説明

ベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材

【課題】 ガイド部材の脚部をコンベヤの本体フレーム側面に配設される側板等の位置にも自在に取り付け可能とすることにより、ガイド部材の種類を極力減らしてコストダウンを図れるようにしたベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材を提供する。
【解決手段】 ガイド部材9は、ベルト搬送面5aに沿わせて立設するガイド板10と、このガイド板10をコンベヤ1の本体フレーム2に支持する脚部11とから成り、脚部11の下端部には本体フレームの鋼管6の上端面に載置して係止させる凹部12を形成する一方、前記鋼管6の下部側にボルト先端部13aを臨ませるように固定用ボルト13を備える。そして、固定用ボルト13の締め付け操作時には、鋼管6の下部側に当接したボルト先端部13aが鋼管6を上方へ押圧し、前記凹部12とで鋼管6を挟持して脚部11を強固に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂や粉体材料等の各種搬送物を連続的に搬送するベルトコンベヤのベルト搬送面両側に備える搬送物落下防止用のガイド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤは、例えば、特許文献1、2に示すように、主に鋼管等から構成される本体フレームの一端に駆動用のモータプーリ等のヘッドプーリを、他端にテールプーリをそれぞれ回転自在に備えると共に、これらヘッドプーリとテールプーリ間に無端状のベルトを走行自在に巻回して成り、該ベルトを所定速度で走行させることにより、ベルト搬送面に供給される土砂や粉体材料等の各種搬送物を連続的に搬送可能としている。
【0003】
また、上記ベルトコンベヤでは、土砂や粉体材料等の搬送物がベルト搬送面の側方から溢れて落下するのを防止するため、図7に示すように、ベルト105の搬送面105aの両側にスカートなどと呼ばれる搬送物落下防止用のガイド部材109を備える場合がある。前記ガイド部材109は、ベルト搬送面105aに沿わせて立設する適宜高さのガイド板110と、該ガイド板110をコンベヤ101の本体フレーム102に支持する脚部111とから成り、該脚部111と本体フレーム102を構成する鋼管106とを、例えば、Uボルト120やホースバンド等を用いて鋼管106外周を抱持させるように締結して固定している。また、ガイド板110の下端部にはベルト搬送面105aとの隙間を塞ぐゴム板115を備えており、押さえ金具116にて固定している。
【0004】
ところで、ベルトコンベヤ101の本体フレーム102側面には、本体フレーム102の上下の鋼管106同士を連結する側板108やフレーム連結用のジョイント金具等が適宜間隔にて多数配設されており、このような側板108等が配設されている位置では、本体フレーム102の鋼管106外周を抱持させるようにして締結を行う上記Uボルト120やホースバンド等は側板108と干渉して使用することができないため、例えば、ガイド板110に対して脚部111の位置をコンベヤの前後方向に若干ずらしたガイド部材109を何種類か用意しておき、その中から脚部111位置が側板108位置と重ならないものを選定して取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−109008号公報
【特許文献2】実開平7−15626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ベルトコンベヤの本体フレーム側面に配設される側板やジョイント金具等の配置はコンベヤの機種や機長等によってそれぞれ異なるため、各種コンベヤに対してガイド部材を支障なく取り付けられるようにするためには、脚部位置を少しずつずらした非常に多種類のガイド部材を用意する必要があり、コストアップに繋がるだけでなく、取り付けミスや誤送等の原因にもなり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、ガイド部材の脚部をコンベヤの本体フレーム側面に配設される側板等の位置にも自在に取り付け可能とすることにより、ガイド部材の種類を極力減らしてコストダウンを図れるようにしたベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材では、ベルトコンベヤのベルト搬送面両側に備える搬送物落下防止用のガイド部材であって、該ガイド部材は、ベルト搬送面に沿わせて立設する所定高さのガイド板と、該ガイド板をコンベヤの本体フレームに支持する脚部とから成り、該脚部の下端部には本体フレームを構成する鋼管の上端面に載置して係止させる凹部を形成する一方、前記鋼管の下部側にボルト先端部を臨ませるように固定用ボルトを備え、該固定用ボルトの締め付け操作時には鋼管の下部側に当接したボルト