説明

ベロ細胞において増強された複製を有する高力価の組換えインフルエンザウイルス

本発明は、例えば、ヒトにおいて安全であり、重症な疾患を生じない、インフルエンザウイルスワクチン株又は単離株由来の内部遺伝子、及び例えばベロ細胞等の培養中の細胞において増強された成長を与えるHA2をコードするHA2配列を有するHA遺伝子セグメントを含むワクチンシードウイルス単離株由来の遺伝子を含む、例えばヘルパーウイルスの非存在下での高力価のインフルエンザウイルスの調製に有用な組成物を供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年10月26日に出願された米国特許出願第61/254795号に係る優先権を主張し、斯かる出願は本明細書中で全体において参照により組み込まれている。
【0002】
政府の権利に関する記載事項
本発明は、国立保健研究所(grant NIH AI069274)から受けた米国政府の支援で完成した。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザは、ウマを含む一部の哺乳類において主要な呼吸器疾患であり、例年実質な死亡率及び経済損失の原因となっている。さらに、インフルエンザウイルスの感染は、一部の種のトリで重度の全身性疾患を生じ、死につながり得る。インフルエンザウイルスゲノムの分割特性は、2つ以上のインフルエンザウイルスに感染した細胞においてウイルス複製中にセグメントの再集合を可能にする。遺伝子変異及びドリフトと結合したセグメントの再集合は、時間とともに無数のインフルエンザウイルス株を生じ得る。斯かる株は、その赤血球凝集素(HA)及び/又はノイラミニダーゼ(NA)タンパク質において抗原変異を示し、特にHAタンパク質をコードする遺伝子は高い変異率を有する。インフルエンザの予防のための現在の主要な慣習は、ワクチン接種である。通常、全ウイルスワクチンが使用される。インフルエンザHAタンパク質は宿主のウイルスへの防御免疫応答のための主要な標的抗原であり、非常に可変性があるので、インフルエンザウイルスの単離及び最近の大流行と関係するウイルス中のHA抗原の同定及び性質決定は、ワクチン製造に重要である。ワクチンは、蔓延及び予想に基づいて、主要であり且つ予想されたインフルエンザウイルス株に対する防御免疫応答を刺激するようデザインされる (Park et al., 2004)。
【0004】
インフルエンザウイルスは3つの一般型、A型、B型及びC型が存在し、それらの内部タンパク質間の血清交差反応性の欠如によって定義される。インフルエンザA型ウイルスは、さらにそれらの糖タンパク質、HA及びNAタンパク質の抗原性及び遺伝的差異に基づきサブタイプに分類される。周知の全てのHA及びNAサブタイプ (H1〜H15及びN1〜N9)は水鳥から単離されており、インフルエンザの天然の貯蔵所として機能すると考えられている。H1N1「ブタインフルエンザ」ウイルスは、世界的流行にあると近年宣言された。斯かるウイルスは一部の循環しているインフルエンザウイルスより特定の集団において病原性が低いかもしれないが、一方で広範に分布し、公衆衛生上の顕著な取り組みの対象となっている。残念ながら斯かるウイルスは、他のウイルスより高力価の産生物に適していないようであり、このことはワクチン製造において課題となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、選択されたアミノ酸残基をHA2、NA及び/又はPB2の特定の位置に有する、単離された組換えの、例えば、リアソータントの、インフルエンザウイルスを供する。一実施形態において、組換えリアソータントインフルエンザウイルスは、アミノ酸残基をHA2の117位(位置は、H1 HA2のナンバリングに基づき、例えば、H1 HA2の117位は、H3 HA2の116位に相当する) に有する、例えば、HA2中の117位にアスパラギンを有する、対応するウイルスと比較してベロ細胞において増強された成長を生ずる(HA2残基に関する斯かるナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。一実施形態において、組換えインフルエンザウイルスは、HA2の117位にアミノ酸残基を有し、エンドソーム、例えば、後期エンドソームの膜とのウイルスの融合を、例えば、HA2の117位がアスパラギンである対応するウイルスと比較して高いpHで生じる。HA2残基に関する斯かるナンバリングは、H1 HA2に関するものである。一実施形態において、本発明は、ワクチンインフルエンザウイルス由来の6つの「内部」遺伝子セグメント、第一のインフルエンザウイルス単離株から選択されたNA遺伝子セグメント、及びHA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように選択されたHA遺伝子セグメントを有する、単離組換えリアソータントインフルエンザウイルスを供する。HA2残基に関する斯かるナンバリングは、H1 HA2に関するものである。例えば、NA及びHA遺伝子セグメントは、季節性インフルエンザワクチンのための株由来又は世界的流行株由来とすることができ、一実施形態において、HA遺伝子セグメント中のHA2配列は、HA2の117位においてアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように変異される(HA2残基に関する斯かるナンバリングはH1 HA2に関するものである)。
【0006】
本明細書において、NA及び/又はHAに関する異種遺伝子セグメントを運ぶワクチンウイルスとして有用なインフルエンザウイルス単離株(A/Puerto Rico/8/34 (PR8) )は、ベロ細胞内で増強された複製を有するウイルスを得るために斯かる細胞において連続継代した。一実施形態において、連続継代後に得られた増強された複製を有するウイルスは、連続継代されなかったウイルスより高い、少なくとも2、3、4又は5ログの力価を有する。一実施形態において、連続継代後に得られたウイルスは親ウイルスと比較して、3つの遺伝子セグメント、NA、HA及びPB2において置換を有した。HA2における斯かる置換は、増強された成長の表現型と主に関係があると決定した。HA2 N117DのPR8ウイルスは、ベロ細胞において力価の少なくとも3ログの増強を有した。HA2 N117D変異体は野生型HAより高いpHで細胞に融合した。同一のPR8「内部」遺伝子 (すなわち、HA及びNA遺伝子以外の遺伝子)、及び単独の単離株由来のNA及びHAを有し、且つHA2の117位 (又はH3リアソータントの116位) の残基がアスパラギン酸に変化した、3つの異なる組換え (6:2変異体リアソータント) インフルエンザウイルスを調製した。斯かる6:2変異体リアソータントは全て、対応する親6:2リアソータントと比較してベロ細胞において成長の増強を示した。従って、細胞、例えば、ベロ細胞において成長又は継代されるワクチンウイルスに関して、例えば、培養細胞においてウイルスの増強された成長を与える残基でのHA遺伝子セグメントの変異又は選択による、HA2における117位の残基の置換(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関する)は、有意に高いウイルス力価を生じ得る。従って、本発明は、細胞培養において増強された複製を有するインフルエンザウイルスの選択方法を供する。斯かる方法は、インフルエンザワクチンの製造に適した細胞を供する工程、1又は2以上のインフルエンザウイルス単離株を細胞中で連続的に培養する工程、連続培養前の1又は2以上の単離株と比較して増強された成長を有する連続的に培養したウイルスを単離する工程含む。一実施形態において、細胞はげっ歯類又は霊長類、例えば、ヒトの細胞である。また、組換えインフルエンザウイルスの変化した成長を与えるHA2を同定する方法を提供する。斯かる方法は、インフルエンザウイルスHA2中の1又は2以上の置換を、HA遺伝子セグメントに導入し、変異体HA遺伝子セグメントを得る工程、変異体HA遺伝子セグメントが複製コンピテント組換えインフルエンザウイルス中に存在する場合、HA2において1又は2以上の置換が存在しない対応する複製コンピテントインフルエンザウイルスと比較して、それが組換えインフルエンザウイルスの増強された複製を細胞にもたらすかを同定する工程を含む。一実施形態において、少なくとも1つの置換はHA2の117位に存在し(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングであある)、例えば、少なくとも1つの置換は、アスパラギン酸又はグルタミン酸に対するものである。一実施形態において、細胞はげっ歯類又は霊長類細胞である。一実施形態において、1又は2以上の置換は、アミノ酸残基を有する酸性側鎖での置換である。
【0007】
一実施形態において、本発明のインフルエンザウイルスは、脂肪族側鎖、アミド含有側鎖、塩基性側鎖、又は硫黄含有側鎖を有するアミノ酸残基が、芳香族側鎖又は酸性側鎖を有する残基で、例えば、HA2の117位において(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)、少なくとも1つ置換(非保存的置換)された変異体HA2タンパク質を有する組換えインフルエンザウイルスである。一実施形態において、インフルエンザウイルスは、HA2の117位に芳香族側鎖又は酸性側鎖の残基を有する、HA2タンパク質を有する組換えインフルエンザウイルスである(HA2残基に関するナンバリングはH1 HA2に関するナンバリングである)。一実施形態において、組換えインフルエンザウイルスは、中性又は正の電荷をもつ残基を極性又は負の電荷をもつ残基で、例えばHA2の117位において、少なくとも1つ置換された変異体HA2タンパク質である(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。一実施形態において、インフルエンザウイルスは、HA2の117位に極性又は負の電荷をもつ残基を有するHA2タンパク質を有する組換えインフルエンザウイルスである(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。HA2の117位に芳香族側鎖又は酸性側鎖、又は極性又は負の電荷をもつ残基を有する残基の存在は、HA又はpH依存性膜融合の立体構造変化の効率又は速度を変更し得る。一実施形態において、組換えリアソータントインフルエンザウイルスは、HA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするよう選択されるHA遺伝子セグメントを含み、HA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸を有さない対応するウイルス、例えば、HA2の117位にアラニン、アスパラギン、アルギニン又はリジンを有する対応するウイルスと比較して、組換えウイルスはベロ細胞において増強された複製を有する(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。一実施形態において、組換えウイルスは、255位にチロシンを有するNA遺伝子セグメントを有する(NA残基に関するナンバリングは、N1に関するナンバリングである)。
【0008】
