説明

ボイラのダスト除去機構

【課題】 水平ガス流に対して垂直に配列したボイラ伝熱管の下端が分配管寄やドレン集合管などの集合管と連通させる構成を備え、ボイラ伝熱管にハンマリング式ダスト除去装置を配備したボイラにおいて、伝熱管下部に付着したダストをより簡単に除去することができるダスト対策構造を提供する。
【解決手段】 ボイラ伝熱管1にハンマリング装置11を装備すると共に、伝熱管1の下端と集合管14の間に伝熱管より柔軟な連絡管13を介装して、ハンマリング装置11を作動させた時の伝熱管1と連絡管13の結合体の振動が伝熱管1下端の位置に腹を有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマリングによりダストを除去する機構を有するボイラに関し、特に、水平ガス流に垂直に伝熱管を配列した伝熱面配置の廃熱ボイラ設備に適用するダスト除去機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラの排ガス中にダストが多く伝熱管に多量のダストが付着して熱効率を低下させる場合には、ハンマリング装置によりダスト除去する方法が広く採用されている。
図7は、従来のボイラのダスト対策機構の例を示す側面図である。たとえば、強制循環ボイラの蒸発管や、過熱器管、エコノマイザー管など、水平ガス流に対して垂直に配列したボイラ伝熱管では、ボイラ伝熱管がボイラ天井シールケーシングとダストホッパーの間に設置されている。
【0003】
図7の例では、ボイラ伝熱管に振動を与えるハンマリング装置が設備されたボイラ伝熱管上部部分が、自由な気通を阻止するショートパス防止板により仕切られた部分に配置されている。
また、ボイラ伝熱管の下には、沈降するダストを堆積させて、適宜排出することができるダストホッパーが設備されている。ダストホッパーは適宜の大きさに仕切られていて、仕切板の高さはショートパス防止のためボイラ伝熱管の下端部近くまで達するようになっている。
高温の排ガスは、仕切板の上端とショートパス防止板の間を流通して、ボイラ伝熱管の主要部において効率よく熱交換して、伝熱管内の流体を加熱する。
【0004】
排ガスに多量のダストが含まれていると、ダストがダストホッパーの底に沈降して堆積する他に、ボイラ伝熱管の表面に付着したり、伝熱管の下端部に堆積したりして、伝熱効率を低下させることがある。
そこで、伝熱管にダストが堆積すると熱交換効率が低下しない程度の適当な時間間隔でハンマーで叩いて伝熱管を振動させることにより、ダストを振り落として熱交換効率を回復するように構成されている。
【0005】
図8は、ハンマリング装置の設置状況を説明する図面で、図7に表した側面に対して垂直な方向から見た側面図である。ハンマリング装置は往復動するように案内された振動部材と電磁的手段により振動部材に衝撃を与えるハンマーを備えて、振動部材には連結軸が接続されている。連結軸は、ボイラ内に層状に設置されたボイラ伝熱管の各層と固定され、ボイラケーシングの側壁に設けられたベローズおよび連結軸の軸方向に回転可能なサポート金具により往復動できるように支持されている。
ハンマリング装置に駆動信号を与えると、ハンマーが駆動されて連結軸を打撃することにより、連結軸に軸方向の衝撃力が与えられて、連結軸に固定されたボイラ伝熱管が振動する。
【0006】
図9は、図7に示したボイラ伝熱管における振動状態を説明する側面図で、図7に表した側面に対して垂直な方向から見た図面である。図9に示すように、伝熱管の先端部分は、自由端になっているためハンマリングの衝撃力により大きな振幅で振動する。したがって、ハンマリング装置により、伝熱管に付着したダスト、特に管の先端部に堆積したダストは容易に剥離落下して、ダストの堆積が問題になることはなかった。
【0007】
なお、特許文献1には、伝熱管の上部のみを支持し下部を自由にして、先端が自由下部に達する打撃軸を配置した、排ガス利用の熱回収装置が開示されている。開示された装置における伝熱管は、自由端を有するもので、必要に応じて打撃軸をハンマーで打撃することにより、伝熱管表面に付着する粉塵と伝熱管の間に付着する粉塵とを取り除くことができる。
【0008】
また、特許文献2には、自由端を有する伝熱管に高周波振動子を取り付けて、伝熱管に付着する粉塵の特性に適合した帯域の高周波振動を与えることにより、剥離不能や飛散を生じることなく、ボイラチューブの表面から付着ダストをケーキ状として払い落とすようにした技術が開示されている。
このように、自由端を有するボイラ伝熱管を対象とする場合は、従来技術により、適宜に伝熱管付着ダストを剥離して、熱効率を維持することができる。
【0009】
