ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム、光ファイバプレート及び核医学画像撮影検出器モジュール
【課題】ガンマ線検出の精度を向上させること。
【解決手段】実施形態のPET検出器モジュール200は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と、複数のフォトセンサ201と、光ファイバプレート202とを備える。複数のフォトセンサ201は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203を覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203から放出された光を受け取るように構成される。光ファイバプレート202は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と複数のフォトセンサ201との間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサ201まで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。
【解決手段】実施形態のPET検出器モジュール200は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と、複数のフォトセンサ201と、光ファイバプレート202とを備える。複数のフォトセンサ201は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203を覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203から放出された光を受け取るように構成される。光ファイバプレート202は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と複数のフォトセンサ201との間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサ201まで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム、光ファイバプレート及び核医学画像撮影検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマ線検出器全般の用途、特にポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)におけるガンマ線検出器の用途は、画像診断の分野で広がっている。PETイメージングでは、注射、吸入、又は摂取によって、撮影対象となる被検体に放射性医薬品を導入する。かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセスを通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。
【0003】
放射性核種はポジトロンを放出する。1つの放出ポジトロンが1つの電子と衝突すると、1つの消滅事象(annihilation event)が起こり、それらポジトロン及び電子は崩壊する。ほとんどの場合、1つの消滅事象によって、実質的に180°離れて反対方向に移動する2つのガンマ線(511keV)が発生する。
【0004】
それら2つのガンマ線を検出し、検出部位同士を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。シンチレータ結晶における2つのガンマ線の相互作用から生じた2つのシンチレーション事象の部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。一方、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、(ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して)この特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の計数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの計数を蓄積するのに要する時間は、薬品の注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0006】
PETイメージングシステムは、被検体から飛散するガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。
【0007】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、もう一つの問題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。断層再構成の原理によって放射性同位体の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各事象のエネルギー(即ち発生した光の量)、部位、及びタイミングの特徴を決定する必要がある。ほとんどの最新PETスキャナは、数千の個別結晶で構成されている。それらの結晶はモジュールの形で配置されており、シンチレーション事象の位置を識別するのに用いられている。典型的には、結晶エレメントの断面は、概ね4mm×4mmである。それよりも小さい又は大きい寸法で、正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ又は深さがガンマ線を捕獲する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。シンチレーション結晶の一例は、LYSO(即ち、Lu1.8Y0.2SiO5:Ce又はオルトケイ酸ルテチウム)である。この結晶は、高光出力、高速立ち上がり時間、高速減衰時間、高平均原子番号、及び高密度を理由に選択される。他の結晶も使用可能である。図6は、LYSO結晶中のシンチレーションからPMTの光電陰極までの光路を示す図である。
【0008】
図6に示す構成は、従来のガンマ線検出器モジュールの一例を示すものである。PETスキャナは、複数のガンマ線検出器モジュールから構成されており、各ガンマ線検出器モジュールは、被検体から放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するシンチレータと、可視光をフォトセンサ(Photo sensor)に伝達するために光透過性に優れたプラスチック素材により形成されたライトガイドと、フォトセンサとして、例えば、シンチレーション光を増倍して電気信号に変換する光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)とから構成される。シンチレータは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから構成され、例えば、図6に示すように、LYSOの結晶がアレイ状に配列される。また、各シンチレーション結晶の側面は、図6に示すように、例えば、シンチレータと同程度の屈折率の接着剤により反射材が接着されている。すなわち、各シンチレーション結晶は、反射材で仕切られている。シンチレーション結晶の側面の反射板により、ガンマ線が入射したシンチレーション結晶から光がライトガイドへ放出される。シンチレーション結晶とガンマ線とが相互作用してガンマ線が光に変換される「相互作用の確率」は同じであるが、「相互作用の頻度」は位置ごとに異なる。
【0009】
また、ライトガイドは、図6に示すように、例えば、メチルメタクリレート(MMA)により構成される。また、ガンマ線検出器モジュールは、複数のPMTから構成される。図6では、複数のPMTの1つをPMT1として示している。PMT1は、図6に例示するように、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極(Photocathode)等からなり、光電陰極で発生した光電子は、真空内にある多段のダイノード及び電子の流れ出し口である陽極へ向かう。
【0010】
なお、図6に示すように、従来のガンマ線検出器モジュールでは、例えば、室温でゴム状になるシリコン(silicone)であるRTV(Room Temperature Vulcanization)により、シンチレータとライトガイドとが組み合わされ、また、ライトガイドとPMTとが組み合わされる。また、従来の一例として、図6に示すように、ライトガイドには、シンチレータとの接触面に設けられたスリットに、RTVで側面が挟まれた反射材が挿入されている。ここで、シンチレーション結晶は、1つのガンマ線と相互作用することで、複数のシンチレーション光子を出力する。かかる光は、ガンマ線検出器モジュールを構成する各PMTで検出される。PETイメージングシステムでは、光を略同時に検出した複数のPMTの位置から、例えばアンガーロジック(Anger logic)により重心計算を行なうことで、1つのガンマ線に由来する複数の光子を放出したシンチレーション結晶を特定し、ガンマ線の入射位置を検出する。ここで、例えば、PMT1の端部直下に位置するシンチレータ結晶で変換された「1つのガンマ線に由来する複数の光子」が、PMT1のみに入射した場合、PETイメージングシステムは、このガンマ線の入射位置を、PMT1の中心直下に位置するシンチレータ結晶の位置として計算することとなる。かかる場合、ガンマ線検出の精度が低下することとなる。このため、図6に例示する、ライトガイドの反射材は、シンチレータ光を、複数の異なるPMTに適切に分配するために用いられる。例えば、図6の検出器モジュールでは、反射材の厚さ方向の長さを、ライトガイド中の位置により変化させている。このように、ライトガイドによる光のフォトセンサへの誘導を制御することは、ガンマ線検出の精度を向上させるために重要な要素となる。
【0011】