一実施形態において、本発明は、HA2の117位に特徴的な残基又は置換を有する単離インフルエンザA型ウイルスを供する。例えば、HA2の117位の残基は、アスパラギン、アラニン、アルギニン又はリジンでない(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。一実施形態において、HA2の117位に特徴的な残基又は置換を有する本発明の単離インフルエンザA型ウイルスは、配列番号16〜20又は22の1つによってコードされるポリペプチドと、80〜99の整数%、少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%又は99%の連続したアミノ酸配列同一性を有するHA2アミノ酸配列を有する。一実施形態において、HA2の117位に特徴的な残基又は置換を有する本発明の単離インフルエンザA型ウイルスは、HAのサブタイプ1〜15のいずれか1つに由来するHA1を有する。一実施形態において、本発明の単離インフルエンザAウイルスは、HA2の残基117に非保存的置換、例えば、アスパラギンのアスパラギン酸への置換を有する(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。一実施形態において、本発明の単離インフルエンザウイルスは、HA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸を有する(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。保存的アミノ酸置換とは、類似側鎖を有する残基間の互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸基は、セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸基は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸基は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸基は、リジン、アルギニン及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸基は、システイン及びメチオニンである。一実施形態において、保存的アミノ酸置換基は、スレオニン-バリン-ロイシン-イソロイシン-アラニン; フェニルアラニン-チロシン; リジン-アルギニン; アラニン-バリン; グルタミン酸-アスパラギン酸; 及びアスパラギン-グルタミンである。
【0009】
一実施形態において、変異は、例えば、部位特異的変異を含む組換えDNA技術、又はHA2の残基117を含むHAコード配列の部分を、特徴的な残基を含む部分と置換する組換えDNA技術を介して、インフルエンザウイルス単離株のHA遺伝子セグメント中に導入される(HA2残基に関するナンバリングはH1 HA2に関するナンバリングである)。
【0010】
他の実施形態において、ベロ細胞において増強された複製を与える残基を有するHA遺伝子セグメントは、インフルエンザワクチンウイルスの適合NAセグメント、及び内部遺伝子セグメントと結合される。一実施形態において、増強された複製を生じるHA2タンパク質、又はHA2タンパク質中の特徴的な残基における置換は、インフルエンザAウイルスのHA2タンパク質の残基117の約1〜10個の残基、又はこれらの中の任意の整数個、例えば、1〜5個の残基に、又はこれらの残基内に存在する(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。一実施形態において、NAタンパク質は少なくとも1つの置換、又は本明細書で記載する特徴的な残基、例えば増強された複製を生じる残基等を、インフルエンザAウイルスのNAタンパク質の残基255のコドンの約1〜10個、又はこれら中の任意の整数個の残基、例えば、1〜5個の残基において、又はこれらの残基内に有する(NA残基に関するナンバリングは、N1に関するナンバリングである)。
【0011】
本発明は、例えば、6:1:1 リアソータント、6:2 リアソータント及び7:1リアソータントを含むリアソータントウイルスの調製に有用な、本発明の複数のインフルエンザウイルスベクターを供する。本発明の範囲内の6:1:1 リアソータントは、ワクチンウイルス由来の6個の内部遺伝子セグメント、異なる(第二の) ウイルス単離株由来のNA遺伝子セグメント、及び本明細書に記載のHA2の117位における特徴的な残基又は置換を有するHA遺伝子セグメントを有するインフルエンザウイルスであり、HA遺伝子セグメントはワクチンウイルス又は第一のウイルス単離株以外の異なるウイルス起源に由来する。本発明の範囲内の6:2リアソータントは、ワクチンウイルス由来の6個の内部遺伝子セグメント、及び異なる(第二の) ウイルス単離株由来のNA遺伝子セグメント及びHA遺伝子セグメントを有するインフルエンザウイルスであり、HA遺伝子セグメントは本明細書に記載のHA2の117位に特徴的な残基又は置換を有する。本発明の範囲内の7:1リアソータントは、6個の内部遺伝子セグメント、及びワクチンウイルス由来のNA遺伝子セグメント、及び本明細書に記載のHA2の117位に特徴的な残基又は置換を有するHA遺伝子セグメントを有するインフルエンザウイルスであり、斯かるHA遺伝子セグメントは、前記ワクチンウイルス以外の異なるウイルス、又は6個の内部遺伝子セグメント及び本明細書に記載のHA2の117位の特徴的な残基又は置換を有するHA遺伝子セグメントを有し、NA遺伝子セグメントが前記ワクチンウイルス以外のウイルス起源であるインフルエンザウイルスと異なるウイルス源に由来する。
【0012】
本発明の一実施形態において、その多数は、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルス HA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNP DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNS DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、から選択されたvRNA産生のためのベクターを含む。一実施形態において、PB1、PB2、PA、NP、M、及びNSのvRNA産生のためのDNAは、例えばベロ細胞又はPER.C6(登録商標)細胞等の培養された哺乳類細胞、又は任意には発育鶏卵において高い力価で複製するインフルエンザウイルス、及び/又は例えば、ヒトにおいて重症疾患を生じないワクチンウイルス由来の配列を有する。NAのvRNA産生のためのDNAは、任意のNA、例えば、N1〜N9のいずれかの由来とすることができ、HAのvRNA産生のためのDNAは、任意のHA、例えば、H1〜H16いずれか由来とすることができる。一実施形態において、vRNA産生のためのDNAは、インフルエンザB又はCウイルス用とすることができる。例えば、vRNA産生のためのDNAは、インフルエンザBウイルスPA、PB1、PB2、NP、NS、及びM又はインフルエンザBウイルスPA、PB1、PB2、NP、NS、M、及びNAを含み、HAに関するvRNAは、HA2の117位に特徴的なアミノ酸を有するHA2を有する(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)。NA及びHAのvRNA産生のためのDNAは、異なる株又は異なる単離株 (6:1:1リアソータント) 又は同一の株又は同一の単離株 (6:2 リアソータント)に由来する、或いはNAは内部遺伝子と同一の株又は同一の単離株由来(7:1 リアソータント) とすることができ、HA2配列はベロ細胞において、例えば、HA2の117位にアスパラギンを有する対応のウイルスと比較して、増強された複製を生じるように選択される(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。その多数に、インフルエンザウイルスPAをコードするベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするベクター、インフルエンザウイルスNPをコードするベクター、任意にはNP、NS、M、例えば、M1及びM2、HA又はNAをコードする1又は2以上のベクター、から選択されるmRNA産生のためのベクターもまた含まれる。ウイルスタンパク質をコードするベクターは、転写終結配列をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の範囲内のリアソータントのための内部遺伝子を供し得るウイルスは、ベロ細胞において高い力価、例えば、少なくとも約105 PFU/mL、例えば、少なくとも106 PFU/mL、107 PFU/mL又は108 PFU/mLの力価; 発育鶏卵において高い力価、例えば、少なくとも約107 EID50/mL、例えば、少なくとも108 EID50/mL、109 EID50/mL又は1010 EID50/mLの力価; MDCK細胞において高い力価、例えば、少なくとも約107 PFU/mL、例えば、少なくとも108 PFU/mLの力価、又はそれらの2以上の宿主細胞において高い力価を有するウイルスを含む。
【0014】
一実施形態において、例えばベロ細胞等の細胞における本発明のリアソータントウイルスの力価は、未置換のHA2を有する又はHA2の117位の選択残基を欠如する対応のウイルスの力価の1ログ、2ログ、3ログ、又はそれ以上とすることができる(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。
【0015】
他のPR8単離株又はワクチンウイルス由来の内部遺伝子を有する他のリアソータントは、本発明の組換えリアソータントウイルスにおいて利用可能である。特に、PR8(UW) PB1、PB2、PA、NP、及びM(「5」)及びPR8(Cam) NS (「1」)を有する5:1:2 リアソータント; PR8(UW) NA、PB1、PB2、PA、NP、及びM (「6」)及びPR8(Cam) NS (「1」)を有する6:1:1リアソータント; 及びPR8(UW) PB1、PB2、PA、NP、M、NA、及びNS (「7」) を有する7:1リアソータントが利用可能である。
【0016】
一実施形態において、PB1、PB2、PA、NP、M、及びNSの内部遺伝子に関するDNAは、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされる対応のポリペプチドとして実質的に同一の活性を有するタンパク質をコードする。本明細書において、「実質的に同一の活性」とは、活性又はタンパク質レベルそれぞれについて、対応する全長ポリペプチドの約0.1%、1%、10%、30%、50%、90%、例えば、100%又はそれ以上の活性、又は約80%、90%又はそれ以上の検出可能なタンパク質レベルを含む。一実施形態において、核酸配列は、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされたポリペプチドと、例えば、80〜99のいずれかの整数%、少なくとも80%、例えば、90%、92%、95%、97%又は99%の、連続したアミノ酸配列同一性を有することと実質的に同一であるポリペプチドをコードする配列である。一実施形態において、単離及び/又は精製された核酸分子は、例えば、配列番号1〜6又は33-38の1つと50〜100のいずれかの整数%、少なくとも50%、例えば、60%、70%、80%又は90%、又はそれ以上の連続した核酸配列同一性を有することと実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、単離及び/又は精製された核酸分子はまた、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされたポリペプチドと、80〜99のいずれかの整数%、少なくとも80%、例えば、 90%、92%、95%、97%又は99%の連続したアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードする。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、1又は2以上の、例えば、2、5、10、15、20又はそれ以上の保存的アミノ酸置換、例えば、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされたポリペプチドと比較して残基の最大10%又は20%の保存的置換を有する。保存的アミノ酸置換とは、類似側鎖を有する残基間の互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の基は、セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の基は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の基は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の基は、リジン、アルギニン及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の基は、システイン及びメチオニンである。一実施形態において、保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン; フェニルアラニン-チロシン; リジン-アルギニン; アラニン-バリン; グルタミン酸-アスパラギン酸; 及びアスパラギン-グルタミンである。一実施形態において、インフルエンザウイルスポリペプチドは、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされるポリペプチドと比較して、1又は2以上の、例えば、2、3又は4個の、非保存的アミノ酸置換を有する。
