説明

ボリン酸複合体の抗寄生虫的使用

抗寄生虫剤としての、また、寄生虫によって引き起こされる疾患の治療のための治療薬としての、ボリン酸複合体、特に、ヒドロキシキノリン、イミダゾール、およびピコリン酸誘導体の組成物および使用方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連米国特許出願の相互参照
本出願は、2004年6月14日に出願の米国特許仮出願第60/579,476号(その内容全体をあらゆる目的のために参照により本明細書に援用する)の米国特許法第119条(e)項下での利益を主張する。
【0002】
2 発明の背景
2.1 発明の分野
本発明は、抗寄生虫性のボリン酸エステル化合物およびその使用の分野に関する。これらの化合物およびその薬剤組成物を調製および使用するための方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術
現代の医学の1つの特徴は、細菌および菌類による感染症に関連する罹患率および死亡率の低下であった。しかし、寄生虫による感染症の分野はそれほど進歩していない。世界保健機構(WHO)によれば、毎年約3億〜5億人は、病因となる寄生虫(最も一般的には熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)または三日熱マラリア原虫(P.vivax)、時として四日熱マラリア原虫(P.malariae)、卵形マラリア原虫(P.ovale))に感染しており、1年につき100万〜300万の死亡は、この疾患に起因する。この疾患による罹患率が、かなりの割合であることは、それが風土病である地域の経済に影響を及ぼしてきており、さらなる経済的発展に対する障害である。マラリア発生率は、化学的予防法および殺虫剤の出現および普及に伴い、1950年代および1960年代に一時的に横ばいになったが、この数十年で増大している。薬物および殺虫剤への耐性が、主としてこの復活の原因である。先進工業国と、マラリアが風土病であるサハラ以南のアフリカや他の地域との間の移動が増加したり、HIV−1(マラリアと相互に悪化させ合う)の有病率が増大したりすることによって、問題が悪化してきている。
【0004】
かつてはマラリアの予防および治療の頼みの綱であったクロロキンは、サハラ以南のアフリカ、インド、および南アメリカの大部分を含めてマラリアが風土病である多くの地域に耐性が広がったことによって、損なわれている。メフロキンは、クロロキン耐性の熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)および三日熱マラリア原虫(P.vivax)に対する有効性を維持しているが、消化管の不調、めまい、および神経心理学的副作用を伴い、許容性が十分でない。これは、ある種の心臓異常患者、また、同時にキニーネ様薬物を使用している人々については、妊娠第1三半期において禁忌である。アトバクオン−プログアニル(マラローン(MALARONE)(商標))(2000年中頃中にFDAによって承認された)は、より容易に許容され、そのより短い投薬レジメンのため、予防用の他の薬物よりも、より優れた服薬遵守を導き出す。しかし、アトバクオン−プログアニルに対する耐性は、既に観察されている。
【0005】
リーシュマニア症は、皮膚の潰瘍化から全身性感染症にまで及ぶ臨床的症候群を引き起こす可能性がある原虫性の寄生虫疾患である。世界の皮膚リーシュマニア症の新規の患者の数が、毎年約150万であると考えられるのに対して、内臓リーシュマニア症について相当する数字は、50万である。内臓リーシュマニア症は、死亡率が75〜95%に及ぶ進行性の疾患である。治療の選択肢は限られる。頼みの綱は、五価のアンチモン化合物であり、これは、1930年代に最初に導入されたが、高い副作用があった。アンホテリシンBなどの抗真菌性化合物、およびケトコナゾールなどの様々なアゾールが使用されたが、五価のアンチモン化合物ほど有効ではなかった。ミルテフォシン(ホスホコリンの類似体)は、現在第2相試験中の実験薬物である。
【0006】
アフリカヒトトリパノソーマ症(アフリカ睡眠病)は、トリパノソーマ属の原虫寄生体による感染によって引き起こされる。2つの主な亜種は、ローデシアトリパノソーマとガンビアトリパノソーマである。この疾患は、破壊的な流行病の潜在的可能性、また、処置しなかった場合の死に至る結果について知られている。トリパノソーマ症のための現在の治療は、使用される薬物が、重大な副作用を有する可能性があるので、患者にいくつかの問題を与える可能性がある。疾患の遅いステージでは、ヒ素を含有する化合物を使用しなければならないが、これによって、患者のうちの5〜10%が死亡する。アメリカトリパノソーマ症(シャガス病)は、寄生虫クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)による感染によって引き起こされる。シャガス病は、ラテンアメリカ全体を通して約1600万〜1800万人が冒されている心臓病の主因である。現在の治療はまた、非常に毒性が高く、しかも、約60%の患者が回復するに過ぎない。ある地域では、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)は、一般的に用いられる薬物に対して耐性であると考えられている。
【0007】
ランブル鞭毛虫症は、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)(人間および動物の腸内で生きる単細胞の寄生虫)によって引き起こされる下痢症である。過去20年の間、ランブル鞭毛虫症は、米国および世界中の人における水系感染性疾患の最も一般的な原因の1つとして認識されていた。大人では、ランブル鞭毛虫症は一般に、メトロニダゾールを用いて治療され、5歳未満の小児では、フラゾリドンで治療される。しかし、これらの薬物には、この疾患と類似の副作用がある。別の寄生虫疾患は、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)によって引き起こされるトキソプラズマ症である。この単細胞の寄生虫は、世界中で、鳥や、人間を含めた哺乳類を感染させる。トキソプラズマ症は、大抵の人々に対しては危険ではないが、免疫系が激しく弱められた胎児および人に対しては、生命の脅威となる可能性がある。リンパ腫、HIVを患う人々、あるいは臓器移植を受けた人は、脳、心臓、目、または肺の、生命にかかわる感染を発症する可能性がある。サルファダイアジンとピリメタミン(時としてスピロマイシンと交替)の組み合わせは、妊娠中の胎児のトキソプラズマ症のための唯一の知られている治療である。治療は、胎児のトキソプラズマ感染の治療を保証するものではないが、脳および目の損傷のリスクおよび重症度を低下させる可能性がある。
【0008】
アメーバ症は、エントアメーバヒストリティカ(Entamoeba histolytica)と呼ばれる単細胞の寄生虫によって引き起こされる疾患である。アメーバ赤痢は、胃痛、血便、および熱を伴うアメーバ症の重症型である。エントアメーバヒストリティカ(E.histolytica)は、肝臓に侵入して膿瘍を形成することは稀である。世界の約4億8000万人の人々は、アメーバをその腸内に持っているが、わずか約5000万人のみが、アメーバ症の症状を呈し、抗生物質で治療される。クリプトスポリジウム症は、クリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)と呼ばれる寄生虫によって引き起こされる下痢症である。寄生虫は、米国のあらゆる地域、および世界中に見られる。エイズを患う人々、また、免疫系が弱められたそれ以外の人では、クリプトスポリジウム症は、深刻で、長く継続し、時として致死性である可能性がある。しかし、一貫して有効な治療は存在しない。
【0009】
したがって、医療分野では、特に、現在利用できる治療に対して耐性である感染を治療するための、新規の、より有効な抗寄生虫化合物の必要性が存在し続けている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
3 発明の要約
一の態様では、本発明は、抗寄生虫ホウ酸エステル化合物を記載する。この化合物は、ボリナート誘導体、特にボリン酸複合体であり、これには、ヒドロキシキノリン、ピコリン酸、およびイミダゾールの誘導体などの化合物が含まれる。
【0011】
また、本発明の抗寄生虫ホウ素化合物は、寄生虫が原因である疾患、あるいは健康の状態が免疫学的に悪化または衰弱した動物、最も好ましくはヒトにおける寄生虫による日和見感染症の治療のための、動物、最も好ましくはヒトに投与することができる薬剤組成物として提供される。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物に有用な抗寄生虫ボリン酸エステル化合物は、本明細書に開示される通りの好ましい置換基をもつ以下に示す構造を有する。
【0013】
また、本発明は、抗寄生虫化合物およびその薬剤組成物を調製するための方法、ならびに、前記化合物を治療的に使用する方法を提供する。寄生虫感染症の治療のための化合物および薬剤組成物のキットおよびパッケージ化された実施形態も提供される。
【0014】
また、本発明は、本明細書で提供される化合物、組成物、および方法を使用して、感染症、好ましくは、マラリア、アフリカヒトトリパノソーマ症、アメリカトリパノソーマ症、リーシュマニア症、ランブル鞭毛虫症、トキソプラズマ症、アメーバ症、およびクリプトスポリジウム症などの寄生虫感染症を治療する方法にも関する。
【0015】
以下の説明を精読することにより、これらの態様および利点、ならびに他の態様および利点は明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
4 発明のいくつかの実施形態の説明
本発明は、寄生虫によって引き起こされる感染症を治療および/または予防するのに有用な、抗寄生虫ホウ素化合物の抗寄生虫剤および使用方法を提供する。
【0017】
この方法で有用なボリン酸エステル化合物および本発明の組成物は、構造式1および2:
【化1】

(式中、Bはホウ素であり、Oは酸素であり;
およびR**は、任意選択で置換されたアルキル(C−C)、任意選択で置換されたシクロアルキル(C−C)、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、アラルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、および任意選択で置換された複素環からそれぞれ独立して選択され;
zは、ゼロまたは1であり、zが1である場合、Aは、CH、CR10、またはNであり;
Dは、N、CH、またはCR14であり;
Eは、水素、−OH、アルコキシ、2−(モルホリニル)エトキシ、−COH、−COアルキル、アルキル、−(CHOH(n=1〜3)、−CHNH、−CHNHアルキル、−CHN(アルキル)、ハロゲン、−CHO、−CH=NOH、アミノ、または−CFであり;
mは、ゼロまたは2であり;
rは、1または2であり、ここで、rが1である場合、Gは=O(二重結合した酸素)であり、rが2である場合、各Gは独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルであり;
14は、−(CHOH(ここでk=1、2、または3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、および−CONHから選択され;
Jは、CR10またはNであり;
、R10、R11、およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、−(CHOH(n=1〜3)、−CHNH、−CHNHアルキル、−CHN(アルキル)、ハロゲン、−CHO、−CH=NOH−COH、−CO−アルキル、−S−アルキル、−SO−アルキル、−S−アリール、アミノ、アルコキシ、−CF、−SCF、−NO、−SOH、および−OHからなる群から選択される)を有し、その塩、特にすべての薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を含む。
【0018】
式1または2の好ましい実施形態では、Rおよび/またはR**は、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたアルキル(C−C)である、あるいは、RおよびR**がそれぞれ任意選択で置換されたアルキル(C−C)である。
【0019】
式1または2の好ましい実施形態では、Rおよび/またはR**は、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたシクロアルキル(C−C)である、あるいは、RおよびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたシクロアルキル(C−C)である。
【0020】
式1または2の好ましい実施形態では、Rおよび/またはR**は、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたアルケニルである、あるいは、RおよびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたアルケニルである。そのさらなる好ましい実施形態では、アルケニルは、以下の構造:
【化2】

(式中、R41、R42、およびR43は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここでk=1、2、または3)、−CHSOアルキル、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、CF、およびNOからなる群から選択される)を有する任意選択で置換されたビニル基である。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、RおよびR**が、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたアルキニルであるか、RおよびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたアルキニルである式1または2の化合物を利用する。そのさらなる好ましい実施形態では、アルキニルは、以下の構造:
【化3】

【0022】
(式中、R49は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここでk=1、2、または3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、および−NOからなる群から選択される)を有する。
【0023】
式1または2の好ましい実施形態では、Rおよび/またはR**は、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたアリールである、あるいは、RおよびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたアリールである。そのさらなる好ましい実施形態では、アリールは、以下の構造:
【化4】

(式中、R44、R45、R46、R47、およびR48は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここで、k=1、2、または3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される)を有するフェニルである。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、RおよびR**が、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたベンジルであるか、RおよびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたベンジルである式1または2の化合物を利用する。そのさらなる好ましい実施形態では、ベンジルは、以下の構造:
【化5】

(式中、R44、R45、R46、R47、およびR48は、上で定義した通りである)を有する。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、RおよびR**が、同じまたは異なり、RとR**のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールであるか、
およびR**がそれぞれ、任意選択で置換されたヘテロアリールである式1の化合物を利用する。そのさらなる好ましい実施形態では、ヘテロアリールは、以下の構造:
【化6】

(式中、
Xは、CH=CH、N=CH、NR53(ここで、R53=H、アルキル、アリール、またはアラルキル)、O、またはSであり;
XがO、N、またはSである場合、YはCHまたはNであり;
51およびR52はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここで、k=1、2、または)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−COSO−アルキル、−S−アルキル、−S−アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−NHSO−アルキル、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、オキサゾリジン−2−イル、またはアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される)を有する。
【0026】
別の態様では、本発明は、動物における寄生虫感染症を治療するための方法であって、かかる動物に式3
【化7】

