説明

ホスファチジルエタノールアミンを含む音響感受性薬物送達粒子

非ラメラ形成脂質を含む新規の音響感受性薬物輸送粒子、ならびにその使用及び方法が開示される。薬物輸送粒子は、罹患した標的組織中に蓄積し、音響エネルギーへの曝露時にそのペイロード(payload)を効率的に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、動物における定められた容積での制御された薬物送達及び放出のための非ラメラ形成両親媒性脂質を含む粒子に関する。具体的には、本発明は、音響感受性薬物輸送粒子(例、リポソーム)、ならびにその組成物、方法、及び使用に関する。
【0002】
発明の背景
標的化された薬物送達の欠如によって治療対毒性比率が低下し、そのため医学的治療が限定される。この限定は、細胞分裂阻害薬物の全身投与が全ての分裂細胞に影響を及ぼし、用量制限を課す腫瘍学において特に明白である。故に、健常組織に対する毒性が無視でき、疾患標的での治療用薬物のより効率的な送達についての明らかな必要性が存在する。この課題は、罹患容積への途中で健常組織を保護するシェル中に薬物を封入することによりある程度まで適応されてきた。そのような保護シェルは、多くの異なるコロイド粒子(例えばリポソーム又は他の脂質分散系など)及びポリマー粒子を含みうる。しかし、そのような薬物送達粒子の開発は、2つの対立する課題:カプセル化薬物の罹患部位での効率的な放出、一方健常組織における緩徐な非特異的分解又は受動拡散の維持、に直面してきた。現在、これが薬物送達における主な課題を構成している(Drummond, Meyer et al. 1999)。
【0003】
超音波(US)が、特異的な薬物放出を引き起こすための方法として提案されてきた(Pitt, Husseini et al. 2004)。これは、循環中に健常組織を保護し、罹患容積中に蓄積し、音響エネルギーへの曝露時にペイロード(payload)を放出する頑強な粒子の実用化(engineering)を可能としうる。また、USは細胞透過性を増加させ、従って、二重の効果:薬物担体破壊及び増加した細胞内薬物取り込みを提供することが公知である(Larina, Evers et al. 2005; Larina, Evers et al. 2005)。
【0004】
現在、4つの主なタイプのUS応答性粒子:ミセル、ガス充填リポソーム、マイクロバブル、及びリポソームが公知である。ミセルは、非共有結合的に自己組織化した粒子であり、典型的には、水溶性である1つの部分及び脂溶性である1つの部分を含む分子により形成される。単量体の水溶性は、典型的には、mMの範囲中にあり、臨界濃度において;ミセルが形成され、脂溶性部分を水相から遮蔽する。ミセル形成及び破壊は、従って、濃度により制御される平衡プロセスであり、これらの粒子をむしろ不安定にし、薬物送達には適さなくさせる。また、限定された薬物のタイプを封入することができる。ガス充填リポソーム及びマイクロバブルは、高度にUS応答性であるが、しかし、例えば、腫瘍組織中に効率的に蓄積するには大き過ぎる(〜1μm)。対照的に、リポソーム又は他の脂質分散系は、広範囲の水溶性及び脂溶性薬物をカプセル化し、ならびに、例えば、腫瘍組織中に効率的に蓄積しうる。しかし、超音波感受性リポソームに関する報告は乏しい。
【0005】
Lin and Thomas(Lin and Thomas 2003)は、卵黄リポソーム膜が、リン脂質グラフトポリエチレングリコール(PEG脂質)又は非イオン性界面活性剤の添加により変化した場合、リポソームはUSに対してより応答性であることを報告している。本出願者は、最近、US感受性に関して、リポソームPEG脂質含量とリポソームサイズの間での相乗的な相互作用を同定した(NO20071688及びNO20072822、参照により本明細書に組み入れられる)。ここで、高いPEG−脂質含量及び小さなサイズの両方を伴うリポソームは、相乗的に増加したUS応答性又は音波感受性(sonosensitivity)及び改善された薬物放出特性を示した。
【0006】
長鎖アルコールもリン脂質二重層中に取り込まれうる。アルコールは、水への親和性を伴う1つの部分(ヒドロキシル基)及び油性又は脂質性環境への親和性を伴う別の部分(炭化水素部分)を有する。リポソーム分散系に添加された場合、一部のアルコール分子は水相中に残り、他はリン脂質膜中に取り込まれる。取り込みの程度は、アルコール鎖長に依存する。鎖長が長いほど、より多くの分子が膜内に捕捉される(Aagaad, Kristensen et al. 2006)。有機アルコールが膜を透過することができるという事実は、動物における局所及び全身麻酔に関する意味も有する(Lee 1976)。
【0007】
リポソーム膜特性に対するアルコールの効果は、アルコール鎖長に依存して顕著に異なる。膜は、短鎖アルコールを含めることにより「より薄く」することができる(Rowe and Campion 1994;Tierney, Block et al. 2005)。そして膜のゲル−液晶相転移温度は、デカノールの添加により低くすることができる(Thewalt and Cushley 1987)。興味深いことに、より短い鎖を有するオクタノールは、相転移温度を低くするのにはるかに効率的である。
【0008】
ホスファチジルエタノールアミン(PE)は、1つの重要なクラスのpH感受性リポソームの主な構成物である(概説については、Drummond et al, Prog Lipid Res 2000; 39(5): 409-460を参照のこと)。pH感受性リポソームは、酸性環境に曝露された場合、そのペイロードを放出するようにデザインされる。
【0009】
本出願者により行われた最近の研究において、リポソームドキソルビシン(Caelyx(登録商標))の抗腫瘍効果が、超音波と組み合わされた場合に増強されうることが初めて示された(Myhr and Moan 2006)。しかし、リポソームドキソルビシン(Caelyx(登録商標)又はDoxil(登録商標))は、超音波媒介薬物放出には実用化されておらず、インビトロでかなり低い薬物放出を示す(例、WO2008120998を参照のこと。その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
【0010】
US 2005/0019266(Unger et al)には、脂質、標的化リガンド、ガス又はガス前駆体、及び、場合により、油を含む脂質ベースの小胞が開示される。気泡のため、そのようなマイクロバブルは、標的組織中で受動的となるには大き過ぎ、従って、例えば、癌処置にはあまり適さない。
【0011】
本発明者らは、薬物送達粒子の音波感受性が、驚くべきことに、非ラメラ形成脂質、さらにとりわけ、不飽和又は長鎖ホスファチジルエタノールアミンの導入により改善されることを見出した。本発明は、局所化された疾患と戦うために、定められた組織容積中に薬物を効率的に送達するために使用されうる。そのような粒子は受動的又は能動的に標的組織中に蓄積しうる。薬物ペイロードは、超音波を用いて組織中に放り出され、それにより治療対毒性比率を増加させうる。
【0012】
定義
DOPEは、本明細書において、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを意味する。
DSPCは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3ホスホコリン又は、つまり、ジステアロイルホスファチジルコリンを意味する。
