説明

ボール投球装置

【課題】 既知の投球装置及び方法の代替となるものを提供すること。
【解決手段】本発明は、縫目のあるボール26を、ボール投球装置10から投球される前に回転させる構造12及び方法に関する。本構造は野球のようなスポーツにおいて投球されるボールを模擬することができる。本構造は、少なくとも1組の対向するボール支持体28A、28Bを備えており、このボール支持体は、ボールが本構造から発射される前に、まず装填されたボールを予め決定された配置に設置し、次に予め決定された量の回転をボールに与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球のようなスポーツにおいて投球等されるボールを模擬するための、ボールを投球する装置及び方法に関する。特に、本発明は、投球装置から投球されるより前にボールを回転させる構造、及び、方法に関する。ボールは縫製されたものであることが望ましい。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、投球装置は様々なスポーツにおいてトレーニング器具として用いられてきた。現在、多くの異なる形式の投球装置が入手可能である。しかしながら、特に3種類の形態の投球装置が市場を独占している。一つの形式は、ボールを投球するために、対向して回転する一対の輪を用いたものである。別の形式は、ボールを投球するために機械的な腕を用いたものである。第3の形式は、装置からボールを投球するために、圧縮ガスのような膨張ガスを用いたものである。
【0003】
米国特許第6,202,636号明細書(特許文献1)には、第3の形式の一例として、膨張ガスを利用して本体から意図された標的に向かってボールを投球する投球装置が開示されている。この装置では、本体の一部を成す表面の摩擦を変化させる手段により、ボールに与えられる回転量を変化させることができる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,202,636号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、野球のボールのように縫い合わされたボールは通常ツーシーム又はフォーシームのどちらの位置でも投球されるが、この事は上記の装置においては考慮されていない。従って、野球用ボールあるいは同様のボールに回転や速度を与えることに関して、容易性や柔軟性を高めた投球装置が要求されている。
【0006】
このような点に鑑みて本発明は、既知の投球装置及び方法の代替となるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面において、概して本発明は、縫目を有するボールを投球するためのボール投球構造であって、ボールを保持し転動させるものであって相互に対向配置された複数のボール支持体を備え、前記ボール支持体によって、予め決定された配置に位置するまで当該ボール支持体に対して前記ボールを動かすためのボール位置決定手段と、予め決定された配置で前記ボールを保持し回転させるものであって相互に対向配置された複数のボール支持体を備えるボール回転手段と、回転しているボールを投球軸に沿って当該ボール投球構造から投球するボール投球手段と、を備える。
【0008】
ボール回転手段は対向するボール支持体を2組備え、各ボール支持体の組は互いに直交するように配列されることが望ましい。対向するボール支持体の組のうちの1組は、ボール位置決定手段における対向するボール支持体の組であることが望ましい。対向するボール支持体の組のうち1組は、ボール回転手段における対向するボール支持体の組であることが望ましい。
【0009】
ボール支持体は、装填されたボールに対して前進又は後退が可能なことが望ましい。本投球構造は、ボール支持体を転動及び/又は回転させるモータを備えることが望ましい。
【0010】
各々のボール支持体におけるボールと接触する部分は、実質的に凹面を成すことが望ましい。この凹面は、当該凹面外縁上で頂部にて繋がる多数の隣接するスカラップ又は溝を備えることが一層望ましい。
【0011】
予め決定された配置により、ボールがツーシーム回転で投球されるように配置されること、又は、ボールがフォーシーム回転で投球されることのいずれも可能なことが望ましい。予め決定された配置により、ボールは当該ボールの縫目上においては前記対向するボール支持体によって保持されないことが望ましい。
【0012】
