ポストパレット
【課題】コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供することを目的とする。
【解決手段】ポストパレットであって、矩形状のパレット、パレットの4隅に、各々、直立するポストおよびポストを囲んで支持する上端部がコの字型の隅柱を備え、前面側に備えられた2本において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストはパレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、パレットの外側へ可倒な可倒部を有するもので、後面側においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストはパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであるポストパレット。
【解決手段】ポストパレットであって、矩形状のパレット、パレットの4隅に、各々、直立するポストおよびポストを囲んで支持する上端部がコの字型の隅柱を備え、前面側に備えられた2本において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストはパレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、パレットの外側へ可倒な可倒部を有するもので、後面側においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストはパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであるポストパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの4隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、パレット上への荷物の出し入れが簡単であり、かつ、未使用時のコンパクト化が可能なポストパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えばガラス基板等の荷物の搬送にあたっては、パレットの4隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献1に開示されたものが挙げられる。
【0003】
図17に、従来のポストパレットの一例の概略を示す。
このスチール製のポストパレット101は、全体として、搬送する荷物を載上するための矩形状のパレット102の4隅に、それぞれ4本のポスト103が直立した構造となっている。
この4本のポストのうち、ポストパレット101の前面側の一方(ここでは、右手のポスト103FR)以外の3本は隣り合うポストと補助部材109で連結されている。
また、ポストパレット101の左右の側面側には、サイドボード105が備えられている。各ポスト103の側面には、2枚で1組のボード差し込み用の板状部材105’が設けられており、サイドボード105はこの2枚の板状部材105’の間に差し込まれてポスト間に固定される。
【0004】
また、ポストパレット101の後面側(背面側)には、補助部材109とパレット102を連結し、荷物の背面側を支持するための背もたれ106を有しており、背もたれ106の表面には緩衝材(ポリエチレンの発泡体)が設けられている。
さらに、パレット102には、荷物が載上される箇所には、荷物が滑るのを防止するために、パレット102の表面に緩衝材を設け、その上に、滑り止めのためのゴムシートが設けられている。
【0005】
そして、上記のポスト103FRは、図18の説明図に示すように、2つ(ポスト部103FRa、脚部103FRb)に分離可能なものであり、ポスト部103FRaを筒状の脚部103FRbの内側に抜き差しすることで着脱可能になっている。パレット102上に荷物を出し入れする時には、このポスト部103FRaを引き抜くことで外して作業を行い、ポスト部103FRaが邪魔になるのを防ぐことができるようになっている。
一方、残りの3本のポスト103は、パレット102や補助部材109と溶接されており、取り外すことはできずに互いに固定されている。
また、荷物はビニール等で包装され、PPバンド等で縛られた後、ポストパレット101上に載上され、ポストパレット101ごとPPバンドでさらに縛られて固定される。
【0006】
従来では、このようなポストパレット101を用いて荷物を国内や海外へと搬送していた。そして、特に、海外へ搬送する場合、荷物とともに搬送したポストパレットを搬送先から返却しようとしてもコストが高くかかってしまうため、一般的には海外へ送られたポストパレットは返却させることはなく、海外へ送ったきりとし、いわゆるワンウェイパレットとして用いられてきた。
【0007】
しかしながら、このように搬送先からポストパレットの回収を行わないと、使い捨てとなるわけだから、その分だけコストはかかってしまう。また、近年、流通業界においてコスト競争が増しており、このような面からも、荷物の搬送に要するコストの低減が望まれている。
また、図17、18等に示すように、ポストのポスト部103FRaやサイドボード105など分離可能な部品があるが、むしろこのような構造としたために部品を紛失しまうという問題が発生してしまっていた。また、組み立てには、これらの部品をまず探し出す必要があり、作業に時間を要してしまう。
【0008】
【特許文献1】特開平09−216630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、前記4本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた2本において、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、前記パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであり、後面側の2本のポストおよび隅柱においては、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレットを提供する(請求項1)。
【0011】
このように、本発明のポストパレットでは、まず、矩形状のパレット、そしてその4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、ポストパレット前面側の2本のポストおよび隅柱において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストがパレット上へ互いに内側に折り畳み自在になっている。さらに、後面側の2本のポストおよび隅柱においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストがパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在になっている。
【0012】
すなわち、パレットの4隅に直立するポストはそれぞれパレット上に折り畳むことが可能であり、例えば、荷物の搬送先から単にポストパレット自体を返却するときのように、荷物を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、荷物を載せていない場合でも形状が固定されていて、コンテナへの積み込み量を増やすことができない従来品とは異なり、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面から、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【0013】
さらに、ポストパレット前面側のいずれか一方の隅柱は、パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであるので、ポストをパレット上へ折り畳むとともに可倒部をパレットの外へ倒しておけば、隅柱の可倒部が邪魔になることなく、パレット上への荷物の出し入れが非常に容易となり、作業効率が著しく上がる。
なお、分離するポストのポスト部103FRa(図18参照)を有する従来品とは異なり、本発明ではポストはいずれも折り畳み自在なものであり、可倒部を倒すことができるものであるため、例えば荷物をパレット上に載せるときに分離して、その後分離したポストを紛失することは起きないし、荷物を搬送する場合には、折り畳んだ状態のポストや、倒した状態の隅柱を起こして組めばいいだけであるので簡単である。
【0014】
このとき、前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものとすることができる(請求項2)。
【0015】
このように、例えばポストの側面に長穴が形成されており、隅柱の側面からポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結されており、隅柱に挿入することで固定されたポストが、隅柱のコの字部まで引抜かれてパレット上へ回動可能なものとすることにより、ポストと隅柱をより確実に一体化させ、ポストが分離されて紛失することもない。かつ、ポストを隅柱によって直立に固定できる一方で、引抜かれてパレット上へと折り畳み可能なものとなる。
【0016】
前記ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部は、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものとすることができる(請求項3)。
このように、ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部が、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものであれば、可倒部が分離することなくパレットの外側へ倒すことができ、荷物の出し入れの際に邪魔になることもない。
【0017】
なお、前記ポストパレット前面側に備えられて可倒部が設けられた隅柱は、さらに、前記可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであるのが好ましい(請求項4)。
このように、可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであれば、可倒部が意図せず倒れてしまうこともなく、より確実に脚部に係合して固定することが可能である。
【0018】
そして、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる(請求項5)。
【0019】
