説明

ペット用自動清掃トイレ

【課題】
ペット用トイレの搭乗板にペットが排泄した屎尿を有機廃棄物処理部内部に搬送し、屎尿の悪臭を短時間で分解することでペット用トイレを清潔に維持し、屎尿の悪臭を室内に拡散することを防止し、飼育者の清掃の手間や煩わしさを解消する。
【解決手段】
ペットが搭乗して排泄する排泄部と、排泄部に排泄した排泄した屎尿を分解、消滅させる有機廃棄物処理部と、有機廃棄物処理部には、好気性発酵微生物が育成するための顆粒形状、ペレット形状の育成床を収納し、有機廃棄物処理部内部の育成床を攪拌する攪拌機を備え、排泄部は、少なくとも排泄された糞を前記有機廃棄物処理部へ搬送する搬送手段を備え、ペットが排泄部に搭乗しているか否かを検出するセンサーと、ペットが排泄部に搭乗している事を検出した後、前記有機廃棄物処理部へ糞を搬送する搬送手段を駆動して屎尿を分解、消滅させるペット用自動清掃トイレ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの屎尿を有機廃棄物処理部へ搬送して屎尿を短時間で分解して悪臭を室内に拡散することを防止するバイオトイレに関するもので、主に犬を室内で飼育するためのペット用自動清掃トイレである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペット用自動清掃トイレ(猫用)は、特許文献1に示すように、
ペットの屎尿を自動的に処理する技術思想として、欧州特許公報EP721731が開示されている。本件特許は、主に猫用のものであって、砂と排泄物を分離するための手段としての堆肥フォーク(manure fork)を備え、猫用のサンドプレート(cat sand plate)が開示されている。
【0003】
堆肥フォークの移動先には、開閉可能に設けた固形状の排泄物を収集する容器が備えられ、砂と排泄物を分離し、固形状化した排泄物のみ収集される。
【0004】
排泄物を収集する容器は、時々それを空にすることができるように、装置から外すことが可能である。
【0005】
堆肥フォークは、尿が乾燥し固形化した頃合いに動作し、排泄物を容器に入れると猫用のサンドプレートを堆肥フォークで逆方向に送る事で略均一化し、砂が減少した場合は、減少した分、人が砂を補充する。
【0006】
このような技術は、リッターメイド・メガという商品名で発売されている。
また、欧州特許公報EP154540には、室内に配置されることを意図した、猫などの小型のペット用トイレを記載している。特許文献2たらい状容器、すなわちベースン(basin)の上方に、可働レーキ(movable rake)があり、この稼働レーキが、固形排泄物をベースンの縁部へ移動させ、そこで固形排泄物は、ベースンの下方に配置された回転ドラムの中へ落ちる。それによってこのドラムは、排泄物収集容器として機能し、この容器は、何らかの臭い除去物質を含んでいる。ドラムは、時々それを空にすることができるように、装置から外すことが可能である。
【0007】
以上に開示された技術は、排泄物を収集する容器に集めるもので、一時的にも排泄物を容器に集めるため、室内の悪臭が軽減できるが、容器内の砂が汚れてくると悪臭が室内に拡散する問題があった。つまりは、臭気が室内に拡散することが完全に防止出来るものではなく、排泄物を収集する容器を廃棄したり定期的な清掃や洗浄も必要となる。

【0008】
ペット用自動清掃トイレ(猫用)の別な技術として、特開2005‐124544が開示されている。特許文献3
このトイレは、砂の代わりに有機廃棄物処理材からなるペレットにペットが(猫)屎尿をするとレーキで糞を下部に落下させ、猫の屎尿を下部の処理部で分解消滅させる技術が開示されている。
しかし、上部ペレットが汚れてくると、前記特許文献1、2と同様に上部ペレットから悪臭が室内に拡散する。
【0009】
ペット用自動清掃トイレ(猫用・犬用・小動物ケージ用)の技術として、国際公開公報WO2004‐103069が開示されている。特許文献4
猫用のペット用自動清掃トイレの開示は、屎尿をするとレーキで掬って悪臭が拡散しないよう包装する技術が開示されている。
犬用、小動物ケージ用のペット用自動清掃トイレの開示は、屎尿をトイレシートで取り、トイレシートにカバーシートを覆って包装する技術が開示されている。
しかし、本発明の技術は、悪臭を室内に拡散しないが、シートの消耗良が増加する欠点がある。
【0010】
