説明

ペット排泄物用消臭剤及びペット用シーツ

【課題】ペットの排泄物に起因する悪臭に対し、優れた消臭効果が長期に亘って持続するペット排泄物用消臭剤及びペット用シーツを提供すること。
【解決手段】木材から抽出された精油と、炭素数4〜24のアルコール類及びそのモノアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール類とを含有する消臭剤とする。透液性の表面シート2、不透液性の裏面シート3、両シート2,3間に介在配置された吸収体4を具備するペット用シーツ1に、前記消臭剤を含有させる。好ましくは、前記消臭剤は、前記表面シート2の前記吸収体4との対向面側に塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット排泄物用消臭剤及びペット用シーツに関し、詳しくは、愛玩動物であるペットの排泄物に起因する悪臭の消臭効果に優れ、ペット用の排泄処理材として有用なペット排泄物用消臭剤及びペット用シーツに関する。
【背景技術】
【0002】
動物、特に家庭で飼われているペット類の排泄物から生じる悪臭は人々の生活環境に不快感を与え、特に近年室内飼育の割合が高まり、その問題もクローズアップされている。従来、ペット排泄物用の消臭剤は、砂、ゼオライト、ベントナイトなどの無機鉱物系や、紙、パルプ、木粉の有機繊維系、吸水ポリマー等合成ポリマー系を利用したものが主流を占めているが、これらは尿などの吸収に主眼が置かれたものであり、消臭という観点からは依然として課題が残っていた。
【0003】
吸収のみならず消臭にも主眼が置かれたペット用の排泄処理材に関し、特許文献1には、吸水体を不透液性のバックシートと透液性の表シートとにより包覆して成る吸水具において、該吸水体に予め抗菌剤を染み込ませた吸着剤を含有させたものが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の吸水具は、消臭効果の持続期間が実用上充分に長いとは言えず、前記吸水体の尿吸収能力がまだ充分に残存している段階で消臭効果の低下が生じ、消臭性の点で充分満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−11455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、ペットの排泄物に起因する悪臭に対し、優れた消臭効果が長期に亘って持続するペット排泄物用消臭剤及びペット用シーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、木材から抽出された特定の精油に消臭効果があること、及び、該精油にジプロピレングリコールをはじめとする特定のアルコール類として、炭素数4〜24のアルコール類及びそのモノアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール類を配合することにより、消臭効果及びその持続期間の両方が大幅に改善されることを知見した。
【0007】
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、木材から抽出された精油と、炭素数4〜24のアルコール類及びそのモノアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール類とを含有するペット排泄物用消臭剤を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また本発明は、透液性の表面シート、不透液性の裏面シート、両シート間に介在配置された吸収体を具備するペット用シーツであって、前記消臭剤を含有するペット用シーツを提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のペット排泄物用消臭剤によれば、犬、猫、うさぎ、ハムスターなどの小動物のペットの排泄物に起因する悪臭に対し、優れた消臭効果が長期に亘って持続する。
また、本発明のペット用シーツによれば、ペットの排泄物を効率良く吸収できると共に、前記消臭剤の作用により、優れた消臭効果が長期に亘って持続するため、飼育者である人間に対しては悪臭による住環境の不快感がなくなり、また、ペット自身に対しても快適な排泄場所を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、先ず、本発明のペット排泄物用消臭剤(以下、消臭剤ともいう)について説明する。本発明の消臭剤は、木材から抽出された精油と、炭素数4〜24のアルコール類及びそのモノアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール類とを必須成分として含有する。
