説明

ボビン

本発明はボビンに関し、ボビンが地面から転がらないように支える回転防止手段を備えるボビンを提供する。
本発明のボビンは、ワイヤが巻き取られる円筒部111と、前記円筒部の左右側面に該円筒部の径より大きい径を有する板状の鍔112a、112bと、前記円筒部の中央と前記右側および左側の鍔中央を通して形成される貫通孔113と、前記右側および左側の鍔から貫通孔に差し込まれるように突出する一対の支持軸122a、122bと両端部が前記一対の支持軸に各々固定され、前記右側および左側の鍔の外面に当接して該鍔と平行な方向に延長される右側および左側の支持台121a、121bを備えた“コ”字形の取っ手120と、前記ボビンの回転防止手段を備える。
特に、前記ボビンの回転防止手段は、板状の鍔の外周面が凹部からなる複数の第1領域部160と凸部からなる複数の第2領域部170が交互に配置され、前記第2領域部の中で隣り合う二つの領域部が平坦面に接するように構成される第1回転防止手段と、前記取っ手120が平坦面に接するように構成される第2回転防止手段からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボビンに関し、特にボビンが地面から転がらないように支える回転防止手段を備えるボビンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ボビンは繊維、ワイヤなどを巻いて保管するものであり、従来から幅広く使用されている。ボビンに巻き取られるものは繊維のように軽いものもあるが、金属からなるワイヤのように重いものもある。従って、金属のワイヤがボビンに巻き取られると該ボビンの重さは大きく増える。
【0003】
ボビンは、ワイヤが巻き取られる円筒部と、該円筒部の両側にワイヤが外側に外れないように円筒部より径が大きく形成される鍔からなる。従って、円筒部に巻き取られたワイヤは鍔によって外側に外れない状態で保管される。放電加工用ワイヤが巻き取られたボビンは、一例として図1および図2のように四つの仕切り2に分けられた箱1に四つのボビン10が収納される。
【0004】
実際に放電加工用ワイヤが巻き取られているボビンが、箱内に複数個ずつ梱包されて販売されている。ワイヤが巻き取られたボビンが軽ければ手でボビンを容易に持ち上げることができるが、ボビンに放電加工用ワイヤのように重い金属材が巻き取られている場合には、各ボビンの重さが数十kg以上になる場合もある。重いボビンを持ち上げるために箱とボビンとの間に手を差し入れるとき、手に傷が付いたり怪我をする虞がある。また、ボビンを取り出して作業場の底に放置するとボビンが転がって作業者の足に怪我などの被害を与えるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するために案出され、ボビンを箱から容易に出し入れできるとともに、底に放置しても転がらない二重の回転防止手段を備えるボビンを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ボビンに設置される取っ手とボビンの鍔にボビンの回転防止手段をともに備えて使用の便利さと安全性が向上されるボビンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するために本発明のボビンは、ワイヤが巻き取られる円筒部と、前記円筒部の左右側面に該円筒部の径より大きい径を有する板状の鍔と、前記円筒部の中央と前記右側および左側の鍔中央を通して形成される貫通孔と、前記ボビンの回転防止手段を備え、前記ボビンの回転防止手段は、前記板状の鍔の外周面が複数の第1領域部と複数の第2領域部が交互に配置され、前記第1領域部の中で隣り合う二つの領域部または前記第2領域部の中で隣り合う二つの領域部が平坦面に接するように構成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のボビンは、ワイヤが巻き取られる円筒部と、前記円筒部の左右側面に該円筒部の径より大きい径を有する板状の鍔と、前記円筒部の中央と前記右側および左側の鍔中央を通して形成される貫通孔と、前記右側および左側の鍔から貫通孔に差し込まれるように突出する一対の支持軸と両端部が前記一対の支持軸に各々固定され、前記右側および左側の鍔の外面に当接して該鍔と平行な方向に延長される右側および左側の支持台を備えた“コ”字形の取っ手と、前記ボビンの回転防止手段を備え、前記ボビンの回転防止手段は、前記板状の鍔の外周面が複数の第1領域部と複数の第2領域部が交互に配置され、前記第1領域部の中で隣り合う二つの領域部または前記第2領域部の中で隣り合う二つの領域部が平坦面に接するように構成される第1回転防止手段と、前記取っ手が平坦面に接するように構成される第2回転防止手段からなることを特徴とする。
【0008】
また、前記第1領域部と第2領域部の何れか一方は凹部、他方は凸部から構成されて交互に配置されることを特徴とする。
また、前記取っ手の支持台の内側には取っ手の回動防止用突起が設置され、前記鍔の外面には前記取っ手の回動防止用突起が収められる穴が所定の間隔をおいて多数構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボビンは、取っ手を利用して箱から容易に出し入れできるとともに、平坦面に放置しても鍔の外周面に形成される第1回転防止手段と取っ手に形成される第2回転防止手段によってボビンの転がりが防止されるので、使用の便利さと安全性が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術によるボビンが箱に収納されている状態で、箱の開放状態を示す斜視図。
【図2】従来のボビンを収納するための箱の斜視図。
【図3】本発明のボビンの分解斜視図。
【図4】本発明のボビンの立体図。
【図5】本発明のボビンの取っ手の回動防止用突起の作用を説明するための断面図。
【図6】本発明のボビンの鍔の外周面の他の形態を示す立体図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のボビン110は、図3のようにワイヤが巻き取られる円筒部111と、該円筒部の両側に形成された鍔112a、112bから形成され、その中央には貫通孔113が形成されている。
【0012】
