説明

ボビンホルダ

【課題】糸巻きボビンから編組機の専用ボビンへの線材の巻き替え作業を排除して、糸巻きボビンを編組機に装着保持できるボビンホルダを提供する。
【解決手段】中心穴5が形成された円筒状の巻付軸4に、この巻付軸の一端部および他端部を除き線材が巻き付けられてなる糸巻きボビン2を保持するためのボビンホルダ1であって、第1ロッド部11および第2ロッド部21を、糸巻きボビンの巻付軸の中心穴の一端部側および他端部側からそれぞれ嵌挿させて、巻付軸の一端部および他端部を第1リング溝15内および第2リング溝25内に入り込ませて、第1フランジ部12と第2フランジ部22により糸巻きボビンの巻付軸に巻き付けられた線材を両側から挟み込んで、糸巻きボビンを保持するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の線材が巻き付けられた糸巻きボビンを保持するためのボビンホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
糸巻きボビン2は、図2に示すように、その円筒状の巻付軸4に所定量の絶縁性樹脂糸等の線材3が多層状に巻き付けられて成り、編組機により電線等の芯材の外周に上記の線材3を編組するときには、糸巻きボビン2から編組機に装着される専用ボビン90(図5参照)に、この線材3を巻き替える作業が必要となっている。この専用ボビン90は、線材3が巻き付けられるためのロッド部91と、このロッド部91と一体に繋がり円盤状に形成された上フランジ部92ならびに下フランジ部93と、編組機に回動自在に取り付けられて駆動するための駆動歯が設けられた装着部94とから形成されており、糸巻きボビン2から線材3を専用ボビン90に巻き替えることにより、上フランジ部92と下フランジ部93がロッド部91に巻き付けられた線材3を上下から保持する構成となっている。そして、かかる場合、糸巻きボビン2から専用ボビン90へ線材3を巻き替えるために線材巻取装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−18517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、すでに糸巻きボビン2に巻き取られた線材3を、編組機に装着される専用ボビン90に巻き替えを行うことは本来無駄な作業であって、作業効率を低下させると共に、この線材3の巻き替えに掛かる時間につき編組機を機械停止させてしまうため、編組機の稼働率の低下を及ぼすこととなる。
【0004】
また、糸巻きボビン2から巻付軸の異なる上記の専用ボビン90へ巻き替えを行うとすると、線材3の巻き乱れ等を起こし、専用ボビン90への巻き付けが不均一となる巻き不良が発生するため、これを編組機で使用した場合には、線材3に均一の張力が作用されず、編組不良の原因にもなっている。
【0005】
以上のような課題に鑑みて、本発明では、糸巻きボビンから編組機の専用ボビンへの線材の巻き替え作業を排除して、糸巻きボビンを編組機に装着保持できるボビンホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために第1の本発明に係るボビンホルダは、中心穴が形成された円筒状の巻付軸に、この巻付軸の一端部および他端部を除き線材が巻き付けられてなる糸巻きボビンを保持するためのボビンホルダであって、巻付軸の一端部側から中心穴に挿脱可能に嵌挿される第1ロッド部と、この第1ロッド部と一体に繋がり糸巻きボビンの巻付軸の一端部を受容するような第1リング溝を第1ロッド部との連結部に有して第1ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部とからなる第1ホルダと、
巻付軸の他端部側から中心穴に挿脱可能に嵌挿される第2ロッド部と、この第2ロッド部と一体に繋がり糸巻きボビンの巻付軸の他端部を受容するような第2リング溝を第2ロッド部との連結部に有して第2ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部とからなる第2ホルダとを有して構成され、第1ロッド部および第2ロッド部を糸巻きボビンの巻付軸の中心穴の一端部側および他端部側からそれぞれ嵌挿させて、巻付軸の一端部および他端部を第1リング溝内および第2リング溝内に入り込ませて、第1フランジ部と第2フランジ部により糸巻きボビンの巻付軸に巻き付けられた線材を両側から挟み込んで、糸巻きボビンを保持するように構成される。
【0007】
