説明

ペット用ブラシ装置

【課題】犬や猫の抜け毛やゴミを安全に掻き取ることができるとともに、掻き取った抜けやゴミを簡単に回収することができるペット用ブラシ装置を提供する。
【解決手段】粘着テープロール5を回転可能に支持する粘着テープロール支持部4と、ピン状のブラシ毛31が多数植設されたブラシ部3とを備え、粘着テープロール5から繰り出された粘着テープ51の一部を、その粘着面52がブラシ毛31の先端側を向くようにブラシ毛31に刺入して、ブラシ部3で捕捉された毛を粘着テープ51の粘着面52で回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットの毛をブラッシングするためのペット用ブラシ装置に関し、さらに詳しく言えば、ブラッシングによって掻き集められた抜け毛を簡単に集めて捨てることができるペット用ブラシ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫などの動物は、定期的に毛が抜け替わるため、ブラッシングして毛並みを整えてあげることが好ましい。例えば特許文献1に示すように、ペット用ブラシは、多数のピン状のブラシ毛が植設されたブラシ台を備えており、このブラシ台をペットの体表面に沿って擦りつけることでブラシに毛が掻き集められるようになっている。
【0003】
とりわけ、特許文献1に記載のペット用ブラシは、パイプの一端にブラシ台が一体的に形成されており、パイプの他端を掃除器の吸引パイプに接続することにより、ブラッシングによって抜け落ちた毛を同時に掃除器で吸い取ることができる吸引ブラシになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−190174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のペット用ブラシには、次のような問題があった。すなわち、犬や猫の多くは、掃除器の駆動音(吸引音)に怯えることが多く、単に掃除器を見ただけで逃げ出すといった場合もあり、このような場合では掃除器を駆動しながら、ブラッシングがけを行うことが極めて難しい。
【0006】
また、このペット用ブラシは、ブラシ毛が金属製などの硬質なピン状であるため、ペットの顔や口回りを直接ブラッシングすることは危険であった。また、ブラシ毛の植設間隔が広く設計されているため、体毛を掻き取ることはできても、体毛に絡みついた埃やゴミなど微少ゴミを除去することはできず、ブラッシングによってこれらゴミが飛散してすることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は上述した課題を解決するため、犬や猫の抜け毛やゴミを安全に掻き取ることができるとともに、掻き取った抜けやゴミを簡単に回収することができるペット用ブラシ装置を提供することにある。
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、粘着テープロールを回転可能に支持する粘着テープロール支持部と、ピン状のブラシ毛が多数植設されたブラシ部とを有し、上記粘着テープロールから繰り出された粘着テープの一部が、その粘着面を上記ブラシ毛の先端側を向くようにして上記ブラシ毛に刺入可能であり、上記ブラシ部で捕捉された毛を上記粘着テープの粘着面で回収することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記粘着テープは上記粘着テープロールから繰り出されて途中で切り離されることなく、上記ブラシ毛に刺入可能であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記粘着テープロールは、その粘着面が表側を向くように巻回されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1,2または3において、上記粘着テープロール支持部は、上記ブラシ部の背面側(反毛先側)に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ブラシ毛に粘着テープの粘着面が表側(毛先側)を向くように差し込んだ状態でブラッシングを行うことにより、ブラッシングによって掻き集められた抜け毛を粘着面で捕捉することができるばかりでなく、ブラッシング後は粘着テープをブラシ毛から持ち上げながら取り去ることで、ブラシ毛に絡みついた抜け毛を簡単に回収して捨てることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、粘着テープロールから繰り出された粘着テープが途中で切り離されることなく、ブラシ毛に刺入可能であることにより、粘着テープロールから繰り出した粘着テープを直接ブラシ毛に簡単に差し込むことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、粘着テープロールは粘着面が表側を向くように巻回されていることにより、粘着テープロールの粘着面をペットの体表面に直に接触させながら転がすことで、体表面に付着した抜け毛やゴミを粘着面で捕らえることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、粘着テープロール支持部とブラシ部とを背中合わせに配置したことにより、ブラシと粘着テープロールの2パターンの清掃方法を用途に応じて使い分けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの限りではない。図1は、本発明の一実施形態に係るペット用ブラシ装置の斜視図であり、図2はその使用状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、このペット用ブラシ装置1は、手によって把持されるグリップ部2を有し、その一端にブラシ部3と粘着テープロール支持部4とが一体的に形成されている。この例において、グリップ部2、ブラシ部3および粘着テープロール支持部4は合成樹脂の一体成型品からなる。
【0018】
グリップ部2は、手によって把持される棒状を呈し、その先端には、グリップ部2に対して相対的にT状のフレーム21が一体的に形成されている。フレーム21の先端には、ブラシ部3が配置されている。
【0019】
