説明

ポジ型感光性組成物、感光性平版印刷版及びポジ画像の形成方法

【課題】 露光部と未露光部のコントラストに優れ、画線部の残膜率が十分な感光性組成物を提供する。
【解決手段】 フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質及び酸発色性色素を含有していることを特徴とするポジ型感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版、簡易校正印刷用プルーフ、配線板やグラビア用銅エッチングレジスト、フラットディスプレー製造に使用されるカラーフィルター用レジスト、LSI製造用フォトレジスト等に用いられる紫外から近赤外の波長域の光に対する新規なポジ型感光性組成物に関する。特に半導体レーザーやYAGレーザー等を用いた直接製版に好適なポジ型感光性組成物、ポジ型感光性平版印刷版及びポジ画像の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ画像処理技術の進歩に伴い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルムへの出力を行わずに、レーザー光あるいはサーマルヘッド等により、直接レジスト画像を形成する感光または感熱ダイレクト製版システムが注目されている。
【0003】特に、高出力の半導体レーザーやYAGレーザーを用いる、高解像度のレーザー感光ダイレクト製版システムは、小型化、製版作業時の環境光や版材コストの面から、その実現が強く望まれていた。一方、従来より、レーザー感光または感熱を利用した画像形成方法としては、昇華転写色素を利用し色材画像を形成する方法ならびに平版を作成する方法などが知られている。
【0004】近年、化学増幅型のフォトレジストに長波長光線吸収色素を組み合せた技術が散見される様になった。例えば特開平6−43633号明細書には特定なスクアリリウム色素に光酸発生剤およびバインダー等を組合せた感光材料が開示されている。また、更にこれに類する技法として赤外線吸収色素、潜伏性ブレンステッド酸、レゾール樹脂およびノボラック樹脂を含む感光層を半導体レーザー等により像状に露光し平版印刷版を作製する技術が提案されており(特開平7−20629号明細書)、更に、前記潜伏性ブレンステッド酸に代えs−トリアジン化合物を用いる技術も開示されている(特開平7−271029号明細書)。
【0005】また、特開平9−43847号明細書においては赤外線の照射により加熱して感光材の結晶性を変化させるレジスト材およびそれを利用したパターン形成方法が開示されている。また、WO97/39894には、水性現像液に可溶な高分子物質及び該高分子物質の水性現像液に対する溶解性を低下させうる化合物を含有する親油性、熱感受性組成物が開示されており、その組成物は、加熱された場合には水性現像液に対する溶解性は増加するが、UV光の照射によっては水性現像液に対する溶解性が増加しないことが記載されている。しかしながら我々の検討によれば、これら従来の技術は実用上、その特性が必ずしも充分ではなかった。例えば、露光後、加熱処理を要するネガ型の感光材の場合はその処理条件の振れに起因して得られる画像の品質安定性は必ずしも満足されなかった。一方、その様な露光後の加熱処理を要しないポジ型の感光材の場合は露光部と、未露光部における現像液に対する溶解性の差(以下、単にコントラスト称する場合がある)が不充分であり、その結果、非画線部が充分に除去されなかったり、画線部の残膜率が充分保持されなかった。また、我々の検討によれば上記の感光材料では、感光材を露光後、露光部分の色濃度が低下することにより露光未済状態を確認する機能である露光可視画性が不十分であることがわかった。また、感光材料、具体的には感光性平版印刷版を大量に現像処理する場合には、感光材料中の着色剤が現像液を着色し、自動現像液槽の汚染、更には現像時、現像液槽に付着した着色剤の感光性平版印刷版への再付着を起こし易く問題となることがわかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸問題に鑑みなされたものであり、即ち、本発明の目的は、画線部と非画線部のコントラストに優れかつ画線部の残膜率が充分な新規ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版を供することにある。本発明の別の目的は、露光可視画性に優れ、繰り返しの現像処理においても現像液槽の着色汚染のない新規ポジ型感光性組成物及びポジ型感光性平版印刷版を供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は下記の本発明の構成、即ち、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質、及び酸発色性色素を含有し、好ましくは酸発色性色素の少なくとも一部が、該フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質とプロトン移動錯体を形成していることを特徴とするポジ型感光性組成物により達成される。更に同目的は、支持体上に上記ポジ型感光性組成物からなる層を有することを特徴とするポジ型感光性平版印刷版により達成される。更に上記ポジ型感光性平版印刷版を650〜1300nmの近赤外光で露光後、アルカリ現像液によで現像することを特徴とするポジ型画像の形成方法により達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、ポジ型感光性組成物が酸発色性色素とフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質とを含有していることに特徴を有する。本発明の組成物の成分については後で詳述するが、該酸発色性色素の少なくとも一部がフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質とプロトン移動錯体を形成しており、かつ該組成物が露光されることにより露光部の現像液に対する溶解性が向上し、ポジ画像を形成しうると考えられる。かかるプロトン移動錯体は、該アルカリ可溶性有機高分子物質のフェノール性水酸基が、酸発色性の色素へプロトンを放出することにより形成される。
【0009】かかるプロトン移動錯体は、通常単にフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性高分子物質と酸発色性色素を混合することでは形成されずらく、通常熱処理を行うことにより形成が促進される。本発明に於ては該プロトン移動錯体の形成の有無の確認手段の1つとしては該酸発色性色素の発色の有無が挙げられる。又、プロトン移動錯体が形成されていることの他の確認手段としては、酸発色性色素を含むことにより、酸発色性色素を含まない場合に比べて、露光及びアルカリ現像液による現像後の画線部の膜減りが少ない(画像部の残膜率が高い)ことが挙げられる。かかるプロトン移動錯体の形成のメカニズムを例示すると下記の通りである。
【0010】
【化5】


