説明

ペリクル

【課題】炭素繊維に樹脂を含浸させた複合材料を利用し、軽量化が可能であり、ペリクル膜の張力による撓みやハンドリングにおける撓みが小さく高剛性で、原料コスト及び生産コストが低減されたペリクルフレームを提供する。
【解決手段】ペリクルフレーム1は、長辺と短辺とからなる四角形状の枠体であって、その4つの角部が内壁側及び外壁側ともに円弧状となっているものである。その長辺と短辺との各辺の壁面における所定の場所には、それぞれ、ペリクルフレーム1の内側と外側とを通気させるための通気孔2やハンドリングで使用するための凹み孔3が設けられている。また、マスク粘着層が設けられる下端面には、マスク粘着層を形成するためのマスク粘着層用段差4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、プリント基板または液晶ディスプレイ等を製造する際のゴミよけとして使用されるペリクルに用いられるペリクルフレーム、及びその製造方法、並びにペリクルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSI、超LSI等の半導体製造や液晶ディスプレイ等の製造においては、半導体ウエハーまたは液晶用原板に光を照射してパターンを作製するが、この時に用いるフォトマスクやレチクル(以下、短にフォトマスクと記載)にゴミが付着していると、このゴミが光を吸収したり光を曲げてしまうために、転写したパターンが変形したり、エッジががさついたものとなるほか、下地が黒く汚れたりする等、寸法、品質、外観等が損なわれるという問題があった。
【0003】
このため、これらの作業は通常クリーンルームで行われているが、それでもフォトマスクを常に清浄に保つことが難しい。そこで、フォトマスク表面にゴミよけとしてペリクルを貼り付けした後に露光を行っている。この場合、異物はフォトマスクの表面には直接付着せず、ペリクル上に付着するため、リソグラフィー時に焦点をフォトマスクのパターン上に合わせておけば、ペリクル上の異物は転写に無関係となる。
【0004】
ペリクルは、一般的に、光を良く透過させるニトロセルロース、酢酸セルロース、またはフッ素樹脂等からなる透明なペリクル膜を、アルミニウム、ステンレス、ポリエチレン等からなるペリクルフレームの上端面に貼付ないし接着したものである。さらに、ペリクルフレームの下端面にはフォトマスクに装着するためのポリブデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等からなる粘着層、及び粘着層の保護を目的とした離型層(セパレータ)が設けられる。
【0005】
薄い樹脂であるペリクル膜を弛み無くペリクルフレームで支持するためには、適切な大きさの張力がかかった状態でペリクルフレームに接着していなくてはならない。しかし、従来の素材製の矩形のペリクルでは、ペリクル膜を貼り付けた後のペリクルフレームが、ペリクル膜の張力によりいくらか内側へ撓み、ペリクル膜が弛み易い。この現象は、例えばプリント基板や液晶ディスプレイ製造に用いられる大型のペリクル等、ペリクルフレームの辺長が大きいものや、半導体製造用の小型のものでも材質や寸法上の制約で低剛性のフレームを採用したペリクルにおいて、顕著に現れる。
【0006】
一方、フォトマスクには、低コスト化のためにできるだけ露光領域を広く確保したいという要求がある。このため、ペリクルフレームの内側への撓みをできるだけ小さくするのに小型化すると、利用できる露光領域が減少するという問題がある。さらに、撓み量をできるだけ抑制しつつ、より幅の狭いペリクルフレームで内側の露光可能面積を広くすることによるコスト低減の効果が望まれている。
【0007】
かかるペリクルフレームの撓みを解決する手段として、例えば、特許文献1に、枠体の少なくとも一対の辺において、中央部が外側凸の円弧形状部、その両側に外側凹の円弧形状部、さらにその外側に直線形状部を有するペリクルフレームが開示されている。この方法によれば、適切な設計を行うことで、撓み量を一定の値以下に制御することができる。
【0008】
しかし、どのようなフレーム幅であっても張力とバランスとを取ることでフレームの直線形状を保つことはできるが、できるだけフレーム幅を狭くしようとした場合、直線形状が得られても確実に剛性が低下するために、ハンドリングができなかったり、わずかな外力でペリクル膜にシワが発生したり弛んだりするといった不具合が生じ、実用的に耐えることができず、折角ペリクル膜で覆っても充分にその効果を得ることができない。
【0009】
