説明

ホース接続用アダプター

【課題】ホース同士を連結した状態でホースを巻き取りやすいように形状を工夫したホース接続用アダプターを提供することを課題とする。
【解決手段】ホース接続用アダプター1は、連結軸部3を介して一体に固定される2つの接続軸部2、2を有し、各接続軸部2は、それぞれの先端部がホース11の先端部に取り付けられるコネクター10を軸心回りに回転自在に装着可能であって、両接続軸部2は、それらの軸心が互いにねじれの位置にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本のホース先端部に取り付けられるコネクターの間に介在させて、両ホースを相互に連結するホース接続用アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
散水等に用いられるホースリールにおいては、一般に散水側ホースと水道側ホースが存在する。
ホースリールにホースを収納する際には、散水側ホースをドラムに巻き取って収納するが、水道側ホースも同様に巻き取って収納できれば便利である。そこで、散水側ホースと水道側ホースとの先端部に設けられた各コネクターを連結することのできるホース接続用アダプターが用いられ、散水側ホースと水道側ホースとを連結して巻き取っていた。
【0003】
また、ホースリールに備え付けられた既存のホースのみでは散水場所への長さが足りず、延長用ホースを繋げてホースを延長する場合にも、同様にそれぞれのホース先端部に設けられた各継手部材をホース接続用アダプターで連結していた。
【0004】
従来このようなホース接続用アダプターでは、ホース先端のコネクターに差し込まれる接続部を両端に設けた直線形状のものが多く用いられていた。
また、ガスホースの分野において、特許文献1には、ホースの先端部とコネクターとの間にくの字状に屈曲させた管材を介装し、この管材を取り付けるコネクターの取付口部分もくの字状に屈曲させて、この管材をコネクターに差し込み、抜け止め用のピンで係止している。これにより、ホースとコネクターとを回転自在に接続して、角度を直線状から直交状まで自在に選択できる発明が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−276872号公報
【0006】
従来のように直線形状のホース接続用アダプターでは、散水側ホースを水道側ホースに連結して巻き取る際に、ホース接続用アダプターがホースリールのホースの出入口の縁部分に引っ掛かって巻き取りの障害となることがあった。
また、特許文献1に記載のコネクターをホースに取り付けて、直線形状のホース接続用アダプターで連結した場合には、散水側ホースと水道側ホースとをホースリールに収納しやすいよう屈曲させて連結することができる。しかし、特許文献1のコネクターを屋外用の散水ホースに用いた場合、ピンを貫通させるための差込孔などの隙間から小石や砂などの異物が入り込み、回転できなくなる事態が起こり得る。この状態で、散水側ホースと水道側ホースとの連結の角度がドラムの中心方向に凸となると、各コネクターやホース接続用アダプターがホースリールのホースの出入口の縁部分に引っ掛かりやすくなり、かえってホースの巻き取りの障害となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ホース同士を連結した状態でホースを巻き取りやすいように形状を工夫したホース接続用アダプターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、連結軸部を介して一体に固定される2つの接続軸部を有し、各接続軸部は、それぞれの先端部がホースの先端部に取り付けられるコネクターを軸心回りに回転自在に装着可能であって、両接続軸部は、それらの軸心が互いにねじれの位置にあることを特徴とするホース接続用アダプターである。
【0009】
第2の発明は、一方の上記接続軸部の先端部から上記連結軸部を経由して他方の上記接続軸部の先端部まで貫通する連通孔を内部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、ホース同士を連結してホースリールに巻き取る際に、仮にホース接続用アダプターがホースリールの中心方向に凸に傾いても、各接続軸部は、それぞれの先端部がホースの先端部に取り付けられるコネクターを軸心回りに回転自在に装着可能であって、両接続軸部は、それらの軸心が互いにねじれの位置にあることにより、ホースの重みによってホース接続用アダプターを軸心周りに回転させるモーメントが発生して、ホースが自動的に回転する。
これにより、ホース接続用アダプターが、ホースリールのドラムの中心方向に凹の姿勢でホースとともに巻き取られるため、ホースリールのホース出入口の縁部分に引っ掛かることなくスムーズに収納することができ、ホースリールのドラムに沿って円弧状に収納することができる。
【0011】
