説明

ホッパー型メダル送出装置のメダル捻り搬送機構

【課題】メダル搬送路の内部にメダルが目詰まりすることを防ぐ。
【解決手段】ホッパー型メダル送出装置における据付け台Fのトップ面10を一定角度αの後上がり傾斜状態のみならず、一定角度の横上がり傾斜状態に設置して、そのトップ面10の後上方に開放するメダル送出口27へ連通接続したメダル搬送路P1のメダル通行トンネル45が、そのメダルCの導入口から導出口までの一定角度β1だけ円弧状に屈曲する屈曲部54を、上記メダル搬送路P1における長手中心線O−Oの支点廻りに回転する如く、90度未満の一定角度だけ捻り形成することにより、上記メダル通行トンネル45の導出口を平面から見て、左右方向に沿い延在する横長の開口状態、前後方向に沿い延在する縦長の開口状態又は斜め方向に沿い延在する開口状態として、その方角を変化させ得るように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメダルを使用する遊技機やメダルの貸出し機、両替機、釣り銭機などの各種本機に内蔵設置されるホッパー型メダル送出装置のメダル捻り搬送機構に係り、殊更そのメダル送出装置の送出口から本機の希望する出口方向へ制約なく、しかもメダルを目詰まりのおそれなく搬送できるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
この種のホッパー型メダル送出装置では図25、26に示す如く、水平な据付け面(G)と一定角度(α)の後上がり傾斜設置状態にある穴明き回転ディスク(1)により、そのホッパータンク(2)から受け入れたメダル(C)を、斜め上方へ1枚づつ順次送り出し、その送出口(3)に接続一体化されたメダル搬送路(P1)の一定角度(β1)だけ屈曲する屈曲部(4)を経て、一旦垂直の真上方向へメダル(C)を押し上げ搬送し、引き続き途中に同一平面での一定角度(β2)だけ屈曲する屈曲部(5)を備えた延長メダル搬送路(P2)により、本機(M)の出口(6)までメダル(C)を押し進め搬送するようになっている通例である。
【0003】
ところが、上記メダル送出装置の送出口(3)から立ち上がるメダル搬送路(P1)は、その屈曲部(4)よりも上流側(下側)と下流側(上側)との異なる平面にあるため、例えばメダル(C)の周縁部が摩耗によって丸味を帯びていたり、或いはメダル(C)自身が歪み変形していたりすると、その屈曲部(4)において隣り合うメダル(C)同士が部分的に重なる瓦の如く、その一方の潜り込みと他方の乗り上げを生じ、メダル搬送路(P1)の内部に目詰まりしてしまうのである。
【0004】
その結果、上記メダル搬送路(P1)の屈曲部(4)を余裕がある大きな曲率半径として緩やかに屈曲形成しなければならず、それだけメダル搬送路(P1)がいたづらに長距離となる。
【0005】
又、延長メダル搬送路(P2)の屈曲部(5)として例示したように、その上流側と下流側とが同一平面にあれば、屈曲部(5)を比較的小さな曲率半径での鋭く屈曲形成することができ、上記メダル(C)の目詰まりを生じ難い利点がある反面、本機(M)への配列設置上制約を受けやすく、その本機(M)のメダル出口(6)を希望する位置や方向性に開口形成することが困難となる。
【0006】
上記した屈曲部(4)におけるメダル(C)の目詰まりを防ぐために、そのメダル搬送路(P1)に捻りを与える技術的手段として、下記の特許文献が既に提案されている。
【特許文献1】実開平3−96878号公報
【特許文献2】特表2000−500260号公報
【特許文献3】特開2004−118316号公報
【特許文献4】特開2005−149191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特開2004−118316号公報に開示のメダル払出し装置について言えば、そのホッパー本体(59)の傾斜面(68)は図7のような横方向(側面)から見た場合にのみ、一定角度の後上がり傾斜状態にあり、その意味から1次元での単純な傾斜面(68)をなすに過ぎない。
【0008】