このような排泄物を収集するセット容器は、通常部屋の隅や廊下などの人目に付かない場所に設置されるが、飼育者が排泄物を収集するセット容器の清掃作業を怠ると、糞便、尿の悪臭が屋内に広がり、生活環境が悪化する問題があった。
【0011】
ペットを飼育すると悪臭を発生することが多く、これらの悪臭に対しては市販の消臭剤や芳香剤等で悪臭対策している。しかし、これらの方法は元を絶つものではないため、その対策は十分ではなかった。
【0012】
【特許文献1】:欧州特許公報EP721731
【特許文献2】:欧州特許公報EP154540
【特許文献3】:特開2005‐124544
【特許文献4】:国際公開WO2004‐103069
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のように清掃の手間もかかり、臭いもあるため、ペットを飼育する上での一番の難点は下の世話である。
本発明は、トイレ掃除の手間を軽減し、且つ飼い主が留守の間でも室内に悪臭を拡散させない装置の提供にある。
また、経済的負担を軽減させるものでなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ペットが搭乗して糞、又は尿を排泄させる搭乗部と、搭乗部に排泄した屎尿を分解、消滅させる有機廃棄物処理部と、有機廃棄物処理部には、好気性発酵微生物が育成するための顆粒形状、ペレット形状の育成床を収納し、有機廃棄物処理部内部の育成床を攪拌する攪拌機を備え、搭乗部には、少なくとも排泄された糞を前記有機廃棄物処理部へ搬送する搬送手段を有し、ペットが搭乗部に搭乗しているか否かを検出するセンサーと、ペットが搭乗部に搭乗している事を検出した後、前記有機廃棄物処理部へ少なくとも糞を搬送手段で移動して糞を分解、消滅させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ペットが搭乗部に排泄した屎尿を分解、消滅させる有機廃棄物処理部へ屎尿を移動させ、屎尿を短時間で分解するため悪臭の根元を絶つことが出来る上、雑菌の繁殖を防止することができるので衛生的である。また、屎尿が分解過程であっても、排気経路途中に設けた消臭機能によって室内に排気される空気には悪臭が除去して排気されるので室内の住環境を悪化させることはない。
【0016】
また、従来のようにトイレシートを使用しないので、経済的負担が軽減されている。
【0017】
搭乗板は、表面がシリコンスポンジで構成されたベルトコンベアのため、ペットである犬にとっても足触りが従来のトイレシートの感覚が得られるため、従来シートでトイレ訓練された犬も、容易に本発明のトイレに変更可能なだけでなく、シリコンの表面に設けたエンボス加工、(突起体)によって尿が突起体の隙間を流れ、犬の足は前記突起体によって支持されるので、尿が足の裏に付着しにくいので、床を汚すことが少ない。
また、シリコンスポンジのため屎尿が付着しにくいだけでなく、清掃も容易である。
【0018】
前記搭乗部は、有機廃棄物処理部の上方に着脱自在に装着できるので、汚れが目立って来たとき、取り外して搭乗部を洗浄できる。
また、有機廃棄物処理部の攪拌駆動装置と着脱自在に構成しているため、顆粒形状、ペレット形状の育成床が劣化して交換する場合も、有機廃棄物処理部の容器ごと取り外し、新たな有機廃棄物処理部の容器を装着することで、交換も容易に且つ、手を汚すことや、育成床の粉末やペレットをばらまく心配がない。
【0019】
悪臭対策については、前記搭乗部の隙間から空気を取り入れ、有機廃棄物処理部を通過するようにして悪臭を誘導し、悪臭元を経過した後、次亜塩素系中性水の揮発蒸気や噴霧によって悪臭を分解反応させた後、ファンによって自動清掃トイレ外に無臭化した空気を排気するため、住環境を悪化させることはない。
なお、悪臭元の分解には、オゾンや他の消臭剤を利用して悪臭を分解しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
有機廃棄物処理部の好気性分解菌の育成を保持するためには、悪臭元を経過する前に、悪臭を分解反応させる消臭剤やオゾン等を噴霧するより、悪臭元を経過した後の方が、好ましいが、排気される臭いの分解効果はどちらも同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、ペット用自動清掃トイレの斜視図である。
トイレ本体1の上面には、シリコンゴムのベルトユニット2が配置されている。
正面には、犬がトイレを使用するために上るスロープ3が配置されている。