また、第2の本発明に係るボビンホルダは、中心穴が形成された円筒状の巻付軸に、この巻付軸の一端部および他端部を除き線材が巻き付けられてなる糸巻きボビンを保持するためのボビンホルダであって、巻付軸の一端部側から中心穴に挿脱可能に嵌挿される第1ロッド部と、この第1ロッド部と一体に繋がり第1ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部とからなる第1ホルダと、巻付軸の他端部側から中心穴に挿脱可能に嵌挿される第2ロッド部と、この第2ロッド部と一体に繋がり第2ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部とからなる第2ホルダと、糸巻きボビンの巻付軸を遊挿可能な挿通穴が形成された円盤状の第1保持板および第2保持板と、第1付勢部材(例えば、第2の実施形態における第1皿バネ160)および第2付勢部材(例えば、第2の実施形態における第2皿バネ170)とを有して構成されて、第1ロッド部を第1保持板の挿通穴に遊挿すると共に第1付勢部材を第1フランジ部と第1保持板との間に設けて糸巻きボビンの一端部側から中心穴に嵌挿させて、第2ロッド部を第2保持板の挿通穴に遊挿すると共に第2付勢部材を第2フランジ部と第2保持板との間に設けて糸巻きボビンの他端部側から前記中心穴に嵌挿させて、第1付勢部材は第1保持板が一端部側から線材に当接するように付勢すると共に、第2付勢部材は第2保持板が他端部側から線材に当接するように付勢することにより、線材を両側から挟み込んで糸巻きボビンを保持するように構成される。
【0008】
なお、第1および第2の本発明に係るボビンホルダにおいて、第1ロッド部の軸端部または第2ロッド部の軸端部の一方に雄ネジが形成されて、他方に雌ネジが形成されており、第1ロッド部および第2ロッド部を中心穴の一端部側および他端部側からそれぞれ嵌挿させたときに、雄ネジと雌ネジを螺合させて、第1フランジ部と第2フランジ部により巻付軸に巻き付けられた線材を両側から挟み込んだ状態を保持するように構成されることが好ましい。
【0009】
また、第1および第2の本発明に係るボビンホルダにおいて、第1ロッド部および第2ロッド部の一方または両方の周面に外方に突出する回り止め用の突起部が形成されて構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
第1及び第2の本発明に係るボビンホルダを、第1ホルダおよび第2ホルダが糸巻きボビンの巻付軸に巻き付けられた線材を両側から挟み込んで糸巻きボビンを保持するような構成としているため、糸巻きボビンを編組機の専用ボビンに巻き替えることなく、ボビンホルダが糸巻きボビンを両側から当接保持して編組機に装着させることができる。よって、線材の巻き替え作業を排除することができ、編組機の稼働率を低下させることがないと共に、線材の巻き乱れによる編組不良の発生も解消することができる。
【0011】
また、第2の本発明に係るボビンホルダを、第1付勢部材および第2付勢部材の付勢力により第1保持板および第2保持板が線材を両側から当接されるように付勢する構成としているため、巻付軸に巻き付けられた線材が弛んで解れないように糸巻きボビン2を保持することができる。
【0012】
さらに、第1ロッド部の軸端部または第2ロッド部の軸端部の一方に雄ネジが形成されて、他方に雌ネジが形成されるように構成されると、これらの螺合によって第1ホルダおよび第2ホルダによる糸巻きボビンの巻付軸に巻き付けられた線材を両側から挟み込む強さが増して、線材の弛みがなくなると共に、第1ホルダおよび第2ホルダからの糸巻きボビンの抜け止めをすることができる。
【0013】
また、第1ロッド部および第2ロッド部の一方または両方の周面に外方に突出する回り止め用の突起部が形成されるように構成されると、突起部が巻付軸を中心穴から外方へ向けて押圧して密着から生じる摩擦力により、糸巻きボビンがボビンホルダに対してスリップすることが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明に係る第1の実施形態を図1から図3を参照して説明する。本発明の一例であるボビンホルダ1は、糸巻きボビン2を上方から保持する第1ボビンホルダ10と、糸巻きボビン2を下方から保持して編組機に装着される第2ボビンホルダ20とから構成される。
【0015】