そのため、ホッパー本体(59)のメダル払出し口からメダル(11)を一旦押し上げるまでの限られた一定距離分において、メダル移送路(30)を図1、2のような一挙に90度という大きい角度での螺旋状に捻り形成しなければ、そのメダル移送路(30)のメダル送出口(32)を前後方向に沿い開口する縦長状態として、左右方向に沿い開口する横長状態のメダル送入口(31)と直交させることができず、メダル(11)を円滑に搬送する必要上、特別な基端側当接案内片(36)並びに先端側当接案内片(37)も不可欠となる。
【0009】
又、上記メダル移送路(30)の移送通路本体(71)を上記した一定距離分に及ぶストレートな円柱状のものから作成しているため、これを図7のような横方向から見て、そのメダル送出口(32)が真上向きとなる滑らかな円弧形に屈曲させることができず、上記ホッパー本体(59)の傾斜面(68)をその傾斜角度のままで延長する単純なストレート形に保つほかはなく、著しい制約を受けるのである。
【0010】
他方、上記特開2005−149191号公報に開示のコイン搬送装置について言えば、そのコイン通路体(B)は図2のような横方向(側面)から見て、円弧形に屈曲しているが、これでもコインホッパー(A)の傾斜面はやはり横方向(側面)から見た場合に限って、一定角度の後上がり傾斜状態にあり、言わば1次元での単純な傾斜面を呈していることに変りがない。
【0011】
しかも、上記コイン通路体(B)を第1通路構成体(2)の捻じれたコイン摺動面(4)と、第2通路構成体(3)の捻じれたコイン摺動面(5)との組み合わせにより、そのコイン入口(6)側の前半部においてコイン(CN)を90度だけ変向し、コイン出口(7)側の後半部においてコイン(CN)を引き続き90度だけ変向して、合計180度だけ表裏反転させるようになっているため、ボール(12)とその押圧付勢用コイルスプリング(13)とから成る特別なコイン姿勢変更手段(11)が不可欠であり、甚だ複雑・特殊化することになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では据付け台のトップ面に取り付けられたメダル収容用ホッパータンクと、
【0013】
そのホッパータンクから落下するメダルを取り込む複数のメダル取り込み穴と、そのメダル取り込み穴の隣り合う相互間から裏向きに突出する複数の円弧弯曲羽根とが、全体的な放射対称分布型に形成されたメダル搬送用穴明き回転ディスクと、
【0014】
上記トップ面の裏面に固定支持された穴明き回転ディスク用駆動モーターと、
【0015】
同じくトップ面の裏側から表面に突出して、メダルを一旦受け止めつつ、そのトップ面のメダル送出口へ誘導するメダル変向誘導ピンとを備え、
【0016】
上記ホッパータンクからメダル取り込み穴へ取り込んだメダルを、その回転ディスクの円弧弯曲羽根により押し進め搬送して、上記メダル変向誘導ピンによりメダル送出口から順次送り出すホッパー型メダル送出装置において、
【0017】
上記据付け台のトップ面を一定角度の後上がり傾斜状態のみならず、一定角度の横上がり傾斜状態に設置して、
【0018】
そのトップ面の後上方に開放するメダル送出口へ連通接続したメダル搬送路のメダル通行トンネルが、そのメダルの導入口から導出口までの一定角度だけ円弧状に屈曲する屈曲部を、上記メダル搬送路における長手中心線の支点廻りに回転する如く、90度未満の一定角度だけ捻り形成することにより、
【0019】
上記メダル通行トンネルの導出口を平面から見て、左右方向に沿い延在する横長の開口状態、前後方向に沿い延在する縦長の開口状態又は斜め方向に沿い延在する開口状態として、その方角を変化させ得るように定めたことを特徴とする。
【0020】
又、請求項1に従属する請求項2では、据付け台のトップ面を、高低差がある左右一対の平行なスタンドにより支持して、その後上がりの傾斜角度と横上がりの傾斜角度を何れも約30度に保つと共に、
【0021】
上記トップ面のメダル送出口へメダル搬送路の基端部を、その後上方から直通状態に差し込み接続したことを特徴とする。
【0022】