【0011】
【化6】


【0012】
【化7】


【0013】本発明の感光性組成物がポジ画像を形成するメカニズムの詳細は不明であるが、該プロトン移動錯体の形成により、該アルカリ可溶性有機高分子物質のフェノール性水酸基が錯体を中心に水素結合によるマトリックス構造を形成し、その結果該アルカリ可溶性有機高分子物質のアルカリ水溶液に対する高い溶解抑制効果が発現される。一方、光照射時に、該プロトン移動錯体を構成している酸発色性色素の光化学的変化或は、光吸収により発生した熱による変化により該マトリックス構造が解離し、色素濃度が低下すると共に高い溶解抑制効果が消失することにより、露光部と未露光部とのコントラストの高いポジ画像を形成することが可能となると推定される。尚、上記酸発色性色素は、その全てがプロトン移動錯体を形成していても良い。以上説明したとおり、本発明のポジ型感光性組成物は、下記の特徴を有するものである。
(1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質及び酸発色性色素を含有することを特徴とする感光性組成物。
(2)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質及び酸発色性色素を含有し、該酸発色性色素の少なくとも一部が該フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性高分子物質とプロトン移動錯体を形成していることを特徴とするポジ型感光性組成物。
(3)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質及び酸発色性色素を含有し、該酸発色性色素が発色していることを特徴とするポジ型感光性組成物。
【0014】以下、本発明の組成物の成分を説明する。本発明のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質について説明すると、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性の水酸基を有するアクリル酸誘導体の共重合体等が挙げられるが、これらのうちノボラック樹脂、レゾール樹脂またはポリビニルフェノール樹脂が好ましい。特に好ましくは、ノボラック樹脂またはポリビニルフェノール樹脂である。
【0015】ノボラック樹脂としては、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシン、ピロガロール、ビスフェノール、ビスフェノール−A、トリスフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族炭化水素類の少なくとも1種を酸性触媒下、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類及び、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド類又はケトン類と重縮合させたものが挙げられる。
【0016】ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの代わりに、それぞれパラホルムアルデヒド及びパラアルデヒドを使用してもよい。ノボラック樹脂のゲルパーミュエーショククロマトグラフィー(以下、GPCと略す)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量(以下、GPC測定による重量平均分子量をMwと略す)が好ましくは1,000〜150,000、特に好ましくは1,500〜100,000のものが用いられる。
【0017】ノボラック樹脂の芳香族炭化水素類としては、より好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、及び3,5−キシレノール、レゾルシンから選ばれる少なくとも1種のフェノール類をホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類の中から選ばれる少なくとも1種と重縮合したノボラック樹脂が挙げられる。
【0018】中でも、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシンの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20のフェノール類または、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60のフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹脂が好ましい。アルデヒド類の中でも、特にホルムアルデヒドが好ましい。尚、本発明の感光性組成物は、更に溶剤抑止剤を含んでいても良く、その場合、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシンの混合割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0〜20のフェノール類または、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で10〜100:0〜60:0〜40のフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹脂が好ましい。
【0019】ポリビニルフェノール樹脂としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類の単独または2種以上の重合体が挙げられる。ヒドロキシスチレン類は芳香環に塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲンあるいはC1 〜C4 のアルキル置換基等の置換基を有していてもよく、従ってポリビニルフェノール類としては、芳香環にハロゲン又はC1 〜C4 のアルキル置換基を有していても良いポリビニルフェノールが挙げられる。
【0020】ポリビニルフェノール樹脂は、通常、置換基を有していてもよいヒドロキシスチレン類を単独で又は2種以上をラジカル重合開始剤またはカチオン重合開始剤の存在下で重合することにより得られる。かかるポリビニルフェノール樹脂は、一部水素添加を行なったものでもよい。又、t−ブトキシカルボニル基、ピラニル基、フラニル基などでポリビニルフェノール類の一部のOH基を保護した樹脂でもよい。ポリビニルフェノール樹脂のMwは、好ましくは1,000〜500,000、特に好ましくは1,500〜100,000のものが用いられる。
【0021】ポリビニルフェノール樹脂としては、より好ましくは、芳香環に炭素数C1 〜C4 のアルキル置換基を有していてもよいポリビニルフェノールが挙げられ、未置換のポリビニルフェノールが特に好ましい。以上のノボラック樹脂またはポリビニルフェノール樹脂のMwが、上記範囲よりも小さいと十分な塗膜が得られず、この範囲よりも大きいと未露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、パターンが得られない傾向にある。
【0022】また、レゾール樹脂はノボラック樹脂合成において酸触媒を用いる替わりにアルカリ触媒を用いる以外他は同様にして得ることができ、ノボラック樹脂と同様の好ましい分子量、縮重合モノマー組成のものが好ましい。フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質の中でもノボラック樹脂が好ましい。本発明に使用される酸発色性色素としては、酸の作用により発色する機能を有するものであれば特に限定されないが、典型的には、酸発色性色素とは、水素イオン、ルイス酸、ブレンステッド酸等の酸の存在により解離可能な結合を分子内に有し、この結合の解離により分子内にカチオンが生成し、これがエチレン鎖及び/又は芳香族環を介して非局在化した共鳴発色構造をとることにより発色する色素をいう。より具体的には、酸発色性色素とは、それ自体可視光の吸収がないか又は低く、フェノール性ノボラック樹脂(後述の実施例1で使用)100重量部と、酸発色性色素10重量部をメチルセロソルブ(1000重量部)に溶解し、支持体上に塗布、80℃にて2分間乾燥し、2.5μmの塗布膜とした場合に、可視項領域に、酸発色性色素自体の吸収の10倍以上の吸収が認められた場合に、これに該当する。本発明に使用される酸発色性色素としては、プロトンが付加することにより、アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオンを形成することが可能な窒素原子、酸素原子、硫黄原子を分子内に少なくとも一つ有しており、これらがカチオンを形成し、さらに、分子内または分子外に対アニオンを持つことにより発色性を有する構造をとることができるものが好ましい。従って、色素の骨格が酸発色性構造を有するものであれば、その色素骨格が有する置換基は、生成した非局在化カチオン構造を妨げるものでない限り特に限定されるものではない。酸発色性色素の内好ましい具体的を、下記一般式(A1)〜(A4)に示すが、中でもラクトン骨格をその構造中に有する色素、特にγ−ラクトン骨格をその構造中に有する色素((A1)または(A2))が、酸解離性及び酸発色性の点で有利である。尚、(A2)は(A1)のより好ましい構造である。
【0023】
【化8】


