説明

ペーパータオル用ディスペンサー

【課題】設置場所を選ばないペーパータオル用ディスペンサーを提供する。
【解決手段】
取出口を有するケース本体に第1係止部と第2係止部とが設け、このケース本体を壁面に設置するための板状の設置体に、前記ケース本体の各係止部と係合する設置体側係止部を設け、前記ケース本体と前記設置体とを各係止部により着脱自在に係止可能にするとともに、前記第1係止部と設置体側係止部とを係止させた際と、第2係止部と設置体側係止部とを係合させた際とで、前記ケース本体の取出口の臨む方向が異なるように係止されるように構成したペーパータオル用ディスペンサーにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパータオルを収納し、取出口から取り出すペーパータオル用ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンペーパー、清拭用ワイプ等の所謂ペーパータオルと称されるもののディスペンサーは、ペーパータオルを収納する本体の背面を適宜の手段により壁に対面させて設置し、底部に設けた取出口からペーパータオルを引き出して使用する形態(特許文献1〜3等)、据え置き型、卓上型の形態のものが知られる(特許文献4〜5等)。
【0003】
しかし、ペーパータオルの取り出し口がケース底面に設けられている壁面設置タイプのディスペンサーは、使用者の腰より低い比較的低い箇所に設置すると、ペーパータオルを引き出す操作が困難となる。
【0004】
また、卓上型のディスペンサーは、設置場所に据え置いた際に、上面に取り出し口が位置する構造であり、上面が使用者の目線より高くなる高所に設置して、恒常的に使用することは困難であり、必然的に取出口のある上面が使用者目線よりも低い位置に設置場所が限られる。
【0005】
他方、下記特許文献5に示されるディスペンサーは、卓上型を基本として壁面設置にも対応したものであるが、ペーパータオルの引出し方向が下方方向に固定されているため、高さ方向の設置の自由度は壁面設置タイプと同様である。
【0006】
したがって、従来のペーパータオル用ディスペンサーでは、各々の職場、公共の施設、一般家庭等において、その使用者、使用場面に応じたディスペンサーを選定しなければならない不便さがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−144448号公報
【特許文献2】特開2006−204404号公報
【特許文献3】特開2001−87161号公報
【特許文献4】特開2010−76811号公報
【特許文献5】実用新案登録第3137582号公報
【特許文献6】特開2002−337961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、設置態様やペーパータオルの引出し方向が限定されず、設置場所の自由度、使用態様の自由度の高い、スペースの限られる場所でも好適に使用できるペーパータオル用ディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
内部に収納したペーパータオルを引き出すための取出口を有するケース本体と、このケース本体を設置場所に設置するための設置体とを備え、
前記ケース本体に複数の係止部が設けられ、前記設置体に前記ケース本体の各係止部と係合する設置体側係止部が設けられ、
前記ケース本体の各係止部と前記設置体の設置体側係止部とが係止されて一体となるとともに、その係止が着脱自在な係止であり、かつ、前記ケース本体の複数の係止部のうちの一の係止部と設置体側係止部とを係止させた際と、その他の係止部と設置体側係止部とを係止させた際とで、前記ケース本体の取出口の臨む方向が異なるように係止され、
かつ、前記設置体が、板状をなし一方面側に設置体側係止部を有し、多方面側が壁面に接する接地面とされているものである、ことを特徴とするペーパータオル用ディスペンサー。
【0010】
<請求項2記載の発明>
内部に収納したペーパータオル束からペーパータオルを引き出すための取出口を有するケース本体と、このケース本体を設置場所に設置するための設置体とを備え、
前記ケース本体に第1係止部と第2係止部とが設けられ、前記設置体に前記ケース本体の各係止部と係合する設置体側係止部が設けられ、
前記設置体が、板状をなし一方面側に設置体側係止部を有し、多方面側が壁面に接する接地面とされているものであり、
前記ケース本体と前記設置体とが、前記第1係止部と設置体側係止部とを係止させた際と、第2係止部と設置体側係止部とを係合させた際とで、前記ケース本体の取出口の臨む方向が異なるように係止され、かつ、各係止部による係止が着脱自在な係止である、
ことを特徴とするペーパータオル用ディスペンサー。
【0011】
<請求項3記載の発明>
