説明

ホルムアルデヒドに対する耐性を植物に付与する方法、環境中のホルムアルデヒドを植物に吸収させる方法

本発明により、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現させることにより、カルビン回路を介してホルムアルデヒドを代謝させる経路を有する形質転換植物が与えられた。本発明の形質転換植物は、ホルムアルデヒドに対する耐性を有し、かつ環境中のホルムアルデヒドを有意に低減させることが可能である。よって本発明の形質転換植物を住居やオフィスなどに設置することにより、環境浄化を行うことができると考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ホルムアルデヒド代謝系酵素の遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を該植物に付与することにより、ホルムアルデヒドに対する耐性を植物に付与する方法及び該方法により作製された形質転換植物に関する。更に本発明は、ホルムアルデヒド代謝系酵素の遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化させる能力を該植物に付与することよりなる、環境中のホルムアルデヒドを植物に吸収させる方法及び該方法により作製された形質転換植物に関する。
【背景技術】
ホルムアルデヒドは建築資材などに存在している化学物質であり、大気中においてごく微量であっても人体に影響を及ぼすために、シックハウス症候群などの原因物質とされている。平成15年7月1日の建築基準法の改正により、ホルムアルデヒドを放散する建築資材の使用が禁止されるなど、環境基準の規制は今後より厳しくなることが予想される。そこで環境汚染物質の低減(例えば植物を利用したファイトレメディエーション)の観点から環境中のホルムアルデヒド濃度を低減し、除去する方法が求められていた。
なお、環境中のホルムアルデヒド濃度を生物学的な手段により低減させる技術として、ホルムアルデヒドを分解する微生物などを用いた方法が知られている。しかし、植物の代謝系の酵素を組み込んだ形質転換植物を作製することにより、該植物を用いてホルムアルデヒド濃度を低減させる技術はこれまで知られていない。また植物において遺伝子組み換えを行うことにより、各種ストレスに対する耐性を付与する技術は存在するが、環境浄化という観点から代謝遺伝子系を組み込んでいる例は見出されない。
なお植物を用いた環境浄化の報告の一例として、ナス科、アブラナ科、セリ科、アカザ科、マメ科、キク科、ユキノシタ科の植物に、アグロバクテリウム・リゾゲネス由来のRiプラスミドを導入して誘導される毛状根に、ダイオキシン含有媒体を接触させて、ダイオキシンを毛状根又は再生植物体に吸収・分解させることを特徴とするダイオキシン含有媒体の浄化方法(特開2000−176433号公報)がある。しかしこの報告はホルムアルデヒドに関するものではない。
また植物におけるホルムアルデヒドの代謝に関する知見としては、シロイヌナズ由来のグルタチオン依存性のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(FALDH)の発現量を操作した植物体を作製したことが報告されている(Plant Physiol.2003)。その結果FALDHを過剰発現させた植物体においてはホルムアルデヒドの取り込みが促進されたが、FALDHの発現量を低下させた植物体においてはホルムアルデヒドの取り込みが明らかに低下し、この結果よりFALDHがホルムアルデヒドの解毒に関与していることが示唆される。
ところで微生物において、メタノールなどの炭素数1つの化合物(C1化合物)を炭素現として生育できるメタノール資化性菌の存在が知られている。かかる微生物においてはメタノールから生じるホルムアルデヒドを炭素源として固定することができる代謝経路を備えている。そしてヘキスロース−6−リン酸合成酵素と6−ホスホヘキスロースイソメラーゼはメタノール資化性菌におけるその様な代謝経路に関与している。
それに関して、メタノール資化能を有さない微生物であるBurkholderiacapacia TM1に、メタノール資化性菌由来の上記遺伝子の酵素を導入して過剰発現させたところ、ホルムアルデヒドの取り込みが増加し、バニリン酸を代謝してホルムアルデヒドを生成する代謝経路も活性化していることが報告されている(Appl.Environ Microbiol.2003)。かかる知見は、非メタノール資化性菌においてもヘキスロース−6−リン酸合成酵素/6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの経路により、バニリン酸の分解能を改善することができることを示している。
【発明の開示】