ブラシ部3は、フレーム21の先端部をブラシ台として、ピン状のブラシ毛31が所定間隔で多数植設されている。この例において、ブラシ毛31は、金属製のピンからなるが、これ以外に合成樹脂製であってもよいが、後述する粘着テープ21を刺入可能な強度を備えていれば、仕様に応じて任意に選択できる。
【0020】
粘着テープロール支持部4は、ブラシ部3の背面に背中合わせに配置されている。これによれば、粘着テープロール5から繰り出された粘着テープ51が途中で切断されることなく、ブラシ毛31に刺入することができる。
【0021】
フレーム21の両端には、粘着テープロール5を回転可能に支持するための一対の支持アーム41,41が左右対称に設けられている。
【0022】
支持アーム41,41には、図示しない軸受部が同軸的に設けられており、この軸受部を粘着テープロール5の巻芯にそって差し込むことにより、支持アーム41,41の間に粘着テープロール5が回転可能に架け渡されるようになっている。
【0023】
粘着テープロール5は、帯状の紙製基材の一方の面に粘着面52が形成された粘着テープ51を、その粘着面51が表側を向くように巻芯(図示しない)に沿って多重に巻回したものからなる。この例において、粘着テープ51の幅方向の両端には、粘着性を持たない未粘着部(ドライエッジ部)が設けられている。
【0024】
粘着テープ51を構成する基材は、少なくともブラシ部3のブラシ毛31に刺入しても破れることがない強度を備えていればよく、その材質や形態などは、仕様に応じて任意である。この例では、紙製基材の一方の面に補強用のフィルムシートが張り合わされた補強基材が用いられている。
【0025】
基材に塗布される粘着剤の種類は、弱粘着タイプや強粘着タイプ、発泡タイプなどが任意に選択して用いられる。この例において、粘着剤は基材に一様に塗布された、いわゆるベタ塗りであるが、これ以外にスジ状に塗布されていてもよいし、スポット状(島状)に塗布されていてもよく、その塗布形態は仕様に応じて任意に変更可能である。
【0026】
次に、このペット用ブラシ装置1の使用手順の一例について説明する。まず最初に、図2に示すように、粘着テープロール5から粘着テープ51の端部を手で把持し、粘着面52が上を向くようにした状態でブラシ部3まで繰り出す。
【0027】
次に、粘着テープ51をブラシ毛31に押し当てながら強く押し込んで、粘着テープ51をブラシ毛31に差し込む。これにより、ブラシ部3の底部に粘着テープ51が差し込まれた状態で保持される。
【0028】
この状態で使用者は、図3に示すように、グリップ部2を手で把持しながら、ペットの体表面Sに沿ってブラシ部3でブラッシングすることにより、ブラシ毛31に体毛Hが掻き取られるとともに、その抜け毛の一部が粘着テープ51の粘着面52によって捕捉される。
【0029】
ブラッシングが終わった後は、まず粘着テープ51に設けられた図示しない切れ目に沿って粘着テープ51を切断したのち、粘着テープ51を上に持ち上げてブラシ毛31から引き抜く。これにより、ブラシ毛31に絡みついた抜け毛をまとめて粘着テープ51で回収することができる。
【0030】
また、粘着面52が表側を向くように巻回された粘着テープロール5を用いた場合は、別の態様として次のような使用方法もある。すなわち、図4に示すように、ペットの体表面には、埃やゴミなどのゴミが付着しているばかりでなく、ダニなどの寄生虫も付着している。これらはブラシ毛31の植設間隔が広いため、ブラシ部3で掻き出すことはできても、捕捉することはできない。
【0031】
そこで、ペットの体表面Sに粘着テープロール5の粘着面52を直接押し当てて転がすことにより、体表面Sに付着したゴミなどを粘着面52で捕捉することができる。とりわけ、ブラッシング後にこの作業を行うことで、体表面Sに付着した抜け毛やゴミをより確実に回収することができる。
【0032】
この例において、粘着テープロール5は粘着面52が表側を向くように巻回されているが、これ以外に、粘着面52が内側(巻芯側)を剥くように巻回された粘着テープロール5を用いてもよい。また、両面粘着テープであってもよい。
【0033】
また、この例において、粘着テープ51にはほぼ1周長ごとに切断用の切れ目(図示しない)が設けられているが、切れ目の位置や構成は任意であってよく、また、フレーム21の一部に切断用の刃を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るペット用ブラシ装置の斜視図。
【図2】上記ペット用ブラシ装置の使用状態を示す斜視図。
【図3】上記ペット用ブラシ装置の使用手順を説明する説明図。
【図4】上記ペット用ブラシ装置の使用手順を説明する説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 ペット用ブラシ装置
2 グリップ部
3 ブラシ部
4 粘着テープロール支持部
5 粘着テープロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープロールを回転可能に支持する粘着テープロール支持部と、ピン状のブラシ毛が多数植設されたブラシ部とを有し、上記粘着テープロールから繰り出された粘着テープの一部が、その粘着面を上記ブラシ毛の先端側を向くようにして上記ブラシ毛に刺入可能であり、上記ブラシ部で捕捉された毛を上記粘着テープの粘着面で回収することを特徴とするペット用ブラシ装置。
【請求項2】
上記粘着テープは上記粘着テープロールから繰り出されて途中で切り離されることなく、上記ブラシ毛に刺入可能であることを特徴とする請求項1に記載のペット用ブラシ装置。
【請求項3】
上記粘着テープロールは、その粘着面が表側を向くように巻回されていることを特徴とする請求項1または2に記載のペット用ブラシ装置。
【請求項4】
上記粘着テープロール支持部は、上記ブラシ部の背面側(反毛先側)に設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のペット用ブラシ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−279097(P2008−279097A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126474(P2007−126474)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)
【Fターム(参考)】