更に、請求項1に従属する請求項3では、メダル搬送路が一定角度だけ捻り形成されたメダル通行トンネルの導出口へ、同一平面での任意角度だけ屈曲する屈曲部を備えた延長メダル搬送路を、継ぎ足し状態に連通接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の上記構成によれば、ホッパー型メダル送出装置における据付け台のトップ面が一定角度の後上がり傾斜状態にあるのみならず、一定角度の横上がり傾斜状態にもあって、2次元での傾斜面をなすように設置されているため、メダル搬送路におけるメダルの導出口を平面から見て、左右方向に沿い延在する横長の開口状態、前後方向に沿い延在する縦長の開口状態又は斜め方向に沿い延在する開口状態との何れの方角に保つ場合でも、上記メダル搬送路をその長手中心線の支点廻りに90度未満の小角度に捻り形成すれば足りることとなる。
【0024】
その結果、冒頭に述べた2種の公知発明と比較して、そのメダル搬送路を著しく容易に製作・加工することができるばかりでなく、これに沿ってメダルを緩やかに捻る如く搬送し得るのであり、その内部での目詰まりや咬み込みを生じるおそれもない。
【0025】
その場合、特に請求項2の構成を採用するならば、上記メダル搬送路を約30度だけ捻り形成することにより、そのメダルの導出口を平面から見て横長の開口状態に保つことができる一方、同じくメダル搬送路を約60度だけ捻り形成することにより、そのメダルの導出口をやはり平面から見て、縦長の開口状態に変化させることができるのであり、その何れにあってもメダル搬送路用穴明き回転ディスクによって、ホッパータンクから落下するメダルを据付け台におけるトップ面のメダル送出口から、上記メダル搬送路へ支障なく押し上げ搬送し得ることとなる。
【0026】
更に、請求項3の構成を採用するならば、延長メダル搬送路の継ぎ足し個数やその同一平面において屈曲する屈曲部の任意角度によって、本機のメダル出口を希望する位置と方向性に開口させることが容易となり、その本機への配列設置上制約を受け難い効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、そのホッパー型メダル送出装置を示した図1〜3において、(F)はトップ面(10)と左右一対のスタンド(11)(12)とから枠組み一体化された金属製の据付け台であるが、その両スタンド(11)(12)の上端部が高低差のある平行な後上がり傾斜面とされることにより、これに支持された上記トップ面(10)が図1や図11のような前方(正面)から見て、一定角度(γ)(例えば約30度)だけ横上がりの傾斜状態にあると同時に、図2や図10のような横方向(側面)から見て、一定角度(α)(例えば約30度)だけ後上がりの傾斜状態にある。
【0028】
その意味から上記据付け台(F)のトップ面(10)は、2次元での複雑な傾斜面をなしており、従ってここに設置されるメダル搬送用穴明き回転ディスク(R)も、これと同じ傾斜姿勢状態になる。(13)はこのようなトップ面(10)の角隅部を両スタンド(11)(12)の上端部へ取り付ける複数の固定ビス、(14)は両スタンド(11)(12)の左右相互間に固定横架された所要数の水平なディスタンスバーであり、図例では金属杆から成るが、金属板から成ることもあり得る。
【0029】
尚、図示の実施形態では据付け台(F)をトップ面(天板)(10)とスタンド(脚板)(11)(12)とから組み立てているが、そのトップ面(10)が2次元での傾斜面をなす限り、上記据付け台(F)を金属材と同じ高強度な合成樹脂材から一体成形しても良い。
【0030】
(15)は穴明き回転ディスク用駆動モーターであって、その取付フランジ(16)が上記トップ面(10)のほぼ中央部へ裏側から接合された上、表側から複数の皿ビス(17)によってトップ面(10)へ固定されている。(18)はそのトップ面(10)を貫通するモーター出力軸であり、これに表側から嵌め付けられたメダル搬送用穴明き回転ディスク(R)が、図1〜3や図10、11の矢印方向(A)へ回転駆動されるようになっている。
【0031】
(19)は上記据付け台(F)を形作るトップ面(10)の後上端部に、上向き開放するU字形として切り込まれたメダル搬送路用受け入れ凹欠、(20)(21)はその受け入れ凹欠(19)の内奥端部を挟む位置関係として並列されたメダルガイド板とセパレートアームであり、そのメダルガイド板(20)は上記トップ面(10)の表面へ、固定ビス(22)によって取り付け一体化されている。