【0011】
前記精油は、ペットの糞尿等に対して消臭効果を有する。本発明に用いられる木材から抽出された精油としては、例えば、セダーウッド油、パイン油、ヒノキ油、スプルース油等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも、セダーウッド油は、無色又は淡黄色透明の精油であり、ペット用シートに用いても美観を損ねない点や匂いの嗜好性の点から、本発明で好ましく用いられる。
【0012】
前記アルコール類は、ペットの糞尿等に対する消臭効果に加えて、前記精油の揮発性を低下させ、精油の保存安定性を向上させる作用を有する。従って、斯かる作用を有する前記アルコール類を、消臭効果を有する前記精油と混合して用いることにより、精油単独による消臭効果よりも優れた消臭効果が得られるようになると共に、精油の保存安定性が向上することによって、この優れた消臭効果を長期間に亘って持続できるようになる。尚、前記アルコール類自体は沸点が高く、常温常圧下では揮発性に乏しいため、長期間に亘って付与された箇所に残留する。
【0013】
本発明に用いられる前記アルコール類のうち、炭素数4〜24のアルコール類としては、例えば、2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−1,3ブタンジオール、3−メチル−3−メトキシブタノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等の脂肪族アルコールが挙げられる。また、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジアルキレングリコール、2−ベンジルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール等の芳香族アルコール類が挙げられる。更に、炭素数4〜24のアルコール類のモノアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが、消臭効果及びその持続期間の両方が大幅に改善される点から本発明で好ましく用いられる。
【0014】
本発明の消臭剤における前記精油と前記アルコール類との含有質量比は、精油:アルコール類=10:1〜1:100の範囲から選択されることが好ましく、5:1〜1:20の範囲から選択されることが更に好ましい。精油とアルコール類との配合割合が斯かる範囲外では、十分な消臭効果や消臭効果の持続性が弱くなるおそれがある。
【0015】
本発明の消臭剤には、上述した精油及びアルコール類に加えてさらに、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、抗菌剤、殺虫剤、虫忌避剤、pH調整剤、色素、粘度調整剤等を挙げることができる。任意成分の配合量は特に制限されないが、消臭剤全量に対して、好ましくは0.01〜10質量%である。
【0016】
本発明の消臭剤は、単独で又は適当な溶媒(水、エタノール、低分子炭化水素類、液体LPGガス、ジメチルエーテル等)に希釈して、ペット排泄物用消臭剤(トリガー式、エアゾール式、機械噴霧式、カプセル型)として使用することもできる。溶媒を使用した場合には、該溶媒が揮発した後に所望の効果が発揮される。該溶媒として主に水を使用する場合であって、前記精油及び前記アルコール類、並びに抗菌剤等の添加物質(任意成分)及び水以外の溶媒を水に分散又は可溶化させる場合には、可溶化剤としてカチオン性、アニオン性、ノニオン性、両性等の界面活性剤、又はp−トルエンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩等を使用することができる。これらのうち特に両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が、可溶化し易さの点から好ましい。
【0017】
本発明の消臭剤を用いてペット用シーツ、ペット用マット、ペット用サンド(以下、これらを総称してペット用シーツ等という)、あるいはペット小屋の廻りを消臭するには、ペット用シーツ等あるいはペット小屋の廻りへ消臭剤を噴霧、塗布する方法、また空間に噴霧する方法、予めペット用シーツ等に含浸、練り込みさせておく方法等が挙げられる。このうち、特に効率の良い方法として、ペット用シーツ等に噴霧、塗布する方法や、予めペット用シーツ等に含浸しておく方法が挙げられる。