【0024】(式中、環A、環B、環Cは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、W1 はカルボニル基、チオカルボニル基、または基−C(R25)=N−を表し、R25は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Q1 は酸素原子、硫黄原子、又は置換基を有していても良いイミノ基を表し、R1 〜R4 は各々独立して、水素原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、m1 は0〜2の整数を表し、m2 は0〜2の整数を表す。また、環Bと環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。但し、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアリールチオ基から選ばれた置換基を、環B及び/又は環Cに少なくとも1つ有する。)
【0025】
【化9】


【0026】(式中、環A、環B、環Cは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、W1 はカルボニル基、チオカルボニル基、または基−C(R25)=N−を表し、R25は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Q1 は酸素原子、硫黄原子、又は置換基を有していても良いイミノ基を表し、R1 〜R4 は各々独立して、水素原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、m1 は0〜2の整数を表し、m2 は0〜2の整数を表し、R5 〜R8 は各々独立して、水素原子、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していても良いアシル基を表す。また、環Bと環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。また、R5 あるいはR6 と環Bは互いに結合基を介して結合していても良く、R7 あるいはR8 と環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。)
【0027】一般式(A1)、(A2)で表される酸発色性色素において、好ましい化合物としては、Q1 が、酸素原子又は硫黄原子であり、W1 が、カルボニル基又はチオカルボニル基であり、環Aが、ベンゼン環、ピペラジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はピリジン環であり、環B及び環Cが、ベンゼン環又はナフタレン環であり、m1 及びm2 が、0又は1であり、R1 〜R4 が、独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜8のアリール基であり、R25が水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基である。また、これらの内、Q1 が酸素原子であり、W1 がカルボニル基であり、環Aがベンゼン環であり、R1 〜R4 が、独立に水素原子、メチル基、エチル基、又はフェニル基であるものが更に好ましい。
【0028】また、環A、環B、環Cは、生成した非局在化カチオン構造を妨げない置換基を有していてもよいが、その置換基としては具体的には例えば、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、トリメチルシリルオキシ基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数2〜15のアシル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキルチオ基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキルスルホニル基、置換基を有していても良い炭素数6〜15のアリールオキシ基、置換基を有していても良い炭素数6〜15のアリールチオ基、置換基を有していても良い炭素数2〜15のアシルオキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基、置換基を有していても良いアミノ基等が挙げられる。これらの内、水素原子、水酸基、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、トリル基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミノ基、炭素数1〜5のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、フェノキシ基、フェニルチオ基が好ましい。
【0029】また、環Bと環Cは互いに結合基を介して結合していても良いが、その場合の結合基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基が挙げられ、好ましくは酸素原子である。環Bと環Cが結合している場合は、m1 とm2が共に0であり、環Bと環Cがo−位で結合し、6員環を形成していることが更に好ましい。また、一般式(A1)において、環B及び/又は環Cには、置換基を有していても良いアミノ基、置換基されていても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアリールチオ基から選ばれた置換基を少なくとも1つ有するが、それらの置換基が、環B及び環Cにそれぞれ少なくとも1つ有することが好ましい。また、置換基を有していても良いアミノ基を環B及び環Cにそれぞれ少なくとも1つ有することが更に好ましく、これは一般式(A2)に相当する。
【0030】また、一般式(A2)で表される酸発色性色素においては、R5 〜R8 は、独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されていても良い炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜7のアルコキシアルキル基が好ましく、中でも、独立に水素原子、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、2−メチル−1−プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、3ートリフルオロフェニル基が更に好ましい。
【0031】
【化10】


【0032】(式中、環D、環Eは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、Q2 は酸素原子又は硫黄原子を表し、R9 〜R12は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、R13は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す。)
一般式(A3)で表される酸発色性色素において、好ましい化合物としては、Q2 が酸素原子であり、環Dが、ベンゼン環、ピペラジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はピリジン環であり、環Eが、ベンゼン環又はナフタレン環であり、R9 〜R12が独立に水素原子、ハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1〜5のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されていても良い炭素数6〜8のアリール基、R13が水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜8のアリール基である。また、これらの内、環Dがベンゼン環であり、R9 、R10がメチル基であり、R11、R12が水素原子又はメチル基であり、R13がメチル基又はエチル基であるものが更に好ましい。また、環D、環Eは、生成した非局在化カチオン構造を妨げない置換基を有していてもよいが、これらの置換基は、一般式(A1)、(A2)の場合で説明した環A、環B、環Cにおける置換基と同様である。
【0033】
【化11】


