説明

ホーム柵装置

【課題】 ホーム柵本体の内部に金属粉やほこりなどが流入してしまうことを確実に防止することができ、ホーム柵本体の電子部品や駆動機構の保護を図ることのできるホーム柵装置を提供する。
【解決手段】 駅のプラットホーム3上に設置されるホーム柵本体4と、ホーム柵本体4の内部に設置されホーム柵本体4の端部から進退動作される扉体5と、ホーム柵本体4のプラットホーム側面に設けられた吸気口6と、ホーム柵本体4の線路側面に設けられた排気口と、吸気口6の内側に設置されたフィルタ10を備えたフィルタユニット7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホーム柵装置に係り、特に、ホーム柵本体の内部に金属粉やほこりなどが流入してしまうことを確実に防止することができ、ホーム柵本体の電子部品や駆動機構の保護を図ることを可能としたホーム柵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、駅のプラットホームにおいては、通過列車の風圧により乗客が線路側に転落する等の不測の事故を防止するために、ホーム柵本体に進退自在に設けられ、列車の乗降ドアと連動して開閉動作される扉体を備えたホーム柵装置が設置されている。
【0003】
このような従来のホーム柵装置としては、例えば、戸袋の線路側の側壁および線路と反対側の側壁のうちのいずれか一方の側壁と戸袋内に後退した扉体との間に形成される空間部に、扉体の側面を片持ち支持して扉体を進退自在に案内するレール部材と、扉体を進退移動させる駆動装置と、駆動装置を制御する電気制御機器とを上下方向に並べて設けるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3850549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、ホーム柵本体の扉体が開閉動作する場合に、開動作すなわち、扉体がホーム柵本体の内部に引き込まれる際には、ホーム柵本体の内部圧力が高くなり、逆に、閉動作すなわち、扉体がホーム柵本体から突出する際には、ホーム柵本体の内部圧力が低くなる。そのため、ホーム柵本体の内部圧力が負圧となった場合に、ホーム柵本体の内部に線路付近に浮遊している鉄や銅などの金属粉やほこりなどが吸い込まれてしまうという問題を有している。このようにホーム柵本体の内部に金属粉やほこりなどが吸い込まれると、この金属粉などが内部の電子部品に悪影響を与えるとともに、駆動機構の動作に不具合が生じるおそれがあるという問題を有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、ホーム柵本体の内部に金属粉やほこりなどが流入してしまうことを確実に防止することができ、ホーム柵本体の電子部品や駆動機構の保護を図ることのできるホーム柵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係るホーム柵装置は、駅のプラットホーム上に設置されるホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され前記ホーム柵本体の端部から進退動作される扉体と、
前記ホーム柵本体の前記プラットホーム側面に設けられた吸気口と、
前記ホーム柵本体の線路側面に設けられた排気口と、
前記吸気口の内側に設置されたフィルタを備えたフィルタユニットと、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記フィルユニットには、マグネットが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記フィルタユニットは、前記ホーム柵本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記吸気口および前記排気口には、前記吸気口から外気を吸引するとともに、前記排気口からホーム柵本体の内部空気を外部に排出するための弁機構が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ホーム柵本体のプラットホーム側面に吸気口を設けるとともに、ホーム柵本体の線路側面に排気口を設け、吸気口の内側にフィルタユニットを設置するようにしているので、扉体が閉動作される際にホーム柵本体の内部が負圧となった際に、吸気口から流入した外気は、フィルタにより、金属粉やほこりが除去された状態で、ホーム柵本体の内部に流入されることになり、その結果、ホーム柵本体の内部に設置されている電子部品や駆動機構に金属粉やほこりなどが悪影響を与えてしまうことを確実に防止することができる。また、ホーム柵本体のプラットホーム側面に吸気口を設けるようにしているので、吸気口から吸引される外気が、比較的きれいな外気であることから、ホーム柵本体の内部に流入する金属粉やほこりなどを低減させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、フィルユニットにマグネットを設けるようにしているので、マグネットにより吸気口から流入した外気に含まれる金属粉を磁力により吸着することができ、吸気口からの外気を金属粉が除去された状態で、ホーム柵本体の内部に流入させることができ、その結果、ホーム柵本体の内部に設置されている電子部品や駆動機構に金属粉やほこりなどが悪影響を与えてしまうことを確実に防止することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、フィルタユニットをホーム柵本体に着脱自在に取付けるようにしているので、フィルタユニットのフィルタが汚れた場合に、フィルタユニットを取り外して容易に洗浄あるいは交換をすることができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、吸気口および排気口に、吸気口から外気を吸引するとともに、排気口からホーム柵本体の内部空気を外部に排出するための弁機構を配設するようにしているので、吸気口のみから外気を吸引することができるとともに、ホーム柵本体の内部空気を排気口のみから排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す概略正面図である。
【図2】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示すフィルタユニット部分の図2のA−A線における断面図である。