第2の発明によれば、一方の上記接続軸部の先端部から上記連結軸部を経由して他方の上記接続軸部の先端部まで貫通する連通孔を内部に設けたことにより、ホース同士を連結させた状態での通水が可能となるため、ホースの収納時だけでなく散水時にも、延長用ホースを連結するホース接続用アダプターとして用いることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るホース接続用アダプター1について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るホース接続用アダプター1を示す図であり、(a)は右側方図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図である。また、図2は同ホース接続用アダプターの断面図であり、(a)は図1中のB−B線断面図、(b)は図1中のA−A線断面図、(c)は図1中のC−C線断面図である。また、図1中の破線は接続軸部2の軸心を表している。
【0013】
本発明の実施形態に係るホース接続用アダプター1は、2つの接続軸部2と、それらの基端部を繋ぐ連結軸部3とからなり、全体として屈曲形状に形成されている。
接続軸部2および連結軸部3は、それぞれ縦板と横板とからなる断面十字形に成形されている。
【0014】
各接続軸部2の基端部と連結軸部3の両端との間には、各接続軸部2の軸心に垂直に取り付けられた鍔状の第一係止部材4をそれぞれ介在させており、ホース接続用アダプター1の両端からホース11先端のコネクター10を装着した際に、第一係止部材4はコネクター10の先端面に当接して係止する役割を果たす(図10)。
各接続軸部2の基端部では、縦板2aおよび横板2bが幅広になっており、各第一係止部材4付近の屈曲部分の強度を向上させている。
【0015】
また、各接続軸部2の先端部には、その軸心に対して垂直に取り付けられた鍔状の第二係止部材5を設けている。ホース接続用アダプター1の両端からコネクター10を装着した際には、この第二係止部材5はコネクター10の内部に挿入されて、コネクター10内方に突出する突出片15によって係止され、ホース接続用アダプター1の抜け止めの役割を果たす(図10)。このため、第二係止部材5は、第一係止部材4よりも小径に設定される。
【0016】
両接続軸部2は、連結軸部3の横板3bに対し同じ勾配で下方に屈曲している(図1(c))。しかし、両接続軸部2の軸心が互いに幅方向にずれて連結軸部3に取り付けられており(図1(b)、(d))、軸線が交わることはない。このように両接続軸部2の軸心は、互いに交わることがなく、かつ、同一平面上に存在しないねじれの位置の関係にある。
【0017】
連結軸部3の縦板3aは、水平な横板3bに対し垂直に立設されており(図1(a)、図2(a))、一方の接続軸部2の基端部から他方の接続軸部2の基端部へと傾斜して設けられている(図1(b)、(d))。
この縦板3aの上部中央には、紐等を通すことができる孔3cが穿設され、ホースリール等の保管場所にぶら下げて保管できるようになっている(図1(c)、図2(b))。
【0018】
ホース11の先端部に同軸的に取り付けられているコネクター10は、図8から図10に示すように、ホース11と連通して内部に水を連通させる内筒12の周りに、大径の外筒13を配置している。この外筒13は、コネクター10内部のスプリング14によって先端方向に付勢されており、通常は外筒13の先端が内筒12の先端と揃った位置で係止されているが(図8)、手動によりスライドして後退させることができる。
【0019】
内筒12には、周上等間隔に4つの孔が穿設されており、それぞれ4つの突出片15が収められている(図8、図10)。図10に示すように、この突出片15は、内筒12の周方向の軸部15aにて回動可能に内筒12に担持されて、先端側は内筒12の内方に向かって曲折している。
【0020】
外筒13がコネクター10の先端に位置しているときには、各突出片15は外筒13によって内筒12の内方に向けて押し込まれており、内筒12の内周面から中心方向に突出した状態で強固に固定されている(図10)。一方、外筒13を突出片15よりもスライドして後退させたときには、突出片15に外筒13からの力が加わらないため、内筒12の中心から径方向に押して回動させることで、突出片15を内筒12の内周面まで押し出すことができる。
【0021】
このようなホース接続用アダプター1とコネクター10との着脱について説明する。
ホース接続用アダプター1をコネクター10に装着するには、コネクター10の外筒13を後退させた状態で、ホース接続用アダプター1の接続軸部2をコネクター10の内筒12へ挿入する。その際、接続軸部2先端の第二係止部材5は、突出片15を容易に回動させて内筒12の径方向外方へ押し出し、突出片15よりもホース11の奥側に進入する。
【0022】
