説明

ペーパーボックス

【課題】ボックスに設けた開閉蓋の開放に伴いペーパー押し出し部が規定位置へと戻る機構を備えることで、ペーパーの取り出しやすさを向上させながらペーパーの補充が容易で使い勝手のよいペーパーボックスを提供する。
【解決手段】内部にペーパーを収納し、その収納されたペーパーの取出しを行うための取出し口7と、ペーパーの補充時に開閉可能な開閉蓋と、収納されたペーパーを押圧し、その減少に伴い前記取出し口側へ移動可能なペーパー押さえ部と、を備えたペーパーボックス1において、前記取出し口7方向に前記ペーパー押さえ部を付勢する付勢手段と、前記開閉蓋を開放したときに前記ペーパー押さえ部が前記付勢手段の付勢に抗して前記取出し口7と対向する面側へ移動するように、前記開閉蓋と前記ペーパー押さえ部を連結しているリンク機構と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のペーパーが積層されてなる積層型ペーパーのペーパーボックスに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレ空間で使用されるペーパーにおいても、片手で簡単に必要な量のペーパーを取り出すことができる積層型ペーパーが存在しているが、積層型ペーパーボックスは、ペーパーの残量が減ってくるとボックス底面にペーパーが落ち込み取出しづらいものとなっていた。
この課題を解決するため、積層型ペーパーのボックス底面をペーパーの使用に伴い上昇させ、積層型ペーパーと取出し口との間の距離を一定に保つものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−327281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、積層型ペーパーの使用後にペーパーを補充する際、ボックス底面板は取出し口付近まで上昇しており、上昇したボックス底面板を一度既定位置(底面部に接する位置)まで戻した後にペーパーをセットすることとなり使い勝手のよいものではなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、箱体に設けた開閉蓋の開放に伴いペーパー押し出し部が既定位置へと戻る機構を備えることで、ペーパーの取り出しやすさを向上させながらペーパーの補充が容易で使い勝手のよいペーパーボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載のペーパーボックスでは、内部にペーパーを収納し、その収納されたペーパーの取出しを行うための取出し口と、ペーパーの補充時に開閉可能な開閉蓋と、収納されたペーパーを押圧し、その減少に伴い前記取出し口側へ移動可能なペーパー押さえ部と、を備えたペーパーボックスにおいて、前記取出し口方向に前記ペーパー押さえ部を付勢する付勢手段と、前記開閉蓋を開放したときに前記ペーパー押さえ部が前記付勢手段の付勢に抗して前記取出し口と対向する面側へ移動するように、前記開閉蓋と前記ペーパー押さえ部を連結しているリンク機構と、を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ペーパーの取出しによるペーパー残量の減少に伴い、付勢手段の付勢力によりペーパー押さえ部が取出し口側へ移動するので、取出し口の設置位置に関わらずペーパーの落ち込みを防ぎ、ペーパーと開口との距離が常に一定に保たれることで、ペーパーの取出しが行いやすいものとなり、しかも、ペーパーを使い切って補充する際に開閉蓋を開放すると、開閉蓋とペーパー押さえ部とを連結したリンク機構により、取り出し口側へ移動したペーパー押さえ部が、付勢手段の付勢に抗して取り出し口側とは反対側へ移動するので、ペーパー補充の際にペーパー押さえ部が邪魔にならずセットが容易となる。
【0008】
