説明

ペット用トイレ

【課題】猫などの動物であるペットがトイレ砂やペットシーツの上にアクセスしやすいよう配慮し、その体調や年齢を問わずに生涯を通じて快適に使い続けることができ、なおかつペットの飼い主が管理しやすい。
【解決手段】底部10aと、周壁部10bとでトイレ容器10が形成され、トイレ容器10内にペットの排泄物処理材11を入れたペット用トイレであり、周壁部10bの一部にペットが出入り可能なペット出入り部10cを設け、ペット出入り部10cとトイレ容器10の載置部との間にスロープ20を設け、スロープ20によりペットがトイレ容器10に出入り可能にした。ペット用スロープは、ペット用トイレと、ペット用トイレの載置部との間に設置され、ペットのペット用トイレへの出入りを可能とする通路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、猫などの動物であるペットがトイレ砂やペットシーツの上にアクセスしやすいよう配慮し、その体調や年齢を問わずに生涯を通じて快適に使い続けることができ、なおかつペットの飼い主が管理しやすいペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
コンパニオンアニマルとして人に飼われる猫などのペットの動物にとって、ペット用トイレの環境はその生活の質を左右し、健康にも影響をおよぼす。特に、完全室内飼いの猫は、飼い主が用意したペット用トイレ以外に排泄行為を行なう場所の選択肢がないため、その環境に十分な配慮が必要となる。
【0003】
猫にはもともと、排泄の前に砂を前肢で掘り、排泄行為をした後、排泄物に砂をかぶせる習性があり、猫のペット用トイレには砂状の、いわゆるトイレ砂を敷きつめるのが一般的である。砂を掘る行動と排泄行為は猫にとって一連の動作で、猫は砂の上で排泄することを好む。
【0004】
従来の猫用トイレは、トイレ砂を敷くために、側面に囲まれた形状のものが大半であり、砂の飛び散りを防ぐよう側面を高くしつらえてあるものが多い。トイレ砂の上に着座する際に高い側面をまたぐ動作は、健康な若い猫には容易でも、病気等で衰弱したり、関節炎を患い歩行が不自由であったり、高齢期などにある猫にとっては困難をともなう。また、妊娠中でお腹が大きい猫や肥満気味の猫、視力の弱い猫、エリザベスカラーを装着している猫なども、側面をまたがなくては着座できない従来のペット用トイレを使用することにストレスを感じていることが推測できる。
【0005】
病気等で衰弱したり、高齢期にある猫がペット用トイレのすぐそばで粗相をする、という例を多く耳にするが、それを一概に「ぼけてしまった」ととらえるのは必ずしも正しい認識とはいえない。砂の上で排泄をしようとペット用トイレのそばまで行ったもののその高い側面をまたぐことができず、猫が粗相することを余儀なくされている可能性も考えられる。
【0006】
高い側面をまたぐ動作に困難を感じる猫がいることについては書籍・雑誌等でも紹介されているが、それを解決するペット用トイレは開発されておらず、低い側面・浅い縁で構成されたほかの何か(調理用バットなど)で代替するようすすめる記述が目立つ。
【0007】
また、特開2008−148603には、ペット保護カバー部材の周方向における前側部の中央部をペットが出入り可能に凹状に切り欠いたペット出入り部を備え、ペット出入り部から出入りするようにしたものがある。このペット用トイレもトイレが設置された床面などからペット出入り部が高い位置となり、このペット出入り部をまたぐことが困難である。
【特許文献1】特開2008−148603
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、猫用トイレは、側面に囲まれた容器の中にトイレ砂を敷きつめる構造を基本としているものがほとんどであり、猫は通常、前肢と後肢を使って、側面のいずれかをまたいでトイレ砂の上に着座する。
【0009】
側面を「またぐ」こと、しかも砂状のものが敷かれた不安定な面を基盤としたその動作は、前肢の力と腰の強さを要求し、さらに後肢の曲げ伸ばしがしなやかに不自由なく行なえることを前提にしなければ完結しない。
【0010】
猫が衰弱・高齢化すると、後肢の機能が衰えてくるケースが多くみられ、腰も弱くなる。高いところに上らなくなったり、ジャンプできなくなったりするのはそのあらわれである。健康で若かったころに容易にまたぐことのできた猫用トイレの側面も、衰弱・高齢化した猫にとっては乗り越えるのが困難になっている可能性がある。
【0011】
また、そのことが原因でトイレ以外の場所で粗相をすることも考えられる。粗相は飼い主にとって猫の「問題行動」としてとらえられ、粗相によって部屋が汚れることを回避するため、飼い主は猫が粗相をしそうな場所にペットシーツを敷いたり、猫をケージやサークルに入れて行動範囲を限定したり、猫の体調によってはおむつを着用させる例もある。