ケース本体の第1係止部及び第2係止部は、それぞれ底が対面するようにして配された一対の平行に延在する凹溝であるとともに、第1係止部の各凹溝間の仮想面と第2係止部の各凹溝間の仮想面とが所定角度で交差するように配されており、
前記設置体の設置体側係止部は、頂面が対面するように配された一対の平行に延在する凸部であり、
前記ケース本体と前記設置体とが、前記ケース本体の各係止部に係る凹溝に対して、前記凸部を嵌挿することで係止されるように構成されている請求項2記載のペーパータオル用ディスペンサー。
【0012】
(作用効果)
本発明は、内部に収めたペーパータオルの取出口を有するケース本体と、設置場所を定める設置体とを別体とするとともに、それらを着脱自在とし、さらにケース本体を設置体に対して、ケース本体の取出口の臨む方向が相違する複数態様で取り付け可能とした。
よって、設置体を設置箇所に設置したのちに、ケース本体のみをその取出口方向を適宜変更して設置することが可能となり、ディスペンサーの設置の自由度が高まる。
特に、係止部を多数もうければ、取出口の方向を細かく調整することが可能となる。
【0013】
その一方、ディスペンサーにおいては、取出口方向が上方、下方又は側方の何れかが選択できればよいことも多く、この場合、ケース本体に二カ所の係止部を設け、それら係止部に係合する設置体に一カ所の係止部を設ければ、十分に対応可能となる。そして、このようにすれば、多数係止部を設ける場合と比較して、ケース本体の形状の自由度が高まるとともに、係止部を形成するためのコストを低下させることができる。
【0014】
さらに、前記係止部の構成については、ケース本体の各係止部をそれぞれ底が対面するようにして配された一対の平行に延在する凹溝とし、さらに各係止部に係る各凹溝間の仮想面同士が所定角度で交差するようにするとともに、設置体の設置体側係止部を、頂面が対面するように配された一対の平行に延在する凸部とし、前記ケース本体の各係止部に係る凹溝に対して、前記凸部を嵌挿することで係止されるようにすると、着脱自在にかつ簡易に係止可能となる。また、このようにすると、ケース本体には、ケース外面に係止部に係る凸がなく、もって、ケース本体のみを載置して使用する態様の外観とすることも可能となる。
【0015】
本発明は、前記設置体が、板状をなし一方面側に係止部を有し、多方面側が壁面に接する接地面となっているものであるので、ケース本体の取出口を壁面に対して、上方、下方、側方(正面側)に向けて配することが容易にできるようになる。したがって、例えば、側壁面、天面、底面等に設置体を取り付け、それに対応した取出口方向にケース本体を取り付けることで、ディスペンサーの設置の自由度が高まる。
【0016】
なお、請求項1〜3の設置体に代えて、一方面側に係止部を有する設置板と、この設置板を所定高さで支持する台座部とで構成した設置体とすると、卓上型のディスペンサーとすることができる。卓上型とすれば、任意の場所に持ち運び設置することができる。また、ケース本体の設置板に対する取り付け態様を適宜変更することで、その取出口方向を上方、下方、側方を選択することができ、特に、設置板が接地面に対して傾斜するようにして台座部に固定されたものとすれば、ケース本体の取出口方向を載置面に対して角度付けすることが容易となり、使用時に引出し易い方向に取出口方向を臨ませることが容易となる。したがって、例えば、取出口を水平より下方に向けた状態でケース本体を設置体に対して固定するようにすれば、使用者が下方に向ってペーパータオルを引き出す態様になるため、比較的高い位置、例えば使用者の目線よりも高い位置に設置しても使用しやすい。また、ディスペンサーを洗面台、厨房の水回りやフライヤーの近傍など水や汚れが降りかかるような場所で使用したい場合にも、取出口を下方に向けておけば、取出口から当該水や汚れがケース本体内に入り込み束を汚染することがなく、このような場所における使用にも適することになる。また、取出口を水平より上方に向けた状態でケース本体を設置体に対して固定するようにすれば、使用者は上方に向ってペーパータオルを引き出すことになるため、比較的設置場所を低い場所としても使用しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0017】
以上の本発明によれば、設置態様やペーパータオルの引出し方向が限定されず、設置場所の自由度、使用態様の自由度の高い、スペースの限られる場所でも好適に使用できるペーパータオル用ディスペンサーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の参考形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの斜視図である。
【図2】本発明に係るペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の斜視図である。
【図3】本発明に係るペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の断面図である。