DSPEは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンすなわちジステアロイルホスファチジルエタノールアミンを意味する。
DSPE−PEGXXXXは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−XXXXを意味し、ここで、XXXXは、ポリエチレングリコール部分の分子量を表す(例えば、DSPE−PEG2000又はDSPE−PEG5000)。
ISFは、本明細書において、逆構造形成を意味する。
n−アルコールは、n個の炭素原子を有する任意のアルコールを意味する。
PCは、本明細書において、任意の組成のアシル鎖を有するホスファチジルコリンを意味する。
PEは、任意の組成のアシル鎖長を有するホスファチジルエタノールアミンを意味する。
PEGは、ポリエチレングリコール又はその誘導体を意味する。
PEGXXXXは、ポリエチレングリコール又はその誘導体を意味し、ここで、XXXXはポリエチレングリコール部分の分子量を表す。
POPEは、本明細書において、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを意味する。
SOPEは、本明細書において、1−ステアロイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンを意味する。
「US」は、本明細書において、超音波を意味する。
「US感受性」、「音波感受性」又は「音響感受性」は、本明細書において、音響エネルギーへの曝露時にそのペイロードを放出する、物体(例えば、粒子)の能力を意味する。
名目上の濃度は、リポソーム膜中の又は水和媒体中の構成物の初期(所与の容積当たりの秤量された量)濃度を意味する。
逆構造形成脂質(ISF脂質)は、本明細書において、H<1の自発曲率を伴う、即ち、円錐様形状の両親媒性脂質を意味する。
【0013】
一般規定
本明細書において言及するリン脂質、コレステロール、PEG−脂質及びヘキサノールの濃度は、別に記載しない限り、名目上の値である。
【0014】
本開示において、単数形は、単数又は複数を意味する。従って、「粒子」は1個又は数個の粒子を意味しうる。さらに、本明細書において言及する全ての範囲は端点を含み、即ち、「14〜18」の範囲は14及び18を含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明者らは、粒状物質中への特定のホスファチジルエタノールアミン(PE)の導入が、前記物質の音波感受性、ひいては音響エネルギーへの曝露の間に封入された薬物を放出するその能力を増強することを見出した。したがって、本発明は、長鎖及び/又は不飽和ホスファチジルエタノールアミン脂質を含む音波感受性粒状物質に関する。
【0016】
前記粒状物質は、所与の内部構造の分散系の任意の形態で配置されうる。好ましい構造の例は、六角形構造(例、Hexosome(登録商標))、立方体構造(例、Cubosomes(登録商標))、エマルジョン、マイクロエマルジョン、液晶粒子及びリポソームである。好ましい実施態様によれば、粒状物質は、膜構造、より好ましくはリポソームである。リポソームは、通常、水性の内側を伴う脂質二重層からなる。
【0017】
PE脂質は、いわゆる逆構造を自然に形成する傾向がある任意の両親媒性脂質でありうる。この脂質は、例えば、グリセロールベース(例、リン脂質)、又はスフィンゴ脂質(例、セラミド)でありうる。
【0018】
脂質相の挙動は、充填パラメーター(P)又は自発曲率(H)としても知られている、分子形状の点で理解することができる。充填パラメーターを以下
【数1】


(式中、vは脂質分子で構成される(spanned)容積であり、aは極性頭部の面積であり、lは分子の長さである)の通りに記載してもよい(Ole G. Mouritsen, Life - as a matter of fat, Springer 2005, pp.46-51 for an introductionを参照のこと)。P=1の脂質分子は、一般的には、ラメラ二重層を形成し、1からの偏差は非ラメラ構造につながる。パラメーターP<1の脂質は、通常、六角形(H)相又はミセルを形成し、P>1の脂質は逆構造(例、立体、逆六角形(HII)又は逆ミセル)を形成する。理論に制限されることなく、本発明者らは、充填パラメーター値P>1の長鎖及び/又は不飽和PEが音波感受性を与えると考える。
【0019】
故に、PEは、好ましくは充填パラメーター値P>1である。典型的には、長いアシル尾部及び/又は不飽和アシル鎖を有するPEは、逆構造を形成する傾向を有する。PEは、対称又は非対称アシル鎖を有してもよい。好ましくは、PEのアシル鎖の少なくとも1つが16個の炭素原子又はそれより長く、より好ましくは前記鎖の少なくとも1つが18個の炭素原子又はそれより長く、最も好ましくはアシル鎖のいずれも18個の炭素原子より短くない。
【0020】
粒状物質は音波感受性効果を促進するために十分な任意の濃度のPEを保有しうるが、音波感受性は一般的にPE含量の増加と共に増加する。故に、本発明の粒状物質は、好ましくは、10モル%より多くの、より好ましくは20モル%より多くの、さらにより好ましくは30モル%より多くの、さらにより好ましくは40モル%より多くの、さらにより好ましくは50モル%より多くの、さらにより好ましくは60モル%より多くの、なおさらにより好ましくは70モル%より多くのPEを含む。本発明の実施態様において、PE濃度は、47、52、54.5、58、62、67、72、又は77モル%である。したがって、PE濃度は好ましくは、言及した実施態様の濃度により構成される任意の可能な範囲内にある。
【0021】
PEは飽和又は不飽和;及び任意の適切な長さでありうる。適切な対称及び非対称PEの例をそれぞれ表1及び2に示す。上に言及した通り、PEの1つ又は両方のアシル鎖は、好ましくは、16個の炭素原子又はそれより長くあるべきである(ジパルミトレオイル、ジヘプタデカノイル、ジステアロリ、ジオレオリ、ジエライドイル、ジリノエオイル、ジリノレノイル、ジアラキドノイル、ドコサヘキサエノイル、1−パルミトイル−2−オレオイル、1−パルミトイル−2−リノレオイル、1−パルミトイル−2−アラキドノイル、1−パルミトイル−2−ドコサヘキサエノイル、1−ステアロイル−2−オレオイル、1−ステアロイル−2−リノレオイル、1−ステアロイル−2−アラキドノイル、もしくは1−ステアロイル−2−ドコサヘキサエノイーホスファチジルエタノールアミン、又はそれらの任意の組み合わせなど)。より好ましくは、PEアシル鎖の少なくとも1つは、18個の炭素原子又はそれより長く、最も好ましくは、アシル鎖のいずれも18個の炭素原子よりも短くない。また、アシル鎖の少なくとも1つが不飽和であることが好ましい。さらにより好ましくは、両方の鎖が不飽和である。より具体的には、DSPE、DOPE、POPE、及び/又はSOPEが好ましい。本発明の好ましい実施態様において、逆構造形成リン脂質はDSPE、SOPE、及び/又はDOPEである。最も好ましい実施態様において、逆構造形成リン脂質はDOPE及び/又はSOPE、さらにより好ましくはDOPEである。後者のISF脂質は、驚くほどに高い音波感受性及び安定性を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
PEは、例えば、ジフィタノイルPEなどにおけるように、アシル鎖上に追加の基を持ち、自身をより嵩高くしてもよい。
【0025】