【0012】
衰弱していても高齢になっても、砂の上で排泄することを好む猫の本来の習性は変わらない。すでに出回っているペット用トイレを前提とし、側面を「またぐ」動作ができないからといって砂の上で排泄させることを断念するのは意味のないことであり、より楽にそれが実行できる環境を整えてやることが必要である。
【0013】
また、妊娠中でお腹の大きな猫や肥満の猫も、腹部が突出した状況で高い側面を乗り越えることに困難を感じることが推測でき、視力の弱い猫は、側面そのものに恐怖感を抱くことが考えられる。手術後や怪我の治療のために継続的にエリザベスカラーを装着する猫は行動が制限され、カラーがトイレの側面に引っかかって出入りが困難である。
【0014】
猫がトイレの側面を「またぐ」ことが困難であるからといって、習性に逆らってペットシーツの上などで排泄させるのではなく、本来猫が好んでいる砂の敷きつめられたトイレで排泄行為を行なえるようにするためには、「またぐ」動作をせずに砂の上に着座できるようにしなければならない。
【0015】
また、衰弱・高齢化が進み、立っていること自体が困難な場合、トイレ砂の上に着座することは、硬い地面に着座するのに比べて不安定である。そのことで便を排泄するためのいきみが十分にできなくなることも考えられるため、その場合はトイレの内部に安定した足場を設ける工夫も必要である。
【0016】
特に、猫は生活環境・生活習慣の変化に敏感な動物であり、使い慣れたトイレが新しいトイレに換わることに抵抗を示す例がある。このため、猫のストレスを最小限にとどめながらトイレを快適に使えるよう工夫する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0018】
請求項1に記載の発明は、底部と、周壁部とでトイレ容器が形成され、前記トイレ容器内にペットの排泄物処理材を入れたペット用トイレであり、
前記周壁部の一部にペットが出入り可能なペット出入り部を設け、
前記ペット出入り部にスロープを設け、
前記スロープによりペットが前記トイレ容器に出入り可能にしたことを特徴とするペット用トイレである。
【0019】
請求項2に記載の発明は、前記スロープは、スロープ下部と、スロープ上部とを有し、
前記スロープ上部は、ペットの排泄物または排泄物処理材が落ちることが可能な開口部を有し、
前記開口部を有する部分は、前記トイレ容器の内部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレである。
【0020】
請求項3に記載の発明は、前記スロープ下部と、前記スロープ上部とは、一体に形成され、
前記トイレ容器の内部に排泄物処理材を入れるトレイが配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用トイレである。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記スロープ下部と、前記スロープ上部とは、別体に形成され、
前記トイレ容器の内部に排泄物処理材を入れるトレイが配置され、
前記スロープ下部は、前記トレイと一体に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用トイレである。
【0022】
請求項5に記載の発明は、前記トイレ容器は、前記排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部足場を有し、
前記トイレ内部足場と前記スロープとを近接させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペット用トイレである。
【0023】
請求項6に記載の発明は、前記トイレ容器は、前記排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部通路を有し、
前記トイレ内部通路と前記スロープとを近接させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペット用トイレである。
【発明の効果】
【0024】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0025】
請求項1に記載の発明では、スロープによりペットがペット出入り部からトイレ容器の内部に出入り可能であり、ペットの猫などの動物が、より楽にトイレ容器の内部のシーツや砂などのペットの排泄物処理材の上ヘアクセスできる。飼い主がスロープを容易に取り外し、かつ受けトレイのシーツを交換したり、水洗いして簡単に汚れを落とすことができる。
