説明

ペースト状材料を皮の中に充填する方法および装置

【課題】ペースト状材料を皮の中に充填する装置および方法であって、皮の下の気泡の形成が容易かつ高い信頼性で防止される、装置および方法を提供する。
【解決手段】ペースト状材料10が中を通ってソーセージの皮8a、8bの中に押し込まれる充填チューブ1と、充填チューブ1の排出端部の領域に配置されており、充填チューブ1の方向に皮8bを押している第1のケーシングブレーキ6と、を備えている。皮8bの下の気泡の形成を防止する目的で、第2のケーシングブレーキ7が設けられており、このブレーキ7は、排出方向に見たとき、第1のケーシングブレーキ6より前に配置されており、皮8bを充填チューブ1の方向に押しており、従って、第1および第2のケーシングブレーキ6、7の間の皮8bの下から空気を吸引することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト状材料を皮の中に充填する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状材料を皮(例えば、ケーシング、ソーセージ皮、またはチューブ状の袋)に充填する場合、皮を充填チューブにかぶせて、材料を充填チューブを通じて皮の中に充填する。空気が含まれないように皮の中にびっしり充填できるようにする目的で、皮を減速させ、充填チューブと皮との間に存在する空気を追い出すため、充填チューブの端部において、いわゆるケーシングブレーキを皮の上に嵌め込む。皮の中に充填する材料によっては、特に、材料が粗挽きハム(lumpy cooked ham)である場合、このような方策にもかかわらず、皮の下に気泡(blister)が形成されることがある。
【0003】
これを回避する方法がいくつか存在し、例えば、「有孔」ケーシングを使用することである。このようなケーシングまたは皮には、一定間隔で小さな孔が形成されており、充填されたソーセージ内に存在する内圧により、これらの孔を通じて空気が逃げることができる。空気は孔の間の距離および大きさに応じて逃げることができるが、ソーセージ内に小さな気泡が残ることがしばしばある。さらに、ケーシングブレーキの後ろで肉片によってケーシングが裂けると、孔から空気が吸い込まれて、形成されたばかりのソーセージ内に閉じこめられることがある。このような有孔の皮あるいはケーシングは無菌状態ではなく、また、中に含まれている材料が孔から出ることがある。
【0004】
もう1つの方法は、内径リング(caliber ring)を使用することである。特に図5から明らかであるように、この場合、充填チューブ1の上に、これと同軸に真空チューブが配置されている。ペースト状材料によって充填するソーセージケーシング8を、この真空チューブにかぶせる。真空チューブ2の端部に内径リング14を取り付けて、ケーシング8をこの内径リングの上に導いて引っ張る。内径リングにより、ソーセージ皮がそのほぼ公称径まで広がり、この位置において皮がシールされる。次に、ケーシングブレーキを充填チューブに嵌め込む(または、充填チューブをケーシングブレーキの中に挿入する)。この状態で、真空チューブに真空をかけると、内径リングとケーシングブレーキとの間の皮の下から空気を吸引することができる。この解決策では、皮の下から空気を効率的に吸引できるが、ケーシング交換工程における取り扱いがずっと複雑であり、なぜなら、最初に内径リングを取り外し、このとき、集まったソーセージ皮を真空チューブに押し込まなければなければならず、次に、再び内径リング14を真空チューブ2にシール状態に固定しなければならないためである。次いで、ソーセージ皮を内径リングの上に手でかぶせなければならず、この手順が原因で、破損しやすいケーシングが損傷することがある。これらのすべてが完了して初めて、充填チューブを再びケーシングブレーキの中に挿入することができる。さらには、充填する内径ごとに適切な内径リングが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術の改良として、本発明の目的は、ペースト状材料を皮の中に充填する装置および方法であって、皮の下の気泡の形成が容易かつ高い信頼性で防止される、装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この目的は、請求項1および請求項10の特徴によって達成される。
【0007】