前記ペーパーボックスには、前記ペーパー押さえ部の取り出し口側への移動距離をもとに残量表示部が移動してペーパー残量を表示する残量表示機構が設けられており、前記残量表示部は前記ペーパーボックスの一面に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、ペーパー押さえ部と連動した残量表示機構を設けることにより、従来のペーパーボックスに表示窓を設けて直接残量を確認する方法では、ペーパーの載置方法によって残量表示部の位置が制限されてしまうのに対して、ペーパーの減少量に応じて移動したペーパー押さえ部の移動距離を変換し、間接的にペーパー残量を表示することができるので、ペーパーの取り出し口と残量表示部をそれぞれ任意の面とすることができ、残量表示部を確認しやすい面に設けることができる。
【0010】
前記開閉蓋は前記ペーパーボックスの下端に回動自在に支持され、前記開閉蓋の内側の面には、その回動軸に沿って突出したストッパー部が設けられており、前記開閉蓋の内側の面に積層型ペーパーを載置したときに、前記ストッパー部により前記開閉蓋の回動に伴う前記積層型ペーパーの移動を規制することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、開閉蓋の内側面に開閉蓋の回動軸に沿って突出したストッパー部を設けることで、開状態の開閉蓋に積層型ペーパーを載置し、ストッパー部で積層型ペーパーの位置を規制するので、積層型ペーパーをペーパーボックスへ容易にセットすることができる。
さらに積層型ペーパーをセットする際に開閉蓋を閉じるとストッパー部が積層型ペーパーの位置を規制しながら回転し、同時にペーパー押さえ部が取り出し口側へ移動して積層型ペーパーを挟み込むように作用するので開閉蓋を閉じる最中においても積層型ペーパーの位置が規制されてセットしやすく使い勝手がよい。
【0012】
前記ペーパー押さえ部には、前記開閉蓋を閉じるときに前記ストッパー部と干渉しない切り欠きが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、ペーパー押さえ部とストッパー部が干渉しない切り欠きを設けることで、開閉蓋を閉じる際にストッパー部とペーパー押さえ部が干渉しないため、スムーズな開閉動作を行うことができペーパー補充の際の使い勝手がさらに容易になる。また、切り欠きが無い場合と比較してストッパー部を長く構成することができるので、積層型ペーパーとストッパー部との接触面積が広くなり積層型ペーパー3がさらに載置しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に関わるペーパーボックスによれば、ペーパーボックスに設けた開閉蓋の開放に伴いペーパー押さえ部が既定位置へと戻る機構を備えることで、ペーパーの補充の際にペーパー押さえ部が邪魔にならず、ペーパーのボックスへの落ち込みを防ぎながらペーパーの補充が容易で使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】開閉蓋が閉状態であるペーパーボックスの斜視図である。
【図2】開閉蓋が開状態であるペーパーボックスの斜視図である。
【図3】図1にペーパーをセットした状態を示す斜視図である。
【図4】図2の開閉蓋に積層型ペーパーを載置した状態を示す斜視図である。
【図5】開閉蓋の開閉機構を示すスライダ収納部の図1におけるA−A断面図である。(a)は開閉蓋閉状態、(b)は開閉蓋を半分開放した状態、(c)は開閉蓋開放状態をそれぞれ示す。
【図6】図1におけるB−B断面図である。
【図7】図1におけるC−C断面図である。
【図8】残量表示機構を示す図1におけるD−D断面図である。(a)はペーパーが十分な状態、(b)はペーパーが半分以下の状態、(c)はペーパーが無い状態の残量表示機構をそれぞれ示す。
【図9】図3におけるE−E断面図であり、図7に積層型ペーパーをセットした状態を示す図である。
【図10】図3におけるF−F断面図であり、図9の箱体側面内部ケーシングからの断面図である。
【図11】ストッパー部とペーパー押さえ部の開口を示した図である。