本発明の粒状物質は、唯一のリン脂質として又は他の脂質もしくはリン脂質との組み合わせで、適切なPEリン脂質を含みうる。本発明の好ましい実施態様において、前記粒状物質は、47モル%又はそれ以上、より好ましくは52モル%又はそれ以上、さらにより好ましくは54.5モル%又はそれ以上、さらにより好ましくは58モル%又はそれ以上、さらにより好ましくは62モル%又はそれ以上、さらにより好ましくは67モル%又はそれ以上、なおさらにより好ましくは77モル%又はそれ以上のPE脂質を含む。一般に、長鎖及び/又は不飽和PE脂質の濃度が高いと、より高い音波感受性が得られる。
【0026】
PEは、頭部基が修飾されると、特性、特に自発曲率又は充填パラメーターを変化させることを理解することが重要である。例えばPEGのPEへの複合化は、それがミセルを形成しやすくしうる(H>1)。それは、結果的に、逆構造を形成する能力を緩和させる。故に、例えばDSPE−PEGは、本発明の文脈において、適切な長鎖及び/又は不飽和PE脂質とはみなされない。
【0027】
本発明の物質は、アルコールをさらに含みうる。アルコールは、任意のアルコールでありうるが、しかし、第一級アルコールが好ましい。アルコール又は第一級アルコールは、任意のn−アルコール[ここで、n=2〜20である];好ましくは、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、もしくはオクタノール、又はそれらの任意の組み合わせ;より好ましくは、ヘキサノール、ヘプタノール、もしくはオクタノール、又はそれらの任意の組み合わせでありうる。本発明の好ましい実施態様において、アルコール又は第一級アルコールはヘキサノールである。任意の濃度のアルコール(例えば、ヘキサノール)を、脂質膜を水和し、リポソームを生成させるために使用される水和液中で用いてもよい。一般に、アルコールの濃度がより高いと、より高い音波感受性が得られる。したがって、名目上のアルコール濃度は、少なくとも1mM、好ましくは少なくとも10mM、より好ましくは25mM超、より好ましくは50mM超、さらにより好ましくは60mM超、最も好ましくは約75mMである。本発明者らは、濃度が50mM〜80mMの範囲内、より好ましくは60mM〜75mMの範囲内にあることを好む。本願の実施態様において、ヘキサノール濃度は、25、50、60又は75mMである。アルコールを膜中に取り込み、膜の音波感受性特性を調節すべきである;特に、アルコールのアルキル基は膜の親油性部分中に包埋されるべきである。このように、例えばアルコール(ポリビニルアルコールなど)でコートされた膜や、乳化(emulgating)又は可溶化アルコール(例、ラノリンアルコール及びオクタデカノールなど)は、本発明の必須の部分ではない。
【0028】
音波感受性は、至適なリポソーム処方の選択における唯一のパラメーターではない。他の重要な面は、化学的安定性、血液安定性、血液クリアランス、体内分布、標的組織蓄積、及び毒性である。最終目標は、もちろん、高い治療効果及び/又は低下した毒性である。PE脂質又はアルコールはこれらの面の調節において単独ではなく、粒子の他の成分がこの点で重要でありうる。
【0029】
血液循環時間を改善する及び/又は音波感受性をさらに調節するための成分が前記物質中に含まれうる(例、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、又はポリマーなど)。任意の適切な濃度のPEG又はその誘導体が好ましい。しかし、PEG濃度は、好ましくは、15モル%まで、より好ましくは3〜10モル%の範囲内、さらにより好ましくは3〜8モル%の範囲内、さらにより好ましくは5.5〜8モル%の範囲内にある。本発明の実施態様において、PEG濃度は、3、5.5、8又は10モル%である。PEG部分は、任意の分子量又はタイプでありうるが、しかし、分子量が350〜5000Daの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1000〜3000D内である。好ましい実施態様において、分子量は2000Daである。PEG部分は、それが粒状物質の部分を形成することを許す任意の分子を伴ってもよい。好ましくは、PEG部分は、スフィンゴ脂質(例、セラミド)、グリセロールベースの脂質(例、リン脂質)、又はステロール(例、コレステロール)、より好ましくはセラミド及び/又はPE、さらにより好ましくはPE(DMPE、DPPE又はDSPEなど)に複合化される。アシル鎖長は、膜の主なリン脂質のものと同じであるべきである。脂質グラフト化PEGは、好ましくは、DPPE−PEG2000及び/又はDPPE−PEG5000である。特に好ましい実施態様において、脂質グラフト化PEGはDSPE−PEG2000である。
【0030】
本発明の粒状物質の音波感受性、インビトロ及びインビボ安定性、毒性、生物学的活性又は任意の他の特徴をさらに調節するために、様々な他の分子を物質中に含めてもよい。例えば、脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質(例、セラミド)、ステロール、ポリエチレングリコール、ペプチドなどである。また、粒状物質のサイズは変動しうる。
【0031】
したがって、粒状物質は、上に定義したPE脂質に加えて、任意の脂質をさらに含みうる。好ましくは、脂質は、両親媒性脂質、例えばスフィンゴ脂質及び/又はリン脂質である。好ましい実施態様において、両親媒性脂質は、任意のタイプ又は供給源のリン脂質である。リン脂質は、飽和又は不飽和、又はその組み合わせでありうるが、飽和リン脂質が好ましい。典型的には、選択されるリン脂質は、12個の炭素原子より長い、しばしば14個の炭素原子より長い、さらにしばしば16個の炭素原子より長いアシル鎖長を有する。好ましくは、アシル鎖長は、14〜24個の炭素原子の範囲内、より好ましくは16〜22個の炭素原子、さらにより好ましくは18〜22個である。異なる長さのアシル鎖を本発明の物質中で混ぜて使用して(mixed)もよく、又は、全てのアシル鎖は類似の又は同一の長さを有しうる。本発明の好ましい実施態様において、リン脂質のアシル鎖長は18個の炭素原子である。
【0032】
さらに、リン脂質の極性頭部は、任意のタイプ、例えば、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)、又はホスファチジルグリセロール(PG)でありうる。結果的に、本発明の物質は、異なる極性頭部を伴うリン脂質の混合物を含みうる。脂質二重層の中性リン脂質成分は、好ましくはホスファチジルコリンであり、最も好ましくは、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、水素化卵ホスファチジルコリン(HEPC)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)より選ばれる。脂質二重層の負に荷電したリン脂質成分は、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸又はホスファチジルエタノールアミン化合物、好ましくはホスファチジルグリセロールでありうる。本発明の好ましい実施態様において、追加の又は調節リン脂質は、PC、特にDSPCである。本発明の実施態様において、DSPC濃度は5〜30モル%の範囲内にある。PCのレベルは、例えば血液クリアランス速度を調節するために重要である。
【0033】
前記粒状物質は、また、ステロールを含みうるが、ここで該ステロールは、コレステロール、セコステロール又はその組み合わせでありうる。セコステロールは、好ましくは、ビタミンD又はその誘導体、より特に、カルシジオール又はカルシジオール誘導体である。
