説明

ポイントカード及びポイントカードの印字方法

【課題】 1ポイント当たりの金額を低めに設定した場合であっても、カードの発行枚数を増加させることがなく、しかも印字エリアに印字されるポイント自体から現在のポイントの累積数を容易に確認することができるようにする。
【解決手段】 少なくとも樹脂基材シート11の一面に設けられた追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字記録部12に対し、複数の星形のポイント16を並べて印字するとともに、各々のポイント16を購買金額に応じて分割印字することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品やサービスの購買金額に応じたポイントが付与されるポイントカード及びその印字方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスの購買金額に応じてポイントが付与されるものとして、たとえばサーマルプリンタによりポイントが印字されるポイントカードがある。このようなポイントカードは、ポイントが所定数に達すると、割引や景品交換等に用いられたりするようになっている。ここで、ポイントは、通常、ドット又は各種記号等によってその累積の様子が一見して分かるように印字されている。
【0003】
ところで、このようなポイントカードは、名刺サイズであり、カード自体にデザイン等が印刷されることから、ポイントの印字エリアが制約を受けてしまう。そのため、その印字エリアに印字できるポイント数に限りがあるため、1枚のポイントカードで割引や景品交換等が行えるようにすると、1ポイント当たりの金額を高めに設定する必要がある。すなわち、たとえば1ポイント当たりの金額を500円としているとき、購買金額が1500円に達していれば3ポイントが印字されるようになっている。
【0004】
ところが、購買金額が1500円に少しでも満たないと、2ポイントまでしか印字されないため、そのポイントカードによって購買者への満足感やお得感を与えることができなくなってしまう。この場合、1ポイント当たりの金額を低めに設定することで、購買者への満足感やお得感を与えることができるが、ポイントが割引や景品交換等に用いられまでの所定数に達するまでには複数枚のポイントカードが必要となってしまう。
【0005】
ここで、特許文献1では、たとえば「おかめ」の顔の輪郭をリライト層を有する印字エリア内に予め印刷しておき、「おかめ」の顔の眉、目、鼻、口等の要素を購買金額に応じて印字し、「おかめ」の顔が完成したならばポイントが割引や景品交換等に用いられまでの所定数に達したことが分かるようにしたポイントの印字方法を提案している。
【特許文献1】特開2002−137578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した特許文献1のように、「おかめ」の顔の眉、目、鼻、口等の要素を多くすることで、1枚のポイントカードでも1ポイント当たりの金額を低めに設定することが可能となるが、「おかめ」の顔が完成するまでの間、その「おかめ」の顔自体から現在のポイントの累積数を確認することができないという問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、1ポイント当たりの金額を低めに設定した場合であっても、カードの発行枚数を増加させることがなく、しかも印字エリアに印字されるポイント自体から現在のポイントの累積数を容易に確認することができるポイントカード及びその印字方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のポイントカードは、少なくとも基材シートの一面に追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアを有し、その印字エリアに複数のポイントが並べられて印字されるポイントカードであって、前記複数のポイントの各々は購買金額に応じた分割印字によって構成されていることを特徴とする。
また、前記ポイントは、ドット又は所定の記号からなるものであるようにすることができる。
本発明のポイントカードの印字方法は、少なくとも基材シートの一面に追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアを有し、その印字エリアに複数のポイントを並べて印字するポイントカードの印字方法であって、前記複数のポイントの各々は購買金額に応じて分割印字されることを特徴とする。
