説明

ベルト洗浄装置

【課題】非洗浄時にはベルトを損傷させず、洗浄時にはベルトに付着した汚れを確実に取るベルト洗浄装置を提供する。
【解決手段】ホイール226は、略水平方向に延びるベルト103に対し上方に位置し、ベルト103の搬送方向A1に離間して複数配置される。ホイール226は、ベルト103から離反した位置から下降し、ベルト103を押し下げる。複数のホイール226の間には、軸部227が位置する。軸部227は、ホイール226とともに上下移動する。ブラシ204は、軸部227の軸回り方向に旋回自在となっている。ボルト222は、ホイール226が下降したときに、ブラシ204をベルト103に接しさせる。アーム押上部209は、ホイール226が上昇したときに、ブラシ204をベルト103から離反させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシを備え、このブラシでベルトコンベア装置のベルトを洗浄するベルト洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベア装置に備わるベルトは、長期に渡って使用されると汚れてくる。ベルトに付着した汚れは、ベルトに載置された搬送物に付着したり、装置の搬送能力を低下させたりする。搬送物が食品である場合には、この汚れが特に問題となる。
【0003】
特許文献1の図1には、鉄鉱石、石炭、岩石その他粉粒体を搬送するベルトコンベアのリターン側ベルトに付着する粉粒体を洗浄によって除去するベルトコンベアの洗浄装置が示されている。特許文献1には、スクレバー式、ブラシ式或いは叩きローラ式等のベルトクリーナ1をベルトコンベア2のリターン側ベルトに押し当てて粉粒体を掻き取ること、ヘッダー4に設けられたベルト水洗ノズル3より洗浄水を吹付けてベルトを洗浄して粉粒体を除去すること、及び、洗浄水が受皿5に受けられて集水槽(図示しない)に回収され浄化剤の添加により浄化処理されることが記載されている。特許文献1の図1には、水切りロ−ラ6も示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4302245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ベルトクリーナ1をベルトに押し当てて粉粒体を掻き取ることが示されている。しかしながら、汚れがベルトに強固に付着して、掻きとるだけでは充分に落ちない場合がある。
【0006】
また、特許文献1には、ベルトクリーナ1がベルトに押し当てることが示されているものの、ベルトクリーナ1がベルトから離反する旨の記載が無い。ベルトがベルトクリーナ1(スクレバー、ブラシ等)に押し当てられたままでは、ベルトが傷みやすい上に、ベルトを取り外したり再び装着したりする際に手間を要する。
【0007】
本発明の目的は、非洗浄時にはベルトを損傷させず、洗浄時にはベルトに付着した汚れを確実に取るベルト洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のベルト洗浄装置は、略水平方向に延びるベルトに対し上方に位置し、前記ベルトの長さ方向に離間して配置され、前記ベルトから離反した位置とこの位置よりも下方で前記ベルトを押し下げる位置との間で移動する複数の押下部と、前記複数の押下部の間に位置し、前記押下部とともに上下移動する軸部と、前記軸部の軸回り方向に旋回自在のブラシと、前記押下部が下降したときに前記ブラシを前記ベルトに接しさせる近接部と、前記押下部が上昇したときに前記ブラシを前記ベルトから離反させる離反部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブラシは、非洗浄時では離反部によりベルトに接触せず、洗浄時では近接部によりベルトに接触する。であり、したがって、非洗浄時にはベルトを損傷させず、洗浄時にはベルトに付着した汚れを確実に取るベルト洗浄装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ベルトコンベア装置の模式図である。