もう一つの側面においては、本発明は、縫目を有するボールを投球する方法であって、対向するボール支持体を備えるボール位置決定手段によって前記ボールを保持し転動させることで、前記ボールを、予め決定された位置に配置されるまで前記ボール支持体に対して動かし、対向するボール支持体を備えるボール回転手段によって、予め決定された位置で保持された前記ボールを保持し回転させ、ボール投球手段によって、投球軸に沿ってボール投球構造から回転している前記ボールを投球すること、を特徴とする。
【0013】
また異なる側面においては、本発明は少なくとも1組の対向するボール支持体を備える構造体に帰する。本構造体は、ボール支持体の転動によって、装填された野球ボールが予め決定された軸回りに転動することと、この野球ボールの転動において、野球ボールが転動して予め決定された転動軸となるまでの間に、野球ボールの転動軸の変動を妨げない程度にボール支持体によって野球ボールに圧力が加えられることとを特徴とする。
【0014】
対向するボール支持体の組は、野球ボールと接触しない後退位置から、装填された野球ボールと接触する前進位置に動作可能であることが望ましい。空気圧ピストン又はリニアモータによってボール支持体を前進又は後退させること、及び、ボール支持体のそれぞれを個別のモータにより転動させることが望ましい。
【0015】
野球ボールにおいて連続的に縫製された縫目によって形成される対向するループ状の領域の組に対して、その中心に転動軸が合い、まっすぐに伸びるように、野球ボールが位置調整されることが望ましい。予め決定された転動軸により、野球ボールがツーシーム回転で投球されるように配置されること、又は、野球ボールがフォーシーム回転で投球されることのいずれも可能となることが望ましい。
【0016】
対向するボール支持体の1組が、初めに野球ボールを予め決定された軸で転動させ、次に予め決定された量の回転を野球ボールに与えることにより、当該野球ボールがツーシームポジションで投球されることが望ましい。あるいはまた、対向するボール支持体の第一の組が初めに野球ボールを予め決定された軸で転動させ、次に対向するボール支持体の第二の組が野球ボールに予め決定された量の回転を与えることにより、当該野球ボールがフォーシームポジションにて投球されることも望ましい。ボール支持体の第一の組は、ボール支持体の第二の組とは異なる速度で転動されることが望ましい。
【0017】
対向するボール支持体の組は、野球ボールを予め決定された転動軸で転動させるために位置調整している間、野球ボールと2から6キログラムの圧力で接触していることが望ましい。対向するボール支持体の組は、ツーシーム又はフォーシームポジションで野球ボールを回転させている間は、12から18キログラムで野球ボールと接触していることが望ましい。
【0018】
ボール支持体は、野球ボールと接触可能な略凹面状の面を有することが望ましい。この凹面は、当該凹面の外縁上で頂部にて繋がる多数の隣接したスカラップ又は溝を有することが一層望ましい。
【0019】
更に異なる側面では、本発明は野球ボール投球手段において野球ボールの位置調整を行う方法に帰する。本方法は、対向するボール支持体の組を野球ボールと接触するように移動させて、予め決定された軸で野球ボールが転動するまでボール支持体を転動させる方法であり、ボールの転動において、野球ボールが転動して予め決定された転動軸となるまでの間に、野球ボールの転動軸の変動を妨げない程度にボール支持体によって野球ボールに圧力が加えられることを特徴とする。
【0020】
また異なる側面では、本発明は膨張するガスを動力とする投球装置に帰する。本投球装置は、胴部と、少なくとも一つのボール支持体と、少なくとも一つのボール支持体を転動させるための少なくとも一つのモータとを備え、ボール支持体が装填されたボールに対して前進及び後退が可能なことを特徴とする。
【0021】
野球ボールを投球するには圧縮空気が望ましいが、一方で他の膨張するガスを用い得ることは当業者であれば容易に理解できるだろう。例えば、投球装置は可燃性ガス及び点火源の組み合わせによって用いられることもできる。
【0022】
本発明の補足的な望ましい特徴は、従属請求の範囲、及び、次に示す好適な実施の形態によって明示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る投球構造及び方法の実施の形態を詳細に説明する。ただし、この形態により本発明が限定されるものではない。
【0024】
野球ボールは、空気中を通過するボールの動きに影響するように、縫目/シームを所望の方向に向けて投球されることが要求される。もしこのことが考慮に入れられず、ボールが無作為に投球される場合、回転するボールが軌道を外れて動く距離は、ボールが投球される度毎に異なるだろう。本発明によれば、回転数及び回転軸の両方に関して同一の回転を、本装置から投球されるボールに与えることができる。それ故に、所望の投球のタイプを繰り返し模擬することが可能である。