(式中、Bはホウ素であり、Oは酸素であり;
21およびR22は、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、および任意選択で置換された複素環からなる群から独立して選択され;
23〜R28は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、アリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロオキシ、チオアルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルオキシ、ホルミル、カルボキシ、チオホルミル、チオカルボキシ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、およびジアリールアミノからなる群から独立して選択される)に示される構造を有する治療有効量の化合物、あるいは、その薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。さらに、各々の前述のアルキル−、アリール−、およびヘテロアリール−含有部分は、任意選択で置換される。
【0027】
一の実施形態では、本発明の方法は、R21が、任意選択で置換されたアルケニルである、より詳細には、R21が、任意選択で置換されたビニルである式3の化合物を投与することを含む。さらに詳細な実施形態は、R21が、任意選択で置換されたビニルであり、R22が、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、または任意選択で置換された複素環である式3の化合物が、治療を必要とする動物に投与されるものである。
【0028】
本発明の方法のより詳細な実施形態は、式3の化合物を含む。R21は、任意選択で置換されたビニルであり、R22は、任意選択で置換されたアリールである、さらに詳細には、R22は、シアノ、ハロ、任意選択で置換されたヘテロアリール、および任意選択で置換された複素環からなる群から選択される少なくとも1つの部分で置換されたフェニルである。さらに詳細な実施形態では、この部分は、シアノ、フルオロ、クロロ、4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル、および4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルからなる群から選択される。
【0029】
他の特定の実施形態は、R21が、任意選択で置換されたビニルであり、R22が、シアノ、フルオロ、クロロ、4,4−ジメチル−4、5−ジヒドロオキサゾール−2−イル、および4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルからなる群から選択される少なくとも1つの部分で置換されたフェニルであり、さらに、R23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択される式3の化合物、より詳細には、R23〜R27が水素であるもの、さらに詳細には、R23〜R27が水素であり、R28はヒドロキシであるものである。
【0030】
本発明の方法の他の実施形態では、R22が、任意選択で置換されたヘテロアリールである、より詳細には、R22が任意選択で置換されたピリジルである、さらに詳細には、R22が、3−ピリジルである式3の化合物が投与される。先ほど述べた実施形態のうち、R22が、任意選択で置換されたピリジルであり、R23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択される、より詳細にはR23〜R27が水素である、さらに詳細には、R23〜R27が水素であり、かつR28がヒドロキシであるものが有用である。
【0031】
本発明の方法のさらに他の実施形態は、R21が、任意選択で置換されたシクロアルキルである、より詳細には、R21が、任意選択で置換されたシクロプロピルである式3の化合物を含む。後者の化合物のうち、R22が任意選択で置換されたアリールであるもの、より詳細には、R22が任意選択で置換されたフェニルであるものが有用である。R21が任意選択で置換されたシクロプロピルであり、R22が任意選択で置換されたフェニルである化合物のうち、R22が、シアノ、ハロ、任意選択で置換された複素環、および任意選択で置換されたヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1つの部分で置換されるフェニルである化合物、より詳細にはその部分が、シアノ、フルオロ、クロロ、4,4−ジメチル−4,5ジヒドロオキサゾール−2−イル、および4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルからなる群から選択されるものが、有用な特性をもつ。これらのR21とR22の後者の組み合わせの中では、有用な化合物として、R23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択され、より詳細にはR23〜R27が水素であり、さらに詳細にはR23〜R27が水素であり、かつR28がヒドロキシであるものが挙げられる。
【0032】
本発明の方法の他の実施形態には、R21およびR22は独立して、任意選択で置換されたアリールである、より詳細には、R21およびR22は独立して、任意選択で置換されたフェニルである式3の化合物が含まれる。後者の実施形態の中では、R21およびR22が独立して、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびシクロヘテロアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの部分で、任意選択で置換されたフェニルであるものには、特に有用な特性を有する化合物が含まれる。後者の一連の化合物の中では、R23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択される、より詳細には、R28がヒドロキシであり、さらに詳細には、R28がヒドロキシであり、かつ、R23〜R27が水素である、あるいは、R28がヒドロキシであり、かつ、R25がシアノであり、かつR23、R24、R26、およびR27が水素であるものに、有用な化合物が含まれる。
【0033】
別の態様では、本発明の方法は、以下の構造(式4)
【化8】

【0034】
あるいは、その薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物
【0035】
(式中、
31およびR32は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、アラルキル、および任意選択で置換されたヘテロアリールからなる群から独立して選択される)を有する化合物を投与することを含む。R33〜R36は、水素、アリールカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、カルボキシアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、(アルキルアミノ)アルキル、(ジアルキルアミノ)アルキル、アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、ジアルキルスルファモイル、アルキルスルファモイル、スルファモイル、スルホニル、シアノ、ハロ、ニトロ、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルカノイルアミノ、アルキル、スルファモイルオキシ(ここで、前述のアルキル−、アリール−、およびヘテロアリール−含有部分はそれぞれ、任意選択で置換される)からなる群から選択される。
【0036】
35とR36は、それらが付着される環原子と一緒になって、任意選択で置換された芳香環を形成する。
【0037】
より詳細な実施形態には、R31とR32のうちの1つが任意選択で置換されたアリールである式4の化合物が含まれる。より詳細な実施形態は、R31とR32のうちの1つが任意選択で置換されたアリールであり、R31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールである式4のものである。R31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたアリールであり、かつR31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールである式4の化合物には、R31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたアリールであり、かつR31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールである(ここで、任意選択で置換されたヘテロアリールが、任意選択で置換されたピリジルである)ものが含まれる。さらに詳細な実施形態は、R31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールであり(ここで、任意選択で置換されたヘテロアリールが、任意選択で置換されたピリジルであり)、かつR31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたフェニルである式4の化合物である。
【0038】
本発明のさらに詳細な実施形態は、最後に述べた置換パターンを有し、任意選択で置換されたフェニルが、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここで、k=1、2または3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルであるものである。
【0039】
本発明のさらに他の実施形態は、R31とR32が両方とも、任意選択で置換されたアリールである、より詳細には、R31とR32が両方とも、任意選択で置換されたフェニルである式4の化合物を利用する。R31とR32が両方とも、任意選択で置換されたフェニルである式4の化合物の1つは、R33が水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはカルボキシであるものである。この置換基パターンを有する、より詳細な実施形態では、任意選択で置換されたフェニルは、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここで、k=1、2、または3である)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである。
【0040】
式4のさらに詳細な実施形態には、R31とR32が両方とも、任意選択で置換されたフェニルであり(ここで、任意選択で置換されたフェニルが、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここで、k=1、2または3)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびオキサゾリジン−2−イルで置換されたアルキルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルであり)、R33が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはカルボキシであり、R34がヒドロキシまたはカルボキシであるものが含まれる。
【0041】
式4の他のより具体的な実施形態は、R31とR32が両方とも、任意選択で置換されたフェニルであり(ここで、任意選択で置換されたフェニルが、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、(CHOH(ここで、k=1、2、または3)、CHNH、CHNH−アルキル、CHN(アルキル)、COH、COアルキル、CONH、CONHアルキル、CON(アルキル)OH、アルコキシ、アリールオキシ、SH、S−アルキル、S−アリール、S(O)アルキル、S(O)アリール、SOアルキル、SON(アルキル)、SONHアルキル、SONH、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、アミノ、置換されたアミノ、NHSOアルキル、OCHCHNH、OCHCHNHアルキル、OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イルおよびアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルであり)、R33が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはカルボキシであり、R34が、ヒドロキシであるものである。これらの化合物には、任意選択で置換されたフェニルが、水素、ハロゲン、およびアルキルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、より具体的な化合物が含まれる。ここで述べた化合物の群のさらに詳細な実施形態は、ハロゲンがクロロであるものである。他のより詳細な実施形態は、ハロゲンがクロロであり、かつアルキルがメチルであるものである。
【0042】
最も有用な化合物の1つは、その薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物を含めて、(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリルオキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンである。
【0043】
本発明の構造はまた、合成の手順および治療使用中に本発明の化合物が遭遇する溶媒から得られる原子を含む(式3および4などの)構造をもたらす可能性がある溶媒相互作用を可能にする。したがって、こうした溶媒構造は特に、本発明の化合物のうちの少なくともいくつかに、特にホウ素および窒素原子との間にうまく入り込み、1または2原子によって、こうした化合物の環サイズを増大することができる。例えば、本発明の構造のホウ素環が、(例えば、ホウ素、窒素、酸素、および2つの炭素を含む)5つの原子を含む場合、ホウ素と窒素間への溶媒原子の入り込みによって、6−または7−員環がもたらされるであろう。一例では、ヒドロキシルおよびアミノ溶媒の使用によって、環のホウ素と窒素原子との間に酸素または窒素を含有する構造がもたらされ、環のサイズを増大させることができる。こうした構造(好ましくは、R***が、Hまたはアルキルである)は、本発明によって明確に意図される。
【化9】

