説明

ベンゾフラン−2−カルボキシアミドの調製方法

本発明は、式(I)のベンゾフラン−2−カルボキシアミド(式中、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1に示された意味を有する)の製造方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

【0002】
式中、
、Rは、Hまたは3〜7個のC原子を有するシクロアルキルまたは1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキル基を示し、夫々、非置換であるか、Aによって置換されており、アルキル基の1または2以上のCH基は、O原子もしくはS原子で、またはCH=CH基もしくはC=C基によって置き換えられてもよく、またはアルキル基の1または2以上の水素原子は、Hal、OH、Ar、Het、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル、N(RCN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOAもしくはSONRによって置き換えられてもよく;
NRは、ともに3〜7員の飽和ヘテロ環状環を示し、それに加えて、1もしくは2個のN原子および/または1もしくは2個のS原子および/または1もしくは2個のO原子および/または1つのS(O)基を有していてもよく、A、Hal、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル、OR、N(R、CN、COOR、CON(R、NRCORおよび/またはカルボニル酸素によって置換されていてもよく;
【0003】
Aは、非分枝状もしくは分枝状の1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、少なくとも1つのCH基がO原子もしくはS原子、またはCH=CH基によって置き換えられていてもよく、または少なくとも1つのH原子がFによって置き換えられていてもよい;
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、夫々、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOA、COR、SONRもしくはS(O)Aによって一置換または多置換されており;
【0004】
Hetは、飽和、不飽和または5〜10員を有する芳香族モノへテロ環状基もしくは2環式へテロ環状基を示し、そのうち1〜4個のN原子および/または1〜4個のS原子および/または1〜4個のO原子を有していてもよく、ならびにヘテロ環状基はHal、A、−[C(R−Ar、−[C(R−シクロアルキル、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRCON(R7)、NRSOA、COR、SONRもしくはS(O)Aおよび/またはカルボニル酸素によって一置換、二置換または三置換されていてもよく;
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し;
【0005】
nは、2、3、4または5を示し;
mは、1または2を示し;
oは、1、2、3または4を示し;
、R、R、Rは、夫々、互いに独立して、H、Aまたは1〜20個のC原子を有するアルコキシ、Ar、アリールオキシまたはCOOR、Hal、OH、CN、NO、N(R、NHCOR、CHOH、CHORもしくはCO(RならびにR、R、R、Rの基のひとつは、特にR基は、代わりに4−ベンジルピペラジニル、4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル、脱離基または
【化2】

も示し、
【0006】
は、HまたはAを示し;
Qは、アミノ保護基を示す、
で表されるベンゾフラン−2−カルボキシアミドを、適当な塩基の存在下で式IIおよび式III
【化3】

