ポストパレット
【課題】コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供する。
【解決手段】ポストパレットであって、パレットと、その４隅に、各々直立するポストおよびポストを囲んで支持する上端部がコの字型の隅柱を備え、前面側に備えられた２本において、隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストはパレット上へ互いに内側に折り畳み自在であり、少なくとも一方の隅柱は、内側に折り畳み自在な可倒部を有するもので、後面側の２本においては、隅柱は各々開口部が前方に向いて、ポストは前方に折り畳み自在なものであるポストパレット。
【解決手段】ポストパレットであって、パレットと、その４隅に、各々直立するポストおよびポストを囲んで支持する上端部がコの字型の隅柱を備え、前面側に備えられた２本において、隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストはパレット上へ互いに内側に折り畳み自在であり、少なくとも一方の隅柱は、内側に折り畳み自在な可倒部を有するもので、後面側の２本においては、隅柱は各々開口部が前方に向いて、ポストは前方に折り畳み自在なものであるポストパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、パレットの４隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、パレット上への荷物の出し入れが簡単であり、かつ、未使用時のコンパクト化が可能なポストパレットに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えばガラス基板等の荷物の搬送にあたっては、パレットの４隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献１に開示されたものが挙げられる。
【０００３】
図２０に、従来のポストパレットの一例の概略を示す。
このスチール製のポストパレット１０１は、全体として、搬送する荷物を載上するための矩形状のパレット１０２の４隅に、それぞれ４本のポスト１０３が直立した構造となっている。
この４本のポストのうち、ポストパレット１０１の前面側の一方（ここでは、右手のポスト１０３ＦＲ）以外の３本は隣り合うポストと補助部材１０９で連結されている。
また、ポストパレット１０１の左右の側面側には、サイドボード１０５が備えられている。各ポスト１０３の側面には、２枚で１組のボード差し込み用の板状部材１０５’が設けられており、サイドボード１０５はこの２枚の板状部材１０５’の間に差し込まれてポスト間に固定される。
【０００４】
また、ポストパレット１０１の後面側（背面側）には、補助部材１０９とパレット１０２を連結し、荷物の背面側を支持するための背もたれ１０６を有しており、背もたれ１０６の表面には緩衝材（ポリエチレンの発泡体）が設けられている。
さらに、パレット１０２には、荷物が載上される箇所には、荷物が滑るのを防止するために、パレット１０２の表面に緩衝材を設け、その上に、滑り止めのためのゴムシートが設けられている。
【０００５】
そして、上記のポスト１０３ＦＲは、図２１の説明図に示すように、２つ（ポスト部１０３ＦＲａ、脚部１０３ＦＲｂ）に分離可能なものであり、ポスト部１０３ＦＲａを筒状の脚部１０３ＦＲｂの内側に抜き差しすることで着脱可能になっている。パレット１０２上に荷物を出し入れする時には、このポスト部１０３ＦＲａを引き抜くことで外して作業を行い、ポスト部１０３ＦＲａが邪魔になるのを防ぐことができるようになっている。
一方、残りの３本のポスト１０３は、パレット１０２や補助部材１０９と溶接されており、取り外すことはできずに互いに固定されている。
また、荷物はビニール等で包装され、ＰＰバンド等で縛られた後、ポストパレット１０１上に載上され、ポストパレット１０１ごとＰＰバンドでさらに縛られて固定される。
【０００６】
従来では、このようなポストパレット１０１を用いて荷物を国内や海外へと搬送していた。そして、特に、海外へ搬送する場合、荷物とともに搬送したポストパレットを搬送先から返却しようとしてもコストが高くかかってしまうため、一般的には海外へ送られたポストパレットは返却させることはなく、海外へ送ったきりとし、いわゆるワンウェイパレットとして用いられてきた。
【０００７】
しかしながら、このように搬送先からポストパレットの回収を行わないと、使い捨てとなるわけだから、その分だけコストはかかってしまう。また、近年、流通業界においてコスト競争が増しており、このような面からも、荷物の搬送に要するコストの低減が望まれている。
また、図２０、２１等に示すように、ポストのポスト部１０３ＦＲａやサイドボード１０５など分離可能な部品があるが、むしろこのような構造としたために部品を紛失してしまうという問題が発生してしまっていた。また、組み立てには、これらの部品をまず探し出す必要があり、作業に時間を要してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開平０９−２１６６３０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するために、本発明は、荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、前記４本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた２本において、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、少なくとも一方の隅柱は、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであり、後面側の２本のポストおよび隅柱においては、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレットを提供する。
【００１１】
このように、本発明のポストパレットでは、まず、矩形状のパレット、そしてその４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、ポストパレット前面側の２本のポストおよび隅柱において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストがパレット上へ互いに内側に折り畳み自在になっている。さらに、後面側の２本のポストおよび隅柱においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストがパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在になっている。
