説明

ボックス型樹脂製アシスト・グリップ

【課題】前側シートのシート・バックの外部に突き出させずにそのシート・バックに容易に配置可能にして直後の後側シートに着座空間を広く確保でき、そして、乗員にとってその後側シートに着座し易く、また、その後側シートから降り易くできる。
【解決手段】上端16を細長い開口17に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体11と、そのボックス型アシスト・グリップ本体11のその細長い開口17から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体11の両端壁15、15を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段18、18のそれぞれにスティ・ガイド穴20、20を有する一対のスティ・ガイド保持座19、19とを含んで樹脂から一体的に成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の前側シートのシート・バックの上面に埋め込んで取り付けられ、そして、直後の後側シートに乗員が着座する際や立ち上がって降りる際、その前側シートのそのシート・バックに手を掛けてそのシート・バックを握り易くできてその後側シートに着座し易く、また、その後側シートから降り易くするところのボックス型樹脂製アシスト・グリップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、従来、アシスト・グリップが、実開平4−35933公報のように、前側シートのシート・バックの上端で背後面から後方に突き出されるか、そのシート・バックの上面に固定的に取り付けられてその背裏面より後方に突き出されて乗員が直後の後側シートに着座する際やその後側シートから立ち上がって降りる際、その乗員がその前側シートのそのシート・バックに取り付けたそのアシスト・グリップに手を掛け、握ってそのシート・バックに体重を掛けながらその後側シートに着座し易くするように、また、その後側シートから降り易くするようになされているが、この種のアシスト・グリップは、その前側シートのそのシート・バックの上端でその背裏面から後方に突き出されるかその前側シートのそのシート・バックの上面に固定的に取り付けられてその背裏面よりも後方に突き出されるので、その後側シートの着座空間が狭められる恐れがあるに加えてその前側シートに外観品質の低下が伴われやすくなる。
【0003】
また、この種のアシスト・グリップでは、相当の荷重が掛るので、この荷重に耐える保持力が要求されることからグリップ部とスティ・ガイドとを一体化させてそのグリップ部に作用する荷重をシート・バック・フレームに逃がす構造が採られる。このような構造では、部品点数が減るものの大型化が免れず、取扱いが煩雑になってグリップ部なしのスティ・ガイドとの互換性がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
実開平4−35933公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、前側シートのシート・バックの外部に突き出させずにそのシート・バックに容易に配置可能にして直後の後側シートに着座空間を広く確保でき、そして、乗員にとってその後側シートに着座し易く、また、その後側シートから降り易くでき、その前側シートに外観品質を確実に向上させ、その乗員に把持されて作用される荷重に耐える強固な保持を十分に可能にし、さらに、スティ・ガイドと別体にして大型化を避け、そして、グリップを付けないシートとのスティ・ガイドの共用化を可能にするところのボックス型樹脂製アシスト・グリップを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップは、上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段のそれぞれにスティ・ガイド穴を有する一対のスティ・ガイド保持座とを含んで樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその保持座のそのスティ・ガイド穴にスティ・ガイドを通
してはめ込み、そして、そのスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定される。
【0007】
また、この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップは、上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段を利用する一対のスティ・ガイド保持座とを含み、そして、その一対のスティ・ガイド保持座に一対のスティ・ガイドを対応的に一体化させるように樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその一対のスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定される。
【発明の効果】
【0008】
この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップでは、そのボックス型アシスト・グリップ本体がシート・バックの一対のスティ・ホルダーを臨んでそのシート・バックの上面に開口された細長い落込み穴にはめ込んで埋め込まれ、その保持座のスティ・ガイド穴にそのスティ・ガイドを通してはめ込んでそのスティ・ガイドをそのスティ・ホルダーに差し込むか、その保持座に一体化されたそのスティ・ガイドをそのスティ・ホルダーに差し込んでそのシート・バックのシート・バック・フレームに取り付けられ、埋込み状態でそのシート・バックのその上面に固定可能になることによってそのボックス型樹脂製アシスト・グリップが、前側シートのシート・バックの外部に突き出されずにそのシート・バックに容易に配置可能になり、直後の後側シートに着座空間を広く確保でき、そして、乗員にとってその後側シートに着座し易くなり、また、その後側シートから降り易くなり、その前側シートに外観品質が確実に向上され、そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップには、その乗員に把持されて作用される荷重に耐える強固な保持が十分に確保され、さらに、そのスティ・ガイドと別体にすることによっては大型化が避けられ、そして、アシスト・グリップを付けないシートとのスティ・ガイドの共用化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップの具体例を活用してミニ・バンで乗員がサード・シートに着座する際や降りる際に利用できるように取り付けたセカンド・シートのシート・バックを部分的に示した部分斜視図である。