PETイメージングは、高速且つ高輝度なシンチレーション結晶によるガンマ線から光への変換に依存している。シンチレータの中の相互作用位置を決定し、個別事象の時間ペアリングを行った後で、消滅プロセスの部位を再生することができる。これらの行為を行うには非常に高速のコンポーネント(検出器及び電子機器)が必要であり、卓越した信号対ノイズ比も必要である。高品質の電子機器を用いれば、信号対ノイズ比は主に、検出プロセスに関与する固有のポアソン統計によって決まる。より多くのフォトンを検出すれば信号対ノイズ比が向上し、したがって空間分解能及びタイミング分解能が一層高まることになる。検出プロセスでの重大な光損失は、検出器の設計及び電子機器の改善をもっても補償することはできない。捕集した光全体の割合(シンチレータで発生した量に対して)は、設計の効率を表すのにふさわしい指標である。光の捕集量を最大化しようとする人は誰でも、フォトセンサをできるだけシンチレーション結晶に接近させるとともに、反射及び他のエッジ効果を回避しようとするであろう。このようなことを行えば、出来上がるものは、否応なく、結晶とセンサとの間の距離が短い検出器の大きなアレイになってしまうであろう。
【0012】
上記のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーション事象の存在を検出することに加え、その検出部位の識別も行う必要がある。各相互作用の部位を識別できるようにするための最も直接的な設計は、概念的には、恐らくシンチレータ結晶毎に独立したフォトセンサ及びデータ収集チャネルを有するようにすることであろう。共通のフォトセンサの物理的な大きさ、各データ収集チャネルに必要な電力、及びこれらの品目の関連コスト、といった制約のために、フォトセンサ数及び電子機器のチャネル数を削減する目的で、通常は何らかの多重化が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5319204号明細書
【特許文献2】米国特許第5453623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、ガンマ線検出の精度を向上させることができるポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム、光ファイバプレート及び核医学画像撮影検出器モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュールは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、複数のフォトセンサと、光ファイバプレートとを備える。複数のフォトセンサは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成される。光ファイバプレートは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、複数の検出器モジュールを有するPETスキャナ環体を示す図である。
【図2】図2は、支持構造体、シンチレータアレイ、ライトガイド及び配列された複数のPMTを有する本実施形態に係る検出器モジュールを示す図である。
【図3】図3は、LYSOの発光スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、検出器の各結晶と計算された重心との間の対応関係を示すフラッドヒストグラムである。
【図5】図5は、様々なコア/クラッド比を有する各種光ファイバを示す図である。
【図6】図6は、LYSO結晶中のシンチレーションからPMTの光電陰極までの光路を示す図である。
【図7】図7は、図2に示す検出器のセグメント化設計を示す図である。
【図8A】図8Aは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図(1)である。
【図8B】図8Bは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図(2)である。
【図9】図9は、本明細書に記載のライトガイドについての、ライトガイド内での変化がステップ状である場合(上図)と、ライトガイド内での変化が連続的である場合(下図)とを含む、2種類のファイバ密度変化例を示す図である。
【図10A】図10Aは、従来の結晶、ライトガイド、フォトセンサ集合体を示す図である。
【図10B】図10Bは、図10Aの設計では不可能であったフォトセンサ活性部への導光を実現する、本実施形態のファイバ密度の連続的変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム及び光ファイバプレートの実施形態を詳細に説明する。
【0018】
(実施形態)
以下に記載する本実施形態は、シンチレーション結晶からアレイ状のフォトセンサに最大限の量の光を誘導するものである。
【0019】
本実施形態では、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュールは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、を備える。
【0020】
また、本実施形態のPET検出器モジュールを有する実施形態であるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステムは、円筒検出器環体を形成するように相互に隣接して配置された複数の検出器モジュールを備える。検出器モジュールの各々は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、を有する。
【0021】
以下、本実施形態を説明する前に、改めて、ライトガイドの重要性について説明する。光がどのように複数のフォトセンサに分配されるのかを適切に記録することによって、いかなるセンサ応答の組み合わせに対しても事象部位(シンチレーション事象発生部位)を割り当てることができる。したがって、上述したように、複数のフォトセンサに光を分配する必要がある。図3は、LYSOの発光スペクトルを示す図である。図3に示すように、LYSOは、「発光量」が、420nm付近をピークとする発光スペクトルを示す。32個の光子がガンマエネルギー1keVに対応するとすれば、ポジトロン消滅からの511keVガンマ線は、図3に示すスペクトルを有する光子を、平均で16,352個生成することになる。
【0022】
検出器で使用する光学材料、特にライトガイド用の光学材料を選択する際に、スペクトルは重要である。検出される光学光子の数を最大化するには、シンチレータの発光スペクトルにわたって最小の吸収を有する材料を使用しなければならない。
【0023】
イメージングの理由から、結晶は、小さなエレメントに切り分ける必要がある。その結晶エレメントの大きさは、画像分解能及び計数統計によって決まることになる。しかも、約4×4mmという暗黙の業界標準が、長年の間に登場してきている。結晶の長さ(又は深さ)は、所望の感度によって決まる。(全入射ガンマ線の1/eを捕獲するための)減衰長が12mmとすれば、20mmでは約80%を、30mmでは90%近くを捕獲することになるであろう。
【0024】
光は、相互作用点から等方的に発生する。この相互作用点は、指数確率分布に従って、結晶長の深さ(例えば20mm)に沿ったどこかに探し当てることができる。単一結晶からの等方性の光をアレイ状のフォトセンサまで伝えるステップは、ライトガイドによって実施される。その光はどの結晶から来た可能性が最も高いのかを識別するには、その光をアレイ状の光電子増倍管に「適切に」分配する必要がある。PMTの直径又は幅は、典型的には、結晶自体の幅より6〜10倍大きい。各PMTが取り込んだ様々な光量を比較することによって、且つ、重心計算(又は、質量中心計算若しくは1次モーメント計算)を用いることによって、全結晶のマップを作成することができ、最終的に、取り込んだ光を結晶アレイの物理的部位に関連付けることができる。これは、画像を形成するのに必要なことである。2次元配置でX重心及びY重心を形成するには、少なくとも3台のPMTで光を取り込む必要がある。
【0025】
1次近似では、ライトガイドは単純にニュートラルな光インタフェースであって、結晶エレメントから出て行く光は、その中を、全方向に制約無く進むことができる。厚さは、位置判定(結晶の識別)を実行できるように調節することができる。アレイの端部には、特別な注意を払う必要がある。
【0026】
ライトガイド中の光分散に影響を与えるもう1つの要因は、屈折率である。現在使用されている諸々の材料(例えばホウケイ酸ガラス、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル又はPMMA)の屈折率は「約1.5」であるが、LYSOは1.81である。
【0027】
図4は、検出器の各結晶と計算された重心との間の対応関係を示すフラッドヒストグラムである。図4の上図は、PET検出器モジュールの検出面の平面図である。図4の上図に示すように、PET検出器モジュールでは、反射材で仕切られて配列された正方形の入射面を有する複数のシンチレーション結晶がアレイ状に配列され、複数のシンチレーション結晶を覆うように、フォトセンサであるPMTが配列されている。図4の上図に示す一例では、大きさの異なる2種類のPMTが、交互に配列されている。また、図4の下図は、図4の上図に示すPET検出器モジュールに入射したガンマ線に由来する光を検出した結果、PETイメージングシステムが、重心計算により求めたカンマ線入射位置(シンチレーション結晶の位置)を2次元上にマッピングした結果を示す図であるフラッドヒストグラム(flood histogram)である。なお、フラッドヒストグラムは、フラッドマップ(flood map)やフラッドダイアグラム(flood diagram)とも呼ばれる。適切な光分配が行われると、図4に示すように、検出器の各結晶と単一重心との間の関係付けを、高い信頼性で作成することができる。結晶アレイとPMTとの間に受動光学材料を設けたのでは、かかる結晶識別は不可能であろう。適切な分配とするには、ニュートラルな光路に構造体及び反射材を加える必要がある。この作業は、周囲の全PMT間の最適(又は最小)の光比率が、結晶毎に導かれることに集約することができる。反復して同じ分配比率を作り出せるシステムならどれでも、このようなライトガイド機能に対する解決策になるはずである。
【0028】
従来のPET検出器には、単純な重心計算で十分に結晶を探し当てられるだけの空間分解能で光をセンサアレイに適切に伝えるために、複数の態様がある。しかし、光路が複雑なため、検出に利用可能な光の総量が低下する。典型的には、従来の設計では、シンチレーション結晶から放出された、既に非常に制限されている光量の約50%〜60%が失われる。