【0025】
図1は本発明の好適な実施の形態に係るボール回転機構を利用したボール投球装置10の一例である。通常は、ボール投球装置10はボール回転機構12、ボール発射器14、脚部18を備えるスタンド16、チルト機構20、胴部22、及び、ボール供給器24を備える。ボール発射器14は、例えばゴム又は樹脂のような柔軟な材料で作られた空気吸入ホースを経由して、圧縮空気のシリンダ、又は、動力付圧縮機のような圧縮ガス源に接続される。
【0026】
ボール回転機構12を含む本装置10の本体構成部品は、種々の金属、合金、又は樹脂を含む多くの適合する材料から構成され得る。スタンドの高さを変更することによって、例えば、伸縮自在の脚部を使用することによって、本装置10の競技面からの高さを変更することができ、このことによって、目標に向かって投球されるボールの下降角度を変更することができる。このように本装置10の高さを変えることによって、異なる身長の選手から投球されるボールの模擬を行うことが可能になる。
【0027】
ボール投球装置10には、図1に示すようにボール供給器24を設けることができる。ボール供給器24は、任意の実用的なサイズとすることが可能であり、ボール回転機構12に入る以前の一つ以上のボールを保持することに用いることが可能である。本ボール供給器は信号を発する機器と関連して使用することができ、選手はボールがまもなく投球されるという適切な警告を受けることができる。本発明における好適な実施の形態によれば、ボール投球装置10の胴部22の開口端をボール供給器24に向かって持ち上げて、ボール供給器24からボールを胴部22の開口端の中に直接転がり込ませ、続いてボール回転機構12の中に転がり込ませることによって、ボールがボール投球装置10に装填される。その後、発射に先立って、目標に向けて胴部22の開口端を下げることが可能である。
【0028】
動作の中で、ボールはボール回転機構12に配置される。圧縮空気は、ボール発射器14に供給され、必要に応じて一時的に貯蔵される。発射時には、ボールがボール回転機構12から胴部22を経由して目標に向かうように、圧縮空気によってボールに力を加える。
【0029】
図2から9は本発明におけるボール回転機構12の概念図を示す。図2から図9は、発射に先立って、野球ボールの縫目が位置調整され、続いて本発明のボール回転機構12によって野球ボールを回転させる方法を示している。この方法によって、野球の投手によってボールに与えられる異なる形式の回転を、本発明のボール回転機構12によって実質上再現することができる。
【0030】
図2から9は4つのボール支持体28A、28B、28C、及び28Dを備えるボール回転機構12を概念的に示している。使用時は、ボール支持体28A、28B、28C、及び28Dは当初は後退位置にあり、ボール26がボール回転機構12のボール支持体の間で停止する。図1に示すように胴部22の端部に直接装填されることによって、あるいは、胴部内に開口している分岐を経由して装填されることによっても、ボールをボール回転機構12の胴部に入れることが可能である。
【0031】
図2に示すように、ボール回転機構内部にボールが配置されると、対向するボール支持体28A、28Bの組が矢印P及びQで示すように互いに前方に動き、ボールと接触する。図2に示すように、ボール支持体28A、28Bは、ボール支持体28Cと28Dのように垂直であるよりも、むしろ水平であることが望ましい。しかし、図9に示すように胴部が90度回転する場合は、ボール支持体28C、28Dは水平となるので、ボール支持体28C、28Dが垂直とすることが望ましい。
【0032】
図3によれば、対向するボール支持体28A、28Bは、ボール26と接触するまで動作し矢印Mで示す方向に転動することで、矢印Nによって示すようにボールを回転させる。
【0033】
対向するボール支持体28A、28Bの組が野球ボールを緩く掴んだ状態で回転させた場合、ボールの縫目とボール支持体が接触するのではなく、連続して縫われた縫目によりループ状に形成される二つの領域とボール支持体が接触することでボールが掴まれるまでは、ボールの表面はボール支持体に対して動くことを発明者は発見した。支持体による初期のボールの掴まれ方と関係なく、ボールは上記の位置に落ち着く。位置調整されたボールを図4に示す。この理論に拘束されることを望まない場合は、盛り上がった縫目に起因するボールの円周及び/又はボールの重量のわずかな差異が、上記現象の発生する理由とすることもできる。重要なのは、ボールがボール支持体28A、28Bによってあまりにもきつく掴まれた場合、ボールはボール支持体に対して動くことができず、「調整された」位置とすることができないことに注意するということである。