本発明に係るポイントカードでは、少なくとも基材シートの一面に設けられた追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアに対し、複数のポイントを並べて印字する際、各々のポイントを購買金額に応じて分割印字することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポイントカードおよびその印字方法によれば、少なくとも基材シートの一面に設けられた追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアに対し、複数のポイントを並べて印字する際、各々のポイントを購買金額に応じて分割印字することができるようにしたので、1ポイント当たりの金額を低めに設定した場合であっても、カードの発行枚数を増加させることがなく、しかも印字エリアに印字されるポイント自体から現在のポイントの累積数を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態では、少なくとも基材シートの一面に設けられた追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアに対し、複数のポイントを並べて印字する際、各々のポイントを購買金額に応じて分割印字することができるようにし、1ポイント当たりの金額を低めに設定した場合であっても、カードの発行枚数を増加させることがなく、しかも印字エリアに印字されるポイント自体から現在のポイントの累積数を容易に確認することができるようにした。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のポイントカードにポイントを付与するカードリーダライタの概要を説明するための斜視図、図2は、図1のカードリーダライタの内部構成の概要を説明するためのブロック図、図3及び図4は、図1のカードリーダライタによってポイントが付与されるポイントカードを説明するための図、図5は、図3及び図4のポイントカードに付与されるポイントを説明するための図、図6は、図1のカードリーダライタによるポイントの印字方法を説明するためのフローチャート、図7は、図5のポイントの形状を変えた場合の他の実施形態を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、カードリーダライタ(以下、リーダライタという)20は、ケーシング21の前面にポイントカード10のカード挿入・排出口22を有し、その上側にキー入力部23を有し、さらに上面に液晶表示部24を有している。
【0013】
キー入力部23は、「0」〜「9」までの数字キー、点検キー、交換キー、販売キー、合計キー、訂正キー、×キー等を有している。また、ケーシング21の後部には電源ケーブル25、レジスタやパソコンと接続するための通信ケーブル26が設けられている。
【0014】
ケーシング21内には、図2に示すように、搬送ローラ27、印字ヘッド28、磁気ヘッド29、キー入力部23、通信アダプタ30、カード挿入センサ31、液晶表示部24を制御する制御部40が設けられている。
【0015】
制御部40は、ローラ駆動回路41、印字ヘッド駆動回路42、磁気ヘッド記録再生回路43、キーコントローラ44、RAM45、CPU46、ROM47、時計手段48、データメモリ49、データバス49aを備えている。
【0016】
ローラ駆動回路41は、カード挿入・排出口22から挿入されるポイントカード10を搬送する搬送ローラ27を駆動させる。なお、カード挿入・排出口22からポイントカード10が挿入される際には、カード挿入センサ31によってそのポイントカード10が光学的に検出されるようになっている。
【0017】
印字ヘッド駆動回路42は、印字ヘッド28に対して印字動作を行わせる。磁気ヘッド記録再生回路43は、磁気ヘッド29に対し、ポイントカード10のデータの読取や書込を行わせる。
【0018】
キーコントローラ44は、キー入力部23からの入力を受け付ける。RAM45には、印字ヘッド28によってポイントカード10に印字すべき印字データ等が格納される。CPU46は、カード挿入センサ31によってポイントカード10が検出されると、所定のプログラムに従って各部の動作を制御する。
【0019】
ROM47には、CPU46の制御に必要なプログラム等が格納されている。時計手段48は、現在の時刻をデータで与える。データメモリ49には、磁気ヘッド29によってポイントカード10に書き込むべきデータやポイントカード10から読み取ったデータ等が格納される。なお、通信アダプタ30は、外部に設けたホストコンピュータやレジスタ等(いずれも図示せず)との通信を行うものである。
【0020】
次に、リーダライタ20によってポイント等が印字されるポイントカード10について説明する。
まず、図3に示すように、ポイントカード10は、樹脂基材シート11の表面に感熱印字が可能な印字エリアとしての印字記録部12を有し、裏面に磁性物質の塗布等よりなる磁気記録部13を有している、いわゆる磁気カードとなっている。なお、印字記録部12には、追加記録のみ可能なものと、繰り返し記録及び消去が可能なリライタブル型とがある。
【0021】
また、磁気記録部13は、図4(a)に示すように、帯状の磁気領域で構成されており、たとえば組織IDコード記録領域、発券者IDコード記録領域、カードIDコード記録領域及び利用データ記録領域等(いずれも図示せず)によって区分けされ、各種のコードやデータが上述した磁気ヘッド29により所定ビット数のデジタル信号として書き込まれるようになっている。