【0032】
これに比し、セパレートアーム(21)はトップ面(10)の裏側にあって、その基端部が支点軸(23)によりトップ面(10)へ揺動自在に枢着されており、その中間部に軸支された遊転可能なセパレートローラー(24)が、上記トップ面(10)に切り欠かれた揺動ガイド長穴(25)を通じて、そのトップ面(10)の表面へ張り出し露呈している。(26)は上記セパレートアーム(21)の自由な先端部をなす被検知片である。
【0033】
そして、上記セパレートローラー(24)とメダルガイド板(20)との向かい合う左右相互間が、ホッパー型メダル送出装置のメダル送出口(27)として画定されている。(W)はそのメダル送出口(27)の開口幅、(28)はセパレートアーム(21)の中間部とトップ面(10)の裏面に掛架された引張りコイルバネであり、そのセパレートローラー(24)をメダルガイド板(20)と接近する方向へ弾圧付勢している。
【0034】
(29)は上記トップ面(10)に取り付けられたメダル咬み込み現象の検知センサーであって、好ましくはフォトインタラプターから成り、万一上記メダル送出口(27)にメダル(C)を咬み込んだ時には、これに応じて大きく揺動する被検知片(26)を検知し、上記穴明き回転ディスク(R)の駆動モーター(15)を逆回転させて、その咬み込み現象を自づと解消する。
【0035】
又、(30)は上記メダル送出口(27)の上流側(下側)に位置しつつ、トップ面(10)の裏面に取り付け固定された二又状の板バネであり、その自由な先端部が穴明き回転ディスク(R)の逆回転時におけるメダル乗り越え誘導片(31)の一対として、ほぼ三角形に曲げ起されていると共に、その頂点部に隣接する円錐形のメダル変向誘導ピン(32)も一対として、板バネ(30)の先端部に植え付けられている。
【0036】
このようなメダル変向誘導ピン(32)とメダル乗り越え誘導片(31)は、据付け台(F)のトップ面(10)に対応形成された出没穴(33)を通じて、そのトップ面(10)の表面に突出しており、上記穴明き回転ディスク(R)の回転(正回転)により押し進め搬送されてくる正規のメダル(C)を、そのメダル変向誘導ピン(32)に一旦受け止めて、上記メダル送出口(27)へ変向誘導する一方、上記咬み込んだメダル(C)を同じく回転ディスク(R)の逆回転と相俟って、そのメダル乗り越え誘導片(31)により円滑に取り込めるようになっている。
【0037】
先に一言したメダル搬送用穴明き回転ディスク(R)は図4〜7から明白なように、モーター出力軸(18)への取付ボス(34)だけでなく、その周辺部に全体的な放射対称分布型として開口する複数のメダル取り込み穴(35)と、そのメダル取り込み穴(35)の隣り合う相互間から裏向きに突出する複数の円弧弯曲羽根(36)も具備しており、そのメダル取り込み穴(35)へ取り込んだメダル(C)の1枚づつを円弧弯曲羽根(36)によって押し進め、上記メダル変向誘導ピン(32)を介してメダル送出口(27)へ搬送する。
【0038】
尚、図示省略してあるが、上記円弧弯曲羽根(36)にはメダル変向誘導ピン(32)とメダル乗り越え誘導片(31)の逃がし凹溝が切り欠かれており、これらと干渉しないようになっていることは言うまでもない。
【0039】
(H)はメダル(C)を収容するホッパータンクであって、望ましくは図8、9のような透明の合成樹脂からメダル(C)が自づと落下する基本的な漏斗形に成形されており、その底部に上記穴明き回転ディスク(R)の包囲口筒(37)を備えている。
【0040】
そして、そのホッパータンク(H)の回転ディスク用包囲口筒(37)から一体的に張り出す径大なベースフランジ(38)が上記据付け台(F)のトップ面(10)へ、その何れか一方に植え立てられた複数の係止ピン(39)と、残る他方に開口形成されたキー穴(40)を介して、着脱自在に取り付けられている。(41)はそのホッパータンク(H)への取付状態を固定維持するための圧縮コイルバネであり、上記係止ピン(39)に各々巻き付けられている。
【0041】