本発明によると、従来の第1のケーシングブレーキと一緒に、第2のケーシングブレーキを1手順において配置することができる。ケーシングブレーキを充填チューブに嵌め込む、または、充填チューブをケーシングブレーキの中に挿入することができる。本発明による配置構成は、さまざまな内径に対して使用することができ、なぜなら、本配置構成は、充填する内径ではなく充填チューブに適合させるのみでよいためである。ケーシングまたは皮を内径リングの上に引っ張る必要はない。ケーシングと内径リングとの間の密着度によっては、ケーシングを内径リングの上に引っ張る手順は、実際には非常に時間がかかる。これらをすべて考慮すると、取り扱いが単純になり、ソーセージ皮が損傷する可能性も小さい。なお、本文書中における「充填チューブの方向に」は、単純に内側方向を意味し、第1または第2のケーシングブレーキのどちらが充填チューブの表面に、あるいは場合によっては真空チューブの表面にシール状態に押し付けられるかには関係しない。
【0008】
好ましい実施形態によると、吸引ユニットは、充填チューブの上に配置されている真空チューブを備えている。これにより、第1および第2のケーシングブレーキの間の皮の下から、真空チューブと充填チューブとの間の中空空間を介して空気を吸引することができる。さらに、この場合、第1および第2のケーシングブレーキを、それぞれ充填チューブおよび真空チューブに単純に嵌め込む、または、充填チューブおよび真空チューブを一緒にケーシングブレーキの中に挿入することによって、これらのケーシングブレーキを極めて容易に取り付けることができる。空気は、皮の下から真空チューブを通じて容易に吸引することができる。
【0009】
「真空チューブは充填チューブの上に配置されている」という表現は、充填チューブの外側または内側に配置することを含む。
【0010】
好ましい実施形態によると、真空チューブが充填チューブの周囲に配置されており、第1のケーシングブレーキが皮を充填チューブに押し付けており、第2のケーシングブレーキが皮を真空チューブに押し付けている。このような実施形態は、例えば、充填チューブの一部分の上に真空チューブをかぶせることによって、容易に作製することができる。第2のケーシングブレーキが真空チューブに押し付けられており、これにより真空チューブ上で皮がシールされることと、第1のケーシングブレーキが、さらに内側に位置している充填チューブに皮を押し付けることとによって、皮が、真空チューブから斜めの角度をなして充填チューブに達するように段差が画成される。これにより、特に効率的に空気を皮の下から吸引することができ、良好な張力が生じる。
【0011】
しかしながら、第1および第2のケーシングブレーキによって皮が真空チューブに押し付けられるように、真空チューブおよび充填チューブを配置することも可能である。この場合、空気は、真空チューブにおける開口を通じて、真空チューブと充填チューブとの間の中空空間を介して吸引することができる。
【0012】
有利な実施形態によると、第1および第2のケーシングブレーキは、2つのブレーキリングを有するコンポーネントとして実施される。このような配置構成は、特にコンパクトであり、取り扱いおよび製造が容易である。
【0013】
しかしながら、第1および第2のケーシングブレーキは、互いに個別に充填チューブおよび真空チューブに嵌め込まれるようになされている個別のコンポーネントとして、実施することもできる。ケーシングブレーキの移動経路、またはケーシングブレーキ内への充填チューブの移動経路は、補助装置(例:クリッパー)に応じて決まる。場合によっては、両方のケーシングブレーキから充填チューブを取り外すのに、移動経路が充分ではないことがある。そのような場合、第1および第2のケーシングブレーキを個別に嵌め込むことができる。その場合、第2のケーシングブレーキは、充填工程時に第1のケーシングブレーキに当接するように実施することができる。
【0014】
有利な実施形態によると、本発明による装置は、第1のケーシングブレーキと第2のケーシングブレーキとの間のチャンバを皮に対してシールするハウジング、を備えている。2つのケーシングブレーキがシール状態に結合されているとき、使用するケーシングは、「有孔」ケーシングとすることもできる。この種類のケーシングは、より高い調理損失(cooking loss)が達成されるように、特定の場合に使用される。
【0015】
ケーシングブレーキの間のチャンバ内に真空を発生させることができるように、真空接続部を有するハウジングを提供することが有利である。真空の程度は、皮の下から空気を吸引するための真空の程度と同じである必要はない。2つのケーシングブレーキの間のチャンバにも真空をかけることができることにより、孔から空気が吸い込まれることなく、有孔ケーシングを特に効果的に使用することができる。
【0016】