フレーム高さは露光機の光学設計から決定されているので、フレーム幅を狭くしつつ、本質的にペリクルフレームの剛性を高める手段としては、弾性係数の高い材質を使用する手段がある。かかる手段としては、例えば、特許文献2に、アルミニウム合金の枠体に、枠体よりも弾性係数の大きなステンレス鋼を含む鉄やチタンを埋め込んだペリクルフレームが記載されている。しかし、鉄鋼、ステンレス鋼等の鉄系合金は重量が極めて重くなることが懸念され、また、チタン合金は加工性(被削性)が非常に悪いという問題があり、実際にはほとんど採用されていない。これらに代わるものとして、現在、航空機分野等で利用が進み高剛性材料として知られている炭素繊維複合材を用いた場合には、前記の各種金属材料よりも大幅に剛性を向上でき、重量や加工性の問題もないことで期待されている。しかしながら、炭素繊維を用いていることから、炭素繊維に起因する繊維塵埃等の異物の混入という重大な懸念があった。
【0010】
さらに、炭素繊維複合材を用いた場合には、原料コスト、加工コストともに一般的に用いられるアルミニウム合金等と比較してそれらのコストが著しく上昇するという問題があった。これらの問題により、炭素繊維複合材はこれまでペリクルフレームに採用されることはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−56544号公報
【特許文献2】特開2006−284927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、炭素繊維に樹脂を含浸させた複合材料を利用し、軽量化が可能であり、ペリクル膜の張力による撓みやハンドリングにおける撓みが小さく高剛性で、原料コスト及び生産コストが低減されたペリクルフレーム、及びその製造方法、またそのペリクルフレームにペリクル膜が貼付けられており、大きな露光面積を有し原料コスト及び生産コストが低減されたペリクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたペリクルフレームは、ペリクル膜が緊張して覆う多角状の枠体であって、その枠体を成す各辺の長手方向に炭素繊維を配向しつつ樹脂を含有した複合部材が、前記多角状に周回しつつ積層し前記樹脂の硬化によって一体化していることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載のペリクルフレームは、請求項1に記載されたものであって、前記複合部材が、一連に繋がる単一部材の前記周回によって積層し、又は各々が少なくとも1周周回する複数部材の前記周回によって積層していることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載のペリクルフレームは、請求項1〜2の何れか記載されたものであって、前記複合部材が、配向している多数本の前記炭素繊維に前記樹脂を含浸させたシート状であることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載のペリクルフレームは、請求項1〜3の何れかに記載されたものであって、前記枠体の表面が、研磨及び/または切削されて平滑化されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載のペリクルフレームは、請求項1〜4の何れかに記載されたものであって、前記枠体の表面が、樹脂被膜で被覆されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載のペリクルフレームの製造方法は、多角状の枠体の所望の内寸より小さい芯材に、前記枠体の所望の高さより広い縦幅及び少なくとも前記枠体の一周に渡る横幅で、前記横幅方向に配向した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の複合部材を、巻き付け、前記枠体の所望の外寸より大きく積層し前記樹脂を加熱硬化して母材とする母材形成工程と、前記母材を前記枠体の所望の内寸、外寸、及び高さに切削加工し枠体にする枠体形成工程とを、有することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載のペリクルフレームの製造方法は、請求項6に記載されたものであって、前記枠体の所望の内寸より小さい芯材に、前記枠体の所望の高さより少なくとも2倍の縦幅及び少なくとも前記枠体の一周に渡る横幅で、前記横幅方向に配向した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の複合部材を、巻き付け、前記枠体の外寸より大きく積層し前記樹脂を加熱硬化してから、切削加工により前記枠体の辺と平行方向に複数に分割して前記母材とする前記母材形成工程を有することを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載のペリクルフレームの製造方法は、請求項5〜7の何れかに記載されたものであって、前記枠体の表面に樹脂被膜を形成する前記枠体形成工程を有することを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載のペリクルは、請求項1〜5の何れかに記載のペリクルフレームに、ペリクル膜が緊張して覆われ貼付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のペリクルフレームは、炭素繊維に樹脂を含浸させた複合部材により形成されており、軽量であるとともに高い剛性を有する。このペリクルフレームは、それを構成する複合部材の炭素繊維が各辺の長手方向に配向されているため、繊維の機械的強度を最大限発揮させることができ、ペリクル膜の張力による撓みやハンドリングにおける撓みに対して、極めて高い剛性を示すことができる。また、炭素繊維の配向方向に加え、繊維の継ぎ目が無いまたは少ないため、継ぎ目による強度の低下を防止することができ、さらに高い剛性が得られるとともに、亀裂の発生、伝播がし難く、高い信頼性を得ることができる。そのため、従来用いられてきた材質のペリクルフレームよりも各辺を幅狭に形成することが可能であり、大きな内側露光面積を確保することができる。