このように、さらに、荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しているものであれば、荷物をより安定させて搬送することができるので望ましい。そして、上記のような各サイドボード機構であれば、荷物を支持するサイドボードが、ポストパレットの横方向に延びるレールに沿ってスライド可能なレール受けとアームを介して連結されているため、サイドボードもレールに沿ってスライド可能である。さらには、各々のレールにはレール穴が形成され、サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、サイドボードの位置が固定されるものであるので、例えば荷物の横幅に合わせ、サイドボード固定用ピンを抜き挿しして、サイドボードをスライドしてその位置を調整するとともに、固定することが可能であり、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させることができる。
【0020】
このとき、前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであるのが好ましい(請求項6)。
このようなものであれば、アームおよびサイドボードが、サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なので、サイドボード機構を有していても、アームやサイドボードをパレット上に回動することにより畳むことができ、荷物がない時に、一層コンパクト化が可能なものとなる。
【0021】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームの長さが左右で異なるものとすることができる(請求項7)。
このように、アームの長さが左右のサイドボード機構で異なるもの、例えば、左右のうち、荷物の出し入れをする側の方を長くしておけば、サイドボードをパレットから十分に離すことができ、より一層荷物の出し入れ作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0022】
また、前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであるのが望ましい(請求項8)。
このように、パレット、ポスト、隅柱、サイドボード機構が一体化されたものであれば、これらの部品が分離することもなく、部品の紛失を防ぐことができる。一体化されているため、従来のように分離した部品を探す手間も省くことができ、効率良く部品の組み立て作業を行うことができる。
【0023】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであるのが好ましい(請求項9)。
このように、パレットにフォークガイドが設けられたものであれば、荷物を載上したポストパレット、あるいはポストパレット自体をフォークリフトを用いて容易に安定して運ぶことが可能である。
【0024】
また、前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであるのが好ましい(請求項10)。
このように、パレットが荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材が、パレット上へ互いに内側に折り畳まれたポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであれば、前面側の2本を折り畳んだときでも、ポストが邪魔にならずに荷物の出し入れをすることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のポストパレットであれば、コンパクト化することができ、パレットのリターナブル化や搬送全体に要するコストの低減を図ることができる。さらに、組み立てが簡単であるとともに、荷物の搬出入を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ここでは、ポストパレットの前面側であり、かつ右側から荷物の出し入れを行う場合に特に適するポストパレットについて説明を行う。ただし、左側から荷物を出し入れする場合に対応したものとすることもでき、その場合は左右入れ替えたものとすれば良い。
図1に本発明のポストパレット全体の一例の概略を示す。
本発明のポストパレット1は、荷物が載上され、荷物の底面を支持する矩形状のパレット2を備えており、その4隅にはポスト3がそれぞれ直立しており、さらに、そのポスト3を囲んで支持する隅柱4を有している。
また、ポストパレット1の左右には、荷物を左右の側面側から挟むようにして支持するサイドボード機構5、5’が設けられている。なお、図1では、左側のサイドボード機構5(右側は5’)のみ図示している。実際には、この左側のものと対峙して右側に同様の機構が設けられている。
【0027】
なお、このポストパレット1の材料は特に限定されず、荷物を安定して支持することができる強度等を有するものであれば良く、載上する荷物の種類、重量等に応じて適宜決定することができる。材料を木材等とすることもできるが、例えばスチール製のものとすれば、強度も十分で従来からよく用いられている材質であるし、本発明における各構成部品をより簡単に製造することができるので好ましい。ここでは、スチール製のものとして説明をする。
【0028】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
まず、パレット2は、棒状の部材を用い、これらを溶接等して、図1に示すように格子状のものとなっている。
そして、この格子状パレット2の中央付近には、ポストパレット1の前面側と後面側(背面側)を結んで(すなわち前後方向に)、2本の棒状部材が設けられており、その表面には緩衝材7が貼り付けられている。この緩衝材7が貼り付けられた箇所に荷物を載上し、荷物を傷つけることなく支持することができる。この緩衝材としては、例えば、ポリエチレンの発泡体を用いることができる。また、荷物の滑り止めとして、さらにその上にゴムシート等を接着しても良い。緩衝材7や滑り止めの材料は従来と同様のものとすることができる。
【0029】
また、パレット2にはフォークガイド10が設けられており、このフォークガイド10にフォークリフトの爪を挿し通してパレット2を持ち上げて搬送できるようになっている。フォークガイド10の位置や数等は適宜決めることができ、使用するフォークガイド等に応じて設ければ良い。
【0030】
なお、パレット2において、上記緩衝材7を表面に貼り付ける箇所や、構成する棒状の部材の本数等は特に限定されず、載上する荷物の大きさ、形状、重量等に応じて適宜決定することができる。
また、パレット2は荷物を支持することができるものであれば良く、図1のような格子状のものに限定されない。例えば、面状のものを用いることもできる。製造コストや重量、強度、さらには搬送のし易さ等を考慮し、適切なものとすることができる。
このパレット2は、後に詳述するサイドボード機構5のレール25の箇所以外は、例えば従来と同様の構造とすることができる。
【0031】
次に、ポスト3および隅柱4について述べる。
最初に、全てのポスト3および隅柱4に共通する主な特徴について、図2、図3を用いて説明する。図2にポスト3の概略を、図3に隅柱4の概略を示す。
ポスト3は例えば角柱状のものであり、側面に長穴13がポスト3の長さ方向に沿って形成されている。このポスト3は、隅柱4によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット2上に折り畳むことが可能である。ポスト3の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【0032】
そして、4本の隅柱4は上端部にコの字型の形状(コの字部)11を有しており、これにより、直立したポスト3を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部15の方にポスト3を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱4の下方は筒状部12で中空になっており、この中空部にポスト3の下端部を挿入することができ、これによってポスト3を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。また、隅柱4の下方はパレット2と接続されている。それぞれスチール製のものからなる図1のポストパレット1の場合、隅柱4とパレット2は溶接されて固定されている。
なお、隅柱4の下端部はポストパレット1が安定するように台状になっているが、ポストパレット1を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱4には、隅柱4の側面から上記ポスト3の長穴13に嵌入するポスト回動用軸棒14が挿入されている。なお、図2、3では、ポスト3と隅柱4を別個に図示しているため、ポスト3の長穴13と隅柱4のポスト回動用軸棒14が係合していないが、実際には、図4、5に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【0033】
ここで、ポスト3における上下動および回動と、隅柱4の関係についてさらに詳述する。
図4にポスト3の下端部が隅柱4の筒状部12の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図5にポスト3の下端部が隅柱4の筒状部12の中空部からコの字部11まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト3を直立させる場合は、図4に示すように、ポスト3が隅柱4の中空部に挿入され、このとき隅柱4のポスト回動用軸棒14はポスト3の長穴13の上方(あるいは上端)に位置することになる。
一方、ポスト3を折り畳む場合は、図5に示すように、まず、ポスト3は、隅柱4の中空部からコの字部11まで引抜かれ、これによりポスト3の長穴13の下端にまで相対的に移動した隅柱4のポスト回動用軸棒14を軸とし、ポスト3が回動させられる。このような構造により、ポスト3を、パレット2から分離することなく隅柱4のコの字部11の開口部15の方向に回動させることができる。なお、長穴13は、図2のような形状とすることもできるし、図4、5のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト3を回動させるときに、ポスト3が隅柱4の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【0034】
このように、パレット2の4隅に位置するポスト3、隅柱4は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。図6(A)は、ポストパレット1を前面側から見た正面図である。ただし、分かり易いように、前面側のポスト3(左が3FL、右が3FR)、隅柱4(左が4FL、右が4FR)とパレット2のみを示している。
図6(A)に示すように、ポストパレット1の前面側に位置する2本の隅柱4FL、4FRにおいては、各々開口部15が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト3FL、3FRが折り畳まれる場合、開口部15の方向、すなわち、いずれもポストパレット1の内側に向って回動し、パレット2上に折り畳むことができる。
【0035】
また、後面側の2本の隅柱4RL、4RRにおいては、各々開口部15がポストパレット1の前方を向いており、各々のポスト3RL、3RRは、双方とも前方に向って回動し、パレット2上に折り畳むことが可能である。図6(B)は、後面側の右側のポスト3RRの回動の様子を示したものであるが、後面側の左側のポスト3RLも同様にして回動することができる。