【0034】(式中、環F、環Gは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、R14〜R21は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、R22、R23は各々独立して水素原子、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していても良いアシル基を表し、Q3 は酸素原子又は硫黄原子を表し、m3 は1又は2を表す。)
【0035】一般式(A4)で表される酸発色性色素において、好ましい化合物としては、Q3 が酸素原子であり、環Fが、ベンゼン環、ピペラジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はピリジン環であり、環Gが、ベンゼン環又はナフタレン環であり、R14〜R21が独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、又はハロゲン原子であり、R22、R23が独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、又は炭素数6〜8のアリール基である。また、これらの内、環Fがベンゼン環であり、R14、R15がメチル基であり、R16〜R21が独立に水素原子又はメチル基であり、R22、R23が独立に水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基であるものが更に好ましい。また、環F、環Gは、生成した非局在化カチオン構造を妨げない置換基を有していてもよいが、これらの置換基は、上述した環A、環B、環Cにおける置換基と同様である。
【0036】又、本発明の酸発色性色素は、前記の如き酸発色性色素が2以上、直接或いは、結合基を介して結合した複数の色素を有する化合物であっても良い。複数の酸発色性色素を結合する方法としては、酸発色性色素を直接或いは結合基を介して結合するものであれば、特に限定されることなしに使用することが出来るが、さらに具体的に例を上げて説明する。
1)ジフェニルアミノ誘導体にベンゾイル安息香酸誘導体を反応させる反応。
【0037】
【化12】


【0038】2)ジフェニルアミノ基を有する酸発色性色素にアルデヒド化合物又はケトン化合物を反応させる方法。
【0039】
【化13】


【0040】次に前記複数の酸発色性化合物を有する化合物のうち、複数の酸発色性色素を有する有機高分子物質について説明する。該複数の酸発色性色素を有する有機高分子物質を生成させる方法としては例えば、以下のものが挙げられる。
1)ジフェニルアミノ基を有する酸発色性色素をアルデヒド化合物またはケトン化合物と重縮合させる方法。またこの重縮合の際、アルデヒド化合物またはケトン化合物と縮合するジフェニルアミン誘導体或はフェノール誘導体を共重縮合させることができる。
【0041】
【化14】


【0042】(式中ns 、nt は1以上の整数を表わす。)
【0043】また、複数の酸発色性色素を有する化合物が有機高分子である場合には、重量平均分子量(Mw)が1000〜1000000、好ましくは1000〜500000、さらには、1000〜100000のものが好ましい。分子量が著しく高いと現像液に対する感光性層の溶解性を低下させ、非画線部分に感光性層残渣の発生(地汚れ)を起こしやすい。また、該複数の酸発色性色素を有する有機高分子物質は、それ自身に塗膜性を有し、また、該複数の酸発色性色素を有する有機高分子物質と該有機高分子物質に含有する複数の酸発色性色素が前記のプロトン移動錯体を形成することが出来る場合には、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質を使用することなしに目的のポジ型感光性組成物を得ることもできる。上記の複数酸発色性色素を有する化合物のうち、好ましいものとしては、下記式(B1)〜(B3)で表される構造のものが挙げられる。
【0044】
【化15】


【0045】(式中、環A、環H、環I、環J、環Kは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、環L、環M、環N、環Oは各々独立して置換基を有していても良いベンゼン環を表し、W2 、W3 は各々独立してカルボニル基、チオカルボニル基、または基−C(R25)=N−を表し、R25は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Q4 、Q5 は各々独立して酸素原子、硫黄原子、置換基を有していても良いイミノ基を表し、R26、R27、R30、R31は各々独立して、水素原子又は炭化水素基を表し、R28、R29、R32〜R35は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、ns 、nt 、は1以上の整数を表わし、nu は1〜5の整数を表す。また、環Hと環Iとは互いに結合基を介して結合していても良い。)
【0046】上記(B1)〜(B3)で表される酸発色性色素は、プロトンが付加することによりアンモニウムイオンを生成することが可能な窒素原子を有しているが、更に、環H、環Kの置換基として、置換基を有していても良いアミノ基、置換基されていても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基されていても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアリールチオ基から選ばれた置換基を有しており、これらの置換基の、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が、プロトンが付加することにより、それぞれアンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオンを形成し、分子内又は分子外に対アニオンを持つことにより発色性を有する構造をとることができるのもが好ましい。また、環A、環H、環I、環J、環K、環L、環Mは、生成した非局在化カチオン構造を妨げない置換基を有していてもよいが、これらの置換基は、一般式(A1)、(A2)の場合で説明した環A、環B、環Cにおける置換基と同様である。
【0047】上記(B1)〜(B3)で表される酸発色性色素において、好ましい化合物としては、Q4 、Q5 が酸素原子又は硫黄原子であり、W2 、W3 がカルボニル基又はチオカルボニル基であり、環Aが、ベンゼン環、ピペラジン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、インドール環、又はピリジン環であり、環H、環I、環J、環Kがベンゼン環又はナフタレン環であり、R26、R27、R30 31が、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基であり、R28、R29、R32〜R35が、独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基であり、R25が水素原子、炭素数1〜15のアルキル基又は炭素数6〜15のアリール基である。また、前記一般式(A1)〜(A4)、(B1)〜(B3)で表される酸発色性色素の内、(A1)、(A2)がより好ましく、(A2)が特に好ましい。以下に本発明の酸発色性色素の具体例を示すが、本発明の酸発色性色素はこれら具体例に限定されるものではない。
【0048】
【化16】