【図12】図4におけるG−G断面図であり、開閉蓋に積層型ペーパーを載置してペーパーボックスにセットする様子を示した箱体側面内部ケーシングからの断面図である。
【図13】開閉蓋がペーパーボックスの側面にある変形例を示した天井面からの断面図である。
【図14】開閉蓋がペーパーボックスの天井面にある変形例を示したスライダ収納部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施例に基づいてその使用方法を説明する。
【実施例】
【0017】
本発明のペーパーボックスの基本構成について図を用いて説明する。図1は、本発明のペーパーボックスの開閉蓋が閉状態を、図2は開閉蓋が開状態を示す斜視図である。また、図3、4はそれぞれ図1、図2に積層型のペーパーを載置した斜視図である。ペーパーボックス1の本体を形成する箱体2は、積層型ペーパー3を載置する載置面4と、箱体2の開口面を形成する縁部の載置面4側の中央側には、軸部5が設けられており、箱体2を回動可能に開閉するために開閉蓋6が、軸部5の両端に設けられた凸部と係合するように設けられた凹部(図示せず)で軸支されている。開閉蓋6には積層型ペーパー3を取り出すための取出し口7と、取出し口7の上端部、下端部には、それぞれ積層型ペーパー3を挟持するゴム部材8が設けられている。
【0018】
また、開閉蓋6の箱体内側の面の載置面4寄りには、積層型ペーパー3をセットする際に積層型ペーパー3の位置を規制するために凸片として形成されたストッパー部9が設けられていてもよい。また、載置面4側と対向する箱体2の一面である天井面10側の縁部と開閉蓋6の天井面10側には、それぞれ箱体2の閉状態を保持するマグネット、ラッチ機構等で形成された開閉蓋保持部11が設けられている。
【0019】
次に、ペーパーボックス1の開閉機構の構成について説明する。
図5は、スライダ収納部図1におけるA−A断面図である。図5(a)は開閉蓋6が閉状態、図5(b)は開閉蓋6が約半分開放した状態、そして、図5(c)は開閉蓋6が全開放した状態をそれぞれ示している。図6は図1におけるB−B断面図である。そして、図7は、図1におけるC−C断面図であり、ペーパーボックス1を天井面10からみた断面図である。
箱体2の側面ケーシングの内側には、立壁によって区切られて形成されたスライダ収納部12が設けられている。スライダ収納部12には、開閉蓋6の両側端に開閉蓋6を開放する際の軸部5の回転を伝える歯車13aが収納されており、その歯車13aの中心の開口に軸部5が貫通するように設けられている。さらに、歯車13aと噛み合う歯車13bを先端に備えた扁平長板状のバー14は、その他端に、接続部材15が設けられている。歯車13bには、歯車13aと同様に中心の開口にバー14を軸支する支持部材16が設けられ、支持部材16により、バー14は、箱体2と固定されている。
さらに、接続部材15は、図5(a)に示すような略方形中空で形成されているスライダ17によって覆われており、スライダ17の中空部分によって、接続部材15が図5(b)から図5(c)へ移動したときに、その回転移動を規制し載置面4と天井面10との上下移動のみを許容するようにして保持されている。
このようにして、開閉蓋の回動に伴いペーパー押さえ部が移動するリンク機構が構成されている。
【0020】
次に、ペーパー押し出し機構の構成について説明する。
ペーパー押さえ部18は、箱体2の内側側面の上下に設けられたレール状の側面溝19を凸部22abが貫通し、側面溝19を前後に移動可能でスライダ17よりも常に箱体2の奥側となるように構成されている。
さらに、箱体2の側面であってスライダ収納部12の内側には、箱体2の側面内部ケーシングとスライダ収納部12とで区切られた弾性部材収納部20が設けられており、その弾性部材収納部20内には、弾性部材としてのバネ部材21が、一端はペーパー押さえ部18の凸部22aと、他端は箱体2の取出し口7側にペーパー押さえ部18を開閉蓋6側に付勢するようにして設けられている。なお、側面溝19は、スライダ収納部12を構成する立壁にも設けられており、ペーパー押さえ部18の凸部22abが貫通する構成となっている。なお、ペーパー押え部18は、凸部22a、22bの一方のみが貫通するように構成することもできる。