好ましい実施形態によると、第1および第2のケーシングブレーキの両方が充填チューブに押し付けられている。上述したハウジングによって第1および第2のケーシングブレーキの間のチャンバがシールされており、このチャンバに真空を発生させると、有孔皮の下から皮の孔を通じてチャンバの真空接続部を介して空気を吸引することができる。この場合、真空接続部を有するハウジングを、吸引ユニットとすることができる。その場合、個別の真空チューブは必要ない。このようにして、有孔皮を使用するとき、充填されたソーセージの皮の下に空気が残らないことを確実にすることができる。この配置構成は、特に容易に実現することができる。
【0017】
以下では、本発明について図面を参照しながら詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明による、ペースト状材料を皮の中に充填する装置の第1の実施形態を示している。この装置は充填チューブ1を備えており、ペースト状材料10は、この充填チューブ1を通じてソーセージ皮8a,8bの中に排出され、充填されたソーセージ9が製造される。この場合、充填材料は、例えば公知の方式で、適切な搬送メカニズム(例えばベーンポンプ)を備えたホッパー(図示していない)を介して充填チューブ1に供給され、従って、充填材料を排出方向Aに排出することができる。
【0019】
この場合、真空チューブ2が充填チューブ1に同軸にかぶせられている。この実施形態においては、真空チューブ2は充填チューブ1の長さ全体にわたっては延びておらず、充填チューブ1は、少なくとも排出端部の領域において露出している。真空チューブ2は、排出方向における前面において開いており、従って、環状の隙間が得られる。従って、充填チューブ1と真空チューブ2との間に中空空間13が得られる。真空チューブ2には、真空を発生させるための開口または接続部3がさらに設けられており、この開口3は、ライン(図示していない)を介してポンプに接続されている。排出方向Aに見たとき、後端部となっている、中空空間13の端部は、例えば環状円盤12によって閉じられている。充填チューブおよび真空チューブは、断面が円であることが好ましい。
【0020】
充填チューブ1の排出端部の領域には、ソーセージ皮8bを充填チューブの方向(すなわち内側)に押す第1のケーシングブレーキ6が設けられている。ケーシングブレーキ6は、この実施形態においては、充填チューブ1に押し付けられている。ケーシングブレーキ6には、弾性材料から作製されている周方向に延びるブレーキリングが設けられており、このブレーキリングは、公知の方法で皮を減速させるためと、充填チューブと皮8bとの間に存在する空気を追い出すために、皮に押し付けられるように、あらかじめ力がかかっている。この装置には、第2のケーシングブレーキ7がさらに設けられており、このブレーキ7も、内側(すなわち、充填チューブの方向)に押している。この実施形態においては、ケーシングブレーキ7は真空チューブに押し付けられており、この場合、真空チューブ2の端部に押し付けられている。この場合にも、ケーシングブレーキ7は、弾性材料から作製されている周方向に延びるブレーキリングを備えており、このブレーキリングは、ソーセージ皮をシール状態に真空チューブ2に押し付けるように、あらかじめ力がかかっている。特に図1から明らかであるように、ソーセージ皮8aは真空チューブ上にギャザー状態にある。この場合、皮8bの下から空気を吸引するユニットは、真空チューブ2と、接続部3を有する中空空間13とを備えている。
【0021】
図1に示した実施形態においては、第1および第2のケーシングブレーキ6、7は、2つのブレーキリングを有するコンポーネントとして実施されている。これらのブレーキリングには、共通のブレーキリングハウジング5が設けられている。このようなデュアルケーシングブレーキは、コンパクトであり構造設計が単純であり、さらには、充填チューブおよび真空チューブに嵌め込むことによって、または、充填チューブおよび真空チューブをケーシングブレーキに挿入することによって、容易に取り付けることができる。第1および第2のケーシングブレーキ6および7の間のチャンバRは、ハウジング5によって皮8bに対してシールされていることが有利である。ハウジング5も、周方向に延びるように配置されている。この図には示していないが、ハウジングには開口を設けることができ(例えば、図2の開口11を参照)、この開口は、チャンバRから空気を吸い出して真空を発生させる目的に使用することができる。第1および第2のケーシングブレーキ6,7が互いにシール状態に結合されており、従ってチャンバRも真空にすることができる場合、使用するケーシングは有孔ケーシングとすることもできる。この種類のケーシングは、より高い調理損失が達成されるように、特定の場合に使用される。ケーシングブレーキ7は、さまざまな内径に有利に使用することができ、なぜなら、従来技術の場合におけるように、充填されるソーセージの内径にケーシングブレーキ7を適合させるのではなく、真空チューブ2に適合させるのみでよいためである。しかしながら、チャンバR内の真空の程度は、真空チューブ2の下の真空と同じである必要はない。チャンバR内の真空は、およそ100〜500mbarの範囲内である。中空空間13内の真空は、およそ100〜500mbarの範囲内である。