【図4】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示すフィルタユニット部分の図2のB−B線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1から図4は、本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示したものである。ホーム柵装置1は、列車に乗客が乗降するためのプラットホーム3の床面の線路側に設けられるものであり、ホーム柵装置1は、プラットホーム3に沿うように形成された箱型のホーム柵本体4と、列車がプラットホーム3の定位置に停車したときに、列車の乗降ドアと連動してホーム柵本体4の両側から開閉動作される扉体5,5とを備えている。そして、ホーム柵本体4の内部には、扉体5を開動作させるための駆動機構およびこの駆動機構を駆動制御するための制御回路(いずれも図示せず)が収容されている。
【0018】
また、ホーム柵本体4のホーム側面下方位置には、吸気口6が形成されており、ホーム柵本体4の線路側下方位置には、図示しない排気口が形成されている。ホーム柵本体4の内部には、吸気口6を塞ぐようにフィルタユニット7が取付けられている。
【0019】
図3および図4に示すように、フィルタユニット7は、ほぼ四角形状を有するフィルタ枠体8を備えている。フィルタ枠体8の縦枠の吸気口6側には、フィルタ10が保持されている。フィルタ枠体8のフィルタ10より内側には、縦方向に延在する複数の板状のマグネット11が設けられており、これら各マグネット11は、平面視で2列に配列されるとともに、各列のマグネット11が互いに横方向に位置をずらして配置されている。これにより、吸気口6から流入しフィルタ10を通過した空気が各マグネット11の間を通ってホーム柵本体4の内部に流入されるようになっている。また、フィルタ枠体8は、保持金具12によりホーム柵本体4の吸気口6の内側に着脱自在に取付けられている。
【0020】
また、本実施形態においては、ホーム柵本体4の吸気口6および排気口部分には、それぞれ図示しない弁機構が配置されており、この弁機構により、吸気口6のみから外気をホーム柵本体4の内部に吸引するとともに、排気口のみからホーム柵本体4の内部空気を外部に排出するように構成されている。
【0021】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0022】
本実施形態においては、列車がプラットホーム3に停車し、ホーム柵装置1の内部の制御回路により駆動機構を駆動させることにより、扉体5が開閉動作されるものである。
【0023】
本実施形態においては、扉体5が開動作する場合に、扉体5がホーム柵本体4の内部に引き込まれるため、ホーム柵本体4の内部圧力が大きくなるが、排気口を形成するようにしているので、ホーム柵本体4の内部空気は、排気口からホーム柵本体4の線路側に排出される。また、扉体5が閉動作する場合には、扉体5がホーム柵本体4から突出するため、ホーム柵本体4の内部圧力が小さくなるが、吸気口6を形成するようにしているので、プラットホーム側の外気が吸気口6から流入される。
【0024】
そして、吸気口6から流入した外気は、フィルタ10を通過することにより、ほこりなどが除去される。そして、フィルタ10を通過した外気は、マグネット11の間を通る際に、磁力により鉄粉が吸着されてホーム柵本体4の内部に流入する。そのため、吸気口6から流入した外気は、金属粉やほこりがほぼ完全に除去された状態で、ホーム柵本体4の内部に流入されることになる。
【0025】
以上述べたように、本実施形態においては、ホーム柵本体4のプラットホーム側面に吸気口6を設けるとともに、ホーム柵本体4の線路側面に排気口を設け、吸気口6の内側にフィルタユニット7を設置するようにしているので、扉体5が閉動作される際にホーム柵本体4の内部が負圧となった際に、吸気口6から流入した外気は、フィルタ10およびマグネット11により、金属粉やほこりがほぼ完全に除去された状態で、ホーム柵本体4の内部に流入されることになり、その結果、ホーム柵本体4の内部に設置されている電子部品や駆動機構に金属片やほこりなどが悪影響を与えてしまうことを確実に防止することができる。また、ホーム柵本体4のプラットホーム側面に吸気口6を設けるようにしているので、吸気口6から吸引される外気が、比較的きれいな外気であることから、ホーム柵本体4の内部に流入する金属粉やほこりなどを低減させることができる。
【0026】
さらに、吸気口6から外気を吸引するとともに、排気口からホーム柵本体4の内部空気を外部に排出するための弁機構を配設するようにしているので、吸気口6のみから外気を吸引することができるとともに、ホーム柵本体4の内部空気を排気口のみから排出させることができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ホーム柵装置
3 プラットホーム
4 ホーム柵本体
5 扉体
6 吸気口
7 フィルタユニット
8 フィルタ枠体
10 フィルタ
11 マグネット
12 保持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のプラットホーム上に設置されるホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され前記ホーム柵本体の端部から進退動作される扉体と、
前記ホーム柵本体の前記プラットホーム側面に設けられた吸気口と、
前記ホーム柵本体の線路側面に設けられた排気口と、
前記吸気口の内側に設置されたフィルタを備えたフィルタユニットと、
を備えていることを特徴とするホーム柵装置。
【請求項2】
前記フィルユニットには、マグネットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホーム柵装置。
【請求項3】
前記フィルタユニットは、前記ホーム柵本体に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホーム柵装置。
【請求項4】
前記吸気口および前記排気口には、前記吸気口から外気を吸引するとともに、前記排気口からホーム柵本体の内部空気を外部に排出するための弁機構が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のホーム柵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−61881(P2012−61881A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205488(P2010−205488)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)