【0026】
請求項2に記載の発明では、スロープの上で、ペットの猫などの動物が排泄行為をすることがあっても、ペットの排泄物が開口部からトイレ容器の内部に落ちる。また、排泄物処理材の上で排泄し、ペットの猫などの動物の足などに排泄物処理材が付着することがあっても、スロープの上を移動するときに、足などに付着した排泄物処理材が開口部からトイレ容器の内部に落ちる。また、飼い主がスロープを容易に取り外し、かつ水洗いして簡単に汚れを落とすことができる。
【0027】
請求項3に記載の発明では、スロープ下部とスロープ上部は、簡単に一体に形成され、トイレ容器に容易に取り付けることができる。また、排泄物処理材の上で排泄すると、飼い主が一体のスロープを容易に取り外し、トイレ容器の内部に配置したトレイを容易に取り出して清掃することができ、さらに既設のトイレ容器に容易に取り付けることができる。
【0028】
請求項4に記載の発明では、スロープ下部と、スロープ上部とは、別体に形成され、スロープ下部は、トレイと一体に形成されることで、スロープ下部がトレイの取っ手となり、スロープ下部を持ってトレイを簡単にトイレ容器の内部に配置することができ、しかもペットの猫などの動物がスロープ下部上を歩くときに、スロープ下部がずれることがなく、確実に排泄物処理材にアクセスすることができる。
【0029】
請求項5に記載の発明では、トイレ容器は、排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部足場を有し、ペットの猫などの動物がスロープからトイレ内部足場に容易にアクセスでき、トイレ砂やシーツのなどの排泄物処理材上で排泄行為をする際、トイレ内部足場によって安定した足場を確保することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明では、トイレ容器は、排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部通路を有し、ペットの猫などの動物がスロープからトイレ内部通路に容易にアクセスでき、トイレ砂やシーツのなどの排泄物処理材上で排泄行為をする際、しかもペット出入り部からの砂などの排泄物処理材の飛び散りを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、この発明のペット用トイレの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0032】
[ペット用トイレ]
この第1の実施の形態のペット用トイレを、図1及び図2に基づいて説明する。図1はペット用トイレの斜視図、図2はペット用トイレの分解斜視図である。
【0033】
この第1の実施の形態のペット用トイレは、トイレ容器10と、スロープ20とで構成される。トイレ容器10は、樹脂で一体成形され、底部10aと、周壁部10bを有する。周壁部10bは、対向する長い側壁10b1,10b2と、対向する短い側壁10b3,10b4とからなっている。
【0034】
このトイレ容器10の内部には、ペットの排泄物処理材11を入れることができる。このトイレ容器1は、長方形の箱状であるが、これに限定されず、円形の箱状などでもよい。
【0035】
ペットの排泄物処理材11は、トイレ砂やシーツなどで構成されるが、これに限定されない。排泄物処理材11は、トイレ容器10の内部に広く平坦に敷くことができるようになっている。
【0036】
トイレ容器10の周壁部10bの一部である側壁10b3には、ペットが出入り可能なペット出入り部10cが設けられている。このペット出入り部10cは、周壁部10bの一壁を除去した形状になっているが、一壁の一部に設けてもよい。出入り口部10cの高さは、トイレ砂を敷きつめるのに最低限必要な高さにとどめることが好ましく、また幅は、ペットが自由に出入りできる幅であることが好ましい。
【0037】
スロープ20は、ペット出入り部10cと、トイレ容器10の載置部との間に着脱可能に設けられる。このスロープ20は、スロープ下部20aと、スロープ上部20bから構成され、スロープ20によりペットがトイレ容器10に出入り可能になっている。スロープ下部20aと、スロープ上部20bは、別体に形成されているが、一体に形成してもよい。
【0038】
スロープ下部20aは、樹脂で一体にされ、通路20a1が斜面によって形成され、取付面20a2をトイレ容器10の周壁部10bの一側壁10b3に接触させてセットする。このスロープ下部20aは、取り外し可能で洗いやすく、猫にとって歩きやすいように通路20a1が斜面になっている。
【0039】