【図4】本発明に係るペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の他の例の断面図である。
【図5】本発明に係るペーパータオル用ディスペンサーのケース本体の別の例の断面図である。
【図6】本発明の参考形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの設置体の斜視図である。
【図7】本発明の参考形態に係るペーパータオル用ディスペンサーにおけるケース本体と設置体との係止態様を示す斜視図である。
【図8】本発明の参考形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの他の態様の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る設置体の斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るペーパータオル用ディスペンサーにおけるケース本体と設置体との係止態様を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの他の態様の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの設置例を示す側面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るペーパータオル用ディスペンサーの他の設置例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次いで、本発明の実施の形態と参考形態を図1〜14を参照しながら以下に詳述する。
『参考形態』
まず、本発明の参考形態から説明する。この参考形態は、後述の実施形態と設置体が相違している形態であり、キッチン台、洗面台、手洗い場台、作業台、床などの任意の場所に載置して使用する据え置き型、卓上型のペーパータオル用ディスペンサーX1(以下、単にディスペンサーX1ともいう)のである。本形態に係るディスペンサーは、図1に示すように、ペーパータオルを収納するケース本体10と、ケース本体10を設置場所に設置するための設置体20とで構成される。前記ケース本体10及び設置体20とは、それぞれに設けられた係止部11,12,21により着脱自在に係止されて一体化される。
【0020】
(ペーパータオル)
本形態のディスペンサーX1は、坪量20〜60g/m2程度の複数の方形のペーパータオルを実質的に二つ折りにし、各折り返し片の縁を上下に隣接するペーパータオルの折り返し内面に位置するようにして互い違いに重なり合うように積層し、積層最上部又は積層最下部の一枚の折り返し片を引っ張ると、ペーパータオルが有する紙特有の摩擦等によって、隣接するペーパータオルの折り返し片がつられて引き上げられるように束としたものに適する。このペーパータオル束1(以下、単に束1ともいう)はインターフォルダと称される折り機によって一般的に製造され、積層に伴う若干のずれはあるものの概ね直方体形状をなす。なお、本発明にかかるペーパータオルは、ロール形態のものについても使用できるが、以下、上記束1を収めたものを例として説明する。また、本明細書においては、束1のペーパータオルが引き出されていくことになる積層最上面或いは積層最下面の何れかの面を引出し側面1Aと称する。
【0021】
(ケース本体)
本形態のディスペンサーX1に係るケース本体10は、図2、3に示すように、正面板部13、長側板部14,14、背面板部15、短側板部16,16とで構成され、束1の大きさよりもやや大きい直方体の内部空間10Aを有し、前記正面板部13に幅方向に延在するスリット状のペーパータオルの取出口17が形成されている。この取出口17を介してペーパータオルがケース本体10外へと引き出される。
【0022】
正面板部11は、市販の一般的な束の大きさを考慮すると、長手方向長さL1が210〜250mm程度、短手方向長さL2が80〜120mm程度であり、スリット状の取出口17の長さL3は、束1の幅よりも若干長く概ね200〜240mm程度である。
【0023】
他方、前記取出口17は、正面板部13に形成された略長方形状の開口部分13Aがケース本体内面側から被覆する柔軟性のあるシート材18に形成されており、かかるシート材18に取出口17を形成することで、引出し時にペーパータオルがニップされるようになり引出し性が向上する。特に、ペーパータオルの使用が進みケース本体10内部に保持されるペーパータオル残量が少なくなってきた際においても、多数枚が一度に引き出されるような事故なく一枚ずつ引き出すことが可能となる。シート材18の具体的素材は、シリコンシート、ゴムシート、フィルムシートが例示できる。また、図示例の如く、ケース本体内部側の開口周縁部を被覆するようにしてシート材18を設けることにより、前記シート材18によって、当該開口周縁部におけるペーパータオルの滑りを調整することができ、好適な引出し性とすることができる。なお、取出口17は、上記態様に限らず、ケース本体10の正面板部に直接的にスリット状の開口を形成して構成してもよい。
