持孔9に上記側柵25の脚部材27を挿入する。それによって、側柵25をベッドフレーム3の側部に支持することができる。
【0030】
マットレス29上に仰臥した利用者を医師が診察したり、介護者が介護する場合には、ベッドフレーム3の側部に支持された側柵25を取り外した後、起立状態にある支持部材13を図4(b)に示すように倒伏させる。
【0031】
それによって、上記支持部材13は、固定床部18cの端面から外方に突出した状態から、固定床部18cの下面側に隠れるから、医師や介護者は身体を凹部8内に入れ、利用者に近付いて診察や介護を行なうことができる。
【0032】
すなわち、医師や介護者が利用者を診察したり、介護する際、側柵25を支持するために設けられた支持部材13が邪魔になることなく、身体を凹部8に位置させて利用者に近付くことができるから、医師や介護者は無理な姿勢をとることなく、診察や介護を容易に行なうことが可能となる。
【0033】
上記支持部材13が折り畳み可能に連結された固定部材11は、先端が固定床部18cの端面から外方へ突出しない長さに設定されている。そのため、支持部材13を折り畳んで医師や介護者が利用者に身体を近付けるときに、上記固定部材11が邪魔になるということもない。
【0034】
ベッドフレーム3の側部に設けられる第1の支持孔9と第2の支持孔12とを、ベッドフレーム3の長手方向に対して等間隔で設けるようにした。そのため、これら支持孔9,12と同じ間隔で複数の脚部材27が設けられた側柵25は、取付け位置を、ベッドフレーム3のヘッドボード16側、フットボード17側及び長手方向の中央部のいずれかに選択的に変更することができる。
【0035】
すなわち、背床部18aを起立させた場合には、上半身を起こした利用者が側方に倒れることがないよう、側柵25をヘッドボード16側に設けることができ、就寝時は掛け布団がずれ落ちることがないよう、長手方向の中央部やフットボード17側に設けるなどして上記側柵25の取付け位置を選択することが可能となる。
【0036】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、たとえば側柵には3本の脚部材を設け、これら脚部材を3つの支持孔に係合させて上記側柵をベッドフレームの側部に取り付けるようにしたが、側柵に設けられる脚部材の数は限定されるものでなく、たとえば2本であってもよい。
【0037】
側柵に設けられる脚部材の数を2本とし、側柵の幅寸法はベッドフレームの長さ寸法の約半分とすれば、ベッドフレームの一側に2つの側柵を一列に設けることができる。
また、側柵の長さ寸法はベッドフレームの長さ寸法の半分以下であってもよく、たとえば3分の1程度にすれば、ベッドフレームの一側に2つの側柵を一列に設けた場合に、側柵が設けられていない部分を形成シ、その部分から利用者がマットレスに乗り降りすることができる。
【0038】
また、ベッド装置として上記一実施の形態では床板を複数の床部に分割し、これらの床部を起伏駆動できる、いわゆる背上げ式ベッド装置を例に挙げて説明したが、ベッド装置は背上げ式に限定されず、床板を起伏させることができないベッド装置であっても、差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の一実施の形態を示すベッド装置の斜視図。
【図2】床板上からマットレスを除去するとともに、床板を破断したベッド装置の平面図。
【図3】ベッド装置の側面図。
【図4】(a)は支持部材を起立させたときのベッドフレームの凹部を示す斜視図、(b)は支持部材を倒伏させたときの凹部を示す斜視図。
【図5】ベッドフレームの一側に設けられた固定部材及び支持部材を示す側面図。
【符号の説明】
【0040】
3…ベッドフレーム、8…凹部、9…第1の支持孔、12…第2の支持孔、13…支持部材、18…床板、18a〜18e…床部、25…側柵。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の少なくとも一側部に複数の支持孔が形成されたベッドフレームと、
このベッドフレームの幅方向の少なくとも一側部に幅方向の内方に凹んで形成された凹部と、
このベッドフレームの幅寸法よりも小さな幅寸法に形成され上記ベッドフレームの上面に上記凹部を露出させて設けられる床板と、
上記ベッドフレームの上記凹部が形成された部分に上記凹部に突出した起立状態と上記ベッドフレームの幅方向内方へ折り畳んだ倒伏状態とに回動可能に設けられるとともに先端部に第2の支持孔が形成された支持部材と、
上記支持部材を起立させた状態において上記ベッドフレームの第1の支持孔と上記支持部材の第2の支持孔のうちの複数の支持孔に脚部を着脱可能に係合させて取り付けられる側柵と
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記凹部には上記ベッドフレームに一端が固定された固定部材が設けられ、この固定部材の他端に上記支持部材が回動可能に連結されていて、上記固定部材は先端が上記床板の幅方向の端面とほぼ同じ位置或いは幅方向内方に位置する長さ寸法であることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−159855(P2007−159855A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360814(P2005−360814)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年11月9日から11日 社団法人日本能率協会主催の「HOSPEX Japan 2005」に出品
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)