よって本発明の課題は、環境中におけるホルムアルデヒド濃度を低減させるために、ホルムアルデヒドの代謝系を植物などに組み込むことにより該植物においてホルムアルデヒド吸収能を高める手段を提供することである。かかる植物はホルムアルデヒドに対する耐性を有していると考えられるが、植物などにおいてホルムアルデヒド耐性を高める手段を提供することもまた本発明の課題である。また、かかる手法を植物のみならず自家栄養生物一般に拡張することも本発明の課題である。
よって本発明は、カルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を人工的に発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドに対する耐性を付与する方法を提供するものである。かかる形質転換自家栄養生物もまた本発明の範囲内である。
更にカルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドを吸収させる方法を提供するものである。かかる形質転換自家栄養生物もまた本発明の範囲内である。
更に本発明は、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を該植物に付与することよりなる、ホルムアルデヒドに対する耐性を植物に付与する方法を提供するものである。かかる形質転換植物もまた本発明の範囲内である。
更に本発明は、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を該植物に付与することよりなる、環境中のホルムアルデヒドを植物に吸収させる方法を提供するものである。かかる形質転換植物もまた本発明の範囲内である。
本発明により、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現させることにより、カルビン回路を介してホルムアルデヒドを代謝する経路を有する形質転換植物を作製することが可能となった。そのような形質転換植物は、ホルムアルデヒドに対する耐性を有し、かつ環境中のホルムアルデヒドを有意に低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法によりホルムアルデヒド資化能を付与するためのストラテジーを示した図である。
第2図は、実施例で使用したrmpA遺伝子またはrmpB遺伝子を含むDNAコンストラクトの構造を示す図である。
第3図は、rmpA遺伝子を含むプラスミドを構築するストラテジーを示す図である。
第4図は、rmpB遺伝子を含むプラスミドを構築するストラテジーを示す図である。
第5図は、rmpA遺伝子を含むプラスミドのプライマー、トランジットペプチド、rmpA遺伝子の配列を示す図である。
第6図は、rmpB遺伝子を含むプラスミドのプライマー、トランジットペプチド、rmpB遺伝子の配列を示す図である。
第7図は、シロイヌナズナにおいて、形質転換植物とコントロール植物の植物体の新鮮重量に対してホルムアルデヒドが及ぼす影響を示すグラフである。
第8図は、シロイヌナズナにおいて、形質転換植物とコントロール植物におけるHPS活性とPHI活性を示すグラフである。
第9図は、シロイヌナズナにおいて、形質転換植物とコントロール植物における、ホルムアルデヒド耐性とホルムアルデヒドの取り込みを示す写真である。
第10図は、シロイヌナズナにおいて、形質転換植物とコントロール植物における液体ホルムアルデヒドの取り込みの取り込み率を示すグラフである。
第11図は、タバコにおいて、形質転換植物とコントロール植物におけるHPS活性とPHI活性を示すグラフである。
第12図は、タバコにおいて、形質転換植物とコントロール植物における、ホルムアルデヒド耐性とホルムアルデヒドの取り込みを示す写真である。
第13図は、タバコにおいて、形質転換植物とコントロール植物における、ホルムアルデヒドに対する耐性を示す写真である。
第14図は、タバコにおいて、ホルムアルデヒドが形質転換植物とコントロール植物の根の生育に及ぼす影響を示す写真である。
第15図は、rmpA遺伝子が発現している植物系統(A−1)、rmpB遺伝子が発現している植物系統(B−1)、それらの交雑種(A−1×B−1)におけるホルムアルデヒド耐性を示す写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明者らは、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素(Hexulose−phosphate synthase:以下HPSと称する)遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼ(Phosphohexuloisomerase:以下PHIと称する)遺伝子を植物に導入することにより、該植物にホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を付与することができることを見出した。