【0018】
次に、本発明のペット用シーツについて、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
本実施形態のペット用シーツ1は、図1〜図3に示すように、透液性の表面シート2、不透液性の裏面シート3、両シート2,3間に介在配置された吸収体4を具備し、前記消臭剤(本発明のペット排泄物用消臭剤)を含有するものである。
【0019】
本発明のペット用シーツの形状、寸法は特に制限されるものではないが、本実施形態のペット用シーツ1は、図1に示すように長方形形状を有しており、例えば、その長手方向の長さは38〜48cm、幅方向の長さは30〜40cmである。
【0020】
表面シート2及び裏面シート3はそれぞれ、吸収体4の左右両側縁及び前後両端部から外方に延出している。両シート2,3間は、その延出部において、ホットメルト粘着剤等の公知の接合手段により接合されている。
吸収体4は、長方形形状を有しており、その長手方向をペット用シーツ1の長手方向に一致させて、表面シート2と裏面シート3との間に配されている。吸収体4は、該吸収体4の長手方向の両端面を除き、全体が透液性の被覆シート5で被覆されている。被覆シート5は、吸収体4を被覆することにより、その保形性を保ち、また、高吸収性ポリマー等の該吸収体4の構成成分の脱落を防止するものである。
【0021】
被覆シート5は、寸法の異なる2枚のシートから構成されている。1枚は、吸収体4の長手方向及び幅方向の長さと同一寸法の上部被覆シート5aであり、他の1枚は、該上部被覆シート5aより幅広の下部被覆シート5bである。上部被覆シート5aは、吸収体4の上面(吸収体4の表面シート2との対向面側の面)と対向して配されている。下部被覆シート5bは、吸収体4の下面(吸収体4の裏面シート3との対向面側の面)と対向して配され、且つ該吸収体4の両側縁から延出した部分が、該吸収体4の上面を被覆する上部被覆シート5a上に巻き上げられている。上部被覆シート5aと吸収体4との間、及び下部被覆シート5bと吸収体4の下面との間は、ホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されている。また、下部被覆シート5bと裏面シート3との間も、ホットメルト粘着剤等の公知の接合手段により接合されている。
【0022】
表面シート2は、透液性シートから構成される。該透液性シートとしては、従来からこの種のペット用シーツあるいは使い捨ておむつ等の吸収性物品に使用される透液性シートを特に制限なく用いることができる。該透液性シートとしては、液体を吸収体4へ透過させることができるものであれば制限はなく、例えば、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等が挙げられる。該透液性シートの一例として、芯成分にポリプロピレンやポリエステル、鞘成分にポリエチレンを用いた、芯鞘構造型(サイドバイサイド型含む)複合繊維をカーディングによりウエブ化した後、エアスルー法によって不織布(この後所定箇所に開孔処理を施しても良い)としたものが挙げられる。また、透液性の高さの点(ドライ感)から、低密度ポリエチレン等のポリオレフィンからなる開孔シートも好ましく用いることができる。
【0023】
表面シート2の配色に関しては特に限定されるものではないが、表面シート2が青や緑系統に着色されていると、有色の尿等を吸収してもその吸収箇所の着色が目立たず、ペット用シーツ1の使用中に良好な外観を維持でき、視覚的に不快感を与えることがないため、好ましい。表面シート2の着色方法は特に限定されず、公知のシート着色法を用いることができる。例えば、表面シート2が織布や不織布の場合は原糸の段階から着色し成型するか、あるいは成型されたシートを染着加工すればよく、高分子化合物製開孔シートやメッシュシートの場合は溶融成型するバッチに着色されたマスターバッチを混練して成型加工すればよい。
【0024】
裏面シート3は、不透液性シートから構成される。該不透液性シートとしては、従来からこの種のペット用シーツあるいは使い捨ておむつ等の吸収性物品に使用される不透液性シートを特に制限なく用いることができる。該液不透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子化合物製フィルム等が挙げられる。該フィルムの一例として、熱可塑性樹脂に無機化合物又は有機化合物のフィラーを添加したものを、Tダイやサーキュラーダイから溶融押出してフィルムを形成し、次いで、斯かるフィルムを一軸又は二軸延伸して得た透湿性を有するシートが挙げられる。また、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布が複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMSなど)を用いることも通気性と柔軟性の点から好ましい。