【0044】
本明細書では、以下の用語は、本出願において別に定義されない限り、所定の意味を有する。
【0045】
本発明における「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。用語「低級アルキル」および「C〜Cアルキル」はどちらも、炭素原子が1〜6個のアルキル基を指す。こうしたアルキル基の例には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルペンチルが含まれる。
【0046】
「置換されたアルキル」は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環、ヒドロキシル、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、−カルボキシル−アルキル、アミド、チオール、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、−SO−アルキル、−SOアミノ、−SO置換アミノ、−SO−OH、−SCF、シアノ、ハロ、ニトロ、および−NHSOアルキルから選択される、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1個の置換基を有するアルキル基を意味する。
【0047】
「置換された低級アルキル」は、置換されたアルキルについて上で定義した通りの、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは、1個の置換基で置換された低級アルキル基を意味する。
【0048】
「アルキレン」は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜5個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有する二価のアルキル基を意味する。この用語は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−n−プロピレン、1,4−n−ブチレン、2−メチル−1,4−プロピレンなどの基によって例示される。
【0049】
「置換されたアルキレン」は、置換されたアルキルについて上で定義した通りの、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1個の置換基を有するアルキレン基を意味する。
【0050】
「アルコキシ」、「低級アルコキシ」、および「C−Cアルコキシ」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシなどを意味する。
【0051】
「置換されたアルコキシ」は、−O−置換アルキルを意味する。
【0052】
「置換された低級アルコキシ」は、置換されたアルキルについて上で定義した通りの、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1個の置換基で置換された−O−低級アルキル基を意味する。
【0053】
「アルキルカルボニルオキシ」は、−O−C(O)−アルキルを意味する。
【0054】
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシで置換されたアルキルを意味する。
【0055】
「ヒドロキシアルコキシ」は、ヒドロキシで置換されたアルコキシを意味する。
【0056】
「カルボキシアルキルオキシ」は、−O−アルキル−COOHおよびその塩を意味する。
【0057】
「アルキルオキシカルボニル」は、−C(O)−O−アルキルを意味する。
【0058】
本発明における「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、アルケニル不飽和を少なくとも1、好ましくは1部位有するアルケニル基を意味する。アルケニル基の例には、例えば、ビニル、アリル、n−ブト−2−エン−1−イルなどが含まれる。
【0059】
「置換されたアルケニル」は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環、ヒドロキシル、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、−カルボキシル−アルキル、アミド、チオール、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、−SO−アルキル、−SOアミノ、−SO置換アミノ、−SO−OH、−SCF、シアノ、ハロ、ニトロ、−NHSOアルキル、および−C(O)SO−アルキルから選択される、1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基を有する(ここで、いずれのヒドロキシルまたはチオール置換も、ビニル炭素原子上でない)アルケニル基を意味する。
【0060】
用語アルケニルおよび置換されたアルケニルは、シスおよびトランス異性体ならびにそれらの混合物を包含する。
【0061】
「アルキニル」は、2〜6個の炭素原子、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、アルキニル不飽和を少なくとも1、好ましくは1部位有するアルキニル基を意味する。アルキニル基の例には、例えば、アセチレニル、プロパルギル、n−ブト−2−イン−1−イルなどが含まれる。
【0062】
「置換されたアルキニル」は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環、ヒドロキシル、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、−カルボキシル−アルキル、アミド、チオール、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、−SO−アルキル、−SO−アミノ、−SO置換アミノ、−SO−OH、−SCF、シアノ、ハロ、ニトロ、−NHSOアルキル、および−C(O)SO−アルキルから選択される、1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基を有する(ここで、いずれのヒドロキシルまたはチオール置換も、アセチレン炭素原子上でない)アルキニル基を意味する。
【0063】
「アミノ」は、−NHを意味する。
【0064】
「置換されたアミノ」は、R’およびR’’が、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環から独立して選択される、あるいは、R’およびR’’と窒素原子が結合して、複素環または置換された複素環基を形成するような−NR’R’’基(ここで、R’とR’’が両方とも水素であることはない)を意味する。
【0065】
「アルキルアミノ」は、−NH−アルキルを意味する。
【0066】
「アミノアルキル」は、−アルキレン−NHを意味する。
【0067】
「ジアルキルアミノ」は、−N(アルキル)(アルキル)(ここで、各アルキルは、同じであっても異なっていてもよい)を意味する。
【0068】
「(アルキルアミノ)アルキル」は、−アルキレン−NH−アルキル(ここで、各アルキルは、同じであっても異なっていてもよい)を意味する。
【0069】
「(ジアルキルアミノ)アルキル」は、−アルキレン−N(アルキル)(アルキル)(ここで、各アルキルは、同じであっても異なっていてもよい)を意味する。
【0070】
「アリールアミノ」は、−NH−アリール(ここで、アリールは、以下で定義される)を意味する。
【0071】
「アルキルスルホニルアミノ」は、−NH−SOアルキルを意味する。
【0072】
「アリールスルホニルアミノ」は、−NH−SOアリール(ここで、アリールは、以下で定義される)を意味する。
【0073】
「ジアリールアミノ」は、−N(アリール)(アリール)(ここで、各アリールは、同じであっても異なっていてもよく、アリールは、以下で定義される)を意味する。
【0074】
「アシルオキシ」は、−OC(O)アルキル基、−O(C)置換アルキル基、−OC(O)アルケニル基、−OC(O)置換アルケニル基、−OC(O)アルキニル基、−OC(O)置換アルキニル基、−OC(O)アリール基、−OC(O)置換アリール基、−OC(O)シクロアルキル基、−O(CO)置換シクロアルキル基、−OC(O)ヘテロアリール基、−OC(O)置換ヘテロアリール基、−OC(O)複素環基、および−OC(O)置換複素環基を意味する。
【0075】
「アルキルオキシカルボニル」は、−C(O)−Oアルキルを意味する。
【0076】
「アミド」または「カルバモイル」は、−C(O)アミノおよび−C(O)置換アミノを意味する。
【0077】
「アルキルカルバモイル」は、−C(O)−NH−アルキルを意味する。
【0078】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、臭素、塩素、およびヨウ素を意味する。
【0079】
「シクロアルキル」(例えばC−Cシクロアルキル)は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなど、3〜7個の原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0080】
「置換されたシクロアルキル」は、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環、ヒドロキシル、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、−カルボキシル−アルキル、アミド、チオール、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、−SO−アルキル、−SOアミノ、−SO置換アミノ、−SO−OH、−SCF、シアノ、ハロ、ニトロ、−NHSOアルキル、−C(O)SO−アルキル、ケト(C=O)、およびチオケト(C=S)から選択される1〜3個、好ましくは1個の置換基を有するシクロアルキル基を意味する。
【0081】
用語「シクロアルキルオキシ」または「置換されたシクロアルキルオキシ」は、−O−シクロアルキル、および−O置換シクロアルキルを意味する。
【0082】
「アリール」は、単環(例えばフェニル)、多環(例えばビフェニル)、または多環の縮合環(これらのうちの少なくとも1つは芳香族である)(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)を有する芳香族炭素環式基(ここで、付着の位置が芳香族炭素原子である)を意味する。
【0083】
「置換されたアリール」は、アシルオキシ、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、置換されたアリールオキシ、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、置換された複素環、ヒドロキシル、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシル、−カルボキシル−アルキル、アミド、チオール、アルキルチオ、置換されたアルキルチオ、アリールチオ、置換されたアリールチオ、−SO−アルキル、−SOアミノ、−SO置換アミノ、−SO−OH、−SCF、シアノ、ハロ、ニトロ、−NHSOアルキル、および−C(O)SO−アルキルから選択される、1〜3個、好ましくは1個の置換基を有するアリール基を意味する。一の実施形態では、置換されたアリール基は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、トリフルオロメチル、低級アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、およびヒドロキシで、モノ−、ジ−、またはトリ−置換されている。好ましいアリール基には、フェニルおよびナフチル(これらはそれぞれ、本明細書で定義する通りに任意選択で置換される)が含まれる。
【0084】
「アリールオキシ」は、−O−アリールを意味する。
【0085】
「置換されたアリールオキシ」は、−O置換アリールを意味する。
【0086】
「アリールカルボニル」は、−C(O)アリールを意味する。
【0087】
「アラルキル」は、−アルキレン−アリール基、−アルキレン置換アリール基、−置換されたアルキレン−アリール基、および−置換されたアルキレン置換アリール基を意味する。
【0088】
「カルボキシル」または「カルボキシ」は、−COOHおよびその塩を意味する。
【0089】
「アルカノイル」または「アシル」は、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換されたアルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換されたアルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換されたアルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換されたシクロアルキル−C(O)−、アリールC(O)−、置換されたアリールC(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換されたヘテロアリール−C(O)−、複素環−C(O)−、および置換された複素環−C(O)−(ここで、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、複素環、および置換された複素環は、本明細書で定義する通りである)を指す。
【0090】
用語「アルカノイルアミノ」は、−NH−C(O)Hおよび−NHC(O)−アルキル基を指し、好ましくは、アルカノイルアミノは、−NHC(O)−アルキルである。
【0091】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、または硫黄から選択される、少なくとも1個、最高4個のヘテロ原子を含有する、5−、6−、または7員環の1つまたは複数の芳香環構造を意味する。かかるヘテロアリール基には、例えば、チエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、(イソ)オキサゾリル((is)oxazolyl)、ピリジル、ピリミジニル、(イソ)キノリニル、ナフチリジニル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾオキサゾリルが含まれる。好ましいヘテロアリールは、チアゾリル、ピリミジニル、好ましくはピリミジン−2−イルおよびピリジルである。他の好ましいヘテロアリール基には、1−イミダゾリル、2−チエニル、1−(または2−)キノリニル、1−(または2−)イソキノリニル、1−(または2−)テトラヒドロイソキノリニル、2−(または3−)フラニル、および2−テトラヒドロフラニルが含まれる。
【0092】
「置換されたヘテロアリール」は、置換されたアリールについて上で定義した通りの、1〜3個、好ましくは1個が置換されたヘテロアリール基を意味する。
【0093】
「ヘテロアリールオキシ」および「置換されたヘテロアリールオキシ」は、それぞれ、−O−ヘテロアリールおよび−O−置換ヘテロアリールを意味する。
【0094】
「ヘテロアラルキル」は、−アルキレン−ヘテロアリール基、−アルキレン置換ヘテロアリール基、−置換されたアルキレン−ヘテロアリール基、および−置換されたアルキレン−置換ヘテロアリール基を意味する。
【0095】
「複素環式」または「複素環」または「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」または「シクロヘテロアルキル」は、単環または多環の縮合環を有し、環内に、1〜10個の炭素原子、ならびに窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する飽和または不飽和基を意味する。ただし、縮合環構造においては、付着の位置が複素環原子であるという条件で、1つまたは複数の環はアリールまたはヘテロアリールであり得る。
【0096】
「置換された複素環」は、置換されたシクロアルキルについて定義したのと同じ置換基である、1〜3個、好ましくは1個の置換基で置換された複素環基を意味する。
【0097】
「ヘテロシクリルオキシ(heterocyclyloxy)」は、−O−ヘテロシクリルを意味する。
【0098】
「チオール」または「チオ」は、−SHを意味する。
【0099】
「アルキルチオ」は、−S−アルキルを意味する。
【0100】
「置換されたアルキルチオ」は、−S置換アルキルを意味する。
【0101】
「アリールチオ」は、−S−アリールを意味する。
【0102】
「置換されたアリールチオ」は、−S−置換アリールを意味する。
【0103】
「ヘテロアリールチオ」は、−S−ヘテロアリールを意味する。
【0104】
「シアノ」は、−CNを意味する。
【0105】
「ホルミル」は、−C(=O)Hまたは−CHOを意味する。
【0106】
「チオホルミル」は、−C(=S)Hまたは−CHSを意味する。
【0107】
「スルホニル」は、−SOHを意味する。
【0108】
「アルキルスルホニル」は、−SOアルキルを意味する。
【0109】
「アリールスルホニル」は、−SOアリールを意味する。
【0110】
「ヘテロアリールスルホニル」は、SOヘテロアリールを意味する。
【0111】
「アルキルスルフィニル」は、−SOアルキルを意味する。
【0112】
「アリールスルフィニル」は、−SOアリールを意味する。
【0113】
「ヘテロアリールスルフィニル」は、−SOヘテロアリールを意味する。
【0114】
「スルファモイル」は、−SO−NHを意味する。
【0115】
「スルファモイルオキシ」は、−O−SO−NHを意味する。
【0116】
「アルキルスルファモイル」は、−SO−NH−アルキルを意味する。
【0117】
「ジアルキルスルファモイル」は、−SO−N(アルキル)(アルキル)(ここで、各アルキルは、同じであっても異なっていてもよい)を意味する。
【0118】
「チオカルボキシル」は、−C(=S)OH、−C(=O)SH、または−C(=S)SHを意味する。
【0119】
「チオカルバモイル」は、−C(=S)アミノおよび−C(=S)置換アミノを意味する。
【0120】
用語「芳香環」は、任意選択で置換されたアリール基および任意選択で置換されたヘテロアリール基を指す。
【0121】
上で定義されたすべての置換基において、それ自体に対してさらなる置換基をもつ置換基を定義することによって生じるポリマー(例えば、置換されたアリール基でそれ自体が置換される置換基として、置換されたアリール基を有する置換されたアリールなど)は、本明細書に包含されることを意図されないことを理解されたい。そのような場合、こうした置換基の最大数は3である。すなわち、上の定義は、それぞれ、例えば、置換されたアリール基は、−置換されたアリール−(置換されたアリール)−置換されたアリールに限られるという制限によって制約される。容認できない置換は、本発明では想定されない。
【0122】
「リガンド」は、ルイス酸のホウ素中心との供与結合を形成することが可能であり、ボリナートエステル部分として付加される、窒素を含有する芳香族構造を意味する。こうしたリガンドは、当業者に知られている。その例を、以下の構造で示す。
【化10】