なお、図1、6に示すように、後面側の2本のポスト3RL、3RRは2本の補助部材9で連結されており、この2本の補助部材9を連結するようにして、荷物の背面側を支持するための板状の背もたれ6が、表面に緩衝材7を有した状態で2本設けられている。背もたれ6は、ポスト3を直立させて固定させた場合、例えば鉛直方向から(ポスト3RL、3RRから)5°傾くようにして設けられている。このような傾きであれば、ガラス基板等の荷物を背もたれ6に傾けて支持させることが可能である。当然、これら補助部材9や背もたれ6の本数や形状、背もたれ6の傾き具合等は特に限定されない。
そして、これらの背もたれ6等ごと、後面側の2本のポスト3RL、3RRを一緒に前方に折り畳むことができるようになっている。
【0036】
なお、ポスト3が回動する軸となる隅柱4のポスト回動用軸棒14の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図6(A)に示すように前面側の右方の隅柱4FRにおけるポスト回動用軸棒14の高さ位置よりも、左方の隅柱4FLにおけるポスト回動用軸棒14の高さ位置が高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト3FL、3FRが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
また、後面側においても、ポスト3の長穴13は、くの字に曲がって形成されており、ポスト3を前方に折り畳むとき、また、逆に組み立てるときに、ポスト3が隅柱4の内面と干渉するのを防ぐことができる。
【0037】
そして、本発明のポストパレット1では、前面側の右方の隅柱4FR(この場合、荷物の出し入れする側に相当する)は、図7のように、可倒部16と脚部17から成っており、これらは蝶番18により連結されている。図7の隅柱4FRの構造の説明図(ポストパレット1の前面側から見た場合)に示すように、隅柱4FRの下方には脚部17があり、パレット2と接続(溶接)されており、固定されている。そして、隅柱4FRの上方には可倒部16があり、上記脚部17と係合するようにして、蝶番18を介して連結されている。ポスト3FRは、上述したように内側に回動し、パレット2上に折り畳まれるようになっているが、これとは逆に、可倒部16はパレット外側に向って倒れることが可能な構造となっている。
【0038】
このように、ポスト3を内側に折り畳めるとともに、隅柱4の可倒部16を外側に倒すことができるので、荷物を隅柱4FRの付近で出し入れする場合に、ポスト3FRおよび隅柱4FR(可倒部16)が邪魔にならずに作業を行うことが可能になる。
また、このような構造とすることで、作業性の確保のために、必要以上に広い幅を有するポストパレットとなるのを防ぐことができる。すなわち、ポストパレットのサイズを可能な限り小さくすることができ、同じ大きさの荷物を積載する場合であっても、よりコンパクトなポストパレットを用いることができるので、コンテナ等への平積み台数を一層増加させることができる。
【0039】
ところで、図6(A)のように、前面側のポスト3FL、3FRを回動させて折り畳んだ時、パレット2に設けられた緩衝材7が、これらのポスト3FL、3FRよりも高く位置している場合、双方のポストが邪魔になることなく、緩衝材7の上に荷物を出し入れすることができるので好ましい。図6(C)に、緩衝材7がポスト3FL、3FRよりも高い位置に設けられた場合の、双方のポストと緩衝材の位置関係の一例を示す。
【0040】
なお、荷物を載上してポストパレット1ごと搬送を行うときなどポスト3FRを直立させて固定する場合は、逆に、隅柱4FRにおいて可倒部16が倒れることなくポスト3FRを支持できるように、可倒部16と脚部17が係合した状態で固定されるよう、隅柱4にロック機構19を設けておくのが好ましい。図8にロック機構19によって、係合した可倒部16と脚部17がロックされている状態を示す。図8はポストパレット1の前面側から見た場合を示している。
【0041】
このロック機構19は、係合させた可倒部16と脚部17を固定できるものであれば良く、特に限定されない。例えば、可倒部16と脚部17のそれぞれの側面に、可倒部16と脚部17を係合させたときに内側の空洞の位置が一致するような一対の筒形状のロック用部材20を設け、この筒形状の部材20の内部の空洞に上方からピン21を挿入することでロックされる構造のものとすることができる。このような構造のものであれば、簡単にロックすることができるし、また、ロックを解除するときもピン21をはずせば良いだけなので簡便である。なお、例えばピン21の頭部のみ、空洞の径よりも大きくしておけば、ピン21の頭部が筒形状の部材20の上端部にひっかかり、抜け落ちることはなく確実にロックをかけることができる。
【0042】
また、これとは別に、後面側のポスト3RL、3RRにおいてもロック機構を設けることができる。
図9にそのロック機構の一例を示す。ポストパレット1の前面側から見た図であり、左方のポスト3RLを例に挙げている。隅柱4RLの側面に、ピン22を水平方向にスライドさせて挿入することができるよう差込口23が形成されており、ポスト3RLが直立して隅柱4RLに固定する場合、この差込口23にピン22を挿入してポスト3RLの対応箇所に設けられた穴にピン22が入ることでロックできるようになっている。
【0043】
次に、サイドボード機構5、5’について述べる。
左右の各サイドボード機構5、5’(左が5、右が5’)は、図1、およびサイドボード機構の概略を示す図11の平面図にあるように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード24、パレット2に形成され、ポストパレット1の横方向(左右方向)に延びるレール25、レール25を囲い、レール25に沿ってスライド可能に配置されているレール受け26、そして、このレール受け26と上記サイドボード24とを連結するアーム27により構成されている。
【0044】
サイドボード24には荷物側の表面には緩衝材7が貼り付けられており、荷物を傷つけることなく横から支えることができるようになっている。ここで、図10にサイドボード24を裏面側から見た場合のサイドボードおよびレールの関係を示す。サイドボード24の裏面側の下面中央には、ばね仕掛けで出し入れ可能なピン(サイドボード固定用ピン28)が設けられている。
また、レール25には、少なくともサイドボード固定用ピン28を挿入することができる大きさを有するレール穴29が形成されている。このレール穴29の数は特に限定されず、レール25に沿って、複数設けることができる。
【0045】
また、図12に、図11のA矢印から見た場合のレール25、レール受け26およびアーム27の断面図を示す。レール受け26は、レール25を囲うように筒形状に形成されており、レール25に沿ってスライドすることができる。このレール受け26の筒形状部から両側に延びた鉤型の端部26’は、サイドボード回動用軸棒30を介してアーム27と連結されている。
また、アーム27の他方は、サイドボード24と連結されており(溶接されている)、サイドボードはアーム27と一体となっている。
【0046】
以上のような構成によって、レール受け26をレール25に沿ってスライドさせた場合、レール受けと連結したアーム27、さらにはこのアーム27と連結したサイドボード24を、同様にしてレール25に沿ってスライドさせることが可能である。
そして、サイドボード24に設けられたサイドボード固定用ピン28を適切なレール穴29に挿入することによって、サイドボード24を所望の位置に固定させることが可能である。この固定位置はパレット2に載上させる荷物の横幅等に応じて適宜決定することができる。固定位置を変更するときは、サイドボード固定用ピン28をレール穴29から一旦抜き出し、スライドして位置調整を行った後、別のレール穴29に挿入することで簡単に行うことができる。
【0047】
また、レール受け26とアーム27は、図12に示すように、サイドボード回動用ピン30で連結されていることから、このサイドボード回動用ピン30を軸として、アーム27をポストパレット1の内側に向かって回動させることが可能である。このとき、上述したように、サイドボード24はアーム27と連結されているので、アーム27と一体となって回動することになる。このように、アーム27およびサイドボード24を内側に回動させることにより、パレット2上にサイドボード機構5、5’を折り畳むことができ、未使用時に一層コンパクトにすることができる。図13に右側のサイドボード機構5’を折り畳んだ場合の様子を示す。図13はポストパレット1の前面側から見た場合を示している。
【0048】
そして、サイドボード24と連結されているアーム27が、レール受け26とサイドボード回動用軸棒30にて連結されている構造をとっているため、サイドボード回動用軸棒30とサイドボード24とはアーム27によって離れた位置にて連結されており、サイドボード24が作業時に簡単に内側へ倒れることを防ぐことができる。
【0049】
なお、左右のサイドボード機構5、5’において、アーム27の長さは左右で異なったものとすることができる。このような構造にすれば、すなわち、例えば右のサイドボード機構5’のアーム27をより長くすれば、サイドボード24をパレット2から右方向により一層離れた位置(パレットの外側)に配置することができ、サイドボード24が邪魔になることなく、荷物の出し入れをより簡単かつ安全に行うことが可能になり、効率的に作業を進めることができる。
また、左右のサイドボード機構5、5’が左右連動して、例えば、上記のレール25に沿ってサイドボード24をスライドさせることが可能なものとしても良い。
これらの左右のサイドボード機構5、5’における形状差や連動性は、作業の効率性や製造に要するコスト、積載する荷物の種類等を考慮して、適宜決定することができる。
【0050】
そして、以上詳述してきたパレット2、ポスト3、隅柱4、サイドボード機構5、5’は一体化されたものであるのが望ましい。特に、従来品では、ポスト3やサイドボード機構のサイドボード24等は、分離可能なものであり、それ故分離した際に紛失してしまうことがあったが、本発明ではこれらが一体化されたものであるため、そもそも部品が分離することはなく、したがって、部品の紛失が発生するのを効果的に防止することができる。
【0051】
以下、このような本発明のポストパレット1に荷物を載上する手順について述べる。ポストパレット1に載上する荷物は特に限定されないが、例えば複数枚のガラス基板をスタックしてブロックとした荷物を載上する場合を例に挙げて述べる。
まず、荷物であるガラス基板は、基板同士を、間にガラス基板よりも一回り大きいポリエチレンシートを挟んだ状態で重ね合わせてスタックし、この重ね合わせたガラス基板全体をさらにビニールシートで包み込む。その後、PPバンドで縛ることにより、ブロック状にまとめておく。
【0052】