【図2】スパイラル部に位置するベルトの平面図である。
【図3】ベルトを搬送方向の上流側から見た図である。
【図4】可動部によりベルトが押し下げられていない状態でのベルト洗浄装置の正面図である。
【図5】ベルト洗浄装置の平面図である。
【図6】図4のC−C線断面図である。
【図7】図4のD−D線断面図である。
【図8】可動部によりベルトが押し下げられた状態でのベルト洗浄装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の一形態を、図1ないし図8に基づいて説明する。図1は、ベルトコンベア装置101の模式図である。なお、図1では、ベルト103の一部が省略されている。また、図1では、ベルト洗浄装置201及びベルト乾燥装置301を概略的に示している。ベルトコンベア装置101は、複数のホイール102と、無端のベルト103と、第1駆動部104と、第2駆動部105とを有する。ベルト103は、第1駆動部104と第2駆動部105とにより、図1中に符号A1で示す方向(以下、搬送方向A1と呼ぶ)に循環する。
【0012】
ベルト103は、ベルトコンベア装置101の中央で、仮想的な円柱Pの周回りに沿うように上方から下方へ向かうスパイラル状に巻回されるスパイラル部106を形成する。
【0013】
第1駆動部104は、スパイラル部106の外周に沿うように配置される。第1駆動部104は、上下方向に延びる軸部104Aを有する。軸部104Aの下方には、軸部104Aをそれ自身の軸回り方向に回転する第1モータ104Bが設けられる。軸部104Aの外周には、複数の歯車104Cが、軸部104Aの長さ方向に並んで配置される。各歯車104Cは、スパイラル部106の外周部分でベルト103の端部に噛み合う。第1モータ104Bが駆動して軸部104Aが回転すると、歯車104Cがベルト103を搬送方向A1へ押し出す。
【0014】
第2駆動部105は、一のホイール102に取付けられるモータである。第2駆動部105が取付けられたホイール102を、駆動ホイール102Aと呼ぶ。駆動ホイール102Aは、第2駆動部105の駆動により回転し、ベルト103を搬送方向A1に走行させる。第2駆動部105の出力は、第1駆動部104によるスパイラル部106でのベルト103の送り出し速さと第2駆動部105による駆動ホイール102Aでのベルト103の送り出し速さとが同じになるよう、インバータ(図示せず)により調節される。
【0015】
ベルト103におけるスパイラル部106よりも搬送方向A1の上流側には、第1渡りコンベア装置151が配置される。ここで、ベルト103のうち第1渡りコンベア装置151からスパイラル部106までの部分を、ベルト上流部107と呼ぶ。第1渡りコンベア装置151は、ベルトコンベア装置101とは異なる第2ベルトコンベア装置152上の搬送物としてのパンBを、ベルト103に受け渡す。
【0016】
ベルト103におけるスパイラル部106よりも搬送方向A1の下流側には、第2渡りコンベア装置153が配置される。ここで、ベルト103のうちスパイラル部106から第2ベルトコンベア装置152までの部分を、ベルト下流部108と呼ぶ。第2渡りコンベア装置153は、スパイラル部106を経たベルト103上のパンBを、ベルトコンベア装置101とは異なる第3ベルトコンベア装置154に受け渡す。
【0017】
ベルトコンベア装置101では、パンBが、第2ベルトコンベア装置152により搬送されてベルト103に載置され、ベルト上流部107、スパイラル部106、ベルト下流部108を経て第3ベルトコンベア装置154まで運ばれる。ベルトコンベア装置101を用いると、パンBを冷却するための時間を充分に確保できる。なお、ベルトコンベア装置101は、パンBを冷却する用途以外にも、工場内でパンBを滞留させる用途で用いることができる。なお、当然のことながら、搬送物は、パンBに限られることはない。例えば、ベルトコンベア装置101は、パン生地を搬送することもできる。
【0018】