即ち、有害な化学物質であるであるホルムアルデヒドがカルビン回路に取り込まれて資化されるので、環境中のホルムアルデヒドを該植物により吸収させ、ホルムアルデヒド濃度を低減させることが可能である。言い換えれば、本発明の形質転換植物は、カルビン回路を通じてホルムアルデヒドを代謝する経路を有しているので、環境中のホルムアルデヒドを処理することができる。また、かかる形質転換植物はホルムアルデヒドに対する耐性を有すると考えられる。
本発明のストラテジーを図1に示す。カルビン回路の中間生成物であるリブロース−5−リン酸(Ru5P)が、HPSによって触媒される酵素反応によりホル厶アルデヒド(HCHO)と結合し、3−ヘキスロース−6−リン酸が生成する。そして生成した3−ヘキスロース−6−リン酸はPHIの作用によってフルクトース−6−リン酸(Fru6P)に変換される。Fru6Pはカルビンサイクルの中間生成物でもあるために、結果としてホルムアルデヒドはカルビン回路の中間体に組み込まれてカルビンサイクルの代謝系を介して資化される。
なお図1においてRuBPはリブロース−1.5−ビスリン酸を、FBPはフルクトース−1.6−ビスリン酸を、Xu5Pはキシルロース−5−リン酸を示す。またrmpAはHPSをコードする遺伝子であり、rmpBはPHIをコードする遺伝子であり、これらの遺伝子を含むコンストラクトを構築した。上記のrmpA遺伝子とrmpB遺伝子を含むコンストラクトを構築するためのストラテジーについては、下記の実施例において詳しく述べる。
HPSの遺伝子とPHIの遺伝子が導入されることによりそれらの酵素を過剰発現している形質転換植物は、環境中のホルムアルデヒドの処理能力が高められている。HPSとPHIを発現させることにより、カルビンサイクルの経路を介してホルムアルデヒドを代謝するための新たな代謝経路を与えたという点に本発明の最も顕著な特徴がある。そのような本発明の思想の範囲内で種々の改変を適宜施して本発明を実施することが可能である。
下記の実施例で詳しく述べるように、かかる形質転換植物は空気中のホルムアルデヒドの濃度を低減させるのに有効であった。またかかる形質転換植物はホルムアルデヒドに対して耐性を示した。なお本発明に係る酵素であるHPSとPHIのアミノ酸配列、およびそれらの酵素をコードする遺伝子の塩基配列自身は既知である(accession No.:AB034913)。
環境中のホルムアルデヒド濃度を低減することを可能とする本発明に係る技術は、種々の用途に応用することができると考えられる。例えば、観葉植物、ガーデニング植物や街路樹などにHPSの遺伝子とPHIの遺伝子を導入することができる。かかる遺伝子導入植物は大気、土壌、水等環境中の環境汚染物質の低減(ファイトレメディエーション)に有効である。また、農業、水産業、工業などで用いられた残留ホルムアルデヒドの処理に、本発明に係る形質転換植物は有用である。
本発明の形質転換植物を作製するために、HPSの遺伝子を発現させるためのDNAコンストラクトと、PHIの遺伝子を発現させるためのDNAコンストラクトを構築する。かかるDNAコンストラクトは、HPSをコードする遺伝子又はPHIをコードする遺伝子を当然に有するが、これらの遺伝子の上流に、該遺伝子の植物における発現を促進するためのプロモーター配列、および該遺伝子を目的部位(例えば葉緑体)で発現させるためのトランジットペプチド、更には薬剤耐性によって形質転換体を選抜するための薬剤耐性遺伝子も更に有する。本発明の方法は光合成に関連しているカルビン回路を利用したものであるので、HPSとPHIを葉緑体において発現させることは本発明において好ましい態様である。
使用するプロモーター配列は特に限定されるものではないが、下記の実施例で使用したPrbcSは、作用が強力であり且つ光合成と相関性が高いために特に好適である。しかし、その他の本技術分野で汎用されている種々のプロモーターを使用することもできる。また使用する薬剤耐性遺伝子も特に限定されるものではないが、下記の実施例で使用したゲンタマイシン耐性遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子は好適であり、その他本技術分野で汎用されている種々の薬剤耐性遺伝子を使用することができる。なおこれらの薬剤耐性遺伝子は形質転換体の選抜については有効であるが、抗生物質耐性の拡散は社会的には好ましくないことを考えると、形質転換体が市場におかれる段階においては薬剤耐性が除去されていることが望ましいと考えられる。