【0034】
前記粒状物質はまた、ステロールを含みうるが、ここで該ステロールは、コレステロール、セコステロール又はその組み合わせでありうる。セコステロールは、好ましくは、ビタミンD又はその誘導体、より特に、カルシジオール又はカルシジオール誘導体である。粒状物質は、特定の粒子特性に依存して、任意の適したステロール濃度、好ましくはコレステロールを含みうる。一般に、50モル%のステロールは、リポソーム膜における上限濃度と考えられる。しかし、粒状物質は、好ましくは、20モル%までのコレステロール、より好ましくは30モル%まで、さらにより好ましくは40モル%までのコレステロール、最も好ましくは20〜40モル%の範囲内を含む。本発明の好ましい実施態様において、粒状物質は、20、26、30、35又は40モル%のコレステロールを含む。したがって、コレステロール濃度は好ましくは、言及した実施態様の濃度により構成される任意の可能な範囲内にある。より高い濃度範囲が、しかし、好ましい。ステロールは、治療効果を有し、ならびに、安定性を改善し、血液クリアランス速度を低下させうる。
【0035】
本発明の粒状物質は、任意の適切なサイズでありうる。しかし、前記物質は、好ましくは、1000nm未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは200nm未満、より好ましくは150nm以下であるべきである。好ましい実施態様において、サイズは、50〜200nm、より好ましくは50〜150nm、より好ましくは50〜95nm、さらにより好ましくは80〜90nmの範囲内に入る。一実施態様において、サイズは約85nm又は85nmである。本発明者らのデータは、サイズが粒状物質の音波感受性を調節するパラメーターでありうることを示す。より具体的には、サイズは音波感受性と正に相関するように見える。故に、至適サイズ範囲は、85nm〜150nmの範囲内にあると予測される。
【0036】
さらに、本発明の粒状物質は、典型的には、任意の種類の薬物又は機能性分子を含む。薬物は、目的のために適した任意の薬物でありうる。しかし、抗細菌薬物、抗炎症薬物、抗癌薬物、又はそれらの任意の組み合わせが好ましい。本発明の技術は特に癌の処置に適応しているため、抗癌薬物が好ましい。抗癌薬物は、任意の化学療法薬物、細胞分裂阻害薬物又は放射線療法薬物を含む。本発明の粒状物質にデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、特に低分子干渉RNA(siRNA)を含めることが特に興味深いかもしれない。
【0037】
細胞分裂阻害薬の一般的な群は、アルキル化薬剤(L01A)、代謝拮抗薬(L01B)、植物アルカロイド及びテルペノイド(L01C)、ビンカアルカロイド(L01CA)、ポドフィロトキシン(L01CB)、タキサン(L01CD)、トポイソメラーゼ阻害剤(L01CB及びL01XX)、抗腫瘍抗生物質(L01D)、ホルモン療法である。細胞分裂阻害薬の例は、ダウノルビシン、シスプラチン、ドセタキセル、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、メトトレキサート、シクロホスファミド及びドキソルビシンである。
【0038】
したがって前記薬物は、アルキル化薬剤、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬剤、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ホルモン及びホルモンアンタゴニスト、酵素、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、イミダゾテトラジン誘導体、細胞保護薬剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節剤、レチノイド、治療抗体、分化薬剤、免疫調節薬剤、及び血管新生阻害剤を含みうる。
【0039】
前記薬物はまた、アルファ放射体(ラジウム−223(223Ra)及び/又はトリウム−227(227Th)など)又はベータ放射体でありうる。前臨床及び臨床研究において現在使用されている他のアルファ放射同位体は、アスタチン−211(211At)、ビスマス−213(213Bi)及びアクチニウム−225(225Ac)を含む。
【0040】
さらに、前記薬物は、抗癌ペプチド(テロメラーゼもしくはテロメラーゼのフラグメント、hTERTなど);又はタンパク質(モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、scFv、テトラボディ(tetrabody)、ワクシボディ(Vaccibody)、トロイボディ(Troybody)など)をさらに含みうる。また、本発明の物質は、コラゲナーゼ又は他の酵素を含みうる。特に、標的組織における粒状物質の取り込み及び分布を改善するタンパク質又は分子である。
【0041】
より具体的には、前記粒状物質中に含まれうる治療薬剤は、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生、ベバシズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シナカルセト、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノルビシン、デニロイキンディフティトックス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB溶液(Elliott’s B solution)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ(nofetumomab)、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ゾレドロネート、又は、ゲムシタビン、シタラビン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、アシクロビル、ガンシクロビル、もしくはリバビリンのエライジン酸エステルである。
【0042】
前記薬物は、好ましくは、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル(5−FU);アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、又はミトキサントロンなど);シスプラチン、エトポシド、ビンブラスチン、マイトマイシン、ビンデシン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、イホスファミド、エストラムスチン、又はそれらの任意の組み合わせ;さらにより好ましくはドキソルビシン、メトトレキサート、5−FU、シスプラチン、siRNA、ゲムシタビン、シタラビン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、アシクロビル、ガンシクロビル、もしくはリバビリンのエライジン酸エステル又はそれらの任意の組み合わせである。本発明の好ましい実施態様において、薬物は水溶性薬物である。さらにより好ましい実施態様において、薬物はドキソルビシンである。
【0043】
