説明

ペットの曳き紐

【課題】従来の曳き紐は重くて伸縮せず、かつ取り付け輪の締結手段が弱いので、合成樹脂発泡芯の外周を編み上げ被覆し、かつ輪が丈夫に形成できる紐体を提供する。
【解決手段】合成樹脂発泡芯2を不織布3で被覆した外周を反射細紐4を編み込んだ編み上げ被覆5して成る紐体1を形成し、該紐体1の一方に留め具7を介在させた端部を折り返した合わせ目と、他方端部を折り返した合わせ目それぞれをC字状リング8で締結した部位をチューブキャップ10で覆った曳き紐12とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬などのペット用曳き紐として、適度に伸縮するとともに極めて軽く、かつ反射発光する機能的な曳き紐に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬やペットなどの曳き紐においては、一定の長さの紐の一方に首輪に留めるための留め具を取り付ける輪を設けたり、さらに他方端部に手を通せる大きさの輪を形成した曳き紐が提供されている。またこの輪の形成方法として、合成樹脂製の紐の端部を折り返して熱溶着した部位に筒状体を被せて輪奈部を形成する、引き紐の端部構造の組み立て方法の技術がある(例えば特許文献1参照)。さらに紐端部を折り返した重ね部位に金属板による係止部材を巻き付けて、その外周に保護部材を被せた技術もある(例えば特許文献2参照)
【特許文献1】特開平10−98966号公報(第2−4頁、図1)
【特許文献2】特開平11−18611号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように紐の端部に輪を形成したペット用の曳き紐があり、それぞれ曳き紐に留め具を取り付けられる一定の目的は果たしている。しかし特開平10−98966号公報における技術は、合成樹脂製による紐状体の端部を折り返した合わせ目を熱溶着して輪を形成した前記溶着部を筒状体で被覆した曳き紐であるが、この曳き紐端部に設ける輪の形成手段は、曳き紐端部を折り返した合わせ目を熱溶着して締着する方法であるので引っ張り強度は弱い。力の弱い小型の犬の場合はよいが、大型の犬等の場合は力が強いので急に走り出した時は熱溶着部が切れてしまうなどの欠点がある。また曳き紐は内部まで合成樹脂繊維等による素材で一体形成されているので重く、特に雨に濡れると水を吸ってさらに重くなるため、犬の首への負担はもとより曳き連れている飼い主の操作にも支障があるなどの不便や欠点がある曳き紐である。
【0004】
さらに特開平11−18611号公報による技術は、紐状体の端部を折り返した合わせ目を金属製の係止部材により締め付け、その部位を保護部材で覆った可撓性長尺物の係止構造であるが、この技術も以下に示すような不便や欠点がある。まず紐状体の端部を屈折して輪状の環状体を形成する手段としては、屈折した合わせ目部位を細かい歯を数多く設けた板状の係止部材を巻き付けて締結し、その外周を合成樹脂製の保護部材を取り付けた技術であるが、紐状体はナイロンなどの合成樹脂繊維で芯まで一体形成された紐であるため重くて伸縮性はない。さらに屈折した合わせ目を締結する手段は、細かい歯を数多く設けた板状の部材であるのでコストが高い締結部材である。またその上に取り付ける保護部材も成形による部材であるためコスト高となるなどの不便や欠点がある長尺物の係止構造である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記する曳き紐が持つ不便や欠点を解消するものであって、請求項1においては、合成樹脂製の発泡芯を不織布で被覆した外周を編み上げ被覆した紐体を形成し、該紐体の一方端部に留め具を介在させて折り返した合わせ目を、C字状リングで締結して成る係止輪を形成した前記締結部をチューブキャップで覆ったペットの曳き紐とすることにより、適度な弾性を有するとともに極めて軽く、かつ係止輪はシンプルにして丈夫に形成できるものとする。
【0006】
請求項2においては、上記する紐体の他方端部を手首が入る大きさに折り返した合わせ目を、C字状リングで締結した部位をチューブキャップで覆って成る取っ手輪を形成することにより、前記取っ手輪に手首を入れて確実に握ることができる曳き紐とする。
【0007】
請求項3においては、上記する紐体の編み上げ被覆に再帰性の反射細紐を編み込んだ曳き紐とすることで、夜間において自動車のライトを受けると反射発光するものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における曳き紐は、紐体の芯材に不織布で被覆したポリエチレン等の合成樹脂発泡芯を採用し、かつその外周は編み上げ被覆した紐体であるため約1割以上の伸縮性を有する。したがって犬が急に走り出しても衝撃を吸収するので、犬にも飼い主に優しい曳き紐であるとともに、前記編み上げ被覆には再帰性反射材による反射細紐を編み込んでいるため、夜間の散歩時に自動車のライトを受けると反射発光するので、ペットや飼い主の交通安全を図れる曳き紐である。さらにペットの首輪に繋ぐ留め具を取り付ける係止輪や手首を入れられる取っ手輪の締結手段は、シンプルなC字状リングで複数箇所を締結するので、連結部の耐久力は約100Kg以上と強固にできるとともに、C字状リングはシンプルであるので安価である。
【0009】
