説明

ベルト荷締装置

【課題】 荷締ベルトの引き出し端部側を簡単な操作で大きくかつスムーズに引っ張り出せるようにした荷締装置を提供する。
【解決手段】 移動体26に、荷締ベルト2の引き出し端部2b側を挟持する第2挟持具30が設けられ、かつ各ラック7のラック歯7aに噛合して回転することにより第2挟持具を有する移動体26を荷締ベルト引き出し方向に移動するピニオン37がピニオン軸38を介して回転自在に支持され、移動体に操作レバー40がピニオン軸廻りに揺動自在に設けられ、操作レバーとピニオンとの間に、操作レバーの揺動によりピニオンを回動して移動体26を移動するラチェット駆動機構41が設けられたベルト荷締装置であって、ラックの下面7bとそれに対向する移動体の嵌合底部27aとの間に、移動体のラック長手方向移動を担持する移動受体が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包ベルト、輸送荷崩れ防止ベルト等のベルトを緊締させるベルト荷締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベルト荷締装置には、荷締金具に巻き付けて引き出した荷締ベルトの引き出し端部側を巻回可能な巻胴と、この巻胴を回動自在に保持する本体枠と、この本体枠に対して揺動自在に設けられた操作ハンドルと、本体枠に設けられて荷締ベルトの本体側をクランプするベルトクランプ部とを有し、巻胴と操作レバーとの間には操作ハンドルの一方向への揺動では巻胴を所定角だけ回動させるが他方向への揺動では巻胴を回動させないラチェット駆動機構が設けられたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−180489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の従来のベルト荷締装置では、巻胴によるベルトの巻き取り長さが短く、巻胴に対する荷締ベルトの巻き取り位置を変えて巻き取り操作を何回も繰り返す必要があり、締め付け操作が面倒であった。
本発明は上記問題点に鑑み、荷締ベルトの引き出し端部側を簡単な操作で大きくかつスムーズに引っ張り出すことができるようにした荷締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、移動体26が上面にラック歯7aを有するラック7に嵌合して長手方向移動自在に保持され、ラック7の長手方向一端側に、荷締ベルト2のベルト本体2aを挟持する第1挟持具19が設けられ、
移動体26に、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を挟持する第2挟持具30が設けられ、かつ各ラック7のラック歯7aに噛合して回転することにより第2挟持具30を有する移動体26を荷締ベルト引き出し方向に移動するピニオン37がピニオン軸38を介して回転自在に支持され、
移動体26に操作レバー40がピニオン軸38廻りに揺動自在に設けられ、操作レバー40とピニオン37との間に、操作レバー40の揺動によりピニオン37を回動して移動体26を移動するラチェット駆動機構41が設けられたベルト荷締装置であって、
ラック7の下面7bとそれに対向する移動体26の嵌合底部27aとの間に、移動体26のラック長手方向移動を担持する移動受体が設けられている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、移動体26の嵌合底部27aにラック長手方向に沿う収納凹部61が形成され、移動受体は球体63により形成されて収納凹部61内に多数個配置され、収納凹部61のラック長手方向両端に球体63の抜止め部64が形成さている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記ラック7は幅方向一対設けられ、該一対のラック7の長手方向一端側と他端側とをそれぞれ連結部材8,9で連結してフレーム10が形成され、
前記一対のラック7に移動体26の幅方向両端部が長手方向移動自在に嵌合保持されており、一対のラック7と移動体26の両端部との間にそれぞれ前記移動受体が設けられている点にある。
【0007】
また、本発明の他の技術的手段は、前記ラック7は1本設けられ、前記第1挟持具19はラック7の長手方向一端側に片持ち固設され、移動体26の幅方向一端側がラック7に長手方向移動自在に片持ち状に嵌合保持されている点にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ラックに支持された移動体をピニオンの回動で移動することによって