【0024】
他方、本形態のディスペンサーにおいては、図4、図5に示すように、ケース本体10内における束1の崩れを防止すべく、束1の引出し側面1Aと反対面のペーパータオル束背面側面1Bを押しつつ正面板部側に移動するようにした押持体30を設けることができる。図4に示す例では、前記押持体30は、束1の背面側面1Bとほぼおなじ大きさの直方体形状の押え板31を、背面板部15に対してスプリング等の弦巻バネ32を介して連結し、前記押え板31が正面板部側へ付勢されるようにしている。前記押え板31と正面板部13との間に束1を介在させることで、押え板31と正面板部11との間で束1が挟持され束1の崩れが防止される。また、図5に示す例では、ケース本体内面に対して、板バネ33の一方縁33Aを固定し、他方縁側33Bが正面板側に付勢されるように構成して押持体を構成している。
【0025】
ここで、ケース本体10は、図示例においては、概ね直六面体形状の外観をなしているが、本形態のディスペンサーX1は、このような外観に限定されず適宜の意匠とすることができる。但し、省スペース化の点で、また、設置体20を用いずに背面板部15を介して接地面に載置してケース本体10のみで使用可能とすることができる利点があることなどから、上記の直六面体形状のケース本体10とするのが望ましい。
【0026】
なお、ケース本体内へ束1を収納するには、既知の開閉構成をとることができる。例えば、ケース本体10の各板面部の何れかを隣接する板面部に対してヒンジ接続して開閉自在な蓋体とすることが例示できる。
【0027】
また、ケース本体10の素材については、アクリル樹脂、ユリア樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂素材、ステンレス材やアルミ材等の金属素材、段ボール紙やコートボール紙等の紙素材、木材等適宜の素材を選択することができる。特に好ましくは、耐水性、成型性、剛性に優れる合成樹脂素材である。なお、ケース本体10の一部又は全部に透明素材を用いてケース本体10の一部又は全部を透明とすると、内部に収納した束1の状況を外部から視認しやすくなるので、このようにするのが望ましい。
【0028】
ここで、本形態に係るケース本体には、設置体と一体化するための係止部が複数設けられている。本形態のケース本体10では、第1係止部11及び第2係止部12の二つの係止部が設けられている。この第1係止部11及び第2係止部12は、それぞれ底面が対面するようにして配された一対の平行に延在する凹溝11A,11B,12A,12Bであり、本形態では、第1係止部11に係る凹溝11A,11Bが、各長側板部14,14の背面板部近傍に形成され、第2係止部12に係る凹溝12A,12Bが、正面板部13及び背面板部15の一方長側板部近傍に形成されている。また、第1係止部11の各凹溝間の仮想面11xと第2係止部12の各凹溝間の仮想面12xとが所定角度で交差するように配され、本形態では、各仮想面11x,12xの交差各∠Aは90度となっている。また、本形態では、各凹溝11A,11B,12A,12Bは、短側面板部16,16に開放して形成されて、当該短側面板部16,16側からこれら凹溝内に凸部を挿入することが可能となっている。
【0029】
(設置体)
他方、本参考形態に係る設置体20は、前記ケース本体10を所定高さで固定し、作業台等の任意の場所に載置して設置可能にするためのものである。参考形態の設置体20は、図6に示すように、方形の設置板22と、この設置板22を所定高さに支持する台座部23とで構成されている。前記台座部23は、前記設置板22の下面側部にそれぞれ固定された一対の所定高さを有する板状部材であり、その下縁を接地面として前記設置板22を上縁側にて支持し、所定高さで支持している。但し、台座部23の構成はこの形態に限定されるものではなく、前記設置板22を適当な高さに支持できる構造、形状であればよい。
【0030】
他方、前記設置板22は、上面側に平行な各縁部から所定長さで縁が直角に立設するように延在された延在部24,24が形成された略コ字状をなし、その延在部分24,24に前記ケース本体10の第1係止部11又は第2係止部12と係止する設置体側係止部21が設けられている。この設置体側係止部21は、前記延在部分24に頂部が対面するようにして形成された一対の凸条部21A,21Bで構成され、その大きさは、前記ケース本体10の各係止部に係る凹溝内に嵌挿可能な大きさ、形状とされている。そして、前記一対の凸条部間の距離L4が、前記ケース本体10の各係止部11,12の凹溝の上縁間より長く、かつ、底部間の距離よりも短い距離とされ、もって、前記凸条部21A,21Bをケース本体10の各係止部に係る凹溝に嵌挿することが可能となっている。