スロープ上部20bは、左右一対の枠体20b1と、この左右一対の枠体20b1の間に所定間隔で設けられた複数のポール20b1とから構成されている。ポール20b1同士の間に開口部21が形成され、複数のポール20b1と開口部21によって凹凸22が形成されている。
【0040】
このように、スロープ20は、ペットの排泄物または排泄物処理材11が落ちることが可能な開口部21を有し、この開口部21を有する部分は、スロープ上部20bにより構成され、トイレ容器10の内部に配置されている。このスロープ上部20bによって、トイレ容器10のペット出入り部10cと、排泄物処理材11上の猫が着座する部分(トイレ砂が露出し、砂をかくことができる部分)には適度な距離を設け、排泄後に猫がトイレ砂をペット出入り部10cから外部に飛散させることがないようにしている。
【0041】
また、スロープ20は、ペットが移動する部分に凹凸22を有し、この凹凸22は複数のポール20b1と開口部21によって形成されている。
【0042】
この実施の形態のペット用トイレは、底部10aと、周壁部10bとでトイレ容器10が形成され、このトイレ容器10内にペットの排泄物処理材11を入れている。そして、周壁部10bの一部にペットが出入り可能なペット出入り部10cを設け、このペット出入り部10cとトイレ容器10の載置部との間にスロープ20を設け、スロープ20によりペットが、ペット出入り部10cからトイレ容器10の内部に出入り可能であり、ペットの猫などの動物が、より楽にトイレ容器10の内部のシーツやトイレ砂などのペットの排泄物処理材11の上ヘアクセスできる。
【0043】
また、スロープ20は、スロープ下部20aと、スロープ上部20bから構成され、スロープ上部20bは、ペットの排泄物または排泄物処理材11が落ちることが可能な開口部21を有し、この開口部21を有する部分は、トイレ容器10の内部に配置される。したがって、スロープ上部20bの上で、ペットの猫などの動物が排泄行為をすることがあっても、ペットの排泄物が開口部21からトイレ容器10の内部に落ちる。また、排泄物処理材11の上で排泄し、ペットの猫などの動物の足などに排泄物処理材11が付着することがあっても、スロープ上部20bの上を移動するときに、足などに付着した排泄物処理材11が開口部21からトイレ容器10の内部に落ちる。また、飼い主がスロープ上部20bを容易に取り外し、かつ水洗いして簡単に汚れを落とすことができる。
【0044】
スロープ上部20bには、複数のポール20b1と開口部21によってペットが移動する部分に凹凸22を有しており、ペットの猫などの動物がシーツやトイレ砂などの排泄物処理材11にアクセスして排泄し、トイレ容器10から出るときにスロープ上部20b上を歩き、肢や指に付着した砂などをスロープ上部20bの凹凸22によって確実に落とすことができる。
【0045】
次に、図3に示す第2の実施の形態について説明する。図3(a)はペット用トイレの斜視図、図3(b)はペット用トイレの分解斜視図、図3(c)は図3(a)のc−c線に沿う断面図である。この第2の実施の形態では、図1及び図2の第1の実施の形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態では、ペット用トイレのスロープ20は、スロープ下部20aと、スロープ上部20bとが一体に形成されている。すなわち、スロープ上部20bは、第1の実施の形態と同様に構成されるが、スロープ下部20aは左右一対の枠体20b1を斜め下方に延ばし、この延ばした部分に板部材20cを設けて構成する。
【0046】
また、トイレ容器10には、トレイ30が設けられ、このトレイ30には排泄物処理材11が収容されている。このトレイ30の底部は、格子状になっていてトイレ砂が吸収できなかった尿を下へ通過させるスノコと、その尿を受け止めるトレイからなる二層構造にしてもよい。
【0047】
この第2の実施の形態のスロープ20は、スロープ下部20aとスロープ上部20bが 、簡単に一体に形成され、トイレ容器10に容易に取り付けることができる。また、排 泄物処理材11の上で排泄すると、飼い主が一体のスロープ20を容易に取り外し、ト イレ容器10の内部に配置したトレイ30を容易に取り出して清掃することができ、さ らに既設のトイレ容器に容易に取り付けることができる。
【0048】
次に、図4に示す第3の実施の形態について説明する。図4(a)はペット用トイレの斜視図、図4(b)はペット用トイレの分解斜視図である。この第3の実施の形態では、図1及び図2の第1の実施の形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この第3の実施の形態では、ペット用トイレのスロープ20は、スロープ下部20aと、スロープ上部20bとは、別体に形成されている。スロープ下部20aは、トレイ30と一体に形成される。