【0023】
さらに、このペリクルフレームは、その表面が研磨や切削などの加工により平滑化され寸法精度が高いものである。さらにその表面が樹脂で被覆されるため、ペリクルフレームの加工による炭素繊維の切断面が露出せず、炭素繊維の脱落や発塵を防止するとともに、紫外線による劣化を防ぐことができる。
【0024】
本発明のペリクルフレームの製造方法によれば、一回り大きな母材から、機械切削加工により所望の寸法のペリクルフレームに形成するため、その表面の欠陥を除去できるとともに、寸法精度が高く通常の金属加工品に匹敵するものを得ることができる。
【0025】
本発明のペリクルフレームの製造方法によれば、一度に複数分のペリクルフレームを形成することが可能な大きさの母材から形成されることで、材料が必要最小限で済むことに加え、母材の加工工数が大幅に少なく、一品毎の加工生産に比べて大幅に原料コスト及び生産コストを低減することが可能となる。
【0026】
本発明のペリクルは、高剛性のペリクルフレームにより大きな露光面積を確保することができ、半導体や液晶ディスプレイ等の製造の低コスト化に資する。また、使用中の発塵の恐れが無く極めて高い信頼性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用するペリクルフレームの斜視図である。
【図2】本発明を適用するペリクルフレームのA−A線断面図、並びにB−B線断面図及びその一部拡大断面図である。
【図3】本発明を適用するペリクルフレームの平面模式図である。
【図4】本発明を適用する別のペリクルフレームの平面模式図である。
【図5】本発明を適用するペリクルフレームの母材からペリクルフレームを切削加工する取り合いを表す図である。
【図6】本発明を適用するペリクルフレームの製造方法を示す概要図である。
【図7】本発明を適用するペリクルフレームの別の製造方法を示す概要図である。
【図8】本発明を適用するペリクルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0029】
本発明のペリクルフレームについて図1を参照に詳細に説明する。
【0030】
ペリクルフレーム1は、長辺と短辺とからなる四角形状の枠体であって、その4つの角部が内壁側及び外壁側ともに円弧状となっているものである。その長辺と短辺との各辺の壁面における所定の場所には、それぞれ、ペリクルフレーム1の内側と外側とを通気させるための通気孔2やハンドリングで使用するための凹み孔3が設けられている。また、マスク粘着層が設けられる下端面には、マスク粘着層を形成するためのマスク粘着層用段差4が設けられている。このマスク粘着層用段差4は必ずしも段差となっていなくてもよく、必要に応じてさらに稜部に面取りやその他の段差、凹み、または溝等が設けられていてもよい。
【0031】
このペリクルフレーム1は、樹脂を含浸させた炭素繊維シートである複合部材(以下、プリプレグと記載)で構成されおり、このプリプレグ5が四角形状に周回しつつ積層され、プリプレグ5中の樹脂の硬化によって一体化することで形成されたものである。このシート状のプリプレグ5は、図1に示されるペリクルフレーム1の通気孔2を通るA−A線断面図である図2(a)、及び図1のB−B線における断面図と、その断面図におけるプリプレグ5の一部拡大断面図とである図2(b)に示されるように、各辺においてそれぞれ層状にプリプレグ5a,5b,5c,・・・となり、それぞれが隙間なく積層されている。このプリプレグ5が積層して形成されたペリクルフレーム1の全表面は、樹脂被膜9で覆われている。
【0032】
各プリプレグ5は、多数本の長繊維状である炭素繊維15が、その繊維方向を一方向にだけ配向されており、それに樹脂を含浸させたシート状の複合部材であって、その炭素繊維15が枠体の各辺に対して長手方向、つまりそれぞれ平行方向で、各4辺の内壁及び外壁ともに一定方向となるように配置するものである。このプリプレグ5に含浸させる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ペリクルフレーム1の表面の樹脂被膜9を形成する際に加熱温度を高くすることができ、発ガス量低減に効果があるため、耐熱性の高いものを選択することが好ましい。また、プリプレグ5は、少なくともペリクルフレーム1を1周に渡る連続した長さを有するものとする。なかでも、シート状で長尺のプリプレグ5であって、巻き始めから巻き終わりまで、一連に繋がる単一部材である一枚のプリプレグ5で周回しつつペリクルフレーム1を形成できるものが好ましい。