一方、ポストパレット1においては、まず、前面側の右側のポスト3FRを内側に折り畳み、さらに隅柱4FRの可倒部16をパレット2の外側に倒しておく。他のポスト3は直立状態に固定させておけば良い。また、右側のサイドボード機構5’においては、レール受け26をレール25の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、サイドボード24をパレット2から離しておく。
【0053】
このようにして、荷物の出し入れを行いやすいように準備をした後、実際に荷物をパレット2上に載せる。例えば人の手やフォークリフト等を用いて載上すれば良い。そして、荷物は、背面側を背もたれ6に立てかけ、左右の側面側はサイドボード機構5、5’を用いて左右から挟んで支持する。このとき、サイドボード固定用ピン28をレール穴29に挿入することでサイドボード24の位置を適切な位置で固定する。
また、最初に倒しておいた前面側の右側の隅柱4FRの可倒部16を起こし、脚部17と係合して連結させた後、ロック機構19により連結部を固定する。また、ポスト3FRを起こし、下端部を隅柱4FRに挿入することで固定し、直立させる。
そして、載上した荷物をPPバンド等を用いてポストパレット1ごと縛り付け、さらに安定化させた後、フォークガイド10にフォークリフトの爪を挿し込み、フォークリフトを用いてポストパレット1ごと荷物を搬送する。
【0054】
また、一方、搬送先から返却をする場合など、荷物を載上しないときは折り畳んでコンパクト化しておく。例えば、まず、サイドボード24とアーム27を内側に回動させることにより、サイドボード機構5、5’をパレット2上に折り畳む。そして、前面側のポスト3FL、3FRを隅柱4FL、4FRのコの字部11まで引き抜き交互に内側に折り畳み、背面側のポスト3も同様にして前方に向かって回動させて、サイドボード機構5、5’の上に覆い被さるようにして折り畳むことができる。
このような状態であれば、ポストパレット1の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができ、特に海外に荷物を搬送する場合において、コスト面から、ワンウェイパレットとしてではなく、搬送先から返却させるリターナブルパレットとして使用することが可能になる(図14参照)。
【実施例】
【0055】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例)
図1に示すようなスチール製の本発明のポストパレットに関し、搬送先から返却する際に、コンテナに積載可能な台数について検討を行った。
なお、返却の時に、ポストパレットを積載するコンテナは長さ40フィートでハイキューブ規格のもの(12000mm(長さ)×2340mm(幅)×2585mm(高さ))とした。
【0056】
ポストパレットとしては、50インチ(116cm)ガラス基板の搬送用のものを用意した。このポストパレットでは、荷物の積載時、すなわちポスト、隅柱、サイドボード機構等の各部を全て起こして組み立てたときの寸法は、750mm(奥行き)×1310mm(幅)×950mm(高さ)である。
【0057】
一方、ポスト、サイドボード機構等をポストパレット内側に回動させ、パレット上に折り畳んでコンパクト化した場合、その寸法は、750mm(奥行き)×1310mm(幅)×415mm(高さ)とすることができた。つまり、荷物積載時に比べ、折り畳み時には、ポストパレットの高さを44%(415mm/950mm)程度に低減することができることが分かる。
【0058】
これより、容積の点からは、コンテナ1台あたり、荷物の積載時は、図15のポストパレット積み込み時の平面図に示すように1段あたり27台で、総数は54台(3台×9列×2段)であるが、返却で折り畳み時には162台(3台×9列×6段)のポストパレットをコンテナに積載することが可能である(積み込んだときの1段あたりの台数は上記と同様だが、積載可能な段数が異なる)。なお、ポストパレット1同士を積み上げた状態の一例を図14に示す。下段のポストパレットの隅柱の上端部を、上段のポストパレットの隅柱の下端の脚部に挿し込んで嵌めることで安定して積重ねられる。
このように、荷物を積載して搬送する時よりも、返却する時に積載するコンテナ1台あたりのポストパレットの台数を著しく向上することができ(この場合3倍)、効率良く搬送先からポストパレットを返却することが可能である。
【0059】
(比較例)
従来のポストパレットを搬送先から返却する場合に、実施例と同様のコンテナに積載可能な台数について検討を行った。
この従来のポストパレットの寸法は、750mm(奥行き)×1350mm(幅)×1000mm(高さ)である。荷物の出し入れのためのスペースを確保するため、本発明より若干サイズが大きいものとなっている。従来品では、図18に示すようにポストを1本分離することができるが、他のポストを折り畳んだりすることはできないため、荷物を積載するとき、また返却時のように荷物を積載していないときであっても、全体としてのサイズを変えることはできない。
【0060】
したがって、従来品では、返却時においても、図16の平面図に示すように1段あたり25台で、せいぜい50台(25台×2段)となる。
また、ポストパレットの寸法を、実施例の荷物積載時のように750mm(奥行き)×1310mm(幅)×950mm(高さ)のものとしても、返却時にそのサイズを小さくすることはできないので54台(3台×9列×2段)しか、容積的にコンテナに一度に積むことができない。
【0061】
このように、従来品では、比較例に示すように、ポストは大部分がパレットに溶接されていて折り畳むことができず、たとえ搬送先から返却しようとしても、荷物の積載時のサイズに対してサイズを小さくすることができない。したがって、返却の効率が悪く、コスト面からリターナブルパレットとして用いることはできず、ワンウェイパレットとせざるを得ない。
【0062】
しかしながら、本発明のポストパレットの場合、実施例に示したように、返却時にポストパレットを折り畳んでコンパクト化することができるため、容積の点からすると、コンテナ1台あたりの積載可能台数を多くすることができる。これによって返却時のコストを低減することができ、リターナブルパレットとして用いても十分に利益を上げることが可能になる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のポストパレットの全体の一例を示す概略図である。
【図2】ポストの一例を示す概略図である。
【図3】隅柱の一例を示す概略図である。
【図4】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図5】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図6】(A)前面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。(B)後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。(C)折り畳まれた前面側のポストと緩衝材との位置関係の一例を示す説明図である。
【図7】前面側の右側の隅柱において、可倒部が倒れた状態を説明する説明図である。
【図8】前面側の右側の隅柱において、可倒部が脚部と係合してロックされている状態を説明する説明図である。
【図9】後面側の左側のポストおよび隅柱におけるロック機構の一例を示す説明図である。
【図10】サイドボードとレールの関係を示す説明図である。
【図11】サイドボード機構の一例を示す概略図である。
【図12】レール、レール受け、アームの関係を示す説明図である。
【図13】サイドボード機構のアームおよびサイドボードが回動している状態を説明する説明図である。
【図14】本発明のポストパレットが折り畳まれて積み上げられた状態を示す説明図である。
【図15】本発明のポストパレットが荷物積載時にコンテナ内に積まれた時の1段あたりの台数を示す説明図である。
【図16】従来のポストパレットが荷物積載時にコンテナ内に積まれた時の1段あたりの台数を示す説明図である。
【図17】従来のポストパレットの一例を示す概略図である。
【図18】従来のポストパレットのポストの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1…本発明のポストパレット、 2…パレット、 3…ポスト、
4…隅柱、 5、5’…サイドボード機構、 6…背もたれ、
7…緩衝材、 9…補助部材、 10…フォークガイド、
11…コの字部、 12…筒状部、 13…長穴、
14…ポスト回動用軸棒、 15…開口部、 16…可倒部、
17…脚部、 18…蝶番、 19…ロック機構、 20…ロック用部材、
21、22…ピン、 23…差込口、 24…サイドボード、
25…レール、 26…レール受け、 27…アーム、
28…サイドボード固定用ピン、 29…レール穴、
30…サイドボード回動用軸棒。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの4隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、パレット上への荷物の出し入れが簡単であり、かつ、未使用時のコンパクト化が可能なポストパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えばガラス基板等の荷物の搬送にあたっては、パレットの4隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献1に開示されたものが挙げられる。
【0003】
図17に、従来のポストパレットの一例の概略を示す。
このスチール製のポストパレット101は、全体として、搬送する荷物を載上するための矩形状のパレット102の4隅に、それぞれ4本のポスト103が直立した構造となっている。
この4本のポストのうち、ポストパレット101の前面側の一方(ここでは、右手のポスト103FR)以外の3本は隣り合うポストと補助部材109で連結されている。
また、ポストパレット101の左右の側面側には、サイドボード105が備えられている。各ポスト103の側面には、2枚で1組のボード差し込み用の板状部材105’が設けられており、サイドボード105はこの2枚の板状部材105’の間に差し込まれてポスト間に固定される。
【0004】
また、ポストパレット101の後面側(背面側)には、補助部材109とパレット102を連結し、荷物の背面側を支持するための背もたれ106を有しており、背もたれ106の表面には緩衝材(ポリエチレンの発泡体)が設けられている。
さらに、パレット102には、荷物が載上される箇所には、荷物が滑るのを防止するために、パレット102の表面に緩衝材を設け、その上に、滑り止めのためのゴムシートが設けられている。
【0005】
そして、上記のポスト103FRは、図18の説明図に示すように、2つ(ポスト部103FRa、脚部103FRb)に分離可能なものであり、ポスト部103FRaを筒状の脚部103FRbの内側に抜き差しすることで着脱可能になっている。パレット102上に荷物を出し入れする時には、このポスト部103FRaを引き抜くことで外して作業を行い、ポスト部103FRaが邪魔になるのを防ぐことができるようになっている。
一方、残りの3本のポスト103は、パレット102や補助部材109と溶接されており、取り外すことはできずに互いに固定されている。