【0022】
印字記録部12には、図4(b)に示すように、会員番号14、発行日15、ポイント16等が印字されるようになっている。
【0023】
ここで、ポイント16は、ドット又は所定の記号によって印字されればよく、本実施形態では、その記号をたとえば星形としている。また、ポイント16は、横並び又は縦並びに印字されるようになっている。そして、各々の星形のポイント16は、図5(a)〜(e)に示すように、購買金額に応じて分割印字されるようになっている。
【0024】
つまり、1ポイント当たりの金額を100円とした場合、100円では図5(a)に示すように、星形を1/5としたポイント16が印字され、200円では図5(b)に示すように、星形を2/5としたポイント16が印字され、300円では図5(c)に示すように、星形を3/5としたポイント16が印字され、400円では図5(d)に示すように、星形を4/5としたポイント16が印字され、500円では図5(e)に示すように、星形が完成する。そして、図5(e)のように完成した1個の星形を、たとえば5ポイントとすることができる。
【0025】
このように、1個のポイント16を購買金額に応じて分割印字することにより、1ポイント当たりの金額を低めに設定することができる。また、完成したポイント16と分割印字されたポイント16とを確認することで、現在のポイント累計数が容易に判別される。
【0026】
次に、ポイントカード10の印字方法について説明する。
なお、以下に説明するポイントカード10は、追加記録のみが可能なものであるとする。
【0027】
まず、図6に示すように、精算が行われるとき、レジスタ精算カウンタ等において顧客のポイントカード10をリーダライタ20のカード挿入・排出口22に挿入する(ステップS1)。このとき、カード挿入センサ31により、ポイントカード10の挿入が検出されると、搬送ローラ27の回転によりポイントカード10が引き込まれ、その磁気記録部13のデータが磁気ヘッド29により読み取られる(ステップS2)。
【0028】
次いで、CPU46により、読み取られたデータがデータメモリ49のコードと一致するか否かが判断され(ステップS3)、コードが一致しない場合はポイントカード10が排出される(ステップS4)。これにより、ポイントカード10の不正使用が防止される。これに対し、一致する場合はそのデータからポイント数、発行日等が判別される(ステップS5)。
【0029】
次いで、有効期限が設定されている場合には、有効期限内か否かが判断され(ステップS6)、有効期限が切れている場合は液晶表示部24に有効期限切れが表示されるとともに、ポイントカード10がカード挿入・排出口22から排出される(ステップS4)。
【0030】
これに対し、有効期限内である場合、液晶表示部24に現在のポイント数が表示されるとともに、ポイント交換なら交換キーを、ポイント16の蓄積なら販売キーの操作を促す内容が表示される(ステップS7)。ここで、ポイントカード10が追加記録のみが可能なものである場合、ポイント16の蓄積のみとなるため、交換キーによる操作は無効となる。よって、ポイントカード10のポイント16が満杯である場合には、液晶表示部24に、たとえば「ポイント満杯です」というような内容が表示される。これに対し、ポイントカード10がリライタブル型のものである場合は、交換キーによる操作は有効となるが、これについては後述する。
【0031】
ここで、販売キーが操作されると、液晶表示部24に購買金額の入力を促す内容が表示されるため、キー入力部23よりその内容に従って購買金額が入力されると、その購買金額が予め定められた比率のポイント数に換算され、磁気ヘッド29により磁気記録部13に記録されている蓄積ポイントに加算される(ステップS8)。
【0032】
また、換算されたポイント数に基づき、印字ヘッド28により、ポイントカード10の印字記録部12に、図5で説明した星形のポイント16が分割印字される(ステップS9)。すなわち、上述したように、1ポイント当たりの金額を100円とした場合、100円では図5(a)のように、星形を1/5としたポイント16が印字され、200円では図5(b)のように、星形を2/5としたポイント16が印字され、300円では図5(c)のように、星形を3/5としたポイント16が印字され、400円では図5(d)のように、星形を4/5としたポイント16が印字され、500円では図5(e)のように、星形が完成する。
【0033】
そして、購買金額に応じたポイント16の分割印字が完了すると、ポイントカード10がカード挿入・排出口22から排出される(ステップS9)。
【0034】
なお、(ステップS7)において、ポイントカード10がリライタブル型のものである場合はポイント交換が可能であり、その場合には、キー入力部23により交換金額を入力すると、その交換金額に応じたポイント数が蓄積ポイントより減算されて磁気ヘッド29により磁気記録部13に記録されている蓄積ポイントから減算される。