【0034】
実際には、ボールの位置調整を行うために、ボール支持体は毎分約2700回転で転動する。各ボール支持体は約2から約6キログラムの圧力をボールに加える。回転するボールを掴むために用いられる代替の回転速度及び/又は圧力は、実験によって容易に確かめることができる。
【0035】
一度ボールが位置調整されると、ボール支持体28A、28B、あるいはボール支持体28C、28Dのいずれの組も、位置調整されたボールに予め決定された量の回転を与えるために用いることができる。例えば、図4ではボールの位置調整に用いられたボール支持体28A、28Bがさらにボールに対して前進し、その後に位置調整されたボールに予め決定された量の回転を与えるために用いられる。あるいはまた、図5に示すように、位置調整されたボールに接触するように、ボール支持体28C、28Dを矢印R及びSで示す方向に移動させることも可能である。ボール支持体28Aと28Bとは、続いて図6に示すように矢印T及びUの方向に後退し、ボール支持体28Cと28Dとがボールに予め決定された量の回転を与えるために用いられる。
【0036】
一度ボールが位置調整されると、ボール支持体の組がボールに予め決定された量の回転を与えるために用いられるが、同じ位置を維持するためにボールをさらに確実に掴むことが望ましい。実際には、12から18キログラムの圧力、望ましくは15キログラムの圧力が使用される。しかし、前記のように、当業者によって代替の把握圧力が決定されることも可能である。
【0037】
位置調整されたボールに予め決定された量の回転を与える際、転動軸を初めに選択しなければならない。例えば、図4はボール支持体28A、28Bが「ツーシーム」として知られる位置でボールを回転させている様子を示している。さらに詳細な説明は後述する。対照的に、図7は対向するボール支持体28C、28Dの組がボールを掴み、ボールが「フォーシーム」の位置で回転している様子を示す。こちらも後述する。ボール支持体28C及び28Dはツーシームの位置でボールを回転させるためにも用いられることが可能だが、この構成は図示しない。
【0038】
再び図4を参照する。仮にM軸回りに矢印Nで示す方向にボールが回転し、Zの方向に投球されると、接近するボールを見ている打者はM軸周りにボールが1回転する毎に2回縫目を見ることになる。これがツーシームと呼ばれる位置である。
【0039】
再び図7を参照する。仮にY軸回りに矢印Xで示す方向にボールが回転し、Zの方向に投球されると、接近するボールを見ている打者はY軸周りにボールが1回転する毎に4回縫目を見ることになる。これがフォーシームと呼ばれる位置である。
【0040】
実際には、ボール支持体28A、28B(ボールを緩やかに掴んでいる)が回転させている位置調整されたボールに向かってボール支持体28C、28Dを前進させることによって、ボール支持体28A、28Bがボールをさらに回転させることを、ボールの縫目とボール支持体28C、28Dとの相互作用が抑制する。これにより位置調整されたボールをフォーシームの位置で回転させるためにボール支持体28C、29Dを用いることができる。その後ボール支持体28A、28Bを後退させる。そしてボールをフォーシームの位置で回転させるためにボール支持体28C、28Dを転動させる。回転中の位置調整されたボールに向けてボール支持体28C、28Dを前進させることによって、縫目の二つの部分をボール支持体28C、29Dの組のそれぞれが覆う位置で、ボールの回転が止まることが見出された。この位置ではボールがわずかに大きい円周を有する。位置調整されたボールをボール支持体28A、28Bによってゆっくりと回転させることが望ましい。あるいはまた、フォーシームの位置でボールを回転させる前に、ボール支持体28C、28Dをボール上に正確に配置するために電子的なセンサを用いることができる。
【0041】
図8はフォーシームの位置で回転中の位置調整された野球ボールを示しているが、ボール回転機構12は図2から7に示したものから90度転動している。ボール支持体28C、28Dは垂直ではなく水平に示されている。ベアリング32と34(図10に示す)によって、胴部22とボール回転機構12とを、ボール投球装置の残りの部分に対して胴部の長軸周りに転動させることができる。この転動によって、ボールの回転の方向を、例えば縦回転から横回転へと変更することが可能となる。ボール回転機構の転動を自動で、例えば、後述するようにモータを取付けたピニオンギア及びリングギアにより行うことが可能である。ボール回転機構の相対位置を変えるために制御モジュールを用いることもできる。図9では、矢印D及びEで示された方向に後退するボール支持体28C、Dと、フォーシームの位置で縦回転しながら胴部から発射されるボールとを示している。