【0033】
ペリクルフレーム1は、図3に示すように、連続した一枚のシート状のプリプレグ5でそのペリクルフレーム1の辺に対してプリプレグ5の炭素繊維15が平行になるように連続的に巻いて積層した構造であると好ましい。図3において、プリプレグ5の好ましい巻き方により形成されたペリクルフレーム1の平面模式図を図3(a)に示し、その巻き方について図3(b)に示す。図3(a)において、巻き始め6及び巻き終わり7に段差があるが、実質的にプリプレグ5は極薄いシート状であるため、その段差を無視することができる。
【0034】
一枚のシート状のプリプレグ5で巻き始め6から巻き終わり7まで継ぎ目無く形成されることで、プリプレグ5の継ぎ目による強度低下を防止することができ、極めて信頼度が高くなるとともに、連続的に作業することができるため、作業性が向上し低コストで生産することが可能となる。もっとも、プリプレグ5の長さは無限ではないので、継ぎ目無しでペリクルフレーム1が仕上げられるかは製作するペリクルフレーム1の大きさや積層厚さによるが、途中に数ヶ所継ぎ目があってもよい。例えば、複数回周回できる程度の長さのプリプレグ5を周回して積層し、その巻き終わり7に別の複数回周回できる程度の長さのプリプレグ5の巻き始め6を隙間なく繋ぎ、それを周回して積層することでペリクルフレーム1を形成してもよく、1周周回できる長さのプリプレグ5を周回させて、それを複数部材積層してペリクルフレーム1を形成してもよい。
【0035】
1周周回できる長さのプリプレグ5を用いて製造する場合、例えば、図4に示すように、ペリクルフレーム1の1周に渡る長さのプリプレグ5a,5b,5c,・・・が、それぞれ一周毎にその巻き始め6a,6b,6c,・・・と巻き終わり7a,7b,7c,・・・とで継ぎ合わされ接合部8a,8b,8c,・・・となり、各々が隙間なく積層され、ペリクルフレーム1が形成される。図4において、一周分のプリプレグ5が接合されて積層され形成されたペリクルフレーム1の平面模式図を図4(a)に示し、その巻き方について図4(b)に示す。
【0036】
プリプレグ5の継ぎ目である接合部8a,8b,8c,・・・は、ペリクルフレーム1の角部に当たらないことが好ましい。さらに、各層の接合部8a,8b,8c,・・・がそれぞれ重ならないように考慮して積層されていることが好ましい。これにより、接合部8a,8b,8c,・・・による影響を殆ど無視できる程度に極めて小さくし、その接合部8a,8b,8c,・・・により生じる強度低下を防止することができる。
【0037】
このようにプリプレグ5を巻き付け積層されているペリクルフレーム1の上壁面及び下壁面のプリプレグ端面や、必要な孔等を切削されたペリクルフレーム1の表面は、破断した炭素繊維の露出や、炭素繊維シートに含浸させたエポキシ等の樹脂の露光に用いる紫外線による劣化を防止するために、樹脂被膜9で覆われていると好ましい。ペリクルフレーム1の全表面が完全に樹脂被膜9で覆われていることで炭素繊維に起因する発塵を防止することができる。
【0038】
樹脂被膜9は、その材質が露光に用いる紫外線で劣化しにくいものであると好ましい。樹脂被膜9の色調は、下地であるプリプレグ5が黒色であるため、黒色以外の暗い色(例えば濃紺等)や透明を用いることが可能であるが、黒色であるとさらに散乱光を低減することができるため特に好ましい。樹脂被膜自体に色があってもよく、顔料、カーボンブラック等を樹脂被膜に混合してもよい。この樹脂被膜9としては、好ましくはアクリル樹脂、より好ましくはシリコーン樹脂、さらに好ましくはフッ素樹脂である。これらの樹脂は、紫外線に対する耐性が高い上、剥離強度の高い被膜が形成しやすい。フッ素樹脂の場合は、紫外線に対する耐性は特に優れているが、紫外線透過率も高い為、混入する顔料等は紫外線の透過性が低いものを組み合わせることが好ましい。また、同時に絶縁性が高く帯電しやすいため、導電性の高いものを選択することが好ましい。
【0039】
ペリクルフレーム1は、多角状の枠体であって、その形状は特に限定されず、具体例として角部に丸みのある四角形を例示したが、4つの角部が全て直角である矩形であってもよく、これに類するその他の形状、例えば、長方形、正方形、八角形等であってもよい。
【0040】
本発明のペリクルフレーム1は、液晶製造用途で使用される、一辺の長さが500mmを超えるような大型のペリクルにおいて効果が大きいものである。しかし、このペリクルフレーム1の対象となるペリクルは、その大きさで限定されるものではない。本発明のペリクルフレーム1は、大きさ(辺の長さ)やペリクル膜の張力に対して、従来、ペリクルフレームの剛性が十分に確保できなかった全てのペリクルに適用することができる。
【0041】