【0035】
この場合、交換金額に応じたポイント数に基づき、印字ヘッド28により、ポイントカード10の印字記録部12に印字されているポイント16が修正される。すなわち、印字記録部12が記録及び消去が可能なリライタブル型となっている場合は、交換金額に応じたポイント数に応じて既に印字されているポイント16を消去すればよい。
【0036】
このように、本実施形態では、少なくとも樹脂基材シート11の一面に設けられた追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字記録部12に対し、複数の星形のポイント16を並べて印字するとともに、各々のポイント16を購買金額に応じて分割印字することができるようにしたので、1ポイント当たりの金額を低めに設定した場合であっても、カードの発行枚数を増加させることがなく、しかも印字記録部12に印字されるポイント自体から現在のポイント16の累積数を容易に確認することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、ポイント16を星形とした場合について説明したが、星形に限らず、三角形、円形、四角形、五角形等の多角形状であってもよい。すなわち、たとえば図7に示すような円形とした場合、1ポイント当たりの金額を上記同様に、100円とすると、100円では図7(a)に示すように、円形を1/4にしたポイント16が印字され、200円では図7(b)に示すように、円形を2/4にしたポイント16が印字され、300円では図7(c)に示すように、円形を3/4にしたポイント16が印字され、400円では図7(d)に示すように、円形が完成される。
【0038】
また、本実施形態では、ポイントカード10が追加記録のみが可能なものである場合、ポイント16の蓄積のみとなり、交換キーによる操作は無効となる場合について説明したが、この例に限らず、交換キーによる操作が有効となるようにしてもよい。この場合には、交換金額に応じたポイント数に応じて既に印字されているポイント16の上から×印又は消去線(2重線等)が印字されるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
磁気カードに限らず、ポイントの表示が可能なICカードにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のポイントカードにポイントを付与するカードリーダライタの概要を説明するための斜視図である。
【図2】図1のカードリーダライタの内部構成の概要を説明するためのブロック図である。
【図3】図1のカードリーダライタによってポイントが付与されるポイントカードを説明するための図である。
【図4】図1のカードリーダライタによってポイントが付与されるポイントカードを説明するための図である。
【図5】図3及び図4のポイントカードに付与されるポイントを説明するための図である。
【図6】図1のカードリーダライタによるポイントの印字方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】図5のポイントの形状を変えた場合の他の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
10 ポイントカード
11 樹脂基材シート
12 印字記録部
13 磁気記録部
16 ポイント
20 リーダライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材シートの一面に追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアを有し、その印字エリアに複数のポイントが並べられて印字されるポイントカードであって、
前記複数のポイントの各々は購買金額に応じた分割印字によって構成されていることを特徴とするポイントカード。
【請求項2】
前記ポイントは、ドット又は所定の記号からなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポイントカード。
【請求項3】
少なくとも基材シートの一面に追加記録のみ、又は記録及び消去が可能な印字エリアを有し、その印字エリアに複数のポイントを並べて印字するポイントカードの印字方法であって、
前記複数のポイントの各々は購買金額に応じて分割印字されることを特徴とするポイントカードの印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−35616(P2006−35616A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218236(P2004−218236)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】