【0022】
図1に示した装置は、以下のように動作する。ペースト状材料10(例:ソーセージの肉)が、上述した搬送ユニットによって排出方向Aに搬送される。これにより、ソーセージ皮が充填チューブ1から引き出される。ソーセージ皮8aは、ギャザー配置モード(gathered mode of arrangement)においては真空チューブ2の周囲に配置されている。ケーシングブレーキ7は、ソーセージ皮を真空チューブ2に押し付けており、これにより、ソーセージ皮が真空チューブ1に対してシールされている。ケーシングブレーキ6は、ソーセージ皮8bを充填チューブ1に押し付けており、これにより、皮が充填チューブ1に対してシールされている。空気が中空空間13から真空接続部3を通じて吸い出され、従って、第1および第2のケーシングブレーキ6および7の間の皮8bの下から空気が吸引される。このようにして、皮の下の気泡の形成が回避される。上に説明したように、これと同時に、皮8bの上、ケーシングブレーキ6および7の間のチャンバRに真空をかけることができる。充填されたソーセージ9に空気は含有されない。
【0023】
図2は、本発明のさらなる実施形態を示しており、この実施形態は、図1に示した実施形態に本質的に類似している。しかしながら、この実施形態においては、第1および第2のケーシングブレーキ6,7が個別のコンポーネントであり、すなわち、デュアルケーシングブレーキが二連式コンポーネントとして実施されている。このことは、2つのブレーキを、それぞれ充填チューブおよび真空チューブに個別に取り付けることができるという利点を有する。第2のケーシングブレーキ7のハウジング5bは、取り付け状態において、第1のケーシングブレーキ6のハウジング5aに当接している。必要な場合、周方向に延びているハウジングコンポーネント5a,5bをシールするためのシール手段をさらに設ける。デュアルケーシングブレーキの二連式構造設計は有利であり、なぜなら、ケーシングブレーキの移動経路、またはケーシングブレーキ内への充填チューブの移動経路は、補助装置(例:クリッパー)に応じて決まる。場合によっては、両方のケーシングブレーキから充填チューブを取り外すのに、移動経路が充分ではないことがある。しかしながら、たとえ移動経路が極めて小さい場合にも、二連式構造設計であるため、2つのケーシングブレーキを容易かつ確実に配置することができる。
【0024】
この実施形態は、チャンバRを真空にするための真空接続部11をさらに備えていることができる。図2に示した実施形態の動作モードは、図1に示した実施形態の動作モードに類似している。
【0025】
図3は、本発明のさらなる可能な実施形態を示している。図3に示した実施形態は、図1および図2に示した実施形態に類似しているが、異なる点として、少なくとも、第1のケーシングブレーキ6も真空チューブ2に皮を押し付ける程度まで、真空チューブ2が充填チューブ1の排出端部の領域内まで達している。この実施形態においては、排出先から見たときの後ろ側の側面において、中空空間13が閉鎖手段15によってシールされている、または、この側面において中空空間13が単純に溶接によって閉じられている。
【0026】
この実施形態においては、第2のケーシングブレーキ7は、第1および第2の実施形態の場合と同じように、皮8aを真空チューブ2に押し付けている。本発明によると、第1および第2のケーシングブレーキ6および7の間の皮8bの下から空気を吸引する目的で、中空空間13を介して空気を吸引できるように、真空チューブ2に少なくとも1つの開口16が設けられている。当然ながら、この実施形態には、一体式または二連式ハウジング5における真空接続部11を設けることもできる。
【0027】
図には示していないが、真空チューブは、充填チューブ1の外側、チューブの周囲に延在するのではなく、少なくとも一部が充填チューブ1の内側に沿って延在するように配置することもできる。この場合には、適切な開口が充填チューブ1に設けられ、空気は、2つのケーシングブレーキ6および7の間の皮8bの下から、この真空開口を通じて、真空チューブと充填チューブとの間の、外側をシールされた中空空間を介して吸い出される。
【0028】