、ラックの歯形成の長さ分だけ、荷締ベルトの引き出し端部側を荷締ベルトの本体側に対して引っ張ることができて、荷締ベルトの引き出し端部側を簡単な操作で大きく引っ張り出すことができる。しかも、ラックの下面とそれに対向する移動体の嵌合底部との間に、移動体のラック長手方向移動を担持する移動受体が設けられているので、ラックに対して移動体をスムーズに移動することができて、荷締ベルトの引き出し端部側をスムーズに引っ張り出すことができ、荷締めベルトの締め付け操作が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態を示すベルト荷締装置の全体側面図である。
【図2】同移動体部分の側面図である。
【図3】同ベルト荷締装置の全体平面図である。
【図4】同移動体部分の平面図である。
【図5】同ベルト荷締装置の背面図である。
【図6】同ベルト荷締装置の正面図である。
【図7】同図1のA−A線断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示すベルト荷締装置の全体側面図である。
【図9】同ベルト荷締装置の全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示している。図1及び図3において、ベルト荷締装置1は、例えば荷締ベルト2のベルト本体2aを被荷造り品Wに一周するように巻回して荷締金具5に巻き付け、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を荷締ベルト引き出し方向に引っ張って、被荷造り品Wを荷締ベルト2で締め付けるために使用されるもので、上面にラック歯7aを有する幅方向一対のラック7と、該一対のラック7の一端側と他端側とを幅方向に連結する一対の連結部材8,9とでフレーム10が形成されている。
【0011】
図1、図3及び図6において、前記フレーム10の一端(前端)側に一対のラック7の一端部にそれぞれ固定された一対の固定材13,14が設けられると共に、一対の固定材13,14を連結する連結体15が設けられている。一方の固定材13はラック7の前端部に外嵌固定され、他方の固定材14はボルト等でラック7に固定され、一方の固定材13にベルト本体載置台16が他方の固定材14に向けて幅方向に突設されている。
【0012】
一対の固定材13,14間に第1挟持具19が第1支持軸20廻りに揺動自在に支持され、第1挟持具19は左右両持ち支持されている。第1挟持具19は、ベルト本体2aを挟持解除可能に挟持するべくベルト本体載置台16上に圧接される挟持位置X1と、ベルト本体載置台16上から離間する挟持解除位置Y1とに移動自在とされている。第1挟持具19を挟持解除位置Y1側から挟持位置X1側(第1支持軸20廻りの矢印a方向)に付勢する第1挟持具付勢手段22が設けられている。第1挟持具付勢手段22は、第1挟持具19の両側に配置された巻きバネにより構成されている。第1挟持具19を挟持位置X1側から挟持解除位置Y1側に揺動するための揺動レバー23が第1支持軸20に固定して設けられている。
【0013】
図1〜図4において、一対のラック7に移動体26の幅方向両端部が長手方向移動自在に嵌合保持されており、移動体26は左右両持ち支持されている。移動体26は、一対のラック7にそれぞれ長手方向移動自在に外嵌する一対の嵌合部27と、この一対の嵌合部27を連結していて荷締ベルト2の引き出し端部2b側を載置するベルト載置部29とを有している。
【0014】
移動体26に、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を挟持解除可能に挟持する第2挟持具30が、前記第1挟持具19に対向した位置に設けられている。前記第2挟持具30はベルト載置部29と協働して荷締ベルト2を挟持すべく一対の嵌合部27間に位置しており、一対の嵌合部27に第2支持軸31を介して揺動自在に支持され、ベルト載置部29上に圧接される挟持位置X2とベルト載置部29上から離間する挟持解除位置Y2とに移動自在とされ、第2挟持具30を挟持解除位置Y2側
から挟持位置X2側(第2支持軸31廻りの矢印b方向)に付勢する第2挟持具付勢手段32が設けられている。第2挟持具付勢手段32は、第2挟持具30の両側に配置された一対の巻きバネにより構成されている。
【0015】