さらに、本発明の粒子は、また、イメ−ジング造影剤(例えば、MR、X線又は光学イメ−ジング造影剤など)を含んでもよく、追跡及びモニタリングを可能にする。MR及びX線造影剤、ならびに蛍光及び生物発光プローブの例は、文献中に見出されうる。
【0044】
上の任意の箇所に記載した粒状物質は、パーフルオロブタンもしくはパーフルオロプロパンガスの気泡、又は任意の非溶解ガスを含まない。
【0045】
さらに、熱感受性又はpH感受性粒子は、典型的には、本発明の粒子の部分ではない。より特に、粒子を熱感受性にする、即ち、それらのペイロードを生理学的温度以下又は以上で放出する成分(例、リゾ脂質など)は、典型的には、本発明の粒子の部分ではない。同様に、成分、コレステロールヘミコハク酸(CHEMS)もしくは脂肪酸(長鎖脂肪酸、例えば、オレイン酸(OA)など)、N−パルミトイルホモシステイン(PHC)、ジパルミトイルスクシニルグリセロール(DSPG)、又は膜を生理学的pH以下又は以上のpHに感受性にする類似の成分は、典型的には、本発明の部分ではない。
【0046】
リポソームの調製は、当技術分野内で周知であり、本発明の粒子を調製するのに多くの方法を使用しうる。
【0047】
本発明はまた、症状又は疾患を処置するための医薬を製造するための長鎖及び/又は不飽和脂質を含む音波感受性粒状物質の使用を含む。好ましくは、前記粒状物質は、上に記載した本発明の物質である。
【0048】
本発明の別の態様は、長鎖及び/又は不飽和PE脂質を含む粒状物質を、それを必要とする患者に投与することを含む、薬物を所定の組織容積に送達するための治療的方法である。より特に、粒状物質は、上に記載した本発明の粒子である。
【0049】
さらなる別の態様は、上に定義した長鎖及び/又は不飽和PE脂質を含む粒状物質を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾患又は状態を処置するための方法である。より特に、前記粒状物質は、上に記載した本発明の粒子である。
【0050】
前記使用又は方法は、音響エネルギー又は超音波を用いて前記粒状物質を投与又は活性化する工程をさらに含む。故に、活性薬物は、音響エネルギーを用いて粒状物質から放出又は投与される。このようにして、患者は、標的組織への途中での薬物の潜在的な毒性効果から保護され、薬物の高い局所的濃度が短時間で得られる。好ましくは、罹患容積だけが音響エネルギー又は超音波に曝露されるが、しかし、全身曝露も可能である。音響エネルギー又は超音波は、好ましくは、3MHz未満、より好ましくは1.5MHz未満、より好ましくは1MHz未満、より好ましくは0.5MHz未満、より好ましくは0.25MHz未満、さらにより好ましくは0.1MHz未満の周波数を有するべきである。本発明の好ましい実施態様において、周波数は、1.17MHz、40kHz又は20kHzである。しかし、集束超音波トランスデューサーは、非集束トランスデューサーよりも顕著に高い周波数で駆動され、依然として本発明の音波感受性物質からの効率的な薬物放出を誘導しうることに注意すべきである。普及している科学的理論に限定されることなく、本発明者らは、標的組織における超音波誘導性空洞化(cavitation)のレベルが、本発明の粒状物質からの薬物放出を誘導する主要な物理的因子であると考える。音響学の当業者は、任意の周波数の超音波がいわゆる慣性(inertial)又は過渡(transient)空洞化を誘導しうることを知っているであろう。
【0051】
処置しようとする疾患は、典型的には、局所化された性質であるが、播腫性疾患も処置されうる。疾患は、腫瘍性疾患、癌、炎症症状、免疫障害、及び/又は感染、好ましくは局所化異型(variants)でありうる。記載した方法は、癌、特に固形腫瘍の処置に特によく適する。超音波エネルギーが容易に利用可能な癌が好ましい(例えば、頭頚部、乳、子宮頸部、腎臓、肝臓、卵巣、前立腺、皮膚、膵臓の癌、及び肉腫など)。本発明の音波感受性粒子は、上記全ての状態の処置によく適する。なぜなら、それらはそのような疾患容積に自然に蓄積するからである。
【0052】
本発明は、上記音波感受性粒状物質を含む組成物、ならびに上記音波感受性粒状物質を含む医薬組成物をさらに含む。
【0053】
さらに本発明は、本発明の物質を含むキットを含む。
【0054】
本発明はまた、本発明の音波感受性粒状物質を生産するプロセス又は方法を含む。前記方法又はプロセスは、上に記載した膜の、膜に包埋されたアルコール(例、ヘキサノールなど)を除く、構成物の薄膜を生産する工程、及び次に該膜を適切な水和液で水和する工程を含む。水和液は、アルコール(例、ヘキサノールなど)を含みうる。前記方法又はプロセスは、凍結融解サイクル、それに続く押出プロセスをさらに含みうる。前記薬物は、水和液中に含まれうる、又は、プロセスもしくは方法の終りに能動的に含められうる。方法又はプロセスの実施態様を、実施例のセクションに詳細に記載する。
【0055】
本発明はまた、上に記載したプロセス又は方法により生産した製品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】4分までの20kHz超音波への曝露の間のヘキサノールを用いた(黒丸)及び用いない(白四角)リポソーム(90モル%DSPC、10モル%DSPE−PEG2000)からのパーセントカルセイン放出(実施例4を参照のこと)。ヘキサノール含有リポソームは、優れた音波感受性を示す。
【図2】4分までの20kHz超音波への曝露の間のヘキサノールを用いた(黒丸)及び用いない(白四角)リポソーム(50モル%DSPC、10モル%DSPE−PEG2000、40モル%コレステロール)からのパーセントカルセイン放出(実施例5を参照のこと)。ヘキサノール含有リポソームは、優れた音波感受性を示す。
【図3】6分までの20kHz超音波への曝露の間の、2つの異なる主なリン脂質(両方とも77モル%):DSPC(白丸)及びDSPE(黒四角)、を含むリポソーム(3モル%DSPE−PEG2000、20モル%コレステロール、50mMヘキサノール)からのパーセントカルセイン放出(実施例6を参照のこと)。DSPEベースのリポソームは、優れた音波感受性を示す。
【図4】多変量解析からの回帰係数(実施例7を参照のこと)。統計的に有意な放出モジュレーター(US6分後)は、DSPE及びDSPE*ヘキサノール相互作用(丸で囲まれたカラム)である。
【図5】放出程度(US6分後)対DSPE及びヘキサノールのレベルの2D表面プロット(実施例7を参照のこと)。高レベルのヘキサノール及びDSPEは正の相乗作用を示し、低レベルのDSPE及び高レベルのヘキサノールは負に相互作用する。
【図6】多変量解析からの回帰係数(実施例7を参照のこと)。統計的に有意な放出モジュレーター(US0.5分後)は、DSPE、リポソームサイズ及びDSPE*ヘキサノール相互作用(丸で囲まれたカラム)である。
【図7】多変量解析からの回帰係数(実施例11を参照のこと)。統計的に有意な放出モジュレーター(US6分後)はDSPE(丸で囲まれたカラム)である。
【図8】放出程度(US6分後)対DSPE及びDSPE−PEG2000のレベルの3D表面プロット(実施例11を参照のこと)。
【図9】20%血清中でのDOPEベースのリポソームのUS媒介放出。Caelyx(登録商標)についての放出曲線を参照として示す。
【0057】
実施例
実施例1:蛍光薬物マーカーカルセインを含むリポソームの調製
DSPC、DSPE、DOPE及びDSPE−PEG2000を、Genzyme Pharmaceuticals(Liestal, Switzerland)から購入した。コレステロール、カルセイン、HEPES、TRITON−X100(10%溶液)、アジ化ナトリウム及びスクロースを、Sigma Aldrichから得た。ヘキサノールは、BDH Chemicals Ltd.(Poole, England)により供給された。