【００１２】
すなわち、パレットの４隅に直立するポストはそれぞれパレット上に折り畳むことが可能であり、例えば、荷物の搬送先から単にポストパレット自体を返却するときのように、荷物を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、荷物を載せていない場合でも形状が固定されていて、コンテナへの積み込み量を増やすことができない従来品とは異なり、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面から、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【００１３】
さらに、ポストパレット前面側の少なくとも一方の隅柱は、内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するので、ポストをパレット上へ折り畳むとともに、さらにその上に可倒部を折り畳んでおけば、隅柱の可倒部が邪魔になることなく、パレット上への荷物の出し入れが非常に容易となり、作業効率が著しく上がる。特には、隅柱を内側に向かってポスト上に折り畳むことができるので、例えば外側に可倒部を倒す場合に比べて、隅柱を折り畳んで作業を行っているときに、ポストパレットの外側において、フォークリフトや作業員の足等に接触することをより効果的に防ぐことができ、可倒部が破損するのを防止できる。
【００１４】
なお、分離するポストのポスト部１０３ＦＲａ（図２１参照）を有する従来品とは異なり、本発明ではポストはいずれも折り畳み自在なものであり、可倒部を内側へ折り畳むことができるものであるため、例えば荷物をパレット上に載せるときに分離して、その後分離したポストを紛失することは起きないし、荷物を搬送する場合には、折り畳んだ状態のポストや、内側に折り畳んだ状態の隅柱を起こして組めばいいだけであるので簡単である。
【００１５】
このとき、前記前面側の２本の隅柱は、各々、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであるのが好ましい。
このようなものであれば、例えば荷物の出し入れ等の作業時に、前面側の２本のポストを内側に折り畳むとともに、前面側の２本の隅柱の両方の可倒部を内側に向かって折り畳むことができる。すなわち、前面側の左右のどちら側においても、ポストも隅柱も内側に折り畳むことが可能となり、作業の邪魔になるのを一層防ぐことができ、作業効率を極めて高めることが可能になる。
【００１６】
また、前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記ポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものとすることができる。
【００１７】
このようなものであれば、ポスト回動用軸棒により、ポストと隅柱をより確実に一体化させ、ポストが分離されて紛失することもない。かつ、ポストを隅柱によって直立に固定できる一方で、引抜かれてパレット上へと折り畳み可能なものとなる。
【００１８】
また、前記可倒部を有する隅柱は、可倒部を支持する固定された脚部を有しており、該脚部は、可倒部の内寸よりも小さい外寸を有する頭部と、該頭部を囲うようにして嵌められた可倒部を支持する可倒部受けを有しており、前記ポスト回動用軸棒が、可倒部の側面に形成された短穴から、脚部の頭部の側面に形成された孔を通して、前記ポストの長穴に嵌入していることにより、可倒部は固定された脚部に対し回動上下動可能に連結され、前記脚部の頭部を囲うようにして嵌められた可倒部は、前記可倒部受けから引抜かれて前記折り畳まれたポスト上に回動可能なものとするのが好ましい。
【００１９】
このようなものであれば、隅柱において、ポスト回動用軸棒により、ポストも含め、可倒部と固定された脚部をより確実に一体化させ、可倒部が分離されて紛失することもない。かつ、可倒部を、脚部の頭部を囲うようにして嵌めつつ可倒部受けで支持することができ、可倒部を脚部に固定することができる。その一方で、可倒部を可倒部受けから引抜き、内側に折り畳まれたポスト上に折り畳むことが可能なものとなる。
【００２０】
さらには、前記脚部の可倒部受けは、可倒部の底面を支持する底面支持板と可倒部の側面を支持する側面支持板を有し、前記底面支持板は、前記隅柱の開口部の反対側に固定されており、さらに前記側面支持板が底面支持板の外面に固定されていることにより、前記頭部と前記側面支持板とで隙間が形成されており、前記可倒部は、前記頭部と側面支持板により形成された隙間に嵌められて、底面が底面支持板で支持されるものであるのが好ましい。
【００２１】
このようなものであれば、可倒部受けとして、脚部の頭部と側面支持板との隙間に可倒部を嵌めることができ、可倒部の底面を底面支持板で支持することができるので、可倒部をより確実に脚部に固定することができる。また、ポスト、さらには可倒部に対して、特には隅柱の開口部の反対側の方向にかかる負荷がかかっても側面支持板により支えることができる。
【００２２】
このとき、前記可倒部は、少なくとも前記短穴が形成された側面において、下端が下に凸の形状を有しており、前記脚部の頭部は、少なくとも前記孔が形成された側面において、前記可倒部の下端の凸形状に対応した凹形状をさらに有しており、前記可倒部は、前記頭部に嵌められるときに、前記下端の凸形状が前記頭部の凹形状に嵌合されて固定されるものであるのが好ましい。
【００２３】
このようなものであれば、可倒部が脚部の頭部に嵌められるときに、可倒部の下端の凸形状が頭部の凹形状に嵌合されて固定されるので、可倒部の位置決めがより安定してなされ、脚部への固定がより一層確実なものとなる。
【００２４】
また、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる。
【００２５】
このように、さらに、荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しているものであれば、荷物をより安定させて搬送することができるので望ましい。そして、上記のような各サイドボード機構であれば、荷物を支持するサイドボードが、ポストパレットの横方向に延びるレールに沿ってスライド可能なレール受けとアームを介して連結されているため、サイドボードもレールに沿ってスライド可能である。さらには、各々のレールにはレール穴が形成され、サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、サイドボードの位置が固定されるものであるので、例えば荷物の横幅に合わせ、サイドボード固定用ピンを抜き挿しして、サイドボードをスライドしてその位置を調整するとともに、固定することが可能であり、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させることができる。