そのため、ホッパータンク(H)における回転ディスク用包囲口筒(37)の張り出しベースフランジ(38)も、上記据付け台(F)のトップ面(10)と同じ傾斜設置状態にあるが、これには後上向きの窓口(42)が倒立U字形に切り欠かれており、上記メダルガイド板(20)やセパレートローラー(24)と干渉しないようになっている。
【0042】
(P1)は上記ホッパー型メダル送出装置のメダル送出口(27)へ連通接続されるメダル搬送路であって、細長い帯板状の表ガイドレール(43)と裏ガイドレール(44)とから成り、その何れか一方又は双方が図12、13のような断面チャンネル溝形をなすことによって、その向かい合う相互間にメダル通行トンネル(45)を区画している。(46)は表ガイドレール(43)と裏ガイドレール(44)との組付け固定ビスであり、その多数が両サイド部に点在分布している。
【0043】
但し、上記表ガイドレール(43)又は/及び裏ガイドレール(44)を断面チャンネル溝形として造形する代りに、図12、13と対応する図14の変形実施形態に示す如く、その表ガイドレール(43)と裏ガイドレール(44)との向かい合う相互間へ、別個な左右一対のサイドスペーサー(47)を介挿することにより、メダル通行トンネル(45)を区画形成しても良い。
【0044】
又、図15の別な変形実施形態から明白なように、言わば上記表ガイドレール(43)が裏ガイドレール(44)の張り出しリップ(48)となる断面チャンネル溝形ガイドレール(49)の一体物として、その表向き開放するメダル通行トンネル(45)を画定してもさしつかえなく、この場合にはガイドレール(49)の長手中心線上からメダル通行トンネル(45)へ隆起する凸条(50)を列設することが好ましい。
【0045】
尚、上記表ガイドレール(43)、裏ガイドレール(44)、サイドスペーサー(47)並びにガイドレール(49)の材質としては、ステンレス鋼板やアルミ合金などの金属材のみならず、これと同等の高強度なポリカーボネート樹脂やポリアセタール樹脂(商品名:ジュラコン)、繊維強化樹脂(FRP)などの各種合成樹脂材を採用することができる。
【0046】
このようなメダル搬送路(P1)を形作る裏ガイドレール(44)の基端部には、上記据付け台(F)におけるトップ面(10)のメダル搬送路用受け入れ凹欠(19)と対応合致する大きさ・形状の差込み舌片(51)が張り出し形成されているほか、その差込み舌片(51)の両サイド部から上記トップ面(10)の裏面と面接触する一対の取付座片(52)も連続的に曲げ出されている。
【0047】
そして、その裏ガイドレール(44)の差込み舌片(51)を上記トップ面(10)のメダル搬送路用受け入れ凹欠(19)へ、後上方から差し込むと共に、その左右一対の取付座片(52)を表ガイドレール(43)と一括して上記トップ面(10)へ、複数の固定ビス(53)により取り付け一体化するようになっている。
【0048】
そうすれば、メダル搬送路(P1)の裏ガイドレール(44)と据付け台(F)のトップ面(10)とは面一状態に整合し、その裏ガイドレール(44)と表ガイドレール(43)との向かい合う相互間に区画されたメダル通行トンネル(45)の導入口(45a)が、上記ホッパー型メダル送出装置のメダル送出口(27)と直通する接続状態に固定維持される結果となる。尚、上記メダル搬送路(P1)の表ガイドレール(43)には多数のメダル用透視穴(図示省略)を開口分布させたり、同じく裏ガイドレール(44)に異物の排除用開閉扉(図示省略)を枢着したりしても良い。
【0049】
ホッパー型メダル送出装置における据付け台(F)のトップ面(10)は既述のとおり、一定角度(γ)(先に例示の約30度)だけ横上がりの傾斜状態にあると同時に、一定角度(α)(先に例示の約30度)だけ後上がりの傾斜状態にあるため、そのトップ面(10)へ差し込み接続されることにより、上記メダル送出口(27)と連通するメダル搬送路(P1)も、これと同じ2次元での複雑な傾斜設置状態になる。
【0050】
そして、このようなメダル搬送路(P1)がそのメダル通行トンネル(45)の導入口(45a)から、メダル(C)を一旦垂直の真上方向へ押し上げ搬送するために、一定角度(β1)(例えば約120度)だけ円弧状に屈曲する屈曲部(54)に限っては、図10、11や図16、17のような長手中心線(O−O)の支点廻りに回転する如く捻り形成されているのである。