【0025】
吸収体4としては、尿などの液吸収性を有するものであればその種類は特に制限されず、例えば高吸収性ポリマー、粉砕パルプ等の吸収性物質を紙(台紙)や不織布に挟み込んだものなどが挙げられる。例えば、フラッフパルプの集合体内に高吸収性ポリマーが分散配置され、全体が薄い台紙で覆われて形成されているものが好適に使用できる。高吸収性ポリマーはパルプ中に混合された状態で用いられる他、裏面シート3側に散布したり、層状にして厚み方向中央に挿入したりすることができる。あるいは、公知手段によりポリマーシート化するなどの手段で部分的に配置してもよい。また、吸収体4に合成繊維や架橋処理等をおこなった嵩高パルプ繊維を配合して、液吸収時の圧縮部の復元性を向上させてもよい。また、高吸収性ポリマーは用いなくてもよい。
【0026】
前記高吸収性ポリマーとしては、当該技術分野において通常用いられているものを適宜用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
被覆シート5としては、例えば繊維材シートや、穿孔フィルムなどを用いることができる。液の透過が良好な観点から、被覆シート4は親水性の繊維シートからなることが好ましい。親水性の繊維シートとしては、ティッシュペーパー等の紙や各種不織布を用いることができる。不織布としては、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布や、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布が挙げられる。具体的には、界面活性剤で処理されたスパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布などが挙げられる。
【0028】
このような構成を有するペット用シーツ1は、前述した本発明の消臭剤を含有する。該消臭剤をペット用シーツ1に含有させる方法は特に制限されず、ペット用シーツ1の任意の部位に、塗布、噴霧、含浸等の公知の手段を用いて消臭剤を付与することにより、該消臭剤を含有するペット用シーツ1が得られる。
但し、消臭剤に含まれる前記精油は親油性であるため、例えば表面シート2のペットと接する側(吸収体4との対向面側と反対側)の全面に消臭剤が付与されていると、尿等の親水性の液が該表面シート2を透過しにくくなり、該液が吸収体4に吸収されずに該表面シート2上を流れてしまうおそれがある。したがって、ペット用シーツに消臭剤を付与す際、その付与部位は、消臭剤を付与してもペット用シーツ全体として液吸収性が阻害されないような部位を選択する必要がある。
【0029】
このような消臭剤による吸収阻害を防止する観点から、本実施形態においては、消臭剤は、表面シート2の吸収体4との対向面側(ペットと接する側と反対側)に部分的に付与されている。即ち、消臭剤は、表面シートのペットと接する側には付与しないことが好ましく、また、表面シートのペットと接する側と反対側であっても、その全面には付与しないことが好ましい。本実施形態のように消臭剤を付与することにより、消臭剤に起因する尿等の親水性の液の吸収阻害を起こさずに、消臭剤による前述した所定の効果を得ることが可能となる。また、本実施形態のように吸収体4を被覆する被覆シート5が存在する場合は、該被覆シート5に消臭剤を付与することも、吸収阻害の防止に有効である。この場合、消臭剤は被覆シート5の全面に塗布するのではなく、部分的に塗布、例えばスパイラル状、格子状、ストライプ状、散点状の非連続的パターンで塗布することが、尿等の親水性の液の吸収阻害を起こさずに、消臭剤による前述した所定の効果を得ることが可能となる点から好ましい。表面シート2に消臭剤を部分的に塗布する場合も、被覆シート5に塗布する場合と同様なパターンを用いることができる。被覆シート5に消臭剤を付与する場合は、該被覆シート5における吸収体4の上面との対向部(上部被覆シート5a)に消臭剤を付与することが好ましい。更に、吸収体4中に散布するパルプに消臭剤を含ませることも、尿等の親水性の液の吸収阻害を起こさない点から好ましい。
【0030】
