説明

ボビン

【課題】汚染が発生せず、製造にかかるコストが低く、カラー層が持久性を有し剥落しにくいカラーを識別可能なボビンを提供する。
【解決手段】カラーを識別可能なボビン10は、管部20、第一側翼30、及び第二側翼40を備える。管部20は第一端21と第二端22とを有し、第一側翼30は管部20の第一端21から外径方向に沿い延伸して形成され、第二側翼40は管部20の第二端22から外径方向に沿い延伸して形成される。第一側翼30が少なくとも一つの凹部32を有し、凹部32が環状、円形、または弧形を呈し、ボビン10が凹部32に塗布されたカラー層48を有するため、カラー層48が摩擦または衝撃を与えられて剥落するという現象が起こりにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボビン、詳しく言えば汚染が発生することなく製造にかかるコストが低く、カラー層が持久性を有しかつ剥落しにくく、カラーを識別することを可能にするボビン関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体のパッケージングに用いられるボンディングワイヤー(bonding wire)は運送と保存の便を図るためにボビンに巻かれる。図1に示すようにボビン1は金属材質から構成され、かつ陽極処理技術により金属本体の外部にさび防止層2を生成することにより金属本体を酸化させることを抑制し、また導電作用を起こすためにボビン1の管部3の内壁と両側翼の外壁とにニッケル層をめっきし、また直径の異なるボンディングワイヤーを識別するために陽極処理に顔料を加え、特定のカラーを呈するさび防止層を形成することによりカラーを識別する。ボビン1に陽極処理とニッケルめっきなどの工程が必要であるため、製造にかかるコストが高くなる。
【0003】
製造にかかるコストを削減するために、ボビン6全体にニッケルメッキを施せば、さび防止効果と導電作用とを兼ね備えることが可能である。また図2及び図3に示すように、カラーを識別するためにラインローロー6の一つの側翼7の外側にカラー層8を塗布することが可能である。しかし側翼7の外部から露出するカラー層8は衝撃または摩擦を受けて剥落しやすくなるため、ボビン6はカラー識別機能を失い、カラー層8が剥落して発生した粉末は環境を汚染する恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、汚染が発生することなく製造にかかるコストが低く、カラー層が持久性を有しかつ剥落しにくく、カラーを識別することを可能にするボビンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明によるカラーを識別可能なボビンは、管部、第一側翼、及び第二側翼を備える。管部は第一端と第二端とを有し、第一側翼は管部の第一端から外径方向に沿い延伸して形成され、第二側翼は管部の第二端から外径方向に沿い延伸して形成される。その特徴は第一側翼が少なくとも一つの凹部を有し、凹部が環状、円形または弧形を呈し、ボビンが凹部に塗布されたカラー層を有するため、カラー層が摩擦または衝撃を与えられて剥落するという現象が起こりにくいことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の構造と特徴を詳細に説明するために、以下の六つの実施例を挙げ、図面に合わせて説明を進める。まず図面の説明は下記の通りである。
図4は本発明の第一実施例の立体図である。
図5は図4の5‐5線に沿う断面図である。
図6は本発明の第二実施例の断面図である。
【0007】
図7は本発明の第三実施例の断面図である。
図8は本発明の第四実施例の断面図である。
図9は本発明の第五実施例の断面図である。
図10は本発明の第六実施例の立体図である。
図4及び図5に示すように、本発明の第一実施例によるカラーを識別可能なボビン10は管部20、第一側翼30、及び第二側翼40を備える。ボビンはボンディングワイヤー(図中未表示)を巻くのに用いられる。
【0008】
管部20は第一端21と第二端22とを有する円管であり、第一側翼30は管部20の第一端21から外径方向に沿い延伸して形成され、第二側翼40は管部20の第二端22から外径方向に沿い延伸して形成される。また第一側翼30は外壁に環状の凹部32を有する。管部20、第一側翼30、及び第二側翼40はニッケル膜がめっきされたアルミニウム材質から構成されるため、導電とさび防止機能とを有し、かつ製造にかかるコストがそれほど高くない。また第一側翼30と第二側翼40とは位置固定に用いる欠け口34、44を別々に有し、カラー層48は凹部32に塗布される。塗布方法はプリント、焼付け、スプレーまたはほかの方法を採用することが可能である。またカラー層48の頂面は第一側翼30の外壁に突出していないため、カラー層48が衝撃または摩擦を受けて剥落するという現象が発生せず、ボビン10のカラー識別機能を長持ちにすることが可能なだけでなく、製造工程においての汚染の発生を避けることが可能である。これにより周知の構造上の欠点を改善し、本発明の目的を達成することが可能となる。