また、荷物はビニール等で包装され、PPバンド等で縛られた後、ポストパレット101上に載上され、ポストパレット101ごとPPバンドでさらに縛られて固定される。
【0006】
従来では、このようなポストパレット101を用いて荷物を国内や海外へと搬送していた。そして、特に、海外へ搬送する場合、荷物とともに搬送したポストパレットを搬送先から返却しようとしてもコストが高くかかってしまうため、一般的には海外へ送られたポストパレットは返却させることはなく、海外へ送ったきりとし、いわゆるワンウェイパレットとして用いられてきた。
【0007】
しかしながら、このように搬送先からポストパレットの回収を行わないと、使い捨てとなるわけだから、その分だけコストはかかってしまう。また、近年、流通業界においてコスト競争が増しており、このような面からも、荷物の搬送に要するコストの低減が望まれている。
また、図17、18等に示すように、ポストのポスト部103FRaやサイドボード105など分離可能な部品があるが、むしろこのような構造としたために部品を紛失しまうという問題が発生してしまっていた。また、組み立てには、これらの部品をまず探し出す必要があり、作業に時間を要してしまう。
【0008】
【特許文献1】特開平09−216630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、前記4本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた2本において、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、前記パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであり、後面側の2本のポストおよび隅柱においては、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレットを提供する(請求項1)。
【0011】
このように、本発明のポストパレットでは、まず、矩形状のパレット、そしてその4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、ポストパレット前面側の2本のポストおよび隅柱において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストがパレット上へ互いに内側に折り畳み自在になっている。さらに、後面側の2本のポストおよび隅柱においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストがパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在になっている。
【0012】
すなわち、パレットの4隅に直立するポストはそれぞれパレット上に折り畳むことが可能であり、例えば、荷物の搬送先から単にポストパレット自体を返却するときのように、荷物を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、荷物を載せていない場合でも形状が固定されていて、コンテナへの積み込み量を増やすことができない従来品とは異なり、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面から、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【0013】
さらに、ポストパレット前面側のいずれか一方の隅柱は、パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであるので、ポストをパレット上へ折り畳むとともに可倒部をパレットの外へ倒しておけば、隅柱の可倒部が邪魔になることなく、パレット上への荷物の出し入れが非常に容易となり、作業効率が著しく上がる。
なお、分離するポストのポスト部103FRa(図18参照)を有する従来品とは異なり、本発明ではポストはいずれも折り畳み自在なものであり、可倒部を倒すことができるものであるため、例えば荷物をパレット上に載せるときに分離して、その後分離したポストを紛失することは起きないし、荷物を搬送する場合には、折り畳んだ状態のポストや、倒した状態の隅柱を起こして組めばいいだけであるので簡単である。
【0014】
このとき、前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものとすることができる(請求項2)。
【0015】
このように、例えばポストの側面に長穴が形成されており、隅柱の側面からポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結されており、隅柱に挿入することで固定されたポストが、隅柱のコの字部まで引抜かれてパレット上へ回動可能なものとすることにより、ポストと隅柱をより確実に一体化させ、ポストが分離されて紛失することもない。かつ、ポストを隅柱によって直立に固定できる一方で、引抜かれてパレット上へと折り畳み可能なものとなる。
【0016】
前記ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部は、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものとすることができる(請求項3)。
このように、ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部が、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものであれば、可倒部が分離することなくパレットの外側へ倒すことができ、荷物の出し入れの際に邪魔になることもない。
【0017】
なお、前記ポストパレット前面側に備えられて可倒部が設けられた隅柱は、さらに、前記可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであるのが好ましい(請求項4)。
このように、可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであれば、可倒部が意図せず倒れてしまうこともなく、より確実に脚部に係合して固定することが可能である。
【0018】
そして、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる(請求項5)。
【0019】
このように、さらに、荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しているものであれば、荷物をより安定させて搬送することができるので望ましい。そして、上記のような各サイドボード機構であれば、荷物を支持するサイドボードが、ポストパレットの横方向に延びるレールに沿ってスライド可能なレール受けとアームを介して連結されているため、サイドボードもレールに沿ってスライド可能である。さらには、各々のレールにはレール穴が形成され、サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、サイドボードの位置が固定されるものであるので、例えば荷物の横幅に合わせ、サイドボード固定用ピンを抜き挿しして、サイドボードをスライドしてその位置を調整するとともに、固定することが可能であり、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させることができる。
【0020】
このとき、前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであるのが好ましい(請求項6)。
このようなものであれば、アームおよびサイドボードが、サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なので、サイドボード機構を有していても、アームやサイドボードをパレット上に回動することにより畳むことができ、荷物がない時に、一層コンパクト化が可能なものとなる。
【0021】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームの長さが左右で異なるものとすることができる(請求項7)。
このように、アームの長さが左右のサイドボード機構で異なるもの、例えば、左右のうち、荷物の出し入れをする側の方を長くしておけば、サイドボードをパレットから十分に離すことができ、より一層荷物の出し入れ作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0022】
また、前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであるのが望ましい(請求項8)。
このように、パレット、ポスト、隅柱、サイドボード機構が一体化されたものであれば、これらの部品が分離することもなく、部品の紛失を防ぐことができる。一体化されているため、従来のように分離した部品を探す手間も省くことができ、効率良く部品の組み立て作業を行うことができる。
【0023】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであるのが好ましい(請求項9)。
このように、パレットにフォークガイドが設けられたものであれば、荷物を載上したポストパレット、あるいはポストパレット自体をフォークリフトを用いて容易に安定して運ぶことが可能である。
【0024】
また、前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであるのが好ましい(請求項10)。
このように、パレットが荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材が、パレット上へ互いに内側に折り畳まれたポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであれば、前面側の2本を折り畳んだときでも、ポストが邪魔にならずに荷物の出し入れをすることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のポストパレットであれば、コンパクト化することができ、パレットのリターナブル化や搬送全体に要するコストの低減を図ることができる。さらに、組み立てが簡単であるとともに、荷物の搬出入を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、ここでは、ポストパレットの前面側であり、かつ右側から荷物の出し入れを行う場合に特に適するポストパレットについて説明を行う。ただし、左側から荷物を出し入れする場合に対応したものとすることもでき、その場合は左右入れ替えたものとすれば良い。
図1に本発明のポストパレット全体の一例の概略を示す。
本発明のポストパレット1は、荷物が載上され、荷物の底面を支持する矩形状のパレット2を備えており、その4隅にはポスト3がそれぞれ直立しており、さらに、そのポスト3を囲んで支持する隅柱4を有している。
