説明

ペアガラスユニット及び遊技台

【課題】ペアガラスのガラス板と枠との分離が容易にでき、廃材の分別を容易にすると共に再利用が可能なことにより、地球環境の保護を図ることができるペアガラスユニット及びこれを備えた遊技台を提供する。
【解決手段】本発明に係るペアガラスユニット1は、左右のガラス板11a、11bからなるペアガラス11と、ペアガラス11の周縁に配置すると共に左右のガラス板11a、11b間に挟持される枠13と、枠13に取り付けるクリップ15とを備え、枠13は外周側に突設する爪部23を有し、クリップ15は爪部23に係止する係止部29と、枠13の長手方向で係止部29に連続して設けた摘み部41と、左右のガラス板11a、11bの外面に当接する左右の当接部31とを有し、左右の当接部31は先端31aほど互いの間隔を狭めてあり、弾性変形によりペアガラスの外面に圧接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペアガラスユニット及びこれを備えた遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遊技台の前面に設けたペアガラスユニットにおいて、ペアガラスの周縁には左右のガラス板間に枠(ガラスフレーム)を配置すると共に、枠をペアガラスの縁に固定することが開示されている。
この特許文献1には、枠の固定方法については具体的に開示されていないが、一般的には、枠は左右のガラス板に接触する左右両側の接触面と、ペアガラスの縁に当接する当接面とに接着材を塗布して、左右のガラス板に接着固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−119246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のペアガラスユニットは、枠が左右のガラス板の内側面と縁とに接着材で固定されているため、遊技台を廃棄する際には、ガラス板と枠(樹脂材や金属材)との分離が困難なため、廃材の分別ができないと共に再利用ができず、地球環境に好ましくないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ペアガラスのガラス板と枠との分離が容易にでき、廃材の分別を容易にすると共に再利用が可能なことにより、地球環境の保護を図ることができるペアガラスユニット及びこれを備えた遊技台を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、左右のガラス板からなるペアガラスと、ペアガラスの周縁に配置すると共に左右のガラス板間に挟持される枠と、枠に取り付けるクリップとを備え、枠は外周側に突設する爪部を有し、クリップは枠の爪部に係止する係止部と、枠の長手方向で係止部に連続して設けた摘み部と、係止部の左右から延出して先端が左右のガラス板の外面に当接する左右の当接部とを有し、左右の当接部は先端ほど互いの間隔を狭めてあり、弾性変形してペアガラスの外面に圧接していることを特徴とするペアガラスユニットである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、クリップには、左右の各当接部と係止部との間に治具の挿入孔が形成してあり、挿入孔から挿入した治具で係止部の先端を弾性力に抗して押し広げ可能としてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、爪部は枠の長手方向に間隔をあけて2つを一組として配置してあると共に、一組の爪部は互いに狭まる方向に弾性変形可能であり且つ先端に互いに離反する方向に突設した突起を有し、クリップの係止部は一組の突起間の間隔よりも狭い寸法の孔を有し、クリップの係止部の孔に一対の爪部を弾性変形させて圧入した後に弾性復帰した爪部の突起を係止部に係止してあることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、枠には複数組の爪部が設けてあり、クリップには枠の長手方向に係止部が複数設けてあり、クリップの係止部間には連結部が形成してあり、連結部の左右の巾を係止部の左右の巾よりも狭くしてあることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペアガラスユニットを、遊技盤の前面に設けた装飾枠に固定したことを特徴とする遊技台である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、ペアガラスユニットを組み立てるときには、枠を左右のガラス板で挟持して、枠にクリップを係止することにより、クリップの左右の当接部が弾性力により各ガラス板の外面を圧接することにより、接着材を用いることなく左右のガラス板を枠に保持することができる。
【0012】
