説明

ホイールローダ

【課題】 ホイールローダの乗降を容易にし、キャノピやキャブを取外すことなく入口の高さの低い所へ進入し、天井の高さの低い屋内等で作業可能とし、安定性が良く車両重量に対するバケット容量を大きくできるようにする。
【解決手段】 リヤフレーム10の後部にエンジン6とタンク7とを配置し、エンジンカバー9の前方低位置に運転席1を設けてフロア2の高さを低くし、乗降部Bのリヤフレーム10の側面にステップ3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホイールローダの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に小型のホイールローダは、図3に示すように、運転席1、ステアリングホイール4、作業装置操作レバー5、エンジン6等を備えたリヤフレーム10と、ショベル装置19を備えたフロントフレーム20とを屈曲可能に連結したアーティキュレートタイプの車体を有し、運転席1がエンジンカバー11の上に配置されている。また、図4のように作動油や燃料のタンク7が運転席1への乗降部B付近のフロア2の下に配置され、タンク7の側面にステップ3が設けられている。
【0003】従って、運転席1の高さが高く、フロア2の高さh3 も高くなっている。また、ホイールローダには、運転席1の上にキャノピ8やキャブが設けられることが多いが、この場合の車高H3 、即ちキャノピ8やキャブの上端までの高さも高くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような小型のホイールローダを使用する場合、作業者はホイールローダを運転する作業と、運転以外の作業とを交互に行うことが多く、作業者はその都度運転席1への乗降を行わねばならない。しかし、フロア2の高さh3 が高く、乗降部B付近にはタンク7が設けられているので、乗降がしずらく、頻繁に乗降するのは面倒で疲労も大きい。近年作業者の高齢化、女性作業者の増加が進んでおり、乗降を容易にすることが望まれている。
【0005】また、小型のホイールローダは、その車体サイズから、入口の高さの低い所や天井の高さの低い屋内等の作業に用いられることが多い。キャノピ8やキャブが装着されているホイールローダは、車高H3 が高いと、入口の高さの低い所へ進入したり、天井の高さの低い屋内等で作業するときにキャノピ8やキャブを取外すことが必要になる場合がある。
【0006】なお、ホイールローダは、車両重量に対するバケット容量の対応範囲が大きいことが望ましいが、フロア2の高さh3 、車高H3 が高いと重心位置が高くなって、作業時の積荷状態での安定性が悪くなり、バケット容量を大きくすることができない。本発明は、ホイールローダにおける上記問題を解決するものであって、乗降が容易であり、キャノピやキャブを取外すことなく入口の高さの低い所へ進入し、天井の高さの低い屋内等で作業することが可能であり、安定性が良く車両重量に対するバケット容量を大きくすることのできるホイールローダを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のホイールローダは、上記課題を解決するため、車体の後部にエンジンとタンクとを配置し、エンジンカバーの前方低位置に運転席を設けてフロアの高さを低くし、乗降部の車体側面にステップを設けている。車体の後部にエンジンとタンクとを配置し、エンジンカバーの前方低位置に運転席を設けているので、フロアの高さが低く、且つ乗降部の空間が広くなり、乗降が容易である。また、重心が低くなり且つ後方へ移動するので、安定性が良くなり車両重量に対するバケット容量を大きくすることができる。
【0008】低位置に設けられた運転席の上に矮躯のキャノピ又はキャブを設ければ、ホイールローダの車高が低くなのるで、キャノピやキャブを取外すことなく入口の高さの低い所へ進入し、天井の高さの低い屋内等で作業することが可能となる。車体の低位置にショベル装置の基端部を取付ければ、重心がより低くなり、安定性がさらに向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態であるホイールローダの側面図、図2はホイールローダの乗降部の正面図である。このホイールローダは、図1に示すように、運転席1、ステアリングホイール4、作業装置操作レバー5、エンジン6等を備えたリヤフレーム10と、ショベル装置19を備えたフロントフレーム20とを屈曲可能に連結したアーティキュレートタイプの車体を有し、リヤフレーム10の後部にエンジン6と作動油や燃料のタンク7が配置されている。
【0010】運転席1はエンジンカバー9の前方低位置に設けられ、フロア2の高さhl が従来より低くなるように構成されている。ステアリングホイール4や作業装置操作レバー5等は、運転席1に対する相対的な位置関係を従来と同様とし、操作性が従来と変わらないように配置されている。運転席1への乗降部Bのリヤフレーム10の側面にステップ3が設けられている。フロア2の高さhl が低く、また乗降部B付近には乗降の障害となっていたタンク7がなく乗降部Bの空間が広く確保されているので、作業者は運転席1への乗降が容易となり、頻繁な乗降による疲労が軽減される。
【0011】低位置に設けられた運転席1の上には矮躯のキャノピ8が設けられていおり、ホイールローダは、車高Hl 、即ちキャノピ8の上端までの高さが低くなっている。ホイールローダは、車高Hl が低いので、キャノピ8を取外すことなしに入口の高さの低い所へ進入し、天井の高さの低い屋内等で作業することが可能となる。
【0012】ショベル装置19は、基端部がフロントフレーム20に取付けられているが、その取付点21は従来より低位置に設定されている。運転席1が低位置に設けられて、フロア2の高さhl 、車高Hl が従来より低く、ショベル装置19の位置も低くなるように構成されており、また、リヤフレーム10の後部にエンジン6と作動油や燃料のタンク7が配置されているので、このホイールローダでは重心が低くなり且つ後方へ移動している。従って、安定性が良くなり車両重量に対するバケット容量を大きくすることができる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のホイールローダは、フロアの高さが低く乗降部の空間が広く確保されているので、作業者の運転席への乗降が容易であり、頻繁な乗降による疲労が軽減される。また、車高が低くなるので、キャノピやキャブを取外すことなく入口の高さの低い所へ進入し、天井の高さの低い屋内等で作業することが可能であり、安定性が良く車両重量に対するバケット容量を大きくすることのできるので、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるホイールローダの側面図である。
【図2】ホイールローダの乗降部の正面図である。
【図3】従来のホイールローダの側面図である。
【図4】従来のホイールローダの乗降部の正面図である。
【符号の説明】
1 運転席
2 フロア
3 ステップ
4 ステアリングホイール
5 作業装置操作レバー
6 エンジン
7 タンク
8 キャノピ
9 エンジンカバー
10 リヤフレーム
19 ショベル装置
20 フロントフレーム
21 取付点
B 乗降部
l フロアの高さ
l 車高

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の後部にエンジンとタンクとを配置し、エンジンカバーの前方低位置に運転席を設けてフロアの高さを低くし、乗降部の車体側面にステップを設けてなるホイールローダ。
【請求項2】 運転席の上に矮躯のキャノピ又はキャブを設けたことを特徴とする請求項1記載のホイールローダ。
【請求項3】 車体の低位置にショベル装置の基端部を取付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホイールローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−291044(P2000−291044A)
【公開日】平成12年10月17日(2000.10.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−96865
【出願日】平成11年4月2日(1999.4.2)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】