【0049】
この実施の形態では、スロープ下部20aと、スロープ上部20bとは、別体に形成され、スロープ上部20bは、第1の実施の形態と同様に構成されるが、スロープ下部20aは、トレイ30と一体に形成されることで、スロープ下部20aがトレイ30の取っ手となり、スロープ下部20aを持ってトレイ30を簡単にトイレ容器10の内部に配置することができる。しかも、ペットの猫などの動物がスロープ下部20a上を歩くときに、スロープ下部20aがずれることがなく、確実に排泄物処理材11にアクセスすることができる。
【0050】
次に、図5に示す第4の実施の形態について説明する。図5はペット用トイレの分解斜視図である。この第4の実施の形態では、図1及び図2の第1の実施の形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
この第4の実施の形態のペット用トイレは、トイレ容器10が、排泄物処理材11の一部の上方に位置するトイレ内部足場40を有し、このトイレ内部足場40とスロープ20とを近接させて配置している。
【0052】
トイレ内部足場40は、左右一対の足場枠40aと、この左右一対の足場枠40aの端部に所定間隔で設けた複数のポール40bと、端部のポール40bに固定した左右一対の内側足場枠40cと、左右一対の足場枠40aと内側足場枠40cとの間に所定間隔で設けた短いポール40dとで構成されている。このトイレ内部足場40には、中央に開口部41が形成されており、排泄物処理材11の一部の上方に設置されるが、排泄物処理材11の上に直接置いてもよい。
【0053】
このトイレ内部足場40に猫が座って排泄し、排泄物が開口部41から排泄物処理材11の上に落下する。また、トイレ内部足場40は、着座する部分の一部に、立つことがままならなくなっている猫などにとって必要な安定した足場ともなる。これは、猫が砂かきをするスペースをなるべく狭くする効果も期待でき、また排泄物処理材11のトイレ砂の飛び散りを防ぐこともできる。
【0054】
また、スロープ20は、スロープ下部20aの通路20a1の表面に、猫の肢や指についた砂を落とすための加工部を形成してもよい。この加工部は斜めに形成した溝で形成されているが、これに限定されず凹凸面としてもよい。
【0055】
このように、この実施の形態では、トイレ容器10は、排泄物処理材11の一部の上方に位置するトイレ内部足場40を有し、このトイレ内部足場40とスロープ20とを近接させたから、ペットの猫などの動物が、トイレ砂やシーツのなどの排泄物処理材11上で排泄行為をする際、スロープ20からトイレ内部足場40に容易に移動して着座することで、容易にシーツやトイレ砂などの排泄物処理材11にアクセスすることができ、しかもペット出入り部10cからのトイレ砂などの排泄物処理材11の飛び散りを防ぐことができる。
【0056】
次に、図6に示す第5の実施の形態について説明する。図6はペット用トイレの分解斜視図である。この第5の実施の形態では、図1及び図2の第1の実施の形態と同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。この第5の実施の形態のペット用トイレは、トイレ容器10が、排泄物処理材11の一部の上方に位置するトイレ内部通路60を有し、このトイレ内部通路60とスロープ20とを近接させて配置している。
【0057】
トイレ内部通路60は、長さが異なる左右一対の通路枠60aと、この左右一対の通路枠60aの短い通路枠60に対応して所定間隔で設けた複数のポール60bと、長い通路枠60aに対応して端部のポール60bに固定した内側通路枠60cと、長い通路枠60aと内側通路枠60cとの間に所定間隔で設けた短いポール60dとで構成されている。着座する部分の一部に、立つことがままならなくなっている猫などにとって必要な、安定したトイレ内部通路60をさらに増やしてもよい。これは、猫がトイレ砂かきをするスペースをなるべく狭くする効果も期待でき、トイレ砂の飛び散りを防ぐことができる。
【0058】
このように、この実施の形態では、トイレ容器10は、排泄物処理材11の一部の上方に位置するトイレ内部通路60を有し、トイレ内部通路60とスロープ20とを近接させており、ペットの猫などの動物が、トイレ砂やシーツのなどの排泄物処理材11上で排泄行為をする際、トイレ内部通路60によって安定した足場を確保することができる。
【0059】
[発明の特徴]
次に、この発明のペット用トイレの特徴を詳細に説明する。一般にみられるペット用トイレが側面の一部を取り去り、もしくは側面のうちの一部を、トイレ砂が漏れ出さない程度に低く作成しているが、側面の一部を低く作成しても、衰弱・高齢期などにある猫や動物にとってはそれを「またぐ」ことは困難である。このため、トイレ砂やペットシーツの上に着座するにあたって、「またぐ」動作を要する形状を避ける傾向にある。