【0049】
【化17】


【0050】
【化18】


【0051】
【化19】


【0052】
【化20】


【0053】
【化21】


【0054】
【化22】


【0055】
【化23】


【0056】
【化24】


【0057】
【化25】


【0058】
【化26】


【0059】
【化27】


【0060】
【化28】


【0061】
【化29】


【0062】
【化30】


【0063】
【化31】


【0064】
【化32】


【0065】次に本発明の感光性組成物の成分の含有割合について説明するが、該フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質の配合率は、感光性組成物中の全固形分に対して2〜98重量%、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%である。本発明の酸発色性色素の配合率は酸発色性色素が有機高分子(通常、重量平均分子量Mw=1000〜100000)の場合は感光性組成物の全固形分に対して1〜98重量%、好ましくは3〜80重量%、さらに好ましくは5〜70重量%、また有機高分子でない場合には、感光性組成物の全固形分に対して1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
【0066】本発明のポジ型感光性組成物は、光照射されることにより、組成物中のアルカリ可溶性有機高分子物質、酸発色性色素、或いはプロトン移動錯体が光を吸収し、光化学反応、或いは、光吸収で発生する熱の作用により前述のプロトン移動錯体構造及びそれを中心としたアルカリ可溶性有機高分子物質のマトリックス構造を破壊することにより、光照射部分のアルカリ水溶液に対する溶解性を著しく向上させ、高いコントラストのポジ様の画像を得ることが可能であると推定される。さらに、この光化学反応、或いは光吸収で発生する熱による上記溶解性向上効果を高める目的で、該ポジ型感光性組成物中に光熱変換物質を配合させることが出来る。
【0067】本発明のポジ型感光性組成物に用いられる光熱変換物質は、光照射されることにより熱を発生する物質であれば特に限定されないが、より具体的には、波長域650〜1300nmの一部又は全部に吸収帯を有する近赤外吸収色素、有機または無機の顔料、金属などが挙げられる。具体的には、例えば、カーボンブラック;黒鉛;チタン、クロム等の金属;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化タングステン等の金属酸化物;チタンカーバイド等の金属炭化物;金属ホウ化物;特開平4−322219号公報に記載されている無機黒色顔料、アゾ系のブラック顔料、「リオノールグリーン2YS」、「緑色顔料7」等の黒または緑の有機顔料が挙げられる。そして、上記のカーボンブラックとしては、三菱化学社の商品である「MA−7」、「MA−100」、「MA−220」、「#5」、「#10」、「#40」、デグッサ社の商品である「カラーブラックFW2」、「FW20」、「プリンテックスV」等が挙げられる。
【0068】また、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、「機能性色素の化学」(桧垣編集、1981年、(株)シーエムシー発行)、「色素ハンドブック」(大河・平嶋・松岡・北尾編集、講談社発行)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログ等に記載の近赤外領域に吸収を有する色素が挙げられる。
【0069】更には、特開平2−2074号、同2075、同2076、特開平3−97590号、同97591号、同63185号、同26593号、同97589号の各公報に記載された有機色素や日本化薬社の商品「IR820B」等が挙げられる。光熱変換物質として、近赤外領域に吸収を有する色素および顔料の代表例を下記に示す。
【0070】
【化33】


【0071】
【化34】


【0072】
【化35】


【0073】
【化36】


【0074】
【化37】


【0075】
【化38】


【0076】
【化39】


【0077】
【化40】


【0078】
【化41】


【0079】
【化42】


【0080】
【化43】


【0081】
【化44】


【0082】
【化45】


【0083】
【化46】


【0084】
【化47】


【0085】
【化48】


【0086】
【化49】


【0087】これらの内、シアニン色素、ポリメチン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素が好ましい。更に、シアニン色素、ポリメチン色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素がより好ましい。これらの内、特に好ましい色素は、下記一般式〔I〕で表されるシアニン色素または一般式〔II〕で表されるポリメチン色素であり、下記一般式〔III 〕で表わされるピリリウム色素またはチオピリリウム色素である。
【0088】
【化50】


【0089】〔式中、R41、R42は置換基を有していても良いC8 以下のアルキル基であり、該置換基は、フェニル基、フェノキシ基、アルコキシ基、スルホン酸基、カルボキシル基であり;Q11は置換基を有していてもよいヘプタメチン基であり、該置換基は、C6 以下のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基であるか、該ヘプタメチン基がその2つのメチン炭素上の置換基が相互に結合して形成された置換基を有していても良いシクロヘキセン環またはシクロペンテン環を含むものであっても良く、該置換基はC6 以下のアルキル基またはハロゲン原子であり;m4 、m5 は各々が0または1であり;Z1 、Z2 は含窒素複素環を形成するに必要な原子群であり;X- は対アニオンを示す。〕
【0090】
【化51】


【0091】〔式中、R43〜R46はC8 以下のアルキル基であり;Z4 、Z5 は置換基を有していてもよいアリール基であり、該アリール基は、フェニル基、ナフチル基、フリル基またはチエニル基であり、該置換基はC4 以下のアルキル基、C8 以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C8 以下のアルコキシ基およびハロゲン原子である。Q12はトリメチン基またはペンタメチン基を示し;X- は対アニオンを示す。〕
【0092】
【化52】


【0093】〔式中、Y1 、Y2 は酸素原子または硫黄原子であり;R47、R49、R55およびR56は置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基であり、該置換基はC8 以下のアルキル基もしくはC8 以下のアルコキシ基であり;l1 とl2 は各々独立に0または1を示し;R49〜R54は水素原子またはC8 以下のアルキル基を示すかあるいは各々独立にR49とR50、R51とR52またはR53とR54とが相互に結合して
【0094】
【化53】