上記のDNAコンストラクトを、植物の芽やカルスに導入することにより形質転換を行う。形質転換の方法としては、アグロバクテリウム法、プロトプラスト法、PEG法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などの種々の方法が知られている。好適な実施態様として下記の実施例においてはアグロバクテリウムEHA101pMP90を用いているが、必要に応じて種々の遺伝子導入方法を適宜用いることができる。そして薬剤耐性を指標として遺伝子が導入された形質転換体を選抜することにより、形質転換植物を得ることができる。また一般的に外来遺伝子の発現は高くはないが、これらのコンストラクトに挿入されているプロモーターの作用のためにHPSをコードする遺伝子とPHIをコードする遺伝子の発現は増強され、その効果を発揮することができる。
ここで遺伝子を導入する対象の植物は特に限定されるものではない。下記の実施例においては代表的な植物としてシロイヌナズナとタバコに酵素の遺伝子を導入しているが、他の多くの植物にもHPSをコードする遺伝子とPHIをコードする遺伝子を同様に導入し、ホルムアルデヒドの除去・吸収能を付与できることは当業者ならば理解できることである。好適な植物にはナス科の植物やアブラナ科の植物、その他種々の双子葉植物が含まれるが、植物の種類はそれに限定されるものではなく、例えば単子葉植物にも理論的には本発明の方法を適用できるものと考えられる。
具体的な植物の例としては、観葉植物やガーデニング植物としては、ポトス、パキラ、ベンジャミン、コンシンネ、クレストゴールド、サンスベリアなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。また街路樹としては、サクラ、ケヤキ、イチョウ、プラタナス、ユリノキ、ポプラ、カエデなどを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
また本発明の方法は植物のみならず、カルビン回路を有する自家栄養生物一般に適用可能であると思われる。ここで自家栄養生物とは光合成又はそれに類似する反応を行う機能を有し、HOとCOから有機物を作ることができる生物であって、従属栄養生物を除外する意味である。具体的な例としては、植物一般の他に、光合成細菌、ラン藻(シアノバクテリア)や藻類などが挙げられる。これらの自家栄養生物はカルビン回路を有するために、同様のストラテジーを用いてこれらの生物においてホルムアルデヒド資化能を付与することも可能である。
ホルムアルデヒドをカルビンサイクルの回路を通じて代謝するための具体的な手段としては、下記の実施例で行っているように、HPSをコードする遺伝子とPHIをコードする遺伝子を植物に導入することが好ましい。しかし、その手段は上記の酵素をコードする遺伝子を導入することに必ずしも限定されるものではない。
例えばメタノール資化性酵母はジヒドロアセトンシンターゼ(DHAS)及びジヒドロアセトンキナーゼを有しており、酵母由来のこれらの酵素の働きによってホルムアルデヒドをキシロース5−リン酸に固定してジヒドロキシアセトン3−リン酸と3−ホスホグリセリン酸を生成する。この反応において基質・生成物共にカルビン回路の中間体とほぼ共通であり、このような知見も本発明を実施するにあたって利用できるものと考えられる。
即ち、使用することができる他の酵素遺伝子として、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS1)をコードする遺伝子とジヒドロキシアセトンキナーゼをコードする遺伝子(DAK1)の組み合わせを採用することも可能である。上記において述べた様に、この場合には、ジヒドロアセトンシンターゼにより、キシロース5−リン酸とホルムアルデヒドの反応が触媒されて3−ホスホグリセリン酸とジヒドロキシアセトンが生成し、後者の生成物はジヒドロキシアセトンキナーゼ(DHAK)による酵素反応の触媒によりジヒドロキシアセトン3−リン酸に変換され、よってカルビン回路を介して代謝系に組み込まれる。かかる態様も本発明において実施することが可能である。
このような態様も本発明の範囲内であり、本願明細書において「ホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子」とは、HPSをコードする遺伝子とPHIをコードする遺伝子のみならず、例えば上記において述べたような、ホルムアルデヒドを代謝してカルビン回路に組み込むのに有用な他の酵素遺伝子も含む意味である。
下記の実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
[実施例1]シロイヌナズナを用いた解析
(コンストラクトの構築)