また、ポストパレット1の左右には、荷物を左右の側面側から挟むようにして支持するサイドボード機構5、5’が設けられている。なお、図1では、左側のサイドボード機構5(右側は5’)のみ図示している。実際には、この左側のものと対峙して右側に同様の機構が設けられている。
【0027】
なお、このポストパレット1の材料は特に限定されず、荷物を安定して支持することができる強度等を有するものであれば良く、載上する荷物の種類、重量等に応じて適宜決定することができる。材料を木材等とすることもできるが、例えばスチール製のものとすれば、強度も十分で従来からよく用いられている材質であるし、本発明における各構成部品をより簡単に製造することができるので好ましい。ここでは、スチール製のものとして説明をする。
【0028】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
まず、パレット2は、棒状の部材を用い、これらを溶接等して、図1に示すように格子状のものとなっている。
そして、この格子状パレット2の中央付近には、ポストパレット1の前面側と後面側(背面側)を結んで(すなわち前後方向に)、2本の棒状部材が設けられており、その表面には緩衝材7が貼り付けられている。この緩衝材7が貼り付けられた箇所に荷物を載上し、荷物を傷つけることなく支持することができる。この緩衝材としては、例えば、ポリエチレンの発泡体を用いることができる。また、荷物の滑り止めとして、さらにその上にゴムシート等を接着しても良い。緩衝材7や滑り止めの材料は従来と同様のものとすることができる。
【0029】
また、パレット2にはフォークガイド10が設けられており、このフォークガイド10にフォークリフトの爪を挿し通してパレット2を持ち上げて搬送できるようになっている。フォークガイド10の位置や数等は適宜決めることができ、使用するフォークガイド等に応じて設ければ良い。
【0030】
なお、パレット2において、上記緩衝材7を表面に貼り付ける箇所や、構成する棒状の部材の本数等は特に限定されず、載上する荷物の大きさ、形状、重量等に応じて適宜決定することができる。
また、パレット2は荷物を支持することができるものであれば良く、図1のような格子状のものに限定されない。例えば、面状のものを用いることもできる。製造コストや重量、強度、さらには搬送のし易さ等を考慮し、適切なものとすることができる。
このパレット2は、後に詳述するサイドボード機構5のレール25の箇所以外は、例えば従来と同様の構造とすることができる。
【0031】
次に、ポスト3および隅柱4について述べる。
最初に、全てのポスト3および隅柱4に共通する主な特徴について、図2、図3を用いて説明する。図2にポスト3の概略を、図3に隅柱4の概略を示す。
ポスト3は例えば角柱状のものであり、側面に長穴13がポスト3の長さ方向に沿って形成されている。このポスト3は、隅柱4によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット2上に折り畳むことが可能である。ポスト3の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【0032】
そして、4本の隅柱4は上端部にコの字型の形状(コの字部)11を有しており、これにより、直立したポスト3を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部15の方にポスト3を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱4の下方は筒状部12で中空になっており、この中空部にポスト3の下端部を挿入することができ、これによってポスト3を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。また、隅柱4の下方はパレット2と接続されている。それぞれスチール製のものからなる図1のポストパレット1の場合、隅柱4とパレット2は溶接されて固定されている。
なお、隅柱4の下端部はポストパレット1が安定するように台状になっているが、ポストパレット1を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱4には、隅柱4の側面から上記ポスト3の長穴13に嵌入するポスト回動用軸棒14が挿入されている。なお、図2、3では、ポスト3と隅柱4を別個に図示しているため、ポスト3の長穴13と隅柱4のポスト回動用軸棒14が係合していないが、実際には、図4、5に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【0033】
ここで、ポスト3における上下動および回動と、隅柱4の関係についてさらに詳述する。
図4にポスト3の下端部が隅柱4の筒状部12の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図5にポスト3の下端部が隅柱4の筒状部12の中空部からコの字部11まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト3を直立させる場合は、図4に示すように、ポスト3が隅柱4の中空部に挿入され、このとき隅柱4のポスト回動用軸棒14はポスト3の長穴13の上方(あるいは上端)に位置することになる。
一方、ポスト3を折り畳む場合は、図5に示すように、まず、ポスト3は、隅柱4の中空部からコの字部11まで引抜かれ、これによりポスト3の長穴13の下端にまで相対的に移動した隅柱4のポスト回動用軸棒14を軸とし、ポスト3が回動させられる。このような構造により、ポスト3を、パレット2から分離することなく隅柱4のコの字部11の開口部15の方向に回動させることができる。なお、長穴13は、図2のような形状とすることもできるし、図4、5のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト3を回動させるときに、ポスト3が隅柱4の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【0034】
このように、パレット2の4隅に位置するポスト3、隅柱4は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。図6(A)は、ポストパレット1を前面側から見た正面図である。ただし、分かり易いように、前面側のポスト3(左が3FL、右が3FR)、隅柱4(左が4FL、右が4FR)とパレット2のみを示している。
図6(A)に示すように、ポストパレット1の前面側に位置する2本の隅柱4FL、4FRにおいては、各々開口部15が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト3FL、3FRが折り畳まれる場合、開口部15の方向、すなわち、いずれもポストパレット1の内側に向って回動し、パレット2上に折り畳むことができる。
【0035】
また、後面側の2本の隅柱4RL、4RRにおいては、各々開口部15がポストパレット1の前方を向いており、各々のポスト3RL、3RRは、双方とも前方に向って回動し、パレット2上に折り畳むことが可能である。図6(B)は、後面側の右側のポスト3RRの回動の様子を示したものであるが、後面側の左側のポスト3RLも同様にして回動することができる。
なお、図1、6に示すように、後面側の2本のポスト3RL、3RRは2本の補助部材9で連結されており、この2本の補助部材9を連結するようにして、荷物の背面側を支持するための板状の背もたれ6が、表面に緩衝材7を有した状態で2本設けられている。背もたれ6は、ポスト3を直立させて固定させた場合、例えば鉛直方向から(ポスト3RL、3RRから)5°傾くようにして設けられている。このような傾きであれば、ガラス基板等の荷物を背もたれ6に傾けて支持させることが可能である。当然、これら補助部材9や背もたれ6の本数や形状、背もたれ6の傾き具合等は特に限定されない。
そして、これらの背もたれ6等ごと、後面側の2本のポスト3RL、3RRを一緒に前方に折り畳むことができるようになっている。
【0036】
なお、ポスト3が回動する軸となる隅柱4のポスト回動用軸棒14の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図6(A)に示すように前面側の右方の隅柱4FRにおけるポスト回動用軸棒14の高さ位置よりも、左方の隅柱4FLにおけるポスト回動用軸棒14の高さ位置が高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト3FL、3FRが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
また、後面側においても、ポスト3の長穴13は、くの字に曲がって形成されており、ポスト3を前方に折り畳むとき、また、逆に組み立てるときに、ポスト3が隅柱4の内面と干渉するのを防ぐことができる。
【0037】
そして、本発明のポストパレット1では、前面側の右方の隅柱4FR(この場合、荷物の出し入れする側に相当する)は、図7のように、可倒部16と脚部17から成っており、これらは蝶番18により連結されている。図7の隅柱4FRの構造の説明図(ポストパレット1の前面側から見た場合)に示すように、隅柱4FRの下方には脚部17があり、パレット2と接続(溶接)されており、固定されている。そして、隅柱4FRの上方には可倒部16があり、上記脚部17と係合するようにして、蝶番18を介して連結されている。ポスト3FRは、上述したように内側に回動し、パレット2上に折り畳まれるようになっているが、これとは逆に、可倒部16はパレット外側に向って倒れることが可能な構造となっている。
【0038】
このように、ポスト3を内側に折り畳めるとともに、隅柱4の可倒部16を外側に倒すことができるので、荷物を隅柱4FRの付近で出し入れする場合に、ポスト3FRおよび隅柱4FR(可倒部16)が邪魔にならずに作業を行うことが可能になる。
また、このような構造とすることで、作業性の確保のために、必要以上に広い幅を有するポストパレットとなるのを防ぐことができる。すなわち、ポストパレットのサイズを可能な限り小さくすることができ、同じ大きさの荷物を積載する場合であっても、よりコンパクトなポストパレットを用いることができるので、コンテナ等への平積み台数を一層増加させることができる。
【0039】
ところで、図6(A)のように、前面側のポスト3FL、3FRを回動させて折り畳んだ時、パレット2に設けられた緩衝材7が、これらのポスト3FL、3FRよりも高く位置している場合、双方のポストが邪魔になることなく、緩衝材7の上に荷物を出し入れすることができるので好ましい。図6(C)に、緩衝材7がポスト3FL、3FRよりも高い位置に設けられた場合の、双方のポストと緩衝材の位置関係の一例を示す。
【0040】
なお、荷物を載上してポストパレット1ごと搬送を行うときなどポスト3FRを直立させて固定する場合は、逆に、隅柱4FRにおいて可倒部16が倒れることなくポスト3FRを支持できるように、可倒部16と脚部17が係合した状態で固定されるよう、隅柱4にロック機構19を設けておくのが好ましい。図8にロック機構19によって、係合した可倒部16と脚部17がロックされている状態を示す。図8はポストパレット1の前面側から見た場合を示している。
【0041】