【0031】
(係止態様)
本形態のディスペンサーX1では、上記のケース本体10及び設置体20の態様のもと、ケース本体10の第1係止部11又は第2係止部12の凹溝11A,11B,12A,12Bに対して、図7に示すように、そのケース本体10の短側面板部16,16の凹溝開放部分から設置板22に形成された設置体側係止部21に係る凸条部21A,21Bを挿入し、スライドするようにして係止させる。本形態では、ケース本体10の第1係止部11に係る凹溝11A,11Bが長側面板部14,14に形成され、第2係止部12に係る凹溝12A,12Bが正面板部13と背面板部15とに形成されていることから、前記第1係止部11と設置板側係止部21とを係止させた態様では、図1に示すように、取出口17が上方に臨むようになり、第2係止部12と設置体側係止部21とを係止させた態様では、図8に示すように取出口17が側方に臨むように固定される。このように本形態では、ケース本体10の各係止部11,12のいずれを設置体側係止部21に係止させるか選択することで、取出口17の臨む方向が変更可能となる。
【0032】
また、本形態では、上記の係止態様をとることから、ケース本体10の係止部11,12と設置体側係止部21とが係止された状態において、ペーパータオルを引出す操作を行なっても係止が外れることなく使用時においては設置体とケース本体とが一体となった状態が維持される。
【0033】
(その他)
ここで、本形態のディスペンサーX1では、前記設置体20について、前記台座部23を介して接地面に載置した際に、設置板22が接地面に対して傾斜するようにして、前記台座部23に固定されており、上記のとおりケース本体10を設置体20に第1係止部11を介して係止させた際に、取出口17が真上よりやや正面側に角度付けされ、また、第2係止部12を介して係止させた際に、取出口17が真横よりもやや下方に角度付けされるようにしており、ペーパータオルの引出し性を向上させている。この設置板20の傾斜角については、適宜設計すればよい。
【0034】
また、本形態のディスペンサーX1は、卓上型であることから、引出し操作の際に持ちあがらないように、例えば、設置体20の重量を重くするのが望ましい。その点から、設置体については、金属素材等とするまたは錘となる金属を設置するのが望ましい。なお、台座部23の下面に、例えば、ゴム素材、磁石などからなる適宜の滑り止め機構や固定機構を設けてもよい。
【0035】
『本発明の実施の形態』
本発明の実施形態は、壁面設置タイプのペーパータオル用ディスペンサーX2(以下、単にディスペンサーX2ともいう)の例である。
本形態に係るディスペンサーX2も上記参考形態と同様に、図9に示すように、ペーパータオルを収納するケース本体10と、ケース本体10を設置場所に設置するための設置体20とで構成される。但し、設置体20の形状、構造が参考形態と相違する。ケース本体10の構造、係止部の構造、係止態様については、上記参考形態に係るディスペンサーX1と同様であり、係る同様の部分については適宜省略して説明し、特に参考形態と相違する本発明に係る設置体20の構成について以下説明する。また、図中において参考形態と同様の部位について同じ符号を付して説明する。
【0036】
本実施形態の設置体20は、図10に示すように、参考形態における設置板22と類似の構造を採り、方形の板状をなし、その一方面側に平行な各縁部から所定長さで縁が直角に立設するように延在された延在部24,24を有する略コ字状をなす。そして、その延在部分24,24に前記ケース本体10の第1係止部11又は第2係止部12と係止する設置体側係止部21が設けられている。
【0037】
他方、本形態の設置体20は、前記延在部24が立設する面と反対側の面を壁面に対面させて設置するものであり、図示の形態では、一対の連通孔25,25が形成され、この連通孔25,25に木ネジ26等を前記延在部25,25が立設する面側から挿し、壁面に対して固定するように構成されている。なお、本形態の設置体20にかかる壁面への固定態様については、これに限定されず、接着剤や両面粘着テープ等を介して固定する態様としてもよい。
【0038】
本形態においてもケース本体10と設置体20との係止については、ケース本体10の各係止部11,12に係る凹溝11A,11B,12A,12Bに対して、図11に示すように、設置体20の凸条部21A,21Aをケース本体10の短側面板部がわの開放部から挿入し、スライドするようにして係止させる。
本形態においても、ケース本体10の第1係止部11と第2係止部12の選択により、図9及び図12から理解されるように、その取出口17が臨む方向が相違するようになっている。
【0039】