【0042】
上述したようにボール回転機構12は金属、合金、又は樹脂から作ることができるが、鉄が望ましい。ボール支持体28A、28B、28C、28Dは類似した材料から構成することができる。あるいはまた、異なるボール支持体に異なる材料を使うことが望ましい。例えば、ボール支持体28A、28Bはアルミニウムでもよく、支持体28C、28Dはゴム又は樹脂でもよく、ボール支持体の軸はアルミニウムから加工することもできる。好適な実施の形態によれば、ボール支持体は、ボールと接触して支持体とボールとの間における摩擦による動作を促進するために、略凹面を有する。
【0043】
図10(a)から10(c)に、本発明における好適な実施の形態によるボール回転機構12を示す。特に、図10(a)は、ボール回転機構の筐体42、モータ40とそれに連結したプーリ36、ボール支持体28とそれに連結したプーリ38、及び、空気圧ピストン44を示す。ピストン44はヒンジによって筐体42に取付けられており、図10(b)に示すような閉鎖位置に向かって図示しないバネによって傾けられる。ピストン44と筐体42との接続にヒンジを用いることによって、必要であればボール支持体28を筐体42における各開口部から手動で後退させることができる。
【0044】
モータ40は、プーリ36と38との間にある図示しないベルトを経由してボール支持体28に回転動作を供給する。次に、ボール支持体は軸回りで野球ボールを保持し回転させる。空気圧ピストン44は、装填されたボールに対して接触する位置から、ボール支持体を前進及び後退させる。装填された野球ボールにボール支持体によって加えられる圧力の量を、本発明の方法に合わせて変化させるために、空気圧ピストンを使用することができる。あるいはまた、装填された野球ボールにボール支持体によって加えられる圧力の量を変化させるためにリニアモータを用いることもできる。
【0045】
発射時にボールに要求される軸回転の方向によって、モータの回転を時計回り又は反時計回りとすることができる。モータの回転速度を変えることによって、発射時にボールに与えられる回転の量を変えることが可能である。さらに、上述のように、回転機構12及び胴部は水平な競技面に対して転動させることができるので、例えば、縦回転又は横回転のボールを目標に向けて投球することができる。
【0046】
図11(a)と11(b)は、ボール回転機構の筐体42を、言わば水平な競技面に対して転動可能とした、本発明によるボール回転機構の構成を示している。特にモータ48は、リングギア50を転動させてボール回転機構を転動させるために用いることができる。バルブボディ46は、投球前にボール回転機構内部で回転している野球ボールを、圧縮空気によって装置から投球することができる。
【0047】
図12(a)から(e)は本発明の好適な実施の形態による全体構成を示す。図11において示したものに加えて、図12(a)から(e)ではピボットピン56に対してモータ54によって上昇又は下降させることのできる支持フレーム52を示している。本構成によって、軌道は異なるが回転が同一なボールを装置から投球することができる。
【0048】
使用する際は、ボールは胴部の開口端に置かれ、ボール回転機構内部に転がり込むようにする。ボール回転機構内部に入ると、ボールは位置調整され、予め決定された軸回りに予め決定された回転数で回転し、次に圧縮空気によって目標に向かって装置から投球される。これらの機能全ては、適合するコンピュータモジュールと接続されることが望ましい。
【0049】
図13(a)と13(b)は、好適な実施の形態におけるボール支持構造を更に詳細に示すものである。図13(a)は、構造の分解図であり、モータ40及び連結されたプーリ36及びボール支持機構の取付板50を示している。空気圧ピストン構造は、ボール支持体28、ピボットリング58、ピストン54、シリンダ56、アクチュエータ筐体52、及び、プーリ38を備える。使用する際は、ピストン54が動作し、装填されたボールに向かってボール支持体28を前進させる。
【0050】