種々のサイズに対し実用的で寸法精度が高いペリクルフレーム1として、所望のペリクルフレーム1よりも内寸を小さく、外寸を大きく、さらに高さが高くなるようにプリプレグ5が積層され加熱硬化させたペリクルフレーム1の母材が、機械切削加工により所望の寸法に加工されていることが好ましい。図5に、プリプレグ5を積層した所望のペリクルフレーム1より一回り大きな母材10からペリクルフレーム1を切削加工する取り合いを表す図を示す。母材10のうち、所望のペリクルフレーム1を二点破線で示す。
【0042】
母材10の内寸及び外寸は、切削代を考慮して決定すればよいが、製作するペリクルフレーム1に対して片側0.2〜3mm程度、より好ましくは0.5〜1mm大きくすることが好ましい。プリプレグ5の厚みは、厚いものでも0.2mm前後であるため、1mmの切削代を作るのにも5周近く周回させる必要があり、この切削代が少ないほどコスト的に有利になるのは明らかである。しかしながら、加熱硬化時に歪が出たりすることもあるうえ、辺長が長くなるほど、加工にも誤差が生じるため、上記程度の切削代は必要である。
【0043】
母材10から所望のペリクルフレーム1へと機械切削加工することで、積層の誤差や加熱硬化時の歪も切削によりほとんど修正されるため、加工後の寸法精度は一般的な金属製ペリクルフレームと同等のものが得られる。また、プリプレグ5の使用量もペリクルフレーム1の形状よりもわずかに大きく積層するだけなので無駄が極めて少なく、1枚板から切り出す方法と比べて大幅に生産コストの低減が可能となる。また、バー状の部材で各辺を作り、これを継ぎ合わせてペリクルフレームの形状を製作する場合でも、プリプレグ5の使用量は低減できるが、各バー状の部材を継ぎ合わせる工数が必要で、さらにその継ぎ合わせの部分の強度も懸念される。そのため、生産コスト及び強度の両面から本発明の方法に優位性がある。
【0044】
また、この機械切削加工においては、母材10からの切り出し時に、プリプレグ5に含まれる炭素繊維15の方向とそれにより形成された辺の方向とを厳密に一致させて加工することは困難であり、積層したプリプレグ5の炭素繊維15とペリクルフレーム1の辺とが厳密には平行とならない場合がある。また、母材10の段階で連続していた炭素繊維15も、表面近くのものは機械切削加工により切断される場合もある。しかし、何れの場合についても、実際上の影響は少なく、本来目的とする効果は得られるため、本発明の技術思想の範囲に含まれる。
【0045】
このようなペリクルフレーム1の製造方法について一実施例を図6に示し、詳細に説明する。
【0046】
図6(a)に示すように、四角形状の枠体である所望のペリクルフレーム1の内寸よりも小さな長辺及び短辺で、かつ所望のペリクルフレーム1の高さより高い、切削代を考慮して設計された芯材12を用意し、ここに、予め所定の幅で切断した長尺のプリプレグ5を、その炭素繊維5の配向が形成すべき枠体の辺の長手方向となるように、弛み無く巻き付けていく。このプリプレグ5の幅は、少なくとも形成すべき枠体の一周に渡る横幅で、かつ形成すべき枠体の高さより広い縦幅である。このとき、プリプレグ5の炭素繊維15と形成される辺とが平行となることが好ましい。図6(a)において、矢印Pは炭素繊維15の配向方向を示す。また、芯材12には、プリプレグ5の巻き始め6を綺麗に仕上げる為、プリプレグ5の厚さ分の段差13を設けることが好ましいましいが、曲げ半径が小さくなるほど、積層の際に炭素繊維に折れ(破断)が発生しやすくなるため、半径は少なくとも3mm以上とすることが良い。さらに、芯材12の角部は形成するペリクルフレーム1の角部の形状に近い半径で形成されていることが好ましい。
【0047】
ペリクルフレーム1の外寸よりも切削代の分だけ大きくなるまで巻き付け積層し、図6(b)に示すペリクルフレームの母材10を得る。このとき、積層途中でプリプレグ5に継ぎ目が入ってしまう場合は、その継ぎ目が角部に当たらないように調整し、隙間無く次のプリプレグ5を接合することが好ましい。また、芯材12は、プリプレグ5を積層後及び加熱硬化中に、外側に向かって張力を掛けられるよう、バネ等の力で外側に広がる機構を有していると好ましい(不図示)。
【0048】
この母材10を、芯材12ごとポリエチレン製のバッグ(不図示)に収納し、真空減圧して内部に包含された空気を抜いた後、オートクレーブにて加圧しながら加熱し、プリプレグ5中に含浸されている樹脂を硬化させる。除冷後、オートクレーブより取り出し、芯材12を抜きとると、図6(c)に示すような所望のペリクルフレーム1よりも一回り大きな母材10が得られる。この母材10を、マシニングセンタ等で機械切削加工し、研磨や切削して平滑化することで各面を所定の寸法まで仕上げ、さらに通気孔2や凹み孔3である治具穴を加工することで、図6(d)に示すように、実用的で寸法精度が高いペリクルフレーム1を製造することができる。
【0049】
本発明のペリクルフレーム1では、通気孔2や凹み孔3の加工に際して、プリプレグ5の積層面に対して垂直な孔加工となるので、孔加工時のプリプレグ5の剥離や亀裂発生の懸念が小さいという利点を有する。