【0017】
従って、本発明は、インフルエンザウイルスのタンパク質を発現する又はコードする、或いはインフルエンザvRNA、未変性及び組換えvRNA双方を発現又はコードする、単離及び精製ベクター又はプラスミドの使用を含む。ベクターは、インフルエンザcDNA、例えば、インフルエンザA (例えば、16 HA又は9 NAサブタイプのいずれかを含む任意のインフルエンザA遺伝子)、B又はC DNAを含む (Fields Virology (Fields et al. (eds.), Lippincott, Williams and Wickens (2006) を参照されたい。それらは特に参照により本明細書に組み込まれる)。任意の適したプロモーター又は転写終結配列は、タンパク質又はペプチド、例えば、ウイルスタンパク質又はペプチド、非ウイルス性病原体のタンパク質又はペプチド、又は治療タンパク質又はペプチドを発現するために利用可能である。
【0018】
本発明のベクターの組成物又は多数のベクターには、例えば、ワクチンとして又は遺伝子置換において有用な免疫原性ペプチド又はタンパク質をコードする外来遺伝子等の、例えば癌治療若しくはワクチンにおいて有用なエピトープ、又は遺伝子治療において有用なペプチド若しくはポリペプチドをコードすることができる異種遺伝子又は翻訳領域もまた含むことができる。ウイルスを調製する場合、目的の遺伝子又はcDNAを含むベクター又はプラスミドは、インフルエンザウイルス遺伝子に関するベクター又はプラスミドと置換する、又は、全てのインフルエンザウイルス遺伝子に関するベクター又はプラスミドに加えることができる。従って、本発明の他の実施形態は、ベクターの1つが置換された上記ベクターの組成物又は斯かるベクターを複数含み、さらに5' インフルエンザウイルス配列をさらに含む。任意には、5' インフルエンザウイルス配列は、目的の核酸配列、例えば、目的のcDNAに結合された、任意には3' インフルエンザウイルスコード配列又はその部分を含む3' インフルエンザウイルス配列に結合された、5'インフルエンザウイルスコード配列又はその部分を含む。一実施形態において、例えばcDNA等の目的の核酸配列は、アンチセンス (アンチゲノム)方向にある。上記の他のベクターと組み合わせたこれらのベクターの、インフルエンザウイルス複製に許容される宿主細胞への導入は、斯かるベクターの異種配列に対応したvRNAを含む組換えウイルスを生じる。
【0019】
vRNA産生のためのベクター中のプロモーターは、RNAポリメラーゼ I プロモーター、RNAポリメラーゼ II プロモーター、RNAポリメラーゼ III プロモーター、T7 プロモーター、又はT3 プロモーターとすることができ、任意にはベクターは、例えばRNAポリメラーゼ I 転写終結配列、RNAポリメラーゼ II 転写終結配列、RNAポリメラーゼ III 転写終結配列、又はリボザイム等の転写終結配列を含む。本発明の範囲内のリボザイムは、テトラヒメナリボザイム、リボヌクレアーゼP、ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピンリボザイム、肝炎リボザイム、及び合成リボザイムを含むがこれらに限定されない。一実施形態において、RNAポリメラーゼ I プロモーターは、ヒトRNAポリメラーゼ I プロモーターである。
【0020】
vRNA又はウイルスタンパク質発現ベクター中のプロモーター又は転写終結配列は、プロモーター又は任意の他のベクターと同一又は異なるものとすることができる。一実施形態において、インフルエンザvRNAを発現するベクター又はプラスミドは、少なくとも1つの特定の宿主細胞、例えば、トリ、又は、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、又はヒト細胞を含む霊長類細胞等の哺乳類宿主細胞における発現、又は1以上の宿主における発現に適したプロモーターを含む。
【0021】
一実施形態において、vRNAに関する少なくとも1つのベクターは、他のリボザイム配列に結合されたウイルスコード配列に結合されたリボザイム配列に結合された、任意にはRNAポリメラーゼ II 転写終結配列に結合された、RNAポリメラーゼ II プロモーターを含む。一実施形態において、vRNA産生のための少なくとも2、例えば、3、4、5、6、7又は8個のベクターは、RNAポリメラーゼ II プロモーター、第一のリボザイム配列を含み、それはウイルスコード配列を含むウイルス配列に相当する配列に対して5'に、第二のリボザイム配列に対して5'に、転写終結配列に対して5'に存在する。各vRNAベクター中の各RNAポリメラーゼ II プロモーターは、任意の他のvRNAベクターにおけるRNAポリメラーゼ II プロモーターと同一又は異なるものとすることができる。同様に、各vRNAベクター中の各リボザイム配列は、任意の他のvRNAベクター中のリボザイム配列と同一又は異なるものとするこができる。一実施形態において、単一ベクター中のリボザイム配列は同一でない。
【0022】
一実施形態において、本発明は、リアソータントのための多数のインフルエンザウイルスベクターを供し、斯かるベクターは、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルス PA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスHA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNP DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、及び転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルス NS cDNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクターであると共に、PB1、PB2、PA、NP、NS、及びMのDNAが1又は2以上のインフルエンザワクチンシードウイルス由来であり、NAに関するDNAは異種NAに関する配列を有し、HAに関するDNAはHA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするよう選択されるベクター(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである); インフルエンザウイルスPAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、及びインフルエンザウイルスNPをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、任意にはインフルエンザウイルスHAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスNAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、又はインフルエンザウイルスNS2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、を含む。一実施形態において、少なくとも1つのベクターは、PB1、PB2、PA、NP、M、又はNS、又はそれらの部分をコードする配列に対応する配列を含み、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされる対応するポリペプチドと実質的に同一の活性を有し、例えば、配列番号1〜6又は10〜15の1つによってコードされるポリペプチドと、80〜100のいずれかの整数%、少なくとも80%、例えば、85%、90%、92%、95%、98%、99%又は100%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドをコードする配列を含む。任意には、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM cDNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクターの代わりに、例えば、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM1 cDNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター、及び転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM2 cDNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むベクター等の2つのベクターが利用可能である。
【0023】
本発明の多数のベクターは物理的に結合する、又は各ベクターは個々のプラスミド又は他の、例えば、線状の、核酸送達ビヒクル上に存在することができる。一実施形態において、各vRNA産生ベクターは、別々のプラスミド上である。一実施形態において、各mRNA産生ベクターは、別々のプラスミド上である。
【0024】
本発明はまた、インフルエンザウイルスの調製方法を供する。斯かる方法は、例えば、連続して又は同時に、感染性インフルエンザウイルスを得るのに有効な量の多数の本発明のベクターと細胞を接触させる工程を含む。本発明はまた、多数のベクターと結合した細胞からウイルスを単離する工程を含む。従って、本発明は、単離ウイルス、及び本発明の多数のベクター又はウイルスと結合した宿主細胞をさらに供する。他の実施形態において、本発明は、他のベクター、vRNA又はタンパク質産生ベクターに先立ち、1又は2以上のベクター、vRNA又はタンパク質産生ベクターと細胞を接触させる工程を含む。一実施形態において、方法で利用されるvRNAベクターに関するプロモーターは、RNAポリメラーゼ I プロモーター、RNAポリメラーゼ II プロモーター、RNAポリメラーゼ III プロモーター、T3プロモーター又はT7プロモーターである。一実施形態において、RNAポリメラーゼ I プロモーターは、ヒトRNAポリメラーゼ I プロモーターである。一実施形態において、方法で利用される各vRNAベクターは、別々のプラスミド上に存在する。一実施形態において、前記方法で利用されるvRNAベクターは、1つのプラスミド又は2つ又は3つの異なるプラスミド上に存在する。一実施形態において、方法で利用される各mRNAベクターは、別々のプラスミド上に存在する。一実施形態において、前記方法で利用されるPA、PB1、PB2及びNPに関するmRNAベクターは、1つのプラスミド又は2つ若しくは3つの異なるプラスミド上に存在する。
【0025】
一実施形態において、本発明は、細胞培養において増強された複製を有するインフルエンザウイルスの選択方法を供する。斯かる方法は、インフルエンザワクチン製造に適した細胞を供する工程; 前記細胞中で、1又は2以上のインフルエンザウイルス単離株を連続的に培養する工程; 及び連続培養前の1又は2以上の単離株と比較して増強された成長を有する、連続的に培養されたウイルスを単離する工程を含む。一実施形態において、細胞はげっ歯類又は霊長類細胞である。
【0026】
本発明はまた、組換えインフルエンザウイルスの成長の変化を与えるHA2を同定する方法を供する。斯かる方法は、変異体HA遺伝子セグメントを得るために、インフルエンザウイルスHA2における1又は2以上の置換を、HA遺伝子セグメント中に導入する工程; 及び変異体HA遺伝子セグメントが複製コンピテント組換えインフルエンザウイルスに存在する場合に、HA2に1又は2以上の置換を有しない対応する複製コンピテントインフルエンザウイルスと比較して、斯かるセグメントが組換えインフルエンザウイルスの増強された複製を細胞において生じるかを同定する工程を含む。一実施形態において、少なくとも1つの置換は、HA2の117位に存在し(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)、例えば、少なくとも1つの置換は、アスパラギン酸又はグルタミン酸への置換である。一実施形態において、前記細胞は、げっ歯類又は霊長類細胞である。一実施形態において、1又は2以上の置換は、酸性側鎖を有するアミノ酸残基への置換である。
【0027】