ペアガラスユニットを廃棄するときには、クリップの摘み部を持って、クリップの係止部を枠の爪部から引き剥がすことにより、クリップを枠から除去し、枠とペアガラスとを分離する。
したがって、ペアガラスの廃棄時には、枠、ガラス板、クリップを各々分離して分別できるので、廃材の分別が容易にできると共に枠やガラス板等の再利用が可能であるから、地球環境の保護を図ることができる。また、接着材が不要である点でも、地球環境の保護に優れている。
【0013】
ペアガラスユニットは、接着材を用いていないから、製造及び分離が容易である。特に、従来必要であった接着材の乾燥時間も不要であるから、作業時間の短縮を図ることができる。
クリップの当接部が左右のガラス板の外面を弾性により圧接しているので、枠にペアガラスを強固に保持することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、クリップの装着時には、治具を周方向外側からクリップの挿入孔に挿入し当接部を押し広げ、ペアガラスを挟むよう挿入することにより、クリップの組み付けが容易にできる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の作用効果を奏すると共に、枠に設けた爪部は枠の長手方向に間隔をあけて設けてあり枠の長手方向に弾性変形するので、当接部の付勢方向と爪部の付勢方向とを直角にしているから、クリップの装着時や引き剥がし時に、ペアガラスに作用する力を軽減できガラス板の破損を防止できる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の作用効果を奏すると共に、摘み部を治具等で摘まんで引張ると、複数設けてある係止部のうち一つが引き剥がれた後に連結部で折れ曲がり、更に摘み部を引張ることにより次の係止部を引き剥がすことになるから、係止部を順次一つずつ枠から引き剥がしできるので、複数の係止部を一度に引き剥がす場合に比較して、引き剥がすときの力が少なくて済み、分離が容易にできる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作用効果を奏する遊技台を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係るペアガラスユニットの分解斜視図である。
【図2】図1に示すC部の拡大図である。
【図3】横枠の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は側面図、(e)はE−E断面図である。
【図4】ペアガラスユニットの図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図5】図4に示すA−A断面図である。
【図6】(a)は図5に示すB−B断面図であり、(b)はクリップを装着する操作を示す断面図である。
【図7】治具の斜視図である。
【図8】本実施の形態にかかるペアガラスユニットを用いた遊技台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図8に示すように、ペアガラスユニット1は、遊技台(パチンコ台)3における遊技盤5の前面を覆うものであり、遊技台3は、遊技盤5が設けられた本体7と、本体7に対してヒンジにより開閉自在な装飾枠9と、装飾枠9に取り付けられるペアガラスユニット1とを備えている。
【0020】
ペアガラスユニット1は、図1及び図4に示すように、左右のガラス板11a、11bを間隔をあけて配置したペアガラス11(図4参照)と、ペアガラス11の四周縁に配置した横枠13aと、縦枠13bと、各枠13a、13bに取り付けるクリップ15とを備えている。
【0021】
横枠13aと縦枠13bとは樹脂材製で且つ同じ形状であるが、長手方向の寸法が異なるだけであるから、以下の説明では横枠13aについて説明し、縦枠13bにおいて同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより縦枠13bの説明は省略する。尚、横枠13a及び縦枠13bは、本実施の形態ではABS樹脂製である。
【0022】
図1〜3に示すように、横枠13aは内周側に突設した本体部17と、ガラス板11a、11bの端面を覆う被覆部19とを有し、長手方向中央部の被覆部は切除されており、この切除部がクリップ15の取付け部21になっている。
取付け部21では、本体部17から周方向外側に突設した複数の爪部23が枠の長手方向に間隔をあけて形成されている。図2に示すように、爪部23の先端には突起23aが形成されており、隣り合う一組の爪部23の突起23aは、枠13a、13bの長手方向において互いに離反する方向に突設している。本実施の形態では、3組の爪部23が一列に並んでおり、各爪部23は枠13a、13bの長手方向に弾性変形可能になっている。
【0023】