シロイヌナズナにおいてHPSとPHIを発現させるためのベクターとして、HPSをコードする遺伝子(rmpA)とPHIをコードする遺伝子(rmpB)を含むDNAコンストラクトを作製した。作製した2つのDNAコンストラクトの構造を図2に示す。なお、これらのDNAコンストラクトに、HPSとPHIをコードする遺伝子の他に、HPSとPHIを葉緑体において発現させるためのトランジットペプチドと、形質転換体を選抜するために薬剤耐性遺伝子(カナマイシン耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺伝子)も挿入した。
そこで、rmpA遺伝子を含むHPS発現用のコンストラクトと、rmpB遺伝子を含むPHI発現用のコンストラクトを作製するためのストラテジーを図3と図4に示す。そのrmpA遺伝子とrmpB遺伝子はマイコバクテリウム属のメタノール資化性菌であるMycobacterium gastri MB19の同一オペロン内に位置している。なお本菌は原核生物であり、本菌のプロモーターは植物内においては作動しない。そのためにrmpA遺伝子とrmpB遺伝子のコード領域のみを採って、形質転換用の植物プロモーターを含むキメラ遺伝子を構築した。
PCRに1よりrmpA遺伝子を増幅し(rmpA sense GCTTGCAAGGGGTAACCATGACG:配列番号1、rm11pA antisense:TCTAGAGGATCAGGCGATCGC:配列番号2)、SphIとBamHIによってPCR生成物とpUC−Rbcs−3Cを切断した。単離した624bpのrmpA遺伝子と4.6kbのベクター断片を単離し、該ベクターにrmpA遺伝子を結合し、pUC−RbcS−rmpAプラスミドを作製した。HindIIIとBamHIによってpUC−RbcS−rmpAとバイナリーベクターpPZP221を消化し、2.4kbのpRbcS−rmpAインサートと10kbのベクターバンドpPZP211を単離し、それらを結合させてpPZP221rmpAプラスミドを作製した。
なおトランジットペプチドの配列として使用した部分はaccession No:X05986の塩基番号298−468であり、rmpA遺伝子の配列として使用した部分はaccession No:AB034913の塩基番号2518−2150である。このコンストラクトのプライマー、トランジットペプチド、rmpA遺伝子の配列をまとめたものを図5に示す。
またPCRによりrmpB遺伝子を増幅し(rmpB sense GCTTGCAAGGGGTAACCATGACG:配列番号3、rmpB antisense:TCTAGATCCGGGTCACTCGAG:配列番号4)、SphIとXbaIによってPCR生成物とpUC−Rbcs−3Cを切断した。単離した600bpのrmpB遺伝子と4.6kbのベクター断片を単離し、該ベクターにrmpB遺伝子を結合し、pUC−RbcS−rmpBプラスミドを作製した。HindIIIとXbaIによってpUC−RbcS−rmpBとバイナリーベクターpPZP221を消化し、2.4kbのpRbcS−rmpBインサートと10kbのベクターバンドpPZP221を単離し、それらを結合させてpPZP221rmpBプラスミドを作製した。
なおトランジットペプチドの配列として使用した部分はaccession No:X05986の塩基番号298−468であり、rmpB遺伝子の配列として使用した部分はaccession No:AB034913の塩基番号1845−2456である。このコンストラクトのプライマー、トランジットペプチド、rmpB遺伝子の配列をまとめたものを図6に示す。
(形質転換体の選抜)
このようにして構築したプラスミドにより、アグロバクテリウム法を用いてシロイヌナズナを形質転換した。具体的にはシロイヌナズナrmpAで形質転換した後に形質転換体をrmpAと共に導入したカナマイシン耐性により選抜し、更に、rmpBで形質転換した後に形質転換体をrmpBと共に導入したゲンタマイシン耐性により選抜することにより、rmpAとrmpBの両者の遺伝子が導入された形質転換体を選抜した。あるいは逆に、シロイヌナズナrmpBで形質転換した後に形質転換体をrmpBと共に導入したゲンタマイシン耐性により選抜し、更に、rmpAで形質転換した後に形質転換体をrmpAと共に導入したカナマイシン耐性により選抜することにより、rmpAとrmpBの両者のコンストラクトが導入された形質転換体を選抜した。
(導入された遺伝子の確認)
なおこのようにして作製したシロイヌナズナの形質転換植物について、RT−PCRとノザン解析により遺伝子が導入されているか検討を行った。その結果、rmpA遺伝子とrmpB遺伝子を含むコンストラクトで処理することにより、両者の遺伝子が導入された形質転換植物が得られていることが確認された。更にHPSに対する抗体を用いてウエスタン解析により導入された遺伝子の酵素蛋白質が発現しているか確認をしたところ、rmpA遺伝子に由来したHPS蛋白質の発現が確認された。
(ホルムアルデヒドに対する耐性)