一実施形態において、本発明は、変異体HA2を有するHA遺伝子セグメントでの組換えインフルエンザウイルスの調製方法を供する。斯かる方法は、HA2の117位のインフルエンザウイルスHA核酸を、アスパラギン酸又はグルタミン酸に変更する工程; 及びHA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸を有するHA遺伝子セグメントを有する組換えインフルエンザウイルスを得るのに有効な量のインフルエンザvRNA産生及びウイルスタンパク質産生のためのベクターを有する細胞において変更された核酸を発現する工程を含む(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。一実施形態において、細胞は、例えば、ヒト細胞等の哺乳類、又はトリ細胞である。
【0028】
本明細書に記載される、ヘルパーウイルス感染が必要ないウイルスの製造方法は、ウイルス変異原性試験、ワクチン(例えば、AIDS、インフルエンザ、肝炎B、肝炎C、ライノウイルス、フィロウイルス、マラリア、ヘルペス、及び足部及び口腔疾患用) の製造、及び遺伝子治療ベクター (例えば、癌、AIDS、アデノシンデアミナーゼ、筋ジストロフィー、オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症及び中枢神経腫瘍用) の製造において有用である。従って、医学療法における使用(例えば、ワクチン又は遺伝子治療) 用ウイルスを供する。
【0029】
本発明はまた、単離ウイルスポリペプチド、及び本発明の組換えウイルスの調製及び使用方法を供する。斯かる方法は、本発明のインフルエンザウイルス、例えば、不活化ウイルス調製物の有効量を、任意にはアジュバント及び/又は担体と併用して、宿主生物、例えば、哺乳類に、そのウイルス又は抗原性に密接に関係したウイルスによる例えば哺乳類等の動物の感染を予防又は寛解するのに有効な量で投与する工程を含む。一実施形態においてウイルスは、筋肉内に投与され、一方他の実施形態において、ウイルスは鼻腔内に投与される。一部の投与プロトコールにおいて、用量は全て筋肉内又は鼻腔内に投与することができ、他のプロトコールにおいては、筋肉内と鼻腔内投与との組合わせを利用することができる。ワクチンは、例えば、多価ワクチンを形成するために、組換えインフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルスの他の単離株、他の病原体、さらなる生物由来物質又は微生物成分をさらに含むことができる。一実施形態において、例えば、不活化インフルエンザウイルス、及び粘膜アジュバントを含む鼻腔内ワクチン接種は、鼻咽頭におけるウイルス特異的IgA及び中和抗体、並びに血清IgGを誘発することができる。
【0030】
本発明のインフルエンザウイルスは、他の抗ウイルス剤の、例えば、アマンタジン、リマンタジン、及び/又はノイラミニダーゼ阻害剤と共に利用することができ、例えば、それらの抗ウイルス剤と組み合わせて、例えば、投与前、中、及び/又は後に別々に投与することができる。
【0031】
本発明はまた、インフルエンザウイルスの増殖に適した細胞を培養する培地のpHを、ウイルス増殖中に変化させ、それらの細胞において増強されたインフルエンザウイルス複製を可能とする方法を供する。従って、MDCK細胞より高いpHを有する後期エンドソームを有する細胞に関して、ウイルス複製中により高いpHを維持するために培地のpHを徐々に変更することは、例えば117位のアスパラギン酸等の特徴的な残基を有するHA2タンパク質の非存在下で、ウイルス産生を増強することができる(HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するものである)。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】図1Aは、PR8(Cambridge) 遺伝子に関するヌクレオチド配列(配列番号10〜15) を示す。
【図1B】図1Bは、PR8(Cambridge) 遺伝子に関するヌクレオチド配列(配列番号10〜15) を示す。
【図1C】図1Cは、PR8(Cambridge) 遺伝子に関するヌクレオチド配列(配列番号10〜15) を示す。
【図2】図2は、ベロ細胞におけるベロ細胞順化PR8ウイルスの成長特性を示す。
【図3】図3は、PR8とベロ細胞順化PR8との間のアミノ酸配列の違いの比較を示す。
【図4】図4は、ベロ細胞順化PR8、非ベロ細胞順化「野生型」PR8、及び野生型ウイルスと比較した1又は2個の置換を有する組換えウイルスのベロ細胞における成長特性を示す。
【図5】図5は、MDCK細胞における、HA2 N117Dウイルス及び野生型PR8の成長特性を示す。
【図6】図6は、三量体としてのHA (A)、単量体としてのHA (B)及びHA2 (C)の3次元構造を示す。
【図7】図7は、全長HAを発現する融合アッセイの模式図を示す。
【図8】図8は、様々なpH条件におけるベロ細胞発現野生型PR8 HA又はHA2 N117Dウイルスの顕微鏡写真を示す。
【図9A】図9Aは、Alexa647及びOregon Green色素のpH感受性を示す。A) Oregon Green色素の蛍光強度は、pH変化に感受性が高いが、Alexa647の蛍光強度はpH 3〜7で変化しない。
【図9B】図9Bは、Alexa647及びOregon Green色素のpH感受性を示す。B) エンドソームpHを検出するためのアッセイの模式図を表す。
【図10】図10は、MDCK細胞及びベロ細胞におけるエンドソームpHの比較を示す。
【図11A】図11Aは、HA2 N117D置換変異体がベロ細胞において増強感染価を有することを示す。ベロ細胞をA/Kawasaki/173/2001 (H1N1)及びA/Kawasaki/173/2001 HA2 N117Dに感染させ、経時で力価を測定した。
【図11B】図11Bは、ベロ細胞をA/Kawasaki/UTK-4/2009 (H1N1)及びA/Kawasaki/UKT-4/2009 HA2 N117Dに感染させ、経時で測定した力価を示す。
【図11C】図11Cは、ベロ細胞をA/Yokohama /2017/2003 (H3N2)及びA/Yokohama/2017/2003 HA2 N116Dに感染させ、経時で測定した力価を示す。
【図12−1】図12−1は、A/Aichi/2/68; A/Dk/Sing/97; A/HK/486/97; A/Sw/9/98; 及びA/HongKong/1073/99由来のHA2配列(配列番号16-20) の配列比較を示す。HA2配列は、残基336-566 (配列番号22) に相当する。
【図12−2】図12−2は、A/Aichi/2/68; A/Dk/Sing/97; A/HK/486/97; A/Sw/9/98; 及びA/HongKong/1073/99由来のHA2配列(配列番号16-20) の配列比較を示す。HA2配列は、残基336-566 (配列番号22) に相当する。
【図12−3】図12−3は、A/California/08/2009由来のHA配列のアミノ酸配列(配列番号21) を示す。HA2配列は、残基336-566 (配列番号22) に相当する。
【図13】図13は、A/Kawasaki/173/2001、A/Kawasaki/UKT-4/2009、及びA/Yokohama/2017/2003に関するHA2配列を示す。NCBIデータベースと一致して、H1、H2、H3、H5、H7、及びH9 HAに関するインフルエンザウイルスHA2配列は、116又は117 (N116又はN117) 位に通常保存された (99%以上)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の詳細な説明
定義
本明細書において、用語「単離」とは、本発明の核酸分子、例えば、ベクター又はプラスミド、ペプチド又はポリペプチド (タンパク質)、又はウイルスのインビトロ(in vitro)での調製及び/又は単離を意味し、よってインビボ(in vivo)の物質と関係がない、又は実質的にインビトロ(in vitro)の物質から精製される。単離ウイルスの調製は、通常インビトロ(in vitro)での培養及び増殖によって、且つ/又は卵内の継代を介して得られ、実質的に他の感染病原体を含まない。
【0034】
本明細書において、「実質的に精製」とは、組成物において対象の種が優勢種である、例えば、モル基準で、任意の他の個々の種より豊富、好ましくは、組成物中に存在する種の少なくとも約80%、任意には90%以上、例えば、存在する種の95%、98%、99%又はそれ以上であることを意味する。
【0035】
本明細書において、「実質的に含まない」とは、特定の感染病原体に対する標準検出方法を使用して、その病原体に関して検出レベル以下を意味する。
【0036】
「組換え」ウイルスとは、ウイルスゲノムに変更を導入するために、例えば、組換えDNA技術を使用してインビトロ(in vitro)で操作されたウイルスである。リアソータントウイルスは、組換え又は非組換え技術によって調製することができる。
【0037】
本明細書において、用語「組換え核酸」又は「組換えDNA配列又はセグメント」とは、ある起源に由来する又は起源から単離されたもので、その後にインビトロ(in vitro)で化学的に変化し得る核酸、例えば、DNAであって、その配列が自然起源でない、又は未変性ゲノムに存在しない自然起源の配列に相当するものを意味する。ある起源に「由来する」DNAの例は、有用な断片として認識され、続いて本質的に純粋な形態で化学的に合成されるDNA配列とすることができる。そのようなある起源から「単離」されたDNAの例は、化学的手段、例えば、制限酵素の使用によって斯かる起源から切除又は除去された有用なDNA配列となり得るものであり、本発明の使用のために、遺伝工学方法によってさらに操作、例えば、増幅することができる。
【0038】
本明細書において、「異種」インフルエンザウイルス遺伝子又は遺伝子セグメントとは、組換え、例えば、リアソータント、インフルエンザウイルス中の、大部分の他のインフルエンザウイルスの遺伝子又は遺伝子セグメントとは異なるインフルエンザウイルス源に由来するものである。
【0039】
用語「単離ポリペプチド」、「単離ペプチド」又は「単離タンパク質」とは、合成起源の1つを含むcDNA又は組換えRNAによってコードされたポリペプチド、ペプチド又はタンパク質、又はそれらの組合わせを含む。
【0040】
本明細書で用いられる用語「組換えタンパク質」又は「組換えポリペプチド」とは、組換えDNA分子から発現されたタンパク質分子を意味する。対照的に、本明細書では用語「未変性タンパク質」とは、自然起源 (すなわち、非組換え起源)から単離されたタンパク質を示すために用いられる。分子生物学的技術は、タンパク質の未変性形態と比較して同一特性を有するタンパク質の組換え形態を産生するために使用することができる。
【0041】
配列比較の方法は当技術分野で周知である。従って、任意の2つの配列間のパーセント同一性の測定は、数学アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0042】
これらの数学アルゴリズムのコンピューターによる実行は、配列同一性を測定する配列比較のために利用することができる。これらのプログラムを使用する配列比較は、デフォルトパラメータを使用して行うことができる。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センターを通じて公的に利用できる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。アルゴリズムは、問い合わせの配列中の長さWの短いワードを同定することによる、高スコア配列ペア(HSP)の最初の同定を含み、斯かる同定は、データベース配列においてワードが同長のワードと整列された場合に、正の値の閾値Tに一致するか又はこれを満たすかを同定する。Tは、近接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つける検索を開始するためのシード(seed)として機能する。続いてワードヒットは、累積配列比較スコアが増加され得る限り、各配列に沿って両方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメータM (マッチする残基のペアのリウォードスコア; 常に> 0) 及びN (ミスマッチの残基のペナルティスコア; 常に<0) を使用して計算される。アミノ酸配列に関して、スコアマトリックスは累積スコアを計算するために使用される。各方向のワードヒットの伸長は、累積配列比較スコアがその最大達成値から量Xまで減少する、1又は2以上の不のスコアの残基配列比較の累積によって累積スコアがゼロ又はそれ以下となる、又は一方の配列末端に到達した場合に停止される。