次いでコネクター10の外筒13を解放すると、スプリング14の付勢力により外筒13がコネクター10先端側へ戻される。この外筒13により突出片15が押し込まれ、内筒12の内周面から中心方向に突出した状態で強固に固定される。この状態では、ホース接続用アダプター1が抜け出る方向に動いても、第二係止部材5が突出片15に引っ掛かるため、ホース接続用アダプター1がコネクター10から外れることがない(図10)。
【0023】
このとき、ホース接続用アダプター1は、第一係止部材4がコネクター10先端面に当接する位置より深く進入することはできず、第二係止部材5が突出片15に抜け止めされる位置よりも浅く引き戻すことはできないが、その中間の位置ではコネクター10に拘束されることなく、コネクター10に対して軸回りに回転することができる。
【0024】
ホース接続用アダプター1をコネクター10から離脱させるには、コネクター10の外筒13を後退させて、外筒13による突出片15の固定状態を解除する。この状態でホース接続用アダプター1を引き戻すと、第二係止部材5が突出片15を径方向外方へ押し出しながらコネクター10先端側へ移動し、コネクター10からホース接続用アダプター1を抜き出すことができる。
【0025】
先端にコネクター10を取り付けた2本のホース11にホース接続用アダプター1の各接続軸部2をそれぞれ挿入して装着すると、2本のホース11を連結することができる(図9、図10)。
以下、ホース接続用アダプター1を用いて、ホースリール20の散水側ホース21の先端に水道側ホース22を連結し、ホースリール20に収納する場合について説明する。
【0026】
図3から図7に示すように、ホースリール20は、円筒状のドラム23とケース24とを有し、ホースを巻き取るドラム23が両端にてケース24に回転可能に支持されてなる。ドラム23の両端の一方には、取水口25がケース24から側方に突出して設けられている。この取水口25は、ドラム23の外周面に設けられた排水口(図示せず)に連通しており、取水口25に取り込んだ水がドラム23の内部を通過して排水口から放出できるようになっている。また、ケース24の正面にはホースの出し入れを行うホース出入口24aが穿設されている。
【0027】
ホースリール20に用いる水道側ホース22は、一端を水道の蛇口(図示せず)に接続され、他端をホースリール20側面の取水口25に接続されて、散水時には水道からホースリール20に水を供給する。散水側ホース21は、一端をドラム23外周面の排水口に接続され、他端には散水用ノズル(図示せず)を取り付けて散水する。この散水側ホース21は、収納時にはホースリール20のドラム23に巻き取って収納され、散水時には適宜ホースリール20から引き出して使用される。
水道側ホース22および散水側ホース21の両端部には、コネクター10が同軸的に取り付けられている。
【0028】
散水後、散水側ホース21および水道側ホース22を収納するには、まず散水側ホース21の一端のコネクター10の先端部に取り付けられた散水用ノズルを取り外し、水道側ホース22のコネクター10を蛇口から取り外す。
次いで、ホース接続用アダプター1を用意し、一方の接続軸部2を散水側ホース21の先端部のコネクター10に装着し、他方の接続軸部2を水道側ホース22の先端部のコネクター10に装着することで、散水側ホース21の先端部に水道側ホース22を連結する(図8、図9参照)。
【0029】
その後、通常の手順で散水側ホース21をドラム23に巻き取ってホースリール20に収納していく。
散水側ホース21の先端部付近まで巻き取りが進むと、図3のように、ホース接続用アダプター1の姿勢が、ドラム23の中心方向に凸に傾いてしまうことがある。
しかし、図3(a)に示すように、ホース接続用アダプター1の両接続軸部2はねじれの位置の関係にあり、軸心が互いに幅方向にずれているため、水道側ホースの重みによって、図3(a)中向かって軸心の右回りにホース接続用アダプターを回転させるモーメントが発生する(図4(a))。図3(a)中の一点鎖線は水道側ホース22側の接続軸部2の軸心を表し、二点鎖線は散水側ホース21側の接続軸部2の軸心を表している。
【0030】
これにより、ホース接続用アダプター1は水道側ホース22ごと軸心の右回りに自転して(図4、図5、図6)、ドラム23の中心方向に凹に傾いた姿勢で停止する。このとき、水道側ホース22の先端部はホース接続用アダプター1から垂れ下がった状態に変位しているため(図6)、ホース接続用アダプター1およびコネクター10がホース出入口24aの縁部分に引っ掛かることなくスムーズに通過して収納される。また、図7に示すように、ホースリール20に完全に収納した状態では、ホース接続用アダプター1がドラム23の中心方向に凹となっているため、ドラム23に沿って円弧状に収納することが可能となっている。
【0031】
<別態様>
別態様として、ホース接続用アダプターの内部に通水できるように形成して、ホース接続用アダプターにて連結されるホース間に水が流通できるようにしてもよい。