【0058】
異なる膜組成のカルセイン保有リポソーム(リポソームカルセイン)を、薄膜水和方法(Lasic 1993)を使用して調製した。名目上の脂質濃度は、16mg/mlであった。リポソームに、受動的負荷(この方法は当技術分野内で周知である)を介してカルセインを負荷した。水和液は、10mMHEPES(pH7.4)及び50mMカルセインからなっていた。ヘキサノールを含むリポソームカルセインの調製のために、水和液に、脂質薄膜水和工程における使用の2日前に、所与の量のヘキサノールを添加した。
【0059】
3回の凍結融解サイクルの後に、リポソームを、連続的にサイズが小さくなっていくポリカーボネート(Nuclepore)フィルターを通した65℃(DSPCリポソーム)、23℃(DOPEリポソーム)及び68℃(DSPEリポソーム)での押出(Lipex、Biomembrane Inc. Canada)により80〜90nmに小型化した。
【0060】
リポソーム外カルセインを徹底的な透析により除去した。透析を、リポソーム分散物を含む使い捨て透析器(分子量カットオフ100000D)を、10mMHEPES及び0.02%(w/v)アジ化ナトリウム溶液を含む大容量の等張性スクロース溶液中に配置することにより実施した。その組み立てたもの(setup)は光から保護され、透析は、透析最小(dialysis minimum)中の微量のカルセインが無視できるまでで終了した。リポソーム分散物を、次に、さらなる使用まで、光から保護された冷蔵庫中で保存した。
【0061】
実施例2:カルセイン含有リポソームの性質評価
リポソームを、十分に確立された方法の使用により、重要な物理化学的特性(粒子サイズ、pH及び浸透圧など)に関して性質評価した。
【0062】
平均粒径(強度加重)及び粒度分布を、173°の散乱角及び25℃で光子相関分光法(PCS)により決定した(Nanosizer、Malvern Instruments, Malvern, UK)。粒度分布の幅を、多分散性指数により定める。サンプル測定の前に、機器を、ラテックス標準(60nm)を流すことによりテストした。PCS測定のために、10μLのリポソーム分散系を、10mMHEPES(pH7.4)及び0.02%(w/v)アジ化ナトリウムを含む2mLの無菌ろ過等張性スクロース溶液を用いて希釈した。二つ分析した。
【0063】
浸透圧を、凝固点降下分析(Fiske 2010 Osmometer、Advanced Instruments, MA,US)により非希釈リポソーム分散系について測定した。サンプル測定の前に、浸透圧290mosmol/kgの参照サンプルを測定した;規格内でない場合、3段階較正を実施した。二つのリポソームサンプルを分析した。
【0064】
実施例3:カルセイン含有リポソームについてのUS媒介放出方法及び定量化
リポソームサンプルを、Huang and MacDonald(Huang and Macdonald 2004)に開示された、注文製のサンプルチャンバー中で6分まで20又は40kHzの超音波に曝露した。USパワーサプライ及びコンバーターシステムは、2つのシステム:(1)直径6.35cmのトランスデューサーを有する「Vibra-Cell」超音波プロセッサー、VC750、20kHzユニット又は(2)19mmカップホーンプローブ(cup horn probe)を有する「Vibra-Cell」超音波プロセッサー、VC754、40kHzユニット、の1つであった(両方ともSonics and Materials, Inc. (USA)から購入した)。圧力測定を、Bruel and Kjaerハイドロホン8103型を用いて行った。両方のシステムを、最低の可能な振幅、即ち、最大振幅の20〜21%で実行した。20kHzシステムについて、これは、0.9〜1.2W/cm2のトランスデューサーインプットパワー及び約460kPaのピーク−ピークトランスデューサー圧力(peak−to−peak transducer pressure)に変更する。
【0065】
US測定のために、リポソーム分散系を、10mM HEPES(pH7.4)及び0.02%(w/v)アジ化ナトリウムを含む等張性スクロース溶液を用いて、1:500容積比率に希釈した。二つ分析した。
【0066】
カルセインの放出評価は、以下の十分に確立された方法に基づく:カルセインを含む無処置のリポソームは、カルセインの高いリポソーム内濃度(ここでは50mM)により起こされる自己消光に起因して低い蛍光強度を呈する。リポソーム外相中へのカルセインの超音波媒介放出を、低下した全消光効果に起因する蛍光強度の増加により検出することができる。以下の式:
【数2】


を放出定量のために使用する。
【0067】
式中、Fb及びFuは、それぞれ、超音波適用の前及び後でのリポソームカルセインサンプルの蛍光強度である。Fは、界面活性剤を用いた可溶化(100%放出を模倣する)後のリポソームカルセインサンプルの蛍光強度である。研究では、カルセイン含有リポソームについて、可溶化工程が、リン脂質混合物の相転移温度を上回る高温で実施しなければならないことが示されている。
蛍光測定を、光電子増倍管R3896(Hamamatsu, Japan)を備えた発光分光計モデルLS50B(Perkin Elmer, Norwalk, CT)又は科学グレード検出器を有するQE6500分光計(Ocean Optics B.V., Duiven, The Netherlands)のいずれかを用いて行った。蛍光測定は、当業者に周知である。
【0068】
実施例4:ヘキサノールはリポソームの音波感受性を改善する
2つのリポソーム製剤(90モル%DSPC及び10モル%DSPE−PEG2000から構成され、ヘキサノールを含む又は含まないのいずれか)を、実施例1に従って調製した。ヘキサノールを含むリポソームについて、カルセイン溶液(水和液)を60mM濃度のヘキサノールでドープした。ヘキサノール含有リポソームのサイズは82nmと測定され、非ヘキサノール含有リポソームは95nmと測定された(サイズ測定方法については実施例2を参照のこと)。リポソーム(1:500v/v希釈)をUSチャンバーにおいて20kHzに曝露し、カルセイン放出の割合を0.5、1、2及び4分の超音波処理後での蛍光測定により評価した(US放出及び定量方法については実施例3を参照のこと)。図1は、ヘキサノールを含むリポソーム製剤(黒点)について、音波感受性が改善され、4分の超音波処理の後に、ヘキサノールを含まないリポソーム製剤(白四角)に比較して、20%(絶対値で)のカルセイン放出の増加を与えたことを示す。
【0069】
実施例5:ヘキサノールは、コレステロール含有リポソームの音波感受性を改善する
安定なリポソーム製剤の開発は、しばしば、膜中でのステロールの包含を要求する。また、リポソームサイズは、超音波感受性に影響を及ぼすことが知られている。従って、音波感受性に対するヘキサノールの導入の効果を、50モル%DSPC、10モル%DSPE−PEG2000及び40モル%コレステロールからなる同様なサイズのリポソームについて評価した。リポソームにカルセインを先に記載した通りに入れ、ヘキサノール及び非ヘキサノール含有リポソームのサイズはそれぞれ88nm及び89nmと測定された。ヘキサノールを含むリポソームの調製のために、カルセイン溶液(水和液)を60mM濃度のヘキサノールでドープした。
【0070】