【0043】
さらに、パーセント配列同一性の算定のために、BLASTアルゴリズムもまた、2つの配列間の類似性の統計分析を実施することができる。BLASTアルゴリズムによって供される類似性の1つの測定値は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じうる可能性を示す、最小の合計確率(P(N))とすることができる。例えば、試験核酸配列の参照核酸配列との比較の最小の合計確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満である場合に、試験核酸配列は参照配列と類似と考えられる。
【0044】
BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関する)は、11のワード長 (W)、10の期待値(E)、100のカットオフ値、M=5、N=4、及び両鎖の比較をデフォルトとして使用することができる。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、3のワード長 (W)、10の期待値 (E)、及びBLOSUM62スコアマトリックスをデフォルトとして使用することができる。http://www.ncbi.n1m.nih.govを参照されたい。配列比較はまた、観察によって手動で実施できる。
【0045】
配列比較に関して、典型的には1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列は、コンピューターに入力され、必要な場合サブシーケンス座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。続いて、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づき、参照配列と比較して試験配列に関してパーセント配列同一性を計算する。
【0046】
インフルエンザウイルスの構造及び増殖
インフルエンザAウイルスは、少なくとも10個のタンパク質をコードする8つの単一鎖ネガティブセンスのウイルスRNA (vRNA) のゲノムを有する。インフルエンザウイルスの生活環は、宿主細胞の表面上のシアル酸含有受容体への赤血球凝集素(HA)の結合から始まり、受容体媒介エンドサイトーシスが続く。後期エンドソームにおける低pHは、HAにおいて立体構造変化を引き起こし、その結果HA2サブユニット (いわゆる融合ペプチド) のN末端を露呈する。融合ペプチドは、ウイルス及びエンドソーム膜の融合を惹起し、マトリックスタンパク質 (M1) 及びRNP複合体を細胞質中に遊離する。RNPは、vRNAをキャプシド形成するヌクレオプロテイン (NP)、及びPA、PB1、及びPB2タンパク質によって形成されるウイルスポリメラーゼ複合体から成る。RNPは核中に輸送され、転写及び複製が行われる。RNAポリメラーゼ複合体は、3つの異なる反応: 5'キャップ及び3' ポリA構造を有するmRNAの合成、全長相補RNA (cRNA) の合成、及び鋳型としてcRNAを使用したゲノムvRNAの合成を触媒する。新たに合成されたvRNA、NP、及びポリメラーゼタンパク質は、続いてRNP中に構築され、核から排出され、細胞膜に輸送され、そこで後代ウイルス粒子の出芽が生じる。ノイラミニダーゼ (NA)タンパク質は、シアル酸をシアリルオリゴ糖から除去することによって感染の終盤において重要な役割を担い、これにより、細胞表面から新たに構築されたウイルス粒子を放出し、ウイルス粒子の自己凝集を防止する。ウイルス集合はタンパク質-タンパク質及びタンパク質-vRNA相互作用を含むが、これらの相互作用の性質はほとんど知られていない。
【0047】
インフルエンザB及びCウイルスは、インフルエンザAウイルスと構造的及び機能的に類似するが、一部の差異が存在する。例えば、インフルエンザBウイルスは、イオンチャネル活性を有するM2タンパク質を有しないが、BM2を有し、NA及びNB配列双方を有する遺伝子セグメントを有する。インフルエンザCウイルスは、7つの遺伝子セグメントのみ有する。
【0048】
本発明において使用することができる細胞株
例えば、任意のトリ細胞、又は、例えばヒト等の、例えば、293T又はPER.C6(登録商標)細胞、又はイヌ、ウシ、ウマ、ネコ、ブタ、ヒツジ、げっ歯類の細胞、例えば、ミンクの細胞、例えば、MvLu1細胞、又はハムスターの細胞、例えば、CHO細胞、又は非ヒト霊長類の細胞、例えば、ベロ細胞等の哺乳類細胞等の、変異体細胞を含む任意の細胞であって、インフルエンザウイルスの効率複製を補助する細胞は、インフルエンザウイルスを単離及び/又は増殖するために使用することができる。単離ウイルスは、リアソータントウイルスを調製するために使用することができる。一実施形態において、ワクチン製造のための宿主細胞は、維持された哺乳類又はトリ株化細胞又は細胞株である。使用される細胞の完全な性質決定は、最終産物の純度に関する適切な試験を含むことが可能となるように行うことができる。細胞の性質決定に使用することができるデータは、(a)その起源、由来、及び継代歴に関する情報; (b) その成長及び形態的特徴に関する情報; (c)外来病原体(adventitious agent)の試験結果; (d) 他の株化細胞の中で明確に認識することができる、例えば生化学、免疫学、及び細胞遺伝的パターン等の際立った特徴; 及び(e)腫瘍形成能に関する試験結果を含む。一実施形態において、使用される宿主細胞の継代レベル、又は集団倍加は、可能な限り低いものとする。
【0049】
一実施形態において、細胞はWHO認可の、又は認可され得る、連続株化細胞である。このような株化細胞の認定に必要な条件は、系統、成長特性、免疫マーカー、ウイルス感受性腫瘍形成能及び保存条件の少なくとも1つに関する性質決定、及び動物、卵、及び細胞培養における試験を含む。このような性質決定は、細胞が検出可能な外来病原体を含まないことを確認するために使用される。一部の国においては、核学もまた必要とすることができる。さらに、腫瘍形成能は、ワクチン製造に使用されるものと同一継代レベルである細胞において試験することができる。ウイルスは、ワクチン製造前に、一貫した結果を生じることが示されている工程によって精製することができる (例えば、世界保健機関、1982を参照されたい)。
【0050】
宿主細胞によって生成されたウイルスは、ワクチン又は遺伝子治療の製剤化前に高度に精製することができる。一般的に、精製方法は、細胞DNA及び他の細胞成分、及び外来病原体の広範な除去を生じる。DNAを広範に分解又は変性する方法もまた使用することができる。
【0051】
インフルエンザワクチン
本発明のワクチンは、本発明の単離組換えインフルエンザウイルス、及び任意には他の単離インフルエンザウイルスを含む1又は2以上の他の単離ウイルス、1又は2以上の単離インフルエンザウイルス又は1又は2以上の他の病原体、例えば、1又は2以上の細菌、非インフルエンザウイルス、酵母又は真菌由来の免疫原性タンパク質の1又は2以上の免疫原性タンパク質又は糖タンパク質、或いは本発明の単離インフルエンザウイルスの1又は2以上の免疫原性タンパク質を含む1又は2以上のウイルスタンパク質をコードする単離核酸をコードする単離核酸(例えば、DNAワクチン)を含む。一実施形態において、本発明のインフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルス又は他の病原体のためのワクチンベクターとすることができる。
【0052】
完全なウイルス粒子ワクチンは、限外濾過によって濃縮し、続いてゾーン遠心分離又はクロマトグラフィーによって精製することができる。本発明のウイルス以外、例えば多価ワクチンに含まれるウイルスは、例えば、ホルマリン又はベータプロピオラクトンを使用して、精製前又は後に不活化することができる。
【0053】
サブユニットワクチンは、精製糖タンパク質を含む。このようなワクチンは、次の通り調製することができる: 界面活性剤での処理によって断片化されたウイルス懸濁液を使用して、例えば、超遠心分離法によって表面抗原が精製される。従って、サブユニットワクチンは、主にHAタンパク質、及びNAもまた含有する。使用される界面活性剤は、例えば、ヘキサデシルトリメチル臭化アンモニウム (Bachmeyer, 1975) 等の陽イオン界面活性剤、例えばデオキシコール酸アンモニウム(Laver & Webster, 1976) 等の陰イオン界面活性剤、又は例えば市販の名称トリトンX100等の非イオン界面活性剤、とすることができる。赤血球凝集素は、ウイルス粒子の処理後に、例えばブロメリン等のプロテアーゼで単離し、続いて精製することもまたできる。サブユニットワクチンは、多価ワクチン中で本発明の弱毒化ウイルスと組合わせることもまたできる。
【0054】
スプリットワクチンは、脂質を溶解する薬剤での処理に供されたウイルス粒子を含む。スプリットワクチンは、次の通り調製することができる: 上記の不活化された又は不活化されていない、得られた精製ウイルスの水性懸濁液を、界面活性剤と組み合わせて、例えばエチルエーテル又はクロロホルム等の脂質溶媒によって撹拌下で処理する。ウイルス外被脂質の溶解は、ウイルス粒子の断片化を生じる。取り出された水相には、除去されたウイルス起源の脂質環境、及びコア又はその分解生成物と共に、主に赤血球凝集素及びノイラミニダーゼから成るスプリットワクチンが含まれる。続いて、残渣感染性粒子は、まだ不活化されていない場合は、不活化される。スプリットワクチンは、多価ワクチン中で本発明の弱毒化ウイルスと組み合わせることができる。
【0055】
不活化ワクチン
不活化インフルエンザウイルスワクチンは、例えば、ホルマリン又はβ-プロピオラクトン処理等のこれらに限定されない周知の方法を使用して、複製されたウイルスの不活化によって供される。本発明において使用することができる不活化ワクチン型は、全ウイルス (WV) ワクチン又はサブビリオン粒子(SV) (スプリット) ワクチンを含むことができる。WVワクチンは、未処理の不活化ウイルスを含有し、一方SVワクチンは、脂質含有ウイルス外被を可溶化する界面活性剤で、続いて残渣ウイルスの化学的不活化によって破壊された精製ウイルスを含有する。
【0056】
さらに、使用することができるワクチンは、単離HA及びNA表面タンパク質含有ワクチンを含み、表面抗原又はサブユニットワクチンと呼ばれる。
【0057】
弱毒化生ウイルスワクチン
例えば、本発明の組換えウイルスを含むワクチン等の弱毒化生インフルエンザウイルスワクチンは、インフルエンザウイルス感染を予防又は治療するために使用することができる。弱毒化は、周知の方法に従って一段階で、複製単離株又はリアソータント(reassorted)ウイルスへの弱毒化ドナーウイルス由来の弱毒化遺伝子の転移によって達成することができる。インフルエンザAウイルスへの抵抗性は、HA及び/又はNA糖タンパク質への免疫応答の発生によってまず媒介されるので、これらの表面抗体をコードする遺伝子は、リアソータントウイルス又は臨床単離株に由来する。弱毒化遺伝子は、弱毒化された親に由来する。このアプローチにおいて、弱毒化を与える遺伝子は通常、HA及びNA糖タンパク質をコードしない。
【0058】
再現性よくインフルエンザウイルスの弱毒化が可能なウイルス(ドナーインフルエンザウイルス)を利用でき、例えば、低温に順化した(ca)ドナーウイルスを弱毒化ワクチン製造に使用することができる。弱毒生リアソータントウイルスワクチンは、caドナーウイルスを病原性複製ウイルスと接合することによって産生することができる。リアソータントの後代は、続いて25°Cにおいて(病原性ウイルスの複製に制限される)、適した抗血清の存在下で選択され、それは弱毒化caドナーウイルスの表面抗体を有するウイルスの複製を阻害する。有用なリアソータントは、(a) 感染性があり、(b) 血清陰性の非成体哺乳類及び免疫学的に初回刺激を受けた成体哺乳類用に弱毒化され、(c) 免疫原性があり、そして(d) 遺伝的に安定である。caリアソータントの免疫原性は、それらの複製レベルに匹敵する。従って、新規な野生型ウイルスによるcaドナーウイルスの6つの伝達性遺伝子の獲得は、成体及び非成体両方の感受性哺乳類のワクチン接種における使用のためのこれらのウイルスを再現性よく弱毒化している。