先端部が鋼管を上方へ押圧することによって前記凹部とで鋼管を挟持して脚部を固定するように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材によれば、ベルトコンベヤのベルト搬送面両側に備える搬送物落下防止用のガイド部材であって、該ガイド部材は、ベルト搬送面に沿わせて立設する所定高さのガイド板と、該ガイド板をコンベヤの本体フレームに支持する脚部とから成り、該脚部の下端部には本体フレームを構成する鋼管の上端面に載置して係止させる凹部を形成する一方、前記鋼管の下部側にボルト先端部を臨ませるように固定用ボルトを備え、該固定用ボルトの締め付け操作時には鋼管の下部側に当接したボルト先端部が鋼管を上方へ押圧することによって前記凹部とで鋼管を挟持して脚部を固定するように構成したので、ガイド部材の脚部を本体フレームの側板位置にも自在に取り付け可能となり、それによってガイド部材の種類を減らせてコストダウンが図れると共に、取り付けミスや誤送等の低減も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材を採用したベルトコンベヤの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の一部を省略したA−A断面拡大図である。
【図3】ガイド部材の正面図である。
【図4】図3のB−B断面拡大図である。
【図5】別の実施例を示す図4に相当する図である。
【図6】更に別の実施例を示す図4に相当する図である。
【図7】従来例を示す図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材9にあっては、図2に示すように、コンベヤ1のベルト5の搬送面5aに沿わせて立設するガイド板10と、該ガイド板10をコンベヤ1の本体フレーム2に支持する脚部11とから成り、該脚部11の下端部には本体フレーム2の鋼管6の上端面に載置させて係止可能な凹部12を形成している一方、前記鋼管6の下部側に側方よりボルト先端部13aを臨ませるように固定用ボルト13を備えている。そして、図4に示すように、前記固定用ボルト13を鋼管6側(図4中の矢印A方向)へ締め付け操作したときには、鋼管6の下部側に当接したボルト先端部13aが鋼管6を上方(図4中の矢印B方向)へ押圧することにより、前記凹部12とで鋼管6を挟持して脚部11を固定するように構成している。
【0012】
このように構成したことにより、ガイド部材9の脚部11をコンベヤ1の本体フレーム2の鋼管6に固定するときに、Uボルトやホースバンド等のように鋼管6の外周を抱持させることなく本体フレーム2に配設される側板8等の位置にも自在に取り付け可能となり、それによって従来のように側板等の位置が異なるコンベヤの機種毎に脚部位置の異なるガイド部材をそれぞれ用意するといった必要がなくなり、ガイド部材の種類を大幅に減らせてコストダウンが図れると共に、種類の多さから生じる取り付けミスや誤送等の低減も期待できる。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
【0014】
図中の1は主に鋼管6等から構成される本体フレーム2の一端に駆動用のモータプーリ等のヘッドプーリ3を、他端にテールプーリ4をそれぞれ回転自在に軸支すると共に、これらヘッドプーリ3とテールプーリ4間に無端状のベルト5を走行自在に巻回して成るベルトコンベヤであって、前記ベルト5を所定速度で走行させることにより、ベルト搬送面5aに供給される土砂や粉体材料等の各種搬送物を連続的に搬送可能としている。
【0015】
なお、本実施例では、本体フレーム2を、ヘッドプーリ3を備えたヘッドフレーム2a、テールプーリ4を備えたテールフレーム2c間に、適宜長さの中間フレーム2bを介在させ、それぞれをフレーム連結用のジョイント金具7にて連結して構成しており、中間フレーム2bの長さを調整することでコンベヤ1の機長を用途に応じたものに容易に調節可能としたユニット式のものを採用している。また、各フレーム2a、2b、2cの側面には、フレームを構成する上下鋼管6同士を連結する側板8を適宜間隔にて多数配設している。
【0016】
9はベルト搬送面5aの側方から搬送物が溢れて落下するのを防止する搬送物落下防止用のガイド部材であって、ベルト搬送面5aの両側にそれぞれ沿わせて立設する、搬送物の種類や性状等に合わせて適宜高さに形成した略L字形状のガイド板10と、該ガイド板10を本体フレーム2に支持する、二枚の板体11a、11bを断面略T字状に接合して成る脚部11とから成り、該脚部11の板体11bの下端部には本体フレーム2の鋼管6の上端面に載置させて係止可能な略円弧状の凹部12を形成している一方、板体11aの下端部には前記鋼管6の下部側に側方よりボルト先端部13aを臨ませるように固定用ボルト13を備えている。
【0017】