【0060】
猫が習性として好んでいるトイレ砂の敷かれたトイレを実現するためには、ある程度の高さの縁が砂を囲っていなければならない。その縁や側面を「またぐ」ことなく、トイレ砂の上まで歩みをさえぎるものがないままでアクセスできるよう、猫や動物が無理なくのぼれる傾斜のスロープを設置する。
【0061】
泌尿器系や腎臓に疾患を抱えている猫は頻尿になりがちであり、トイレ砂の上に着座する前にスロープ上で排尿することも考えられる。このことに配慮し、スロープもトイレの一部であると想定して構成している。
【0062】
スロープは尿などの排泄物が下に落ちる構造とし、スロープの下に砂やシーツを敷くことができるようにし、スロープは飼い主が容易に取り外して水洗いできるように構成した。
【0063】
猫の生涯のうちの特別な時期にだけ使用するトイレを想定するのではなく、一生を通じて快適に使えるトイレを目指す。そのため、若く活発な猫にみられる砂かき行動にも配慮する。
【0064】
また、トイレの出入口(側面を低くしつらえた部分)とトイレ砂の露出部分(トイレ砂を掘ったりかき出したりできる部分)との間に適度な距離を設けることによって、かき出したトイレ砂が出入口から飛び散らないように構成している。
【0065】
トイレそのものを換えることなく、現状で使っている猫用トイレをアクセスしやすいものにするため、スロープをすえる。スロープは、猫の肢や指についた砂落としの機能を備えたものとする。その場合、猫の肢や指についたトイレ砂を受ける受けトレイを設けた。
【0066】
既存のトイレにすえるスロープについても、泌尿器系や腎臓に疾患を抱えている猫が、トイレ砂の上に着座する前にスロープ上で排尿することが考えられる。スロープの下には肢や指についた砂を受ける受けトレイだけでなく、尿を受けるペットシーツを敷くトレイなども設けた構成とした。
【0067】
この発明により猫などの動物が、より楽にトイレのシーツや砂の上ヘアクセスでき、特に、病気等で衰弱したり、高齢期にある猫がトイレを利用しやすい環境を創出することができる。
【0068】
病気等で衰弱したり、高齢期にある猫だけでなく、健康な猫にとっての利便性も考慮することで、ライフステージを問わず、猫が生涯を通じて快適に使い続けることができるトイレを提供することができる。
【0069】
何かしらの症状や高齢化による現象が出てからトイレを換えるのではなく、健康で活発な猫が普段からトイレ砂の上に着座しやすいトイレを使うことで尿意を我慢することのない状況を作り出し、泌尿器系や腎臓の疾患を未然に防ぐことに貢献することができる。
【0070】
猫をはじめとする動物たちにとって大変重要なトイレの環境をよりよくし、少しでもストレスを緩和して生活の質を維持し、長寿に結びつけることができる。
【0071】
飼い主を悩ませる猫の粗相の原因のひとつを解決する。例えば、飼い主にとっての「問題行動」は、猫が何かしら困難を抱えているために呈されることもある。猫がトイレ砂の上に着座しやすい環境を作り、猫が感じている不便さを解消して、粗相を減らす試みに貢献する。
【0072】
猫が砂の上に着座して排泄行為をした後、砂が足先についたままの猫がスノコ状のスロープを歩くことでトイレ砂を落とし、トイレ砂が部屋に持ち込まれるのを防ぐ効果が望める。例えば、スロープ表面に、猫の肢や指についたトイレ砂を除去するのに適した材質のものを付加することでより大きな効果が得られる。
【0073】
かき出されたトイレ砂は側面ではねかえるが、側面を低くしつらえた出入口の方向にかき出されたトイレ砂の飛び散りが懸念される。これについては着座部分(砂を掘ることができる部分)と出入り口の間にスロープが設けてあるため、かき出されたトイレ砂はスロープの上に落ち、トイレの外まで飛び散らない。トイレの出入り口部から適度な距離をもってスロープが設置してあることで、かき出したトイレ砂を受けるスペースとなる。
【0074】
トイレ砂を敷きつめた着座面の一部に、付属品として安定した足場をとりつけることができるようにし、立つことがままならない状況にある猫が排泄行為をするにあたっていきみやすい環境をつくることができる。四肢で立つことに困難を生じている猫に安易におむつをするのではなく、自立してトイレを使用できる可能性を広げることができる。
【0075】
トイレ砂を敷きつめた着座面の一部に、付属品として足場をとりつけることができるようにし、敷きつめたトイレ砂が露出する面(砂をかくことができる部分)を狭くすることで、トイレ砂の飛び散りを抑制する効果が望める。
【0076】