ベルトコンベア装置101において、ベルト103のうち第2渡りコンベア装置153から搬送方向A1に向かって第1渡りコンベア装置151に至るまでの部分を、復帰部109と呼ぶ。復帰部109は、復帰始部110と、水平部111と、上昇部112と、調整部113とを含む。復帰始部110は、第2渡りコンベア装置153によりパンBが離反した箇所から下方に移動し、可動ホイール102Cを経由して上昇するベルト103の一部分である。水平部111は、復帰始部110の進行方向先端からホイール102によって進行方向を変更され略水平に走行するベルト103の一部分である。上昇部112は、水平部111での進行方向先端からホイール102によって進行方向を変更され上昇するベルト103の一部分である。調整部113は、上昇部112の上端から第1渡りコンベア装置151によりパンBが載置される箇所までのベルト103の一部分である。調整部113でベルト103に掛け渡されるホイール102には、駆動ホイール102Aと、可動ホイール102Bとが含まれる。可動ホイール102Bは、所定の可動範囲内で上下移動自在である。可動ホイール102Bには、弾性体(図示せず)に連結されている。弾性体は、ベルト103を引っ張り、ベルト103の張力を維持する。復帰始部110でベルト103に掛け渡される可動ホイール102Cは、可動ホイール102Bと同じ構成を有し、所定の可動範囲内で上下移動自在で、可動ホイール102Cに取付けられた弾性体によりベルト103の張力を維持する。第1渡りコンベア装置151の近傍には、調整部113に位置するベルト103の緩みを検知するための第1センサ501が配置される。
【0019】
水平部111に対して、ベルト103を洗浄するベルト洗浄装置201と、洗浄されたベルト103を乾燥するベルト乾燥装置301とが配置される。ベルト洗浄装置201は、ベルト乾燥装置301よりも搬送方向A1の上流側(第2渡りコンベア装置153側)に配置される。
【0020】
ベルト洗浄装置201は、フレーム部201A(図1では図示せず、図4及び図5参照)と、洗浄槽部202と、可動部203とを有する。洗浄槽部202は、床面Fに載置され、この床面Fの上を移動自在で、ベルト洗浄装置201に形成された洗浄槽配置部201Bに位置付けられる。可動部203は、洗浄槽部202の上方に位置し、スイッチ部217A(図4及び図5参照)での操作に応じて上下方向に動く。可動部203には、ベルト103における水平部111の一部が通されている。スイッチ部217Aを操作して可動部203を下降させると、ベルト103は洗浄槽部202内に押し込まれる。この状態でベルト103が搬送方向A1に走行すると、可動部203に設けられるブラシ204(図4及び図5参照)が回転してベルト103が洗浄される。洗浄後、スイッチ部217Aを操作して可動部203を上昇させると、ベルト103における水平部111の全体が、それ自身の張力によって略水平に延びた状態に戻る。
【0021】
ベルト乾燥装置301は、ベルト洗浄装置201によって洗浄され搬送方向A1に移動したベルト103を乾燥する。水平部111において、ベルト乾燥装置301よりも搬送方向A1の下流側かつ第1モータ104Bの近傍には、ベルト103が断裂していないかを検知するための第2センサ502が配置される。
【0022】
図2は、スパイラル部106に位置するベルト103の平面図である。図3は、ベルト103を搬送方向A1の上流側から見た図である。ベルト103は、複数のシャフト103Aにより構成される。各シャフト103Aは、略水平且つ搬送方向A1に対し直交する方向に延び、搬送方向A1に並ぶ。シャフト103Aは二本で一つの組103Bをなす。この組103Bの両端部には、樹脂で形成されたリンク部材103Cが取付けられる。
【0023】