【0029】
PET検出は、各事象の光子数が制限されていることによって制約を受ける。それらの逸失光子のうちの測定可能な部分を取り戻すことは、PET事象に関連する空間情報、エネルギー情報、及びタイミング情報を向上するのに重要である。
【0030】
そこで、本実施形態では、ライトガイドとして光ファイバプレートを用いたPET検出器モジュールによりPETスキャナシステムを設計する。ここで、図1等を参照し、本実施形態に係るPETスキャナ設計について説明する。図1は、複数の検出器モジュールを有する環体のPETスキャナ100を示す図である。図1に示すように、検出器環体は、多数の長方形の検出器モジュール200を具備している。一実施形態によれば、検出器環体は、40個の検出器モジュール200を具備している。別の実施形態では、36個の検出器モジュール200を使って、PETスキャナの内径を一層大きく作製している。
【0031】
図2は、支持構造体、シンチレータアレイ、ライトガイド及び配列された複数のPMTを有する本実施形態に係る検出器モジュールを示す図である。図2は、支持構造体204と、2次元アレイ状の個々の検出器結晶203(以下、「シンチレーション結晶エレメント203」とも記載する)とを備える検出器モジュール設計を例示している。これらの検出器結晶203は、ガンマ照射を吸収するとともに、シンチレーション光子を放出する。これらの光子は、光電子増倍管(PMT)201で検出される。アレイ状の検出器結晶203と光電子増倍管(PMT)201との間に、ライトガイド202が配置されている。図2に示すように、各検出器モジュール200は、それぞれが複数の検出器結晶203を覆っている、多数の、場合によっては種々のサイズのPMT201を備える。各PMT201は、シンチレーション事象が起こったときに急峻に立ち上がり、次いで指数関数的に減衰するアナログ信号を生成する。1つの検出器結晶203から放出された光子群は、複数のPMT201で検出することができる。次いで、各PMT201で発生されたアナログ信号に基づき、事象に対応する検出器結晶203を決定することができる。本実施形態ではライトガイド202として光ファイバフェースプレートを用いている。以下では、ライトガイド202を光ファイバプレート202とも記載する。
【0032】
図7は、図2に示す検出器のセグメント化設計を示す図である。図7は、セグメント化検出器モジュール設計の様々な図を例示している。本実施形態では、シンチレーション結晶エレメント203で形成される結晶アレイ及びライトガイドとしての光ファイバプレート202は、2つのPMTを連結する中央線を跨いでセグメント化されている(図7の(1)を参照)。図7に示す実施形態では、3種類のセグメントが使用されている(図7の(2)、(3)及び(4)を参照)。各セグメントは、結晶サブアレイ及び対応するライトガイドサブピースを具備している。この実施形態では、1つのタイプのセグメントは縁端部タイプ(end-type)であり、他のタイプのセグメントは、中間部タイプ(middle-type)のセグメントである。
【0033】
本実施形態では、図2に示すPET検出器でライトガイド機能を実現するのに、ライトガイド202として光ファイバフェースプレートである光ファイバプレート202を用いている。光ファイバプレート202は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と複数のフォトセンサ(PMT201)との間に配置され、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサ(PMT201)まで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。光ファイバプレート202は、その光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な厚さ方向に、上記複数のフォトセンサ(複数のPMT201)まで、シンチレーション結晶から放出された光を導くように構成されている。更に、光ファイバプレート202の厚さは、図2及び図7に示すように、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の厚さと、実質的にほぼ同等である。すなわち、光ファイバプレート202は、光ファイバプレート202の長手方向平面に垂直な厚さ方向に、複数のフォトセンサ(PMT201)まで、シンチレーション結晶から放出された光を誘導するように構成され、光ファイバプレート202の厚さは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の厚さと実質的に略同等である。
【0034】
光ファイバプレート202は、光ファイバコアを多数具備しており、それらコアとコアの間には光学材料が入っている。結晶アレイとPMTとの間に光ファイバプレート202が配置されると、たとえそのファイバが湾曲した経路を有していても、そのファイバアセンブリは複雑な形状に形作ることができるため、一部の光はPMTに導かれる。ファイバの場所及び角度に起因してファイバ内部に進入しなかった光の一定部分は、それでもなおファイバ間のニュートラルな媒体の中を進行して、PMTに達する場合がある。
【0035】
本実施形態では、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度、即ちコア/クラッド比は、光ファイバプレート202に平行な平面(又はセンサ平面)内で調節可能である。すなわち、光ファイバプレート202内の複数のファイバの密度は、ファイバの長軸に垂直な光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。より詳細には、光ファイバプレート202内の複数のファイバの密度は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の平面に平行な光ファイバプレート202の長手方向平面内で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度は、プレートの上端部からプレートの下端部に向かって、ファイバの長軸に平行な方向に変化する。すなわち、光ファイバプレート202内の前記複数のファイバの密度は、光ファイバプレート202の長手方向平面に垂直な光ファイバプレート202の厚さ方向で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度は、光ファイバプレート202の厚さ方向及び光ファイバプレート202の平面内の両方で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、複数のファイバが、異なる開口数を有する。
【0036】
図5は、様々なコア/クラッド比を有する各種光ファイバを示す図である。図5では、点でハッチングした部分がコアを示し、白抜きの部分がクラッドを示している。図5は、本明細書に開示の実施形態と組み合わせて使用することが可能な、様々なファイバ密度を有するファイバの取り合わせを2種類例示している。図5の右図に示すように、所与のクラッド厚に対して、ファイバのサイズを変えることによって密度を変えることができる。すなわち、光ファイバプレート202が有するファイバのコアのサイズは、同じクラッド厚に対して、光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。また、図5の左図に示すように、所与のコア厚に対して、ファイバのサイズを変えることによって密度を変えることができる。すなわち、光ファイバプレート202が有するファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。或いは、図5の左図に示す一例とは別に、ファイバのサイズを所与のものとして、異なるクラッドサイズを用いることによって、コアサイズを変化されることで、密度を変更することも可能である。更に、各ファイバの断面を変えられるようにして、光ファイバプレート202の厚さ方向で密度を変えても構わない。すなわち、光ファイバプレート202を設計する際に、コア/クラッド比は、ファイバ断面の大きさを変化させながら、様々な値となるように設計されても良い。
【0037】
図8A及び図8Bは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図である。図8Aは、セグメント化非光ファイバ結晶の詳細図を示している。図8Bは、ライトガイドの中に機械加工された一連のスロットを示している。これらのスロットは反射材を収容しており、それによって、結晶面からセンサ平面まで調節可能な導光管を提供している。この特定の例において、128個の個々の結晶から4個のセンサへの所望の分配を行うには、3〜5種類の異なる深さが必要になる。この設計を使用すれば、図4の下図に示すように各結晶を分離することができる。この場合、複数のセグメントが、相互に結合されて1つのモジュールを形成している。本実施形態では、光の誘導制御を行なえるように、レンズとして機能できる光ファイバプレート202をライトガイドとして用いることで、光を最大限に複数のフォトセンサに適切に分配することができるので、反射材を用いる必要はなくなる。ただし、本実施形態は、光ファイバプレート202内に反射材を収容させて、適切な分配をサポートするように、検出器モジュール200の設計が行なわれる場合であっても良い。
【0038】
図9は、本明細書に記載のライトガイドについての、ライトガイド内での変化がステップ状である場合(上図)と、ライトガイド内での変化が連続的である場合(下図)とを含む、2種類のファイバ密度変化例を示す図である。図9は、光ファイバプレート202が、ファイバのコア内に導かれる光の量及びクラッド材料中でコアとコアの間を「自由に」進行する光の量をどのように変えているかを示している。上図では、変化はステップ状であり、導光効果は、従来ライトガイドとして用いられていた機械加工PMMAの場合と同様に、プレート中央では小さく、端部の方に向かって大きくなっている。図9の下図は、同じ効果を、より連続的な形態で示している。このようにして、本実施形態では、光ファイバプレート202をライトガイドとして用い、プレート面でコア−クラッド比を変えることによって、任意に光の誘導を調節可能な導光システムが実現される。
【0039】