野球ボールと接触させるためには、滑らかな凹面以外でも本発明におけるボール支持体を構成し得ることは、当業者にとっては明らかであろう。例えば、図14に示すように、ボール支持体28A及び28Bは、凹面の外縁上で頂部にて繋がっている隣接したスカラップ又はアーチ状の溝60を備えることもできる。これらの溝は、野球ボールの表面から出っ張っている縫目の高さとおおよそ同じ深さであることが望ましい。ボール支持体28C及び28Dを同様の構成とすることができる。既に述べたように、支持体は複数材料を組み合わせて構成することができ、この点については、ボールを配置する際にモータに必要となるトルクを低減するために、支持体のカップ状の表面上に非粘着面を用いることができる。
【0051】
当業者には十分理解されるだろうが、本発明における野球ボール回転機構の様々な機能を、プログラム可能な制御モジュールの制御下に置くことができる。さらに、制御モジュールは、携帯可能なコンピュータ及び/又は遠隔操作ユニットと連係して用いることができる。そのような機器を用いることで変更可能なパラメータとしては、例えば、回転数、回転方向、回転角度、及び、投球されるボールの速度がある。加えて、個々の選手についての統計資料を収集するために制御モジュールを用いることもできる。さらに、連続したトレーニングを選手の個別の要求に合致するように個別調整することもできる。これらの機器及び他の機器は、当業者にとっては容易に理解できるものであり、本発明の範囲に含まれるものである。
【0052】
理想的には、ボールのレシーバは信号を受けることによってボールがまもなく投球されることを知る。例えば、実際のボールが投球される前の時期に、ボールが軌道を転がりフィード管に入る所をボールのレシーバが見えるようにすることができる。本実施の形態によれば、一つのボールがフィード管に入ると、回転を加える手段の中で待機しているボールをセンサが発射させる。あるいはまた、透明な樹脂の管を用いることができる。ボールが透明な管の頂部に到達すると、ボールはフィード間の中に落下し、スピンを加える手段の中で待機しているボールを発射させるセンサを起動する。ボールのレシーバに対してボールが間もなく投球されるという信号を送る他の構成については、当業者にとっては既知のものがあり、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
また、本発明におけるボール回転機構12は、様々なボール装填及び発射機構との組み合わせで用いることができることも、当業者には十分理解されるであろう。上述した特定の装填及び発射機構は、説明の目的でのみ引用している。
【0054】
特定の実施の形態を特に引用することにより本発明を説明してきたが、開示され、詳細に説明された発明の形態は本発明の好適な実施の形態として捉えるべきものであり、特許請求の範囲で定義する本発明の範囲及び本発明の真の趣旨から逸脱することなく、様々な変更及び改良を実施可能なことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、投球装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図3】図3は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図4】図4は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図5】図5は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図6】図6は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図7】図7は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図8】図8は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図9】図9は、本発明におけるボール回転機構の概念図であり、様々な回転動作を説明している。
【図10】図10(a)から10(c)は、本発明におけるボール回転機構の透視図である。図10(a)は分解組立図であり、図10(b)はボール回転機構の後部における透視図であり、図10(c)はボール回転機構の前部における透視図である。
【図11】図11(a)は、本発明における主胴部とボール回転機構を結合したものの分解組立図である。図11(b)は、組み立てられた回転機構の透視図である。
【図12】図12(a)と12(d)は、本発明におけるボール回転機構、主胴部、及び取付構造を結合したものの透視図である。図12(b)と12(c)は、組み立てられた構造の立面図であり、図12(e)は平面図である。
【図13】図13(a)は、本発明のボール回転機構における、ボール支持体及び連結されたモータ構造を示す分解組立図である。図13(b)は、ボール回転機構におけるボール支持体及び連結されたモータ構造を組み立てたものの透視図である。