リンク部材103Cは、突部103Dと、孔部103Eと、シャフト保持部103Fと、歯車受部103Gと、レール受部103Hとを有する。突部103Dは、搬送方向A1の下流側に突出する。孔部103Eには、搬送方向A1の上流側に位置する別のリンク部材103Cの突部103Dが入り込む。シャフト保持部103Fは、搬送方向A1に並んだ二本のシャフト103Aの端部を保持し、これら二本シャフト103Aの間隔を維持する。歯車受部103Gは、突部103Dに対してシャフト103Aとは反対側に突出し、平面視にて略三角形状に見える。歯車受部103Gにおける搬送方向A1の上流側面103Gaも下流側面103Gbも、略上下方向に延びている。上流側面103Gaは、回転する歯車104Cに当接されて、搬送方向A1に押し出される。下流側面103Gbは、回転する歯車104Cの歯部104Caが入り込みやすいよう、搬送方向A1の上流側に向かうにつれてベルト103の外側に向かって傾斜する。レール受部103Hは、歯車受部103Gから下方に延び、搬送方向A1に沿って延びるレール103Pに係合する。リンク部材103Cは、シャフト103Aの組103Bのそれぞれの両端部に、左右対称に設けられる。なお、レール103Pは、ベルト103が図1に示した経路で移動できるよう、ベルトコンベア装置101に予め配置される。また、二つのレール103P同士は、パイプ103Qによって連結され、ベルト103の経路全体で一定間隔を保って離間している。
【0024】
歯車104Cが回転すると、リンク部材103Cは歯部104Caに押されて搬送方向A1の下流側に動く。このとき、レール103Pが直線状に延びる箇所では、歯車104Cに押されたリンク部材103Cの突部103Dが、このリンク部材103Cの搬送方向A1の下流側に位置する別のリンク部材103Cの孔部103Eの途中まで入り込み、この別のリンク部材103Cを下流側に進ませる。また、レール103Pが円弧状に延びる箇所では、歯車104Cに押されていないリンク部材103Cの突部103Dが、このリンク部材103Cの搬送方向A1の下流側に位置する別のリンク部材103Cの孔部103Eの最深部まで入り込み、この別のリンク部材103Cを下流側に進ませる。突部103Dが孔部103Eの最深部まで入り込むのは、レール103Pの円弧形状内側でのシャフト103A同士の間隔が、レール103Pの円弧形状外側でのシャフト103A同士の間隔よりも狭くなり、突部103Dが孔部103Eに対して僅かに傾斜して入り込み、ベルト103が撓んで孔部103Eが広がるからである。
【0025】
図4は、可動部203によりベルト103が押し下げられていない状態でのベルト洗浄装置201の正面図である。図5は、ベルト洗浄装置201の平面図である。図5では、洗浄槽部202を二点鎖線で示している。洗浄槽部202、フレーム部201A及び可動部203のそれぞれの詳細を、以下に説明する。
【0026】
[洗浄槽部]洗浄槽部202は、搬送方向A1に長く、略直方体形状をなす。洗浄槽部202内には、洗浄液が貯留される。洗浄槽部202の底部には、洗浄液を排出するためのドレン205が設けられる。洗浄槽部202の側面には、オーバーフロー孔206が設けられる。オーバーフロー孔206が設けられることにより、可動部203が下降しても洗浄液が洗浄槽部202の上端から溢れ出ない。洗浄槽部202の底面下側には、キャスタ207が設けられる。洗浄槽部202の側面からは、把手208が突出する。作業者は、把手208を持って搬送方向A1とは直交する方向に洗浄槽部202を動かし、洗浄槽部202を洗浄槽配置部201B(後述)に位置付けたり洗浄槽配置部201Bから離反させたりできる。洗浄槽部202内には、近接部としてのアーム押上部209が設けられる。アーム押上部209は、可動部203に設けられ、可動部203が下降したときにアーム204A(後述)を押し上げ、ブラシ204をベルト103に接しさせる。
【0027】
[フレーム部]フレーム部201Aは、二つの上下フレーム部211と、二つの水平フレーム部212とを有する。
【0028】
二つの上下フレーム部211は、搬送方向A1に並んでいて、洗浄槽部202が配置される洗浄槽配置部201Bを規定する。それぞれの上下フレーム部211には、キャスタ213と、回動フック214とが設けられる。キャスタ213は、洗浄槽部202における搬送方向A1の下流側面と上流側面とのそれぞれに対面する。キャスタ213は、搬送方向A1とは直交する方向に動かされる洗浄槽部202の位置決めと、洗浄槽部202の上下フレーム部211への衝突回避とを行う。回動フック214は、洗浄槽部202における搬送方向A1の下流側面と上流側面に設けられるフック受部208Aに係合し、洗浄槽部202の位置を固定する。
