説明

ペット用ブラシ兼用清掃具

【課題】 ペットの毛づくろいすることができるとともに、紙資源を廃棄することなく、衣服やカーペットなどに付着したペットの抜け毛を含む塵埃を除去することができるペット用ブラシ兼用清掃具を提供する。
【解決手段】 本発明に係るペット用ブラシ兼用清掃具1は、内部に空間を有するとともに外部に連通する第一の開口21bを有し、その表面に弾性を有するピン状の毛から成るペット用ブラシ26が立設された筐体21と、筐体21の内部に収容されるとともに開口21bを介して出没可能に設けられた第一の基板22とを備える。第一の基板22の板面に傾斜パイルから成る捕塵ブラシ23が設けられており、筐体21の内部には、傾斜パイルから成り、捕塵ブラシ23に当接するよう位置する除塵ブラシ24が設けられており、捕塵ブラシ23および除塵ブラシ24の傾斜パイルが、ともに第一の開口21bから筐体21の内部に向く方向に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの毛づくろい用ブラシとして使用されるとともに、飼い主の衣服に付着したペットの抜け毛など除去することができる、ペット用ブラシ兼用清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットの毛づくろい用ブラシとして、いわゆるスリッカーブラシなどのペット用ブラシが広く用いられている。このペット用ブラシで犬や猫の体毛をブラッシングすると、しばしば抜け毛が飼い主の衣服やカーペットに付着する。そのため、従来は衣服などに付着した抜け毛を取り除くための清掃用具を、別途必要としていた。
【0003】
一方、特許文献1に記載されているような、ブラシの背面に粘着テープが積層されて設けられたペット用ブラシが知られている。また、特許文献2に記載されているような、ブラシの背面にロール状の粘着テープが設けられたペット用ブラシも知られている。これらのペット用ブラシは、背面の粘着テープを用いて衣服などに付着した抜け毛などを除去することができ、別途清掃用具を必要としないという特徴がある。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のペット用ブラシは、ブラシでありながら衣服などに付着した抜け毛をブラッシングして除去することはできず、抜け毛が粘着テープに移るよう、被清掃面に対して垂直に接離するよう動かす必要があった。また、ペットの体毛をブラッシングしている最中に粘着テープがペットの体毛に粘着し、ペットに苦痛を与えるおそれがあった。さらに、抜け毛を捕集し終えると粘着テープを一枚一枚剥がして捨てる必要があり、この処理が使用者への負担となっていた。また、捕集した抜け毛以上の紙資源のゴミを排出することになるため、ゴミの総量すなわち廃棄される紙資源の総量が増えるいう問題があった。
【0005】
一方、特許文献2に記載のペット用ブラシは、ロール状の粘着テープを衣服に密着させて転がすことにより、抜け毛を除去することが可能となっている。しかし、ロール状の粘着テープを含めた装置全体として大きいため、ペットの散歩などの際に持ち歩くのに不便であるという問題があった。また、特許文献1に記載のペット用ブラシと同様に、ブラッシングの最中に粘着テープがペットの体毛に粘着するおそれがあり、さらに廃棄される紙資源の総量が増えるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3101651号公報
【特許文献2】特開2008−279097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ペットの毛づくろいをすることができるとともに、衣服やカーペットなどに付着したペットの抜け毛などの塵埃を除去することができる、ペット用ブラシ兼用清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、基体と、前記基体の第一ブラシ面に設けられ、第一の方向に傾斜する傾斜パイルから成る捕塵ブラシと、前記基体の第二ブラシ面に立設され、弾性を有するピン状の毛から成るペット用ブラシとを備えることを特徴とするペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ペットに苦痛を与えることなく毛づくろいすることができるとともに、紙資源を廃棄することなく、衣服やカーペットなどに付着したペットの抜け毛を含む塵埃を除去することができるペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第一ブラシ面に対向する第三ブラシ面に設けられ、前記第一の方向に傾斜する傾斜パイルから成る除塵ブラシをさらに備え、前記除塵ブラシは前記捕塵ブラシに当接しており、前記第三ブラシ面が前記第一の方向に沿って往復移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、塵埃が付着した捕塵ブラシと除塵ブラシとを当接させて摺動させることにより、塵埃を捕塵ブラシから取り除くことができるペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記基体が、その内部に空間を有するとともに外部に連通する第一の開口を有する筐体と、前記筐体の内部に収容されるとともに前記第一の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第一ブラシ面が設けられた第一の基板とを備え、前記筐体の内部に前記第三ブラシ面が設けられており、前記第一の方向が、前記第一の開口から前記筐体の内部に向く方向であることを特徴とする請求項2に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第一の基板を筐体の内部に出し入れすることにより、捕塵ブラシに付着した塵埃を筐体の内部の空間に移送し収容することが可能なペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記筐体が、その内部の空間と外部とを連通する第二の開口を有し、前記基体が、前記筐体の内部に収容されるとともに前記第二の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第二ブラシ面が設けられた第二の基板をさらに備え、前記筐体の内部に、前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面が設けられており、前記第四ブラシ面に、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシが立設されており、前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに第二の方向に傾斜しており、前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っており、前記第二の方向が、前記第二の開口から前記筐体の内部に向く方向であることを特徴とする請求項3に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第一の基板を筐体の内部に出し入れすることにより、捕塵ブラシに付着した塵埃を筐体の内部の空間に移送し収容するとともに、第二の基板を筐体の内部に出し入れすることにより、ペット用ブラシに付着したペットの抜け毛などを筐体の内部の空間に移送し収容することが可能な、ペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記第一の基板の板面における、前記第一ブラシ面の裏側に前記第二ブラシ面が設けられており、前記筐体の内部に、前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面が設けられており、前記第四ブラシ面に、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシが立設されており、前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに前記第一の方向に傾斜しており、前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っていることを特徴とする請求項3に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第一の基板を筐体の内部に出し入れすることにより、捕塵ブラシに付着した塵埃およびペット用ブラシに付着したペットの抜け毛などを筐体の内部の空間に移送し収容することが可能なペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面に立設され、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシをさらに備え、前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに第二の方向に傾斜しており、前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っており、前記第四ブラシ面が前記第二の方向に沿って往復移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、ペットの抜け毛などが付着したペット用ブラシと除毛ブラシとを、毛の長さ方向に互いに重なり合った状態で動かすことにより、抜け毛などをペット用ブラシから取り除くことができるペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記基体が、その内部に空間を有するとともに外部に連通する第二の開口を有する筐体と、前記筐体の内部に収容されるとともに前記第二の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第二ブラシ面が設けられた第二の基板とを備え、前記筐体の内部に前記第四ブラシ面が設けられており、前記第二の方向が、前記第二の開口から前記筐体の内部に向く方向であることを特徴とする請求項6に記載のペット用ブラシ兼用清掃具である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、第二の基板を筐体の内部に出し入れすることにより、ペット用ブラシに付着したペットの抜け毛などを筐体の内部の空間に移送し収容することが可能な、ペット用ブラシ兼用清掃具を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ペットに苦痛を与えることなく毛づくろいすることができるとともに、紙資源を廃棄することなく、衣服やカーペットなどに付着したペットの抜け毛を含む塵埃を除去することができるペット用ブラシ兼用清掃具を提供するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1におけるA−A断面を示す断面図を用い、本発明に係るペット用ブラシ兼用清掃具の除塵作用を説明する説明図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を示す斜視図である。