【0051】
この点、図10、16ではメダル搬送路(P1)の屈曲部(54)が、その一定角度(γ)(先に例示した約30度)の横上がり傾斜状態にあるメダル通行トンネル(45)の導入口(45a)から、左右方向に沿って延在する横長の開口状態となる導出口(45b)までの一定角度(θ)(例えば約30度)だけ捻られた形態を示している。
【0052】
又、別な図11、17ではやはりメダル搬送路(P1)の屈曲部(54)が、同じ一定角度(γ)(約30度)の横上がり傾斜状態にあるメダル通行トンネル(45)の導入口(45a)から、前後方向に沿って延在する縦長の開口状態となる導出口(45b)までの一定角度(θ)(例えば約60度)だけ捻られた形態を示しているが、茲にメダル通行トンネル(45)の導出口(45b)は図16、17のような平面から見て、上記横長の開口状態と縦長の開口状態のみならず、斜め方向に沿って延在する開口状態となることもあり得る。
【0053】
何れにしても、メダル搬送路(P1)はメダル(C)の上流側(下側)と下流側(上側)との異なる平面にある上記屈曲部(54)において、その長手中心線(O−O)の廻りに一定角度(θ)だけ捻り形成されているため、メダル(C)がそのトンネル(45)を通行中、部分的に重なる瓦の如く、一方の潜り込みと他方の乗り上げを生じるおそれはなく、その導入口(45a)から導出口(45b)まで順次円滑に押し上げ搬送されるメダル(C)のエスカレーターを形作ることとなる。
【0054】
その場合、本発明のホッパー型メダル送出装置では既述のとおり、その据付け台(F)のトップ面(10)が一定角度(α)の後上がり傾斜状態にあるのみならず、一定角度(γ)の横上がり傾斜状態にもあって、2次元での傾斜面をなすように設置されているため、そのメダル搬送路(P1)を図16と図17のように、常時90度未満として残る小さな一定角度(θ)だけ捻り形成すれば足り、その捻り形成により上記メダル通行トンネル(45)の導出口(45b)を横長の開口状態、縦長の開口状態又は斜めの開口状態として、希望の方角に変化させることができる。
【0055】
これを換言すれば、メダル通行トンネル(45)の導出口(45b)を本機(M)との関係上、その横長の開口状態、縦長の開口状態又は斜めの開口状態として、何れの方角に保つ場合でも、上記長手中心線(O−O)の支点廻りに90度未満の小角度だけ捻り形成すれば良いのである。
【0056】
しかも、そのメダル搬送路(P1)の長手中心線(O−O)を回転支点とする捻り角度(θ)は、先に例示した約30度や約60度などという90度未満の小角度であるため、このようなメダル搬送路(P1)を容易に製作・加工することができるほか、メダル(C)の搬送作用も著しく円滑に営なまれることとなり、メダル通行トンネル(45)内での目詰まりや咬み込みを生じるおそれがない。
【0057】
そして、図21、22から明白なように、上記メダル搬送路(P1)を形作る裏ガイドレール(44)の先端部は接続舌片(55)として、その表ガイドレール(43)よりも長く張り出し垂立されており、ここへ上方から延長メダル搬送路(P2)の基端部が差し込み接続されるようになっている。
【0058】
つまり、延長メダル搬送路(P2)も上記メダル搬送路(P1)と同じ構成部材から組み付け固定されているが、その基端部では裏ガイドレール(44)が表ガイドレール(43)よりも逆に短く退避しており、しかも別個な裏カバー片(56)の付属一体化によって、差込みスリット(57)が区画形成されている。
【0059】
そのため、その延長メダル搬送路(P2)の差込みスリット(57)を上記メダル搬送路(P1)の接続舌片(55)へ、上方から差し込んだ上、複数の固定ビス(58)によって接続固定することができ、このような継ぎ足しを繰り返せば、遊技機やメダル貸出し機、両替機、その他の各種本機(M)に開口するメダル出口(59)まで、メダル(C)を押し進め搬送することができる。
【0060】