【0007】
式中、
Xは、Halを示し;
は、Aを示し、
〜Rは、上記で示された意味を有する、
の化合物の反応によって製造する方法に関する。
【0008】
本発明は、特に、例えば、抗うつ薬などの薬剤調製の出発化合物として適している置換ベンゾフラン−2−カルボキシアミドの合成を容易にする。特に、簡単な方法での5−(4−tert−ブトキシカルボニル−1−ピペラジニル)ベンゾフラン−2−カルボキシアミド調製の可能性を広げる。この種の化合物は、例えば、抗うつ薬EMD68843(ビラゾドン)などの抗うつ薬の合成の前駆体である。
【0009】
現在まで、置換サリチルアルデヒドからの(I)の調製の2つの方法が記述されている。これらのうち、置換サリチルアルデヒドはXCHCOORとXCH(COOR)のどちらとも反応し、ここでRは、アルキル基を表す。したがって、現在までに知られている方法は、比較的低い収率のマルチカット方法である。
【0010】
したがって、本発明は、式(I)の化合物または塩の調製方法の発展、平易化(一段階過程)と高収率の両方の目的に基づいていた。
【0011】
特に、例えばこれらの中枢神経系で作用する薬剤の調製のための重要な中間体である式Iの化合物ならびにその塩は、式IIの化合物またはその塩と式IIIの化合物またはその塩の反応によって行うことができると発見されている。
【0012】
本明細書を通して、基R〜R、ならびにQおよびXは、明確に異なるものと示されない限り、式I〜IIIで示される意味を有する。
【0013】
基Aは、非分枝状または分枝状アルキルを示し、ならびに1〜6個の、好ましくは1、2、3、もしくは4個、特に1もしくは2個の炭素原子を有する。したがって、アルキルは、特に、例えばメチル、さらにエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、もしくはtert−ブチル、さらにペンチル、1−、2−、もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−、もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、へキシル、1−、2−、3−、もしくは4−メチルペンチル、1,1−、1,2−1,3−、2,2−、2,3−、もしくは3,3−ジメチルブチル、1−もしくは2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−もしくは1,2,2−トリメチルプロピルを示し、そのなかでCH基はO原子もしくはS原子またはCH=CH基によって置き換えられるか、または少なくとも一つの水素原子がフッ素によって置き換えられることが可能である。したがって、基Aは、さらに、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、メトキシメチル、メトキシエチル、メチルスルファニルエチル、メチルスルファニルプロピル、エチルスルファニルメチル、 エチルスルファニルエチル、エチルスルファニルプロピル、アリル、プロペニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ペンタ−3−エニル、ペンタ−4−エニル、またはヘキサ−3−エニルを示す。
【0014】
アリールまたはArは、フェニル、ナフチル、またはビフェニルを示し、これらは夫々、非置換もしくはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOA、SONR、もしくはS(O)A、によって一置換または多置換されており、Aは、上記に示された意味のひとつを有し、ならびにRおよびmは、下記に示される意味のひとつを有する。
【0015】
Arは、好ましくは非置換または置換されたフェニル、ナフチル、またはビフェニル、特にフェニルが好ましく、o−、m−、もしくはp−トリル、o−、m−、もしくはp−エチルフェニル、o−、m−、もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−、もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−、もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−、もしくはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−、もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−、もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−、もしくはp−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、もしくはp−シアノフェニル、o−、m−、もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−、もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−、もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−、もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−、もしくはp−クロロフェニル、o−、m−、もしくはp−(ジフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、もしくはp−(フルオロメトキシ)フェニル、さらに好ましいのは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、もしくは3,5−ジブロモフェニル、
【0016】
2−クロロ−3−メチル−、2−クロロ−4−メチル−、2−クロロ−5−メチル−、2−クロロ−6−メチル−、2−メチル−3−クロロ−、2−メチル−4−クロロ−、2−メチル−5−クロロ−、2−メチル−6−クロロ−、3−クロロ−4−メチル−、3−クロロ−5−メチル−もしくは3−メチル−4−クロロフェニル、2−ブロモ−3−メチル−、2−ブロモ−4−メチル−、2−ブロモ−5−メチル−、2−ブロモ−6−メチル−、2−メチル−3−ブロモ−、2−メチル−4−ブロモ−、2−メチル−5−ブロモ−、2−メチル−6−ブロモ−、3−ブロモ−4−メチル−、3−ブロモ−5−メチル−、もしくは3−メチル−4−ブロモ−フェニル、2,4−もしくは2,5−ジニトロフェニル、2,5−もしくは3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−、もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル、さらに好ましいのは2−ニトロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニル、2,5−ジメチルフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、2−フルオロ5−