【図5】図4におけるB−B断面を示す断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を示す斜視図である。
【図7】図6におけるC−C断面を示す断面図である。
【図8】本発明の第四の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を示す斜視図である。
【図9】図8におけるD−D断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を図1〜3に示す。図1はペット用ブラシ兼用清掃具の斜視図であり、図1(a)にペット用ブラシを上方に向けて見た斜視図を、図1(b)にペット用ブラシを下方に向けて見た斜視図をそれぞれ示す。図2は、図1(b)におけるA−A断面を示す断面図であり、図2(a)に第一の基板を筐体から引き出した時の断面図を、図2(b)に第一の基板を筐体に収納した時の断面図をそれぞれ示す。図3は、図1(b)におけるA−A断面を示す断面図であり、本発明に係るペット用ブラシ兼用清掃具の除塵作用を説明する説明図である。
【0026】
1はペット用ブラシ兼用清掃具であり、基体2と捕塵ブラシ23とペット用ブラシ26とを主要な構成要素とする。基体2は、平面視矩形で直方体状の筐体21と、矩形板状の第一の基板22とから構成されており、筐体21の厚さ方向の一の面である第二ブラシ面21kからはペット用ブラシ26が立設されている。筐体21の内部には内部空間21aが形成されているとともに、筐体21の幅方向の一の側面には第一の開口21bが設けられており、第一の開口21bを介して筐体21の内部空間21aと外部とが連通している。また、筐体21の厚さ方向の他の面、すなわちペット用ブラシ26の背面側には、内部空間21aと連通する排塵口21dが設けられており、排塵口21dには蓋21eが開閉可能に設けられている。
【0027】
筐体21の内部空間21aには、第一の基板22が収容されており、第一の開口21bを介して、幅方向に出没可能に設けられている。第一の基板22の幅方向の一辺の少なくとも一部は第一の開口21bから常時露出しており、第一の基板22の幅方向の他辺には突起22cが設けられており、第一の基板22が第一の開口21bから完全に露出して筐体21から脱落しないよう構成されている。なお、筐体21および第一の基板22の材質は問わないが、PPやABSなどの硬質プラスチックが好適に用いられる。
【0028】
第一の基板22の一の板面である第一ブラシ面22aには、捕塵ブラシ23が設けられている。捕塵ブラシ23は、第一の方向に傾斜する短毛の傾斜パイルから成り、ここで第一の方向は第一の開口21bから内部空間21aに向かう方向である。捕塵ブラシ23を構成する傾斜パイルの種類は特に問わないが、太さがφ0.1mm以下で長さが3mm以下のナイロン繊維から成る傾斜パイルが好適に用いられる。
【0029】
筐体21における第一の開口21bよりやや内方側には、第一の基板22の第一ブラシ面22aと対向する第三ブラシ面21lに、長手方向に延びる帯状の除塵ブラシ24が設けられている。除塵ブラシ24は、捕塵ブラシ23と同様に第一の開口21bから内部空間21aに向かう第一の方向に傾斜する短毛の傾斜パイルから成る。除塵ブラシ24を構成する傾斜パイルの種類は特に問わないが、太さがφ0.1mm以下で長さが3mm以下のナイロン繊維から成る傾斜パイルが好適に用いられる。除塵ブラシ24は第一の基板22の捕塵ブラシ23に当接している。第一の基板22は第一の開口21bに嵌合しており、第一の基板22は、捕塵ブラシ23と除塵ブラシ24との当接を維持したまま、筐体21からの出没が可能となるよう構成されている。
【0030】
なお、第一の基板22を筐体21から引き出すのを容易にするため、第一の開口21bの周囲に窪みを設けたり、第一の基板22を完全に押し込んだ状態でも第一の基板22の板面が一部露出するよう第一の基板22の幅長を筐体21の幅長より若干長めに構成したり、第一の基板22の幅方向の一辺に突起を設ける等、必要に応じて適宜行うことができる。
【0031】
筐体21の第二ブラシ面21kに立設されているペット用ブラシ26は、弾性を有するピン状の毛から成り、筐体21とは別体に形成された毛を、筐体21に別途結合することで構成することも可能であるが、筐体21と一体に形成して、筐体21から突出する多数の突起状に構成することも可能である。このように構成することによって低コストで製造することが可能となる。ペット用ブラシ26の材質は問わないが、金属や、PPやABSなどの硬質プラスチックが好適に用いられ、また、太さがφ0.5mm以上で長さが5mm以上の毛に形成するのが好適である。
【0032】
なお、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、ペット用ブラシ26が設けられている第二ブラシ面21kと捕塵ブラシ23が設けられている第一ブラシ面22aとが逆向きに配置されている。このように配置すると、捕塵ブラシ23でブラッシングする際にペット用ブラシ26が邪魔になることがない。しかし、ペット用ブラシ26と捕塵ブラシ23とを同じ方向に向けて配置することももちろん可能である。また、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、ペット用ブラシ26が設けられている面と排塵口21dおよび蓋21eが設けられている面とが逆向きに配置されているが、ペット用ブラシ26を蓋21eに立設させて構成することも可能である。またさらに、排塵口21dおよび蓋21eを、板厚方向の面ではなく、幅方向の他の面、すなわち第一の開口21bの背面や、長手方向の面に配置することも可能である。