【図14】図14は、投球装置のボール回転機器における一組の対向するボール支持体の透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫目を有するボールを投球するためのボール投球構造であって、
ボールを保持し転動させるものであって相互に対向配置された複数のボール支持体を備え、前記ボール支持体によって、予め決定された配置に位置するまで当該ボール支持体に対して前記ボールを動かすためのボール位置決定手段と、
予め決定された配置で前記ボールを保持し回転させるものであって相互に対向配置された複数のボール支持体を備えるボール回転手段と、
回転しているボールを投球軸に沿って当該ボール投球構造から投球するボール投球手段と、
を備えるボール投球構造。
【請求項2】
前記ボール回転手段は、相互に対向するボール支持体を2組備え、各ボール支持体の組は互いに直交するように配列されたこと、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項3】
対向する前記ボール支持体の組のうちの1組は、前記ボール位置決定手段における相互に対向する前記ボール支持体の組であること、
を特徴とする請求項2に記載のボール投球構造。
【請求項4】
対向する前記ボール支持体の組のうちの1組は、前記ボール回転手段における相互に対向する前記ボール支持体の組であること、
を特徴とする請求項2に記載のボール投球構造。
【請求項5】
前記ボール支持体を、装填されたボールに対して前進可能又は後退可能としたこと、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項6】
前記ボール支持体を、転動及び/又は回転させるモータを備えること、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項7】
各々のボール支持体におけるボールと接触する部分は略凹面であり、前記略凹面は当該略凹面外縁上で頂部にて繋がる多数の隣接するスカラップ又は溝を備えること、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項8】
前記の予め決定された配置により、ボールがツーシーム回転で投球されるように配置されること、又は、ボールがフォーシーム回転で投球されることのいずれも可能なこと、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項9】
前記の予め決定された配置により、ボールは当該ボールの縫目上においては前記対向するボール支持体によって保持されないこと、
を特徴とする請求項1に記載のボール投球構造。
【請求項10】
縫目を有するボールを投球する方法であって、
対向するボール支持体を備えるボール位置決定手段によって前記ボールを保持し転動させることで、前記ボールを、予め決定された位置に配置されるまで前記ボール支持体に対して動かし、
対向するボール支持体を備えるボール回転手段によって、予め決定された位置で保持された前記ボールを保持し回転させ、
ボール投球手段によって、投球軸に沿ってボール投球構造から回転している前記ボールを投球すること、
を特徴とするボールを投球する方法。
【請求項11】
前記ボールは、野球ボール又はソフトボールであること、
を特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のボール投球構造。
【請求項12】
野球ボールを野球ボール投球手段の中で位置調整するための位置調整構造であって、
相互に対向する複数のボール支持体を少なくとも1組備え、
前記ボール支持体の転動によって、装填された野球ボールが予め決定された軸回りに転動され、前記野球ボールの転動において、前記野球ボールが転動して予め決定された転動軸となるまでの間に、前記野球ボールの転動軸の変動を妨げない程度に前記ボール支持体によって前記野球ボールに圧力が加えられること、
を特徴とする位置調整構造。
【請求項13】
前記対向するボール支持体の組は、前記野球ボールと接触しない後退位置から、装填された野球ボールと接触する前進位置まで動作可能なこと、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項14】
空気圧ピストン又はリニアモータによって、前記ボール支持体を前進又は後退させること、
を特徴とする請求項13に記載の位置調整構造。
【請求項15】
前記ボール支持体のそれぞれを個別のモータによって転動させること、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項16】