その場合、図10、16のメダル搬送路(P1)は一定角度(θ)の捻り形成により、そのメダル通行トンネル(45)の導出口(45b)が平面から見て、左右方向へ延在する横長の開口状態にあるため、ここへ図23のような途中が同一平面での任意角度(β2)だけ屈曲する屈曲部(60)を備えた延長メダル搬送路(P2)を連通接続することにより、そのホッパー型メダル送出装置を基準として、図23の実線で示すような左方向へ又は同図の鎖線で示すような右方向へ、メダル(C)を搬送できることになる。
【0061】
他方、図11、17のメダル搬送路(P1)は上記据付け台(F)における同じ2次元での傾斜面をなすトップ面(10)から、図10、16と異なる方向への一定角度(θ)だけ捻り形成されており、そのメダル通行トンネル(45)の導出口(45b)が平面から見て、前後方向へ延在する縦長の開口状態にあるため、ここへ図24のような途中が同一平面での任意角度(β2)だけ屈曲する屈曲部(60)を備えた延長メダル搬送路(P2)を連通接続することにより、そのホッパー型メダル送出装置を基準として、別な図24の実線で示すように前方へ又は同図の鎖線で示すように後方へ、メダル(C)を搬送することができる。
【0062】
その結果、上記延長メダル搬送路(P2)の継ぎ足し個数やその屈曲部(60)における任意角度(β2)の選定とも相俟って、上記本機(M)のメダル出口(59)を希望する位置と方向性に開口させることが容易となる。
【0063】
尚、最も末端に位置することとなる延長メダル搬送路(P2)の先端部には、その本機(M)のメダル出口(59)から送り出すメダル(C)のカウンターが付属設置されており、これによってメダル(C)の送り出し枚数をカウントするようになっているが、そのカウンターは図示省略してある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るホッパー型メダル送出装置の据付け台を示す正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の据付け台にメダル搬送路を接続した状態の平面図である。
【図4】穴明き回転ディスクを抽出して示す平面図である。
【図5】図4の底面図である。
【図6】図4の正面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】ホッパータンクを抽出して示す正面図である。
【図9】図8の底面図である。
【図10】メダル搬送路の捻り状態を示す側面図である。
【図11】メダル搬送路の図10と異なる捻り状態を示す正面図である。
【図12】メダル搬送路の断面図である。
【図13】メダル搬送路の変形実施形態を示す断面図である。
【図14】メダル搬送路の別な変形実施形態を示す断面図である。
【図15】メダル搬送路の更に別な変形実施形態を示す断面図である。
【図16】図10と対応する捻り状態の平面図である。
【図17】図11と対応する捻り状態の平面図である。
【図18】メダルの捻り搬送作用を示す説明図である。
【図19】図18の19−19線に沿う矢視説明図である。
【図20】図18の20−20線に沿う矢視説明図である。
【図21】メダル搬送路と延長メダル搬送路との接続過程を示す側面図である。
【図22】メダル搬送路と延長メダル搬送路の接続状態を示す側面図である。
【図23】メダルの送り出し方向を示す説明図である。
【図24】メダルの別な送り出し方向を示す説明図である。
【図25】従来のホッパー型メダル送出装置を示す側面図である。
【図26】図25の正面図である。
【符号の説明】
【0065】
(10)・トップ面
(11)(12)・スタンド
(13)・固定ビス
(14)・ディスタンスバー
(15)・駆動モーター
(16)・取付フランジ
(17)・皿ビス
(18)・モーター出力軸
(19)・メダル搬送路用受け入れ凹欠
(20)・メダルガイド板
(21)・セパレートアーム
(22)・固定ビス
(23)・支点軸
(24)・セパレートローラー
(25)・揺動ガイド長穴
(26)・被検知片
(27)・メダル送出口
(28)・引張りコイルバネ
(29)・検知センサー
(30)・板バネ
(31)・メダル乗り越え誘導片
(32)・メダル変向誘導ピン
(33)・出没穴
(34)・取付ボス
(35)・メダル取り込み穴
(36)・円弧弯曲羽根
(37)・回転ディスク用包囲口筒
(38)・ベースフランジ
(39)・係止ピン
(40)・キー穴
(41)・圧縮コイルバネ