【0029】
図6は、図4のC−C線断面図である。二つの水平フレーム部212はそれぞれ、二つの上下フレーム部211の間に掛け渡され、平面視においてベルト103の両側部に沿うように搬送方向A1に延びる。二つの水平フレーム部212の間には、ホイール102が取り付けられたシャフト215が掛け渡される。シャフト215は、ベアリング215Aを介して、それ自身の軸回り方向に回転自在である。ホイール102の上面には、ベルト103が載置される。このとき、レール受部103Hは上方に向き、レール103Pと係合しない。
【0030】
再び、図4及び図5を参照する。水平フレーム部212において、二本のシャフト215は、搬送方向A1の上流側と下流側とに離間して配置される。また、上下フレーム部211には、レール216が取付けられる。レール216は、リンク部材103Cのレール受部103Hと係合するレール103P(図2及び図3参照)とは異なる形状を有し、レール受部103Hと係合しない。レール216は、上流側に位置するシャフト215よりも搬送方向A1の上流側の部分、及び、下流側に位置するシャフト215よりも搬送方向A1の下流側の部分に位置し、水平フレーム部212と平行に延び、水平部111に位置するベルト103のリンク部材103Cのレール受部103Hとは反対側の面を載置する。
【0031】
図7は、図4のD−D線断面図である。図4、図5及び図7を参照する。図7では、ブラシユニット224、シャフト225、ホイール226、ガイド部223A、第1検出用突起223B(図5参照)、第2検出用突起223C、上下移動検出用センサ212B及び上下オーバーラン検出用センサ212C、並びに、アングル部材212D及びボルト222は省略されている。把手208とは反対側に位置する一方の水平フレーム部212には、第2モータ217が取付けられる。第2モータ217は、上下フレーム部211に設けられたスイッチ部217Aに対する操作に応じて駆動し、駆動シャフト218をその軸回り方向に回転させたり、その回転を停止させたりする。駆動シャフト218は、シャフト215と平行に延び、二つの水平フレーム部212のそれぞれの上方に突出する軸受部219に保持され、二つの水平フレーム部212の上方でこれらの間に掛け渡されるように配置される。
【0032】
駆動シャフト218には、二つのピニオンギア220が固定的に取り付けられる。二つのピニオンギア220は、いずれも、平面視において、二つの水平フレーム部212の内側に位置する。また、二つのピニオンギア220は、それぞれ、平面視において、二つの水平フレーム部212のそれぞれの近傍に位置する。ピニオンギア220は、第2モータ217の駆動によって回転する。ピニオンギア220は、可動部203に設けられるラックギア221(後述)に噛み合っている。
【0033】
二つの水平フレーム部212の間には、アングル部材212Dが掛け渡されている。このアングル部材212Dからは、離反部としてのボルト222が、二本、下方に突出する。これらのボルト222は、アーム204Aの上方に位置する。ボルト222は、可動部203が上昇するときにアーム204Aに設けられるボルト受部204Bに当接され、アーム204Aを下方に押し下げてブラシ204をベルトから離反させる。
【0034】
[可動部]可動部203は、平面視においてフレーム部201Aの上下フレーム部211及び水平フレーム部212の内側に位置する。可動部203は、二枚の枠板223と、ブラシユニット224と、二本のシャフト225とを有する。
【0035】
二枚の枠板223は、それぞれ水平フレーム部212と平行に向き、水平フレーム部212の近傍に位置し、ベルト103の幅よりも長い距離だけ離間している。枠板223における搬送方向A1での略中央の箇所には、案内溝224Aが設けられる。案内溝224Aは、枠板223の上端から下方に延びる。案内溝224Aは、枠板223の下端まで貫通せず、下方に溝底部224Bを形成する。駆動シャフト218は、案内溝224Aに入り込んでいる。また、枠板223からは、ガイド部223Aが、ベルト103の幅方向外側に向けて突出する。ガイド部223Aは、水平フレーム部212に設けられた上下レール212Aに係合して上下方向にスライド自在となっており、可動部203が上下移動する際にこの上下レール212Aに沿って案内される。これにより、可動部203は横方向に動き出すこと無く、上下方向に動くことができる。