糸巻きボビン2は、図2に示すように、軸方向に中心穴5を有して形成された円筒状の巻付軸4と、この巻付軸4の外周に巻き付けられた絶縁性樹脂糸等の線材3とから構成されている。かかる糸巻きボビン2には、巻付軸4の一端部4aおよび他端部4bを除いて、この巻付軸4の外周の略全スパンに渡って所定量の線材3が多層状に巻き付けられている。
【0016】
第1ボビンホルダ10は、図1に示すように、糸巻きボビン2の中心穴5に挿脱可能な外周径を有した円筒状に形成された第1ロッド部11と、この第1ロッド部11と一体に繋がり第1ロッド部11の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部12とからなり、例えば、樹脂一体成形されて作られている。この第1フランジ部12には、第1ロッド部11との連結部に糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4aを受容できるように、第1ロッド部11を囲むリング状の凹みからなる第1リング溝15が形成されている。そして、第1ボビンホルダ10の第1ロッド部11を、糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4a側から中心穴5に嵌挿させたときに、糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4aを第1リング溝15に入り込ませると共に、第1フランジ部12が巻付軸4に巻き付けられた線材3と当接するように構成されている。
【0017】
第2ボビンホルダ20は、図1に示すように、糸巻きボビン2の中心穴5に挿脱可能な外周径を有した円筒状に形成された第2ロッド部21と、この第2ロッド部21と一体に繋がり第2ロッド部21の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部22と、第2フランジ部22と一体に繋がり、編組機に回動自在に取り付けられて駆動するための駆動歯が設けられた装着部29とからなり、例えば、樹脂一体成形されて作られている。また、第2ロッド部21の周面には、楔形に形成されて外方に突出する回り止め用の突起部23が周方向に渡り等間隔に設けられている。第2フランジ部22には、第2ロッド部21との連結部に糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4bを受容できるように、第2ロッド部21を囲むリング状の凹みからなる第2リング溝25が形成されている。そして、この巻付軸4の他端部4b側から中心穴5に、第2ボビンホルダ20の第2ロッド部21を嵌挿させたときには、糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4bを第2リング溝25に入り込ませると共に、第2フランジ部22が巻付軸4に巻き付けられた線材3と当接保持するように構成されている。
【0018】
また、第2ボビンホルダ20は、図3に示すように、糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4b側から中心穴5に第2ロッド部21を嵌挿させたときに、第2ロッド部21に設けられる突起部23が巻付軸4の他端部4bを中心穴5から外方へ押圧して、第2リング溝25に入り込ませた他端部4bを外方へ突出するように押し広げる。これにより、外方へ押し広げられる巻付軸4の周面部(軸突出部4c)が第2フランジ部22を押圧して密着せしめるように構成している。
【0019】
このように構成されるボビンホルダ1において、糸巻きボビン2を編組機に装着保持するには、まず、糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4a側から中心穴5に、第1ホルダ10の第1ロッド部11を嵌挿させて、第1リング溝15に巻付軸4の一端部4aを入り込ませると共に、第1フランジ部12が巻付軸4に巻き付けられた線材3と当接するようにする。
【0020】
同様に、巻付軸4の他端部4b側から中心穴5に、第2ホルダ20の第2ロッド部21を嵌挿させて、第2リング溝25に巻付軸4の他端部4bを入り込ませると共に、第2フランジ部22が巻付軸4に巻き付けられた線材3と当接するようにする。これにより、第1フランジ部12が上方から線材3に当接されると共に、第2フランジ部22が下方から線材3に当接されるようにして糸巻きボビン2を両側から挟み込むようにして保持することができる。
【0021】