【0050】
さらに切削加工後、得られたペリクルフレーム1を洗浄し、さらに必要に応じてその表面を、切削加工により破断した炭素繊維が表面に露出しないように樹脂被膜9で被覆する。ペリクルフレーム1の表面が樹脂被膜9で被覆されることで、破断した炭素繊維の露出や、洗浄で完全に清浄な表面が得られていない場合に生じるペリクル使用時における炭素繊維や樹脂の脱落よる発塵の恐れが無くなり一層好ましい。そればかりか、プリプレグ5を構成するエポキシ等の樹脂において、露光に用いる紫外線による劣化、またそれによる強度低下を防止することができる。
【0051】
ペリクルフレーム1の表面への樹脂被膜9の形成は、特に限定されるものではなく、製作したペリクルフレーム1を充分に洗浄、乾燥しておき、樹脂被膜9を形成する樹脂を適切な濃度で溶媒に溶解し、必要に応じて混入する顔料、カーボンブラック等を溶媒中に分散させた状態として、スプレー、ディッピング、電着塗装等の公知のコーティング手法を用いることができる。これらは、使用する樹脂の種類に応じて最適なものを選択することがよく、被膜形成後には、ペリクルフレーム全体を加熱処理し、溶媒を完全に揮発除去するとともに、被膜中に含まれる低分子成分を低減することが好ましい。加熱温度は、できるだけ高い温度であると好ましいが、プリプレグ5の耐熱温度、被膜樹脂9の耐熱温度、被膜樹脂9のコーティング時に用いる溶媒の沸点等から総合的に決定することが好ましい。
【0052】
また、別の製造方法としては、図7に示すようなパイプ状の母材10から加工する方法が挙げられる。図7(a)に示すように、四角形状の枠体である所望のペリクルフレーム1の内寸よりも小さな長辺及び短辺で、かつ所望のペリクルフレーム1の高さより少なくとも2倍以上高い芯材12を用意し、予め所定の幅で切断した長尺のプリプレグ5を、その炭素繊維方向が形成すべき枠体の辺の長手方向となるように、弛み無く巻き付けていく。このプリプレグ5の幅は、少なくとも形成すべき枠体の一周分に渡る横幅で、かつ形成すべき枠体の高さの少なくとも2倍以上、さらに好ましくは5倍以上の縦幅である。このとき、プリプレグ5の炭素繊維と形成される辺とが平行となることが好ましい。図6(a)において、矢印Pは炭素繊維の配向方向を示す。なお、この場合でも芯材12にはプリプレグ5の厚さ分の段差13を設けることが好ましく、さらに、外側に張力を掛ける機構を有していることが好ましい(不図示)。
【0053】
ペリクルフレーム1の外寸よりも切削代の分だけ大きくなるまで巻き付け積層し、前記のように加熱硬化することで、図7(b)に示すようなパイプ状の母材10を得ることができる。
【0054】
このパイプ状の母材10に対して、図7(c)に示すように、形成すべきペリクルフレーム1の辺と平行方向にグラインダー16で輪切りにすることで、所望のペリクルフレーム1の高さまたはそれに近い高さを有する母材10aを得る。同様に、パイプ状の母材10を輪切りにすることで、図7(d)に示すように、一度に複数の母材10a,10b,10c,・・・を得ることができる。輪切りにする加工方法として、グラインダー16を用いる例を示したが、これに限定されず、例えば、ウォータージェット、ダイヤモンドカッター、レーザー切断等が使用できる。なかでも、切断品質及び母材10に与える悪影響が少ないことから、ウォータージェットが特に好ましい。ここで得られた母材10a,10b,10c,・・・は前記図6と同様に、夫々個別に機械切削加工を行い、各々ペリクルフレーム1として仕上げることができる。一度に複数個のペリクルフレーム1の生産が可能であり、大幅に生産性を向上することができる。
【0055】
このようにして製作したペリクルフレーム1を用いて構成したペリクルの斜視概略図を図8に示す。プリプレグ5の表面に樹脂被膜9が形成されたペリクルフレーム1の一方の端面の貼設面21にペリクル膜接着層を介して、ペリクル膜22が張設され、ペリクル20が形成されている。ペリクル膜22の材質としては、セルロース及びその誘導体、フッ素樹脂等が利用できる。その反対側である他方の端面にはマスク粘着層23が設けられている。マスク粘着層23を形成するマスク粘着剤としては、アクリル粘着剤、ゴム系粘着剤、ホットメルト粘着剤、シリコーン粘着剤等が利用できる。このマスク粘着層23の表面には、マスク粘着層23を保護するために、必要に応じてPET等の薄い樹脂フィルム上に離型剤層を設けたセパレータ24が添付されていてもよい。また、必要に応じてペリクルフレーム1の側面に貫通した通気孔2を設け、ペリクル内外の気圧差によるペリクル膜22の膨らみ、凹みを解消するとともに、通気に伴いペリクル外から塵埃がペリクル内に侵入しないようフィルタ25を設けることが好ましい。また、ハンドリング等のために、必要な場所に凹み孔3や溝等(不図示)を設けてもよい。
【0056】
