説明

ホース継手装置

【課題】任意の蛇口に簡単に取付けることができるホース継手装置を提供する。
【解決手段】弾力性材により継手本体部21を筒状に成型し、継手本体部21の上部に、水道の蛇口18の外径より小径の蛇口挿入口22を有するシール部23を一体成型する。シール部23の蛇口挿入口22より継手本体部21内に挿入した蛇口18の先端部と接触可能な位置で継手本体部21の下部から下方へ向かって漸次小径にテーパ部24を一体成型する。テーパ部24の下側に、フランジ部25を介して、蛇口18からの給水を受けるホース接続用のホース接続部26を一体成型する。継手本体部21には、この継手本体部21を蛇口18に結合する結合手段27を設ける。この結合手段27は、継手本体部21の一側面に面ファスナ取付部28を一体成型し、面ファスナ取付部28に開口された取付穴29に、平紐状に形成した面ファスナ33の一端を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の蛇口にホースを接続するためのホース継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水側の管にホースを接続する場合、管の外周面に嵌着されたホースをホースバンドにより締付けて接続することが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、蛇口に一方の継手部を取付けておいて、ホース側の他方の継手部を簡単に接続できるようにしたものが、洗濯機用のホース継手として知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−333078号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】実開平3−34487号公報(第1頁、第1−5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホースバンドは、締付け作業が簡単ではなく、装着に手間取る問題がある。一方、洗濯機用のホース継手は、一方の継手部に対し他方の継手部を簡単に接続できる利点があるものの、蛇口に一方の継手部を取付けたままにしておくので、専用できる水道に使用範囲が限られ、公共の水道のような任意の蛇口には使えないなどの汎用性に欠ける問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、任意の蛇口に必要に応じて簡単に取付けることができるホース継手装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、弾力性材により筒状に成型された継手本体部と、この継手本体部の上部に一体成型された水道の蛇口の外径より小径の蛇口挿入口を有するシール部と、このシール部の蛇口挿入口より継手本体部内に挿入された蛇口の先端部と接触可能な位置で継手本体部の下部から下方へ向かって漸次小径に一体成型されたテーパ部と、このテーパ部の下側に一体成型されて蛇口からの給水を受けるホース接続用のホース接続部と、継手本体部に設けられた継手本体部を蛇口に結合する結合手段とを具備したことを特徴とするホース継手装置。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のホース継手装置における結合手段が、平紐状に形成された面ファスナを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、弾力性材により成型された継手本体部の上部に一体成型された水道の蛇口の外径より小径の蛇口挿入口を有するシール部と、このシール部の蛇口挿入口より継手本体部内に挿入された蛇口の先端部と接触可能な位置に一体成型されたテーパ部とにより、2重のシール構造を形成して水密性を確保できるとともに、蛇口挿入口より挿入した蛇口をテーパ部に密着させた状態で結合手段により継手本体部を蛇口に結合することで、継手本体部を公共の水道のような任意の蛇口に必要に応じて簡単に取付けることができ、装着容易性および汎用性に優れている。
【0009】
請求項2に記載された発明によれば、平紐状に形成された面ファスナにより、継手本体部を蛇口に結合する作業を簡単にできるとともに、蛇口挿入口より挿入した蛇口をテーパ部に密着させた状態を確実に保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、図1乃至図5に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図5は、街角に設置された水道水を用いる消火設備10を示し、この消火設備10を用いるときは、ホース格納ボックス11の扉板12を開けて、給水ホース13を取出し、ホース格納ボックス11の背面板14に固定された管継手15を介して給水ホース13の一端に設けられた継手部を放水ホース16に接続し、給水ホース13の他端に設けられたホース継手装置17を、公園、学校または住宅内の台所や洗面所などに設置された最寄りの水道の蛇口18に接続し、この蛇口18を全開にし、さらに、放水ホース16をホース格納ボックス11から引出し、放水ホース16の先端に接続された放水器19を火災発生箇所に向けて、開閉バルブ20を開き、放水を開始する。
【0012】
図1乃至図3は、上記ホース継手装置17を示し、このホース継手装置17は、ゴムなどの弾力性材により継手本体部21が筒状に成型され、この継手本体部21の上部に、水道の蛇口18の外径より小径の蛇口挿入口22を有するシール部23が一体成型され、このシール部23の蛇口挿入口22より継手本体部21内に挿入された蛇口18の先端部と接触可能な位置で継手本体部21の下部から下方へ向かって漸次小径にテーパ部24が一体成型され、このテーパ部24の下側に、フランジ部25を介して、蛇口18からの給水を受けるホース接続用のホース接続部26が、一体成型されている。