【0095】(但しR57〜R59は水素原子またはC6 以下のアルキル基であり、nは0または1を示す。)の連結基を形成しても良く;Z3 はハロゲン原子または水素原子、Xは対アニオンを示す。〕
以上の〔I〕、〔II〕および〔III 〕式における対アニオンX- を具体的に示すに、例えば、Cl- 、Br- 、I- 、ClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 等の無機酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸、有機ホウ酸の様な有機酸アニオンを挙げることができる。
【0096】特に、有機ホウ酸アニオンを対イオンに有する色素は、塗布溶剤に対する溶解性に優れる為、塗布溶液の製造が容易になると共に、低沸点の溶剤を使用可能なため、未乾燥感光性層の塗布ラインローラー等への貼り付き等の発生を抑制出来、高速塗布が可能となり、高い生産性を得ることができる。本発明の感光性組成物がこれらの光熱変換物質を含有する場合、感光性組成物の全固型分に対する配合率は、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%である。具体的にこのような、有機ホウ酸アニオンとしては、下記式(L)で示されるものが挙げられる。
【0097】
【化54】


【0098】(式中、RQ1〜RQ4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数4〜15の複素環基を表わす。)
さらに具体的にはRQ1〜RQ4がそれぞれ、−CH3 、−C2 5 、−C3 7、−C4 9 、−C4 9 −t、
【0099】
【化55】


【0100】等を挙げることができる。また、本発明のポジ型感光性組成物(ポジ感光体の感光性層)は、白色蛍光灯(三菱電機株式会社製36W白色蛍光灯ネオルミスーパーFLR40S−W/M/36)下、400ルクスの光強度の光照射下において10時間放置しても、アルカリ現像液に対する溶解性に実質的有意差を生じない性質を有するものが、白色灯下で取り扱える点から好ましい。尚、溶解性に実質的有意差を生じないとは、支持体上に本発明のポジ型感光性組成物からなる層を有する印刷版を上記条件で10時間放置前後で、3%の網点が形成される条件で露光現像した時に得られる画像の膜厚変化が10%以内であることを意味する。また、感光性層中には、必要に応じ、光熱変換物質以外の着色材料を含有させることが出来る。着色材料としては、顔料または染料が使用され、例えば、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、ファーストブラックHB(26150)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッドB4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)等が挙げられる。なお、上記の( )内の数字はカラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0101】該着色材料を含む場合、その配合率は全感光性層組成物の固形分に対して1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。
【0102】本発明に使用する感光性組成物は、通常、上記各成分を適当な溶媒に溶解して用いられる。溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与える溶媒であれば特に制限はないが、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの高極性溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、さらにはこれらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。溶媒の使用割合は、感光性組成物の総量に対して通常重量比として1〜20倍程度の範囲である。
【0103】なお、本発明の感光性組成物は、その性能を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば塗布性改良剤、現像改良剤、密着性改良剤、感度改良剤、感脂化剤等を含有することも可能である。本発明の感光性組成物は支持体上に塗設して感光性平版印刷版として有利に使用できる。支持体表面に感光性層を設ける際に用いる塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等を用いることが可能である。その乾燥温度または加熱温度としては、例えば20〜170℃、好ましくは30〜150℃が採用される。
【0104】感光性層の膜厚は、通常0.3〜7μm、好ましくは0.5〜5μm、更に好ましくは1.0〜3μmである。本発明に使用する感光性組成物を用いた感光層を設ける支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等のシート等が挙げられる。感光性平版印刷版用の支持体としては、塩酸または硝酸溶液中での電解エッチングまたはブラシ研磨による砂目立て処理、硫酸溶媒中での陽極酸化処理および必要に応じて封孔処理等の表面処理が施されているアルミニウム板を用いることがより好ましい。
【0105】支持体表面の粗面度に関しては、一般的に、表面粗さRaの値で示される。これは表面粗度計を用いて測定することができる。本発明において用いられる支持体としてはその平均粗さRaとして0.3〜1.0μmのアルミニウム板が好ましく、更に、0.4〜0.8μmのものがより好ましい。本支持体は、必要に応じ、更に有機酸化合物による表面処理を施して用いることができる。
【0106】本発明の感光性組成物を画像露光する光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等のランプ光源、HeNeレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、HeCdレーザー、半導体レーザー、ルビーレーザー等のレーザー光源が挙げられる。特に、本発明では感光性組成物が光熱変換物質を含有する場合で、光を吸収し、発生した熱により画像形成させる場合に有利に使用されるため、650〜1300nmの近赤外レーザー等の光線を発生する光源が好ましく、例えばルビーレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、LED、その他の固体レーザー等を挙げることが出来、特に小型で長寿命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。これらのレーザー光源により、通常、走査露光後、現像液にて現像し画像を得ることができる。
【0107】また、レーザー光源は、通常、レンズにより集光された高強度の光線(ビーム)として感光材表面を走査するが、それに感応する本発明のポジ型平版印刷版の感度特性(mJ/cm2 )は感光材表面で受光するレーザービームの光強度(mJ/s・cm2 )に依存することがある。ここで、レーザービームの光強度(mJ/s・cm2 )は、版面上でのレーザービームの単位時間当たりのエネルギー量(mJ/s)を光パワーメーターにより測定し、また感光材表面におけるビーム径(照射面積;cm2 )を測定し、単位時間当たりのエネルギー量を照射面積で除することにより求めることができる。レーザービームの照射面積は、通常、レーザーピーク強度の1/e2 強度を超える部分の面積で定義されるが、簡易的には相反則を示す感光材を感光させて測定することもできる。
【0108】本発明に用いられる光源の光強度としては、2.0×106 mJ/s・cm2以上であることが好ましく、1.0×107 mJ/s・cm2 以上であることが更に好ましい。光強度が上記の範囲であれば、本発明のポジ型感光性組成物の感度特性が向上し、走査露光時間を短くすることができ実用的に大きな利点が得られる。
【0109】本発明の感光性組成物の現像に用いる現像液としては特にアルカリ水溶液を主体とするアルカリ現像液が好ましい。上記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。アルカリ金属塩の濃度は0.1〜20重量%が好ましい。又、該現像液中に必要に応じアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0110】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
〔アルミニウム板の作製〕厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行なった後、0.5モル/リットルの濃度の塩酸水溶液中において、温度28℃、電流密度60A/dm2 、処理時間40秒の条件で電解エッチング処理を行なった。次いで4重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃、12秒間のデスマット処理を施した後、20重量%硫酸溶液中で、温度20℃、電流密度3.5A/dm2 、処理時間1分の条件で陽極酸化処理を行なった。更に、80℃の熱水で20秒間熱水封孔処理を行ない、平版印刷版用支持体のアルミニウム板を作製した。この板の平均粗さRaの値は0.60μmであった。このRa値は表面粗度計SE−3DH(小坂研究所社製)を用い、スキャン長さ4mm、高域カットオフ無し、低域カットオフ0.8mmの条件下で測定した。
【0111】〔感光層の塗膜量の測定法〕支持体上に以下の実施例にて示した条件下で感光液を塗布、乾燥、加熱処理して得られた感光性平版印刷版試料について10cm角の大きさに切り取り、その試料片の重量を測定後、アセトンにより感光層を溶解除去し、再度、重量を測定してその減量分を求め、その値から1m2 当りの重量として塗膜量を求めた。
【0112】〔残膜率〕残膜率は実施例及び比較例に記載の方法で現像後の画線部の残存塗膜量を上記と同様な方法で求め、初期塗膜量との比から求めた。
A:残膜が90重量%以上残存している。
B:残膜が70重量%以上90重量%未満残存している。
C:残膜が50重量%以上70重量%未満残存している。
D:残膜が50重量%未満残存している。
尚、以下の実施例及び比較例で使用した、各表中に記載の材料を下記に示す。
〔光吸収色素〕
【0113】
【化56】