【0123】
経口投与のためには、該化合物は、当分野でよく知られた薬学的に許容される担体と、活性な化合物を組み合わせることによって、容易に調製することができる。こうした担体によって、治療対象となる患者が経口摂取するための錠剤、ピル、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして、本発明の化合物を調製できるようになる。経口的使用のための製剤は、固体の賦形剤を用い、所望される場合、錠剤を得るために、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、適切な添加剤を加えた後、粉末の混合物を加工して得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調合物などの賦形剤である。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることもできる。
【0124】
経口的に使用することができる製剤には、ゼラチンでできているプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールやソルビトールなど)でできている柔らかい、密閉されるカプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの賦形剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意選択で安定剤との混合物中に、活性成分を含有することができる。ソフトカプセルでは、活性な化合物を、適切な液体(脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなど)中に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定剤も加えることができる。経口投与のためのすべての調合物が、こうした投与に適切な投薬量であるべきである。口腔内投与については、組成物は、従来の方式で調製される錠剤またはトローチ剤という形をとることができる。
【0125】
吸入による投与については、本発明に従って使用するための化合物は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体)を備える、加圧されたパックまたはネブライザーからエアゾールスプレーの形で好都合に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬単位は、定量を送達するための弁を提供することによって決定することができる。化合物および適切な粉末ベース(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含有する、吸入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセルおよび薬包も、調製することができる。
【0126】
該化合物を、注射による、例えば、大量瞬時投与または連続注入による非経口的投与用に調製することもできる。注射用の調合物は、防腐剤を添加して単位剤形で、例えば、アンプル中にあるいは複数回投与容器中に提供することができる。組成物は、油性または水性の賦形剤中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンとしての形を取ることができ、また、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの調製用薬剤を含有することもできる。
【0127】
非経口的投与のための薬剤調合物には、水溶性の形の活性な化合物の水溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射懸濁液として、活性な化合物の懸濁液を調製することもできる。適切な親油性溶媒または賦形剤には、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルやトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームがある。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど、懸濁液の粘性を増大させる物質を含有することができる。任意選択で、懸濁液はまた、適切な安定剤、あるいは、非常に濃縮された溶液の調合を可能にするための、化合物の可溶性を増大させる薬剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用する前に、例えば滅菌発熱性物質除去水などの適切な賦形剤を用いる構成物のための粉末形であってもよい。該化合物はまた、例えば、従来の座薬基剤(カカオバターまたは他のグリセリドなど)を含有する直腸組成物(例えば、座薬または保留浣腸)に調製することもできる。
【0128】
上で述べた製剤に加えて、該化合物はまた、デポー製剤として調製することもできる。こうした長時間作用性の調合物は、植え込みによって(例えば、皮下または筋肉内に)、あるいは筋内注射によって投与することができる。したがって、例えば、該化合物は、(例えば許容される油中のエマルジョンとして)適切な高分子材料または疎水性材料またはイオン交換樹脂と一緒になって、あるいは、やや溶けにくい誘導体として、例えば、やや溶けにくい塩として調製することができる。
【0129】
本発明の疎水性化合物のための薬剤担体は、ベンジルアルコール、非極性の界面活性剤、水溶性有機ポリマー,および水性相を含む共溶媒システムである。共溶媒システムは、VPD共溶媒システムであり得る。VPDは、無水エタノールで体積を調整した3% w/vベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80、および65% w/vポリエチレングリコール300の溶液である。VPD共溶媒システム(VPD:5W)は、5%デキストロース水溶液で1:1に希釈されたVPDからなる。この共溶媒システムは、疎水性化合物を十分に溶解し、それ自体、全身的投与時に生じる毒性が低い。当然、共溶媒システムの割合は、その可溶性および毒性特性を破壊せずに、かなり変化させることができる。さらに、共溶媒成分の本質も変化させることができる:例えば、ポリソルベート80の代わりに、他の毒性の低い非極性の界面活性剤を使用することができる;ポリエチレングリコール分の大きさを変化させることができる;ポリエチレングリコールと、他の生物学的適合性のポリマー(例えばポリビニルピロリドン)を置き換えることができる;デキストロースを、他の糖またはポリサッカリドと置換することができる。
【0130】
あるいは、疎水性医薬品化合物のための他の送達システムを用いることもできる。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬物のための送達賦形剤または担体のよく知られた例である。より大きな毒性という犠牲があるとはいえ、通常、ジメチルスルホキシドなどのある種の有機溶剤も用いることができる。さらに、化合物は、例えば治療薬を含有する固体状疎水性ポリマーの半透性の基材などの、持続放出システムを使用して送達することもできる。様々な持続放出材料は、確立されており、当業者によってよく知られている。持続的放出カプセルは、その化学的な性質に応じて、2、3週間から100日を超えるまでの間、化合物を放出することができる。治療用試薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質および核酸安定化のためのさらなる戦略を行使することもできる。
【0131】
また、薬剤組成物は、適切な固形状またはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。こうした担体または賦形剤の例には、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(ポリエチレングリコールなど)が含まれる。
【0132】
該化合物は、薬学的に適合性のある対イオンをもつ塩として提供することができる。薬学的に適合性のある塩は、これに限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、リン酸、臭化水素酸、スルフィン酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタン硫酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸、HOOC−(CH−CH(ここで、rは0〜4である)などのアルカン酸などを含めて多くの酸を用いて形成することができる。遊離塩基形に相当する塩は、水性または他のプロトン性溶媒中に、より溶けやすい傾向がある。非毒性の製薬用塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムなどの塩基の塩が含まれる。当業者であれば、非常に様々な非毒性の薬学的に許容される付加塩を認識するであろう。
【0133】
該化合物の薬剤組成物を調製し、全身的、部分的、または局所的投与を含めた様々な手段を介して投与することができる。
【0134】
局所的投与については、該化合物は、活性な化合物を当分野でよく知られた薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、容易に調製することができる。こうした担体により、本発明の化合物が、局処適用のためのゲル、スラリー、懸濁液、クリーム、および軟膏として調製できるようになる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0135】
調合および投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、ペンシルベニア州イーストンのマックパブリッシング社(Mack Publishing Co.,Easton,PA)で見ることができる。投与様式は、所望の標的部位に対する送達を最大にするように選択することができる。適切な投与経路には、例えば、経口、直腸、経粘膜、経皮、または腸内投与を含まれ得る。筋肉内、皮下、および脊髄内注射、ならびにクモ膜下腔内、直接的な心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含めた非経口的送達も考えられる。
【0136】
あるいは、全身的ではなく局所的な方式で、例えば、デポーまたは持続的放出製剤ではしばしば、直接的に特定の組織に化合物を注射することによって、化合物を投与することもできる。
【0137】
使用に適した薬剤組成物には、活性成分が、その意図される目的を達成するために有効な量で含有される組成物が含まれる。より詳細には、治療有効量は、発症を予防する、あるいは治療を受けている被検者の既存の症状を軽減するのに有効な量を意味する。有効な量の決定は、特に、本明細書で提供される詳細な開示に照らせば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0138】
本発明の方法で使用されるいかなる化合物についても、治療有効量は、本明細書で開示する通りの細胞培養アッセイから、まず推定することができる。例えば、投与量(細胞培養物において決定される通りのED50(50%増加のための有効な投与量)、すなわち、細菌の細胞増殖の最大の2分の1の抑制を達成する試験化合物の濃度を含む)は、循環濃度範囲を達成するように、動物モデル中で定式化することができる。こうした情報を使用して、ヒトにおける有用な投与量を、より正確に決定することができる。
【0139】
しかし、いかなる特定の患者のための特定の投与量レベルも、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の時刻、投与経路、および排出速度、薬物の組み合わせ、治療を受ける特定の疾患の重症度および薬を処方する医師の判断を含めた様々な因子によって変わることとなることが理解されよう。
【0140】
ヒト以外の動物に対する投与については、薬物または薬物を含有する薬剤組成物を、動物飼料または飲料水に加えることも可能である。動物が、その食事に加えて適切な量の薬物を摂取するように、予め定められた用量の薬物を含む動物飼料および飲料水生成物を調製することが好都合となるであろう。動物が摂取するほぼ直前に、飼料または飲料水に、薬物を含有するプレミックスを加えることも、好都合となるであろう。
【0141】
本発明の抗寄生虫的使用のための好ましい化合物は、ある種の薬理学的特性を有する。こうした特性には、これらに限定されないが、経口生体利用効率、低毒性、低い血清タンパク質結合、および望ましいin vitroおよびin vivoでの半減期が含まれる。これらの望ましい薬理学的特性を予測するために、分析を使用することができる。生体利用効率を予測するために使用される分析には、Caw−2細胞単分子層を含めたヒト腸管細胞単分子層を横断する輸送(transport across human intestinal cell monolayers)が含まれる。血清タンパク質結合は、アルブミン結合分析から予測することができる。こうした分析は、オラヴコヴァ(Oravcova)らによる総説に述べられている(1996年、「J.Chromat.」B 677:1〜27)。化合物の半減期は、化合物の投薬の頻度に反比例する。化合物のin vitroの半減期は、クンツ(Kuhnz)およびギエシェン(Gieschen)によって述べられる通りのミクロソームの半減期の分析から予測することができる(「Drug Metabolism and Disposition」、(1998年)第26巻、1120〜1127頁)。
【0142】
こうした化合物の毒性および治療有効性は、細胞培養物または実験動物において、例えば、LD50(集団の50%に対する致死的な用量)およびED50(集団の50%における治療的に有効な用量)を決定するための、標準の薬学的手順によって決定することができる。毒性の影響と治療的効果との間の用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との比で表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養分析および動物研究から得られるデータを、ヒトに使用するための投薬量の範囲の定式化に使用することができる。こうした化合物の投薬量が、ほとんどまたは全く毒性を持たないED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投薬量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲の中で変化させることができる。厳密な処方、投与経路、および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師が選択することができる(例えばフィングル(Fingl)ら、1975年、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章、1頁を参照のこと)。
【0143】
細菌の細胞増殖抑制効果を保持するのに十分な血漿レベルの活性な部分を提供するように、投薬量および間隔を個々に調節することができる。全身的投与のための通常の患者の投薬量は、100〜2000mg/日の範囲である。患者の体表面積について述べると、通常の投薬量は、50〜910mg/m/日の範囲である。通常の平均血漿レベルは、0.1〜1000M以内に保たれるべきである。局所投与または選択的取り込みの場合、化合物の有効な局所的な濃度は、血漿濃度には関連しなくてもよい。
【0144】
本発明は、病原性寄生体によって引き起こされる動物およびヒトの疾患の治療のための組成物および方法に関する。本発明の抗寄生虫化合物は、これに限定されないが、マラリア、シャガス病、リーシュマニア症、アフリカ睡眠病(アフリカヒトトリパノソーマ症)、ランブル鞭毛虫症、トキソプラズマ症、アメーバ症、およびクリプトスポリジウム症を含めた動物およびヒトの疾患の治療に有用である。
【0145】
特許および特許出願を含めて、本出願中の、すべての論文および参考文献の開示を、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0146】
本発明の化合物は、新規のクラスの抗寄生虫剤を含む。これらの薬剤に対して感受性である医学的に重要な寄生虫の種には、これに限定されないが、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、四日熱マラリア原虫(P.malariae)、ネズミマラリア原虫(P.berghei)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、小児リーシュマニア(L.infantum)、シャーガスリーシュマニア(L.chagasi)、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)、アマゾンリーシュマニア(L.amazonensis)、ベネズエラリーシュマニア(L.venezuelensis)、L.tropics、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)、マイナーリーシュマニア(L.minor)、エチオピアリーシュマニア(L.aethiopica)、ビアナブラジリエンシスリーシュマニア(L.Biana braziliensis)、ガイアナリーシュマニア(L.(V.)guyanensis)、パナマリーシュマニア(L.(V.)panamensis)、ペルビアナリーシュマニア(L.(V.)peruviana)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)、ガンビアトリパノソーマ(T.brucei gambiense)、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、ランブル鞭毛虫(G.lambda)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ニューモシスチスカリニ(Pneumocystis carinii)、およびクリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)が含まれる。
【実施例】
【0147】
5 実施例
5.1 概論
本発明の手順を実施する際には、特定のバッファー、培地、試薬、細胞、培養株条件などに対する参考文献は、制限するためのものではなく、当業者は、その議論が提示される特定の場面において関心または価値があるものであると認識されるであろうすべての関連する材料を含むように読み取るべきであることは当然理解されるべきである。例えば、ある緩衝系または培地を、別のものに置換し、同一でなくとも類似の結果を達成することが、しばしば可能である。当業者は、本明細書で開示する方法および手順を使用する際に、過度の実験をしなくとも、その目的を最適に叶えるような置換を行うことが可能であるような、こうしたシステムおよび手順についての十分な知識を有するであろう。
【0148】
本発明を、以下の非限定的な実施例中で、より詳細に述べる。こうした方法および実施例が、本発明を、本明細書に記載される実施形態に決して制限しないこと、また、他の実施形態および使用が、当業者に想起されることを理解するべきである。
【0149】
これらの化合物を、マラリア、睡眠病、リーシュマニア症(無菌性とマクロファージ内の両方)、およびシャガス病のためのin vitroスクリーニングモデルにおいて、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosome brucei rhodesiense)、およびクルーズトリパノソーマ(T.cruzi)に対するその抗寄生虫活性について評価する。以下、こうしたモデルのためのプロトコルについて説明する。
【0150】
5.2 in vitroでの抗寄生虫活性のためのプロトコル:マラリア:in vitroスクリーニングモデル
5.2.1 寄生虫培養株
この研究では、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)Klの2つの株を使用する。Kl(タイに起源をもつクローン)は、クロロキンおよびピリメタミンに対して耐性である。この株を、0.36mMヒポキサンチンと共にRPMI 1640培地に保持し、5%洗浄ヒトA+赤血球と共に、25mM N2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸(HEPES)、25mM NaHCO、ネオマイシン(100U/ml)、および5g/LのALBUMAX(登録商標)II(脂質豊富なウシ血清アルブミン、ギブコ(GIBCO)、Grand Island、ニューヨーク州、米国)を追加する。すべての培養および分析は、4% CO、3% O、および93% Nの雰囲気下で、37℃で実施する。培養株は、気体混合物で満たされた保温チャンバー中に保持する。継代培養株を希釈して、0.1〜0.5%の間の寄生虫血とし、培地は、毎日変える。
【0151】
5.2.2 薬物感受性分析
抗マラリア性活性は、デジャルダン(Desjardins)ら(「Antimicrob. Agents Chemother.」16:710〜718、1979年)、およびマタイル(Matile)およびピンク(Pink)(In:レコヴィッツ,I(Lefkovits,I.)およびパーニス、B.(Pernis,B.)(編)、「Immunological Methods」第IV巻、アカデミック・プレス(Academic Press)、San Diego、221〜234頁、1990年)によって記載された手順の改作を使用して評価する。
【0152】
ストック薬液を、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mg/mLで調製し、サンプルを溶解するために、必要に応じて加熱または超音波処理する。使用後、ストックは−20℃に保つ。この分析については、この化合物を、無血清培地でさらに希釈し、ヒポキサンチンを含まない完全培地で最終的に適切な濃度にする。最も高い薬剤濃度のウェル内DMSO濃度も、1%を超えない。
【0153】
分析は、無菌の96ウェル・マイクロタイタープレートで実施し、各ウェルは、一連の薬液の有無にかかわらず、200μlの寄生虫培養物(0.15%寄生虫血、2.5%ヘマトクリット)を含有していた。5μl/mLから0.078μg/mLまでの範囲をカバーする7つの2倍希釈物を使用する。活性な化合物について、最も高い濃度は、(例えば、100μg/mLまで)下げられ;植物エキスについては、最も高い濃度は、50g/mLに上げられる。各薬物は、二重に試験し、1.0μg/ml未満のIC50濃度を示す活性な化合物について、分析を繰り返す。37℃での保温の48時間後に、各ウェルに0.5μCi H−ヒポキサンチンを加える。培養物を、さらに24時間保温し、その後、グラスファイバーフィルタ上に採取し、蒸留水で洗浄する。放射能はBetaplate液体シンチレーションカウンタを使用して計数する(ウォレス(Wallac)、Zurich、スイス)。結果は、各薬剤濃度のウェルごとに毎分放射能数として記録し、無処置の対照に対する割合として表す。IC50値は、Microsoft Excelを使用してS字状の阻害曲線から算出する。
【0154】
5.3 アフリカ睡眠病:in vitroスクリーニングモデル
5.3.1 寄生虫培養株
ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)種の3つの株を、この研究で使用することができる:(a)ローデシアトリパノソーマ(T.b.rhodesiense)STIB 900(タンザニアの患者から1982年に単離された集団のクローン)(これは、現在使用されるすべての薬物に対して感受性であることが知られている);(b)ガンビアトリパノソーマ(T.b.gambiense)STIB 930(Ivory Coastの患者から1978年に単離された、178E(031)株THlの誘導体)(これは、使用されるすべての薬物に対して感受性があることが知られている);および(c)ブルセイトリパノソーマ(T.b.brucei) STIB 950(ソマリアのウシから1985年に単離された集団のクローン)(これは、ジミナゼン、イソメタミジウム、およびキナピラミンに対して薬物耐性を示す)。
【0155】
株(a)および(c)の錐鞭毛体からの血流(bloodstream)を、25mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、1g/L 追加のグルコース、1% MEM非必須アミノ酸(100×)、0.2mM 2−メルカプトエタノール、2mMピルビン酸ナトリウム、0.1mMヒポキサンチン、および15% 熱不活性化ウマ血清と共に、ボルツ(Baltz)ら、(「EMBO J.」4:1273〜1277、1985年)に従ってアール塩が追加された最小必須培地(MEM)中に保持する。
【0156】
株(b)の錐鞭毛体からの血流を、25mM HEPES、1g/L 追加のグルコース、1% MEM 非必須アミノ酸(100×)、0.2mM 2−メルカプトエタノール、2mM ピルビン酸ナトリウム、0.1mM ヒポキサンチン、0.05mM バトクプロイン二スルホン酸、0.15mM L−システイン、および15% 熱不活性化されたヒト・プール血清と共に、Earleの塩が追加されたMEM中に保持する。
【0157】
すべての培養および分析は、空気中、5% CO雰囲気下で、37℃で実施する。
【0158】
5.3.2 薬物感受性分析
ストック薬液は、(供給元によって別に示されない限り)100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に、10mg/mlで調製し、サンプルを溶解するために、必要に応じて加熱または超音波処理する。使用後、ストックを−20℃に保つ。この分析については、化合物を、無血清培地でさらに希釈し、ヒポキサンチンを含まない完全培地で最終的に適切な濃度にする。最も高い薬剤濃度のウェル内DMSO濃度も、1%を超えない。
【0159】
分析は、96ウェル・マイクロタイタープレートで実施し、各ウェルは、一連の薬物希釈の有無にかかわらず、8×10 血流型(bloodstream form)と共に100μLの培地を含有していた。試験化合物の最高濃度は、90μg/mLである。90μg/mL〜0.123μg/mLまでの範囲をカバーする7つの3倍薬物希釈物を使用する。各薬物は、二重に試験する。活性な化合物は、確認のために2回試験する。最終結果は、4つの個々のIC50値の平均である。保温の72時間後、プレートを、対照および無菌条件の成長を、倒立顕微鏡下で検査して確かめる。
【0160】
次に、10μLのAlamar Blue(100mlの蒸留水に12.5mgのレサズリンを溶解したもの)を各ウェルに加え、プレートを、さらに2時間保温する。続いて、Spectramax GEMINI XSマイクロプレート蛍光測定器(米国カリフォルニア州サニーベールのモレキュラーデバイス社(Molecular Devices Corporation,Sunnyvale,CA,USA))を用いて、536nmの励起波長と588nmの放出波長を使用して、プレートを読み取る。
【0161】
マイクロプレートリーダー・ソフトウェアSoftmax Pro(米国カリフォルニア州サニーベールのモレキュラーデバイス社(Molecular Devices Corporation,Sunnyvale,CA,USA))を使用して、IC50値を決定する。
【0162】
5.4 シャガス病:in vitroスクリーニングモデル寄生虫および細胞培養
この研究には、β−ガラクトシダーゼ(lac Z)遺伝子を含有するクルーズトリパノソーマTulahuen C2C4株(バックナーら、「Antimicrob.Agents Chemother」40:2592〜2597、1996年)を使用した。
【0163】
感染性の無鞭毛および錐鞭毛体を、12.5cmの組織培養フラスコ内の、2mM L−グルタミンおよび10%熱不活性化されたウシ胎児血清を追加したRPMI 1640培地で、L−6細胞(ラット骨格の筋芽細胞細胞系)中で培養する。無鞭毛体は細胞内に出現し、錐鞭毛体に分化し、宿主細胞から離れる。これらの錐鞭毛体は、新しいL−6細胞を感染させ、また、これは、分析において感染を開始するために使用される段階である。すべての培養および分析は、空気中、5% CO雰囲気下で、37℃で実施する。
【0164】
5.4.1 薬物感受性分析
ストック薬液は、(供給元によって別に示されない限り)100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に、10mg/mlで調製し、サンプルを溶解するために、必要に応じて加熱または超音波処理する。使用後、ストックを−20℃に保つ。この分析については、化合物を、完全培地を使用して、適切な濃度にさらに希釈する。最も高い薬剤濃度のウェル内DMSO濃度も、1%を超えない。
【0165】
分析は、滅菌の96ウェル・マイクロタイタープレートで実施し、各ウェルは、2×10 L−6細胞と共に100μLの培地を含有していた。24時間後、培養物からの5×10錐鞭毛体血流型を含有するトリパノソーマ属懸濁液50mlを、ウェルに加える。48時間後、一連の薬物希釈の有無にかかわらず、培地をウェルから除去し、100Lの新しい培地で置き換える。この時点で、L−6細胞は、無鞭毛体に感染しているべきであり、遊離の錐鞭毛体が、培地中にあるべきではない。90μg/mL〜0.123μg/mLまでの範囲をカバーする7つの3倍薬物希釈物を使用する。各薬物は、二重に試験する。活性な化合物は、確認のために2回試験する。保温の96時間後、プレートを、対照および無菌のものの成長を、倒立顕微鏡下で検査して確かめる。
【0166】
次に、基質CPRG/ノニデット(Nonidet)(50μl)を、すべてのウェルに加える。色の反応は、2〜6時間以内に見えるようになり、540nmで光度分析的に読み取ることができる。データを、グラフィックス・プログラム(例えばExcel)に移し、S字状の阻害曲線を決定し、IC50値を算出する。
【0167】
5.5 リーシュマニア症:無菌性in vitroスクリーニングモデル
5.5.1 寄生虫および細胞培養
ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)株MHOM/ET1671L82(S.クロフト博士(Dr.S.Croft)、London School of Hygiene and Tropical Medicine)から得られる)を使用する。この株を、Syrian Goldenハムスター内で維持する。感染したハムスターの脾臓から無鞭毛体を収集する。無鞭毛体は、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)を追加したpH5.4のSM培地(カニングハム I.(Cunningham I.)、「J.Protozoal.」24:325〜329、1977年)で、空気中、5% CO雰囲気下で、37℃で、無菌培養で増殖させる。
【0168】
5.5.2 薬物感受性分析
ストック薬液は、(供給元によって別に示されない限り)100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mg/mlで調製し、サンプルを溶解するために、必要に応じて加熱または超音波処理する。使用後、ストックは−20℃に保つ。この分析については、化合物を、完全培地を使用して、適切な濃度にさらに希釈する。最も高い薬剤濃度のウェル内DMSO濃度も、1%を超えない。
【0169】
分析は、96ウェル平底マイクロタイタープレート(コスター、コーニング社(Costar,Corning Inc.))で実施し、各ウェルは一連の薬物希釈の有無にかかわらず、無菌培養物からの105の無鞭毛体と共に100μLの培地を含有していた。無鞭毛体の濃度は、CASY細胞分析システム(Scharfe System、Reutlingen、ドイツ)で決定する無鞭毛体を計数する前に、無鞭毛体のクラスターを破壊するために、寄生虫培養物を、22−ゲージ注射針を2回通過させる。
【0170】
試験化合物の最高濃度は、90μg/mLである。30μg/mLから0.041μg/mLまでの範囲をカバーする7つの3倍薬物希釈物を使用する。各薬物は、二重に試験する。活性な化合物は、確認のために2回試験する。保温の72時間後、プレートを、対照および無菌条件の成長を、倒立顕微鏡下で検査して確かめる。
【0171】
10μLのAlamar Blue(100mlの蒸留水に12.5mgのレサズリンを溶解したもの)を各ウェルに加え、プレートを、さらに2時間保温する。続いて、Spectramax GEMINI XSマイクロプレート蛍光測定器(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices Corporation)、Sunnyvale、カリフォルニア州、米国)を用いて、536nmの励起波長と588nmの放出波長を使用して、プレートを読み取る。
【0172】
データは、マイクロプレートリーダー・ソフトウェアSoftmax Pro(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices Corporation))、Sunnyvale、カリフォルニア州、米国)を使用して分析する。蛍光の減少(すなわち阻害)を、対照培養に対する蛍光の割合として表し、薬剤濃度に対してプロットする。IC50値は、ソフトウェアプログラムによってS字状の阻害曲線から算出する。
【0173】
5.6 リーシュマニア症:マクロファージin vitroスクリーニングモデル
5.6.1 寄生虫および細胞培養
ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)株MHOM/ET/67/L82(S.クロフト博士(Dr.S.Croft)、London School of Hygiene and Tropical Medicine)から得られる)を使用する。この株を、Syrian Goldenハムスター内で維持する。感染したハムスターの脾臓から無鞭毛体を収集する。無鞭毛体は、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)を追加したpH5.4のSM培地(カニングハム L.(Cunningham L.)、「J.Protozool.」24:325〜329、1977年)で、空気中、5% CO雰囲気下で、37℃で無菌培養で増殖させる。
【0174】
2mlの2%ジャガイモデンプン懸濁液(FLUKA、スイス)の腹腔内注射を用いるマクロファージ産生の刺激の1日後、NMRIマウスから最初の腹膜マクロファージを収集する。すべての培養および分析は、空気中、5% CO雰囲気下で、37℃で実施する。
【0175】
5.6.2 薬物感受性分析
ストック薬液は、(供給元によって別に示されない限り)100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mg/mlで調製し、サンプルを溶解するために、必要に応じて加熱または超音波処理する。使用後、ストックは−20℃に保つ。この分析については、化合物を、完全培地を使用して、適切な濃度にさらに希釈する。最も高い薬剤濃度のウェル内DMSO濃度も、1%を超えない。
【0176】
分析は、滅菌の16ウェルチャンバースライド(LabTek、ナルジェヌンク社(Nalgene/Nunc Int.))で実施する。各ウェルに、炭酸水素塩およびN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)を含有するRPMI 1640培地内のネズミマクロファージ懸濁液(4×10/mL)100μLを加え、10%熱不活性化FBS(RPMI/FBS)を追加する。24時間後、無鞭毛体(1.2×10/mL)を含有する懸濁液100μLを、各ウェルに加え、無鞭毛体とマクロファージの比を3:1にする。無菌性無鞭毛体培養物から無鞭毛体を採取し、RPMI/FBS中に懸濁させる。24時間後、遊離の無鞭毛体を含有する培地を除去し、細胞を、培地で1回洗浄し、薬物希釈物(各化合物の4つの3倍希釈物)を含有する新しい培地を加える。このようにして、4つの化合物を、1つの16ウェル組織培養スライド上で試験することができる。未処理のウェルは、対照の役割をする。薬物の存在下での寄生虫成長を、対照ウェルに対して比較する。保温の4日後、培地を除去し、スライドを10分間、メタノールを用いて固定し、その後、10%ギムザ(Giemsa)溶液で染色する。対照培養物、および一連の薬物希釈物に暴露されたものにおいて、感染したおよび感染していないマクロファージを計数する。感染率を決定する。結果は、対照ウェルと比較した寄生虫負荷(parasite burden)の低下割合として表し、IC50を、線状回帰分析(Excel Microsoft)によって算出する。
【0177】
5.7 in vivo有効性 マウスマラリアモデル[ネズミマラリア原虫(P.Berghei)(アンク株(Ankh Strain))]
試験化合物は、以下の通りにクロロキン、アルテミシニン、メフロキンに対して比較される:
NMRIマウス、SPF、雌、2g
【0178】
5.7.1 第0日
寄生虫血がほぼ30%である供与体マウスから、ヘパリン添加血を、採取し、生理食塩水中で希釈して、寄生された赤血球を1mlにつき10にする。この懸濁液の0.2ml(=2×10 寄生された赤血球)の一定分量を、4匹のマウスの実験グループに静脈内注射(i.v.)する。
【0179】
感染後2ないし4時間後、実験グループを、皮下または経口経路による単回投与で治療する。化合物は、3%エタノールおよび7% Tween 80を含有する溶液または懸濁液として、あるいは、またはSSV(標準の懸濁する賦形剤)中に、適切な濃度で調製する:
Na−CMC 5g
(カルボキシメチルセルロース)
ベンジルアルコール 5.0ml
Tween 80 4.0ml
0.9% NaCl水溶液 1.0L
【0180】
5.7.2 第1日〜第3日
感染の24、48、72時間後、マウスの実験グループを、第0日と同じ経路によって、同じ投与で再び治療する。
【0181】
5.7.3 第4日
最後の治療の24時間後(感染の72時間後)、すべての動物からの血液塗抹標本を準備し、ギムザ(Giemsa)で染色する。寄生虫血は、400赤血球(「rbc」)を計数することによって、顕微鏡的に決定され、低寄生虫血(<1%)については、4,000rbcを計数しなければならない。対照群(100%とされる)の平均値と、実験グループの平均値との間の差を算出し、低下率(%)として表す:
【数1】