各嵌合部27の上部側にラック7のラック歯7aが露出するように開口窓34がそれぞれ形成され、各開口窓34の幅方向両側に一対の支持壁35が一対の開口窓34に対応して2組上方突設され、各嵌合部27の支持壁35間に一対のピニオン37がそれぞれピニオン軸38廻りに回転自在に支持されている。一対のピニオン37は各ラック7のラック歯7aに噛合して回転することにより第2挟持具30を有する移動体26を荷締ベルト引き出し方向(前方向、第1挟持具19に近づく方向)に移動する。
【0016】
移動体26に操作レバー40がピニオン軸38廻りに揺動自在に設けられ、操作レバー40と一対のピニオン37との間に、操作レバー40の揺動によりピニオン37を回動して移動体26を移動するラチェット駆動機構41が設けられている。
前記操作レバー40の基部側に、二叉状に分かれて嵌合部27の一対の支持壁35に沿う一対の取付基部43,44が、一対の嵌合部27に対応してそれぞれ設けられ、各対の取付基部43,44は、各嵌合部27の一対の支持壁35にそれぞれピニオン軸38に揺動自在に支持され、操作レバー40の連結部42にて互いに連結されている。
【0017】
前記ラチェット駆動機構41は、操作レバー40を図1に示す中立位置Nよりも前側の駆動揺動範囲D1でピニオン軸38廻りの駆動方向(矢印c方向)に回動したときにピニオン37の歯を同方向に押動させる駆動ラチェット爪45と、操作レバー40を駆動揺動範囲D1でピニオン軸38廻りの戻り方向(矢印d方向)に回動したときにピニオン37に噛合してピニオン37の同方向への回動を規制する戻り規制ラチェット爪46とを有している。
【0018】
前記駆動ラチェット爪45は操作レバー40の一対の取付基部43,44間に第1支軸47廻りに回動自在に支持されて第1付勢手段48によりピニオン37に向けて係止方向(矢印e方向)に付勢されている。第1付勢手段48は、第1支軸47に装着した巻きバネにより構成され、巻きバネの一端部が操作レバー40の中途部(連結部42)に係合され、巻きバネの他端部が駆動ラチェット爪45に係合されており、操作レバー40に対して駆動ラチェット爪45をピニオン37に向けて(矢印e方向に)付勢している。そして、操作レバー40を中立位置Nより後側の駆動解除範囲D2で戻り方向dに揺動したとき、駆動ラチェット爪45の後下端が戻り規制ラチェット爪46に前方に押圧され、第1付勢手段48の付勢に抗して駆動ラチェット爪45がピニオン37から外れるようになっている。
【0019】
前記戻り規制ラチェット爪46は嵌合部27の一対の支持壁35に第2支軸49廻りに回動自在に支持されて第2付勢手段50によりピニオン37に向けて係合方向(矢印g方向)に付勢されている。第2付勢手段50は、バネ受け51に保持した圧縮コイルバネにより構成されている。
而して、操作レバー40を駆動解除範囲D2で戻り方向dに揺動したとき、駆動ラチェット爪45がピニオン37から外れると共に、駆動ラチェット爪45の基端部(後端部)が戻り規制ラチェット爪46の上部と当接して、駆動ラチェット爪45はピニオン37との噛合が解除される離脱方向(矢印f方向)に回動し、戻り規制ラチェット爪46はピニオン37との噛合が解除される外し方向(矢印h方向)に回動するように構成されている。
【0020】
また、操作レバー40を駆動解除範囲D2で戻り方向dに揺動したときに、操作レバー40に連動して動いて第2挟持具30を挟持位置X2側から挟持解除位置Y2側に向けて押圧する連動操作体52が操作レバー40に突設されている。連動操作体52は操作レバー40の一対の取付基部43,43に連結固定されている。
一対の嵌合部27の後端間に連結材53が連結され、連結材53の前部に前記バネ受け51が固設されている。
【0021】
図1、図3及び図5において、前記フレーム10の後部側にアクチュエータ55が設けられている。アクチュエータ55はシリンダ本体55aとシリンダロッド55bとを有す
る油圧シリンダにより構成されている。アクチュエータ55のシリンダ本体55aの後端は後連結部材9に接当され、中途部は一対のラック7の後部間に突設した支持台57上に載置され、上部側はラック7の後部に固定した押さえ部材58により支持台57上に押さえ付けられている。シリンダロッド55bの前端は移動体26の連結材53と接当可能になっている。
【0022】
また、アクチュエータ55は足踏み式のポンプPの駆動によってシリンダ本体55aに対してシリンダロッド55bが前方に向けて伸長動作して、移動体26を前記連結材53を介して荷締ベルト引き出し方向(前方向)に押動するようになっている。
図2及び図7において、移動体26の各嵌合部27の嵌合底部27aにラック長手方向に沿う収納凹部61が嵌合底部27aの前後方向全長に亘って形成されている。