【0059】
他の弱毒化変異は、部位特異的な変異誘発によって、インフルエンザウイルス遺伝子中に導入し、これらの変異体遺伝子を有する感染性ウイルスを取り出す(rescue)ことができる。弱毒化変異は、ゲノムの非翻訳領域、及び翻訳領域中に導入することができる。これらの弱毒化変異は、HA又はNA以外の遺伝子、例えば、PB2ポリメラーゼ遺伝子中に導入することもまたできる。従って、部位特異的変異誘発によって導入された弱毒化変異を有する新たなドナーウイルスもまた産生することができ、caドナーウイルスに関する上記方法に類似の方法で、このような可能性のある新たなドナーウイルスを弱毒化生リアソータントワクチンの製造において使用することができる。同様に、他の周知及び適した弱毒化ドナー株をインフルエンザウイルスと混合し(reassorted)哺乳類のワクチン接種における使用に適した弱毒化ワクチンを得ることができる。
【0060】
一実施形態において、このような弱毒化ウイルスは、本来の臨床単離株と実質的に同様の抗原決定基をコードするウイルス由来の遺伝子を維持する。これは、弱毒化ワクチンが、ウイルスの本来の臨床単離株と実質的に同一の抗原性を供する一方で同時に、ワクチン接種を受けた哺乳類におけるワクチンの重篤な疾患状態を誘発する可能性が最小となる程度まで病原性を欠失していることを目的とするからである。
【0061】
従って、多価ワクチン中のウイルスは、動物、例えば、哺乳類に免疫応答を導入するために、弱毒化又は不活化し、ワクチンとして周知の方法に従って製剤し且つ投与することができる。このような弱毒化又は不活化ワクチンが、臨床単離株又はそれに由来する高成長の株と類似の抗原性を保持するかを測定する方法は、当技術分野で周知である。このような周知の方法は、ドナーウイルスの抗原決定基を発現するウイルスを除去するための抗血清又は抗体の使用; 化学的選択 (例えば、アマンタジン又はリマンタジン ); HA及びNA活性及び抑制; 及び抗原決定基をコードするドナー遺伝子 (例えば、HA又はNA遺伝子)が弱毒化ウイルス中に存在しないことを確認する核酸スクリーニング (例えば、プローブハイブリダイゼーション又はPCR等)を含む。
【0062】
医薬組成物
接種、例えば、経鼻、非経口又は経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1又は2以上のインフルエンザウイルス単離株、例えば、1又は2以上の弱毒化又は不活化インフルエンザウイルス、それらのサブユニット、それらの単離タンパク質、及び/又は1又は2以上のそのタンパク質をコードする単離核酸を含み、それらは任意にはさらに無菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液を含む。斯かる組成物は、さらに当技術分野で周知の補助剤又は賦形剤を含むことができる。本発明の斯かる組成物は、一般的に、個々の用量形態(単位用量)で表される。
【0063】
通常のワクチンは、一般的に、それらの組成物に加えられる各株由来のHAを、約0.1〜200 μg、例えば、30〜100 μg含有する。本発明のワクチン組成物の主成分を形成するワクチンは、1つのインフルエンザウイルス、又は1又は2以上のリアソータントを含む、例えば、少なくとも2又は3つのインフルエンザウイルス等の、インフルエンザウイルスの組合わせを含むことができる。
【0064】
非経口投与のための調製物は、無菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及び/又は乳濁液を含み、当技術分野で周知の補助剤又は賦形剤を含有することができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブ油等の植物油、及び注射可能な例えばオレイン酸エチル等の有機エステルである。皮膚浸透性を増大し抗原吸収を増強するために、担体又は密封包帯を使用することができる。経口投与用液体剤形は、一般的に、液体剤形を含むリポソーム溶液を含むことができる。リポソームの懸濁に適した形態は、乳濁液、懸濁液、溶液、シロップ、及び例えば精製水等の当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有するエリキシル剤を含む。斯かる不活性希釈剤に加え、このような組成物は、アジュバント、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、又は甘味剤、香味料、又は芳香剤を含むこともまたできる。
【0065】
個体への投与に本発明の組成物が使用される場合、塩、緩衝剤、アジュバント、又は組成物の有効性の改良に望ましい他の物質をさらに含むことができる。ワクチンに関して、アジュバント、特異的免疫応答を増強することができる物質を使用することができる。通常、アジュバント及び組成物は、免疫系への提示の前に混合されるか、免疫化を受けている生物の同一部位中に別々に提示される。
【0066】
ワクチンの異種性は、少なくとも2つのインフルエンザウイルス株、例えば2〜20株等の又はそれらの任意の範囲又は値の複製されたインフルエンザウイルスを混合することによって供することができる。ワクチンは、当技術分野で周知の技術を使用して、インフルエンザウイルスの単一株中のバリエーションに供することができる。
【0067】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの、例えば、遺伝子治療のための化学療法化合物、免疫抑制剤、抗炎症剤又は免疫増強剤、及びワクチン用の、化学療法剤をさらに含む又は追加で含むことができ、それらには、ガンマグロブリン、アマンタジン、グアニジン、ヒドロキシベンズイミダゾール、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、腫瘍壊死因子アルファ、チオセミカルバゾン、メチサゾン、リファンピン、リバビリン、ピリミジン類似体、プリン類似体、フォスカーネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオシド、プロテアーゼ阻害剤、又はガンシクロビルを含むがこれらに限定されない。
【0068】
斯かる組成物は、組成物が投与された生物において安全であり且つ望ましくない効果に寄与しないことが分かっている、エンドトキシンを含まないホルムアルデヒド、及び保存剤を可変量であるが少量含有することもできる。
【0069】
医薬目的
斯かる組成物 (又はそれが誘発する抗血清) の投与は、「予防」又は「治療」目的とすることができる。予防に供する場合、ワクチンである本発明の斯かる組成物は、病原体感染のいずれかの症状又は臨床徴候が顕在化する前に提供する。斯かる組成物の予防投与は、続いて生じる感染の予防又は減弱することに役立つ。予防用に供する場合、本発明の遺伝子治療組成物は、疾患のいずれかの症状又は臨床徴候が顕在化する前に提供する。斯かる組成物の予防投与は、疾患と関係がある1又は2以上の症状又は臨床徴候の予防又は減弱に役立つ。
【0070】
治療上提供する場合、ウイルスワクチンは実際の感染の症状又は臨床徴候の検出に供する。化合物のの治療投与は、実際の感染を減弱するのに役立つ。治療上提供する場合、遺伝子治療組成物は、疾患の症状又は臨床徴候の検出に供する。化合物の治療投与は、その疾患の症状又は臨床徴候を減弱するのに役立つ。
【0071】
従って、本発明のワクチン組成物は、感染の発生の前(予測された感染を予防又は減弱するために) 又は実際の感染の惹起後に供することができる。同様に、疾病又は疾患のいずれかの症状又は臨床徴候が顕在化する前又は1又は2以上の症状が検出された後に、遺伝子治療のために、斯かる組成物を供することができる。
【0072】
組成物は、レシピエント哺乳類がその投与に耐容性を示し得る場合、「医薬的に許容される」とすることができる。このような薬剤は、投与される量が生理的に有意である場合、「治療上有効量」で投与されるという。本発明の組成物は、その存在によりレシピエント患者の生理機能において検出可能な変化を生じる、例えば、感染性インフルエンザウイルスの少なくとも1つの株に対する少なくとも1つの一次又は二次体液性又は細胞性免疫応答を増強する場合、生理的に有効である。
【0073】
提供される「予防」は、絶対である必要はなく、すなわち、哺乳類の対照群又は集団と比較して統計上有意な改善が存在すればよく、インフルエンザ感染が完全に予防又は根絶される必要はない。予防は、インフルエンザウイルス感染の症状又は臨床徴候の発生の重症度又は速度を軽減することに限定することができる。
【0074】
医薬投与
本発明の組成物は、受動免疫又は能動免疫によって、1又は2以上の病原体、例えば、1又は2以上のインフルエンザウイルス株に対して抵抗性を与えることができる。能動免疫において、弱毒化生ワクチン組成物は予防上宿主(例えば、哺乳類)に投与され、投与への宿主の免疫応答は感染及び/又は疾患を防ぐ。受動免疫に関して、誘発された抗血清を回収し、少なくとも1つのインフルエンザウイルス株によって生じる感染に罹患する疑いのあるレシピエントに投与することができる。本発明の遺伝子治療組成物は、能動免疫によって予防又は治療レベルの目的の遺伝子生成物を得ることができる。
【0075】
一実施形態において、ワクチンは、免疫応答を生じるのに十分な時間及び量の条件下で、メス哺乳類 (妊娠又は出産時に又は前) に供し、これにより(胎盤を通した又は母乳中の抗体の受動的な取り込みを介して)メス及び胎仔又は新生仔の双方の保護に役立つ。
【0076】
従って、本発明は、障害又は疾患、例えば、少なくとも病原体の1つの株による感染を予防又は軽減するための方法を含む。本明細書において、ワクチンは、その投与が、疾患の臨床徴候又は状態の全体又は部分的な軽減(すなわち、抑制)、又は疾患への個体の全体又は部分的な免疫を生じる場合、疾患を予防又は軽減するという。本明細書において、遺伝子治療組成物は、その投与が疾患の臨床徴候又は状態の全体又は部分的な軽減 (すなわち、抑制)、又は疾患に対する個体の全体又は部分的な免疫を生じる場合、疾患を予防又は軽減するという。
【0077】
弱毒化されたウイルス及び1又は2以上の他の単離ウイルス、1又は2以上のその単離ウイルスタンパク質、1又は2以上のそのウイルスタンパク質をコードする1又は2以上の単離核酸分子、又はそれらの組合わせを含む、本発明の少なくとも1つのインフルエンザウイルスを有する組成物は、目的を達成する任意の手段によって投与することができる。
【0078】
例えば、これらの組成物の投与は、例えば皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経口又は経皮経路等の様々な非経口経路によって行うことができる。非経口投与は、急速静注又は時間をかけた灌流によって達成することができる。
【0079】
インフルエンザウイルスの関連症状を予防、抑制、又は治療するための典型的な投与計画は、1週〜約24月、又はそれら中の任意の範囲又は値まで及びその期間中、単回治療として投与される、又は増強又は追加投与として反復される、本明細書のワクチン組成物の有効量の投与を含む。
【0080】
本発明によれば、組成物の「有効量」は、目的の効果を達成するのに十分な量である。効果的な用量は、レシピエントの種、年齢、性別、健康、及び体重、併用する場合は併用治療の種類、処理頻度、及び所望の効果の性質次第とすることができると理解される。以下に供する有効量の範囲は、本発明の用量範囲を限定的に表すことを目的とするものではない。
【0081】
例えば哺乳類の成体生物等の動物のための弱毒生又は死滅ウイルスワクチンの用量は、約102〜1015、例えば、103〜1012のプラーク形成単位(PFU)/kg、又はその中のいずれかの範囲とすることができる。不活化ワクチンの用量は、約0.1〜1000、例えば、30〜100 μgのHAタンパク質とすることができる。しかしながら、用量は、現存のワクチンをスタートとし使用して、通常の方法によって決定される安全且つ有効な量とすべきである。
【0082】
複製されたウイルスワクチンの各用量中の免疫反応性HAの用量は、適した用量、例えば、30〜100 μg又はこの中の任意の範囲又は値を含有するよう、又は政府機関又は認可された専門機関によって推奨される量に標準化することができる。NAの量もまた、標準化することができるが、この糖タンパク質は精製及び保存中不安定となり得る。
【0083】