図11は別態様に係るホース接続用アダプター31を示す図であり、(a)は右側方図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は斜視図である。図12は、連通孔36を示すE−E線断面図である。図11中の破線は、各接続軸部32の軸心を表している。
【0032】
先の実施形態では両接続軸部2および連結軸部3を断面十字状の板材により構成したが、この別態様では、図11、図12に示すように、両接続軸部32および連結軸部33を管材により構成し、内部に、一方の接続軸部32の先端部から連結軸部33を経由して他方の接続軸部32の先端部まで貫通する連通孔36を設けている。
【0033】
また、連結軸部33は両接続軸部32の中間に位置して、中央でくの字状に屈折した管材となっている(図11(c)、図12)。
その他の構成は先の実施形態とほぼ同様であり、両接続軸部32はねじれの位置の関係にあり、接続軸部32の基端部には第一係止部材34が設けられ、先端部には第二係止部材35が設けられる。
【0034】
このようなホース接続用アダプター31では、一方の接続軸部32の先端部から連結軸部33を経由して他方の接続軸部32の先端部まで貫通する連通孔36を内部に設けたことにより、ホース同士を連結させた状態での通水が可能となる。このため、たとえばホースリール20に備え付けられた散水側ホース21では散水場所への長さが足りない場合に延長用ホース(図示せず)を連結して、収納時だけでなく散水時にもホース接続用アダプター31を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るホース接続用アダプターを示す図であり、(a)は右側方図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図である。
【図2】(a)は図1中のB−B線断面図、(b)は図1中のA−A線断面図、(c)は図1中のC−C線断面図である。
【図3】ホース接続用アダプターを用いたホースの巻き取りを示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】ホース接続用アダプターを用いたホースの巻き取り時の回転を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】ホース接続用アダプターを用いたホースの巻き取り時の回転を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】ホース接続用アダプターを用いたホースの巻き取り時の回転を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】ホース接続用アダプターを用いたホースのホースリールへの収納状態を示す図である。
【図8】ホース接続用アダプターと両コネクターとの接続状態を説明する斜視図である。
【図9】ホース接続用アダプターと両コネクターとの接続状態を示す平面図である。
【図10】図9中のD−D線断面図である。
【図11】別態様に係るホース接続用アダプターを示す図であり、(a)は右側方図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は斜視図である。
【図12】図11中のE−E線断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ホース接続用アダプター
2 接続軸部
2a 縦板
2b 横板
3 連結軸部
3a 縦板
3b 横板
3c 孔
4 第一係止部材
5 第二係止部材
10 コネクター
11 ホース
12 内筒
13 外筒
14 スプリング
15 突出片
15a 軸部
20 ホースリール
21 散水側ホース
22 水道側ホース
23 ドラム
24 ケース
24a ホース出入口
25 取水口
31 ホース接続用アダプター
32 接続軸部
33 連結軸部
34 第一係止部材
35 第二係止部材
36 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結軸部を介して一体に固定される2つの接続軸部を有し、
各接続軸部は、それぞれの先端部がホースの先端部に取り付けられるコネクターを軸心回りに回転自在に装着可能であって、
両接続軸部は、それらの軸心が互いにねじれの位置にあることを特徴とするホース接続用アダプター。
【請求項2】
一方の上記接続軸部の先端部から上記連結軸部を経由して他方の上記接続軸部の先端部まで貫通する連通孔を内部に設けたことを特徴とする請求項1記載のホース接続用アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−127434(P2010−127434A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305008(P2008−305008)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】