もしくは4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−クロロ−2−または4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)、2−クロロ−4−または2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル、4−ブロモ−2−または4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)フェニル、p−ヨードフェニル、2−ニトロ−4−メトキシフェニル、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェニル、2−メチル−5−ニトロフェニル、2,4−ジメチル−3−ニトロフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,4−ジクロロ−5−メチルフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、2−メトキシ−5−メチルフェニルまたは2,4,6−トリイソプロピルフェニルである。Arは、とりわけフェニルが好ましい。
【0017】
非置換もしくはAによって置換された3〜10個のC原子を有するシクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、4−メチル−シクロへキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチルで示される。シクロアルキルは、さらにモノ−もしくは2環式テルペン、好ましくは、p−メンタン、メンソール、ピナン、ボルナン、もしくはカンファー、これらは各々立体異性体が含まれていることが知られており、またはアダマンチルを示す。カンファーに関して、これはL−カンファーならびにD−カンファーの両方を意味する。シクロアルキルは、特に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、または4−メチルシクロヘキシルが好ましい。
【0018】
Halはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、特に塩素または臭素を示す。式Iの化合物中で、Halは特にフッ素を示すのが好ましい。
【0019】
Hetは飽和、不飽和または5〜10の環要素を有し、1〜4個のN原子および/または1〜4個のS原子および/または1〜4個のO原子が存在し、およびヘテロ環状基は、Hal、A、−[C(R−Ar、−[C(R−シクロアルキル、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRCON(R、NRSOA、COR、SONRもしくはS(O)Aおよび/またはカルボニル酸素によってモノ、ジ、もしくはトリ置換されている芳香族モノ−または2環式へテロ環状基を示す。Aならびにシクロアルキルは、前述で示された意味のひとつを有し、R、mならびにoは後述で示される意味のひとつを有する。
【0020】
Hetは、好ましくは置換された、または非置換の2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−、もしくは3−ピローリル、1−、2−、4−、もしくは5−イミダゾリル、3−、4−、もしくは5−ピラゾリル、2−、4−、もしくは5−オキサゾリル、3−、4−、もしくは5−イソオキサゾリル、2−、4−、もしくは5−チアゾリル、3−、4−、もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−、もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−、もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−、もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−、もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5、6−、もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−、もしくは5−ベンズ−イミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンゾチアゾリル、4−もしくは5−ベンゾチアジアゾリル、2−、4−、5−、6−、もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−、もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、
【0021】
1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−、もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−、もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−、もしくは8−キナゾリニルである。ヘテロ環基もまた部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。このようにHetは2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−、もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、テトラヒドロ−2−、もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、もしくは−5−ピローリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、もしくは−5−ピローリル、1−、2−、もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−、もしくは−3−ピロリル、テトラヒドロ−1−、−2−、もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−1H−インドリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒド−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドローー、−2−、−3−、−4−、−5−、もしくは−6−ピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、もしくは−6−ピリジル1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、1−、2−、3−もしくは4−アゼパニル、2−、3−、もしくは4−モルフォリニル、テトラヒドロ−2−、−3−、もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−、もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−、もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−、もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリニルをもまた示すだろう。