取っ手120は、垂直に延長された二つの支持台即ち、右側支持台121aと左側支持台121bが一体に形成されて“コ”字形に構成され、前記各支持台の内側には貫通孔113に差し込まれる支持軸122a、122bと、両鍔112a、112bの外面に形成された穴114a、114bに各々差し込まれる取っ手の回動防止用突起115a、115bが各々形成されている。従って、プラスチックなどの弾性部材から構成される取っ手の右側支持台121aと左側支持台121bの間を開けた後、夫々の支持軸122a、122bと取っ手の回動防止用突起115a、115bが貫通孔113と穴114a、114bに差し込まれるように合わせて組み立てる。
【0013】
前記右側支持台121aと左側支持台121bの下端に突出する支持軸122a、122bは、プラスチックからなる取っ手の弾性力を勘案して組み立てに影響を与えないとともに、ボビンに巻き取られたワイヤの重さによって離脱しないように、突出する長さが概ね10−20mmになるように形成することが好ましい。
【0014】
一方、前記取っ手の回転防止用突起115a、115bは、右側支持台121aと左側支持台121bの内側面の上端に、両側面がテーパ形に約3mmぐらい突出する突部が構成される。
【0015】
右側支持台121aと左側支持台121bの内側面の下端に10−20mm突出して構成される支持軸122a、122bと比べて、取っ手の回転防止用突起115a、115bの突出長さを短く形成し、突出面の両側面をテーパ形に構成することは、必要に応じてボビンの取っ手の位置を容易に回転させて変更できるようにするためである。取っ手120を回転させようとする場合には、図5のように右側支持台121aと左側支持台121bの上端を両手で広げて取っ手120を回転させて移動させたり、鍔の円周方向に取っ手を強く押さえつけて突起115a、115bが差し込まれている穴から隣の穴に移動させたりすれば良い。
【0016】
また、前記ボビンの鍔112a、112bの各外周面は、陥凹形成される複数の第1領域部160と突出形成される複数の第2領域部170が構成され、第1領域部と第2領域部は交互に配置される。
【0017】
前記第1領域部160および第2領域部170は、図4のようにボビンの鍔の外周面が平坦面に接触したとき、凹部の第1領域部160を介して互いに隣り合う二つの第2領域部170が平坦面に接触するのでボビンの第1回転防止手段として作用する。
【0018】
互いに隣り合う二つの凸部の第2領域部170が平坦面に接触したとき、その間の間隔dが大きいほどボビンの回転防止機能が向上するが、本発明では円板状の鍔を維持しながら回転防止機能を行なうためにdを20−40mmにした。
【0019】
本発明は、前記ボビンの鍔の外周面に形成される第1回転防止手段とともに、取っ手の回転防止用突起115a、115bが穴114a、114bに挿入されて掛かっているので、取っ手120が第2回転防止手段として作用する。
【0020】
本発明は、取っ手120の縁が線180の平坦面に接するとき、隣り合う二つの第2領域部170が平坦面に同時に接してボビンが地面に安定し、ボビンの転がりまたは遊動が生じないという長所がある。
【0021】
ボビンの鍔の外周面に構成される第1領域部160および第2領域部170は、図4の構造に限定されず図6の構造のように凹部と凸部の形態を変更して構成しても良い。
【0022】
本発明のボビンは、明細書に例示されている構造に限定されず、本発明の目的および請求範囲内で様々に設計変更して実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、放電加工に利用される金属ワイヤなどを巻き取るボビンに適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤが巻き取られる円筒部と、前記円筒部の左右側面に該円筒部の径より大きい径を有する板状の鍔と、前記円筒部の中央と前記右側および左側の鍔中央を通して形成される貫通孔と、前記ボビンの回転防止手段を備え、
前記ボビンの回転防止手段は、前記板状の鍔の外周面が複数の第1領域部と複数の第2領域部が交互に配置され、前記第1領域部の中で隣り合う二つの領域部または前記第2領域部の中で隣り合う二つの領域部が平坦面に接するように構成されることを特徴とするボビン。
【請求項2】
ワイヤが巻き取られる円筒部と、前記円筒部の左右側面に該円筒部の径より大きい径を有する板状の鍔と、前記円筒部の中央と前記右側および左側の鍔中央を通して形成される貫通孔と、前記右側および左側の鍔から貫通孔に差し込まれるように突出する一対の支持軸と両端部が前記一対の支持軸に各々固定され、前記右側および左側の鍔の外面に当接して該鍔と平行な方向に延長される右側および左側の支持台を備えた“コ”字形の取っ手と、前記ボビンの回転防止手段を備え、
前記ボビンの回転防止手段は、前記板状の鍔の外周面が複数の第1領域部と複数の第2領域部が交互に配置され、前記第1領域部の中で隣り合う二つの領域部または前記第2領域部の中で隣り合う二つの領域部が平坦面に接するように構成される第1回転防止手段と、前記取っ手が平坦面に接するように構成される第2回転防止手段からなることを特徴とするボビン。
【請求項3】
前記第1領域部と第2領域部の何れか一方は凹部、他方は凸部から構成されて交互に配置されることを特徴とする請求項2に記載のボビン。
【請求項4】
前記取っ手の支持台の内側には取っ手の回動防止用突起が設置され、前記鍔の外面には前記取っ手の回動防止用突起が収められる穴が所定の間隔をおいて多数構成されることを特徴とする請求項2に記載のボビン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−528771(P2012−528771A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513874(P2012−513874)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003574
【国際公開番号】WO2010/140850
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511267930)
【出願人】(511267941)
【Fターム(参考)】