【0182】
第5日および第6日に、さらなる塗抹標本を採取し、寄生虫血を決定し、活性を算出する。生存時間(日数)を記録し、平均生存時間を算出する。副作用を記録する。1化合物につき4マウス、1研究につき最低12マウスを使用する(賦形剤および陽性対照を同時に実施する)。
【0183】
5.8 ボリナート複合体
上記の手順を用いて、以下の表中の結果を得た。化合物10から49に対する代表的な抗寄生虫データを、マイクログラム/mLとして表される値で、IC50(50%抑制濃度)として表1に示す。選択された数種の化合物に対するin vivoでの動物有効性データを、表2に示す。本発明の方法の好ましい実施形態は、表1および2の中の化合物のいずれか1つまたは複数を利用する。したがって、本発明は、最も好ましくは二置換ボリン酸から得られる、ボリン酸複合体またはエステルと一般的に呼ばれる抗寄生虫化合物を提供する。
【0184】
本発明の化合物の合成は、いくつかの形式で達成される。反応スキーム番号1は、中間のボリン酸の合成、およびその後の所望のボリン酸複合体への転換を示す。RとR**が同一である場合、2当量のアリールマグネシウムハライド(またはアリールリチウム)の、ホウ酸トリアルキルとの反応、それに続く酸加水分解によって、所望のボリン酸5がもたらされる。RとR**が同一でない場合、1当量のアリールマグネシウムハライド(またはアリールリチウム)の、適切なアリール(ジアルコキシ)ボラン(4)、ヘテロアリール(ジアルコキシ)ボラン、またはアルキル(ジアルコキシ)ボラン(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、またはプロポキシ部分からなるアルコキシ基)との反応、それに続く、酸性の加水分解によって、優れた収率で非対称のボリン酸6がもたらされる。該当する場合、アルキレンエステル(3、T=単結合、CH、CMe)の、適切な有機セリウム、有機リチウム、有機マグネシウムまたは相当する反応物との反応が好都合である。
【0185】
スキーム1に示す通り、ボリン酸複合体は、適切な溶媒(すなわち、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、エーテル、トルエン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、またはテトラヒドロフラン)中での1当量の所望の複素環リガンドのとの反応によって、前駆体ボリン酸から得られる。
【化11】