以上の構成により、ペリクル膜22の張力による撓みやハンドリング時における撓みが小さく、大きな露光面積を有するペリクル20が低コストで得られるとともに、そのペリクル20は使用中の発塵の恐れがなくきわめて信頼性の高いものとなる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例)
図1に示すような形状の複合部材製ペリクルフレーム1を機械切削加工により製作した。このペリクルフレーム1の形状は、各角部の外寸は904.5×750mm、同内寸は896.5×742mmの長方形で、厚さは5.8mm、各角部の形状は内側R2、外側R6とした。また、長辺には860mmの間隔でハンドリング用として直径2.5mm、深さ2mmの凹み孔3を、短辺には730mmの間隔で同形状の凹み孔3を設けた。また、両長辺中央部付近には直径1.5mmの通気孔2を各辺に4箇所ずつ設けた。
【0059】
このようなペリクルフレーム1の具体的な製造工程は、以下の通りである。ここで用いた複合部材は、一方向に配向させた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ5(商品名;E8025C−25N 日本グラファィトファイバー(株)製)を使用した。このプリプレグ5を幅200mmで切断し、図7(a)〜(c)に示すように、繊維方向が各辺と平行方向になるように芯材12に巻いて積層し、加熱硬化させて、外寸約906.5×752mm、内寸894.5×740mm、高さ約200mmのパイプ状の母材10を得た。この母材10から、ウォータージェット加工により高さ6.5mmで切り出して母材10a,10b,10c,・・・を得た。そして、この各母材10a,10b,10c,・・・から、マシニングセンタにより前記寸法のペリクルフレーム1の形状に機械加工した。
【0060】
次いで、このペリクルフレーム1を界面活性剤と純水で良く洗浄し、80℃×3時間で加熱乾燥させたのち、表面に樹脂を塗装して樹脂被膜9を形成した。樹脂にはフッ素樹脂(商品名;サイトップCTX109A 旭硝子(株)製)をフッ素系溶媒(商品名;NOVEC7300、住友スリーエム(株)製)に溶解し、カーボンブラック(商品名;HCF2650、三菱化学(株)製)を分散させた溶液を用い、スプレー法によって4回行った。その後、オーブン中で130℃に加熱して完全に溶媒を乾燥させた。フッ素樹脂の樹脂被膜9の膜厚は約30μmであった。
【0061】
最後に、寸法の検査を行ったが、外寸及び内寸は全て加工指定寸法の+0/−0.3mmの範囲であった。また、直角度は長辺を基準として、90度で引いた仮想線に対して0.5mmのずれであった。
【0062】
このペリクルフレーム1をクリーンルームに搬入し、界面活性剤と純水とで洗浄し、乾燥後、暗室内にて40万ルクスのハロゲンランプを照射しながら外観を検査した。その結果、複合部材が露出しているところは全くなかった。また、表面のキラ付きや塗装むら等の欠陥や、洗浄による樹脂被膜9の剥離等も見受けられなかった。
【0063】
次いで、このペリクルフレーム1を使用して図8に示すようなペリクル20を製作した。ペリクルフレーム1の一方の端面の貼設面21にペリクル膜接着層としてシリコーン粘着剤、他方の端面にマスク粘着層23としてシリコーン粘着剤(商品名KR3700、信越化学工業(株)製)をエア加圧式ディスペンサにより塗布し、加熱によりキュア(硬化)させた。そして、離型剤を表面に付与した厚さ125μmのPETフィルムをペリクルフレーム1とほぼ同形に切断加工して製作したマスク粘着層保護用のセパレータ24を取り付け、さらには通気孔2を覆うように3.6×9.5mm、厚さ0.35mmのPTFE製フィルタ25を貼り付けた。
【0064】
前記ペリクルフレーム1とは別に、フッ素系ポリマー(商品名サイトップ、旭硝子(株)製)をスリットコート法により1200×850×厚さ10mmの長方形石英基板上に成膜し、溶媒を乾燥させた後に基板外形と同形状のアルミ合金製仮枠に接着、剥離し、厚さ約3μmのペリクル膜22を得た。このペリクル膜22を前記のように仕上げたペリクルフレーム1の一方の端面の貼設面21にペリクル膜接着層を介して接着させた後、ペリクルフレーム1の周囲の不要なペリクル膜22をカッターにて切断除去し、ペリクル20を作製した。
【0065】
そして、このペリクル20を定盤上に置き、ペリクルフレーム1の各辺の撓み量を計測した。その結果、長辺中央部の内側への撓み量は片側1.0mm、短辺中央部の内側への撓み量は片側0.6mmであった。
【0066】
(比較例)
前記実施例1と同寸、同形状のペリクルフレームを機械加工により製作した。このとき、母材として用いたのは、平織りにした炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ(商品名;ダイアリードHMFJ3113/948A1、三菱樹脂(株)製)を積層し、加熱硬化させた910×760×厚さ約6mmの板材である。この板材から、マシニングセンタにより上記寸法のペリクルフレーム形状に機械加工し、実施例1と同じ工程にて表面に樹脂塗装を行った。
【0067】