図10Aは、従来の結晶、ライトガイド、フォトセンサ集合体を示す図であり、図10Bは、図10Aの設計では不可能であったフォトセンサ活性部への導光を実現する、本実施形態のファイバ密度の連続的変化を示す図である。図10Aでは、上から、シンチレーション結晶、ライドガイド、PMTを示す。また、図10Bでは、上から、シンチレーション結晶、光ファイバプレート、PMTを示す。本実施形態では、フォトセンサの表面を全部合わせたものは、結晶の総表面より狭い。図10Bは、ファイバのコア内部に導かれた光が、どのようにして、例えばセンサ同士の間には誘導されずに、図10Aの非光ファイバ設計と同様に、センサの感知部の方に誘導されるのかを示している。適切な区域でプレートの厚さにわたってファイバの密度を変化させることによって、光は、センサの感知部まで導かれる。図10Bの実施形態では、光ファイバプレートのファイバの密度が変化しているが、それは、放出光を、上記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導し、フォトセンサのそれら受光面同士の間には誘導しないようにするためである。すなわち、検出感度を更に向上させるために、光ファイバプレート202内のファイバの密度は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203から放出された光を複数のPMT201の各々の受光面に誘導するとともに、PMT201の受光面同士の間には光を誘導しないように、密度が変化しているように設計される。
【0040】
この実施形態の説明から明らかなことは、ライトガイド平面内及び光ファイバプレートの厚さ内の両方でファイバの密度を変えることによって、1つの結晶から複数のセンサへの適切な光の分配とすることができ、しかも、従来の検出器設計ではセンサとセンサの間で途切れていたような光を再誘導することによって、センサにより多くの総光量を届けることができるということである。したがって、本実施形態では、ガンマ線検出の精度を向上させることができる。
【0041】
開示の実施形態は、諸々の利点を有する。第1に、ライトガイドの中に反射体を配置することに関連した機械作業及び手作業を全て回避しているため、光ファイバプレートからライトガイドを構築することに、あまり費用がかからない。
【0042】
第2に、端部(edge)の結晶又は角部(corner)の結晶を用いるなどして、より微妙な光分配が可能である。光ファイバプレートは、より多くの変数を提供して、光分配を最適化する。まず、ファイバによって捕獲された光は、ファイバの終端部に正確に、しかもそこにだけ誘導されるが、クラッド材料は、よりニュートラルな光路を提供する。それら2つのコンポーネントの相対密度を変えることによって、光分配が制御される。例えば、端部結晶又は角部結晶からの光は、近傍のセンサに到達するのにより長い経路を進行する必要があり、したがって、横方向におけるファイバの密度は、端部に向かって低くなっている。更に、結晶アレイは明らかに長方形であり、センサは、本実施形態では円形である。したがって、結晶アレイの角部からの光をフォトセンサの感知区域に届けるために、結晶表面からセンサ平面まで深さ方向にファイバの密度を変化させることによって、くさびが形成されている。同様に、ファイバに進入する光量を制御するのに、更には、ファイバによって導かれる光と、ファイバ同士の間を伝搬する光との比を制御するのにも、個々のファイバの開口数が使用される。この開口数は、クラッド材料に対するそれの屈折率と関係がある。
【0043】
第3の利点は、PMTに達する光の量が増加することである。ファイバのコアの屈折率がより高いことに起因して(結晶の屈折率に、より良好に整合する)、PMTへの光の総量が増加する。ニュートラル材料の厚さが薄くなることにも起因するが、これは、同じ光分配をより短い距離で実現することによって可能になる。
【0044】
なお、ライトガイドとして用いる光学材料は、本実施形態で説明した光ファイバプレート202と同様の光誘導制御を行なうことができるものであるならば、如何なる材料により形成されても良い。ただし、かかる光学材料は、1.75を上回る平均屈折率を有することが望ましい。
【0045】
また、上記の実施形態で説明した検出器モジュールは、シングルフォトンエミッションCT(SPECT: Single Photon Emission computed Tomography)イメージングシステムにおいても適用することができる。すなわち、上記の実施形態で説明した検出器モジュールは、核医学イメージングシステムに適用することができる。
【0046】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、ガンマ線検出の精度を向上させることができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
100 PETスキャナ
200 検出器モジュール
201 フォトセンサ(PMT)
202 光ファイバプレート(ライトガイド)
203 シンチレーション結晶エレメント(検出器結晶)
204 支持構造体
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム、光ファイバプレート及び核医学画像撮影検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマ線検出器全般の用途、特にポジトロン放射断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)におけるガンマ線検出器の用途は、画像診断の分野で広がっている。PETイメージングでは、注射、吸入、又は摂取によって、撮影対象となる被検体に放射性医薬品を導入する。かかる薬品は、当該薬品の物理的性質及び生体分子的性質により、人体内の特定の部位に集積する。薬品の実際の空間分布、蓄積点若しくは蓄積領域の強度、及び投与から捕獲、そして最終的な排出に至るプロセスの動態は、全て、臨床的に重要な意味を持つ可能性のある要素である。このプロセスを通して、放射性医薬品に付着させたポジトロン放出体は、半減期、分岐比といった同位体の物理的性質に従ってポジトロン(陽電子)を放出する。
【0003】
放射性核種はポジトロンを放出する。1つの放出ポジトロンが1つの電子と衝突すると、1つの消滅事象(annihilation event)が起こり、それらポジトロン及び電子は崩壊する。ほとんどの場合、1つの消滅事象によって、実質的に180°離れて反対方向に移動する2つのガンマ線(511keV)が発生する。
【0004】
それら2つのガンマ線を検出し、検出部位同士を結ぶ線、即ち同時計数線(LOR:Line Of Response)を引くことによって、高い確率で元の消滅位置を探し出すことができる。このプロセスは、相互作用が起こっている可能性のある線を識別するに過ぎないが、これらの線を数多く蓄積すれば、断層を再構成するプロセスを用いることによって、元の分布を推定することができる。シンチレータ結晶における2つのガンマ線の相互作用から生じた2つのシンチレーション事象の部位の他に、正確なタイミング(数百ピコ秒以内)も利用可能であれば、飛行時間(TOF:Time Of Flight)の計算により、上記の同時計数線に沿った、消滅事象が生じた確率の高い位置に関する更なる情報を加えることができる。スキャナが有するタイミング分解能の限界によって、この線に沿った位置判定の精度が決まることになる。元のシンチレーション事象の部位を決定する際の限界によって、スキャナの最終的空間分解能が決まることになる。一方、同位体の特定の特性(例えばポジトロンのエネルギー)も、(ポジトロンの範囲及び2つのガンマ線の共直線性を介して)この特定の薬品の空間分解能を決める一因となる。
【0005】
上記の検出プロセスは、多数の事象について反復する必要がある。イメージング作業を支持するのに計数(即ち事象の対)がどれだけ必要になるのかを決定するには、各イメージング事例を解析しなければならないものの、数億の計数を蓄積する必要があるというのが、全身検査としての「典型的な長さ100cmのFDG(フルオロデオキシグルコース:fluoro-deoxyglucose)の研究」での現状である。これだけの計数を蓄積するのに要する時間は、薬品の注入量及びスキャナの感度とスキャナの計数能力によって決まる。
【0006】
PETイメージングシステムは、被検体から飛散するガンマ線を検出するために、相互に対向して配設された検出器を使用する。典型的には、各角度から飛来するガンマ線を検出するために、環状に配置された検出器を使用する。したがって、PETスキャナは、本質的に等方性になっているはずの照射をできるだけ多く捕獲できるように、典型的には実質的に円筒形になっている。
【0007】
ひとたびPETスキャナ全体の形状が分かれば、もう一つの問題は、できるだけ多くのシンチレーション料をガンマ線経路に配置して、できるだけ多くのガンマ線を停止させて光に変換できるようにすることである。断層再構成の原理によって放射性同位体の時空間分布を再構成できるようにするために、検出された各事象のエネルギー(即ち発生した光の量)、部位、及びタイミングの特徴を決定する必要がある。ほとんどの最新PETスキャナは、数千の個別結晶で構成されている。それらの結晶はモジュールの形で配置されており、シンチレーション事象の位置を識別するのに用いられている。典型的には、結晶エレメントの断面は、概ね4mm×4mmである。それよりも小さい又は大きい寸法で、正方形以外の断面も可能である。結晶の長さ又は深さがガンマ線を捕獲する確率を決定することになるのであるが、典型的には、10〜30mmの範囲である。シンチレーション結晶の一例は、LYSO(即ち、Lu1.8Y0.2SiO5:Ce又はオルトケイ酸ルテチウム)である。この結晶は、高光出力、高速立ち上がり時間、高速減衰時間、高平均原子番号、及び高密度を理由に選択される。他の結晶も使用可能である。図6は、LYSO結晶中のシンチレーションからPMTの光電陰極までの光路を示す図である。
【0008】