伝熱管の下部にドレン抜きを付加し上部に空気抜きを付加したドレンナブル構造のボイラは、ボイラの凍結対策に適し長期乾燥保管において便宜であるなど、メンテナンスの利便性に注目した需要が高い。また、自然循環ボイラなどでは、伝熱管の上端を集合管寄に接合し下端を分配管寄に接合するようにしたボイラ構造が用いられる。
【0010】
たとえば、水平ガス流に対して垂直に伝熱管を配列した、ドレンナブル構造の強制循環ボイラにおいては、ボイラ伝熱管は、上端部が空気抜き用の集合管に接合され下端部がドレン集合管に接合され、それぞれ固定される。また、水平ガス流に対して垂直に伝熱管を配列した自然循環ボイラにおいては、ボイラ伝熱管は、上端部が集合管寄に接合され下端部が分配管寄に接合されて、それぞれ固定される。
このような構成のボイラにおいて、ダスト対策として、伝熱管上端が接合する集合管寄にハンマリング装置が取り付けられる事例がある。
【0011】
図10は、下部に拘束端を有する伝熱管にハンマリング装置を適用した場合を概念的に示す側面図、図11は、図10のボイラ伝熱管を図10の垂直方向から見た、ボイラ伝熱管の運動状態示す部分図である。
この種のボイラでは、伝熱管の下端部が接合される分配管寄やドレン集合管などの集合管の中心軸はハンマリングの方向と一致しており、ハンマリングによる変位が小さく、伝熱管下部におけるダスト除去に有効に働かない。
このような構成では、図11に示すように、ダストの堆積しやすい伝熱管下部が管寄などの集合管に拘束されて振動の節となるため、ハンマーの打撃で生じた振動が伝熱管下部に十分に伝わらず、下部に堆積したダストを効率的に払い落とすことができない。このため容易に伝熱管の伝熱効率を回復することができず、高い効率で排熱回収を行うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−280632号公報
【特許文献2】特開平06−341790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、水平ガス流に対して垂直に配列したボイラ伝熱管の下端が分配管寄やドレン集合管などの集合管と連通させる構成を備え、ボイラ伝熱管にハンマリング式ダクト除去装置を配備したボイラにおいて、伝熱管下部に付着したダストをより簡単に除去することができるダクト対策構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のボイラのダスト除去機構は、水平ガス流に垂直に伝熱管を配列し伝熱管の下端と集合管と連通させる構造のボイラにおいて、伝熱管にハンマリング装置を装備すると共に、伝熱管の下端と集合管の間に伝熱管より柔軟な連絡管を介装して、ハンマリング装置を作動させた時の伝熱管と連絡管の振動が伝熱管下端の位置に腹を有するようにしたことを特徴とする。
【0015】
集合管と連絡管は、ドレン集合管とドレン抜き管、または分配管寄と連絡管のいずれかに対応するものであってよい。ハンマリング装置は、連結軸を伝熱管に直接的に接合するものであっても、また伝熱管上端を接合させる集合管に連結軸を接合するものであってもよい。
【0016】
ハンマリング装置を作動させて伝熱管に衝撃力を与えると、伝熱管と連絡管の接合体は集合管との接合位置を節とする振動が生じる。このとき、振動の節となる集合管との接合位置と伝熱管下端との間に適宜の長さを有するより柔軟な連絡管が存在するため、伝熱管下端部は振動の腹となって適宜の振幅をもって激しく振動する。したがって、伝熱管表面に付着したダストは、効率的に振るい落とされて、ボイラ底に設けたダストホッパーに堆積する。
【0017】
連絡管の剛性を変化させると、伝熱管の振動状態を調整することができる。連絡管の剛性は、材質、管径、管厚、管長、管形状などにより変化する。たとえば、集合管と伝熱管の距離が短い場合も、連絡管を屈曲させることにより可撓性を増して、伝熱管について所望の振動特性を適宜に実現させることができる。
また、第2のハンマリング装置を集合管に設備して下部ハンマリング装置とし、下部ハンマリング装置の連結軸を介して集合管を打撃することにより、伝熱管をさらに強く振動させるようにしてもよい。
【0018】
また、伝熱管の上端部を集合管寄など上部の集合管に直接接続させる構成である場合に、ハンマリング装置を伝熱管に直接設備する代わりに、上部の集合管を軸方向に駆動するように設備してもよい。この場合は、ハンマリング装置の連結軸を伝熱管自体に接合する代わりに、集合管の端部において軸方向に衝撃力を与えるように配置すればよいので、構造が簡単になる利点がある。
【発明の効果】
【0019】