消臭剤を表面シート2の片面(吸収体4との対向面側)あるいは被覆シート5に部分的に付与する方法は特に制限されず、シート状物質に液状物質を付与し得る公知の付与手段を用いて行うことができる。
【0031】
本発明のペット用シーツにおける前記消臭剤の含有量は、吸収阻害を生じさせずに高い消臭効果が得られるよう調整される。斯かる観点から、例えば前記実施形態のように消臭剤を表面シートに付与する場合、該消臭剤の好ましい付与量は、前記精油の量として、該表面シートを構成するシート状部材1枚につき、好ましくは0.0001〜0.5g/m2、更に好ましくは0.001〜0.2g/m2である。消臭剤を裏面シートや被覆シートに消臭剤を付与する場合の付与量についても、前記範囲に調整することが好ましい。
【0032】
本実施形態のペット用シーツ1は、屋内又は屋外の所定の箇所に、表面シート2が上になるように配されて使用される。ペットが該表面シート2上で糞尿などを排泄すると、排泄物は該表面シート2を透過して吸収体4に吸収され、保持される。排泄物に起因する悪臭は、前記消臭剤の作用により、低減、消去されるため、ペット及びその飼育者の双方に快適な住環境が提供される。また、ペット用シーツ1の裏面側は、不透液性の裏面シート3で形成されているため、吸収された排泄物がペット用シーツ1の下に漏れ出すおそれがない。使用後、ペット用シーツ1を廃棄する際には、裏面シート3を外側にして畳み込めば、手を汚さずに簡単に廃棄することができる。
【0033】
本発明のペット用シーツは、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形可能である。
例えば、ペット用シーツの形状は、長方形形状に制限されず、正方形形状、円形形状等にしてもよい。
また、前記実施形態は、吸収体4の長手方向の両端面が被覆シート5で被覆されていなかったが、これらの面も該被覆シート5で被覆された形態、即ち、吸収体4全体が被覆シート5で被覆された形態でもよい。本発明のペット用シーツは、被覆シートを具備せず、吸収体4が被覆シート5で被覆されていなくてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
〔実施例1〜5、比較例1〜3〕
下記表1に示す組成の実施例1〜5及び比較例1〜3のペット排泄物用消臭剤をそれぞれ用いて、次の手順でペット用シーツを製造した。100g/m2の綿状パルプに、ペット排泄物用消臭剤を0.8g/m2(精油の量としては0.08g/m2、実施例4は0.016g/m2)滴下し、更に該綿状パルプに、ポリアクリル酸系の高分子吸収体を30g/m2散布した後、この綿状パルプを台紙(下部被覆シート、坪量15g/m2)上に置き吸収体を得た。この台紙をポリエチレン製のフィルム(裏面シート)上に置き、更に該吸収体の上面に別の吸水紙(上部被覆シート、15g/m2)を置いた後、該台紙の上面をポリプロピレン製のスパンボンド不織布(表面シート)で覆い、30cm×45cmの大きさに切断し、ペット用シーツを得た。
【0036】
〔実施例6〜7、比較例4〜6、比較例7〕
下記表1に示す組成の実施例6〜7及び比較例4〜6のペット排泄物用消臭剤をそれぞれ用いて、次の手順でペット用シーツを製造した。100g/m2の綿状パルプに、ポリアクリル酸系の高分子吸収体を30g/m2散布した後、この綿状パルプを台紙(下部被覆シート、坪量15g/m2)上に置き吸収体を得た。この吸収体をポリエチレン製のフィルム(裏面シート)上に置き、更に別途ペット排泄物用消臭剤が80g/m2(精油の量としては0.08g/m2)となるように一面側から噴霧された台紙(上部被覆シート、坪量15g/m2)を噴霧された該一面側が表面シートと接する側になるように置いた後、該台紙の上面をポリプロピレン製のスパンボンド不織布(表面シート)で覆い、30cm×45cmの大きさに切断し、ペット用シーツを得た。
また、前記台紙(上部被覆シート)にペット排泄物用消臭剤を噴霧しなかった以外は上記と同様の手順で得られたペット用シーツを、比較例7とした。
【0037】
〔実施例8〕
下記表1に示す組成の実施例8のペット排泄物用消臭剤を用いて、次の手順でペット用シーツを製造した。100g/m2の綿状パルプに、ポリアクリル酸系の高分子吸収体を30g/m2散布した後、この綿状パルプを台紙(下部被覆シート、坪量15g/m2)上に置き吸収体を得た。この吸収体をポリエチレン製のフィルム(裏面シート)上に置き、次に台紙(上部被覆シート、坪量15g/m2)を置いた後、該台紙の上面を更に別途ペット排泄物用消臭剤が80g/m2(精油の量としては0.08g/m2)となるように裏面から噴霧されたポリプロピレン製のスパンボンド不織布(表面シート)で覆い(このとき、該表面シートの消臭剤が噴霧された該裏面側が上部被覆シートと接するように覆う)、30cm×45cmの大きさに切断し、ペット用シーツを得た。