【0186】
ある種の状況では、本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する可能性があり、その結果、化合物が、異なる立体異性形で存在する可能性がある。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性形であり得る。こうした状況では、単一の鏡像異性体(すなわち光学活性形)は、不斉合成またはラセミ体の分離によって得ることができる。ラセミ体の分離は、例えば、分割剤が存在する場合には結晶化、あるいは例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーなどの従来方法によって達成することができる。
【0187】
本発明の代表的な化合物には、これらに限定されないが、本明細書に開示される化合物、およびその薬学的に許容される酸および塩基付加塩が含まれる。さらに、本発明の化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離の塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化させることによって得ることができる。逆に、産物が遊離の塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、適切な有機溶剤中に遊離の塩基を溶解し、酸で溶液を処理することによって産生することができる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、化合物10〜144、特に化合物10〜49(表1)、およびそれらの変形のうちのいずれかを含む。縦列「R」、「R**」、および「リガンド」は、下の構造に関して定義される。省略形「DMISO」は、4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルを表す。
【化12】

【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【0190】
【表3】

【0191】
【表4】

【0192】
【表5】

【0193】
CMPD(化合物)は、下の実施例で使用される化合物番号であり、本出願において番号付けされた構造を指す。IC50μg/mlは、1ミリリットルあたりマイクログラムの抑制濃度である。RおよびR**は、式において図示するように、ホウ素原子に付着される置換基を指す。リガンドは、式内でホウ素原子に結合され、ホウ素原子を含有する環を構成する環構造を指す。
【0194】
【表6】