【0013】
継手本体部21には、この継手本体部21を蛇口18に結合する結合手段27が設けられている。この結合手段27は、蛇口18に掛けて結ぶ複数の紐を継手本体部21に取付けても良いが、望ましくは、図1に示されるように継手本体部21の一側面に面ファスナ取付部28が一体成型され、この面ファスナ取付部28に開口された取付穴29に、図2に示されるようにフランジ付固定カラー31が挿着され、このフランジ付固定カラー31とこのフランジ付固定カラー31に止着された固定板32とにより、図3に示されるように平紐状に形成された面ファスナ33の一端が固定されている。
【0014】
この面ファスナ33は、一側面にフックが密集して起毛されたフック面が設けられ、他側面にループが密集して起毛されたループ面が設けられ、フック面とループ面とを係脱自在としたものであるが、それ以外にもフックとループとが混在して形成されたフック面とループ面との区別のないタイプを用いても良い。
【0015】
ホース接続部26には、図3に示されるようにホースの抜けを防止する複数の抜止突起34が設けられ、これらの抜止突起34の外周に図4に示されるように嵌着された給水ホース13が、ホースバンド35により固定されている。
【0016】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0017】
図5に示された消火設備10を使うときは、ホース格納ボックス11から取出した給水ホース13のホース継手装置17を水道の蛇口18に接続するが、その際に、図1に示されるように相対的にシール部23の蛇口挿入口22より継手本体部21内に水道の蛇口18を挿入して、この蛇口18の先端部をテーパ部24の内面に密着させ、この状態を維持したまま、図4に示されるように結合手段27の面ファスナ33を継手本体部21と蛇口18とに巻付けて、面ファスナ33の裏面を先に巻付けた部分の表面に貼付けることで、継手本体部21を蛇口18に結合する。33aは、面ファスナ33の先端部を示す。
【0018】
この面ファスナ33による結合時に、図1に示されるように、シール部23は、蛇口18の挿入方向に変形して蛇口18の外周面に密着しているので、蛇口18の先端とテーパ部24との間からの水漏れが生じても、外部への水漏れを防止でき、水密性を確実なものにしている。
【0019】
すなわち、弾力性材により成型された継手本体部21の上部に一体成型された水道の蛇口18の外径より小径の蛇口挿入口22を有するシール部23と、このシール部23の蛇口挿入口22より継手本体部21内に挿入された蛇口18の先端部と接触可能な位置に一体成型されたテーパ部24とにより、2重のシール構造を形成して水密性を確保できる。
【0020】
また、蛇口挿入口22より挿入した蛇口18をテーパ部24に密着させた状態で結合手段27により継手本体部21を蛇口18に結合することで、継手本体部21を公園または学校などの公共の水道のような任意の蛇口18に必要に応じて簡単に取付けることができ、装着容易性および汎用性に優れている。
【0021】
さらに、平紐状に形成された面ファスナ33により、継手本体部21を蛇口18に結合する作業を簡単にできるとともに、蛇口挿入口22より挿入した蛇口18をテーパ部24に密着させた状態を確実に保持できる。
【0022】
本発明は、消火設備10だけでなく、水道の蛇口18にホースを簡便に接続できる一般的なホース継手装置としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るホース継手装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】同上継手装置の斜視図である。
【図4】同上継手装置の接続状態を示す説明図である。
【図5】同上継手装置を備えた消火設備の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
17 ホース継手装置
18 水道の蛇口
21 継手本体部
22 蛇口挿入口
23 シール部
24 テーパ部
26 ホース接続部
27 結合手段
33 面ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性材により筒状に成型された継手本体部と、
この継手本体部の上部に一体成型された水道の蛇口の外径より小径の蛇口挿入口を有するシール部と、
このシール部の蛇口挿入口より継手本体部内に挿入された蛇口の先端部と接触可能な位置で継手本体部の下部から下方へ向かって漸次小径に一体成型されたテーパ部と、
このテーパ部の下側に一体成型されて蛇口からの給水を受けるホース接続用のホース接続部と、
継手本体部に設けられた継手本体部を蛇口に結合する結合手段と
を具備したことを特徴とするホース継手装置。
【請求項2】
結合手段は、平紐状に形成された面ファスナを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のホース継手装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−293688(P2009−293688A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147094(P2008−147094)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(598069227)中央理化工業株式会社 (6)