本願発明のボイラのダスト除去機構を、水平ガス流に垂直に伝熱管を配列し伝熱管の下端と集合管と連通させる構造のボイラに適用することにより、ボイラ伝熱管の下部に付着したり堆積したりするダストを、適宜、簡単に除去して、伝熱管の熱回収を効率よく行うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図である。
【図2】第1実施例のダスト除去機構を適用したときのボイラ伝熱管における振動状態を説明する図面である。
【図3】本発明の第2実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図である。
【図4】第2実施例のダスト除去機構を適用したときのボイラ伝熱管における振動状態を説明する図面である。
【図5】本発明の第3実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図である。
【図6】第3実施例の下部ハンマリング装置の取り付け状況を示す部分図である。
【図7】従来のボイラにおけるボイラ伝熱管の配置図である。
【図8】従来のボイラにおけるハンマリング装置の設置状況を示す図面である。
【図9】図7に示したボイラ伝熱管における振動状態を説明する図面である。
【図10】下部に拘束端を有する伝熱管にハンマリング装置を適用した場合を概念的に示す側面図である。
【図11】図10のボイラ伝熱管の運動状態を示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を用いて本発明のボイラのダスト除去機構について詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
第1実施例は、ボイラ伝熱管の下部にドレン抜きを付加し上部に空気抜きを付加したドレンナブル構造のボイラに適用するダスト除去機構である。
ドレンナブル構造のボイラは、ボイラの凍結対策や長期乾燥保管など、メンテナンスの利便性から好んで利用される。
【0023】
しかし、先に説明したとおり、ボイラ伝熱管の下端をドレン集合管に接合した構造では、伝熱管の下端が拘束されて振動の節になるため、ボイラ伝熱管上部に与えられるハンマリング力を十分伝熱管下部に伝えることができない。したがって、ダスト量が多くダスト負荷が大きい場合、あるいは付着性が高く配管周りに堆積しやすいダストの場合には、付着あるいは堆積したダストにより伝熱管の熱交換効率が低下して、高い熱効率を得ることができない。
【0024】
図1と図2は、第1実施例のボイラのダスト除去機構を説明する図面である。図1は、第1実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図、図2は、第1実施例のダスト除去機構を適用したときのボイラ伝熱管における振動状態を説明する図面である。
図1に示したボイラは、伝熱管1内を流通する水あるいは蒸気などの熱媒を高温の排ガスで加熱するもので、排ガスが上部のショートパス防止板4と下部に設けたダストホッパー5の仕切板6上縁との間にできる開口Zの部分を流通するようになっており、伝熱管1が排ガスの流通する部分に大部分露出するように配置されている。
【0025】
排ガスはボイラ内を水平方向に流れ、伝熱管1は水平熱流に対して垂直に配列されている。伝熱管1は、図1の紙面に対して垂直の方向に多層に配列されていて、ハンマリング装置11の連結軸12が各層の伝熱管1の上部に結合されており、各層の伝熱管1はハンマリング装置11により同時に励振される。
【0026】
ハンマリング装置11と連結軸12は、先に図8に示したものと同じようにして設置することができる。伝熱管1はハンマリング装置11により図1の紙面に対して垂直の方向に振動させられる。
伝熱管1の上端部にはハンマリング装置11との接続や支持などに用いられる機構が設けられるので、伝熱管1の上部は、ボイラ天井シールケーシング3とショートパス防止板4の間に仕切られた、高温排ガスが流れない空間に収納されている。
【0027】
伝熱管1内に発生するドレンは、伝熱管1の下方のダストホッパー5内に設けられるドレン集合管14に集めて、ボイラ外に設置されたドレン抜き弁15により外部に排出される。ドレン集合管14は、伝熱管1の面に対して垂直に配置され、伝熱管1の振動に対する拘束点となる。
【0028】
本実施例においては、伝熱管1の下端部とドレン集合管14の間に伝熱管1より細いドレン抜き管13を挿入して、伝熱管1の下端部を振動の節にしないようにしてある。すなわち、ハンマリング装置11により伝熱管1が振動する場合に、拘束点となるドレン集合管14との接合点との間に、伝熱管1とドレン抜き管13を繋いだ棒状の振動体が形成されるようにしたため、図2において振動時の変位Vで示すように、伝熱管1の先端位置が振動の胴となり、大きな振幅を持って振動することになる。したがって、伝熱管1に付着したダストや先端部に堆積したダストが容易に振り落とされ、伝熱管1の伝熱性能を回復することができる。