(42)・窓口
(43)・表ガイドレール
(44)・裏ガイドレール
(45)・メダル通行トンネル
(45a)・導入口
(45b)・導出口
(46)・組付け固定ビス
(47)・サイドスペーサー
(48)・リップ
(49)・ガイドレール
(50)・凸条
(51)・差込み舌片
(52)・取付座片
(53)・固定ビス
(54)・屈曲部
(55)・接続舌片
(56)・裏カバー片
(57)・差込みスリット
(58)・固定ビス
(59)・メダル出口
(60)・屈曲部
(C)・メダル
(F)・据付け台
(H)・ホッパータンク
(M)・本機
(P1)・メダル搬送路
(P2)・延長メダル搬送路
(R)・穴明き回転ディスク
(θ)・捻り角度
(α)(γ)・傾斜角度
(β1)(β2)・屈曲角度
(O−O)・長手中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付け台(F)のトップ面(10)に取り付けられたメダル収容用ホッパータンク(H)と、
そのホッパータンク(H)から落下するメダル(C)を取り込む複数のメダル取り込み穴(35)と、そのメダル取り込み穴(35)の隣り合う相互間から裏向きに突出する複数の円弧弯曲羽根(36)とが、全体的な放射対称分布型に形成されたメダル搬送用穴明き回転ディスク(R)と、
上記トップ面(10)の裏面に固定支持された穴明き回転ディスク用駆動モーター(15)と、
同じくトップ面(10)の裏側から表面に突出して、メダル(C)を一旦受け止めつつ、そのトップ面(10)のメダル送出口(27)へ誘導するメダル変向誘導ピン(32)とを備え、
上記ホッパータンク(H)からメダル取り込み穴(35)へ取り込んだメダル(C)を、その回転ディスク(R)の円弧弯曲羽根(36)により押し進め搬送して、上記メダル変向誘導ピン(32)によりメダル送出口(27)から順次送り出すホッパー型メダル送出装置において、
上記据付け台(F)のトップ面(10)を一定角度(α)の後上がり傾斜状態のみならず、一定角度(γ)の横上がり傾斜状態に設置して、
そのトップ面(10)の後上方に開放するメダル送出口(27)へ連通接続したメダル搬送路(P1)のメダル通行トンネル(45)が、そのメダル(C)の導入口(45a)から導出口(45b)までの一定角度(β1)だけ円弧状に屈曲する屈曲部(54)を、上記メダル搬送路(P1)における長手中心線(O−O)の支点廻りに回転する如く、90度未満の一定角度(θ)だけ捻り形成することにより、
上記メダル通行トンネル(45)の導出口(45b)を平面から見て、左右方向に沿い延在する横長の開口状態、前後方向に沿い延在する縦長の開口状態又は斜め方向に沿い延在する開口状態として、その方角を変化させ得るように定めたことを特徴とするホッパー型メダル送出装置のメダル捻り搬送機構。
【請求項2】
据付け台(F)のトップ面(10)を、高低差がある左右一対の平行なスタンド(11)(12)により支持して、その後上がりの傾斜角度(α)と横上がりの傾斜角度(γ)を何れも約30度に保つと共に、
上記トップ面(10)のメダル送出口(27)へメダル搬送路(P1)の基端部を、その後上方から直通状態に差し込み接続したことを特徴とする請求項1記載のホッパー型メダル送出装置のメダル捻り搬送機構。
【請求項3】
メダル搬送路(P1)が一定角度(θ)だけ捻り形成されたメダル通行トンネル(45)の導出口(45b)へ、同一平面での任意角度(β2)だけ屈曲する屈曲部(60)を備えた延長メダル搬送路(P2)を、継ぎ足し状態に連通接続したことを特徴とする請求項1記載のホッパー型メダル送出装置のメダル捻り搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−93547(P2009−93547A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265629(P2007−265629)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506154421)松下金属工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】