よって、ボビンホルダ1が糸巻きボビン2を保持した状態は、図5に示すような専用ボビン90がそのロッド部91に線材3を巻き付けたときと同様な状態となるため、線材3を糸巻きボビン2から専用ボビン90に巻き替えることなく、このボビンホルダ1が糸巻きボビン2を保持して、第2ホルダ20の装着部29により編組機に装着させることができる。
【0022】
また、糸巻きボビン2を保持したボビンホルダ1を編組機に装着して編組を行うためにボビンホルダ1が回動されるように編組機を駆動させたときには、突起部23により外方へ突出するように押し広げられた巻付軸4の軸突出部4cと第2フランジ部22との密着から生じる摩擦力により、糸巻きボビン2が第2ボビンホルダ20に対してスリップすることが防止される。
【0023】
次に、本発明の第2の実施形態について、図4を参照して説明する。なお、この実施形態において上述の第1の実施形態に係る糸巻きボビンの構成については、同一番号を付して、その詳細説明は省略する。この第2実施形態に係るボビンホルダ101は、糸巻きボビン2を上方から保持する第1ボビンホルダ110と、糸巻きボビン2を下方から保持する第2ボビンホルダ120と、糸巻きボビン2に巻き付けられた線材3と当接される第1保持板140および第2保持板150と、この第1保持板140および第2保持板150が線材3に当接されるように付勢する第1皿バネ160(第1付勢部材)および第2皿バネ170(第2付勢部材)とから構成される。
【0024】
第1ホルダ110は、糸巻きボビン2の中心穴5に挿脱可能な円筒状に形成された第1ロッド部111と、この第1ロッド部111と一体に繋がり第1ロッド部111の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部112とからなる。また、第1ロッド部111の軸端部には、第1ロッド部111の軸径より小径な雄ネジ部118が形成されている。
【0025】
第2ホルダ120は、糸巻きボビン2の中心穴5に挿脱可能な円筒状に形成された第2ロッド部121と、この第2ロッド部121と一体に繋がり第2ロッド部121の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部122と、第2フランジ部122と一体に繋がり編組機に回動自在に取り付けられて駆動するための駆動歯が設けられた装着部129とからなる。第2ロッド部121の軸端部には、上述した第1ホルダ110の第1ロッド部111の軸端部に形成された雄ネジ部118と螺合可能なように雌ネジ部128が形成されている。
【0026】
第1保持板140は、円盤状の板体であり、糸巻きボビン2の巻付軸4が挿通可能なように第1挿通穴141が軸中心に形成されている。
【0027】
第2保持板150も同様に、円盤状の板体であり、糸巻きボビン2の巻付軸4が挿通可能なように第2挿通穴151が軸中心に形成されている。
【0028】
第1皿バネ160は、この第1皿バネ160内に糸巻きボビン2の巻付軸4を挿通可能な内径を有している。
【0029】
第2皿バネ170も同様に、この第2皿バネ170内に糸巻きボビン2の巻付軸4を挿通可能な内径を有している。
【0030】
このように構成されるボビンホルダ101において、糸巻きボビン2を編組機に装着保持するには、まず、糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4aを第1保持板140の第1挿通穴141に挿通させて、第1保持板140を糸巻きボビン2の線材3の上方に位置させる。同様に第1皿バネ160も糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4aに挿通させて、すでに巻付軸4の一端部4aに挿通された第1保持板140の上方に位置させる。そして、糸巻きボビン2の巻付軸4の一端部4a側から中心穴5に、第1ホルダ110の第1ロッド部111を上方から嵌挿させて、第1保持板140および第1皿バネ160が、この第1ホルダ110の第1フランジ部112と線材3との間に挟み込まれるようにする。
【0031】
同様にして、糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4bを第2保持板150の第2挿通穴151に挿通させて、第2保持板150を糸巻きボビン2の線材3の下方に位置させる。第2皿バネ170も、糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4bに挿通させて、すでに巻付軸4の他端部4bに挿通された第2保持板150の下方に位置させる。そして、糸巻きボビン2の巻付軸4の他端部4b側から中心穴5に、第2ホルダ120の第2ロッド部121を下方から嵌挿させて、第2保持板150および第2皿バネ170が、この第2ホルダ120の第2フランジ部122と線材3と間に挟み込まれるようにする。