【0029】
伝熱管1とドレン集合管14の間に挿入するドレン抜き管13の剛性を変化させると、伝熱管1の振動状態を調整することができる。ドレン抜き管13の剛性は、材質、管径、管厚、管長、管形状などにより変化する。ドレン抜き管13の剛性が弱く柔軟性があれば、伝熱管1の先端は大きな振幅で振動するようになる。
ドレン抜き管13は、長さに対して1/5以下の外径を持つようにすれば、十分な柔軟性を持つと考えられる。
【0030】
また、伝熱管1の下端とドレン集合管14の間隔が狭い場合にも、ドレン抜き管13を屈曲させて必要な長さを有するようにすれば、十分な柔軟性を持つようにすることができる。なお、ドレン抜き管13を屈曲させるときは、振動に対して捻れる方向に運動するため、振動に対する柔軟性がより一層増進して、比較的短い管であっても必要な柔軟性を備えるようにすることができる。
【0031】
なお、伝熱管1の上端部にはそれぞれ、伝熱管1内に存在する空気を排除する空気抜き管16が接続されている。空気抜き管16の空気は集められて、ボイラ天井シールケーシング3の内側に伝熱管1の層を貫いて設置される集合空気抜き管17に排出される。集合空気抜き管17の空気はさらに集められて、ボイラ外に設けられた空気抜き弁18を介して外気に放出される。
【実施例2】
【0032】
本発明の第2実施例は、自然循環ボイラなど、ボイラ伝熱管の下部に分配管寄を備え上部に集合管寄を備えた構造を有するボイラに適用するダスト除去機構である。
ボイラ伝熱管の下端を分配管寄などの集合管に接合した構造では、伝熱管の下端が拘束されるため、ボイラ伝熱管上部に与えられるハンマリング力を十分伝熱管下部に伝えることができず、付着あるいは堆積したダストを振り落とせないため、伝熱管は高い熱効率を得ることができない。
【0033】
図3と図4は、第2実施例のボイラのダスト除去機構を説明する図面である。図3は、第2実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図、図4は、第2実施例のダスト除去機構を適用したときのボイラ伝熱管における振動状態を説明する図面である。図中の参照番号は、図1または図2における構成素子と同じ機能を有する構成素子に対して同じ番号を付してある。
【0034】
図3において、伝熱管1は隣接した2本がU字状に繋がっていて、上端が集合管寄21に接合され、ループ状に形成される下端部が連絡管22を介して分配管寄23に接続されている。
分配管寄23と連絡管22は、ダストホッパー5の内部に配置される。
伝熱管1の上部の適当な高さにボイラ天井シールケーシング3が設けられて、高温の排ガスが進入し難い空間が形成され、この空間に、集合管寄21と集合管寄21にハンマリング装置11の連結軸と連結軸の支持具が収納されている。
【0035】
連絡管22は、伝熱管1より細くするなど、伝熱管1より剛性が小さくなるように形成されているため、ハンマリング装置11により伝熱管1上端が接合された集合管寄21に衝撃が加えられたときに、伝熱管1の振動における拘束点となる分配管寄23との接合点との間に、伝熱管1と連絡管22が一体となった振動体が形成されて、図4において振動時の変位Wで示すように、伝熱管1の先端位置が振動の胴となって大きな振幅を持って振動する。したがって、伝熱管1に付着したダストや先端部に堆積したダストが容易に振り落とされ、伝熱管1の伝熱性能を回復することができる。
【0036】
連絡管22の働きは、第1実施例におけるドレン抜き管13の働きと全く同じで、連絡管22の剛性を調整することにより伝熱管1の振動状態を選択することができる。特に、連絡管22に適度な屈曲を持たせることによって、伝熱管1と分配管寄23の間が狭い場合でも適度な振動特性を与えて、伝熱管1の上部に働いたハンマリング力を的確に伝熱管1の下部に伝達させることができる。
【実施例3】
【0037】
本発明の第3実施例は、伝熱管の上部を加振するだけでは十分でない場合に、伝熱管の下部を拘束する集合管に設置した下部ハンマリング装置によって、伝熱管の下部を追加的に加振して、確実にダストを剥離させるようにしたダスト除去機構である。
図5と図6は、第3実施例のボイラのダスト除去機構を説明する図面である。図5は、第3実施例に係るダスト除去機構を備えたボイラを概念的に示す正面断面図、図6は、第3実施例の下部ハンマリング装置の取り付け状況例を示す部分図である。図中の参照番号は、図3における構成素子と同じ機能を有する構成素子に対して同じ番号を付してある。
【0038】