また、扁平形状のストッパー部9を略平面で形成されている開閉蓋6の箱体2側で、開閉蓋6と直角となり、開閉蓋6を閉じたときに載置面4と当接するように設けた場合、ストッパー部9とペーパー押さえ部18が干渉しないように少なくともストッパー部9の面積に相当する切り欠き23を設けることで開閉蓋6のストッパー部9が無い場合と変わらない開閉動作を実現できる。ストッパー部9の形状としては、開閉蓋6が開状態での直角方向の高さが積層型ペーパー3の積層高さと同程度であり、取出し口7と同程度の幅を持たせることで積層型ペーパー3をセットするときにセットしやすいものとなる。
また、ストッパー部9は開閉蓋6を閉じたときに載置面4と当接する位置に設けられているので、ストッパー部9が無い場合とほぼ同量の積層型ペーパーをセットできる。すなわち、ストッパー部9が無い場合と比較しても天井面10とストッパー部9とに挟まれて積層型ペーパー3が変形してセットされるようなことがなく積層型ペーパー3が取り出しにくいといった不具合もない。
【0021】
次に、ペーパーボックス1の残量表示機構を説明する。
図8は、残量表示機構を示す図1におけるD−D断面図であり、積層型ペーパー3が十分にセットされている状態を図8(a)、ペーパーが減少した状態を図8(b)、ペーパーが無くなった状態を図8(c)がそれぞれ示している。この残量表示機構は、図7に示すように、箱体2内であって、スライダ収納部12のさらに側方には、スライダ収納部12の立壁と本体側面外部ケーシングとによって形成された残量表示機構収納部24に収納されている。残量表示機構収納部24には、扁平長板状のバー25の一端が上部凸部22aと接続しており、ペーパー押さえ部18が箱体2の奥側から取出し口7側へ移動するのに伴って移動するようになっている。バー25の他端には、接続部材26が軸支されており、開閉蓋6の開閉に伴うリンク機構と同様のリンク機構となっている。接続部材26の先端には、残量表示部27が設けられており、箱体2は、残量表示部27が使用者に見えるよう上下に開口した表示窓28が設けられている。また、接続部材26は箱体2内の本体ケーシングの一部で両側を挟まれるように構成されているため、残量表示部27は、この表示窓28の開口面を通して常に表示されるように固定されている。
【0022】
そして、ペーパー押さえ部18が取出し口7側へ移動すると、上部凸部22aと連結しているバー25も合わせて取出し口7側へ移動する。その移動距離に応じて接続部材26、残量表示部27が連結しているバー25の他端は、箱体2の天井面10側から載置面4側へ移動する。この移動に伴い、残量表示部27も載置面4側へ移動することとなる。
なお、ここでは上部凸部22aと接続したリンク機構による残量表示を説明したが、下部凸部22bと接続させることで箱体2の天井面10に残量表示機構を設けることもできる。
【0023】
以下に、本発明のペーパーボックスの第1実施例の開閉動作について、積層型ペーパーの取り出し及び補充をもとに説明する。
【0024】
図3は、ペーパーボックス1に積層型ペーパー3が十分にセットされた状態を示す斜視図であり、図9aは、図3におけるE−E断面図であり、ペーパーボックス1に積層型ペーパー3を十分にセットした状態を示している。ペーパー押さえ部18には開閉蓋6側へ付勢しているバネ部材21が設けられているので、積層型ペーパー3は、ペーパー押さえ部18により開閉蓋6側へ押圧され、開閉蓋6と積層型ペーパー3、ペーパー押さえ部18とは隙間のない状態となっている。使用者が積層型ペーパー3を取出し口7から引き出して使用することにより、積層型ペーパー3が減少すると、バネ部材21の付勢力によりペーパー押さえ部18は、積層型ペーパー3の減少に合わせて開閉蓋6側へ移動し図9b及び図10のような状態になる。このようにペーパー押さえ部18が移動することで、積層型ペーパー3が減少しても、取出し口7とペーパー押さえ部18は常に隙間の無い状態を維持することができるので、積層型ペーパー3が箱体2内に落ち込むことが無く常に積層型ペーパー3を取り出しやすい。