【図2】そのボックス型樹脂製アシスト・グリップを示した斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿って示した断面図である。
【図4】この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップの別の具体例を示した斜視図である。
【図5】図4の5−5線に沿って示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップは、上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段のそれぞれにスティ・ガイド穴を有する一対のスティ・ガイド保持座とを含んで樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその保持座のそのスティ・ガイド穴にスティ・ガイドを通してはめ込み、そして、そのスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定される。
【0011】
また、この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップは、上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のそ
の細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段を利用する一対のスティ・ガイド保持座とを含み、そして、その一対のスティ・ガイド保持座に一対のスティ・ガイドを対応的に一体化させるように樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその一対のスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定される。
【0012】
そして、そのボックス型アシスト・グリップ本体およびその一対のスティ・ガイド保持座が、硬質樹脂から一体的に成形され、そして、その場合、そのボックス型アシスト・グリップ本体は、それの上端にフランジを一体的に成形する。
【実施例1】
【0013】
以下、特定されて図示された具体例に基づいて、この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップを説明するに、図1ないし図3は、ミニ・バンで乗員が直後の後側シートとし
てサード・シート(図示せず)に着座する際やそのサード・シートから降りる際に利用できるように前側シートとしてのセカンド・シート30のシート・バック31に取り付けられたこの発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップの具体例10を示し、そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ10では、ボックス型アシスト・グリップ本体11が、それの上端16に細長い開口17を開口させてその上端16の外周にフランジ21を突き出し、また、一対のスティ・ガイド保持座19、19が、そのボックス型アシスト・グリップ本体11のその細長い開口17から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体11の両端壁15、15を内側に突き出した段付けに折り曲げてその突出し段18、18のそれぞれにスティ・ガイド穴20、20を有する形状になされ、そして、そのボックス型アシスト・グリップ本体11、そのスティ・ガイド保持座19、19、およびそのフランジ21が、硬質樹脂から一体的に成形される。
【0014】
そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ10は、そのシート・バック31のシート・バック・フレーム(図示せず)のフレーム・トップ(図示せず)にブラケット(図示せず)で取り付けられた一対のスティ・ホルダー(図示せず)を臨んでそのシート・バック31の上面32に開口された細長い落込み穴(図示せず)にはめ込んで埋め込まれ、その保持座19、19のそのスティ・ガイド穴20、20にスティ・ガイド33、33を通してはめ込んでそのスティ・ガイド33、33をそのシート・バック31のそのシート・バック・フレームのそのスティ・ホルダーに差し込んでそのシート・バック31のそのシート・バック・フレームに取り付けられる。
【0015】
そのように、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ10は、そのシート・バック31に埋込み状態でそのシート・バック31のその上面32に固定可能になってそのセカンド・シート30のそのシート・バック31の外部に突き出されずにそのシート・バック31に容易に配置可能になり、そのサード・シートに着座空間が広く確保され、乗員にとってそのサード・シートに着座し易くなり、また、そのサード・シートから降り易くなり、そのセカンド・シート30に外観品質が確実に向上され、そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ10には、その乗員に把持されて作用される荷重に耐える強固な保持が十分に確保され、さらに、そのスティ・ガイドと別体にすることによって大型化が避けられ、また、アシスト・グリップを付けないシートとのスティ・ガイドの共用化が可能になる。
【実施例2】
【0016】
図4および図5は、前述のミニ・バンで乗員がそのサード・シートに着座する際やそのサード・シートから降りる際に利用できるようにそのセカンド・シート30のそのシート・バック31に取り付けられるところのこの発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップ
の別の具体例40を示し、そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ40では、ボックス型アシスト・グリップ本体41が、それの上端46に細長い開口47を開口させてその上端46の外周にフランジ50を突き出し、また、一対のスティ・ガイド保持座49、49が、そのボックス型アシスト・グリップ本体41のその細長い開口47から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体41の両端壁45、45を内側に突き出した段付けに折り曲げて段付き形状になした突出し段48、48を利用し、そして、そのボックス型アシスト・グリップ本体41、そのスティ・ガイド保持座49、49、およびそのフランジ50が、その一対のスティ・ガイド保持座49、49に一対のスティ・ガイド51、51を対応的に一体化させるように硬質樹脂から一体的に成形される。