ベルトユニット2の移動方向両端にはガイド板4が配置され、ガイド板4には対向する犬検出センサー5を設けている。
背面側には、雄犬用おしっこ飛散防止板6が配置されている。
ガイド板4の隣には、消臭剤タンク7を配置している。
ベルトユニット2の一端には下部に配置している有機廃棄物処理部への入り口を開閉するシャッター8である。
【0021】
図2は、ペット用自動清掃トイレの破断斜視図である。
ベルトユニット2の表面は犬が乗る搭乗部で一対のプーリー軸10が設けられ、一端に軸駆動用ギア11を配置している。
プーリー軸10には、表面にシリコンベルト12の移動方向に沿って設けた凹凸13が設けられている。
プーリー軸10はベルトを駆動するベルト駆動モータ14が備えられ、ベルト駆動モータ14に設けたモータギア15が回転すると、従動ギア16を介して伝達される。
ベルトユニット2、の下部には、有機廃棄物処理部9が配置され、ベルトユニット2、有機廃棄物処理部9はそれぞれ本体1から取り外し可能に設けられている。なお、図示した凹凸は搬送方向に沿った形状をしているが突起の形状が千鳥配置の円錐形状にしても良い。その場合、おしっこがベルト搬送方向に対して直交する方向におしっこが流れないようにベルト両サイドの部分は、凸形状をした搬送方向に沿った突起を設けてベルトからおしっこが零れないようにするとよい。
【0022】
図3は、ベルトユニット2の斜視図である。
プーリー軸10はユニット枠体17に取り付けられ、その上部にカバー枠18が取り付けられている。シャッター8の回転軸は図示しないがカバー枠18が取り付けられる。
【0023】
図4は、ベルトユニット2の側面図である。
プーリー軸10は、シャッター8に近い軸がした方に配置され、このためシリコンベルト12はややシャッター8に向かって傾斜している。このように配置することで犬がおしっこをベルトユニット2上でするとシリコンベルト12の溝に沿って流れて有機廃棄物処理部9に流れ落ちる。更に、犬の足の裏におしっこがつきにくいので、床を汚しにくい。
なおシャッター上部にガイド板4から邪魔板突起を出すと、シャッター上に犬が糞をすることがない。
【0024】
図5は、ペット用自動清掃トイレのベルトユニット2を外した破断斜視図を内部が見えるように切断したものである。
有機廃棄物処理部9内部には、攪拌羽19が攪拌軸20に取り付けられ、攪拌機、機能を有している。
攪拌軸20は、図6有機廃棄物処理部斜視図、図7有機廃棄物処理部側面図に示すように、一端に駆動ギア21と他端部に連動ギア22を付けた攪拌軸20と、一端部に連動ギア22を付けた攪拌軸20を複数備えている。
【0025】
駆動ギア21は、攪拌モータ23と接続されている。
攪拌モータ23の回転動力は、駆動ギア21に伝達され、攪拌軸20に取り付けた攪拌羽19を回転する。
同時に連動ギア22も回転し、軸の回転は、正転、逆転、正転、逆転と伝達される。
このため、羽が回転すると内部の流れは1列毎に流れの方向が変わる。
【0026】
攪拌羽19は、負担が掛かったとき羽が曲がって応力を吸収する材質が好ましい。そのためあまり強くて固い材質を使用すると攪拌モータ23に負担が掛かり好ましくない。材質は、成形材料は東レTPE 5557を使用して羽先端部の厚みを調整すると好ましい強度の攪拌羽が成形できる。
【0027】
有機廃棄物処理部9内部は、図示しないおがくずや木材チップからなる育成床をもうけ、育成床には好気性分解菌をあらかじめ定着させておく。分解菌を定着させなくても自然界の好気性分解菌によって分解は開始されるが、分解速度に差があるため、
分解速度の速い、EM菌や HIDM菌(株式会社マサキエンビック)を定着させておき、湿度を50%程度に保ってシート材で、密封することにより、品質を安定させる。
【0028】
有機廃棄物処理部9の周囲及び底面、ベルトユニット2の内部にはそれぞれ断熱材24を備えており、分解過程で発生する熱を保温することで分解速度を促進する。
更に、底面には図示しないシリコンラバーヒータが配置されており、冬季や発酵温度が、上らない場合ヒータを発熱させる。
ヒータには、温度が上りすぎないよう熱電対がついており、温度制御をコントロールし、過熱防止用サーミスターで80℃以上に以上加熱しないよう制御している。
【0029】
トイレ本体1内部は、分解過程の悪臭が室内に出て行かないように空気を流動させるシロッコファン25を配置し、消臭済みの空気が排気口に6から排気される。このため空気の流動は、前記ベルトユニットの表面分から進入し、有機廃棄物処理部を空気が通過して、シロッコファン25により排気される。