超音波実験を上に記載した通りに20kHzで行った。結果を図2に示す。ヘキサノールを欠くリポソーム(白四角)に比較して少なくとも15%(絶対値で)のカルセイン放出の増加が、ヘキサノール含有リポソーム(黒丸)について観察された。ヘキサノールの有益な効果がUS0.5分後に既に見られた。
【0071】
我々は、コレステロールを含むリポソーム分散系中へのヘキサノールの包含が、音波感受性及び薬物放出特性を増加させると結論する。
【0072】
実施例6:PEはリポソームの音波感受性を改善する
ヘキサノールを含むリポソーム製剤に対するPEの効果を評価するために、77モル%DSPC又は77モル%DSPEのいずれかで構成されるリポソームを研究した。両方の製剤は、さらに、20モル%コレステロール及び3モル%DSPE−PEG2000からなっていた。カルセイン溶液(水和液)は50mMヘキサノールを含んでいた。DSPCベースのリポソーム及びDSPEベースのリポソームのサイズはそれぞれ80nm及び84nmであった。超音波実験を20kHzで実施し、カルセイン放出の割合を、0.5、1、1.5、2及び6分の超音波曝露後の蛍光測定により評価した。
【0073】
図3は、DSPEベースのリポソーム(黒点)について、音波感受性が、DSPCベースのリポソーム(白四角)に比較して増加したことを示す。
【0074】
我々は、PEの包含がリポソームの音波感受性及び薬物放出特性を増加させると結論する。
【0075】
実施例7:PE及びヘキサノールはリポソームの音波感受性を相乗的に改善する
上に開示した通り、USに対するリポソームの感受性は、ヘキサノール及び/又はPE脂質の包含により影響される。リポソームの音波感受性に対するアルコール及び/又はPE脂質の効果をさらに研究するために、多変量解析デザインを行った。最初の解析デザインは、DSPE及びヘキサノールの量を異なるレベルに変動させた11個の異なる製剤を含んでいた(表5を参照のこと)。全ての製剤について、コレステロール及びDSPE−PEG2000のレベルをそれぞれ20及び3モル%で一定に保った。
【0076】
リポソームを、先に記載した通りに調製及び分析した。放出実験を40kHzの超音波で実施した。試験からの結果を表6に列挙する。
【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
表6におけるデータの多変量解析により、DSPEが主な放出モジュレーターであり;DSPEレベルが高い程、放出程度が高いこと(統計的に有意な正の回帰係数により証明される通りである)が示された(図4)。至適音波感受性が、DSPE及びヘキサノールを高レベルで組み合わせた場合に達成された。このように、DSPEとヘキサノールの間での統計的に有意な相互作用効果が観察された(図4及び5)。リポソームサイズも音波感受性にプラスに寄与した。サイズ効果は、短いUS持続期間で統計的に有意であった;サイズが大きい程、放出程度は高い(図6)。
【0080】
実施例8:PEはリポソームの音波感受性を改善する。
実施例7における試験を、ヘキサノールを含まないDSPEリポソーム製剤を含むように拡張した。DSPE−PEG2000及びコレステロールのレベルをそれぞれ3モル%及び20モル%で一定に保持し、目標サイズは85nmとした。DSPCは追加のリン脂質として機能した。リポソームを調製し、40kHz超音波でテストした。放出データを表7に列挙する。
【表5】

【0081】
表6及び7におけるデータの多変量解析では、再び、DSPEが音波受性に対する有意な寄与物であることが確認された。
【0082】
実施例9:高レベルのPEGはDSPEリポソームの音波感受性を低下させない
実施例7及び8のさらなる拡張において、DSPE−PEG2000レベルを3から8モル%に増加させた。コレステロールを20モル%に保ち、DSPCは追加のリン脂質として機能した。放出データ(40kHzでの)を表8に列挙する。
【表6】

【0083】
実施例10:DOPEはリポソームの音波感受性を改善する
主な脂質としてDOPEを含む2つのリポソームカルセイン製剤を研究した。DSPE−PEG2000及びコレステロールのレベルをそれぞれ8モル%及び20モル%で一定に保った。DSPCは追加のリン脂質として機能した。放出データ(40kHzでの)を表9に示す。
【表7】

【0084】
データは、DOPEベースのリポソームが、アルコールが存在しないときに良好な音波感受性を有することを示す。所与のコレステロール、DSPE−PEG2000及びPEのレベルについて、DOPEリポソームは、DSPEベースのリポソームと比較してより高い音波感受性を有する(実験2対実験16)。
【0085】
実施例11:DOPEベースのリポソームの音波感受性に対するDSPE−PEG2000及びコレステロールのレベルの効果
【0086】
リポソーム音波感受性に対するコレステロール及びDSPE−PEG2000の効果をさらに研究するために、多変量解析デザインを行った。解析デザインは、DOPE、コレステロール及びDSPE−PEG2000の量を異なるレベルに変動させた11の異なる製剤を含んだ(表10を参照のこと)。
【表8】

【0087】
リポソームを先に記載した通りに調製及び分析した。放出実験を40kHzの超音波で実施した。試験からの結果を表11に列挙する。
【表9】

【0088】
結果は、コレステロール及びDSPE−PEG2000のレベルの変動が、DOPEベースのリポソームの音波感受性に顕著な影響を及ぼさないことを示す。
【0089】
実施例12:ドキソルビシン含有リポソームの調製及び評価
DSPC、DSPE、DOPE及びDSPE−PEG2000を、Genzyme Pharmaceuticals(Liestal, Switzerland)から購入した。ドキソルビシンHClを、Nycomed, Norwayから得た。コレステロール、クエン酸三ナトリウム塩、Triton−X100(10%溶液)、HEPES、硫酸アンモニウム、アジ化ナトリウム、及びスクロースを、Sigma Aldrichから得た。ヘキサノールは、BDH Chemicals Ltd(Poole, England)により供給された。
【0090】
異なる膜組成のリポソームを、薄膜水和方法(Lasic 1993)を使用して調製した。乾燥脂質膜を300mM硫酸アンモニウム(pH5.5、非緩衝化)又は300mMクエン酸(pH4)のいずれかを用いて水和した(表12を参照のこと)。名目上の脂質濃度は、水和後、20mg/mlであった。ヘキサノールを含むリポソームにおいて、水和溶液に所与の量のヘキサノールをドープした。
【0091】
水和後、リポソーム調製物を、ドライアイス/アセトン/メタノール混合物中での3回の凍結融解サイクルに供した。リポソームを、ポリカーボネート(Nuclepore)フィルターを通した段階的押出(Lipex. Biomembrane Inc. Canada)により80〜90nmの小さな単ラメラ小胞に小型化した。押出の間、温度をそれぞれのリポソーム製剤についての転移温度付近で一定に保った。
【0092】
硫酸アンモニウム勾配又はpHクエン酸勾配の形成を、大規模な(extensive)透析により得た。透析を、リポソーム分散物を含む使い捨て透析器(分子量カットオフ100000D)を配置することにより実施した。3回の連続的透析により、大容積の等張スクロース溶液(pH5.5、非緩衝化)又は等張20mM HEPES緩衝化NaCl溶液(pH7.4)のいずれかに対して交換する(表12)。
【0093】