図6に示す構成は、従来のガンマ線検出器モジュールの一例を示すものである。PETスキャナは、複数のガンマ線検出器モジュールから構成されており、各ガンマ線検出器モジュールは、被検体から放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するシンチレータと、可視光をフォトセンサ(Photo sensor)に伝達するために光透過性に優れたプラスチック素材により形成されたライトガイドと、フォトセンサとして、例えば、シンチレーション光を増倍して電気信号に変換する光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)とから構成される。シンチレータは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから構成され、例えば、図6に示すように、LYSOの結晶がアレイ状に配列される。また、各シンチレーション結晶の側面は、図6に示すように、例えば、シンチレータと同程度の屈折率の接着剤により反射材が接着されている。すなわち、各シンチレーション結晶は、反射材で仕切られている。シンチレーション結晶の側面の反射板により、ガンマ線が入射したシンチレーション結晶から光がライトガイドへ放出される。シンチレーション結晶とガンマ線とが相互作用してガンマ線が光に変換される「相互作用の確率」は同じであるが、「相互作用の頻度」は位置ごとに異なる。
【0009】
また、ライトガイドは、図6に示すように、例えば、メチルメタクリレート(MMA)により構成される。また、ガンマ線検出器モジュールは、複数のPMTから構成される。図6では、複数のPMTの1つをPMT1として示している。PMT1は、図6に例示するように、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極(Photocathode)等からなり、光電陰極で発生した光電子は、真空内にある多段のダイノード及び電子の流れ出し口である陽極へ向かう。
【0010】
なお、図6に示すように、従来のガンマ線検出器モジュールでは、例えば、室温でゴム状になるシリコン(silicone)であるRTV(Room Temperature Vulcanization)により、シンチレータとライトガイドとが組み合わされ、また、ライトガイドとPMTとが組み合わされる。また、従来の一例として、図6に示すように、ライトガイドには、シンチレータとの接触面に設けられたスリットに、RTVで側面が挟まれた反射材が挿入されている。ここで、シンチレーション結晶は、1つのガンマ線と相互作用することで、複数のシンチレーション光子を出力する。かかる光は、ガンマ線検出器モジュールを構成する各PMTで検出される。PETイメージングシステムでは、光を略同時に検出した複数のPMTの位置から、例えばアンガーロジック(Anger logic)により重心計算を行なうことで、1つのガンマ線に由来する複数の光子を放出したシンチレーション結晶を特定し、ガンマ線の入射位置を検出する。ここで、例えば、PMT1の端部直下に位置するシンチレータ結晶で変換された「1つのガンマ線に由来する複数の光子」が、PMT1のみに入射した場合、PETイメージングシステムは、このガンマ線の入射位置を、PMT1の中心直下に位置するシンチレータ結晶の位置として計算することとなる。かかる場合、ガンマ線検出の精度が低下することとなる。このため、図6に例示する、ライトガイドの反射材は、シンチレータ光を、複数の異なるPMTに適切に分配するために用いられる。例えば、図6の検出器モジュールでは、反射材の厚さ方向の長さを、ライトガイド中の位置により変化させている。このように、ライトガイドによる光のフォトセンサへの誘導を制御することは、ガンマ線検出の精度を向上させるために重要な要素となる。
【0011】
PETイメージングは、高速且つ高輝度なシンチレーション結晶によるガンマ線から光への変換に依存している。シンチレータの中の相互作用位置を決定し、個別事象の時間ペアリングを行った後で、消滅プロセスの部位を再生することができる。これらの行為を行うには非常に高速のコンポーネント(検出器及び電子機器)が必要であり、卓越した信号対ノイズ比も必要である。高品質の電子機器を用いれば、信号対ノイズ比は主に、検出プロセスに関与する固有のポアソン統計によって決まる。より多くのフォトンを検出すれば信号対ノイズ比が向上し、したがって空間分解能及びタイミング分解能が一層高まることになる。検出プロセスでの重大な光損失は、検出器の設計及び電子機器の改善をもっても補償することはできない。捕集した光全体の割合(シンチレータで発生した量に対して)は、設計の効率を表すのにふさわしい指標である。光の捕集量を最大化しようとする人は誰でも、フォトセンサをできるだけシンチレーション結晶に接近させるとともに、反射及び他のエッジ効果を回避しようとするであろう。このようなことを行えば、出来上がるものは、否応なく、結晶とセンサとの間の距離が短い検出器の大きなアレイになってしまうであろう。
【0012】
上記のように、PETイメージングシステムは単なる計数器ではなく、シンチレーション事象の存在を検出することに加え、その検出部位の識別も行う必要がある。各相互作用の部位を識別できるようにするための最も直接的な設計は、概念的には、恐らくシンチレータ結晶毎に独立したフォトセンサ及びデータ収集チャネルを有するようにすることであろう。共通のフォトセンサの物理的な大きさ、各データ収集チャネルに必要な電力、及びこれらの品目の関連コスト、といった制約のために、フォトセンサ数及び電子機器のチャネル数を削減する目的で、通常は何らかの多重化が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5319204号明細書
【特許文献2】米国特許第5453623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、ガンマ線検出の精度を向上させることができるポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム、光ファイバプレート及び核医学画像撮影検出器モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態のポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュールは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、複数のフォトセンサと、光ファイバプレートとを備える。複数のフォトセンサは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成される。光ファイバプレートは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、複数の検出器モジュールを有するPETスキャナ環体を示す図である。
【図2】図2は、支持構造体、シンチレータアレイ、ライトガイド及び配列された複数のPMTを有する本実施形態に係る検出器モジュールを示す図である。
【図3】図3は、LYSOの発光スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、検出器の各結晶と計算された重心との間の対応関係を示すフラッドヒストグラムである。
【図5】図5は、様々なコア/クラッド比を有する各種光ファイバを示す図である。
【図6】図6は、LYSO結晶中のシンチレーションからPMTの光電陰極までの光路を示す図である。
【図7】図7は、図2に示す検出器のセグメント化設計を示す図である。
【図8A】図8Aは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図(1)である。
【図8B】図8Bは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図(2)である。
【図9】図9は、本明細書に記載のライトガイドについての、ライトガイド内での変化がステップ状である場合(上図)と、ライトガイド内での変化が連続的である場合(下図)とを含む、2種類のファイバ密度変化例を示す図である。
【図10A】図10Aは、従来の結晶、ライトガイド、フォトセンサ集合体を示す図である。
【図10B】図10Bは、図10Aの設計では不可能であったフォトセンサ活性部への導光を実現する、本実施形態のファイバ密度の連続的変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム及び光ファイバプレートの実施形態を詳細に説明する。
【0018】
(実施形態)
以下に記載する本実施形態は、シンチレーション結晶からアレイ状のフォトセンサに最大限の量の光を誘導するものである。
【0019】
本実施形態では、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュールは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、を備える。
【0020】
また、本実施形態のPET検出器モジュールを有する実施形態であるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステムは、円筒検出器環体を形成するように相互に隣接して配置された複数の検出器モジュールを備える。検出器モジュールの各々は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、を有する。
【0021】
以下、本実施形態を説明する前に、改めて、ライトガイドの重要性について説明する。光がどのように複数のフォトセンサに分配されるのかを適切に記録することによって、いかなるセンサ応答の組み合わせに対しても事象部位(シンチレーション事象発生部位)を割り当てることができる。したがって、上述したように、複数のフォトセンサに光を分配する必要がある。図3は、LYSOの発光スペクトルを示す図である。図3に示すように、LYSOは、「発光量」が、420nm付近をピークとする発光スペクトルを示す。32個の光子がガンマエネルギー1keVに対応するとすれば、ポジトロン消滅からの511keVガンマ線は、図3に示すスペクトルを有する光子を、平均で16,352個生成することになる。
【0022】
検出器で使用する光学材料、特にライトガイド用の光学材料を選択する際に、スペクトルは重要である。検出される光学光子の数を最大化するには、シンチレータの発光スペクトルにわたって最小の吸収を有する材料を使用しなければならない。
【0023】