前記野球ボールにおいて連続的に縫製された縫目によって形成される対向するループ状の領域の組に対して、その中心に転動軸が合い、まっすぐに伸びるように、前記野球ボールが位置調整されること、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項17】
前記の予め決定された転動軸により、前記ボールがツーシーム回転で投球されるように配置されること、又は、前記ボールがフォーシーム回転で投球されることのいずれも可能となること、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項18】
相互に対向するボール支持体の1組が、初めに前記野球ボールを予め決定された軸で転動させ、次に予め決定された量の回転を当該野球ボールに与えることにより、当該野球ボールがツーシームポジションで投球されること、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項19】
対向するボール支持体の第一の組が初めに前記野球ボールを予め決定された軸で転動させ、次に対向するボール支持体の第二の組が当該野球ボールに予め決定された量の回転を与えることにより、当該野球ボールがフォーシームポジションにて投球されること、
を特徴とする請求項12に記載の位置調整構造。
【請求項20】
前記ボール支持体の第一の組は、前記ボール支持体の第二の組とは異なる速度で転動されること、
を特徴とする請求項19に記載の位置調整構造。
【請求項21】
前記対向するボール支持体の組は、前記野球ボールを予め決定された転動軸で転動させるために位置調整している間、当該野球ボールと2から6キログラムの圧力で接触していること、
を特徴とする請求項18又は19に記載の位置調整構造。
【請求項22】
前記対向するボール支持体の組は、ツーシーム又はフォーシームポジションで前記野球ボールを回転させている間は、12から18キログラムで当該野球ボールと接触していること、
を特徴とする請求項18又は19に記載の位置調整構造。
【請求項23】
前記ボール支持体は、野球ボールと接触可能な略凹面状の面を有すること、
を特徴とする請求項13に記載の位置調整構造。
【請求項24】
前記凹面は、当該凹面の外縁上で頂部にて繋がる多数の隣接したスカラップ又は溝を有すること、
を特徴とする請求項22に記載の位置調整構造。
【請求項25】
野球ボール投球手段において野球ボールの位置調整を行う方法であって、
対向するボール支持体の組を野球ボールと接触するように移動させ、
予め決定された軸で前記野球ボールが転動するま前記でボール支持体を転動させ、
前記野球ボールの転動において、当該野球ボールが転動して予め決定された転動軸となるまでの間に、当該野球ボールの転動軸の変動を妨げない程度に前記ボール支持体によって当該記野球ボールに圧力が加えられること、
を特徴とする位置調整方法。
【請求項26】
膨張するガスを動力とする投球装置であって、
(a)胴部と、
(b)少なくとも一つのボール支持体と、
(c)少なくとも一つのボール支持体を転動させるための少なくとも一つのモータと、
を備え、前記少なくとも一つのボール支持体は装填されたボールに対して前進及び後退が可能なこと、
を特徴とする投球装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図12(c)】
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【図12(d)】
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【図12(e)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−528764(P2007−528764A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502151(P2007−502151)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000338
【国際公開番号】WO2005/087328
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506299939)リアリスティック ピッチング マシーンズ プロプライアタリー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】REALISTIC PITCHING MACHINES PTY LTD