【0022】
Hetは、好ましくは特に、非置換フラン−2−イル、テトラヒドロフラン−2−イル、ピリジン−4−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−2−イル、チオフェン−2−イルもしくはイミダゾール−5−イルである。
【0023】
は、3〜10個のC原子を有するシクロアルキルまたは非分枝状または分枝状の1〜10個のC原子を有するアルキルを示す。その各々は非置換またはAによって置換されており、およびアルキル基の1または2以上のCH基がO原子もしくはS原子、CH=CH基、またはC=C基によって置き換えられていることがあり、またはアルキル基の1または2以上の水素原子がHal、OH、Ar、Het、C〜C10のシクロアルキル、N(RCN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOAもしくはSONRによって置き換えられていることがある。A、Ar、Hal、Het、およびシクロアルキルは、前述で示された意味のひとつを有し、ならびにRは、後述で示された意味のひとつを有する。
【0024】
は、さらに好ましくは、H、アリル、ベンジル、フェニルエチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、アミノカルボニルメチル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、2−メチルアミノエチル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、プロパ−2−イニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フラン−2−イルメチル、2−モルフォリン−4−イルエチル、ピリジン−3−イルメチル、ピリジン−2−イルメチル、ピリジン−4−イルメチル、2−イミダゾール−5−イルメチル、チオフェン−2−イルメチルまたはテトラヒドロフラン−2−イルメチルを示す。
【0025】
は、H、AまたはRを示し、AならびにRは、前述で示された意味のひとつを有する。Rは、特にHが好ましい。
【0026】
NRは、ともに3〜7員の飽和へテロ環状環を示し、加えて、環には、1もしくは2個のN原子および/または1もしくは2個のS原子および/または1もしくは2個のO原子および/または1つのS(O)基が存在してもよく、A、Hal、C〜C10シクロアルキル、OR、N(R、CN、COOR、CON(R、NRCOR、および/またはカルボニル酸素によって置換されているだろう。A、Hal、およびシクロアルキルは前述で示された意味のひとつを有し、ならびにRは後述で言及される意味のひとつを有する。
【0027】
NRは、好ましくは、1−、2−、もしくは3−ピローリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−、もしくは4−イミダゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1−、2−、3−もしくは4−ピペラジニル、1−、2−、3−もしくは4−アゼパニル、2−、3−もしくは4−ピリダジニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−、もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニルまたは1−、2−、もしくは3−ピペラジニルである。NRは、特に好ましくは、ピペリジン−1−イルならびにモルフォリン−1−イルである。
【0028】
nは、2,3,4、または5を示し、特に4が好ましい。
mは、1または2を示す。
oは、0、1、2、3または4を示す。
【0029】
脱離基とは反応の間に離れる基を示す。特に、この目的に適しているの基は、Hal、ClもしくはBr、トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、メタンスルホニル、ならびにトリフルオロメタンスルホニルである。
【0030】
アミノ保護基という用語は、化学反応に対してアミノ基を保護する能力のある基に関係があるが、望みの反応のあと簡単に、分子のどこか他のところへ取り除かれることができる。典型的には、アミノ保護基は、特に、非置換のアシル、アリール、アラルコキシメチルまたはアラルキル基である。アミノ保護基は、所望の反応の後、取り除かれるので、種類と大きさは比較的重要ではない要素である。それにもかかわらず、好ましくはアミノ保護基は、1〜20個のC原子を有し、特に、1〜8個のC原子を有するのが好ましい。アシル基は、脂肪族、アルアリファチック(araliphatic)、芳香族、またはヘテロ環状カルボン酸もしくはスルホン酸および特にアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルならびにさらにアルアルコキシカルボニル基の誘導体の意味を有する。この種のアシル基の例は、アセチル、プロピノイルなどのアルカノイル、フェニルアセチルなどのアルアルカノイル、ベンゾイルもしくはトリルなどのアロイル、フェノキシアセチルなどのアリールアルカノイル、メトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOC(tert−ブトキシカルボニル)、2−ヨードエトキシカルボニル、CBZ(カルボベンゾキシカルボニル)などのアルアルキロキシカルボニル、4−メトキシベンゾキシカルボニル、FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルフェニルスルホニル)などのアリールスルホニルがある。特に、アミノ保護基は、ベンジルまたはBOCを示す。
【0031】
、R、R、ならびにRは、好ましくはお互いに独立してH、メチルもしくはエチル、を示すが、特にHである。
は、特に好ましくはメチル、エチル、4−ベンジルピペラジニルまたは4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イルまたは脱離基を示すが、特にHもしくは4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イルまたは脱離基を示す。
およびRは、好ましくは、お互いに独立して、メチルもしくはエチルを示すが特にエチルを示す。
【0032】
特に好ましい式IIの化合物は、ブロモマロン酸モノエチルエステルモノアミドである。
特に好ましい式IIIの化合物は、5−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒドまたは
【化4】