下部ハンマリング装置25は、図3に例示したボイラにおいて、ボイラ伝熱管1の上部が接合された集合管寄21に設備されたハンマリング装置11による励振力がボイラ伝熱管1の下部に引き起こす振動では、伝熱管1下部におけるダストを除去する目的に十分でない場合に導入される。
たとえば、付着性が高く堆積しやすいダストが排ガスに大量に含まれる場合などに、上部に設備されたハンマリング装置11に加えて、分配管寄23を振動させる下部ハンマリング装置25が設けられる。
【0039】
下部ハンマリング装置25内部の振動部材は連結軸26に接続され、連結軸26は分配管寄23に接合される。伝熱管1は、伝熱管1の層ごとに連絡管22を介して分配管寄23に接続される。図6に示されたように、分配管寄23は、ボイラ内に層状に設置されたボイラ伝熱管1と連絡管22を介して固定され、ボイラケーシング側壁2に設けられたベローズ27により往復動できるように支持されている。
なお、分配管寄23で発生するドレンは、ドレン抜き管28とドレン抜き弁29を通って排出される。
【0040】
下部ハンマリング装置25に駆動信号を与えると、ハンマーが駆動されて連結軸26を励振し、分配管寄23を振動させる。分配管寄23が振動すると、連絡管22を介してボイラ伝熱管1が振動する。
下部ハンマリング装置25によりボイラ伝熱管1の下端部を効果的に励振するためには、伝熱管1と分配管寄23の間に挿入される連絡管22が振動を吸収しないようにするため、連絡管22はある程度剛性を持つものである必要がある。
このため、連絡管22の剛性は、伝熱管1の上部で励振するハンマリング装置11のために要求される柔軟性との間で、適度に加減して決める必要がある。
【0041】
図5に示した第3実施例は、図3に例示したボイラに適用したものであるが、本実施例の技術的思想は、図1に示したボイラにも同様に適用することができる。
すなわち、図1のボイラ伝熱管1の上部に装備したハンマリング装置11では伝熱管1下部におけるダストを除去する目的に十分でない場合に、ハンマリング装置11に加えて、分配管寄23に振動を与える下部ハンマリング装置25を導入することにより、ボイラ伝熱管1の下部における振動を増強して、堆積したダストを確実に除去するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
排ガスボイラなどにおいて、排ガス中にダストが多量に含まれボイラの伝熱管にダストが付着し伝熱管の伝熱効率を低下させて、排ガスの熱量回収効率が低下する場合にも、本発明のボイラのダスト除去機構を設けることにより、伝熱管に付着したダストを容易に除去して伝熱効率を回復させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 伝熱管
2 ボイラケーシング側壁
3 ボイラ天井シールケーシング
4 ショートパス防止板
5 ダストホッパー
6 仕切板
11 ハンマリング装置
12 連結軸
13 ドレン抜き管
14 ドレン集合管
15 ドレン抜き弁
16 空気抜き管
17 集合空気抜き管
18 空気抜き弁
21 集合管寄
22 連絡管
23 分配管寄
25 ハンマリング装置(下部ハンマリング装置)
26 連結軸
27 ベローズ
28 ドレン抜き管
29 ドレン抜き弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ガス流に垂直に伝熱管を配列し伝熱管の下端と集合管と連通させる構造を有するボイラにおいて、伝熱管を振動させるハンマリング装置を装備すると共に、伝熱管の下端と集合管の間に前記伝熱管より柔軟な連絡管を介装して、前記ハンマリング装置を駆動した時の前記伝熱管と前記連絡管の振動が前記伝熱管の下端に腹を有するようにした、ボイラのダスト除去機構。
【請求項2】
前記連絡管は、屈曲していることを特徴とする請求項1記載のボイラのダスト除去機構。
【請求項3】
さらに、第2のハンマリング装置を前記集合管に配備して、該集合管を介して前記伝熱管の振動を増大させることを特徴とする請求項1または2記載のボイラのダスト除去装置。
【請求項4】
前記集合管がドレン集合管であり、前記連絡管がドレン抜き管である、請求項1から3のいずれか1項に記載のボイラのダスト除去機構。
【請求項5】
前記集合管が分配管寄であり、前記連絡管が前記分配管寄に接続される連絡管である、請求項1から3のいずれか1項に記載のボイラのダスト除去機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−247441(P2011−247441A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117954(P2010−117954)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)