真空チューブの細かい構造設計および配置構成にかかわらず、本質的に重要であるのは、皮8a,8bが内側に(すなわち、充填チューブの方向に)押されており、デュアルケーシングブレーキ6,7によってシールされていることと、2つのケーシングブレーキ6および7の間の皮8bの下の空気を、充填チューブ1と真空チューブ2との間の中空空間13を介して吸い出すことができることである。このようなデュアルケーシングブレーキは、それぞれ、充填チューブおよび真空チューブに容易に取り付けることができる。第2のケーシングブレーキ7は、ケーシングの内径に適合させる必要はなく、同じ充填チューブおよび真空チューブによって充填されるあらゆる内径に使用することができる。これにより、取り扱いが大幅に容易になる。ケーシングブレーキ7とケーシングブレーキ6とを本質的に1手順において充填チューブに取り付けることが可能であるため、本方法は、大幅に簡略化されている。
【0029】
図4は、本発明の別の可能な実施形態を示している。
【0030】
この実施形態も、図1から図3に示した実施形態と同様に、第1および第2のケーシングブレーキ6,7を備えており、これらの両方のブレーキが充填チューブ1に押し付けられており、皮8bを充填チューブ1に押し付けてシールしている。この配置構成は、前述したように、孔のあいた有孔皮の場合に使用するのに適している。皮8bの下から空気を吸引するユニットはハウジング5を備えており、このハウジング5は、一体式または二連式ハウジングとして実施することができ、第1および第2のケーシングブレーキ6および7の間のチャンバRを皮8bに対してシールする。ポンプ(図示していない)によってチャンバRに真空を発生させることができるように、ハウジング5には真空接続部11が設けられている。従って、皮の下から空気がソーセージ皮の孔を通じて吸引されるように、チャンバRのみに真空をかけることが可能である。この場合、真空チューブ2を省くことができる。ケーシングブレーキ6および7の間の皮8bの下から空気が吸引されるため、充填されたソーセージ9には、皮の下に残留空気が含まれない。図4に示した実施形態は、従来の充填チューブ1にデュアルケーシングブレーキを容易に取り付けることができるため、有利である。これにより、取り扱いが大幅に容易になる。有孔ケーシングまたは有孔皮の場合には、孔は、皮表面の約0.1%を占める。孔のサイズは、0.1mm〜1mmである。チャンバRに発生させる真空は、この場合も100〜500mbarの範囲である。デュアルケーシングブレーキ6,7の構造設計は、前出の実施形態において説明した構造設計に類似している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態の縦断面図を示している。
【図2】本発明の第2の実施形態の縦断面図を示している。
【図3】本発明のさらなる実施形態の縦断面図を示している。
【図4】本発明のさらなる実施形態の縦断面図を示している。
【図5】ペースト状材料を皮の中に充填する、従来技術の装置の縦断面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状材料(10)を皮(8)の中に充填する装置であって、
前記ペースト状材料(10)が中を通って前記皮(8)の中に押し込まれる充填チューブ(1)と、
前記充填チューブ(1)の排出端部の領域に配置されており、前記充填チューブ(1)の方向に前記皮(8b)を押している第1のケーシングブレーキ(6)と、
を備えている、装置において、
排出先から見たとき、前記第1のケーシングブレーキ(6)より前に配置されており、前記皮(8a)を前記充填チューブの方向に押している、第2のケーシングブレーキ(7)と、
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)の間の前記皮(8b)の下から空気を吸引するユニット(2,13,3,11,5)と、
を特徴とする、装置。
【請求項2】
前記吸引ユニット(2,13,3,11,5)が、前記充填チューブ(1)の上に配置されている真空チューブ(2)を備えており、従って、前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)の間の前記皮(8b)の下から、前記真空チューブ(2)と前記充填チューブ(1)との間の中空空間(13)を介して、空気を吸引することができる、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記真空チューブ(2)が、前記充填チューブ(1)が少なくとも前記排出端部の領域において露出しているように、前記充填チューブ(1)の周囲に配置されており、前記第1のケーシングブレーキ(6)が前記皮(8b)を前記充填チューブ(1)に押し付けており、前記第2のケーシングブレーキ(7)が前記皮(8a)を前記真空チューブ(2)に押し付けている、ことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記真空チューブ(2)が前記充填チューブ(1)の周囲に配置されており、前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