【0033】
式中、Lは脱離基を示し、Brが好ましい、である。本発明の方法のなかで、式IIIの化合物は好ましくは、例えば水、アルコール、エーテル、飽和または芳香族のハロゲン化されたもしくはハロゲンフリーの炭化水素、またはそれらの混合物などの溶媒のなかで溶解もしくは懸濁するが、特に、例えばジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒がよい。例えば、炭酸カリウムもしくはアルカリ金属アルコキシドなどの適当な塩基が加えられる。式IIの化合物は後に加えられ、ならびに1〜2時間、好ましくは2〜10時間攪拌される。その反応混合物は20℃〜200℃で、好ましくは50℃〜180℃で、特に80℃〜150℃で温められ、さらに1〜24時間、好ましくは2〜10時間温められる。この方法で作られた目的の化合物は慣習的な操作によって得られる。
【0034】
慣習的な操作とは、好ましくは、ろ過、水の追加と再ろ過を意味する。
本発明による方法の望ましい体系化は後述によって与えられる。
【0035】
式Iの化合物を与える式IIの化合物と式IIIの化合物の反応が述べられた、式Iの化合物の調製方法は、0℃〜200℃で行われる。
【0036】
式Iの化合物を与える式IIの化合物と式IIIの化合物の反応が述べられた、式Iの化合物の調製方法は、pH7〜14、好ましくはpH8〜11で行われる。
【0037】
本発明にしたがう方法の助力で調製されたこの物質は、抗うつ薬の合成のための前駆体として、特に抗うつ薬EMD68843(ビラゾドン(vilazodone))の合成に役に立つことができる。
後述の℃はセルシウス温度を示す。
【0038】
例1:
1.4gの2−ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させた15mlのジメチルホルムアミドを20℃で攪拌する。2.1gの炭酸カリウムを加え15分攪拌する。2.8gの2−ブロモマロン酸モノエチルエステルモノアミドを後で計量し加える。その混合物を室温で2時間攪拌し、それから120℃で5時間攪拌する。20℃まで冷却したあと、固形成分はろ過して取り除く;ろ過の残基は20mlジメチルホルムアミドで洗浄し廃棄する。化合したろ液は攪拌しながら150mlの水でゆっくり希釈し、20℃で1時間攪拌する。生成した固形生成物はろ過で取り除かれ、ろ過の残基は水で洗浄し乾燥させる。その固形生成物はトルエン/n−ヘプタンから再結晶させる。
【0039】
例2
3.5gの5−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒドを溶解させた15mlのジメチルホルムアミドを20℃で攪拌する。2.1gの炭酸カリウムを加え15分攪拌する。2.8gの2−ブロモマロン酸モノエチルエステルモノアミドを後で計量し加える。その混合物を室温で2時間攪拌し、それから120℃で5時間攪拌する。20℃まで冷却したあと、固形成分はろ過して取り除く;ろ過の残基は20mlジメチルホルムアミドで洗浄し廃棄する。化合したろ液は攪拌しながら150mlの水でゆっくり希釈し、20℃で1時間攪拌する。生成した固形生成物はろ過で取り除かれ、ろ過の残基は水で洗浄し乾燥させる。その固形生成物はトルエン−ヘプタンから再結晶させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
、Rは、Hまたは3〜7個のC原子を有するシクロアルキルまたは1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキル基を示し、夫々、非置換であるか、Aによって置換されており、アルキル基の1または2以上のCH基は、O原子もしくはS原子で、またはCH=CH基もしくはC=C基によって置き換えられてもよく、またはアルキル基の1または2以上の水素原子は、Hal、OH、Ar、Het、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル、N(RCN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOAもしくはSONRによって置き換えられてもよく;
NRは、ともに3〜7員の飽和ヘテロ環状環を示し、それに加えて、1もしくは2個のN原子および/または1もしくは2個のS原子および/または1もしくは2個のO原子および/または1つのS(O)基を有していてもよく、A、Hal、3〜10個のC原子を有するシクロアルキル、OR、N(R、CN、COOR、CON(R、NRCORおよび/またはカルボニル酸素によって置換されていてもよく;
Aは、非分枝状もしくは分枝状の1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、少なくとも1つのCH基がO原子もしくはS原子、またはCH=CH基によって置き換えられていてもよく、または少なくとも1つのH原子がFによって置き換えられていてもよい;
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、夫々、非置換であるかまたはHal、A、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOR、NRCON(R、NRSOA、COR、SONRもしくはS(O)Aによって一置換または多置換されており;
Hetは、飽和、不飽和または5〜10員を有する芳香族モノへテロ環状基もしくは2環式へテロ環状基を示し、そのうち1〜4個のN原子および/または1〜4個のS原子および/または1〜4個のO原子を有していてもよく、ならびにヘテロ環状基はHal、A、−[C(R−Ar、−[C(R−シクロアルキル、OR、N(R、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRCON(R7)、NRSOA、COR、SONRもしくはS(O)Aおよび/またはカルボニル酸素によって一置換、二置換または三置換されていてもよく;
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し;
nは、2、3、4または5を示し;
mは、1または2を示し;
oは、0、1、2、3または4を示し;
、R、R、Rは、夫々、互いに独立して、H、Aまたは1〜20個のC原子を有するアルコキシ、Ar、アリールオキシまたはCOOR、Hal、OH、CN、NO、N(R、NHCOR、CHOH、CHORもしくはCO(RならびにR、R、R、Rの基のひとつは、特にR基は、代わりに4−ベンジルピペラジニル、4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル、脱離基または

【化2】

も示し、
は、HまたはAを示し;
Qは、Hまたはアミノ保護基を示す、
で表されるベンゾフラン−2−カルボキシアミドを、適当な塩基の存在下で式IIおよび式III
【化3】

式中、
Xは、Halを示し;
は、Aを示し、
〜Rは、上記で示された意味を有する、
の化合物の反応によって製造する方法。
【請求項2】
R´およびRが、同時にHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、脱離基、4−tert−ブトキシカルボニル−ピペラジン−1−イルまたは4−ベンジルピペラジニルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
、RおよびRが、互いに独立して、Hまたはメチルである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
がHである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
がアルキルである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
5−(4−tert−ブトキシカルボニル−1−ピペラ−ジニル)ベンゾフラン−2−カルボキシアミドを製造する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応が、極性非プロトン性溶媒中で行われることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物を得るための、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応が、pH値7〜14および温度0〜200℃で行われることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の式Iの化合物を製造する方法。
【請求項10】
化合物式IIIに、5−(4−tert−ブトキシ−カルボニルピペラジン−1−ニル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒドを用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2010−513336(P2010−513336A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541800(P2009−541800)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010123
【国際公開番号】WO2008/080456
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】