【0032】
そして、第1ホルダ110の第1ロッド部111の雄ネジ部118と第2ホルダ120の第2ロッド部121の雌ネジ部128とを糸巻きボビン2の中心穴5内で螺合させることにより、第1ホルダ110と第2ホルダ120とが連結して、糸巻きボビン2を両側から挟み込んで保持することができる。そして、この螺合により、第1ホルダ110の第1フランジ部112と第2ホルダ120の第2フランジ部122との両フランジ部間の距離を調整して、第1フランジ部112と第1保持板140に挟まれた第1皿バネ160および第2フランジ部122と第2保持板150に挟まれた第2皿バネ170とが、第1保持板140および第2保持板150を線材3に対して当接するように付勢することとなる。よって、第1皿バネ160および第2皿バネ170の付勢力により第1保持板140および第2保持板150が線材3を両側から付勢するように当接されるため、線材3が巻付軸4から解れて崩れないようにして糸巻きボビン2を保持することができる。
【0033】
上述のようにして、ボビンホルダ101が糸巻きボビン2を保持した状態は、図5に示すように、専用ボビン90がそのロッド部91に線材3を巻き付けたときと同様な状態になるため、線材3を糸巻きボビン2から専用ボビン90に巻き替えることなく、このボビンホルダ101が糸巻きボビン2を保持して、第2ホルダ120の装着部129により編組機に装着させることができる。
【0034】
なお、上述の実施の形態では、第1ホルダ10の第1フランジ部12のフランジ面および第2ホルダ20の第2フランジ部22のフランジ面を平坦フラットに形成しているが、これに限られるものではなく、フランジ面をローレット加工して網目状に形成してもよい。これによれば、上記ローレット加工されたフランジ面と当接する線材3の弛みや解れの発生が抑制される。
【0035】
また、上述の実施の形態では、第1付勢部材および第2付勢部材として皿バネ(第1皿バネ160および第2皿バネ170)を使用しているが、これに限られるものではなく、コイルスプリング等であってもよい。
【0036】
さらに、この第1フランジ部12に切り欠き溝を有して構成してもよい。これによれば、上ボビン10と下ボビン20により糸巻きボビン2を両側から保持したときに、線材3を引き出して上記切り欠き溝に引っ掛けるようにすることにより、糸巻きボビン2を保持したボビンホルダ1を編組機に装着するために持ち運ぶ際にも線材3が解れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのボビンホルダを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態および第2実施形態に係るボビンホルダが保持する糸巻きボビンを示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施形態に係るボビンホルダの第2ホルダが糸巻きボビンを保持した状態にある様子を示す要部の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態としてのボビンホルダを示す斜視図である。
【図5】糸巻きボビンから線材を巻き替えるための従来の専用ボビンの斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1,101 ボビンホルダ
2 糸巻きボビン
3 線材
4 巻付軸
4a 一端部
4b 他端部
5 中心穴
10,110 第1ホルダ
11,111 第1ロッド部
12,112 第1フランジ部
15 第1リング溝
20,120 第2ホルダ
21,121 第2ロッド部
22,122 第2フランジ部
23 突起部
25 第2リング溝
90 専用ボビン
118 雄ネジ部
128 雌ネジ部
140 第1保持板
150 第2保持板
160 第1皿バネ(第1付勢部材)
170 第2皿バネ(第2付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心穴が形成された円筒状の巻付軸に前記巻付軸の一端部および他端部を除き線材が巻き付けられてなる糸巻きボビンを保持するためのボビンホルダであって、