【0025】
図3の状態で、積層型ペーパー3が取出し口7から引き出されることによりペーパー押さえ部18が取出し口7側へ移動すると、ペーパー押さえ部18の上部凸部22aと接続しているバー25の端部が取出し口7側へ移動し、他端の残量表示部27は、載置面4側へ図8bのように移動し、積層型ペーパー3の減少に伴いペーパーが無くなると、残量表示部27が載置面4側へさらに近づき図8cの状態となる。
このようにして、本発明のペーパーボックス1の使用者は、ペーパーの減少度合いを残量表示部27の位置により目視することができる。さらに、残量表示窓28には残量を表す目盛りや、残量表示部27が特定の位置になったときに取換え時期を指し示すような表示を行っても良い。
【0026】
図7は、箱体2を上面からみた断面図でありペーパーが収納されておらず、開閉蓋6が閉状態のものである。積層型ペーパー3を使い切ると図7の状態となり、ペーパー押さえ部18は開閉蓋6側に付勢しているバネ部材21により、開閉蓋6側に移動した状態となっている。また、図5aに示すようにバー14は、載置面4から直角方向に立ち上がった状態となっており、接続部材15は、箱体2の天井面10側に位置し、スライダ17は、箱体2の取り出し口側に位置している。
【0027】
この閉状態から積層型ペーパー3を補充するために箱体2の軸部5によって軸支されている開閉蓋6の天井面10側を開閉蓋保持部11及びバネ部材21の閉方向への力に抗して引っ張ると、開閉蓋6は、軸部5を中心に開閉蓋6を開放する方向に回動する。このときの回動距離に応じて歯車13aと噛み合っている歯車13bに箱体2の奥側へ回動する力が働く。バー14と接続している接続部材15は、略中空方形のスライダ17によって前後方向の位置を規制されているため、接続部材15は、スライダ17を箱体2の奥側へ押しながらバー14の回動に合わせ載置面4側へ移動する。
ペーパー押さえ部18は、スライダ17に押されることにより箱体2の奥側へ移動する力が働く。ペーパー押さえ部18は、箱体2の内側側面に設けられている側面溝19を移動可能であるため、開閉蓋6は、ペーパー押さえ部18を押す力がバネ部材21による付勢力よりも大きくなると、スライダ17がペーパー押さえ部18を箱体2の奥側へ押しながら回動し図5bのようになる。
【0028】
さらに、開閉蓋6を回動させると、図5cに示すように開閉蓋6の下端が箱体2の開口面の下縁部に当接することにより開放位置が規制されて箱体2が開放される。なお、開閉蓋6が全開状態で固定されるよう軸部5に保持構造が備わっており、箱体2は開放状態を維持した状態とすることができる。
このようにして箱体2の開放に伴いペーパー押さえ部18が箱体2の奥側へ移動するので、ペーパー押さえ部18がバネ部材21等の弾性部材によりペーパーを押圧したペーパーの補充の際にペーパー押さえ部18が邪魔にならず、手でペーパー押さえ部18を押し戻す必要もないためセットが容易となる。
【0029】
また、箱体2が開放状態のときに閉状態となるように開閉蓋6を箱体2の奥側へ回動させると、バネ部材21の付勢力により、ペーパー押さえ部18は取出し口7側へ移動する。また、軸部5の回動に伴い、歯車13a、12bへ力が伝わり、バー14の接続部材15側が箱体2の天井面10側へ来るようにスライダ17を引っ張りながら移動する。
開閉蓋6の上端が箱体2の開口面上縁部と当接すると開閉蓋6と箱体2にそれぞれ設けられた開閉蓋保持部11により箱体2を閉状態から開状態へ自然に回動することを防ぐことができる。
【0030】