【0023】
移動体26のラック長手方向移動を担持する移動受体である球体63が、収納凹部61内にラック長手方向に一列状に多数個配置され、収納凹部61のラック長手方向両端にビス等により構成した抜止め部64が形成され、この抜止め部64により球体63を収納凹部61から抜け止めしている。多数の球体63は一対の抜止め部64間に詰め込んで配置されることなく、各球体63がスムーズに回転できるように、いずれかの球体63間又は球体63と抜止め部64との間に隙間が生じるように余裕を残して配置されている。
【0024】
なお、球体63は各嵌合部27の嵌合底部27aの左右方向中央部に1列のみ配置されているが、これに代え、収納凹部61を各嵌合部27の嵌合底部27aに左右に間隔をおいて複数列配置するようにしてもよい。また、収納凹部は嵌合底部27aの前後方向全長に亘って形成されているが、これに代え、嵌合底部27aの前後両端部を残して凹状に形成するようにしてもよく、この場合、残した嵌合底部27aの前後両端部が抜止め部64となる。
【0025】
上記実施形態によれば、図1に示すように、荷締ベルト2のベルト本体2a側端部を荷締金具5に巻き付けると共に、ベルト本体2a側を被荷造り品Wに一周するように巻回して荷締金具5に巻き付け、この荷締金具5に近いベルト本体2aの中途部をベルト本体載置台16と第1挟持具19との間に通すと共に、荷締ベルト2の引き出し端部2b側をベルト載置部29上と第2挟持具30との間に通す。
【0026】
これにより、ベルト本体2aの中途部がベルト本体載置台16と第1挟持具19とで挟持され、荷締ベルト2の引き出し端部2b側がベルト載置部29上と第2挟持具30とで挟持される。前記第1挟持具19と第2挟持具30とは互いに近づく方向の動きで荷締ベルト2に食い込み、挟持力を確保する。
その後、第2挟持具30でベルト載置部29と協働して荷締ベルト2の引き出し端部2b側を挟持した状態で、操作レバー40を駆動揺動範囲D1で駆動方向cと戻り方向dとに揺動を繰り返せばよく、操作レバー40の駆動方向cの揺動により、駆動ラチェット爪45がピニオン37の歯を駆動方向cに押動し、移動体26がフレーム10の前側に移動する。このとき、ピニオン37がラック7を下方に押圧し、反作用として移動体26が持ち上げられ、多数の球体63がなければラック7の下面7bと嵌合部27の嵌合底部27aとが接触して大きな接触抵抗が生じることになるが、多数の球体63が収納凹部61内にあってラック7の下面7bと接触し、ラック7の下面7bと嵌合部27の嵌合底部27aとが面接触しなくなるため、大きな接触抵抗がラック7の下面7bと嵌合部27の嵌合底部27aとの間に生じなくなり、多数の球体63がラック7の下方への力を受け、多数の球体63の回転により移動体26の一対の嵌合部27がラック7に対してスムーズに前側に移動し、移動体26がラック7に対してスムーズに移動する。
【0027】
また、操作レバー40の戻り方向dの揺動により、戻り規制ラチェット爪46がピニオン37に噛合し、ピニオン37の戻り方向dへの回動を規制し、移動体26もフレーム10に対する移動を停止する。
而して、操作レバー40を駆動揺動範囲D1で駆動方向cと戻り方向dとに揺動を繰り返すことによって、操作レバー40を駆動方向cに揺動したときのみに、操作レバー40に連動してピニオン37が駆動方向cに回動して、移動体26がフレーム10の前方に向けて間欠的に移動する。その結果、移動体26の第2挟持具30が第1挟持具19に対し
て接近するように移動し、荷締ベルト2の引き出し端部2b側を前方に引っ張り、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を荷締ベルト引き出し方向に引っ張って、被荷造り品Wを荷締ベルト2で締め付ける。
【0028】
従って、ラック7の歯形成の長さ分だけ、荷締ベルト2の引き出し端部2b側を荷締ベルト2の本体側に対してスムーズに引っ張ることができ、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を簡単な操作で大きくかつ強力に引っ張り出すことができ、荷締ベルト2の締め付け操作が簡単になる。
また、その後に、この状態で、操作レバー40を駆動解除範囲D2で戻り方向dに揺動すると、連動操作体52が同方向に回動して第2挟持具30を戻り方向dに押圧し、第2挟持具30とベルト載置部29とによる荷締ベルト2の引き出し端部2b側の挟持が解除される。また、同時に、駆動ラチェット爪45がピニオン37から外れると共に、戻り規制ラチェット爪46が第2支軸49廻りに外し方向(矢印h方向)に回動し、戻り規制ラチェット爪46のピニオン37への噛合が解除される。