これらの遺伝子(rmpA、rmpB)を導入した形質転換植物とコントロール植物におけるホルムアルデヒド耐性を、植物体の新鮮重量により検討した(図7)。抗生物質による選抜の後に抗生物質を含まない新たな寒天培地に苗を移し1週間生育させた。その後、ホルムアルデヒド(37%)を100mlあたり50μl添加した寒天培地に移し、4−5週間生育させた後に新鮮重量を測定した。図7において上段はホルムアルデヒドを添加していない寒天培地における結果を、中段はホルムアルデヒドを50μl添加した寒天培地における結果を、下段はホルムアルデヒドを80μl添加した寒天培地における結果を、それぞれ示す。また図7においてAB1からAB5はrmpA遺伝子とrmpB遺伝子の両者が導入された形質転換植物を、CK1からCK5はコントロール植物を示す。
その結果、ホルムアルデヒドを含まない環境下における植物体の新鮮重量は、コントロール群(CK1−CK5)と両酵素の遺伝子が導入された形質転換体群(AB1−AB5)の間で差が見られなかった(上段)。一方、ホルムアルデヒドを含む環境下では、形質転換体(AB1−AB5)は良く生育したが、コントロール(CK1−CK5)では生育が阻害され、植物体の新鮮重量に差が認められた(中段、下段)。この結果は、形質転換体はホルムアルデヒドに耐性を有していることを示している。
(酵素活性の測定)
HPSとPHIの酵素活性を30℃で分光学的に測定した。具体的にはリボース5−リン酸を出発基質とし、HPSやPHIによる酵素反応を介してホルムアルデヒドに依存的に生成するNADPHを340nmで検出することにより、酵素活性を測定した。即ち、30℃で2−3分プレインキュベートを行い、蛋白抽出物とホルムアルデヒド(50mM)50μlを添加して下記の酵素反応溶液中で酵素反応を行った。酵素反応溶液1mlの組成は以下の通りである。
KPB(カリウムリン酸緩衝液),pH7.5 50mM
MgCl 2.5mM
Ri5P(リボース−5リン酸) 2.5mM
HCHO(ホルムアルデヒド) 2.5mM
NADP 2.5mM
PRI(ホスホリボイソメラーゼ) 10U/ml
PGI(ホスホグルコイソメラーゼ) 10U/ml
GDH(グルコースホスフェートデヒドロゲナーゼ) 10U/ml
HPS(3−ヘキスロース−6−ホスフェイト合成酵素) 10U/ml(植物蛋白
抽出物0.05ml)
PHI(6−ホスホヘキスロースイソメラーゼ) 10U/ml(植物蛋白
抽出物0.05ml)
dHO 0.55ml
なおこの反応液において、HPSの酵素活性を測定する際にはオーセンティックなPHIを使用し、PHIの酵素活性を測定する際にはオーセンティックなHPSを使用した。
このようにして測定したHPS活性とPHI活性を図8に示す(図8左:HPS活性、右:PHI活性)。なお図8の上において酵素活性のアッセイの原理を示す。図8に見られるように、rmpA遺伝子とrmpB遺伝子の両方が導入されているAB1とAB2においては両者の酵素活性が検出された。またrmpA遺伝子が導入されているA1においてはHPS活性のみが、rmpB遺伝子が導入されているA2においてはPHI活性のみが検出された。
(ホルムアルデヒドの取り込み)
シロイヌナズナの苗(各群20個体)を植物箱(370ml)の中に移し、ボルティング段階に達するまで3−4週間生育させた。その後50μlのホルムアルデヒド(37%)を500μlのマイクロチューブに添加して植物箱の角に置いた。3−4週間後に植物箱のカバーを、中央に孔を有している新しいものに交換した。ホルムアルデヒド検出器をその孔に設置し、ホルムアルデヒドの取り込みを検出した。検知菅を設置して3.5時間後に測定を停止し、写真を撮影した。
形質転換体であるAB1(左側)とAB2(中央)、更にコントロール(HPSの遺伝子とPHIの遺伝子を含まない空のベクターで形質転換した植物体)であるCK(右側)における結果を図9に示す。図9の写真より、形質転換体において苗は良く生育しているが、コントロールにおいては生育が阻害されており、形質転換体はホルムアルデヒド耐性を示した。また3.5時間後におけるホルムアルデヒド濃度は、AB1とAB2については4ppm程度であった。一方コントロール植物については20ppm以上であり、AB1とAB2においては空気中のホルムアルデヒドが吸収されていることが確認された。なお検知管により検出される量は検出時間に比例するために、実際のホルムアルデヒド濃度は検知管の検出値を検出時間で割った値である。
更に水溶液中のホルムアルデヒドの取り込みについて検討を行った。抗生物質で選抜を行った後に、抗生物質を含まないMS寒天培地上で苗を2週間生育させた。植物体0.3gを10mlのホルムアルデヒド溶液に浸し、30時間後に溶液中のホルムアルデヒド濃度を測定した。