イメージングの理由から、結晶は、小さなエレメントに切り分ける必要がある。その結晶エレメントの大きさは、画像分解能及び計数統計によって決まることになる。しかも、約4×4mmという暗黙の業界標準が、長年の間に登場してきている。結晶の長さ(又は深さ)は、所望の感度によって決まる。(全入射ガンマ線の1/eを捕獲するための)減衰長が12mmとすれば、20mmでは約80%を、30mmでは90%近くを捕獲することになるであろう。
【0024】
光は、相互作用点から等方的に発生する。この相互作用点は、指数確率分布に従って、結晶長の深さ(例えば20mm)に沿ったどこかに探し当てることができる。単一結晶からの等方性の光をアレイ状のフォトセンサまで伝えるステップは、ライトガイドによって実施される。その光はどの結晶から来た可能性が最も高いのかを識別するには、その光をアレイ状の光電子増倍管に「適切に」分配する必要がある。PMTの直径又は幅は、典型的には、結晶自体の幅より6〜10倍大きい。各PMTが取り込んだ様々な光量を比較することによって、且つ、重心計算(又は、質量中心計算若しくは1次モーメント計算)を用いることによって、全結晶のマップを作成することができ、最終的に、取り込んだ光を結晶アレイの物理的部位に関連付けることができる。これは、画像を形成するのに必要なことである。2次元配置でX重心及びY重心を形成するには、少なくとも3台のPMTで光を取り込む必要がある。
【0025】
1次近似では、ライトガイドは単純にニュートラルな光インタフェースであって、結晶エレメントから出て行く光は、その中を、全方向に制約無く進むことができる。厚さは、位置判定(結晶の識別)を実行できるように調節することができる。アレイの端部には、特別な注意を払う必要がある。
【0026】
ライトガイド中の光分散に影響を与えるもう1つの要因は、屈折率である。現在使用されている諸々の材料(例えばホウケイ酸ガラス、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル又はPMMA)の屈折率は「約1.5」であるが、LYSOは1.81である。
【0027】
図4は、検出器の各結晶と計算された重心との間の対応関係を示すフラッドヒストグラムである。図4の上図は、PET検出器モジュールの検出面の平面図である。図4の上図に示すように、PET検出器モジュールでは、反射材で仕切られて配列された正方形の入射面を有する複数のシンチレーション結晶がアレイ状に配列され、複数のシンチレーション結晶を覆うように、フォトセンサであるPMTが配列されている。図4の上図に示す一例では、大きさの異なる2種類のPMTが、交互に配列されている。また、図4の下図は、図4の上図に示すPET検出器モジュールに入射したガンマ線に由来する光を検出した結果、PETイメージングシステムが、重心計算により求めたカンマ線入射位置(シンチレーション結晶の位置)を2次元上にマッピングした結果を示す図であるフラッドヒストグラム(flood histogram)である。なお、フラッドヒストグラムは、フラッドマップ(flood map)やフラッドダイアグラム(flood diagram)とも呼ばれる。適切な光分配が行われると、図4に示すように、検出器の各結晶と単一重心との間の関係付けを、高い信頼性で作成することができる。結晶アレイとPMTとの間に受動光学材料を設けたのでは、かかる結晶識別は不可能であろう。適切な分配とするには、ニュートラルな光路に構造体及び反射材を加える必要がある。この作業は、周囲の全PMT間の最適(又は最小)の光比率が、結晶毎に導かれることに集約することができる。反復して同じ分配比率を作り出せるシステムならどれでも、このようなライトガイド機能に対する解決策になるはずである。
【0028】
従来のPET検出器には、単純な重心計算で十分に結晶を探し当てられるだけの空間分解能で光をセンサアレイに適切に伝えるために、複数の態様がある。しかし、光路が複雑なため、検出に利用可能な光の総量が低下する。典型的には、従来の設計では、シンチレーション結晶から放出された、既に非常に制限されている光量の約50%〜60%が失われる。
【0029】
PET検出は、各事象の光子数が制限されていることによって制約を受ける。それらの逸失光子のうちの測定可能な部分を取り戻すことは、PET事象に関連する空間情報、エネルギー情報、及びタイミング情報を向上するのに重要である。
【0030】
そこで、本実施形態では、ライトガイドとして光ファイバプレートを用いたPET検出器モジュールによりPETスキャナシステムを設計する。ここで、図1等を参照し、本実施形態に係るPETスキャナ設計について説明する。図1は、複数の検出器モジュールを有する環体のPETスキャナ100を示す図である。図1に示すように、検出器環体は、多数の長方形の検出器モジュール200を具備している。一実施形態によれば、検出器環体は、40個の検出器モジュール200を具備している。別の実施形態では、36個の検出器モジュール200を使って、PETスキャナの内径を一層大きく作製している。
【0031】
図2は、支持構造体、シンチレータアレイ、ライトガイド及び配列された複数のPMTを有する本実施形態に係る検出器モジュールを示す図である。図2は、支持構造体204と、2次元アレイ状の個々の検出器結晶203(以下、「シンチレーション結晶エレメント203」とも記載する)とを備える検出器モジュール設計を例示している。これらの検出器結晶203は、ガンマ照射を吸収するとともに、シンチレーション光子を放出する。これらの光子は、光電子増倍管(PMT)201で検出される。アレイ状の検出器結晶203と光電子増倍管(PMT)201との間に、ライトガイド202が配置されている。図2に示すように、各検出器モジュール200は、それぞれが複数の検出器結晶203を覆っている、多数の、場合によっては種々のサイズのPMT201を備える。各PMT201は、シンチレーション事象が起こったときに急峻に立ち上がり、次いで指数関数的に減衰するアナログ信号を生成する。1つの検出器結晶203から放出された光子群は、複数のPMT201で検出することができる。次いで、各PMT201で発生されたアナログ信号に基づき、事象に対応する検出器結晶203を決定することができる。本実施形態ではライトガイド202として光ファイバフェースプレートを用いている。以下では、ライトガイド202を光ファイバプレート202とも記載する。
【0032】
図7は、図2に示す検出器のセグメント化設計を示す図である。図7は、セグメント化検出器モジュール設計の様々な図を例示している。本実施形態では、シンチレーション結晶エレメント203で形成される結晶アレイ及びライトガイドとしての光ファイバプレート202は、2つのPMTを連結する中央線を跨いでセグメント化されている(図7の(1)を参照)。図7に示す実施形態では、3種類のセグメントが使用されている(図7の(2)、(3)及び(4)を参照)。各セグメントは、結晶サブアレイ及び対応するライトガイドサブピースを具備している。この実施形態では、1つのタイプのセグメントは縁端部タイプ(end-type)であり、他のタイプのセグメントは、中間部タイプ(middle-type)のセグメントである。
【0033】
本実施形態では、図2に示すPET検出器でライトガイド機能を実現するのに、ライトガイド202として光ファイバフェースプレートである光ファイバプレート202を用いている。光ファイバプレート202は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203と複数のフォトセンサ(PMT201)との間に配置され、シンチレーション結晶から放出された光を複数のフォトセンサ(PMT201)まで誘導するように構成されている複数のファイバを有する。光ファイバプレート202は、その光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な厚さ方向に、上記複数のフォトセンサ(複数のPMT201)まで、シンチレーション結晶から放出された光を導くように構成されている。更に、光ファイバプレート202の厚さは、図2及び図7に示すように、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の厚さと、実質的にほぼ同等である。すなわち、光ファイバプレート202は、光ファイバプレート202の長手方向平面に垂直な厚さ方向に、複数のフォトセンサ(PMT201)まで、シンチレーション結晶から放出された光を誘導するように構成され、光ファイバプレート202の厚さは、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の厚さと実質的に略同等である。
【0034】
光ファイバプレート202は、光ファイバコアを多数具備しており、それらコアとコアの間には光学材料が入っている。結晶アレイとPMTとの間に光ファイバプレート202が配置されると、たとえそのファイバが湾曲した経路を有していても、そのファイバアセンブリは複雑な形状に形作ることができるため、一部の光はPMTに導かれる。ファイバの場所及び角度に起因してファイバ内部に進入しなかった光の一定部分は、それでもなおファイバ間のニュートラルな媒体の中を進行して、PMTに達する場合がある。
【0035】
本実施形態では、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度、即ちコア/クラッド比は、光ファイバプレート202に平行な平面(又はセンサ平面)内で調節可能である。すなわち、光ファイバプレート202内の複数のファイバの密度は、ファイバの長軸に垂直な光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。より詳細には、光ファイバプレート202内の複数のファイバの密度は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203の平面に平行な光ファイバプレート202の長手方向平面内で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度は、プレートの上端部からプレートの下端部に向かって、ファイバの長軸に平行な方向に変化する。すなわち、光ファイバプレート202内の前記複数のファイバの密度は、光ファイバプレート202の長手方向平面に垂直な光ファイバプレート202の厚さ方向で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、光ファイバプレート202内の上記複数のファイバの密度は、光ファイバプレート202の厚さ方向及び光ファイバプレート202の平面内の両方で調節可能である。また、本実施形態では、別の一例として、複数のファイバが、異なる開口数を有する。