【0033】
次に第一の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1の使用方法について、図3を参照しながら説明する。
【0034】
犬や猫などのペットの毛づくろいをする場合、ペット用ブラシ兼用清掃具1の筐体21を把持して、ペット用ブラシ26を動かしてブラッシングする。ペットをブラッシングした後、ペットの抜け毛などの塵埃が衣服や床などに付着した場合は、ペット用ブラシ兼用清掃具1の捕塵ブラシ23を用いて衣服や床などに付着した塵埃を取り除くことができる。以下に、衣服や床などの被清掃面の清掃について説明する。
【0035】
まず、筐体21から第一の基板22を引き出して捕塵ブラシ23を外部に露出させる。そして捕塵ブラシ23を被清掃面に当接して、傾斜パイルの傾斜方向に向けてブラッシングする。すると被清掃面に付着していた塵埃は捕塵ブラシ23にすくい取られ、捕塵ブラシ23に付着する(図3(a)参照)。
【0036】
次に、捕塵ブラシ23に塵埃Dが付着した第一の基板22を、筐体21の奥に向けて押し込む。このとき捕塵ブラシ23は除塵ブラシ24と当接しながら摺動するが、捕塵ブラシ23に付着している塵埃Dはまだ捕塵ブラシ23に付着したままである(図3(b)参照)。
【0037】
次に、第一の基板22を筐体21から再び引き出す。このときも捕塵ブラシ23は除塵ブラシ24と当接しながら摺動するが、この場合は塵埃Dは除塵ブラシ24にすくい取られ、除塵ブラシ24に付着する(図3(c)参照)。
【0038】
次に基板22を再び筐体21の奥に向けて押し込む。このとき捕塵ブラシ23は除塵ブラシ24と当接しながら摺動するが、除塵ブラシ24に付着している塵埃Dは捕塵ブラシ23にすくい取られ、内部空間21aに放出される(図3(d)参照)。
【0039】
すなわち、捕塵ブラシ23で被清掃面をブラッシングして塵埃Dを捕集した後に、第一の基板22を繰り返し出し入れすることによって、塵埃Dは筐体21の内部空間21aに移動し、そこに収容されることになる。
【0040】
内部空間21aに収容された塵埃Dは、排塵口21dから取り出すことができる。排塵口21dには蓋21eが開閉可能に設けられており、塵埃を排出する際に蓋21eを開くと内部空間21aと外部とが連通するため、排塵口21dを下に向けることで塵埃を排出することができる。
【0041】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を図4および図5に示す。なお、以下においては、第一の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0042】
図4はペット用ブラシ兼用清掃具の斜視図であり、図4(a)にペット用ブラシを上方に向けて見た斜視図を、図4(b)にペット用ブラシを下方に向けて見た斜視図をそれぞれ示す。図5は、図4(b)におけるB−B断面を示す断面図であり、図5(a)に第一の基板を筐体から引き出した時の断面図を、図5(b)に基板を筐体に収納した時の断面図をそれぞれ示す。
【0043】
第二の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1もまた、第一の実施形態と同様に、基体2と捕塵ブラシ23とペット用ブラシ26とを主要な構成要素とし、基体2は、平面視矩形で直方体状の筐体21と、矩形板状の第一の基板22とから構成されている。ここで、ペット用ブラシ26は第一の基板22に設けられており、具体的には、捕塵ブラシ23が設けられている第一ブラシ面22aの裏側の第二ブラシ面22bに立設されている。ペット用ブラシ26は第一の実施形態と同様に形成される。そして第一の実施形態と同様に、筐体21の内部空間21aには第一の基板22が収容されており、第一の開口21bを介して、幅方向に出没可能に設けられている。
【0044】
また、第一の実施形態と同様、筐体21における第一の開口21bよりやや内方側には、第一の基板22の第一ブラシ面22aと対向する第三ブラシ面21lに、長手方向に延びる帯状の除塵ブラシ24が設けられている。一方、筐体21における第一の開口21bよりやや内方側において、第一の基板22の第二ブラシ面22bと対向する第四ブラシ面21mが設けられており、そこに弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシ27が立設されている。除毛ブラシ27は第二ブラシ面22bに向けて延びるとともに、第一の開口21bから内部空間21aに向かう第一の方向に傾斜して設けられている。そして、ペット用ブラシ26と除毛ブラシ27とは毛の長さ方向に互いに重なり合っている。除毛ブラシ27の材質はペット用ブラシ26と同様とするのが好適である。なお、図示の除毛ブラシ27は二列の毛で構成されているが、毛の列数は任意に設定できる。また、除毛ブラシ27の毛のピッチは、ペット用ブラシ26のピッチと同じピッチとしつつ、半ピッチずらして配置するのが好適である。
【0045】
第一の基板22は第一の開口21bに嵌合しており、捕塵ブラシ23と除塵ブラシ24との当接を維持しつつ、またペット用ブラシ26と除毛ブラシ27とを毛の長さ方向に重ね合わせたたまま、第一の基板22が筐体21から出没できるよう構成されている。