【0036】
第2モータ217に近い一方の枠板223からは、第1検出用突起223Bと第2検出用突起223Cとが延出する。第1検出用突起223Bは、第2モータ217に近い一方の水平フレーム部212に設けられた上下移動検出用センサ212Bにセンシングされ、可動部203の高さ位置の検出に用いられる。第2検出用突起223Cは、第2モータ217に近い一方の水平フレーム部212に設けられた上下オーバーラン検出用センサ212Cにセンシングされ、可動部203の予め定められた高さ範囲内にあるか否かの判定に用いられる。
【0037】
ブラシユニット224は、軸部227と、二本のアーム204Aと、二つのブラシ204とを有する。軸部227は、二枚の枠板223のそれぞれにおいて溝底部224Bよりも下方からベルト103に略平行且つ搬送方向A1に直交する方向に延び、二枚の枠板223の間に掛け渡され、可動部203とともに上昇下降する。二本のアーム204Aは、それぞれ、それ自身の略中央の箇所でベアリング228を介して軸部227に取付けられ、軸部227から延びて軸部227の軸回り方向に回動自在となっている。二つのアーム204Aは、軸部227の長さ方向に離間している。二本のブラシ204の一方(第1ブラシ204C)は、ベルト103に対し上方に位置する。二本のブラシ204の他方(第2ブラシ204D)は、ベルト103に対し下方に位置する。第1ブラシ204Cと第2ブラシ204Dとのいずれも、シャフト204Eと、このシャフト204Eの外周に配置されるブラシ体204Fとを有する。第1ブラシ204Cのシャフト204Eは、二つのアーム204Aの搬送方向A1の下流側端部の間に掛け渡される。第2ブラシ204Dのシャフト204Eは、二つのアーム204Aの搬送方向A1の上流側端部の間に掛け渡される。第1ブラシ204Cと第2ブラシ204Dとのいずれにおいても、シャフト204Eは、ベアリング229を介してアーム204Aに取付けられ、シャフト204E自身の軸回り方向に回転自在となっている。これにより、ブラシ204(第1ブラシ204C、第2ブラシ204D)は、軸部227の軸回り方向に旋回自在となる。
【0038】
ブラシユニット224において、アーム204Aにおける第2ブラシ204D側の部分の上面には、ボルト受部204Bが設けられる。可動部203が上昇する場合、ボルト受部204Bは、ボルト222に押されて下降し、第2ブラシ204Dが第1ブラシ204Cよりも下方に位置することになる。
【0039】
二本のシャフト225は、それぞれ、二つの枠板223の間に掛け渡され、ベアリング225Aを介して枠板223に取付けられ、それ自身の軸回り方向に回転自在である。二本のシャフト225は、平面視においてブラシユニット224を挟むように、搬送方向A1の上流側と下流側とに離間して配置される。シャフト225の外周には、押下部としてのホイール226が設けられる。ホイール226は、ベルト103に対して上方に位置し、可動部203の上昇下降に伴って、その下面でベルト103に接触してベルト103を押し下げたり、ベルト103から離反したりする。なお、ホイール226がベルト103から離反しているような可動部203の位置を、離反位置P1と呼ぶ。また、ホイール226がベルト103を押し下げているような可動部203の位置を、押下位置P2と呼ぶ。
【0040】
ベルトコンベア装置101(図1参照)においてパンB(図1参照)が搬送される場合等の通常の場合、ベルト洗浄装置201では、可動部203は図4に示すように上方に位置し、溝底部224Bが駆動シャフト218の近傍に位置している。また、ボルト受部204Bがボルト222に押し下げられて、第2ブラシ204Dは第1ブラシ204Cよりも下方に位置付けられている。このとき、第1ブラシ204Cはベルト103よりも上方に位置している。また、第2ブラシ204Dはベルト103よりも下方に位置している。また、ホイール226は、ベルト103から離反している。なお、この状態では、洗浄槽部202を洗浄槽配置部201Bに配置してもよいし、洗浄槽配置部201Bから引き出して可動部203の下方に位置付けなくてもよい。