さらに、開閉蓋6にストッパー部9が設けられている場合においても、図11に示すようにペーパー押さえ部18にストッパー部9が通過可能な切り欠き23を設けることで、ストッパー部9がペーパー押え部18と干渉することが無いので、ストッパー部9が無い場合と同様に開閉蓋6の回動により箱体2を開閉することができる。また、切り欠き23が無い場合と比較してストッパー部9を長く構成することができるので、積層型ペーパー3とストッパー部9との接触面積が広くなり積層型ペーパー3がさらに載置しやすくなる。加えて、ペーパー押さえ部18の切り欠き23以外は押さえ面として構成することができるので、切り欠き23を設けた場合でも積層型ペーパー3に接触するペーパー押さえ部18の接触面積を有効に確保することができ、積層型ペーパー3の押し出しやすさは損なわれない。
【0031】
次に、積層型ペーパー3を補充する場合について説明する。
図12は開閉蓋6に積層型ペーパー3を載置してセットするときの動作を示した図4におけるG−G断面図である。開放した箱体2に図4及び図12aのように積層型ペーパー3を開閉蓋6の裏面に載置する。このときストッパー部9があると積層型ペーパー3の位置がずれにくくセットしやすい。積層型ペーパー3を開閉蓋6に載置した状態で開閉蓋6を箱体2の奥側へ回動させると、積層型ペーパー3が無い状態と同様に開閉蓋6の回動に伴いペーパー押さえ部18が開閉蓋6側へ移動し図12bのようになるが、所定の回動位置で開閉蓋6に載置された積層型ペーパー3がペーパー押さえ部18と面接触することで、積層型ペーパー3がバネ部材21の付勢力に抗してペーパー押さえ部18を箱体2の奥側へ押し込むように作用する。
さらに開閉蓋6を押し開閉蓋6を図12cの閉状態としたときに、積層型ペーパー3の厚さaは、バネ部材21による付勢力と使用者の開閉蓋6の押し込みによるペーパー押さえ部18を押す力に挟まれて積層による空隙が減少した厚さbとなっている。開閉蓋6は、図7のペーパーの無い状態と比較して図12cでは積層型ペーパー3の厚さb分だけかさ高くなっていることになるので、この厚さb分だけペーパー押さえ部18を箱体2側へ押し込んだ状態となる。
このようにして、積層型ペーパー3が箱体2に補充され図12cの積層型ペーパー3が載置された状態となる。
【0032】
次に、本発明の変形例について説明する。
本発明の変形例の基本構成は第1の実施例と同様であるが、図13に示すように、開閉蓋29が箱体30の側面に設けられ、開閉蓋29は箱体30の奥側と軸部31で回動可能に軸支されており、開閉蓋29の箱体30の天井面側端部には、歯車32aが設けられている。そして、第1の実施例と同様に歯車32aと噛み合う歯車32bを先端に備えた扁平長板状のバー33が、箱体30の奥側から側面へ回動可能に設けられている。バー33の他端には、実施例1と同様に設けられたスライダ34と接続する接続部材35が設けられている。
接続部材35は、開閉蓋29の回動に伴い歯車32a、32bを介してバー33が回動することによりスライダ34の開閉蓋29側から開閉蓋29と対向する側へ移動しながらスライダ34を箱体30の取出し口側から奥側へ移動させるリンク機構となっている。ペーパー押さえ部36についても、実施例1と同様に、ペーパー取出し口側へ付勢しているバネ部材37が接続されている。
また、残量表示機構も第1の実施例と同様にペーパー押さえ部36の側方に形成された凸部38aにバー39が接続し、さらにその他端には残量表示部40を備えた接続部材41が設けられており、残量表示部40を確認できるように箱体30内に開口した表示窓42がある。さらに、この変形例の場合は、スライダ34は箱体30内の天井面側にあるため収納部は無いが、バネ部材37と残量表示機構は、実施例1と同様に弾性部材収納部43、残量表示機構収納部44として箱体30の内部ケーシング側方にそれぞれ設けられている。
【0033】
さらに、開閉蓋29の位置は図14に示す通り、開閉蓋29が箱体30の天井面となるように設けてもよく、リンク機構等により開閉蓋29の開放時の回動に連動して取出し口方向に付勢されているペーパー押さえ部36を押す構造とし、ペーパー押さえ部36は積層型ペーパー45の減少に伴い付勢部材の付勢力により独立して取出し口側へ移動する構成ならば開閉蓋の位置に関わらず適宜構成することができる。
【0034】