【0030】
消臭剤タンク7の下部には、消臭剤混合漕27を配置し、消臭剤は、消臭剤タンク7に取り付けられるノズル28より消臭剤を供給する。
消臭剤は、株式会社ESCO社製のエスコカンファ水、(商標)中性次亜塩素酸水200PPmが好ましい。
【0031】
消臭剤混合漕27には図示しない不織布が設置され、消臭剤が不織布に吸収して不織布間を空気が通過する過程で、消臭剤が蒸散して悪臭成分を分解する。
なお、自然蒸散の例を挙げたが、圧電素子を振動させ消臭剤を霧化して、悪臭成分を分解させても、消臭フィルターを使用しても良い。
【0032】
発明の構成のまとめ、
1、ペットに排泄を促すために設置するペット用トイレにおいて、
ペットが搭乗して糞、又は尿を排泄させる搭乗部と、
搭乗部に排泄した屎尿を分解、消滅させる有機廃棄物処理部と、
有機廃棄物処理部には、好気性発酵微生物が育成するための顆粒形状、ペレット形状の育成床を収納し、有機廃棄物処理部内部の育成床を攪拌する攪拌機を備え、
搭乗部には、少なくとも排泄された糞を前記有機廃棄物処理部へ搬送する搬送手段を有し、
ペットが搭乗部に搭乗しているか否かを検出するセンサーと、
ペットが搭乗部に搭乗している事を検出した後、前記有機廃棄物処理部へ少なくとも糞を搬送手段で移動して糞を分解、消滅させるペット用自動清掃トイレ。
2、前記糞を搬送手段は、ペット用自動清掃トイレより取り外し可能にしたことを特徴とする1に記載のペット用自動清掃トイレ
3、前記有機廃棄物処理部は、ペット用自動清掃トイレより取り外し可能にしたことを特徴とする1に記載のペット用自動清掃トイレ
4、前記糞を搬送手段は、ベルトコンベアとし、尿を有機廃棄物処理部表面は床面に対して景趣していることを特徴とする1又は2に記載のペット用自動清掃トイレ
5、前記ベルトコンベアは、シリコンスポンジゴムで成型され、表面に凹凸を設けて犬がおしっこをしたとき、おしっこが凹部分を流れ、犬の足は凸分で支持することにより犬の足におしっこが付着しないようにしたことを特徴とする4に記載のペット用自動清掃トイレ
6、ベルト搬送方向一端には、有機廃棄物処理部を閉塞するシャッターを設け、糞を有機廃棄物処理部へ落下させるときはシャッターが解放し、それ以外の時は閉塞するようにした事を特徴とする4又は5に記載のペット用自動清掃トイレ
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ペット用自動清掃トイレの斜視図
【図2】ペット用自動清掃トイレの破断斜視図
【図3】ベルトユニットの斜視図
【図4】ベルトユニットの側面図
【図5】ペット用自動清掃トイレのベルトユニットを外した破断斜視図
【図6】有機廃棄物処理部斜視図
【図7】有機廃棄物処理部側面図
【符号の説明】
【0034】
1トイレ本体
2ベルトユニット
5犬検出センサー
8シャッター
9有機廃棄物処理部
10プーリー軸
11軸駆動用ギア
12シリコンベルト
14駆動モータ
15モータギア
19攪拌羽
20攪拌軸
21駆動ギア
22連動ギア
23攪拌モータ
24断熱材
25シロッコファン
27消臭剤混合漕


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットに排泄を促すために設置するペット用トイレにおいて、
ペットが搭乗して糞、又は尿を排泄させる搭乗部と、
搭乗部に排泄した屎尿を分解、消滅させる有機廃棄物処理部と、
有機廃棄物処理部には、好気性発酵微生物が育成するための顆粒形状、ペレット形状の育成床を収納し、有機廃棄物処理部内部の育成床を攪拌する攪拌機を備え、
搭乗部には、少なくとも排泄された糞を前記有機廃棄物処理部へ搬送する搬送手段を有し、
ペットが搭乗部に搭乗しているか否かを検出するセンサーと、
ペットが搭乗部に搭乗している事を検出した後、前記有機廃棄物処理部へ少なくとも糞を搬送手段で移動して糞を分解、消滅させるペット用自動清掃トイレ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−57424(P2010−57424A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226817(P2008−226817)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(591263721)
【Fターム(参考)】