このロック機構19は、係合させた可倒部16と脚部17を固定できるものであれば良く、特に限定されない。例えば、可倒部16と脚部17のそれぞれの側面に、可倒部16と脚部17を係合させたときに内側の空洞の位置が一致するような一対の筒形状のロック用部材20を設け、この筒形状の部材20の内部の空洞に上方からピン21を挿入することでロックされる構造のものとすることができる。このような構造のものであれば、簡単にロックすることができるし、また、ロックを解除するときもピン21をはずせば良いだけなので簡便である。なお、例えばピン21の頭部のみ、空洞の径よりも大きくしておけば、ピン21の頭部が筒形状の部材20の上端部にひっかかり、抜け落ちることはなく確実にロックをかけることができる。
【0042】
また、これとは別に、後面側のポスト3RL、3RRにおいてもロック機構を設けることができる。
図9にそのロック機構の一例を示す。ポストパレット1の前面側から見た図であり、左方のポスト3RLを例に挙げている。隅柱4RLの側面に、ピン22を水平方向にスライドさせて挿入することができるよう差込口23が形成されており、ポスト3RLが直立して隅柱4RLに固定する場合、この差込口23にピン22を挿入してポスト3RLの対応箇所に設けられた穴にピン22が入ることでロックできるようになっている。
【0043】
次に、サイドボード機構5、5’について述べる。
左右の各サイドボード機構5、5’(左が5、右が5’)は、図1、およびサイドボード機構の概略を示す図11の平面図にあるように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード24、パレット2に形成され、ポストパレット1の横方向(左右方向)に延びるレール25、レール25を囲い、レール25に沿ってスライド可能に配置されているレール受け26、そして、このレール受け26と上記サイドボード24とを連結するアーム27により構成されている。
【0044】
サイドボード24には荷物側の表面には緩衝材7が貼り付けられており、荷物を傷つけることなく横から支えることができるようになっている。ここで、図10にサイドボード24を裏面側から見た場合のサイドボードおよびレールの関係を示す。サイドボード24の裏面側の下面中央には、ばね仕掛けで出し入れ可能なピン(サイドボード固定用ピン28)が設けられている。
また、レール25には、少なくともサイドボード固定用ピン28を挿入することができる大きさを有するレール穴29が形成されている。このレール穴29の数は特に限定されず、レール25に沿って、複数設けることができる。
【0045】
また、図12に、図11のA矢印から見た場合のレール25、レール受け26およびアーム27の断面図を示す。レール受け26は、レール25を囲うように筒形状に形成されており、レール25に沿ってスライドすることができる。このレール受け26の筒形状部から両側に延びた鉤型の端部26’は、サイドボード回動用軸棒30を介してアーム27と連結されている。
また、アーム27の他方は、サイドボード24と連結されており(溶接されている)、サイドボードはアーム27と一体となっている。
【0046】
以上のような構成によって、レール受け26をレール25に沿ってスライドさせた場合、レール受けと連結したアーム27、さらにはこのアーム27と連結したサイドボード24を、同様にしてレール25に沿ってスライドさせることが可能である。
そして、サイドボード24に設けられたサイドボード固定用ピン28を適切なレール穴29に挿入することによって、サイドボード24を所望の位置に固定させることが可能である。この固定位置はパレット2に載上させる荷物の横幅等に応じて適宜決定することができる。固定位置を変更するときは、サイドボード固定用ピン28をレール穴29から一旦抜き出し、スライドして位置調整を行った後、別のレール穴29に挿入することで簡単に行うことができる。
【0047】
また、レール受け26とアーム27は、図12に示すように、サイドボード回動用ピン30で連結されていることから、このサイドボード回動用ピン30を軸として、アーム27をポストパレット1の内側に向かって回動させることが可能である。このとき、上述したように、サイドボード24はアーム27と連結されているので、アーム27と一体となって回動することになる。このように、アーム27およびサイドボード24を内側に回動させることにより、パレット2上にサイドボード機構5、5’を折り畳むことができ、未使用時に一層コンパクトにすることができる。図13に右側のサイドボード機構5’を折り畳んだ場合の様子を示す。図13はポストパレット1の前面側から見た場合を示している。
【0048】
そして、サイドボード24と連結されているアーム27が、レール受け26とサイドボード回動用軸棒30にて連結されている構造をとっているため、サイドボード回動用軸棒30とサイドボード24とはアーム27によって離れた位置にて連結されており、サイドボード24が作業時に簡単に内側へ倒れることを防ぐことができる。
【0049】
なお、左右のサイドボード機構5、5’において、アーム27の長さは左右で異なったものとすることができる。このような構造にすれば、すなわち、例えば右のサイドボード機構5’のアーム27をより長くすれば、サイドボード24をパレット2から右方向により一層離れた位置(パレットの外側)に配置することができ、サイドボード24が邪魔になることなく、荷物の出し入れをより簡単かつ安全に行うことが可能になり、効率的に作業を進めることができる。
また、左右のサイドボード機構5、5’が左右連動して、例えば、上記のレール25に沿ってサイドボード24をスライドさせることが可能なものとしても良い。
これらの左右のサイドボード機構5、5’における形状差や連動性は、作業の効率性や製造に要するコスト、積載する荷物の種類等を考慮して、適宜決定することができる。
【0050】
そして、以上詳述してきたパレット2、ポスト3、隅柱4、サイドボード機構5、5’は一体化されたものであるのが望ましい。特に、従来品では、ポスト3やサイドボード機構のサイドボード24等は、分離可能なものであり、それ故分離した際に紛失してしまうことがあったが、本発明ではこれらが一体化されたものであるため、そもそも部品が分離することはなく、したがって、部品の紛失が発生するのを効果的に防止することができる。
【0051】
以下、このような本発明のポストパレット1に荷物を載上する手順について述べる。ポストパレット1に載上する荷物は特に限定されないが、例えば複数枚のガラス基板をスタックしてブロックとした荷物を載上する場合を例に挙げて述べる。
まず、荷物であるガラス基板は、基板同士を、間にガラス基板よりも一回り大きいポリエチレンシートを挟んだ状態で重ね合わせてスタックし、この重ね合わせたガラス基板全体をさらにビニールシートで包み込む。その後、PPバンドで縛ることにより、ブロック状にまとめておく。
【0052】
一方、ポストパレット1においては、まず、前面側の右側のポスト3FRを内側に折り畳み、さらに隅柱4FRの可倒部16をパレット2の外側に倒しておく。他のポスト3は直立状態に固定させておけば良い。また、右側のサイドボード機構5’においては、レール受け26をレール25の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、サイドボード24をパレット2から離しておく。
【0053】
このようにして、荷物の出し入れを行いやすいように準備をした後、実際に荷物をパレット2上に載せる。例えば人の手やフォークリフト等を用いて載上すれば良い。そして、荷物は、背面側を背もたれ6に立てかけ、左右の側面側はサイドボード機構5、5’を用いて左右から挟んで支持する。このとき、サイドボード固定用ピン28をレール穴29に挿入することでサイドボード24の位置を適切な位置で固定する。
また、最初に倒しておいた前面側の右側の隅柱4FRの可倒部16を起こし、脚部17と係合して連結させた後、ロック機構19により連結部を固定する。また、ポスト3FRを起こし、下端部を隅柱4FRに挿入することで固定し、直立させる。
そして、載上した荷物をPPバンド等を用いてポストパレット1ごと縛り付け、さらに安定化させた後、フォークガイド10にフォークリフトの爪を挿し込み、フォークリフトを用いてポストパレット1ごと荷物を搬送する。
【0054】
また、一方、搬送先から返却をする場合など、荷物を載上しないときは折り畳んでコンパクト化しておく。例えば、まず、サイドボード24とアーム27を内側に回動させることにより、サイドボード機構5、5’をパレット2上に折り畳む。そして、前面側のポスト3FL、3FRを隅柱4FL、4FRのコの字部11まで引き抜き交互に内側に折り畳み、背面側のポスト3も同様にして前方に向かって回動させて、サイドボード機構5、5’の上に覆い被さるようにして折り畳むことができる。
このような状態であれば、ポストパレット1の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができ、特に海外に荷物を搬送する場合において、コスト面から、ワンウェイパレットとしてではなく、搬送先から返却させるリターナブルパレットとして使用することが可能になる(図14参照)。
【実施例】
【0055】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例)
図1に示すようなスチール製の本発明のポストパレットに関し、搬送先から返却する際に、コンテナに積載可能な台数について検討を行った。
なお、返却の時に、ポストパレットを積載するコンテナは長さ40フィートでハイキューブ規格のもの(12000mm(長さ)×2340mm(幅)×2585mm(高さ))とした。
【0056】
ポストパレットとしては、50インチ(116cm)ガラス基板の搬送用のものを用意した。このポストパレットでは、荷物の積載時、すなわちポスト、隅柱、サイドボード機構等の各部を全て起こして組み立てたときの寸法は、750mm(奥行き)×1310mm(幅)×950mm(高さ)である。
【0057】
一方、ポスト、サイドボード機構等をポストパレット内側に回動させ、パレット上に折り畳んでコンパクト化した場合、その寸法は、750mm(奥行き)×1310mm(幅)×415mm(高さ)とすることができた。つまり、荷物積載時に比べ、折り畳み時には、ポストパレットの高さを44%(415mm/950mm)程度に低減することができることが分かる。
【0058】
これより、容積の点からは、コンテナ1台あたり、荷物の積載時は、図15のポストパレット積み込み時の平面図に示すように1段あたり27台で、総数は54台(3台×9列×2段)であるが、返却で折り畳み時には162台(3台×9列×6段)のポストパレットをコンテナに積載することが可能である(積み込んだときの1段あたりの台数は上記と同様だが、積載可能な段数が異なる)。なお、ポストパレット1同士を積み上げた状態の一例を図14に示す。下段のポストパレットの隅柱の上端部を、上段のポストパレットの隅柱の下端の脚部に挿し込んで嵌めることで安定して積重ねられる。
このように、荷物を積載して搬送する時よりも、返却する時に積載するコンテナ1台あたりのポストパレットの台数を著しく向上することができ(この場合3倍)、効率良く搬送先からポストパレットを返却することが可能である。