加えて、紐体の芯材は軽いポリエチレン発泡芯を採用し、また外周の被覆素材は合成繊維で編み上げ形成された紐体であるため、従来の同じ太さの紐やロープと比べて約半分以下と極めて軽いので、散歩時におけるペットの首への負担軽減はもとより、引き連れる飼い主への負担も大幅に軽減することができる。また曳き紐の持ち手側には取って輪を形成しているので引き連れやすく、杭などの場合は引っ掛けるだけで繋ぎ留められる機能的な曳き紐を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリエチレン発泡芯を不織布で被覆補強した外周を、反射材を織り込んで編み上げ被覆した紐端部を折り返した合わせ目を、複数個のC字状リングで締結して成る係止輪を形成した前記締結部をチューブで被覆して成る曳き紐とする。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を、図1に示す曳き紐の一部省略した斜視図と図2の紐体の内部を示す拡大斜視図、図3の係止輪部位を示す一部分離した拡大斜視図を参照して説明する。
本発明の主体となる紐体1は、一定の長さと適度な太さのポリエチレン発泡材等による合成樹脂発泡芯2の外周を不織布3で被覆補強し、かつその外周には、図2に示すように反射細紐4を編み込んで成る編み上げ被覆5をして反射発光部6を有する紐体1とし、その紐体1の一方端部には、ナス環やダブルリング等の留め具7を介在させて小さく折り返した合わせ部位をC字状リング8を複数本用いて、図3に示すように締着して係止輪9を形成した前記締着部位を、予め紐体1に通して置いたチューブキャップ10を接着剤をもって取り付ける。さらに紐体1の他方端部は、予めチューブキャップ10を通してから、手首が通せる程度の大きさに折り返した合わせ目部位を、前記同様に複数本のC字状リング8を用いて締結してから、チューブキャップ10を接着被覆して取っ手輪11を形成して成る曳き紐12を構成する。
【0012】
本発明における曳き紐12は以上のように形成されるので、まず紐体1は、不織布3で補強されたポリエチレン等の合成樹脂発泡芯2を採用し、かつその外周は編み上げ被覆5した紐体1であるので、従来の一般の紐やロープに比べて約半分以下の軽い紐体1を形成する。加えて、合成樹脂発泡芯2及び編み上げ被覆5は約1割程度の伸縮性を有するため、ペットが急に走り出しても衝撃を吸収できる曳き紐1となる。
【0013】
さらに編み上げ被覆5においては、再帰性反射材による反射細紐4を編み込んで反射発光部6を形成するため、夜間において自動車等のライトを受けると反射発光する。また係止輪9及び取っ手輪11は、複数本のC字状リング8で締結する方式であるため簡単に形成でき、かつ引っ張り強度はきわめて高い輪を形成する。
【0014】
本発明における曳き紐は以上のような構成であるが、紐体1の芯材はポリエチレン等の発泡材が好ましいが、これ以外の他の合成樹脂発泡材による芯材でも差し支えない。また編み上げ被覆5の一部には螺旋状に反射細紐4を編み込んでいるが、全体に編み込んでも差し支えない。さらに反射細紐4を編み込むと交通安全に寄与する紐となるが、編み込まなくても本考案の目的を損なうものではなく、いずれも特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の紐は、ペットなどの曳き紐1を対象としているが、一般に用いる紐や工事現場のロープとしても使えるし、また他の留め具やフックを設けることでボートや船の係留用のロープとしても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明の曳き紐を示す一部省略した斜視図である。
【図2】 曳き紐の紐体内部を示す拡大斜視図である。
【図3】 曳き紐の係止輪部位を示す一部分離した拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 紐体
2 合成樹脂発泡芯
3 不織布
4 反射細紐
5 編み上げ被覆
6 反射発光部
7 留め具
8 C字状リング
9 係止輪
10 チューブキャップ
11 取っ手輪
12 曳き紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の発泡芯を不織布で被覆した外周を編み上げ被覆した紐体を形成し、該紐体の一方端部に留め具を介在させて折り返した合わせ目を、C字状リングで締結して成る係止輪を形成した前記締結部を、チューブキャップで覆って成る構成を特徴とするペットの曳き紐。
【請求項2】
上記する紐体の他方端部を手首が入る大きさに折り返した合わせ目を、C字状リングで締結した部位をチューブキャップで覆って成る取っ手輪を形成した請求項1に記載するペットの曳き紐。
【請求項3】
上記する紐体の編み上げ被覆に、再帰性の反射細紐を編み込んで成る請求項1又は請求項2に記載するペットの曳き紐。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−51007(P2006−51007A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260308(P2004−260308)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(591232381)株式会社ヨシオ (7)