【0041】
図8は、可動部203によりベルト103が押し下げられた状態でのベルト洗浄装置201の正面図である。図4及び図8を参照する。ベルトコンベア装置101(図1参照)においてベルト103を洗浄する場合、ベルト洗浄装置201では、洗浄槽部202を洗浄槽配置部201Bに配置して、可動部203の下方に洗浄槽部202を位置付ける。このとき、洗浄槽部202における搬送方向A1の上流側の側面及び下流側の側面のいずれも、キャスタ213に対面する。また、フック受部208Aに回動フック214を係合して、洗浄槽部202を位置固定する。
【0042】
続いて、スイッチ部217Aを操作し、第2モータ217(図7参照)を駆動して駆動シャフト218を回転する。これにより、ピニオンギア220がラックギア221に沿って動き、可動部203が下降する。このとき、駆動シャフト218は、案内溝224Aによって案内され、横方向に動くこと無く上下方向にのみ動く。第2モータ217の駆動は、上下移動検出用センサ212B(図5参照)や上下オーバーラン検出用センサ212C(図5参照)のセンシング信号に応じて、所望の高さまで下がった場合に停止する。
【0043】
可動部203が下降すると、ホイール226が、ベルト103を押し下げる。このとき、ベルト103における二本のシャフト225の間の部分は、略水平な向きを維持したままで洗浄槽部202に没入し、洗浄槽部202内の洗浄液に浸る。また、ベルト103において、可動部203に設けられたホイール226とフレーム部201Aに設けられたホイール102との間の部分は、搬送方向A1に沿って傾斜し、ホイール226側の一部分のみが洗浄槽部202に浸る。
【0044】
可動部203が下降すると、ブラシユニット224も下降する。このとき、ボルト受部204Bはボルト受部204Bから離反し、第2ブラシ204Dはアーム押上部209により押し上げられる。これにより、第2ブラシ204Dは、ベルト103における洗浄液内に浸った部分の下面に接触する。また、第1ブラシ204Cは、ベルト103における洗浄液に浸った部分の上面に接触する。
【0045】
第1ブラシ204Cと第2ブラシ204Dとがベルト103に接した状態で、第1駆動部104(図1参照)や第2駆動部105(図1参照)を駆動させると、ベルト103が搬送方向A1に走行する。これにより、ベルト103におけるベルト洗浄装置201よりも搬送方向A1の上流側の部分は、搬送方向A1に進んで洗浄槽部202に没入し、洗浄槽部202内の洗浄液に浸る。ベルト103が走行すると、ベルト103の下面は、第2ブラシ204Dにより洗浄される。このとき、第2ブラシ204Dは、ベルト103に接触されて図8中の矢印A2の向きに回転する。また、ベルト103が走行すると、ベルト103の上面は、第1ブラシ204Cにより洗浄される。このとき、第1ブラシ204Cは、ベルト103に接触されて図8中の矢印A3の向きに回転する。ベルト103は、洗浄された後、搬送方向A1に進んで洗浄槽部202から引き上げられ、ホイール102によって屈曲して略水平に走行し、ベルト乾燥装置301(図1参照)により乾燥される。
【0046】
ベルト103の洗浄を終える場合、スイッチ部217Aを操作して第2モータ217を駆動させ、駆動シャフト218を回転させて可動部203を上昇させる。これにより、ホイール226が上昇し、ベルト103はそれ自身の張力によってホイール226とともに上昇して、図4に示すような略水平の状態に戻る。また、アーム204Aはアーム押上部209から離反し、ボルト受部204Bはボルト222によって押し下げられる。その結果、第2ブラシ204Dはベルト103から下方に離反し、第1ブラシ204Cはベルト103から上方に離反する。第2モータ217の駆動は、上下移動検出用センサ212B(図5参照)や上下オーバーラン検出用センサ212C(図5参照)のセンシング信号に応じて、所望の高さまで上がった場合に停止する。