次いで、このペリクルフレームを使用して実施例1と全く同様の工程にて、図8に示すようなペリクルを製作し、完成したペリクルを定盤上に置き、ペリクルフレーム各辺の撓み量を計測した。その結果、長辺中央部の内側への撓み量は片側2.3mm、短辺中央部の内側への撓み量は片側1.9mmであった。また、このコストは上記実施例の約9倍であった。
【0068】
(比較例2)
アルミニウム合金A5052を用いて、上記実施例と同寸、同形状のペリクルフレームを機械加工により製作し、表面に黒色アルマイト処理を施した。そして、このペリクルフレームを使用してペリクルを製作しようとしたが、ペリクルを垂直に立てただけで長辺、短辺ともに20mm前後の撓みが生じ、そもそも、長方形の枠の形状を保つことができなかった。したがって、これはペリクルフレームとして全く使用するに耐えないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のペリクルフレームは、剛性を大幅に向上できることにより大面積の露光領域が確保できるため、半導体、ICパッケージ、プリント基板、液晶および有機ELディスプレイなどの製造工程で用いられるペリクルに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1はペリクルフレーム、2は通気孔、3は凹み孔、4はマスク粘着層用段差、5はプリプレグ、6は巻き始め、7は巻き終わり、8は接合部、9は樹脂被膜、10,10a,10b,10cは母材、12は芯材、13は段差、15は炭素繊維、16はグラインダー、20はペリクル、21は貼設面、22はペリクル膜、23はマスク粘着層、24はセパレータ、25はフィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクル膜が緊張して覆う多角状の枠体であって、その枠体を成す各辺の長手方向に炭素繊維を配向しつつ樹脂を含有した複合部材が、前記多角状に周回しつつ積層し前記樹脂の硬化によって一体化していることを特徴とするペリクルフレーム。
【請求項2】
前記複合部材が、一連に繋がる単一部材の前記周回によって積層し、又は各々が少なくとも1周周回する複数部材の前記周回によって積層していることを特徴とする請求項1に記載のペリクルフレーム。
【請求項3】
前記複合部材が、配向している多数本の前記炭素繊維に前記樹脂を含浸させたシート状であることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のペリクルフレーム。
【請求項4】
前記枠体の表面が、研磨及び/または切削されて平滑化されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のペリクルフレーム。
【請求項5】
前記枠体の表面が、樹脂被膜で被覆されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のペリクルフレーム。
【請求項6】
多角状の枠体の所望の内寸より小さい芯材に、前記枠体の所望の高さより広い縦幅及び少なくとも前記枠体の一周に渡る横幅で、前記横幅方向に配向した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の複合部材を、巻き付け、前記枠体の所望の外寸より大きく積層し前記樹脂を加熱硬化して母材とする母材形成工程と、
前記母材を前記枠体の所望の内寸、外寸、及び高さに切削加工し枠体にする枠体形成工程とを、
有することを特徴とするペリクルフレームの製造方法。
【請求項7】
前記枠体の所望の内寸より小さい芯材に、前記枠体の所望の高さより少なくとも2倍の縦幅及び少なくとも前記枠体の一周に渡る横幅で、前記横幅方向に配向した炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の複合部材を、巻き付け、前記枠体の外寸より大きく積層し前記樹脂を加熱硬化してから、切削加工により前記枠体の辺と平行方向に複数に分割して前記母材とする前記母材形成工程を有することを特徴とする請求項6に記載のペリクルフレームの製造方法。
【請求項8】
前記枠体の表面に樹脂被膜を形成する前記枠体形成工程を有することを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載のペリクルフレームの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5の何れかに記載のペリクルフレームに、ペリクル膜が緊張して覆われ貼付けられていることを特徴とするペリクル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97308(P2013−97308A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242344(P2011−242344)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】