【0195】
化合物番号は、本出願において番号付けされた構造を指し;mg/kgは、マウスの体重1キログラムあたりに投与される化合物のミリグラム数である。
【0196】
本発明はまた、本明細書で述べる化合物のアシル化されたプロドラッグの抗寄生虫的使用も包含する。当業者であれば、寄生虫感染症の治療のための、非毒性の薬学的に許容される付加塩およびアシル化されたプロドラッグ化合物を調製するために用いることが可能な様々な合成の方法論を認識するであろう。
【0197】
5.9 合成例
5.9.1 全般
陽子NMRは、Varian AS 400分光計で記録し、化学シフトは、テトラメチルシランからのδ(ppm)ダウンフィールド(down field)として記録する。質量スペクトルは、Micromass Quattro IIおよびApplied Biosystem AP3000で決定する。化合物識別番号は、括弧中に表し、それらのうちのいくつかは、スキーム1、表1、および表2中の数に対応する。
【0198】
5.9.2 エチレングリコールボロナートエステル(3、T=単結合)の形成 一般手順
ボロン酸を、窒素下で、無水THFまたは無水ジエチルエーテル(約10mL/g)に溶解した。この反応物に、エチレングリコール(1モル当量)を加え、この反応物を、1〜4時間、加熱還流させた。反応物を、室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去すると、オイルまたは固体としてのエチレングリコールエステルが残った。オイルが得られた場合、あるいは、ヘキサンに溶解される固体が得られた場合、無水ヘキサンを加えて、減圧下で除去した。生成物を数時間、高真空下に置いた。ヘキサンに溶解しない固体が得られる場合、固体を、濾過によって収集し、冷ヘキサンで洗浄した。
【0199】
5.9.2.1 3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(3a)
3−シアノフェニルボロン酸(1g、6.8mmol)を、窒素下で無水THF(10ml)に溶解した。エチレングリコール(379μL、422mg、6.8mmol)を加え、この反応物を、4時間、加熱還流させ、その後、室温に冷却した。回転蒸発器によってTHFを除去し、白色固体を生じた。冷ヘキサンを加え、濾過によって生成物を収集し、白色固体を生じた(1.18g、量子収量)。H−NMR(300.058MHz,DMSO−d6)δ ppm 7.92〜8.01(3H,m),7.50−7.64(1H,m),4.35(4H,s)
【0200】
5.9.2.2 チオフェン3−ボロン酸エチレングリコールエステル(3b)
チオフェン−3−ボロン酸(1g、7.8mmol)を、窒素下で無水THF(10ml)に溶解した。エチレングリコール(435μL、484mg、7.8mmol)を加え、この反応物を、1時間、加熱還流させ、その後、室温に冷却した。回転蒸発器によってTHFを除去し、白色固体を生じた。ヘキサンを加えて固体を溶解し、回転蒸発によって除去した。生成物を、高真空下に置き、黄褐色の固体(1.17g、97%)を生じた。H−NMR(300.058 MHz,CDCl3)δ ppm 7.93(1H,s),7.3〜7.4(2H,m),4.35(4H,s)。
5.9.3 ボロン酸エチレングリコールエステルからの非対称のボリン酸(6)の形成 通常の手順A:グリニャール法
【0201】
ボロン酸エチレングリコールエステルを、窒素下で、無水THF(10〜20ml/g)に溶解した。溶液は、アセトンドライアイスバスで−78℃に、あるいはアイスウォーターバスで0℃に冷却した。冷却された溶液に、グリニャール試薬(0.95〜1.2モル当量)を滴下した。反応物を、室温に暖め、3〜18時間撹拌した。6N HCl(2ml/g)を加え、減圧下で溶媒を除去した。生成物を、ジエチルエーテル(40ml/g)で抽出し、水(3×等体積)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、回転蒸発によって溶媒を除去し、粗生成物を生じさせ、これを、カラムクロマトグラフィによって精製した、あるいは精製をせずに次のステップへもっていった。代替の後処理:ボリン酸生成物が塩基性の基(アミンまたはピリジンなど)を含有する場合、その後、3〜18時間室温で撹拌した後、水(2ml/g)を加え、pHを8に調節した。生成物は、最高3回(40ml/g)ジエチルエーテルまたは酢酸エチルまたはTHFに抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、回転蒸発によって溶媒を除去し、粗生成物を生じさせ、これを、カラムクロマトグラフィによって精製した、あるいは精製をせずに次のステップへもっていった。
【0202】
5.9.3.1 (4−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸(6a)
4−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル(500mg、2.89mmol)を、窒素下で無水THF中に溶解した。溶液を、アセトン/ドライアイスバスで−78℃に冷却し、冷却液に、3−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中の1M溶液)(2.74ml、2.74mmol、0.95モル当量)を滴下した。反応物を、ゆっくりと室温に暖め、18時間撹拌した。この反応物に、6N HCl(1ml)を加えると、濁った外観になり、回転蒸発器を使用して溶媒を除去した。生成物を、ジエチルエーテル(20ml)に抽出し、水(3×20ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、回転蒸発器を使用して溶媒を除去して、オイル状の固体として粗生成物を生じさせた。これを、精製せずに次のステップにもっていった。
【0203】
5.9.4 通常の手順B:(ヘテロ)アリールリチウム法
(ヘテロ)アリールブロミドまたはヨージドを、窒素下で無水THF(20〜30ml/g)に溶解し、脱気した。溶液を、アセトンドライアイスバスで−78℃に冷却し、冷却した溶液に、n−、sec−またはtert−ブチルリチウム(THFの溶液)あるいは他の溶媒(1.2〜2.4モル当量)を滴下すると、一般に溶液が濃い黄色に変わった。ボロン酸エチレングリコールエステル(1モル当量)を、窒素下で無水THFまたはジエチルエーテル(2〜10ml/g)に溶解した。ボロン酸エチレングリコールエステル(THFの溶液)を、冷却したアリール−リチウム溶液に滴下すると、一般に溶液が淡黄色に変わった。反応物を、室温に暖め、1〜18時間撹拌した。6N HCl(2〜4ml/g)を加え、減圧下で溶媒を除去した。生成物を、ジエチルエーテル(40ml/g)で抽出し、水(3×等体積)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、回転蒸発によって溶媒を除去し、粗生成物を生じさせ、これを、カラムクロマトグラフィによって精製した、あるいは精製をせずに次のステップへもっていった。代替の後処理:ボリン酸生成物が塩基性の基(アミンまたはピリジンなど)を含有する場合、その後、3〜18時間室温で撹拌した後、水(2ml/g)を加え、pHを5〜7に調節した。生成物は、ジエチルエーテルまたは酢酸エチルまたはTHF(40ml/g)に抽出し、水(3×等体積)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、回転蒸発によって溶媒を除去し、粗生成物を生じさせ、これを、カラムクロマトグラフィによって精製した、あるいは精製をせずに次のステップへもっていった。
【0204】
5.9.4.1 (3−チエニル)(3−クロロフェニル)ボリン酸(6b)
3−クロロ−ブロモベンゼン(447μL、728mg、3.8mmol)を、窒素下で、無水THF(15ml)に溶解した。この溶液を、脱気し、アセトンドライアイスバスで−78℃に冷却した。冷却した溶液に、tert−ブチルリチウム(THFの溶液、1.7M、4.47ml、7.6mmol、2モル当量)を滴下すると、溶液が濃黄色に変わった。溶液を、−78℃で撹拌する一方、3−チオフェンホウ酸エチレングリコールエステル(586mg)を、無水ジエチルエーテル(1ml)に溶解した。その後、冷却した溶液に、ホウ素のエステル溶液を滴下すると、その色が、淡黄色に変化した。この反応物を、室温に暖め、18時間撹拌した。6N HCl(2ml)を加え、この反応物を1時間撹拌した。回転蒸発器を使用して溶媒を除去した。生成物を、ジエチルエーテル(10ml)に抽出し、水(2×10ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、回転蒸発器を使用して溶媒を除去し、オレンジ色のオイルとして粗生成物を生じた。この生成物を、溶出液としてシリカゲルおよび5:1のヘキサン:酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィによって精製すると、透明なオイル(614mg、73%)としての純粋な生成物が生じた。
【0205】
5.9.4.2 (3−クロロフェニル)ビニルボリン酸(6c)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、臭化ビニルマグネシウムとの反応によって調製した。
【0206】
5.9.4.3 (3−フルオロ−5−クロロフェニル)エチニルボリン酸(6d)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、3−フルオロ−5−クロロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、エチニルマグネシウムブロミドとの反応によって調製した。
【0207】
5.9.4.4 (4−メチル−3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸(6e)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、2−チエニルボロン酸エチレングリコールエステルの、4−メチル−3−クロロフェニルリチウムとの反応によって調製した。
【0208】
5.9.4.5 (4−シアノフェニル)エチニルボリン酸(6f)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、4−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、エチニルマグネシウムブロミドとの反応によって調製した。
【0209】
5.9.4.6 (3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸(6g)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、3−フルオロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、シクロプロピルリチウムとの反応によって調製した。
【0210】
5.9.4.7 (3−チエニル)メチルボリン酸(6h)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、3−チエニルボロン酸エチレングリコールエステルの、メチルリチウムとの反応によって調製した。
【0211】
5.9.4.8 (4−ピリジル)フェニルボリン酸(6i)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、フェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、4−ピリジルリチウムとの反応によって調製した。
【0212】
5.9.4.9 (3−シアノフェニル)(2−フルオロフェニル)ボリン酸(6j)
これは、6bについて述べたのと同様の方法によって、3−シアノフェニルボロン酸エチレングリコールエステルの、2−フルオロフェニルリチウムとの反応によって調製した。
【0213】
5.9.5 有機金属化合物のホウ酸トリアルキルとの反応による、対称のボリン酸(5)の形成:ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸(5a)(手順C)
ホウ酸トリメチル(0.37ml)の冷却溶液(−78℃)(無水テトラヒドロフラン(THF、25ml)の溶液)を、4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(6.75ml、エーテルの1M溶液)で滴下処理した。この反応混合物を1時間、−78℃で攪拌し、その後、室温で18時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物を、100mlのエーテルおよび15mlの6N塩酸と共に撹拌した。有機層を分離し、水層を、エーテル(2×100ml)で抽出した。組み合わせられた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去すると、黄色がかった固体が生じた。生成物を、シリカゲルのクロマトグラフィーにかけて(ヘキサン:エーテル=1:1)、420mgのボリン酸を生じさせた。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.84(s,OH),7.46(d,4H,Ar−H),7.72(d,4H,Ar−H)。
【0214】
5.9.5.1 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5b)
5aと同様の方式で、3−クロロ−4−メチルフェニルマグネシウムブロミドの、ホウ酸トリメチルとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0215】
5.9.5.2 ビス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(5c)
5aと同様の方式で、3−フルオロ−4−メチルフェニルリチウムの、ホウ酸トリメチルとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0216】
5.9.5.3 ビス(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5d)
5aと同様の方式で、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムの、ホウ酸トリメチルとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0217】
5.9.5.4 ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸(5e)
5aと同様の方式で、3−フルオロ−4−メトキシフェニルリチウムの、ホウ酸トリメチルとの25反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0218】
5.9.6 有機金属化合物のアルキル(アリール)ジアルコキシボランとの反応による非対称のボリン酸(6)の形成。(4−クロロフェニル)メチルボリン酸(6k)(手順D)
4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(5.5ml、1M溶液、エーテルの溶液)に、−78℃で、ジ(イソプロポキシ)メチルボラン(1ml、0.78g)を、シリンジを介して滴下した。この反応混合物を、−78℃で1時間撹拌し、その後、周囲温度で終夜撹拌した。この反応混合物を、100mlのエーテルおよび15mlの6N塩酸で滴下処理し、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をエーテル(2×100ml)で抽出した。組み合わせられた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去すると、1.1gのオイルが生じた。生成物のH NMRは、(4−クロロフェニル)メチルボリン酸と整合性があった。
【0219】
5.9.6.1 (4−フルオロフェニル)メチルボリン酸(6m)
6kと同様の方式で、4−フルオロフェニルマグネシウムブロミドの、ジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0220】
5.9.6.2 (4−ビフェニル)メチルボリン酸(6n)
6kと同様の方式で、4−ビフェニルリチウムの、ジ(イソプロポキシ)メチルボランとの20反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0221】
5.9.6.3 (3−クロロ−4−メチルフェニル)メチルボリン酸(60)
6kと同様の方式で、3−クロロ−4−メチルフェニルリチウムの、ジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0222】
5.9.6.4 (3−クロロ−4−メトキシフェニル)メチルボリン酸(6p)
6kと同様の方式で、3−クロロ−4−メトキシフェニルリチウムの、ジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0223】
5.9.6.5 (4−ジメチルアミノフェニル)メチルボリン酸(6q)
6kと同様の方式で、4−ジメチルアミノフェニルリチウムの、ジ(イソプロポキシ)メチルボランとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0224】
5.9.6.6 (3−クロロ−4ジメチルアミノフェニル)ビニルボリン酸(6r)
6kと同様の方式で、3−クロロ−4−ジメチルアミノフェニルリチウムの、ジ(ブトキシ)ビニルボランとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって得られた。
【0225】
5.9.6.7 ピリジルビニルボリン酸(6s)
3−ブロモピリジン(1.60g、10.0mmol)、の溶液(THF(15ml)中)に、室温、窒素雰囲気下で、塩化イソプロピルマグネシウム(2.0M、THF中)(5.0ml、10mmol)を加え、混合物を1時間撹拌した。この混合物に、ビニルボロン酸ジブチルエステル(3.4ml)を滴下した。この混合物を、18時間室温で撹拌した。水を加え、1Mの塩酸を用いてpHを7に調節した。混合物を、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を除去して、標題化合物(1.04g、78%)生じさせた。
【0226】
5.9.6.8 ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシエチル)イミダゾールエステル(60)
ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸(0.4g、1.428mmol)の溶液(エタノール(10ml)中)に、4−(ヒドロキシエチル)イミダゾール塩酸塩(0.191g、1.428mmol)、炭酸水素ナトリウム(0.180g、2.143mmol)を加え、反応混合物を、18時間室温で撹拌した。濾過によって塩を除去した。濾液を濃縮し、ヘキサンで処理すると、固体としての生成物がもたらされ、これを濾過によって収集した。(450mg、収率84.9%)。MS(ESI−):m/z=343(M−1)。
【0227】
5.9.6.9 ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(61)
実施例60と同様の方式で、ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸の、4−(ヒドロキシメチル)−イミダゾール塩酸塩との反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI−):m/z=329(M−1)。
【0228】
5.9.6.10 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(62)
1−ベンジル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール(96mg、0.521mmol)の溶液(メタノール(5ml)中)に、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(121mg、0.521mmol)を加え、反応混合物を、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、残留物をヘキサンで処理すると、固体が生じた。この生成物を、濾過によって単離し、ヘキサンで洗浄すると、生成物(193mg、83%)が生じた。H NMR(CDCl)δ:2.3(s,6H,2XCH3),4.8(brs,2H,CH2),5.1(brs,2H,CH2),6.9〜7.4(complex,13H,Ar−H);MS(ES+)(m/z)448.78、MF C2523BClO。
【0229】
5.9.6.11 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−メチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(63)
セクション5.9.6.10と同様の方式で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸の、1−メチル−2(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=373(M−1)。
【0230】
5.9.6.12 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−エチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(64)
セクション5.9.6.10と同様の方式で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸の、1−エチル−2−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=387(M−1)。
【0231】
5.9.6.13 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾールエステル(65)
セクション5.9.6.10と同様の方式で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸の、1−メチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩との反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=373(M−1)。
【0232】
5.9.6.14 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸2−ピリジルエタノールエステル(66)
セクション5.9.6.8と同様の方式で、ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸の、2−ピリジルエタノールとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=384(M)。
【0233】
5.9.6.15 ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸2−ピリジルメタノールエステル(67)
セクション5.9.6.8と同様の方式で、ビス(4−クロロフェニル)ボリン酸の、2−ピリジルメタノールとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、白色の結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=342(M+1)。
【0234】
5.9.6.16 ビス(4−フルオロフェニル)ボリン酸2−ピリジルメタノールエステル(68)
セクション5.9.6.8と同様の方式で、ビス(4−フルオロフェニル)ボリン酸の、2−ピリジルメタノールとの反応から、表題化合物を得た。5生成物は、白色の結晶として得られた。H NMR(CDCl):δ=5.3(s,2H),6.9(t,4H),7.3(t,4H),7.5〜7.6(m,2H),8.1(t,1H)および8.3(d,1H)ppm。
5.9.7 ヒドロキシキノリン誘導体
【0235】
5.9.7.1 ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸5−シアノ−8−キノリン−イルエステル(16)
ビス(3−クロロフェニル)ボリン酸(0.25g)の溶液(エタノール(10ml)中)を、5−シアノ−8−ヒドロキシキノリン(0.15g)の溶液(エタノール(5ml)および水(2ml)中)と混合した。この混合物を、5℃で撹拌した。その後、この反応混合物を、周囲温度で撹拌すると、黄色の固体状沈殿物が生じた。この反応混合物を、さらに21時間撹拌した。生成物を、濾過によって単離し、ヘキサンで洗浄し、風乾させると、272mgの複合体が生じた。MS:m/z=171(ESI+);m/z=251、249、および169(ESI−)。
【0236】
5.9.7.2 ビス(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(12)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、ビス(3−クロロ−4−フルオロフェニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI−):m/z=287および285。
【0237】
5.9.7.3 (4−クロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(11)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−フルオロフェニル)(4−クロロフェニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た(30)。生成物は、黄色結晶として得られた。MS:m/z=250(ESI+);m/z=235および233(ESI−)。
【0238】
5.9.7.4 (4−クロロフェニル)(4−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(15)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−フルオロフェニル)(4−クロロフェニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS:m/z=146(ESI+);m/z=235および233(ESI−)。
5.9.7.5 (3−ピリジル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(49)
【0239】
(3−ピリジル)ビニルボリン酸(1.04g)と8−ヒドロキシキノリン(0.961g)(30mlエタノールの溶液)の混合物を、40℃で20分撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、残留物を、ジエチルエーテル/ジイソプロピルエーテル/ヘキサンで処理すると、黄色結晶としての所望の複合体がもたらされた。H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ(ppm)5.23(dd,J=19.3,4.1Hz,1H),5.46(dd,J=13.5,4.1Hz,1H),6.43(dd,J=19.3,13.5Hz,1H),7.14(d,J=7.6Hz,1H),7.19(dd,J=7.6,4.7Hz,1H),7.41(d,J=8.2Hz,1H),7.6〜7.8(m,2H),7.88(dd,J=8.5,5.0Hz,1H),8.35(dd,J=5.0,2.1Hz,1H),8.57(s,1H),8.76(d,J=8.5Hz,1H),9.00(d,J=5.0Hz,1H)ESI−MS m/z 261(positive);C1613BNO=260.11
【0240】
5.9.7.6 (2−チエニルメチルボリン酸キノリン−8−イルエステル(51)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(2−チエニル)メチルボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。
【0241】
5.9.7.7 (3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(52)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(2−チエニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た(30)。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=350(M+1)。
【0242】
5.9.7.8 (3−シアノフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(37)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−シアノフェニル)ビニルボリン酸の8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題の化合物を得た(5)。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI+):m/z=285(M+1)。
【0243】
5.9.7.9 (2−クロロフェニル)エチニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(53)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(2−クロロフェニル)エチニルボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=291(M+)および292(M+1);H NMR(DMSO−d6,300MHz):□8.82(d,1H),8.78(d,1H),8.03(dd,1H),7.88(dd,1H),7.70(t,1H),7.46(d,1H),7.33〜7.24(m,2H),7.18(dd,1H),7.10(d,1H)および3.04(s,1H)ppm。
【0244】
5.9.7.10 ビス(エチニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(54)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、ビス(エチニル)ボリン酸THE溶液の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。ビス(エチニル)ボリン酸は、エチニルマグネシウムブロミドおよびホウ酸トリメチルから、(このボリン酸が非常に揮発性であるので)その後処理プロセス中にTHFの回転蒸発を行わずに調製した。複合体生成物は、淡い黄色の結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=205(M+)および206(M+l);HNMR(DMSO−d6,300MHz):δ9.05(dd,1H),8.84(dd,1H),7.97(dd,1H),7.68(t,1H),7.70(d,1H),7.08(d,1H)および2.90(s,2H)ppm。
【0245】
5.9.7.11 (3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(55)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−フルオロフェニル)シクロプロピルボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から表題化合物を得た。生成物は、淡い黄色の結晶として得られた。H NMR(DMSO−d):δ=0.25−0.20(m,1H),0.10〜0.25(m,3H),0.3〜0.4(m,1H),6.9〜7.0(m,1H),7.1(d,1H),7.2〜7.3(m,3H),7.4(d,1H),7.65(t,1H),7.9(dd,1H),8.75(d,1H)および9.1(d,1H)ppm。
【0246】
5.9.7.12 ジビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(70)
標題化合物を、セクション5.9.7.1に述べた手順によって調製し、この化合物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=209(M+)および210(M+1);H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ8.75−8.65(m,2H),7.87(dd,1H),7.63(t,1H),7.34(d,1H),7.02(d,1H),6.17(dd,2H),5.36(dd,2H) および5.20(dd,2H)ppm。
【0247】
5.9.7.13 (3−クロロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(71)
(3−クロロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)ボリン酸を、3,4−ジメトキシフェニルマグネシウムブロミドおよび3−クロロフェニルボロン酸エチレングリコールエステルから、実施例6aに述べた手順によって調製した。表題複合体の生成は、セクション5.9.7.1に述べた方法論によって行い、これは、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=404(M+1);H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ9.17(d,1H),8.78(d,1H),7.90(dd,1H),7.70(t,1H),7.43(d,1H),7.30〜7.17(m,5H),6.89〜6.80(m,3H),3,66(s,3H)および3.62(s,3H)ppm。
【0248】
5.9.7.14 (2−クロロフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(72)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(2−クロロフェニル)(ビニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=293(M+)および294(M+l);H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ8.80(d,1H),8.75(d,lH),.84(dd,1H),7.65(t,1H),7.55〜7.50(m,1H),7.38(d,1H),7.20−7.16(m,3H),7.08(d,1H),6.54(dd,1H),5.40(dd,1H)および5.12(dd,1H)ppm。
【0249】
5.9.7.15 (3−フルオロフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(73)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−フルオロフェニル)(ビニル)ボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=277(M+)および278(M+1);H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ8.80(d,1H),8.74(d,1H),7.87 5(dd,1H),7.67(t,1H),7.40(d,1H),7.28〜7.20(m,2H),7.14〜7.11(m,2H),6.97〜6.90(m,1H),6.41(dd,1H),5.44(dd,1H)および5.21(dd,1H)ppm。
【0250】
5.9.7.16 (3−クロロフェニル)エチニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(74)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)エチニルボリン酸の、8−ヒドロキシキノリンとの反応から、表題化合物を得た。生成物は、黄色結晶として得られた。MS(ESI、positive):m/z=291(M+)および292(M+1);H NMR(DMSO−d6,300MHz):δ8.93(d,1H),8.80(d,1H),7.89(dd,1H),7.71(t,1H),7.47(d,1H),7.45(d,1H),7.35〜7.31(m,1H),7.25〜7.22(m,15 2H),7.18(d,1H)および3.05(s,1H)ppm。
【0251】
5.9.7.17 (3−クロロ−4−メチルフェニル)フェニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(10)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロ−4−メチルフェニル)フェニルボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 358(M+H)、C221735ClNO=357。
【0252】
5.9.7.18 ビス[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2−イル)フェニル]ボリン酸8−ヒドロキシキノリンエステル(13)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、ビス[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 504(M+H)、C3130BN=503。
【0253】
5.9.7.19 (3−クロロフェニル)(4−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(14)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(4−フルオロフェニル)ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 362(M+H)、C211435ClFNO=361。
【0254】
5.9.7.20 (3−クロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(17)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 362(M+H)、C211435ClFNO=361。
【0255】
5.9.7.21 (3−クロロフェニル)[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ボリン酸キノリン−8−イルエステル(18)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 441(M+H)、C262235ClN=440。
【0256】
5.9.7.22 [3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル](3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(19)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 425(M+H)、C2622BFN=424。
【0257】
5.9.7.23 シクロプロピル[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ボリン酸キノリン−8−イルエステル(20)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、シクロプロピルから[3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 371(M+H)、C2323BN=370。
【0258】
5.9.7.24 [4−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)フェニル]ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(21)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、[4−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチルオキサゾール−2イル)ビニルボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 357(M+H)、C2221BN=356。
【0259】
5.9.7.25 (4−シアノフェニル)(4−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(22)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−シアノフェニル)(4−フルオロフェニル)ボリン酸および8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。
【0260】
5.9.7.26 [4−(4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル]ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(23)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、[4−(4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル]ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 329(M+H)、C2017BN=328。
【0261】
5.9.7.27 (3−シアノ−4−フルオロフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(24)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−シアノ−4−フルオロフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 303(M+H)、C1812BFNO=302。
【0262】
5.9.7.28 (3−クロロフェニル)(2−メチルフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(25)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(2−メチルフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 358(M+H)、C221735ClNO=357。
【0263】
5.9.7.29 (3−クロロフェニル)(4−シアノフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(26)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(4−シアノフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 369(M+H)、C221435ClNO=368。
【0264】
5.9.7.30 (3−クロロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(27)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−クロロフェニル)(3,4−ジメトキシフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 404(M+H)、C231935ClNO=403。
【0265】
5.9.7.31 (4−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(28)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 353(M+H)、C2214BFNO=352。
【0266】
5.9.7.32 (3−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(29)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−シアノフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 353(M+H)、C22l4BFNO=352。
【0267】
5.9.7.33 (2−クロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(30)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(2−クロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MSm/z 362(M+H)、C211435ClFNO=361。
【0268】
5.9.7.34 (4−クロロ−3−メチルフェニル)(3−シアノフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(31)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロ−3−メチルフェニル)(3−シアノフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 383(M+H)、C231635ClNO=382。
【0269】
5.9.7.35 (3−シアノフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(32)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−シアノフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 371(M+H)、C2213BFO=370。
【0270】
5.9.7.36 (3−シアノフェニル)(2−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(33)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−シアノフェニル)(2−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 353(M+H)、C22l4BFNO=352。
【0271】
5.9.7.37 (4−クロロ−3−メチルフェニル)(4−シアノフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(34)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロ−3−メチルフェニル)(4−シアノフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 383(M+H)、C231635ClNO=382。
【0272】
5.9.7.38 (4−シアノフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(35)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−シアノフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 371(M+H)、C2213BFO=370。
【0273】
5.9.7.39 (2−クロロフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(36)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 294(M+H)、C171335ClNO=293。
【0274】
5.9.7.40 (4−シアノフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(38)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−シアノフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 285(M+H)、C181335O=284。
【0275】
5.9.7.41 (3−フルオロフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(39)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(3−フルオロフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 278(M+H)、C171335FNO=277。
【0276】
5.9.7.42 (4−クロロフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(40)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロフェニル)(2,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 380(M+H)、C211335ClFNO=379。
【0277】
5.9.7.43 (4−クロロフェニル)(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(41)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロフェニル)(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 392(M+H)、C22l635ClFNO=391。
【0278】
5.9.7.44 (4−クロロフェニル)(2,3−ジフルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(42)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロフェニル)(2,3−ジフルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 380(M+H)、C211335ClFNO=379。
【0279】
5.9.7.45 (4−クロロ−2−フルオロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(43)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 380(M+H)、C211335ClFNO=379。
【0280】
5.9.7.46 (4−クロロフェニル)(3,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(44)
セクション5.9.7.1と同様の方式で、(4−クロロフェニル)(3,5−ジフルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 380(M+H)、C211335ClFNO=379。
【0281】
5.9.7.47 (4−クロロ−3−メトキシフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(45)
セクション5.9.7.1において見られるような方式で、(4−クロロ−3−メトキシフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 392(M+H)、C221635ClFNO=391。
【0282】
5.9.7.48 (3,4−ジクロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(46)
セクション5.9.7.1において見られるような方式で、(3,4−ジクロロフェニル)(3−フルオロフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 396(M+H)、C211335ClFNO=395。
【0283】
5.9.7.49 (4−クロロフェニル)(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)ボリン酸キノリン−8−イルエステル(47)
セクション5.9.7.1において見られるような方式で、(4−クロロフェニル)(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)ボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 430(M+H)、C221335ClFNO=429。
【0284】
5.9.7.50 (3,5−ジフルオロフェニル)ビニルボリン酸キノリン−8−イルエステル(48)
セクション5.9.7.1において見られるような方式で、(3,5−ジフルオロフェニル)ビニルボリン酸8−ヒドロキシキノリンから、表題化合物を調製すると、黄色の結晶状固体がもたらされた。ESI−MS m/z 296(M+H)、C171235NO=295。
【0285】
5.9.8 ヒドロキシピコリン酸誘導体
5.9.8.1 ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸3−ヒドロキシピコリネートエステル(69)
ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリン酸(14.6g)を、エタノール(120ml)に溶解し、加熱還流させた。3−ヒドロキシピコリン酸(5.83g)を、熱い溶液に、分けて加えた。3−ヒドロキシピコリン酸の最後の部分を加えた後、この反応物を、15分間、還流撹拌し、室温に冷却した。この反応物を、いくらかのエタノールの除去によって濃縮した。濾過によって固体を除去した。エタノールから再結晶させると、白色の結晶(13.4g)として標記生成物がもたらされた。
MP=165.0〜166.5℃。MS(ESI+):m/z=400(M+1)。
【0286】
好ましい実施形態では、本発明には、本明細書で詳細に述べた化合物、ならびに薬学的に許容される塩、水和物、およびそれらの溶媒和物;ならびに、薬学的に許容される担体を含む、こうした化合物のいずれの組成物の抗寄生虫的使用も含まれる。
【0287】
本発明は、微生物によって引き起こされる疾患を、それに悩まされる患者において治療する、および/または、感染する危険がある患者において、感染を予防するための方法であって、表1中に列挙した好ましくは1種または複数の治療有効量のいずれかの抗寄生虫的化合物を前記患者に投与することを含む方法に関する。
【0288】
好ましい実施形態では、微生物は、寄生虫であり、前記寄生虫は、(これに限定されないが)熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、四日熱マラリア原虫(P.malariae)、ネズミマラリア原虫(P.berghei)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、小児リーシュマニア(L.infantum)、シャーガスリーシュマニア(L.chagasi)、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)、アマゾンリーシュマニア(L.amazonensis)、ベネズエラリーシュマニア(L.venezuelensis)、熱帯リーシュマニア(L.tropica)、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)、マイナーリーシュマニア(L.minor)、エチオピアリーシュマニア(L.aethiopica)、ビアナブラジリエンシスリーシュマニア(L.Biana braziliensis)、ガイアナリーシュマニア(L.(V.)guyanensis)、パナマリーシュマニア(L.(V.)panamensis)、ペリヴィアナリーシュマニア(L.(V.)periviana)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)、ガンビアトリパノソーマ(T.brucei gambiense)、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、ランブル鞭毛虫(G.lamblia)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、エントアメーバヒストリティカ(Entamoeba histolytica)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ニューモシスチスカリニ(Pneumocystis carinii)、およびクリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)からなる群から選択されるメンバーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物における寄生虫疾患の治療のための方法であって、こうした動物に、以下の構造
【化1】