複製されたウイルスワクチンの各用量中の免疫反応HAの用量は、適量、例えば、1〜50 μg又はこの中の任意の範囲又は値、U.S. Public Heath Service (PHS)に推奨される量を含有するよう標準化することができ、通常3歳以上に対して成分あたり15 μg、及び <3歳の小児に対して7.5 μgである。NAの量もまた、標準化することができるが、プロセッサ精製及び保存中はこの糖タンパク質は不安定となり得る(Kendal et al., 1980; Kerr et al., 1975)。ワクチンの0.5-mlの用量は各々、約10〜500億のウイルス粒子、好ましくは100億個の粒子を含みうる。
【0084】
本発明を、以下の非限定的実施例によって説明する。
【実施例】
【0085】
実施例1
方法
細胞及びウイルス
293Tヒト胚腎臓細胞を、ダルベッコ変法イーグル最小基本培地 (DMEM) 中で、10%胎仔の仔ウシ血清及び抗生物質で維持する。5%新生仔の仔ウシ血清及び抗生物質のMEM中で、メイディンダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を成長させる。ヒトのワクチン製造における使用のためのバイオセイフティー試験後に確立されたアフリカミドリザルベロWCB細胞 (Sugawara et al., 2002) を、抗生物質を含む血清非含有VP-SFM培地 (GIBCO-BRL) で維持する。細胞を5% CO2中で37℃で維持する。WHO推奨のワクチンシードウイルスはNIBRG-14である。
【0086】
プラスミドの作成及びリバースジェネティクス
インフルエンザAウイルスのリアソータントを生成するために、プラスミドに基づいてリバースジェネティクス (Neumann et al., 1999)を使用する。ヒトポリメラーゼ I プロモーター及びマウスRNAポリメラーゼ I ターミネーター (PolIプラスミド) の制御下で、全長cDNAをプラスミド中にクローン化した。
【0087】
A/WSN/33 (H5N1; WSN) 又はPR8 株に由来する予め生成された一連のPolI コンストラクトを、リバースジェネティクスに使用する (Horimoto et al., 2006; Neumann et al., 1999)。世界保健機関 (WHO) はA/Puerto Rico/8/34 (H1N1; PR8) を、ヒトにおけるその安全性のためドナーウイルスとして推奨する (Wood & Robertson, 2004; Webby & Webster, 2003)。
【0088】
ニワトリアクチンプロモーターの制御下でWSN又はPR8 NP、PA、PB1、又はPB2を発現するプラスミドを、全リバースジェネティクス実験のために使用する(Horimoto et al., 2006; Neumann et al., 1999)。つまり、PolIプラスミド及びタンパク質発現プラスミドを、形質移入試薬、Trans-IT 293T (Panvera) と混合し、室温で15分間インキュベートし、続いて293T細胞に添加する。形質移入細胞をOpti-MEM I (GIBCO-BRL)において48時間インキュベートする。ベロWCB細胞におけるリバースジェネティクスのために、エレクトロポレーター (Amaxa)を使用して、製造者の指示に従ってプラスミド混合物を形質移入する。形質移入の16時間後、フレッシュに調製したベロWCB細胞を形質移入細胞に添加し、6時間後にTPCK-トリプシン (1g/mL)を培養物に添加する。形質移入細胞を血清非含有VP-SFM中で合計4日間インキュベートする。感染性ウイルス含有の上清を回収し、限界希釈によって生物学的に(bebiologically)クローン化することができる。
【0089】
A/Hong Kong/213/2003 (H5N1)由来のHA及びNA遺伝子及びその他の残部はPR8(UW)由来のA型インフルエンザウイルスの遺伝子を有する組換えウイルスを調製した。組換えウイルスの力価は、1010.67 EID50/mLであり、HAの力価は1:1600であった。
【0090】
【表1】

【0091】
PR8 (UW) 遺伝子の配列は、次の通りである:
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0092】
高力価A/PR/8/34 (H1N1, PR8(UW))ウイルスは卵中で、他のA/PR/8/34 PR8株より10倍良好に成長する(1010 EID50/mL; HA力価:1:8,000)。従って、PR8(UW) のHA及びNA遺伝子の、インフルエンザウイルスの現在流通の株のものとの置換は、安全に生成され得るワクチン株を生じ、マスターワクチン株としてのPR8(UW)の使用を確証する。
【0093】
NIBRG-14 ワクチン株の非HA 及び 非NA遺伝子 (図 1) を供する、PR8(UW) とPR8 (Cambridge)との間の異なる成長特性に寄与する遺伝子を測定した。内部遺伝子の大部分がPR8(UW)に由来する場合、卵中で高い力価が得られた。最も高い力価は、PR8(UW)のM遺伝子セグメント及びPR8(Cambridge) のNS遺伝子を有するものであった。PR8(UW)のNS遺伝子は、K (リジン) を残基55に有し、一方PR8(Cam)のNS遺伝子は、E (グルタミン酸)を有する。ポリメラーゼサブユニット(PA、PB1、及びPB2)及びPR8(UW)のNP遺伝子は、H5N1ワクチンシードウイルスの成長をニワトリ発育鶏卵中で増強し、PR8(Cambridge)のNS遺伝子は、ニワトリ発育鶏卵中でH5N1ワクチンシードウイルスの成長を増強した。PR8(UW) のPB2における360位のチロシン(Y) は、おそらくMDCK細胞におけるそのウイルスの高成長速度に寄与する。
【0094】
実施例2
インフルエンザワクチン製造のためのロバストな系を確立するために、卵非含有の、細胞培養に基づく系が必要である。ベロ細胞は、ヒトへの使用に認可されており、よってインフルエンザウイルスワクチン製造用の候補宿主である。ベロ細胞におけるインフルエンザワクチンのシードウイルスの効率的成長のための分子基盤を解明するために、A/Puerto Rico/8/34 (PR8) ウイルスをベロ細胞を介して12回継代し、得られたウイルスの感染価を測定した。非ベロ細胞順化PR8と比較して、ベロ細胞順化PR8は、4ログ以上の感染価の増加を有した(図2)。
【0095】
成長差の分子基盤を測定するために、両単離株のゲノムの配列決定をした。3個のアミノ酸の差: HA2に1つ、NAに1つ及びPB2に1つ、が見つかった(図 3)。各置換、及び2つの置換の組合わせの寄与を同定するために、個々の置換での組換えウイルスを調製し、それらの組換えウイルスの成長をベロ細胞順化PR8及び非ベロ細胞順化PR8と比較した (図4)。結果は、HA2における置換が、ベロ細胞における増強された成長の第一の要因であることを示した。HA2における置換(N117D) は、MDCK細胞において成長を増強しなかった (図5)。
【0096】
HA2は感染後に露呈される融合ドメインを有するので、野生型PR8 HA2及びHA2 N117Dの特性を比較するために融合アッセイを使用した (図7〜8)。HA2 N117D変異体は、野生型PR8より高いpHでベロ細胞を融合した。ベロ細胞及びMDCK細胞中のエンドソームpHを、pH感受性及び非感受性色素を使用して測定した (図9〜10)。ベロ細胞のエンドソームは、MDCK細胞より高いpHを有すると考えられる。従って、HA2 N117D変異は、HA2によって媒介される膜融合のための最適pHを上昇することができ、その結果ベロ細胞におけるウイルス複製効率を増強することができる。
【0097】
HA2 N117D変異が単独で、ベロ細胞の異なるウイルスにおいてウイルス複製効率を増強することができるかを決定するために、PR8バックグラウンドでその置換を2つ異なるH1N1 ウイルス (AATのGATへの変異) 及び1つのH3N2 ウイルス (AACのGACへの変異) に導入した(6つの遺伝子セグメントは、ベロ細胞順化PR8; PA、PB1、PB2、M、NS及びNPに由来した) (図11)。HA2 N117D変異は、ベロ細胞において3つの全ての試験ウイルスの複製効率を増強した。このようなストラテジーは、ベロ細胞中で増強された複製を有するワクチンウイルスを調製するために利用可能である。
【0098】
参考文献
【0099】
【表10】

【0100】
全出版物、特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前記明細書中で、本発明は特定の好適な実施形態に関して記載され、多くのことが説明の目的で詳細に説明されるが、発明はさらなる実施形態に適応でき、発明の基本原理を逸脱することなく本明細書に記載の詳細の一部は相当に変更可能であることは当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HA2の117位のアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように選択される、第一のインフルエンザワクチンウイルス単離株由来のPA、PB1、PB2、NP、NS、及びM遺伝子セグメント、異種インフルエンザウイルスのNA遺伝子セグメント、及びインフルエンザウイルスのHA遺伝子セグメントを有する(ここで、HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)、単離組換えリアソータントインフルエンザウイルス。
【請求項2】
NA遺伝子セグメント及びHA遺伝子セグメントが、同一のインフルエンザウイルス単離株に由来する、請求項1に記載の単離ウイルス。
【請求項3】
HA遺伝子セグメントが、117位のアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように変異された、請求項1又は2に記載の単離ウイルス。
【請求項4】
PA、PB1、PB2、NP、NS、及びM遺伝子セグメントが、同一のインフルエンザウイルス単離株に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離ウイルス。
【請求項5】
PA、PB1、PB2、NP、NS、及びM遺伝子セグメントが、少なくとも次の、配列番号2によってコードされるアミノ酸配列を有するPB1、又は配列番号2によってコードされるPB1と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPB1、配列番号3によってコードされるアミノ酸配列を有するPB2、又は配列番号3によってコードされるPB2と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPB2、配列番号1によってコードされるアミノ酸配列を有するPA、又は配列番号1によってコードされるPAと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPA、配列番号4によってコードされるアミノ酸配列を有するNP、又は配列番号4によってコードされるNPと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するNP、配列番号5によってコードされるアミノ酸配列を有するM、又は配列番号5によってコードされるMと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するM、或いは配列番号6によってコードされるアミノ酸配列を有するNS、又は配列番号6によってコードされるNSと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するNS、の1つの配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離ウイルス。
【請求項6】