スロープ部分は既存のトイレにすえて使うことも考えられ、トイレそのものを換えることなく、使用中のトイレに改良を加えることができる。猫は突然の生活環境の変化を嫌うため、現状のトイレを使い続けることでストレスを最小限にとどめながらトイレをより使いやすくすることができる。
【0077】
また、スロープはアクセスのしやすさだけではなく、猫の肢や指についた砂を落とす効果に特化して使用することもできる。用途によってスロープ表面に加工を施すことや、スロープの一部に麻紐などを巻きつけて傾斜のある爪とぎとして利用することもでき、ほかに遊具としての活用も可能である。また、安全に配慮した上で、トイレ以外のものに設置して利用することも可能である。
【0078】
幼少期の猫や動物に関しては、トイレの認識・トレーニングにも効果が望める。また、野良猫として野外で長期間過ごした猫についても、地続きの砂地で排泄をしてきた状況に近い環境を提供できるため、トイレの認識・トレーニングに効果が望める。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明は、猫などの動物であるペットがトイレ砂やペットシーツの上にアクセスしやすいよう配慮し、その体調や年齢を問わずに生涯を通じて快適に使い続けることができ、なおかつペットの飼い主が管理しやすいペット用トイレに適用できる。また、既存のペット用トイレを、猫などの動物にとってより快適なペット用トイレに改良し、また多用途に使えるペット用スロープに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1の実施の形態のペット用トイレの斜視図である。
【図2】ペット用トイレの分解斜視図である。
【図3】第2の実施の形態のペット用トイレを示す図である。
【図4】第3の実施の形態のペット用トイレを示す図である。
【図5】第4の実施の形態のペット用トイレの分解斜視図である。
【図6】第5の実施の形態のペット用トイレの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
10 トイレ容器
10a 底部
10b 周壁部
10c ペット出入り部
11 排泄物処理材
20 スロープ
20a スロープ下部
20a1 通路
20b スロープ上部
21 開口部
30 トレイ
40 トイレ内部足場
41 開口部
60 トイレ内部通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、周壁部とでトイレ容器が形成され、前記トイレ容器内にペットの排泄物処理材を入れたペット用トイレであり、
前記周壁部の一部にペットが出入り可能なペット出入り部を設け、
前記ペット出入り部にスロープを設け、
前記スロープによりペットが前記トイレ容器に出入り可能にしたことを特徴とするペット用トイレ。
【請求項2】
前記スロープは、スロープ下部と、スロープ上部とを有し、
前記スロープ上部は、ペットの排泄物または排泄物処理材が落ちることが可能な開口部を有し、
前記開口部を有する部分は、前記トイレ容器の内部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記スロープ下部と、前記スロープ上部とは、一体に形成され、
前記トイレ容器の内部に排泄物処理材を入れるトレイが配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記スロープ下部と、前記スロープ上部とは、別体に形成され、
前記トイレ容器の内部に排泄物処理材を入れるトレイが配置され、
前記スロープ下部は、前記トレイと一体に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記トイレ容器は、前記排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部足場を有し、
前記トイレ内部足場と前記スロープとを近接させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記トイレ容器は、前記排泄物処理材の一部の上方に位置するトイレ内部通路を有し、
前記トイレ内部通路と前記スロープとを近接させたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のペット用トイレ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−284089(P2010−284089A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138825(P2009−138825)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(509164810)
【Fターム(参考)】