14は前記板体11b下端部に形成した凹部12の先端側に垂下させるようにして形成した掛止片であって、前記固定用ボルト13によって鋼管6を押圧した際に、その力を逃がさずにしっかりと受け止められるように図っている。また、15は前記ガイド板10の下端部とベルト搬送面5aとの隙間を塞ぐゴム板であって、ガイド板10の裏面側に備えた押さえ金具16により前記ゴム板15の上端部を押さえ付けて固定するようにしている。
【0018】
そして、上記搬送物落下防止用のガイド部材9をコンベヤ1の本体フレーム2に固定して支持させるときには、ガイド部材9の脚部11の板体11b下端部に形成した凹部12を本体フレーム2の鋼管6の上端面に載置して係止させた後、固定用ボルト13を鋼管6側(図4中の矢印A方向)へ締め付け操作すると、ボルト先端部13aが鋼管6の下端部に当接して鋼管6を上方(図4中の矢印B方向)へ押圧し、これによって前記凹部12及び掛止片14とで鋼管6を挟持して脚部11を強固に固定する。
【0019】
このように、ガイド部材9の脚部11をコンベヤ1の本体フレーム2の鋼管6に固定するときに、Uボルトやホースバンド等のように鋼管6の外周を抱持させることなく本体フレーム2の側板8やジョイント金具7等の位置にも自在に取り付けられ、それによって側板8やジョイント金具7等の配置が異なる各種コンベヤに対して比較的少ない種類のガイド部材でも十分に対応可能となってコストダウンが図れると共に、取り付けミスや誤送等の低減も期待できる。
【実施例2】
【0020】
図5は本発明の別の実施例を説明する図であって、前記実施例1の図4に相当する図であり、この実施例2では、ガイド部材9の脚部11の板体11b下端部に形成する凹部12を、実施例1のような略円弧状とはせずに、略L字形状としている。
【0021】
そして、このガイド部材9をコンベヤ1の本体フレーム2に固定するときには、実施例1のガイド部材を固定する場合と同様に、脚部11下端部の凹部12を本体フレーム2の鋼管6の上端面に載置して係止させた後、固定用ボルト13を鋼管6側(図5中の矢印A方向)へ締め付け操作すると、ボルト先端部13aが鋼管6を上方(図4中の矢印B方向)へと押圧し、これによって前記凹部12及び掛止片14とで鋼管6を挟持して脚部11を強固に固定する。このとき、鋼管6はボルト先端部13aと、略L字形状の凹部12を形成する水平縁部、及び掛止片14の垂直縁部の三点にて固定支持されることになり、より強固に固定できて好適である。
【実施例3】
【0022】
図6は本発明の更に別の実施例を説明する図であって、前記実施例1の図4に相当する図であり、この実施例3では、ガイド部材9の脚部11の板体11b下端部に形成する凹部12を、実施例1と同様の略円弧状とする一方、この凹部12の先端側には実施例1の掛止片に相当する部位は有しておらず、例えば、コンベヤの鋼管6の内方側(ベルト側)に何らかの部材等が存在して掛止片がそれと干渉するおそれがある場合にこの実施例3のガイド部材9を好適に採用することができる。
【0023】
そして、このガイド部材9をコンベヤ1の本体フレーム2に固定するときには、実施例1、2のガイド部材を固定する場合と同様に、脚部11下端部の凹部12を本体フレーム2の鋼管6の上端面に載置して係止させた後、固定用ボルト13を鋼管6側(図5中の矢印A方向)へ締め付け操作すると、ボルト先端部13aが鋼管6を上方(図4中の矢印B方向)へと押圧し、これによって前記凹部12とで鋼管6を挟持して脚部11を固定する。このとき、凹部12先端側には実施例1のような掛止片が存在しないため、ボルト先端部13aにて鋼管6を押圧した力を受け止める支持力は若干弱まるものの、脚部11を鋼管6に固定支持する分には特に影響はない。
【符号の説明】
【0024】
1…ベルトコンベヤ 2…本体フレーム
5…ベルト 5a…搬送面(ベルト)
6…鋼管(本体フレーム) 7…ジョイント金具
8…側板 9…ガイド部材
10…ガイド板 11…脚部
12…凹部 13…固定用ボルト
13a…ボルト先端部(固定用ボルト)
14…掛止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤのベルト搬送面両側に備える搬送物落下防止用のガイド部材であって、該ガイド部材は、ベルト搬送面に沿わせて立設する所定高さのガイド板と、該ガイド板をコンベヤの本体フレームに支持する脚部とから成り、該脚部の下端部には本体フレームを構成する鋼管の上端面に載置して係止させる凹部を形成する一方、前記鋼管の下部側にボルト先端部を臨ませるように固定用ボルトを備え、該固定用ボルトの締め付け操作時には鋼管の下部側に当接したボルト先端部が鋼管を上方へ押圧することによって前記凹部とで鋼管を挟持して脚部を固定するように構成したことを特徴とするベルトコンベヤの搬送物落下防止用ガイド部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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