PA、PB1、PB2、NP、NS、及びM遺伝子セグメントが、少なくとも次の: 配列番号10によってコードされるアミノ酸配列を有するPB1、又は配列番号10によってコードされるPB1と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPB1、配列番号11によってコードされるアミノ酸配列を有するPB2、又は配列番号11によってコードされるPB2と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPB2、配列番号12によってコードされるアミノ酸配列を有するPA、又は配列番号12によってコードされるPAと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するPA、配列番号13によってコードされるアミノ酸配列を有するNP、又は配列番号13によってコードされるNPと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するNP、配列番号14によってコードされるアミノ酸配列を有するM、又は配列番号14によってコードされるMと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するM、或いは配列番号15によってコードされるアミノ酸配列を有するNS、又は配列番号15によってコードされるNSと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するNS、の1つに関する配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離ウイルス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離組換えウイルスを有する、ワクチン。
【請求項8】
リアソータントを調製するための複数のインフルエンザウイルスベクターであって、
a) 転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスHA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNP DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスM DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、及び転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNS cDNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクターであって、vRNA産生のためのベクター中のPB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAが、1又は2以上のインフルエンザワクチンウイルス単離株に由来すると共に、NAのvRNA産生のためのベクター中のNA DNAが、異種NAに関する配列を有し、HAのvRNA産生のためのベクター中のHA DNAが、HA2の117位(ここで、HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)のアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように選択されるベクター; 及び、
b) インフルエンザウイルスPAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、及びインフルエンザウイルスNPをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、及び任意にはインフルエンザウイルスHAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスNAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、又はインフルエンザウイルスNS2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、
を含むベクター。
【請求項9】
ワクチンウイルス単離株が、発育鶏卵、MDCK細胞、ベロ細胞、又はそれらの組合わせの中で高い力価で複製する単離株として選択される、請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
ワクチンウイルス単離株が、哺乳類細胞中で高い力価で複製する単離株として選択される、請求項8又は9に記載のベクター。
【請求項11】
哺乳類細胞が、ヒト細胞、ベロ細胞又はCHO細胞である、請求項10に記載のベクター。
【請求項12】
vRNA産生のためのベクター中のPB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAが、配列番号1〜6又は10〜15によってコードされる対応するポリペプチドと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするDNAに相当する配列を有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項13】
vRNAベクターに関するプロモーターが、RNAポリメラーゼ I プロモーター、RNAポリメラーゼ II プロモーター、RNAポリメラーゼ III プロモーター、T3プロモーター又はT7プロモーターである、請求項8〜11のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項14】
NAがN1である、請求項8〜13のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項15】
インフルエンザウイルスの調製方法であって、
感染性インフルエンザウイルスを得るのに有効な量の、
転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB1 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスPB2 DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスHA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNP DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNA DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルス M DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクター、及び転写終結配列に結合されたインフルエンザウイルスNS DNAに操作可能に結合されたプロモーターを含むvRNA産生のためのベクターであって、vRNA産生のためのベクター中のPB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAが、1又は2以上のインフルエンザワクチンウイルス単離株に由来すると共に、NAのvRNA産生のためのベクター中のNA DNAが、異種NAに関する配列を有し、HAのvRNA産生のためのベクター中のHA DNAが、HA2の117位のアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように選択される(ここで、HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)ベクター、及び、
インフルエンザウイルスPAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスPB2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、及びインフルエンザウイルスNPをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、任意にはインフルエンザウイルスHAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスNAをコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM1をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、インフルエンザウイルスM2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、又はインフルエンザウイルスNS2をコードするDNAセグメントに操作可能に結合されたプロモーターを含むmRNA産生のためのベクター、と、
細胞を接触させる工程を含む、インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項16】
細胞がトリ細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
細胞が哺乳類細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
細胞がベロ細胞、ヒト細胞又はハムスター細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
インフルエンザワクチンウイルス単離株が、発育鶏卵、ヒト細胞、CHO細胞、MDCK細胞、ベロ細胞、又はそれらの組合わせの中で高い力価で複製する単離株として選択される、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
vRNA産生のためのベクター中のPB1、PB2、PA、NP、NS、及びM DNAが、配列番号1〜6又は10〜15によってコードされる対応するポリペプチドと少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするDNAに相当する配列を有する、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ウイルスを単離する工程をさらに含む、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法によって得られたウイルス。
【請求項23】
HA2の117位のアスパラギン酸又はグルタミン酸をコードするように選択されるHA遺伝子セグメントを含む単離組換えリアソータントインフルエンザウイルスであって、当該組換えウイルスが、HA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸を有さない対応のウイルスと比較して、ベロ細胞において増強された複製を有する(ここで、HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)、単離組換えリアソータントインフルエンザウイルス。
【請求項24】
NA遺伝子セグメントが255位にチロシンを有する(ここで、NA残基に関するナンバリングは、N1に関するナンバリングである)、請求項23に記載の単離組換えウイルス。
【請求項25】
対応するウイルスが、HA2の117位にアラニン、アスパラギン、アルギニン又はリジンを有する、請求項23又は24に記載の単離組換えウイルス。
【請求項26】
変異体HA2を保持するHA遺伝子セグメントを有する組換えインフルエンザウイルスの調製方法であって、
インフルエンザウイルスのHAのHA2の117位の核酸を、アスパラギン酸又はグルタミン酸に変更する工程、及びHA2の117位にアスパラギン酸又はグルタミン酸を保持するHA遺伝子セグメントを有する組換えインフルエンザウイルスを得るために有効な量のインフルエンザvRNA産生及びウイルスタンパク質産生のためのベクターを有する細胞中で前記変更された核酸を発現する工程を含む(ここで、HA2残基に関するナンバリングは、H1 HA2に関するナンバリングである)、組換えインフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項27】
細胞が哺乳類又はトリ細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
細胞がヒト細胞である、請求項26に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−507990(P2013−507990A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536963(P2012−536963)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054128
【国際公開番号】WO2011/056591
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508293944)ダブリュエーアールエフ−ウィスコンシン アラムナイ リサーチ ファウンデーション (2)
【Fターム(参考)】