【0114】〔酸発色性でない色素〕
【0115】
【化57】


【0116】〔ラクトン骨格を有する酸発色性色素〕
【0117】
【化58】


【0118】
【化59】


【0119】
【化60】


【0120】
【化61】


【0121】
【化62】


【0122】
【化63】


【0123】実施例1〜7及び比較例1〜3下記成分よりなる感光液を前述の方法で作製したアルミニウム板上にワイヤーバーで塗布し、90℃にて2分間乾燥させた後、55℃で16時間加熱処理し平版印刷版を得た。塗膜量は2.8g/m2 であった。尚、感光液の状態では色の発色はほとんど観測されず、塗布後室温風乾させた試料は、ラクトン基を有する色素が発色していないため極めてうすい光吸収色素の色が認められるのみであったが、85℃、2分間の乾燥55℃、16時間の熱処理においてラクトン基を有する色素が発色し、発色した色素の濃度が、反射吸光度で塗布風乾させた物の5倍以上の濃度の増加が認められた。
【0124】
(感光液)
高分子化合物:フェノール:m−クレゾール:p−クレゾール(20:50: 30モル比)をホルムアルデヒドと共縮合させたノボラック樹 脂(Mw4000) 100重量部 光吸収色材:表−Aに記載のもの 5重量部 ラクトン骨格を有する酸発色性色素:表−Aに記載のもの 10重量部 溶媒:シクロヘキサノン/N−メチルピロリドン(混合)
600重量部/300重量部
【0125】次に、上記試料を830nmの半導体レーザーを光源とする感光性平版印刷版露光装置(クレオ社製Trend Setter 3244T.)を用いて各種の露光エネルギーで212線、3〜97%の網点画像を画像露光し、次いでアルカリ性現像液(コニカ社製SDR−1)を7倍に希釈し、28℃で現像を行った。3%の網点画像が再現する露光量を用いて、感度の評価を行った。露光量が低い程、高い感度を示している。結果を表−Aに示す。
【0126】
【表1】


*)感度のFは、全面溶解し画像形成しなかったことを示し、Gは、感光層の溶解性が低く画像が形成されなかったため、非画線部が除去される迄スポンジで物理刺激を与えた結果、全面溶解し、画像形成しなかったことを示し、残膜率のFは、評価を行っていないことを示す。
【0127】参考例1実施例1の感光性平版印刷版を400ルクスの光強度の白色蛍光灯(三菱電機株式会社製、36W白色蛍光灯ネオルミスーパーFLR40S−W/M/36)下に10時間放置した後、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同等の感度(300mJ/cm2 )、残膜率(A)を示した。
参考例2一方、感光性組成物に下記のo−キノンジアジド
【0128】
【化64】


【0129】を10重量部添加する以外は、実施例1と同様に感光性平版印刷版を作製、評価を行ったところ、感度:350mJ/cm2 、残膜率:Aを示したが、参考例1の白色蛍光灯下に5時間放置した後、同様の評価を行ったところ、30%以上の感光性層の膜減りが生じた。
実施例8〜14実施例1において、ラクトン骨格を有する酸発色性色素を表−Bに示すビス体骨格、有機高分子骨格を有する酸発色性色素に変更し、溶媒をシクロヘキサノンに変更した以外は同様にして試料を作成し、評価を行った。結果を表−Bに示す。
【0130】実施例15〜16実施例8において、光吸収色材を表−Bに示すものに変更した以外は同様にして、試料を作成し、評価を行った。結果を表−Bに示す。
【0131】
【表2】