【0036】
図5は、様々なコア/クラッド比を有する各種光ファイバを示す図である。図5では、点でハッチングした部分がコアを示し、白抜きの部分がクラッドを示している。図5は、本明細書に開示の実施形態と組み合わせて使用することが可能な、様々なファイバ密度を有するファイバの取り合わせを2種類例示している。図5の右図に示すように、所与のクラッド厚に対して、ファイバのサイズを変えることによって密度を変えることができる。すなわち、光ファイバプレート202が有するファイバのコアのサイズは、同じクラッド厚に対して、光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。また、図5の左図に示すように、所与のコア厚に対して、ファイバのサイズを変えることによって密度を変えることができる。すなわち、光ファイバプレート202が有するファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、光ファイバプレート202の長手方向平面内で変化させることができる。或いは、図5の左図に示す一例とは別に、ファイバのサイズを所与のものとして、異なるクラッドサイズを用いることによって、コアサイズを変化されることで、密度を変更することも可能である。更に、各ファイバの断面を変えられるようにして、光ファイバプレート202の厚さ方向で密度を変えても構わない。すなわち、光ファイバプレート202を設計する際に、コア/クラッド比は、ファイバ断面の大きさを変化させながら、様々な値となるように設計されても良い。
【0037】
図8A及び図8Bは、セグメント化された非光ファイバ設計で使用されるライドガイドのセグメントの一例を示す図である。図8Aは、セグメント化非光ファイバ結晶の詳細図を示している。図8Bは、ライトガイドの中に機械加工された一連のスロットを示している。これらのスロットは反射材を収容しており、それによって、結晶面からセンサ平面まで調節可能な導光管を提供している。この特定の例において、128個の個々の結晶から4個のセンサへの所望の分配を行うには、3〜5種類の異なる深さが必要になる。この設計を使用すれば、図4の下図に示すように各結晶を分離することができる。この場合、複数のセグメントが、相互に結合されて1つのモジュールを形成している。本実施形態では、光の誘導制御を行なえるように、レンズとして機能できる光ファイバプレート202をライトガイドとして用いることで、光を最大限に複数のフォトセンサに適切に分配することができるので、反射材を用いる必要はなくなる。ただし、本実施形態は、光ファイバプレート202内に反射材を収容させて、適切な分配をサポートするように、検出器モジュール200の設計が行なわれる場合であっても良い。
【0038】
図9は、本明細書に記載のライトガイドについての、ライトガイド内での変化がステップ状である場合(上図)と、ライトガイド内での変化が連続的である場合(下図)とを含む、2種類のファイバ密度変化例を示す図である。図9は、光ファイバプレート202が、ファイバのコア内に導かれる光の量及びクラッド材料中でコアとコアの間を「自由に」進行する光の量をどのように変えているかを示している。上図では、変化はステップ状であり、導光効果は、従来ライトガイドとして用いられていた機械加工PMMAの場合と同様に、プレート中央では小さく、端部の方に向かって大きくなっている。図9の下図は、同じ効果を、より連続的な形態で示している。このようにして、本実施形態では、光ファイバプレート202をライトガイドとして用い、プレート面でコア−クラッド比を変えることによって、任意に光の誘導を調節可能な導光システムが実現される。
【0039】
図10Aは、従来の結晶、ライトガイド、フォトセンサ集合体を示す図であり、図10Bは、図10Aの設計では不可能であったフォトセンサ活性部への導光を実現する、本実施形態のファイバ密度の連続的変化を示す図である。図10Aでは、上から、シンチレーション結晶、ライドガイド、PMTを示す。また、図10Bでは、上から、シンチレーション結晶、光ファイバプレート、PMTを示す。本実施形態では、フォトセンサの表面を全部合わせたものは、結晶の総表面より狭い。図10Bは、ファイバのコア内部に導かれた光が、どのようにして、例えばセンサ同士の間には誘導されずに、図10Aの非光ファイバ設計と同様に、センサの感知部の方に誘導されるのかを示している。適切な区域でプレートの厚さにわたってファイバの密度を変化させることによって、光は、センサの感知部まで導かれる。図10Bの実施形態では、光ファイバプレートのファイバの密度が変化しているが、それは、放出光を、上記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導し、フォトセンサのそれら受光面同士の間には誘導しないようにするためである。すなわち、検出感度を更に向上させるために、光ファイバプレート202内のファイバの密度は、アレイ状のシンチレーション結晶エレメント203から放出された光を複数のPMT201の各々の受光面に誘導するとともに、PMT201の受光面同士の間には光を誘導しないように、密度が変化しているように設計される。
【0040】
この実施形態の説明から明らかなことは、ライトガイド平面内及び光ファイバプレートの厚さ内の両方でファイバの密度を変えることによって、1つの結晶から複数のセンサへの適切な光の分配とすることができ、しかも、従来の検出器設計ではセンサとセンサの間で途切れていたような光を再誘導することによって、センサにより多くの総光量を届けることができるということである。したがって、本実施形態では、ガンマ線検出の精度を向上させることができる。
【0041】
開示の実施形態は、諸々の利点を有する。第1に、ライトガイドの中に反射体を配置することに関連した機械作業及び手作業を全て回避しているため、光ファイバプレートからライトガイドを構築することに、あまり費用がかからない。
【0042】
第2に、端部(edge)の結晶又は角部(corner)の結晶を用いるなどして、より微妙な光分配が可能である。光ファイバプレートは、より多くの変数を提供して、光分配を最適化する。まず、ファイバによって捕獲された光は、ファイバの終端部に正確に、しかもそこにだけ誘導されるが、クラッド材料は、よりニュートラルな光路を提供する。それら2つのコンポーネントの相対密度を変えることによって、光分配が制御される。例えば、端部結晶又は角部結晶からの光は、近傍のセンサに到達するのにより長い経路を進行する必要があり、したがって、横方向におけるファイバの密度は、端部に向かって低くなっている。更に、結晶アレイは明らかに長方形であり、センサは、本実施形態では円形である。したがって、結晶アレイの角部からの光をフォトセンサの感知区域に届けるために、結晶表面からセンサ平面まで深さ方向にファイバの密度を変化させることによって、くさびが形成されている。同様に、ファイバに進入する光量を制御するのに、更には、ファイバによって導かれる光と、ファイバ同士の間を伝搬する光との比を制御するのにも、個々のファイバの開口数が使用される。この開口数は、クラッド材料に対するそれの屈折率と関係がある。
【0043】
第3の利点は、PMTに達する光の量が増加することである。ファイバのコアの屈折率がより高いことに起因して(結晶の屈折率に、より良好に整合する)、PMTへの光の総量が増加する。ニュートラル材料の厚さが薄くなることにも起因するが、これは、同じ光分配をより短い距離で実現することによって可能になる。
【0044】
なお、ライトガイドとして用いる光学材料は、本実施形態で説明した光ファイバプレート202と同様の光誘導制御を行なうことができるものであるならば、如何なる材料により形成されても良い。ただし、かかる光学材料は、1.75を上回る平均屈折率を有することが望ましい。
【0045】
また、上記の実施形態で説明した検出器モジュールは、シングルフォトンエミッションCT(SPECT: Single Photon Emission computed Tomography)イメージングシステムにおいても適用することができる。すなわち、上記の実施形態で説明した検出器モジュールは、核医学イメージングシステムに適用することができる。
【0046】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、ガンマ線検出の精度を向上させることができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
100 PETスキャナ
200 検出器モジュール
201 フォトセンサ(PMT)
202 光ファイバプレート(ライトガイド)
203 シンチレーション結晶エレメント(検出器結晶)
204 支持構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール。
【請求項2】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの平面に平行な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で調節可能である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項3】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項4】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向でも調節可能である、請求項2に記載のPET検出器モジュール。
【請求項5】
前記複数のファイバが、異なる開口数を有する、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項6】
前記放出された光を前記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導するとともに、前記フォトセンサの前記受光面同士の間には光を誘導しないように、前記光ファイバプレートの中の前記ファイバの密度が変化している、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項7】