【0046】
次に第二の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1の使用方法について、図5を参照しながら説明する。捕塵ブラシ23および除塵ブラシ24の作用は第一の実施形態と同様であるため、ここでは主にペット用ブラシ26および除毛ブラシ27の作用について説明する。
【0047】
犬や猫などのペットの毛づくろいをする場合、ペット用ブラシ兼用清掃具1の筐体21から第一の基板22を引き出した状態で、筐体21を把持し、ペット用ブラシ26を動かしてブラッシングする。ペットをブラッシングした後、ペットの抜け毛がペット用ブラシ26に付着する。
【0048】
次に、ペット用ブラシ26に抜け毛が付着した状態の第一の基板22を、筐体21の奥に向けて押し込む。このときペット用ブラシ26は除毛ブラシ27と毛の長さ方向に重なり合いながら、第一の開口21bから内部空間21aに向けて、すなわち第一の方向に移動する。このとき、除毛ブラシ27は第一の方向に傾斜しているため、ペット用ブラシ26に付着している抜け毛は除毛ブラシ27によって進行を妨げられることはなく、ペット用ブラシ26に付着したままとなる。
【0049】
次に、第一の基板22を筐体21から再び引き出す。このときペット用ブラシ26は除毛ブラシ27と毛の長さ方向に重なり合いながら内部空間21aからの第一の開口21bに向けて移動するが、この場合、ペット用ブラシ26に付着している抜け毛は第一の方向に傾斜している除毛ブラシ27にすくい取られ、除毛ブラシ27に付着する。
【0050】
次に基板22を再び筐体21の奥に向けて押し込む。このときペット用ブラシ26は除毛ブラシ27と毛の長さ方向に重なり合いながら、第一の開口21bから内部空間21aに向けて、すなわち第一の方向に移動するが、除毛ブラシ27は第一の方向に傾斜しているため、除毛ブラシ27に付着している抜け毛はペット用ブラシ26によってすくい取られ、内部空間21aに放出される。
【0051】
すなわち、ペット用ブラシ26でペットをブラッシングして抜け毛が付着した後に、第一の基板22を繰り返し出し入れすることによって、抜け毛は筐体21の内部空間21aに移動し、そこに収容されることになる。また、捕塵ブラシ23に塵埃が付着していた場合には、同じ動作によって、塵埃を内部空間21aに移動させてそこに収容させることができる。また、内部空間21aに収容された抜け毛および塵埃は、第一の実施形態と同様に、排塵口21dから取り出すことができる。
【0052】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を図6および図7に示す。図6は本発明の第三の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具の斜視図であり、図7は図6におけるC−C断面を示す断面図である。
【0053】
第三の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1もまた、第一の実施形態と同様に、基体2と捕塵ブラシ23とペット用ブラシ26とを主要な構成要素としている。ここで基体2は、平面視矩形で直方体状の筐体21と、矩形板状の第一の基板22と、矩形板状の第二の基板25とから構成されている。そして、筐体21の内部には内部空間21aおよび内部空間21hが形成されており、筐体21の幅方向の一の側面には内部空間21aと連通する第一の開口21bが設けられており、他の側面には内部空間21hと連通する第二の開口21cが設けられている。また、筐体21の厚さ方向の一の面には、内部空間21aと連通する排塵口21dが設けられており、排塵口21dには蓋21eが開閉可能に設けられているとともに、筐体21の厚さ方向の他の面には、内部空間21hと連通する排塵口21fが設けられており、排塵口21fには蓋21gが開閉可能に設けられている。筐体21の内部空間21aと内部空間21hとは、隔壁21iにより分け隔てられている。筐体21の内部空間21aには、第一の基板22が収容されており、第一の開口21bを介して、幅方向に出没可能に設けられている。また、筐体21の内部空間21hには、第二の基板25が収容されており、第二の開口21cを介して、幅方向に出没可能に設けられている。
【0054】
第一の実施形態と同様に、第一の基板22の一の板面である第一ブラシ面22aには捕塵ブラシ23が設けられており、筐体21における第一の開口21bよりやや内方側には、第一の基板22の第一ブラシ面22aと対向する第三ブラシ面21lに、長手方向に延びる帯状の除塵ブラシ24が設けられている。捕塵ブラシ23および除塵ブラシ24の構成および配置は第一の実施形態と同様であり、いずれも第一の開口21bから内部空間21aに向かう第一の方向に傾斜する傾斜パイルから成る。
【0055】
第二の基板25の一の板面には第二ブラシ面25aが設けられており、そこにペット用ブラシ26が立設されている。ペット用ブラシ26は第一の実施形態と同様に形成される。そして筐体21における第二の開口21cよりやや内方側において、第二の基板25の第二ブラシ面25aと対向する第四ブラシ面21mが設けられており、そこに弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシ27が立設されている。除毛ブラシ27は第二ブラシ面25aに向けて延びるとともに、第二の開口21cから内部空間21hに向かう第二の方向に傾斜して設けられている。そして、ペット用ブラシ26と除毛ブラシ27とは毛の長さ方向に互いに重なり合っている。除毛ブラシ27の材質はペット用ブラシ26と同様に構成することが好適である。また、除毛ブラシ27の毛の列数、ピッチは、第二の実施形態と同様である。