枠13の本体部17には、その左右に凹部25が形成されており、この凹部25に弾性材からなるフリクションパッド27が配置されている。フリクションパッド27は、例えばシリコンゴム製である。フリクションパッド27は、枠13と左右のガラス板11a、11bとの緩衝を図ると共に枠13に対するガラス板11a、11bのずれを防止する。尚、枠13に対するガラス板11a、11bのずれ防止を強化する場合には、密着性の高い樹脂材、例えばゴム材を用いても良いし、粘着材や両面テープ等をフリクションパッドに貼り付けても良い。
クリップ15は鋼材製であり、図1、図2及び図4に示すように、一枚の板金により形成されている。クリップ15は、各枠13a、13bの爪部23が係止する係止部29a、29b、29cと、各係止部29a〜29cの左右に設けた当接部31とを有している。
【0024】
係止部29a〜29cは、枠13a、13bの長手方向に複数個、本実施の形態では3個設けてあり、各係止部29a〜29cには、孔28が形成してある。図2に示すように、孔28において、枠の長手方向に沿う方向の寸法Mが、隣り合う一組の爪部23、23の突起23a、23aの間隔Nよりも狭くなっており、孔28に一組の爪部23、23の間隔を狭めるように弾性変形して挿入後、爪部23、23が弾性復帰して各係止部29a〜29cに突起23a、23aが係止している。
【0025】
隣り合う係止部29a、29b及び29b、29cを連結する連結部33はその幅を狭くしてあり、剛性を小さくしている。
各係止部29a〜29cの左右に設けた当接部31は、各係止部29a〜29cから鋭角に折り曲げてあり、左右の当接部31、31の間隔は、先端31a、31aほど間隔を狭めている。そして、先端31a、31aが左右の板ガラス11a、11bの外側面に圧接している。
【0026】
クリップ15において長手方向の各端部には、摘み部41が設けてある。各摘み部41は、ラジオペンチ等の器具で摘んで枠13a、13bから周方向外方向に引き外すことにより、クリップ15を枠13a、13bから引き剥がすようになっている。尚、摘み部41に設けてある孔はラジオペンチ等の器具の先端を挿入する孔である。
【0027】
以下に、本実施の形態によるペアガラスユニット1の製造及び廃棄処理について説明する。
ペアガラスユニット1の製造は、図1に示すように、横枠13aと縦枠13bとを枠組して、各枠13a、13bの凹部25に各々フリクションパッド27を配置する。そして、枠13a、13bの各本体部17を挟むように、枠13に左右のガラス板11a、11bを嵌める。
【0028】
次に、各横枠13a、縦枠13bにクリップ15を取付ける。クリップ15の取付けは、図6(b)に示すように、各係止部29a〜29cと当接部31との間に形成されている各孔37に図7に示すような治具36の足36aを差し込んで、当接部31を押し開いて、枠13の取付け部21に押し込む。クリップ15の係止部29a〜29cでは、爪部23が弾性変形して間隔を狭め、一組の爪部23、23の突起23a、23aが孔28を抜けたところで弾性復帰して係止部29a〜29cに係止する。尚、当接部31は先端31aをその弾性復帰力により左右のガラス板11a、11bの外面を圧接して保持する。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、クリップ15を枠13a、13bの取付け部21に押し込むだけで簡単にペアガラス11と枠13との固定ができる。
【0030】
ペアガラスユニット1を廃棄するときには、図5に示すように、クリップ15の長手方向の端部に設けてある摘み部41をラジオペンチ等の治具42で挟み、枠13の周方向外側へ引き離す。これにより、摘み部41に隣接する係止部29aについて爪部23との係合が外れ、クリップ15は未だ爪部23に係止している係止部29bとの連結部33では剛性が係止部29よりも弱いため、連結部33で折れ曲がり、更に摘み部41を枠13の周方向外側へ引き離すことにより、係止部29a、29b、29cをこの順序で順次引き剥がす。このように、係止部29a、29b、29cを各爪部23から引き剥がすので、これらの係止部29a〜29cを一度に引き剥がす場合に比較して小さな力でクリップ15を外すことができる。
【0031】
クリップ15を外した後、左右のガラス板11a、11bを枠13から外し、枠13からフリクションパッド27を除去して、枠13を横枠13aと縦枠13bとに分解する。
したがって、本実施の形態によれば、ガラス板11a、11b、樹脂製の横枠13a、縦枠13b、フリクションパッド27、金属性のクリップ15を分別して廃棄することができる。
また、左右のガラス板11a、11b、横枠13aや縦枠13b等の主要部材の再利用が可能である。
【0032】
本実施の形態によれば、ペアガラスユニット1を組み立てるときには、枠13を左右のガラス板11a、11bに挟持して、枠13にクリップ15を係止することにより、クリップ15の当接部31、31が弾性力によりガラス板11a、11bの外面に当接するので、接着材を用いることなく左右のガラス板11a、11bを間隔をあけて枠13に保持することができる。