その結果、コントロール(CK:左カラム)と比較して、形質転換体(AB:右カラム)においては顕著にホルムアルデヒドが減少していることが観察された(図10)。なお図10において縦軸はホルムアルデヒドの残存率を示す。ことにホルムアルデヒドの初期濃度が5mMである場合において、形質転換体におけるホルムアルデヒドの残存率は約10%まで低下し、コントロールと比較して顕著な相違が認められた。この結果もまた、形質転換体がホルムアルデヒドを取り込んでいることを示している。
[実施例2]タバコを用いた解析
(遺伝子の導入およびその確認)
シロイヌナズナにおける実験と同様に、rmpA遺伝子とrmpB遺伝子をタバコに導入して形質転換したタバコを作製した。PCR、ノザン解析により検討を行ったところ、rmpA遺伝子とrmpB遺伝子を導入した形質転換植物について、両者の遺伝子の存在が確認された。更にウエスタン解析により導入された遺伝子による蛋白質の発現を確認したところ、rmpA遺伝子に由来してHPS蛋白質が発現していることが確認された。
(酵素活性の測定)
作製した形質転換タバコ植物におけるHPSとPHIの酵素活性を図11に示す(上:HPS活性、下:PHI活性)。図11に見られるように、rmpA遺伝子とrmpB遺伝子が両方とも導入されているAB2、AB5、AB6において、HPSとPHIの両者の酵素活性が検出された。また野生型(WT)とコントロール(CK)においてはHPSとPHIの酵素活性は低かった。
(ホルムアルデヒドの取り込み)
形質転換したタバコを差し芽により増殖させ、抗生物質を含まない寒天培地中に移植して根を成長させた。2週間後に100μlのホルムアルデヒド(37%)を植物箱(370ml)の中に入れて空気中に消散させた。2カ月後にシロイヌナズナの場合と同様にホルムアルデヒド検出器を設置し、設置4時間後に測定を停止し、写真を撮影した。
形質転換体であるAB5(左側)と、コントロールであるCK(右側)における結果を図12に示す。図12の写真より、形質転換体において苗は良く生育しているが、コントロールにおいては生育が阻害されており、形質転換体はホルムアルデヒド耐性を示した。また検知菅を設置してから3.5時間後における発色の程度から、植物箱内のホルムアルデヒド濃度はAB5については3ppm程度であった。一方コントロール植物については20ppm以上であり、その差から、AB5においては空気中のホルムアルデヒドが吸収されていることが確認された。
(ホルムアルデヒドに対する耐性)
抗生物質による選抜を行った後に、形質転換したタバコの芽を抗生物質を含まないMS培地上に移し、1週間生育させた。10μlの37%ホルムアルデヒドをマイクロチューブに添加して植物箱の中に入れた。2週間後、10μlのホルムアルデヒドを同じマイクロチューブ中に再補給した。更に2週間後にこの操作繰り返した。4週間植物を生育した後に写真を撮影した(図13)。図13において上段は形質転換体を、下段は野生型植物又はコントロール植物を示す。その結果、形質転換体(AB7,AB8)においてはホルムアルデヒト処理(図13:上段の中央と右側)による影響は認められず、非処理群(図13:上段の左側)と差がなかった。一方、野生型(WT)とコントロール(CK)においてはホルムアルデヒト処理により、非処理群との比較において明らかに成長阻害が認められた(図13:下段の中央と右側)。
(タバコ植物における根の成長に対するホルムアルデヒドの影響)
抗生物質により選抜を行った後に、形質転換した芽を抗生物質を含まないMS培地に移して1週間生育させた。ホルムアルデヒドをマイクロチューブに添加して植物箱に入れた。2週間後に植物を取り出して、ホルムアルデヒドが根の生育に及ぼす影響を検討した(図14)。その結果、形質転換植物(AB5)においては2μlのホルムアルデヒド(37%)処理は殆ど根の成長に影響せず、10μlのホルムアルデヒド(37%)処理においても根の成長が認められた(図14:上段)。一方コントロール植物(CK)においては、2μlのホルムアルデヒド(37%)処理により、根の成長は明らかに抑制された(図14:下段)。
(植物系統の交雑の検討)
rmpA遺伝子が発現している植物系統(A−1)と、rmpB遺伝子が発現している植物系統(B−1)を掛け合わせる交雑(A−1×B−1)を行い、その種子を採取した。抗生物質を含まない寒天培地上で3週間生育を行い、4週間後に写真を撮影した(図15)。左側に20μlのホルムアルデヒドで処理したサンプルを、右側にホルムアルデヒド処理を行わなかったサンプルを示す。
その結果、HPSのみが発現しているA−1(図15:上段)とPHIのみが発現しているB−1(図15:中段)においては、20μlのホルムアルデヒド(37%)処理により生育が阻害された。一方両酵素が発現していると思われるA−1×B−1(図15:下段)においては、ホルムアルデヒド処理により生育は影響されなかった。よってホルムアルデヒド耐性を獲得するには、HPSとPHIの両者が発現していることを要することが確認された。