ここで、本形態は、特に設置体20を側壁面、天井壁面等に設置するに好適である。設置体20を側壁面に取り付けた際には、図13(A)〜(C)に示すように、設置体側係止部21に係止させるケース本体10の各係止部11,12の選択により、取出口17を上下方向及び正面方向の何れかに向けて臨ませることが可能となり、図14(A)〜(C)に示すように、天井面に設置体20を取り付けた際には、取出口17を正面方向、背面方向、下方の何れかに向けて臨ませることが可能となる。
【0040】
『その他の形態』
以上の参考形態及び実施形態では、ケース本体10の係止部を第1係止部11及び第2係止部12の二つ設けた形態であるが、例えば、正面板部と背面板部に、第1係止部11から遠い長側板部の近傍に第3係止部を設けて係止部を三つとした構成、或いは、第1係止部や第2係止部に係る凹溝と平行に複数の凹溝を設けて、ケース本体と設置板などからの距離調整、角度調整を可能にした形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
X1,X2…ペーパータオル用ディスペンサー、1…ペーパータオル束、1A…ペーパータオル束の引出し側面、1B…ペーパータオル束の引出し側面と反対面である背面側面、10…ケース本体、10A…ケース本体内部空間、11…第1係止部、11A,11B…第1係止部を構成する凹溝、12…第2係止部、12A,12B…第2係止部を構成する凹溝、11x,12x…仮想面、∠A…仮想面の交差角、13…正面板部、14…長側板部、15…背面板部、16…短側板部、17…取出口、18…シート材、20…設置体、21…設置体側係止部、21A,21B…凸条部、22…設置板、23…台座部、24…延在部、25…連通孔、26…木ネジ、L1…正面板部の長手方向長さ、L2…正面板部の短手方向長さ、L3…取出口の長さ、L4…凸条部間の距離、30…押持体、31…押え板、32…弦巻バネ、33…板バネ、33A…板バネの固定縁、33B…板バネの自由縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納したペーパータオルを引き出すための取出口を有するケース本体と、このケース本体を設置場所に設置するための設置体とを備え、
前記ケース本体に複数の係止部が設けられ、前記設置体に前記ケース本体の各係止部と係合する設置体側係止部が設けられ、
前記ケース本体の各係止部と前記設置体の設置体側係止部とが係止されて一体となるとともに、その係止が着脱自在な係止であり、かつ、前記ケース本体の複数の係止部のうちの一の係止部と設置体側係止部とを係止させた際と、その他の係止部と設置体側係止部とを係止させた際とで、前記ケース本体の取出口の臨む方向が異なるように係止され、
かつ、前記設置体が、板状をなし一方面側に設置体側係止部を有し、多方面側が壁面に接する接地面とされているものである、ことを特徴とするペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項2】
内部に収納したペーパータオル束からペーパータオルを引き出すための取出口を有するケース本体と、このケース本体を設置場所に設置するための設置体とを備え、
前記ケース本体に第1係止部と第2係止部とが設けられ、前記設置体に前記ケース本体の各係止部と係合する設置体側係止部が設けられ、
前記設置体が、板状をなし一方面側に設置体側係止部を有し、多方面側が壁面に接する接地面とされているものであり、
前記ケース本体と前記設置体とが、前記第1係止部と設置体側係止部とを係止させた際と、第2係止部と設置体側係止部とを係合させた際とで、前記ケース本体の取出口の臨む方向が異なるように係止され、かつ、各係止部による係止が着脱自在な係止である、
ことを特徴とするペーパータオル用ディスペンサー。
【請求項3】
ケース本体の第1係止部及び第2係止部は、それぞれ底面が対面するようにして配された一対の平行に延在する凹溝であるとともに、第1係止部の各凹溝間の仮想面と第2係止部の各凹溝間の仮想面とが所定角度で交差するように配されており、
前記設置体の設置体側係止部は、頂面が対面するように配された一対の平行に延在する凸部であり、
前記ケース本体と前記設置体とが、前記ケース本体の各係止部に係る凹溝に対して、前記凸部を嵌挿することで係止されるように構成されている請求項2記載のペーパータオル用ディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−48882(P2013−48882A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69374(P2012−69374)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2011−187825(P2011−187825)の分割
【原出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】