【0038】
〔評価〕
上記のようにして得られた実施例1〜8及び比較例1〜7のペット用シーツについて、消臭効果及びその持続性を下記評価方法により評価した。その結果を下記表1に示す。
【0039】
(消臭効果及びその持続性)
ペット用シーツに犬尿1mLを滴下し、そのまま室温(15〜25℃)で放置した。犬尿添加後、直後、30分後、1時間後、2時間後及び3時間後にパネル3名による官能評価を、下記評価基準に従って行った。
【0040】
<匂いの強さの評価基準(六段階臭気強度表示法に準じる)>
0:無臭
1:ほとんど匂いなし
2:匂いはあるが、動物的な不快臭少ない
3:動物的な不快臭が感知できる
4:強い動物的な不快臭がある
5:非常に強い動物的な不快臭がある。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜8のペット排泄物用消臭剤を使用したペット用シーツは、比較例1〜7の消臭剤を使用したペット用シーツに比べ、犬の尿を滴下した直後から匂いが弱く、時間が経ってもこの消臭効果が維持された。また、実施例8のペット排泄物用消臭剤を表面シートの裏側に噴霧したペット用シーツは、液吸収阻害が生じることなく使用できた。
【0043】
〔実施例9、比較例8〜10〕
下記表2に示す組成の実施例9及び比較例8〜10のペット排泄物用消臭剤をそれぞれスプレー容器に入れ、綿タオル(10cm×10cm)に犬尿0.5mLを滴下して直ぐに、各ペット排泄物用消臭剤0.8g(精油の量としては0.08g/m2)を、犬尿を滴下した箇所に噴霧(スプレー容器は、1回のスプレー量が0.2gであるものを使用)し、そのまま室温(15〜25℃)で放置した。スプレー直後、30分後、1時間後、2時間後及び3時間後にパネル3名による官能評価を、前記評価基準に従って行った。その結果を下記表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2に示した結果から明らかなように、実施例9のペット排泄物用消臭剤を使用すると、比較例8〜10の消臭剤に比べ、犬の尿を滴下した直後から尿の匂いを効果的に抑え、時間が経ってもこの消臭効果が維持された。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のペット用シーツの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示すII−II線断面を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ペット用シーツ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 被覆シート
5a 上部被覆シート
5b 下部被覆シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材から抽出された精油と、炭素数4〜24のアルコール類及びそのモノアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール類とを含有するペット排泄物用消臭剤。
【請求項2】
前記精油が、セダーウッド油、パイン油及びヒノキ油からなる群から選択される1種以上である請求項1記載のペット排泄物用消臭剤。
【請求項3】
前記精油と前記アルコール類との含有質量比が、精油:アルコール類=10:1〜1:100である請求項1又は2記載のペット排泄物用消臭剤。
【請求項4】
透液性の表面シート、不透液性の裏面シート、両シート間に介在配置された吸収体を具備するペット用シーツであって、請求項1〜3の何れかに記載の消臭剤を含有するペット用シーツ。
【請求項5】
前記消臭剤は、前記表面シートの前記吸収体との対向面側に付与されている請求項4記載のペット用シーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−142014(P2008−142014A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333077(P2006−333077)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】