【0056】
第一の基板22は第一の開口21bに嵌合しており、捕塵ブラシ23と除塵ブラシ24との当接を維持しつつ、第一の基板22が筐体21から出没できるよう構成されている。また、第二の基板25は第二の開口21cに嵌合しており、ペット用ブラシ26と除毛ブラシ27とを毛の長さ方向に重ね合わせたたまま、第二の基板25が筐体21から出没できるよう構成されている。
【0057】
第三の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1の使用方法について説明する。捕塵ブラシ23および除塵ブラシ24の作用は第一の実施形態と同様であり、ペット用ブラシ26および除毛ブラシ27の作用については第二の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態においては、衣服になどに付着した塵埃を清掃するには、第一の基板22を引き出して捕塵ブラシ23でブラッシングし、その後第一の基板22を繰り返し出し入れすることによって、捕塵ブラシ23に付着した塵埃を内部空間21aに移動させてそこに収容させることができ、また、ペットの毛づくろいをするには、第二の基板25を引き出してペット用ブラシ26でブラッシングし、その後第二の基板25を繰り返し出し入れすることによって、ペット用ブラシ26に付着した抜け毛を内部空間21hに移動させてそこに収容させることができる。
【0058】
第三の実施形態のように、ペットの毛づくろいをするためのペット用ブラシ26と、衣服に付着した塵埃を捕集する捕塵ブラシ23とを、異なる基板に設けることにより、使用者は衛生的な不快感をもよおすことなく、ペット用ブラシ兼用清掃具1を使用することができる。
【0059】
なお、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、内部空間21aと内部空間21hとが隔壁21iによって分割されているが、隔壁21iを設けることなく一つの内部空間とすることも可能である。そのとき、排塵口および蓋をそれぞれ一つづつ設ければよい。
【0060】
また、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、ペット用ブラシ26が設けられている第二ブラシ面25aと捕塵ブラシ23が設けられている第一ブラシ面22aとが逆向きに配置されているが、ペット用ブラシ26と捕塵ブラシ23とを同じ方向に向けて配置することももちろん可能である。さらに、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、第一の開口21bが設けられている面と第二の開口21cが設けられている面とが互いに逆となっているが、同じ面に設けるよう構成することももちろん可能である。
【0061】
(第四の実施形態)
本発明の第四の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具を図8および図9に示す。図8は本発明の第四の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具の斜視図であり、図9は図8におけるD−D断面を示す断面図である。なお、以下においては、第三の実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0062】
第四の実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1もまた、第三の実施形態と同様に、基体2と捕塵ブラシ23とペット用ブラシ26とを主要な構成要素としている。基体2は筐体21と第二の基板25とから構成されており、第二の基板25にはペット用ブラシ26が、筐体21には除毛ブラシ27が第三の実施形態と同様に設けられている。しかし、捕塵ブラシ23は基板に設けられておらず、筐体21の厚さ方向の一の面である第一ブラシ面21jに設けられている。このとき捕塵ブラシ23を構成する傾斜パイルの傾斜の方向は、任意に設定することができる。
【0063】
本実施形態に係るペット用ブラシ兼用清掃具1については、筐体21を把持して捕塵ブラシ23でブラッシングすることにより衣服や床などに付着した塵埃を捕集することができる。また、第二の基板25を引き出してペット用ブラシ26でペットの毛づくろいをし、その後第二の基体25を繰り返し出し入れすることによって、ペット用ブラシ26に付着した抜け毛を内部空間21hに移動させてそこに収容させることができる。
【0064】
なお、図示のペット用ブラシ兼用清掃具1においては、ペット用ブラシ26が設けられている第二ブラシ面25aと捕塵ブラシ23が設けられている第一ブラシ面21jとが逆向きに配置されている。このように配置すると、ペット用ブラシ26でブラッシングする際に捕塵ブラシ23が邪魔になることがない。しかし、ペット用ブラシ26と捕塵ブラシ23とを同じ方向に向けて配置することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ペット用ブラシ兼用清掃具
2 基体
21 筐体
21a 内部空間(空間)
21b 第一の開口
21c 第二の開口
21d 排塵口
21e 蓋
21f 排塵口
21g 蓋