【0009】
実際に製造する場合、さらに第二側翼40にカラー層を塗布するための凹部を形成することによりボビンの両側にカラー識別機能を与えることも可能である。凹部32の位置は多様化することが可能である。例えば、本発明の第二実施例によるボビン50の場合、図6に示すように第一側翼52の外壁の外側に環状の凹部53を形成し、続いてカラーを識別するために凹部53にカラー層54を塗布することも可能である。
【0010】
本発明の第三実施例によるボビン60の場合、図7に示すように第一側翼62の外壁の内側に環状の凹部63を形成し、続いてカラーを識別するために凹部63にカラー層64を塗布することも可能である。
本発明の第四実施例によるボビン70の場合、図8に示すように第一側翼72外壁の内側と外側とに環状の凹部73、74を別々に形成し、続いて二つの凹部73、74にカラー層75、76を別々に塗布することも可能である。
【0011】
本発明の第五実施例によるボビン80の場合、図9に示すように第一側翼82の外壁に内側から外側へ配列する三つの環状の凹部83、84、85を形成し、続いて三つの凹部83、84、85にカラー層86、87、88を別々に塗布することも可能である。この時、カラー層に異なるカラーを別々に塗布すれば、カラーにより直径の異なるボンディングワイヤーを巻いたボビン80を容易に識別することが可能である。
また、凹部の形も多様化することが可能である。例えば、環状、弧形(図2に示すカラー層の形)または円形を呈することが可能である。例えば、本発明の第六実施例によるボビン90の場合、図10に示すようにボビン90の第一側翼92に数多くの円形の凹部94を形成し、それぞれの凹部94にカラー層96を別々に塗布することが可能である。
【0012】
上述をまとめてみると、凹部の形または数の変更にもかかわらず、ボビンの任意の一つの側翼に凹部を有し、凹部にカラー識別に用いるカラー層を塗布することさえあれば、本発明の請求範囲に属すべきである。またボビンは外部にニッケルメッキ層を有するアルミニウム材質から構成するか或いは酸化しにくくて導電性のある金属(例えばプラチナ)から一体成形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】周知のボビンの斜視図である。
【図2】周知のもう一つのボビンの斜視図である。
【図3】図2の3‐3線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第一実施例によるカラーを識別可能なボビンの斜視図である。
【図5】図4の5‐5線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第二実施例によるカラーを識別可能なボビンの断面図である。
【図7】本発明の第三実施例によるカラーを識別可能なボビンの断面図である。
【図8】本発明の第四実施例によるカラーを識別可能なボビンの断面図である。
【図9】本発明の第五実施例によるカラーを識別可能なボビンの断面図である。
【図10】本発明の第六実施例によるカラーを識別可能なボビンの斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
10 ボビン、20 管部、21 第一端、22 第二端、30 第一側翼、32 凹部、34 欠け口、40 第二側翼、44 欠け口、48 カラー層、50 ボビン、52 第一側翼、53 凹部、54 カラー層、60 ボビン、62 第一側翼、63 凹部、64 カラー層、70 ボビン、72 第一側翼、73 凹部、74 凹部、74 カラー層、75 カラー層、80 ボビン、82 第一側翼、83、84、85 凹部、86、87、88 カラー層、90 ボビン、92 第一側翼、94 凹部、96 カラー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端と第二端とを有する管部と、
管部の第一端から外径方向に沿い延伸して形成される第一側翼と、
管部の第二端から外径方向に沿い延伸して形成される第二側翼と、
を備えるカラーを識別可能なボビンであって、
第一側翼は少なくとも一つの凹部を有し、ボビンは凹部に塗布されたカラー層を有することを特徴とするカラーを識別可能なボビン。
【請求項2】
凹部は環状を呈することを特徴とする請求項1に記載のカラーを識別可能なボビン。
【請求項3】
凹部は円形を呈することを特徴とする請求項1に記載のカラーを識別可能なボビン。
【請求項4】
凹部は弧形を呈することを特徴とする請求項1に記載のカラーを識別可能なボビン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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