【0017】
そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ40は、そのシート・バック31のそのシート・バック・フレームのそのフレーム・トップにそのブラケットで取り付けられたその一対のスティ・ホルダーにその一対のスティ・ガイド51、51を差し込みながらその一対のスティ・ホルダーを臨んでそのシート・バック31のその上面32に開口されたその細長い落込み穴にはめ込んで埋め込まれてそのシート・バック31のそのシート・バック・フレームに取り付けられる。
【0018】
そのように、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ40は、そのシート・バック31に埋込み状態でそのシート・バック31のその上面32に固定可能になってそのセカンド・シート30のそのシート・バック31の外部に突き出されずにそのシート・バック31に容易に配置可能になり、そのサード・シートに着座空間が広く確保され、乗員にとってそのサード・シートに着座し易くなり、また、そのサード・シートから降り易くなり、そのセカンド・シート30に外観品質が確実に向上され、そして、このボックス型樹脂製アシスト・グリップ40には、その乗員に把持されて作用される荷重に耐える強固な保持が十分に確保される。
【0019】
先に図面を参照して説明されたところのこの発明の特定された具体例から明らかであるように、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、この発明の内容は、その発明の性質(nature)および本質(substance)に由来し、そして、それらを内在させると客観的に認められる別の態様に容易に具体化される。勿論、この発明の内容は、その発明の課題に相応し(be commensurate with)、そして、その発明の成立に必須である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
上述から理解されるように、この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップは、上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段のそれぞれにスティ・ガイド穴を有する一対のスティ・ガイド保持座とを含んで樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその保持座のそのスティ・ガイド穴にスティ・ガイドを通してはめ込み、そして、そのスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定されるので、この発明のボックス型樹脂製アシスト・グリップでは、前側シートのシート・バックの外部に突き出されずに埋込み状態でそのシート・バックのその上面に固定されてそのシート・バックに容易に配置可能になり、直後の後側シートに着座空間を広く確保でき、そして、乗員にとってその後側シートに着座し易くなり、また、その後側シートから降り易くなり、その前側シートに外観品質が確実に向上され、そして、その乗員に把持されて作用される荷重に耐える強固な保持が十分に確保され、さらに、そのスティ・ガイドと別体にすることによって大型化が避けられ、そして、アシスト・グリップを付けないシートとのスティ・ガイドの共用化が可能になり、その結果、自動車シートにとって非常に有用で実
用的である。
【符号の説明】
【0021】
10 ボックス型樹脂製アシスト・グリップ
11 ボックス型アシスト・グリップ本体
12 細長い底壁
13 細長い前面壁
14 細長い後面壁
15 端壁
16 上端
17 細長い開口
18 突出し段
19 スティ・ガイド保持座
20 スティ・ガイド穴
21 フランジ
30 セカンド・シート
31 シート・バック
32 上面
33 スティ・ガイド
40 ボックス型樹脂製アシスト・グリップ
41 ボックス型アシスト・グリップ本体
42 細長い底壁
43 細長い前面壁
44 細長い後面壁
45 端壁
46 上端
47 細長い開口
48 突出し段
49 スティ・ガイド保持座
50 フランジ
51 スティ・ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段のそれぞれにスティ・ガイド穴を有する一対のスティ・ガイド保持座とを含んで樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその保持座のそのスティ・ガイド穴にスティ・ガイドを通してはめ込み、そして、そのスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定されるところのボックス型樹脂製アシスト・グリップ。
【請求項2】
上端を細長い開口に開口させるボックス型アシスト・グリップ本体と、そのボックス型アシスト・グリップ本体のその細長い開口から適宜に沈んだ位置でそのボックス型アシスト・グリップ本体の両端壁を内側に突き出した段付き形状になし、そして、その両突出し段を利用する一対のスティ・ガイド保持座とを含み、そして、その一対のスティ・ガイド保持座に一対のスティ・ガイドを対応的に一体化させるように樹脂から一体的に成形され、そして、シート・バックの上面に埋め込んでその一対のスティ・ガイドをそのシート・バックのシート・バック・フレーム側に取り付けてそのシート・バックに固定されるところのボックス型樹脂製アシスト・グリップ。
【請求項3】
そのボックス型アシスト・グリップ本体およびその一対のスティ・ガイド保持座が、硬質樹脂から一体的に成形される請求項1および2の何れかに記載のボックス型樹脂製アシスト・グリップ。
【請求項4】
そのボックス型アシスト・グリップ本体が、それの上端にフランジを一体的に成形する請求項1ないし3の何れかに記載のボックス型樹脂製アシスト・グリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−192907(P2012−192907A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60311(P2011−60311)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】