(ここで、
21およびR22は、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、および任意選択で置換された複素環からなる群から独立して選択され、
23〜R28は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、アリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロアリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルオキシ、ホルミル、カルボキシ、チオホルミル、チオカルボキシ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、およびジアリールアミノである(ここで、前述のアルキル−、アリール−、およびヘテロアリール−含有部分はそれぞれ、任意選択で置換される)からなる群から独立して選択される)をもつ治療有効量の化合物、あるいは、その薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を投与する工程を含む方法。
【請求項2】
21が、任意選択で置換されたアルケニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
21が、任意選択で置換されたビニルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
22が、任意選択で置換されたアリールまたは任意選択で置換されたヘテロアリールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
22が、任意選択で置換されたアリールである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
22が、シアノ、ハロ、任意選択で置換されたヘテロアリール、および任意選択で置換された複素環からなる群から選択される少なくとも1つの部分で置換されたフェニルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記部分が、シアノ、フルオロ、クロロ、4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル、および4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
23〜R27が水素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
28がヒドロキシである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、表1の化合物21、23、24、36〜39、および48からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
22が、任意選択で置換されたヘテロアリールである、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
22が、任意選択で置換されたピリジルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
22が、3−ピリジルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
23〜R27が水素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
28が、ヒドロキシである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
21が、任意選択で置換されたシクロアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
21が、任意選択で置換されたシクロプロピルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
22が、任意選択で置換されたアリールである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
22が、任意選択で置換されたフェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
22が、シアノ、ハロ、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換された複素環からなる群から選択される少なくとも1つの部分で置換されたフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記部分が、シアノ、フルオロ、クロロ、4,4−ジメチル−4,5ジヒドロオキサゾール−2−イル、および4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
23〜R28が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から独立して選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
23〜R27が、水素である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
28が、ヒドロキシである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
21とR22の両方が独立して、任意選択で置換されたアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
21とR22の両方が独立して、任意選択で置換されたフェニルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
21とR22の両方が独立して、ハロ、アルキル、アルコキシ、シアノ、およびシクロヘテロアルキルからなる群から選択される少なくとも1つの部分で任意選択で置換されたフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
23〜R28が独立して、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、ハロ、アルキル、およびシアノからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項31】
28が、ヒドロキシである、請求項32に記載の方法。
【請求項32】
23〜R27が、水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が、表1の化合物10〜15、17〜19、20、22、25〜35、および40〜47からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
25が、シアノであり、R23、R24、R26、およびR27が、水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が表1の化合物番号16である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記寄生虫疾患が、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、四日熱マラリア原虫(P.malariae)、ネズミマラリア原虫(P.berghei)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、小児リーシュマニア(L.infantum)、シャーガスリーシュマニア(L.chagasi)、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)、アマゾンリーシュマニア(L.amazonensis)、ベネズエラリーシュマニア(L.venezuelensis)、熱帯リーシュマニア(L.tropica)、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)、マイナーリーシュマニア(L.minor)、エチオピアリーシュマニア(L.aethiopica)、ビアナブラジリエンシスリーシュマニア(L.Biana braziliensis)、ガイアナリーシュマニア(L.(V.)guyanensis)、パナマリーシュマニア(L.(V.)panamensis)、ペリヴィアナリーシュマニア(L.(V.)periviana)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosome brucei rhodesiense)、ガンビアトリパノソーマ(T.brucei gambiense)、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、ランブル鞭毛虫(G. lamblia)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ニューモシスチスカリニ(Pneumocystis carinii)、およびクリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)からなる群から選択される寄生虫と関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
動物における寄生虫疾患の治療のための方法であって、こうした動物に、以下の構造
【化2】

(ここで、
31およびR32は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアリール、アラルキル、および任意選択で置換されたヘテロアリールからなる群から独立して選択され、
33〜R36は、水素、アリールカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、アルキルオキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、カルボキシアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、(アルキルアミノ)アルキル、(ジアルキルアミノ)アルキル、アルキルオキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、ジアルキルスルファモイル、アルキルスルファモイル、スルファモイル、スルホニル、シアノ、ハロ、ニトロ、アルキルカルバモイルアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルカノイルアミノ、アルキル、スルファモイルオキシからなる群から独立して選択され、ここで、前述のアルキル−、アリール−、およびヘテロアリール−含有部分はそれぞれ、任意選択で置換されており、
35およびR36は、それらが付着される環原子と一緒になって、任意選択で置換された芳香環を形成する)をもつ治療有効量の化合物、あるいは、その薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を投与する工程を含む方法。
【請求項38】
31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたアリールである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたヘテロアリールである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記任意選択で置換されたヘテロアリールが、任意選択で置換されたピリジルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
31とR32のうちの1つが、任意選択で置換されたフェニルである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記任意選択で置換されたフェニルが、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここでk=1、2、または3である)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、およびアルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
31とR32が両方とも、任意選択で置換されたアリールである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
31とR32が両方とも、任意選択で置換されたフェニルである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
33が、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、またはカルボキシである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記任意選択で置換されたフェニルが、アルキル、シクロアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、−(CHOH(ここでk=1、2、または3である)、−CHNH、−CHNH−アルキル、−CHN(アルキル)、−COH、−COアルキル、−CONH、−CONHアルキル、−CON(アルキル)、−OH、アルコキシ、アリールオキシ、−SH、−S−アルキル、−S−アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−SOアルキル、−SON(アルキル)、−SONHアルキル、−SONH、−SOH、−SCF、−CN、ハロゲン、−CF、−NO、アミノ、置換されたアミノ、−NHSOアルキル、−OCHCHNH、−OCHCHNHアルキル、−OCHCHN(アルキル)、オキサゾリジン−2−イル、アルキル置換オキサゾリジン−2−イルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
33が、ヒドロキシまたはカルボキシである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が、表1から選択される化合物である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
33が、ヒドロキシである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記任意選択で置換されたフェニルが、水素、ハロゲン、およびアルキルからなる群から選択される部分によって置換されたフェニルである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ハロゲンが、クロロである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記アルキルが、メチルである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記化合物が、(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリルオキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物が、前記(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリルオキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンの溶媒和物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物が、前記(ビス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ボリルオキシ)(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)メタノンの水和物である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記寄生虫疾患が、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P.vivax)、卵形マラリア原虫(P.ovale)、四日熱マラリア原虫(P.malariae)、ネズミマラリア原虫(P.berghei)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、小児リーシュマニア(L.infantum)、シャーガスリーシュマニア(L.chagasi)、メキシコリーシュマニア(L.mexicana)、アマゾンリーシュマニア(L.amazonensis)、ベネズエラリーシュマニア(L.venezuelensis)、熱帯リーシュマニア(L.tropica)、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)、マイナーリーシュマニア(L. minor)、エチオピアリーシュマニア(L.aethiopica)、ビアナブラジリエンシスリーシュマニア(L.Biana braziliensis)、ガイアナリーシュマニア(L.(V.)guyanensis)、パナマリーシュマニア(L.(V.)panamensis)、ペリヴィアナリーシュマニア(L.(V.)periviana)、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosome brucei rhodesiense)、ガンビアトリパノソーマ(T.brucei gambiense)、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)、ランブル鞭毛虫(G.lamblia)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ニューモシスチスカリニ(Pneumocystis carinii)、およびクリプトスポリジウム原虫(Cryptosporidium parvum)からなる群から選択される寄生虫と関連する請求項37に記載の方法。

【公表番号】特表2008−502702(P2008−502702A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516714(P2007−516714)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/021219
【国際公開番号】WO2005/123095
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(505465841)アナコール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】