前記光ファイバプレートは、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な厚さ方向に、前記複数のフォトセンサまで、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を誘導するように構成され、前記光ファイバプレートの厚さは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの厚さと実質的に略同等である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項8】
円筒検出器環体を形成するように相互に隣接して配置された複数の検出器モジュールを備え、
前記検出器モジュールの各々は、
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を有する、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム。
【請求項9】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの平面に平行な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で調節可能である、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項10】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項11】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項12】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向でも調節可能である、請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項13】
前記放出された光を前記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導するとともに、前記フォトセンサの前記受光面同士の間には光を誘導しないように、前記光ファイバプレートの中の前記ファイバの密度が変化している、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項14】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光学材料であって、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで導くように構成されており、1.75を上回る平均屈折率を有する光学材料と、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール。
【請求項15】
光ファイバプレートであって、
複数のファイバを備え、
前記光ファイバ内の前記複数のファイバの密度は、前記ファイバの長軸に垂直な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で変化している、光ファイバプレート。
【請求項16】
前記ファイバのコアのサイズは、同じクラッド厚に対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項15に記載の光ファイバプレート。
【請求項17】
前記ファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項15に記載の光ファイバプレート。
【請求項18】
前記ファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項16に記載の光ファイバプレート。
【請求項19】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を備える、核医学画像撮影検出器モジュール。
【請求項1】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール。
【請求項2】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの平面に平行な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で調節可能である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項3】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項4】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向でも調節可能である、請求項2に記載のPET検出器モジュール。
【請求項5】
前記複数のファイバが、異なる開口数を有する、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項6】
前記放出された光を前記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導するとともに、前記フォトセンサの前記受光面同士の間には光を誘導しないように、前記光ファイバプレートの中の前記ファイバの密度が変化している、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項7】
前記光ファイバプレートは、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な厚さ方向に、前記複数のフォトセンサまで、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を誘導するように構成され、前記光ファイバプレートの厚さは、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの厚さと実質的に略同等である、請求項1に記載のPET検出器モジュール。
【請求項8】
円筒検出器環体を形成するように相互に隣接して配置された複数の検出器モジュールを備え、
前記検出器モジュールの各々は、
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を有する、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナシステム。
【請求項9】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントの平面に平行な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で調節可能である、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項10】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項11】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの厚さ方向で調節可能である、請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項12】
前記光ファイバプレート内の前記複数のファイバの密度が、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面に垂直な前記光ファイバプレートの厚さ方向でも調節可能である、請求項9に記載のPETスキャナシステム。
【請求項13】
前記放出された光を前記複数のフォトセンサの各々の受光面に誘導するとともに、前記フォトセンサの前記受光面同士の間には光を誘導しないように、前記光ファイバプレートの中の前記ファイバの密度が変化している、請求項8に記載のPETスキャナシステム。
【請求項14】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光学材料であって、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで導くように構成されており、1.75を上回る平均屈折率を有する光学材料と、
を備える、ポジトロン放射断層撮影(PET)検出器モジュール。
【請求項15】
光ファイバプレートであって、
複数のファイバを備え、
前記光ファイバ内の前記複数のファイバの密度は、前記ファイバの長軸に垂直な前記光ファイバプレートの長手方向平面内で変化している、光ファイバプレート。
【請求項16】
前記ファイバのコアのサイズは、同じクラッド厚に対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項15に記載の光ファイバプレート。
【請求項17】
前記ファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項15に記載の光ファイバプレート。
【請求項18】
前記ファイバのクラッドの厚さは、同じコアのサイズに対して、前記光ファイバプレートの前記長手方向平面内で変化している、請求項16に記載の光ファイバプレート。
【請求項19】
アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントを覆うように配置され、前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントから放出された光を受け取るように構成された複数のフォトセンサと、
前記アレイ状のシンチレーション結晶エレメントと前記複数のフォトセンサとの間に配置された光ファイバプレートであって、前記シンチレーション結晶から放出された前記光を前記複数のフォトセンサまで誘導するように構成されている複数のファイバを有する光ファイバプレートと、
を備える、核医学画像撮影検出器モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2012−88302(P2012−88302A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201745(P2011−201745)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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