【0132】実施例17実施例1〜16及び比較例2の試料を1000mJ/cm2 でレーザー露光し、露光後可視画像を、マクベス社製反射濃度計RD−514を用いて評価した。比較例2の露光試料は、露光部分の添加色素TC−2の退色がなく(濃度変化が1%以下)、露光部分と未露光部分との判別が目視では困難であるのに対し、実施例1〜16の露光試料は、添加した酸発色性色素の退色により5%以上の濃度変化が起こり、目視で容易に露光部分と未露光部分との判別が可能であった。さらに、実施例1〜16の露光試料は、3%網点画像を再現するのに必要な露光量によるレーザー露光時においても容易にレーザー露光画像の確認ができた。
【0133】実施例18実施例1の試料を全面500mJ/cm2 の版面エネルギーになるようにレーザー露光した後、20cm×20cm角の大きさに切り出した。次に比較例2の試料を同様に800mJ/cm2 の版面エネルギーになるようにレーザー露光した後、20cm×20cm角の大きさに切り出した。次に、アルカリ現像液(コニカ社製SDR−1)の7倍希釈液200mlを用い、20cm×20cmの試料を現像処理を行い、試料の感光性層を全て除去した後、各現像液の着色の有無を目視により行ったところ、実施例1の試料を処理した現像液に全く着色が見られなかったが、比較例2を処理した現像液は、色素TC−2による著しい着色が見られた。
【0134】実施例19〜23実施例1において、酸発色性色素を下記の色素TD−1、TD−2、TD−3、TD−4にそれぞれ変更した以外、他は同様に試料を作成し、評価を行った。結果を表−Cに示す
【0135】
【表3】


【0136】
【化65】


【0137】
【発明の効果】本発明の感光性組成物は、露光部と未露光部のコントラストに優れ、画線部の残膜率が十分であり、特に支持体上に該組成物からなる層を用いた感光性平版印刷版は有用である。更に本発明の感光性組成物からなる感光層を有する感光性平版印刷版は露光可視画性に優れる。また、該感光性平版印刷版を大量に現像した場合にも現像液の着色・汚染が少ない利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質及び酸発色性色素を含有していることを特徴とするポジ型感光性組成物。
【請求項2】 該酸発色性色素の少なくとも一部が、該フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質とプロトン移動錯体を形成していることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】 フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性有機高分子物質が、ノボラック樹脂、レゾール樹脂およびポリビニルフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】 酸発色性色素が酸解離性のラクトン骨格を有することを特徴とする請求項1〜3のいすれかに記載のポジ型感光性組成物。
【請求項5】 酸発色性色素が下記一般式(A1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【化1】


(式中、環A、環B、環Cは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、W1 はカルボニル基、チオカルボニル基、または基−C(R25)=N−を表し、R25は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Q1 は酸素原子、硫黄原子、又は置換基を有していても良いイミノ基を表し、R1 〜R4 は各々独立して、水素原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、m1 は0又は1を表し、m2 は0又は1を表す。また、環Bと環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。但し、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアリールチオ基から選ばれた置換基を、環B及び/又は環Cに少なくとも1つ有する。)
【請求項6】 酸発色性色素が下記一般式(A2)で表される化合物であるあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【化2】


(式中、環A、環B、環Cは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、W1 はカルボニル基、チオカルボニル基、または基−C(R25)=N−を表し、R25は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、Q1 は酸素原子、硫黄原子、又は置換基を有していても良いイミノ基を表し、R1 〜R4 は各々独立して、は水素原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、m1 は0又は1を表し、m2 は0又は1を表し、R5 〜R8 は各々独立して、水素原子、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していても良いアシル基を表す。また、環Bと環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。また、R5 あるいはR6 と環Bは互いに結合基を介して結合していても良く、R7 あるいはR8 と環Cは互いに結合基を介して結合していても良い。)
【請求項7】 酸発色性色素が下記一般式(A3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいすれかに記載のポジ型感光性組成物。
【化3】


(式中、環D、環Eは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、Q2 は酸素原子又は硫黄原子を表し、R9 〜R12は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、R13は水素原子又は置換基を有していても良い炭化水素基を表す。)
【請求項8】 酸発色性色素が下記一般式(A4)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいすれかに記載のポジ型感光性組成物。
【化4】


(式中、環F、環Gは各々独立して置換基を有していても良い1〜3核の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していても良い1〜3核の芳香族複素環基を表し、R14〜R21は各々独立して水素原子、又は置換基を有していても良い炭化水素基を表し、R22、R23は各々独立して水素原子、置換基を有していても良い炭化水素基、又は置換基を有していても良いアシル基を表し、Q3 は酸素原子又は硫黄原子を表し、m3 は1又は2を表す。)
【請求項9】 一般式(A2)において、W1 がカルボニル基であり、Q1が酸素原子である請求項6に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項10】 一般式(A2)において、環Aがベンゼン環であり、環B及び環Cが各々独立してベンゼン環又はナフタレン環である請求項6に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項11】 更に、画像露光光源の光を吸収し、熱を発生する光熱変換物質を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【請求項12】 光熱変換物質が近赤外吸収色素であることを特徴とする請求項11記載のポジ型感光性組成物。
【請求項13】 400ルクスの光強度の白色光灯下に10時間放置することにより、アルカリ現像液に対する溶解性に実質的有意差を生じない請求項1〜12のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【請求項14】 支持体上に、請求項1〜13のいずれかに記載のポジ型感光性組成物からなる感光層を有するポジ型感光性平版印刷版。
【請求項15】 請求項14に記載のポジ型感光性平版印刷版を、650〜1300nmの近赤外光線で露光後アルカリ現像液で現像することを特徴とするポジ画像の形成方法。