【0029】
その結果、ピニオン37が戻り方向dに回動可能になると共に、移動体26(第2挟持具30及びベルト載置部29)が荷締ベルト2の引き出し端部2b側に対してフレーム10の後方側に移動可能になるため、操作レバー40を駆動解除範囲D2で戻り方向dに揺動した後に、フレーム10に対して移動体26を後方に引っ張ることにより、ピニオン37を戻り方向dに回動して、荷締ベルト2の引き出し端部2b側を残して、移動体26をフレーム10の後部側に移動させることができる。このときも、多数の球体63の回転により移動体26の一対の嵌合部27がラック7に対してスムーズに前側に移動し、移動体26がラック7に対してスムーズに移動する。
【0030】
上記と同様に荷締ベルト2の引き出し端部2b側を残して、フレーム10の前部まで移動した移動体26を後部側に移動させてシリンダロッド55bの前端を移動体26の連結材53に接当させ、足踏み式のポンプPを駆動することにより、アクチュエータ55のシリンダロッド55bが伸長して、移動体26を荷締ベルト引き出し方向に押動する。尚このとき移動体26の移動によってピニオン37は回動されるが、駆動ラチェット爪45、戻り規制ラチェット爪46は反規制方向に揺動する。アクチュエータ55の作動によって移動体26の第2挟持具30が第1挟持具19に対して接近するように移動し、荷締金具5に巻き付けて引き出した荷締ベルト2の引き出し端部2b側を簡単な操作でさらに強力な力で大きく引っ張り出すことができ、荷締ベルト2の締め付けを油圧力で強固になし得る。
【0031】
また、幅方向一対のラック7と、該一対のラック7の一端側と他端側とを幅方向に連結する一対の連結部材8,9とでフレーム10が形成されているので、フレーム10が四角形状になっているため、フレーム10を強固に構成できる。また、一対のラック7の一端部を一対の固定材13,14と連結体15とで連結でき、フレーム10の構成をより強固なものにすることができる。
【0032】
一対のラック7間に移動体26がフレーム10の長手方向移動自在に保持されているので、移動体26を一対のラック7に片持ち状でなく、安定な両持ちで保持することができて、移動体26をフレーム10の長手方向にスムーズに移動させることが可能になる。
また、フレーム10自体をラック7にしているから、ラック7及びピニオン37の幅が大きくなって、ラック7及びピニオン37の噛合を強力なものにすることができ、ピニオン37の回動によって荷締ベルト2の引き出し端部2b側を強力に引っ張ることができる。
【0033】
図8〜図9は本発明の第2実施形態を示している。図8及び図9に示すように、ラック7は1本設けられ、前記第1挟持具19はラック7の長手方向一端側に片持ち固設されている。移動体26の幅方向一端側がラック7に長手方向移動自在に片持ち状に嵌合保持されている。そして、1本のラック7に対応して、ピニオン37、ラチェット駆動機構41(駆動ラチェット爪45、戻り規制ラチェット爪46)は1つずつ設けられている。なお、この図例では、アクチュエータ55は設けていないが、設けるようにすることも可能である。
【0034】
この場合、荷締金具5に近いベルト本体2aの中途部をベルト本体載置台16と第1挟持具19との間に左右側方から挿入して通すと共に、荷締ベルト2の引き出し端部2b側をベルト載置部29上と第2挟持具30との間に左右側方から挿入して通すことができ、ベルト本体2aの中途部及び荷締ベルト2の引き出し端部2b側の、ベルト本体載置台16と第1挟持具19との間又はベルト載置部29上と第2挟持具30との間への挿通が楽になる。
【0035】
その他の点は前記実施形態と同様の構成であり、移動体26の嵌合部27の嵌合底部27aにラック長手方向に沿う収納凹部61が形成されている。また、移動体26のラック長手方向移動を担持する移動受体である球体63が、収納凹部61内にラック長手方向に一列状に多数個配置され、収納凹部61のラック長手方向両端にビス等により構成した抜止め部64が形成され、この抜止め部64により球体63を収納凹部61から抜け止めしている。
【0036】
従って、この実施形態の場合も、第1実施形態の場合と同様に、ラック7に支持された移動体26をピニオン37の回動で移動することによって、ラック7の歯形成の長さ分だけ、荷締ベルト2の引き出し端部2b側を荷締ベルト2のベルト本体2a側に対して引っ張ることができて、荷締ベルト2の引き出し端部側を簡単な操作で大きく引っ張り出すことができる。しかも、ラック7に対して移動体26をスムーズに移動することができて、荷締ベルト2の引き出し端部2b側をスムーズに引っ張り出すことができ、荷締めベルト2の締め付け操作が簡単になる。