21h 内部空間(空間)
21i 隔壁
21j 第一ブラシ面
21k 第二ブラシ面
21l 第三ブラシ面
21m 第四ブラシ面
22 第一の基板
22a 第一ブラシ面
22b 第二ブラシ面
22c 突起
23 捕塵ブラシ
24 除塵ブラシ
25 第二の基板
25a 第二ブラシ面
26 ペット用ブラシ
27 除毛ブラシ
D 塵埃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の第一ブラシ面に設けられ、第一の方向に傾斜する傾斜パイルから成る捕塵ブラシと、
前記基体の第二ブラシ面に立設され、弾性を有するピン状の毛から成るペット用ブラシとを備える
ことを特徴とするペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項2】
前記第一ブラシ面に対向する第三ブラシ面に設けられ、前記第一の方向に傾斜する傾斜パイルから成る除塵ブラシをさらに備え、
前記除塵ブラシは前記捕塵ブラシに当接しており、
前記第三ブラシ面が前記第一の方向に沿って往復移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項3】
前記基体が、
その内部に空間を有するとともに外部に連通する第一の開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に収容されるとともに前記第一の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第一ブラシ面が設けられた第一の基板とを備え、
前記筐体の内部に前記第三ブラシ面が設けられており、
前記第一の方向が、前記第一の開口から前記筐体の内部に向く方向である
ことを特徴とする請求項2に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項4】
前記筐体が、その内部の空間と外部とを連通する第二の開口を有し、
前記基体が、前記筐体の内部に収容されるとともに前記第二の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第二ブラシ面が設けられた第二の基板をさらに備え、
前記筐体の内部に、前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面が設けられており、
前記第四ブラシ面に、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシが立設されており、
前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに第二の方向に傾斜しており、
前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っており、
前記第二の方向が、前記第二の開口から前記筐体の内部に向く方向である
ことを特徴とする請求項3に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項5】
前記第一の基板の板面における、前記第一ブラシ面の裏側に前記第二ブラシ面が設けられており、
前記筐体の内部に、前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面が設けられており、
前記第四ブラシ面に、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシが立設されており、
前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに前記第一の方向に傾斜しており、
前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っている
ことを特徴とする請求項3に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項6】
前記第二ブラシ面に対向する第四ブラシ面に立設され、弾性を有するピン状の毛から成る除毛ブラシをさらに備え、
前記除毛ブラシは前記第二ブラシ面に向けて延びるとともに第二の方向に傾斜しており、
前記ペット用ブラシと前記除毛ブラシとが毛の長さ方向に互いに重なり合っており、
前記第四ブラシ面が前記第二の方向に沿って往復移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。
【請求項7】
前記基体が、
その内部に空間を有するとともに外部に連通する第二の開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に収容されるとともに前記第二の開口を介して出没可能に設けられ、その板面に前記第二ブラシ面が設けられた第二の基板とを備え、
前記筐体の内部に前記第四ブラシ面が設けられており、
前記第二の方向が、前記第二の開口から前記筐体の内部に向く方向である
ことを特徴とする請求項6に記載のペット用ブラシ兼用清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−156169(P2011−156169A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20507(P2010−20507)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000228822)日本シール株式会社 (12)
【Fターム(参考)】