が前記皮(8a,8b)を前記真空チューブ(2)に押し付けている、ことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が、2つのブレーキリングを有するコンポーネントとして実施されている、ことを特徴とする、請求項1から請求項4までの少なくとも1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が、前記充填チューブ(1)および前記真空チューブ(2)に互いに個別に取り付けられるようにされている個別のコンポーネントである、ことを特徴とする、請求項1から請求項4までの少なくとも1項に記載の装置。
【請求項7】
ハウジング(5)が、前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)の間のチャンバ(R)を前記皮(8b)に対してシールしている、
ことを特徴とする、請求項1から請求項6までの少なくとも1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジング(5)が、前記チャンバ(R)内に真空を発生させることができるように真空接続部(11)を有する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が、
有孔皮(8b)の下の空気を、前記皮(8b)の孔を通じて、前記チャンバの真空接続部(11)を介して吸引することができるように、
前記充填チューブ(1)に対して押している、
ことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ペースト状材料を、請求項1から請求項5までの少なくとも1項に記載の装置によって、皮(8a,8b)の中に充填する方法であって、
前記ペースト状材料を前記充填チューブ(1)を通じて前記皮(8b)の中に排出するステップであって、前記第2のケーシングブレーキ(7)が前記皮を前記充填チューブ(1)の方向に押しており、前記第1のケーシングブレーキ(6)も前記皮(8b)を前記充填チューブ(1)の方向に押している、前記ステップと、
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)の間の前記皮(8b)の下から空気を吸引するステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項11】
前記充填チューブ(1)と、前記充填チューブ(1)の上に配置されている真空チューブ(2)との間に真空を発生させることによって、前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)の間の前記皮(8b)の下から前記空気が吸引される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のケーシングブレーキ(7)が前記皮(8a)を前記真空チューブに押し付けており、前記第1のケーシングブレーキ(6)が前記皮(8b)を前記充填チューブ(1)に押し付けている、または、
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が前記皮(8a,8b)を前記真空チューブ(2)に押し付けている、
ことを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハウジング(5)が、前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)と前記皮(8b)との間のチャンバ(R)をシールしており、前記チャンバ(R)内に真空が形成される、
ことを特徴とする、請求項10から請求項12までの少なくとも1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のケーシングブレーキ(6,7)が前記充填チューブに押し付けられており、前記チャンバ内の前記真空のため、有孔皮(8b)の下から前記皮の孔を通じて空気が吸引される、ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−106281(P2009−106281A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−272207(P2008−272207)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(503209940)アルベルト ハントマン マシネンファブリク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (18)
【Fターム(参考)】