前記巻付軸の前記一端部側から前記中心穴に挿脱可能に嵌挿される第1ロッド部と、前記第1ロッド部と一体に繋がり、前記糸巻きボビンの前記巻付軸の前記一端部を受容するような第1リング溝を前記第1ロッド部との連結部に有して、前記第1ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部とからなる第1ホルダと、
前記巻付軸の前記他端部側から前記中心穴に挿脱可能に嵌挿される第2ロッド部と、前記第2ロッド部と一体に繋がり、前記糸巻きボビンの前記巻付軸の前記他端部を受容するような第2リング溝を前記第2ロッド部との連結部に有して、前記第2ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部とからなる第2ホルダとを有して構成され、
前記第1ロッド部および前記第2ロッド部を、前記糸巻きボビンの前記巻付軸の中心穴の前記一端部側および前記他端部側からそれぞれ嵌挿させて、前記巻付軸の前記一端部および前記他端部を前記第1リング溝内および前記第2リング溝内に入り込ませて、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部により前記糸巻きボビンの前記巻付軸に巻き付けられた前記線材を両側から挟み込んで、前記糸巻きボビンを保持するように構成されたことを特徴とするボビンホルダ。
【請求項2】
中心穴が形成された円筒状の巻付軸に前記巻付軸の一端部および他端部を除き線材が巻き付けられてなる糸巻きボビンを保持するためのボビンホルダであって、
前記巻付軸の前記一端部側から前記中心穴に挿脱可能に嵌挿される第1ロッド部と、前記第1ロッド部と一体に繋がり、前記第1ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第1フランジ部とからなる第1ホルダと、
前記巻付軸の前記他端部側から前記中心穴に挿脱可能に嵌挿される第2ロッド部と、前記第2ロッド部と一体に繋がり、前記第2ロッド部の周面と略垂直をなして円盤状に形成された第2フランジ部とからなる第2ホルダと、
前記巻付軸を遊挿可能な挿通穴が形成された円盤状の第1保持板および第2保持板と、
第1付勢部材および第2付勢部材とを有して構成されて、
前記第1ロッド部を前記第1保持板の前記挿通穴に遊挿すると共に前記第1付勢部材を前記第1フランジ部と前記第1保持板との間に設けて前記糸巻きボビンの前記一端部側から前記中心穴に嵌挿させて、
前記第2ロッド部を前記第2保持板の前記挿通穴に遊挿すると共に前記第2付勢部材を前記第2フランジ部と前記第2保持板との間に設けて前記糸巻きボビンの前記他端部側から前記中心穴に嵌挿させて、
前記第1付勢部材は前記第1保持板が前記一端部側から前記線材に当接するように付勢すると共に、前記第2付勢部材は前記第2保持板が前記他端部側から前記線材に当接するように付勢することにより、前記線材を両側から挟み込んで前記糸巻きボビンを保持するように構成されたことを特徴とするボビンホルダ。
【請求項3】
前記第1ロッド部の軸端部または前記第2ロッド部の軸端部の一方に雄ネジが形成されて、他方に雌ネジが形成されており、
前記第1ロッド部および前記第2ロッド部を、前記中心穴の前記一端部側および前記他端部側からそれぞれ嵌挿させたときに、前記雄ネジと前記雌ネジを螺合させて、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部により前記巻付軸に巻き付けられた前記線材を両側から挟み込んだ状態を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボビンホルダ。
【請求項4】
前記第1ロッド部および前記第2ロッド部の一方または両方の周面に外方に突出する回り止め用の突起部が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボビンホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−12918(P2009−12918A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175961(P2007−175961)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000115142)ユニオンマシナリ株式会社 (38)
【出願人】(598020479)タカネ電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】