リポソーム分散系を、次に、所与の容積のドキソルビシンHCl溶液と混合して、最終薬物対脂質比率1:8又は1:16及び最終名目上脂質濃度16mg/mlを得た。23〜75℃(膜組成に依存している)での1/2〜1時間のインキュベーション後、リポソームサンプルを室温に冷却した。パーセント薬物負荷を、透析により又はSephadex G−50カラムを使用することにより遊離薬物を分離した後、蛍光測定により決定した。負荷後、リポソーム外相を、等張10mM HEPES緩衝化スクロース溶液(pH7.4)又は20mM HEPES緩衝化NaCl溶液(pH7.4)と交換した(表12)。
【表10】

【0094】
US測定及び放出定量を、以下の改変を除き、実施例3に記載した通りに実施した:可溶化工程を周囲温度で実施した。
【0095】
種々のドキソルビシン含有リポソーム製剤についての物理化学的データ及び放出データを表13及び14に要約する。種々のEPI 2Dリポソーム製剤の多変量解析(表13)は、DSPEが音波感受性に対する主な寄与物であることを確認した。正の回帰係数は、増加したDSPEレベルが放出程度を増加させることを意味する(図7)。図8は、放出程度(US6分後)対DSPE及びDSPE−PEG2000のレベルについての応答表面プロットを示す。
【0096】
DOPEベースのドキソルビシンを含むリポソームについての放出データ(表14)は、同一の脂質組成及びサイズのカルセイン−リポソームについて得られたデータに対応する(表9)。これらのDOPEベース製剤の非常に高い音波感受性は、超音波曝露時にリポソームの薬物の放出を誘導するDOPE脂質の強い非ラメラ特性に関連すると推定される。
【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
実施例12.血清中でのDOPEベースのリポソームの安定性及び音波感受性
【0100】
DOPEリポソーム(表14)は、20%血清中で非常に良好な安定性を示し(1:125希釈);ドキソルビシンの漏出は、37℃で6時間のインキュベーション後に検出できなかった。
【0101】
DOPEベースのリポソーム(1:500希釈率)の音波感受性は、また、20%血清中で不変であり(40kHzで)、商用リポソームドキソルビシン製品(Caelyx(登録商標))より顕著に優れている。図9を参照のこと。
【0102】
実施例13.SOPEベースのリポソームの安定性及び音波感受性
SOPE:DSPE−PEG2000:コレステロールの組成がモルパーセンテージ52:8:40のリポソームを製造し、ドキソルビシンを上に記載した通りに負荷した。超音波実験において、薬物負荷のほぼ62%が、HEPES緩衝化スクロース中での6分間の40kHzの超音波曝露後に放出された。実験は上に記載した通りに行った。
【0103】
さらに、SOPE:DSPC:DSPE−PEG2000:コレステロールの組成がモルパーセンテージ62:10:8:20のリポソームを製造し、ドキソルビシンを上に記載した通りに負荷した。3%を超えないドキソルビシン漏出が、20%血清中で37℃で24時間インキュベーションした後に観察された。超音波実験において、薬物負荷のほとんど約70%が、HEPES緩衝化スクロース及び20%血清の両方中での6分間の40kHzの超音波曝露後に放出された。実験は上に記載した通りに行った。対照的に、水素化大豆PCベースのリポソーム(Caelyx(登録商標))からの放出は、20%血清中での6分間の超音波曝露後においてわずか3%である(図9を参照のこと)。
【0104】
【表13】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10モル%の長鎖及び/又は不飽和ホスファチジルエタノールアミン(PE)を含む音波感受性粒状物質であって、気泡又は非溶解ガスを含まない、物質。
【請求項2】
PEが少なくとも18個の炭素原子又はそれよりも長いアシル鎖を含む、請求項1記載の物質。
【請求項3】
PEが少なくとも1個の不飽和アシル鎖を含む、請求項1又は2記載の物質。
【請求項4】
PEが2個の不飽和アシル鎖を含む、請求項1〜3記載の物質。
【請求項5】
コレステロールヘミコハク酸(CHEMS)、遊離脂肪酸及び/又はリゾ脂質を含まない、請求項1〜4のいずれか一項記載の物質。
【請求項6】
粒子が少なくとも47モル%のPEを含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の物質。
【請求項7】
PEが1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1−ステアロイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(SOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(POPE)、及び/又は1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)である、請求項1〜6記載の物質。
【請求項8】
PEがDOPE及び/又はSOPEである、請求項1〜7記載の物質。
【請求項9】
ポリエチレングリコール又はその誘導体をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の物質。
【請求項10】
8モル%又はそれ以上のポリエチレングリコール又はその誘導体をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の物質。
【請求項11】
コレステロールをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の物質。
【請求項12】
20モル%又はそれ以上のコレステロールをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の物質。
【請求項13】
粒状物質がリポソームである、請求項1〜12のいずれか一項記載の物質。
【請求項14】
薬物をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の物質。
【請求項15】
症状又は疾患を処置するための医薬を製造するための請求項1〜14のいずれか一項記載の音波感受性粒状物質の使用であって、該医薬が音響エネルギーにより活性化又は放出される、使用。
【請求項16】
疾患又は症状が、癌、免疫異常、感染、又は炎症性疾患である、請求項15記載の使用。
【請求項17】
医学的使用のための請求項1〜14記載の物質。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか一項記載の物質を製造するための方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一項記載の物質を含む薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−529501(P2012−529501A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514908(P2012−514908)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000215
【国際公開番号】WO2010/143969
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(510162551)
【氏名又は名称原語表記】EPITARGET AS
【Fターム(参考)】