なお、これら変形例において、ストッパー部を設けた場合にペーパー押さえ部に設ける開口についても、ペーパー押さえ部にそれぞれ開閉蓋の開閉蓋方向からストッパー部の面積に相当する切り欠きを設けることで(図示なし)、第1の実施例と何ら変わらずに作用する。
【0035】
このように、本発明において開閉蓋の位置が変わっても箱体の取出し口とペーパー押さえ部は常に対向する関係となるため、ペーパーボックスの設置条件や使用用途に合わせてペーパーの落ち込みを防止しながら補充が容易で使い勝手のよいペーパーボックスとすることができる。
【0036】
以上、本発明のペーパーボックスにセットするペーパーとして積層型ペーパーを用いて説明してきたが、本発明のペーパーボックスにセットするペーパーは、積層型ペーパーに限定されずロール型のペーパーを用いることについても何ら問題は無い。
【符号の説明】
【0037】
1… ペーパーボックス
2… 箱体
3… 積層型ペーパー
4… 載置面
5… 軸部
6… 開閉蓋
7… 取出し口
8… ゴム部材
9… ストッパー部
10… 天井面
11… 開閉蓋保持部
12… スライダ収納部
13a… 歯車
13b… 歯車
14… バー
15… 接続部材
16… 支持部材
17… スライダ
18… ペーパー押さえ部
19… 側面溝
20… 弾性部材収納部
21… バネ部材
22a… 上部凸部
22b… 下部凸部
23… 切り欠き
24… 残量表示機構収納部
25… バー
26… 接続部材
27… 残量表示部
28… 表示窓
29… 開閉蓋
30… 箱体
31… 軸部
32a… 歯車
32b… 歯車
33… バー
34… スライダ
35… 接続部材
36… ペーパー押さえ部
37… バネ部材
38a… 凸部
39… バー
40… 残量表示部
41… 接続部材
42… 表示窓
43… 弾性部材収納部
44… 残量表示機構収納部
45… 積層型ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にペーパーを収納し、その収納されたペーパーの取出しを行うための取出し口と、ペーパーの補充時に開閉可能な開閉蓋と、収納されたペーパーを押圧し、その減少に伴い前記取出し口側へ移動可能なペーパー押さえ部と、を備えたペーパーボックスにおいて、
前記取出し口方向に前記ペーパー押さえ部を付勢する付勢手段と、前記開閉蓋を開放したときに前記ペーパー押さえ部が前記付勢手段の付勢に抗して前記取出し口と対向する面側へ移動するように、前記開閉蓋と前記ペーパー押さえ部を連結しているリンク機構と、を設けたことを特徴とするペーパーボックス。
【請求項2】
前記ペーパーボックスには、前記ペーパー押さえ部の取り出し口側への移動距離をもとに残量表示部が移動してペーパー残量を表示する残量表示機構が設けられており、前記残量表示部は前記ペーパーボックスの一面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペーパーボックス。
【請求項3】
前記開閉蓋は前記ペーパーボックスの下端に回動自在に支持され、前記開閉蓋の内側の面には、その回動軸に沿って突出したストッパー部が設けられており、前記開閉蓋の内側の面に積層型ペーパーを載置したときに、前記ストッパー部により前記開閉蓋の回動に伴う前記積層型ペーパーの移動を規制することを特徴とする請求項1又は2に記載のペーパーボックス。
【請求項4】
前記ペーパー押さえ部には、前記開閉蓋を閉じるときに前記ストッパー部と干渉しない切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のペーパーボックス。

【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−73716(P2011−73716A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226427(P2009−226427)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】