【0047】
このように、本実施の形態では、非洗浄時には、アーム204Aがボルト222に押し下げられて第1ブラシ204Cも第2ブラシ204Dもベルト103に接触せず、ベルト103が損傷されない。また、洗浄時には、アーム204Aがアーム押上部209に押し上げられて第1ブラシ204Cも第2ブラシ204Dもベルト103に接触し、ベルト103に付着した汚れが確実に洗浄される。
【0048】
また、本実施の形態では、ブラシ204を回転させるための駆動源が備わっておらず、ブラシ204はベルト103の走行を受けて回転する。つまり、ベルト洗浄装置201は小型なものになり、既設のベルトコンベア装置101に対して導入しやすい。
【0049】
また、本実施の形態では、アーム204Aとボルト222とアーム押上部209との機械的な動きによりブラシ204がベルト103に対して近接離反するので、メンテナンスが容易となる。さらに、ベルト103の上面も下面も一度に洗浄できる。
【符号の説明】
【0050】
103 ベルト
201 ベルト洗浄装置
201B 洗浄槽配置部
202 洗浄槽部
204 ブラシ
204A アーム
204C 第1ブラシ
204D 第2ブラシ
209 アーム押上部(近接部)
222 ボルト(離反部)
226 ホイール(押下部)
227 軸部
A1 搬送方向(ベルトの長さ方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に延びるベルトに対し上方に位置し、前記ベルトの長さ方向に離間して配置され、前記ベルトから離反した位置とこの位置よりも下方で前記ベルトを押し下げる位置との間で移動する複数の押下部と、
前記複数の押下部の間に位置し、前記押下部とともに上下移動する軸部と、
前記軸部の軸回り方向に旋回自在のブラシと、
前記押下部が下降したときに前記ブラシを前記ベルトに接しさせる近接部と、
前記押下部が上昇したときに前記ブラシを前記ベルトから離反させる離反部と、
を備えるベルト洗浄装置。
【請求項2】
前記ベルトは、それ自身の長さ方向に走行し、
前記ブラシは、前記押下部により押し下げられた前記ベルトの走行により回転する、
請求項1記載のベルト洗浄装置。
【請求項3】
前記軸部は、前記ベルトに略平行且つ前記ベルトの長さ方向に直交する方向に延び、
前記軸部から延び、前記軸部の軸回り方向に回動自在のアームを更に備え、
前記ブラシは、前記アームに設けられ、
前記近接部及び前記離反部は、前記アームに接して前記ブラシを前記ベルトに対して近接離反する、
請求項1又は2記載のベルト洗浄装置。
【請求項4】
前記ブラシは、前記ベルトに対して上方と下方とのそれぞれに位置する、
請求項1から3のいずれか一に記載のベルト洗浄装置。
【請求項5】
前記押下部により押し下げられたベルトが没入する洗浄槽部を配置するための洗浄槽配置部が設けられ、
前記近接部は、前記洗浄槽部に設けられる、
請求項1から4のいずれか位置に記載のベルト洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−201438(P2012−201438A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65856(P2011−65856)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月15日 インターネットアドレス「http://www.misuzukoki.jp/main.html」「http://www.misuzukoki.jp/topics.asp」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成23年2月16日 協同組合日本製パン製菓機械工業会主催の「MOBAC SHOW 2011(国際製パン製菓関連産業展)」に出品
【出願人】(000177298)三鈴工機株式会社 (8)