【0037】
なお、前記実施の形態では、ベルト荷締装置を、被荷造り品Wを荷締ベルト2で巻回して締め付けるために使用しているが、これに代え、船に積んだ機械等を動かないように固定するため荷締ベルト2をフック等に引っ掛けて引っ張って固定するために使用してもよいことは勿論である。
また、前記実施の形態では、移動体26のラック長手方向移動を担持する移動受体を球体63により形成しているが、これに代え、ラック7の下面7bとそれに対向する移動体26の嵌合底部27aとの間に、移動体26のラック長手方向移動を担持するニードルベアリング、コロ、回転軸等の他の移動受体を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 ベルト荷締装置
2 荷締ベルト
2a ベルト本体
2b 引き出し端部
5 荷締金具
7 ラック
8 連結部材
9 連結部材
10 フレーム
19 第1挟持具
26 移動体
30 第2挟持具
37 ピニオン
38 ピニオン軸
40 操作レバー
41 ラチェット駆動機構
61 収納凹部
63 球体
64 抜止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(26)が上面にラック歯(7a)を有するラック(7)に嵌合して長手方向移動自在に保持され、ラック(7)の長手方向一端側に、荷締ベルト(2)のベルト本体(2a)を挟持する第1挟持具(19)が設けられ、
移動体(26)に、荷締金具(5)に巻き付けて引き出した荷締ベルト(2)の引き出し端部(2b)側を挟持する第2挟持具(30)が設けられ、かつ各ラック(7)のラック歯(7a)に噛合して回転することにより第2挟持具(30)を有する移動体(26)を荷締ベルト引き出し方向に移動するピニオン(37)がピニオン軸(38)を介して回転自在に支持され、
移動体(26)に操作レバー(40)がピニオン軸(38)廻りに揺動自在に設けられ、操作レバー(40)とピニオン(37)との間に、操作レバー(40)の揺動によりピニオン(37)を回動して移動体(26)を移動するラチェット駆動機構(41)が設けられたベルト荷締装置であって、
ラック(7)の下面(7b)とそれに対向する移動体(26)の嵌合底部27aとの間に、移動体(26)のラック長手方向移動を担持する移動受体が設けられていることを特徴とするベルト荷締装置。
【請求項2】
移動体(26)の嵌合底部(27a)にラック長手方向に沿う収納凹部(61)が形成され、移動受体は球体(63)により形成されて収納凹部(61)内に多数個配置され、収納凹部(61)のラック長手方向両端に球体(63)の抜止め部(64)が形成さていることを特徴とする請求項1に記載のベルト荷締装置。
【請求項3】
前記ラック(7)は幅方向一対設けられ、該一対のラック(7)の長手方向一端側と他端側とをそれぞれ連結部材(8,9)で連結してフレーム(10)が形成され、
前記一対のラック(7)に移動体(26)の幅方向両端部が長手方向移動自在に嵌合保持されており、一対のラック(7)と移動体(26)の両端部との間にそれぞれ前記移動受体が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト荷締装置。
【請求項4】
前記ラック(7)は1本設けられ、前記第1挟持具(19)はラック(7)の長手方向一端側に片持ち固設され、移動体(26)の幅方向一端側がラック(7)に長手方向移動自在に片持ち状に嵌合保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト荷締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117616(P2012−117616A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268359(P2010−268359)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:国際物流総合展2010 主催者名:公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会、社団法人 日本能率協会 他 開催日:平成22年9月14日から9月17日
【出願人】(390037534)オーエッチ工業株式会社 (11)