【0033】
ペアガラスユニット1の廃棄時には、枠13、ガラス板11a、11b、クリップ15を各々分別できるので、廃材の分別が容易にできると共にガラス板11aや11b、枠13の再利用が可能であるから、地球環境の保護を図ることができる。また、接着材が不要である点でも、地球環境の保護に優れている。
【0034】
ペアガラスユニット1は、接着材を用いていないから、製造及び廃棄が容易である。特に、従来必要であった接着材の乾燥時間も不要であるから、作業時間の短縮を図ることができる。
クリップ15は、左右のガラス板11a、11bの外面を弾性により圧接しているので、枠13にペアガラス11を強固に保持することができる。
【0035】
クリップ15の装着時には、治具36を周方向外側からクリップ15の挿入孔37に挿入し当接部31、31を押し広げて、当接部31、31間にペアガラス11を挿入するので、クリップ15の組み付けが容易である。
【0036】
枠13に設けた爪部23は枠13の長手方向に間隔をあけて設けてあり、枠13の長手方向に弾性変形するので、当接部31、31の付勢方向と各係止部29a〜29cによる付勢方向とを直角にしているから、クリップ15の装着時や引き剥がし時に、左右のガラス板11a、11bに作用する力を軽減できガラス板11a、11bの破損を防止できる。
【0037】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、ペアガラスユニット1は、遊技台3に限らず、自動販売機やサッシ等に用いるものであっても良い。
横枠13a、縦枠13bに設ける取付け部21は、各々長手方向中央にのみ設けることに限らず、各枠13a、13bに取付け部21を等間隔に複数設けて、各々の取付け部21にクリップ15を取り付けても良い。
【0038】
クリップ15の係止部29a〜29cは3つに限らず、2つでも良いし1つでも良い。この場合、爪部23の数も係止部29a〜29cの数に対応して形成することが望ましい。
枠13は金属材であってもよく、クリップ15を樹脂材としても良く、材質は限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1 ペアガラスユニット
3 遊技台
11 ペアガラス
11a 左ガラス板
11a 右ガラス板
13 枠
13a 横枠
13b 縦枠
15 クリップ
23 爪部
23a 突起
28 孔
29a〜29c 係止部
31 当接部
33 連結部
36 治具
37 治具の挿入孔
41 摘み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のガラス板からなるペアガラスと、ペアガラスの周縁に配置すると共に左右のガラス板間に挟持される枠と、枠に取り付けるクリップとを備え、枠は外周側に突設する爪部を有し、クリップは枠の爪部に係止する係止部と、枠の長手方向で係止部に連続して設けた摘み部と、係止部の左右から延出して先端が左右のガラス板の外面に当接する左右の当接部とを有し、左右の当接部は先端ほど互いの間隔を狭めてあり、弾性変形してペアガラスの外面に圧接していることを特徴とするペアガラスユニット。
【請求項2】
クリップには、左右の各当接部と係止部との間に治具の挿入孔が形成してあり、挿入孔から挿入した治具で係止部の先端を弾性力に抗して押し広げ可能としてあることを特徴とする請求項1に記載のペアガラスユニット。
【請求項3】
爪部は枠の長手方向に間隔をあけて2つを一組として配置してあると共に、一組の爪部は互いに狭まる方向に弾性変形可能であり且つ先端に互いに離反する方向に突設した突起を有し、クリップの係止部は一組の突起間の間隔よりも狭い寸法の孔を有し、クリップの係止部の孔に一対の爪部を弾性変形させて圧入した後に弾性復帰した爪部の突起を係止部に係止してあることを特徴とする請求項2に記載のペアガラスユニット。
【請求項4】
枠には複数組の爪部が設けてあり、クリップには枠の長手方向に係止部が複数設けてあり、クリップの係止部間には連結部が形成してあり、連結部の左右の巾を係止部の左右の巾よりも狭くしてあることを特徴とする請求項3に記載のペアガラスユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のペアガラスユニットを、遊技盤の前面に設けた装飾枠に固定したことを特徴とする遊技台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−40041(P2012−40041A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180972(P2010−180972)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(510220600)
【Fターム(参考)】