【0059】
(比較例)
従来のポストパレットを搬送先から返却する場合に、実施例と同様のコンテナに積載可能な台数について検討を行った。
この従来のポストパレットの寸法は、750mm(奥行き)×1350mm(幅)×1000mm(高さ)である。荷物の出し入れのためのスペースを確保するため、本発明より若干サイズが大きいものとなっている。従来品では、図18に示すようにポストを1本分離することができるが、他のポストを折り畳んだりすることはできないため、荷物を積載するとき、また返却時のように荷物を積載していないときであっても、全体としてのサイズを変えることはできない。
【0060】
したがって、従来品では、返却時においても、図16の平面図に示すように1段あたり25台で、せいぜい50台(25台×2段)となる。
また、ポストパレットの寸法を、実施例の荷物積載時のように750mm(奥行き)×1310mm(幅)×950mm(高さ)のものとしても、返却時にそのサイズを小さくすることはできないので54台(3台×9列×2段)しか、容積的にコンテナに一度に積むことができない。
【0061】
このように、従来品では、比較例に示すように、ポストは大部分がパレットに溶接されていて折り畳むことができず、たとえ搬送先から返却しようとしても、荷物の積載時のサイズに対してサイズを小さくすることができない。したがって、返却の効率が悪く、コスト面からリターナブルパレットとして用いることはできず、ワンウェイパレットとせざるを得ない。
【0062】
しかしながら、本発明のポストパレットの場合、実施例に示したように、返却時にポストパレットを折り畳んでコンパクト化することができるため、容積の点からすると、コンテナ1台あたりの積載可能台数を多くすることができる。これによって返却時のコストを低減することができ、リターナブルパレットとして用いても十分に利益を上げることが可能になる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のポストパレットの全体の一例を示す概略図である。
【図2】ポストの一例を示す概略図である。
【図3】隅柱の一例を示す概略図である。
【図4】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図5】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図6】(A)前面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。(B)後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。(C)折り畳まれた前面側のポストと緩衝材との位置関係の一例を示す説明図である。
【図7】前面側の右側の隅柱において、可倒部が倒れた状態を説明する説明図である。
【図8】前面側の右側の隅柱において、可倒部が脚部と係合してロックされている状態を説明する説明図である。
【図9】後面側の左側のポストおよび隅柱におけるロック機構の一例を示す説明図である。
【図10】サイドボードとレールの関係を示す説明図である。
【図11】サイドボード機構の一例を示す概略図である。
【図12】レール、レール受け、アームの関係を示す説明図である。
【図13】サイドボード機構のアームおよびサイドボードが回動している状態を説明する説明図である。
【図14】本発明のポストパレットが折り畳まれて積み上げられた状態を示す説明図である。
【図15】本発明のポストパレットが荷物積載時にコンテナ内に積まれた時の1段あたりの台数を示す説明図である。
【図16】従来のポストパレットが荷物積載時にコンテナ内に積まれた時の1段あたりの台数を示す説明図である。
【図17】従来のポストパレットの一例を示す概略図である。
【図18】従来のポストパレットのポストの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1…本発明のポストパレット、 2…パレット、 3…ポスト、
4…隅柱、 5、5’…サイドボード機構、 6…背もたれ、
7…緩衝材、 9…補助部材、 10…フォークガイド、
11…コの字部、 12…筒状部、 13…長穴、
14…ポスト回動用軸棒、 15…開口部、 16…可倒部、
17…脚部、 18…蝶番、 19…ロック機構、 20…ロック用部材、
21、22…ピン、 23…差込口、 24…サイドボード、
25…レール、 26…レール受け、 27…アーム、
28…サイドボード固定用ピン、 29…レール穴、
30…サイドボード回動用軸棒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、
前記4本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた2本において、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、前記パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであり、
後面側の2本のポストおよび隅柱においては、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項2】
前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、
前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のポストパレット。
【請求項3】
前記ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部は、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポストパレット。
【請求項4】
前記ポストパレット前面側に備えられて可倒部が設けられた隅柱は、さらに、前記可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであることを特徴とする請求項3に記載のポストパレット。
【請求項5】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、
前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項6】
前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであることを特徴とする請求項5に記載のポストパレット。
【請求項7】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームの長さが左右で異なるものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のポストパレット。
【請求項8】
前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項9】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項10】
前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項1】
荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの4隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、
前記4本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた2本において、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、いずれか一方の隅柱は、前記パレットの外側へ可倒な可倒部を有するものであり、
後面側の2本のポストおよび隅柱においては、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項2】
前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、
前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものであることを特徴とする請求項1に記載のポストパレット。
【請求項3】
前記ポストパレット前面側に備えられた隅柱の可倒部は、蝶番で、下方の固定された脚部と係合して連結されるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポストパレット。
【請求項4】
前記ポストパレット前面側に備えられて可倒部が設けられた隅柱は、さらに、前記可倒部および前記脚部を係合した時に固定するロック機構を備えたものであることを特徴とする請求項3に記載のポストパレット。
【請求項5】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、
前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項6】
前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであることを特徴とする請求項5に記載のポストパレット。
【請求項7】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームの長さが左右で異なるものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のポストパレット。
【請求項8】
前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項9】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項10】
前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の2本のポストよりも高く位置するものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のポストパレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−260537(P2008−260537A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102470(P2007−102470)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(598070016)花岡産業株式会社 (3)
【出願人】(593145766)美浜株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(598070016)花岡産業株式会社 (3)
【出願人】(593145766)美浜株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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