【産業上の利用可能性】
本発明により、ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現させることにより、カルビン回路を介してホルムアルデヒドを代謝させる経路を有する形質転換植物が与えられた。本発明の形質転換植物は、ホルムアルデヒドに対する耐性を有し、かつ環境中のホルムアルデヒドを有意に低減させることが可能である。よって本発明の形質転換植物を住居やオフィスなどに設置することにより、環境浄化を行うことができると考えられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドに対する耐性を付与する方法。
【請求項2】
カルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドに対する耐性を付与された、ホルムアルデヒドに対する耐性を有する形質転換自家栄養生物。
【請求項3】
カルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドを吸収させる方法。
【請求項4】
カルビン回路を有する自家栄養生物においてホルムアルデヒドの代謝酵素系の遺伝子を導入して該代謝酵素系を発現せしめ、よって該自家栄養生物にホルムアルデヒドに対する耐性を付与された、ホルムアルデヒド吸収能を有する形質転換自家栄養生物。
【請求項5】
ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を該植物に付与することよりなる、ホルムアルデヒドに対する耐性を植物に付与する方法。
【請求項6】
前記ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の作用によりリブリース−5−リン酸とホルムアルデヒドから3−ヘキスロース−6−リン酸を生成し、更に前記6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの作用により3−ヘキスロース−6−リン酸をフルクトース−6−リン酸に変換することよりなる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を付与された、ホルムアルデヒドに対する耐性を有する形質転換植物。
【請求項8】
前記植物が双子葉植物である、請求項7記載の形質転換植物。
【請求項9】
前記植物がナス科植物である、請求項8記載の形質転換植物。
【請求項10】
前記植物がタバコである、請求項9記載の形質転換植物。
【請求項11】
前記植物がアブラナ科植物である、請求項8記載の形質転換植物。
【請求項12】
前記植物がシロイヌナズナである、請求項12記載の形質転換植物。
【請求項13】
ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を該植物に付与することよりなる、環境中のホルムアルデヒドを植物に吸収させる方法。
【請求項14】
前記ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の作用によりリブリース−5−リン酸とホルムアルデヒドから3−ヘキスロース−6−リン酸を生成し、更に前記6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの作用により3−ヘキスロース−6−リン酸をフルクトース−6−リン酸に変換することよりなる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ヘキスロース−6−リン酸合成酵素の遺伝子及び6−ホスホヘキスロースイソメラーゼの遺伝子を植物に導入して葉緑体内において発現せしめ、よってホルムアルデヒドをカルビン回路の中間体に資化する能力を付与された、ホルムアルデヒド吸収能を有する形質転換植物。
【請求項16】
前記植物が双子葉植物である、請求項15記載の形質転換植物。
【請求項17】
前記植物がナス科植物である、請求項16記載の形質転換植物。
【請求項18】
前記植物がタバコである、請求項17記載の形質転換植物。
【請求項19】
前記植物がアブラナ科植物である、請求項16記載の形質転換植物。
【請求項20】
前記植物がシロイヌナズナである、請求項19記載の形質転換植物。

【国際公開番号】WO2005/054474
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516046(P2005−516046)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018665
【国際出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】