【００２６】
また、前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであるのが好ましい。
このようなものであれば、アームおよびサイドボードが、サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なので、サイドボード機構を有していても、アームやサイドボードをパレット上に回動することにより畳むことができ、荷物がない時に、一層コンパクト化が可能なものとなる。
【００２７】
また、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲い、前記サイドボードに直接取り付けられた連結部材を備えており、前記連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、前記サイドボードが前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる。
【００２８】
上記のようなサイドボード機構を左右に有するものであれば、サイドボードに直接取り付けられた連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、サイドボードもレールに沿ってスライド可能であり、サイドボードの位置を固定することもでき、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させて搬送することが可能である。
【００２９】
また、前記左右のサイドボード機構において、前記アームまたは前記連結部材の長さが左右で異なるものとすることができる。
このように、アームまたは連結部材の長さが左右のサイドボード機構で異なるもの、例えば、左右のうち、荷物の出し入れをする側の方を長くしておけば、サイドボードをパレットから十分に離すことができ、より一層荷物の出し入れ作業の邪魔にならないようにすることができる。
【００３０】
また、前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであるのが望ましい。
このように、パレット、ポスト、隅柱、サイドボード機構が一体化されたものであれば、これらの部品が分離することもなく、部品の紛失を防ぐことができる。一体化されているため、従来のように分離した部品を探す手間も省くことができ、効率良く部品の組み立て作業を行うことができる。
【００３１】
また、前記パレットにフォークガイドが設けられたものであるのが好ましい。
このように、パレットにフォークガイドが設けられたものであれば、荷物を載上したポストパレット、あるいはポストパレット自体をフォークリフトを用いて容易に安定して運ぶことが可能である。
【００３２】
また、前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであるのが好ましい。
このように、パレットが荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材が、パレット上へ互いに内側に折り畳まれたポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであれば、前面側の２本および隅柱を折り畳んだときでも、ポストが邪魔にならずに荷物の出し入れをすることが可能である。
【発明の効果】
【００３３】
本発明のポストパレットであれば、コンパクト化することができ、パレットのリターナブル化や搬送全体に要するコストの低減を図ることができる。さらに、組み立てが簡単であるとともに、荷物の搬出入を非常に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明のポストパレットの全体の一例を示す概略図である。
【図２】ポストの一例を示す概略図である。
【図３】隅柱の一例を示す概略図である。
【図４】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図５】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図６】（Ａ）前面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。（Ｂ）後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。（Ｃ）折り畳まれた前面側のポストと緩衝材との位置関係の一例を示す説明図である。
【図７】可倒部を有する隅柱の一例を示す説明図である。
【図８】可倒部と脚部が係合し、脚部によって可倒部が支持されている状態を示す説明図である。
【図９】可倒部が脚部の可倒部受けから引抜かれて回動している状態を示す説明図である。
【図１０】可倒部を有する隅柱とポストが係合している状態を示す説明図である。
【図１１】可倒部を有する隅柱で支持されるポストを折り畳んだときの状態を示す説明図である。
【図１２】可倒部を有する隅柱で支持されるポストおよび可倒部を内側に折り畳んだときの状態を示す説明図である。
【図１３】後面側の左側のポストおよび隅柱におけるロック機構の一例を示す説明図である。
【図１４】サイドボード機構の一例を示す概略図である。
【図１５】サイドボードとレールの関係を示す説明図である。
【図１６】レール、レール受け、アームの関係を示す説明図である。
【図１７】サイドボード機構のアームおよびサイドボードが回動している状態を説明する説明図である。
【図１８】本発明のポストパレットが折り畳まれて積み上げられた状態を示す説明図である。
【図１９】前面側の左右両方のポストおよび可倒部が折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。
【図２０】従来のポストパレットの一例を示す概略図である。
【図２１】従来のポストパレットのポストの一例を示す説明図である。
【図２２】従来の他のポストパレットにおける前面側の右側の隅柱において、隅柱上部が隅柱下部と係合してピンで固定されている状態を説明する説明図である。
【図２３】従来の他のポストパレットにおける前面側の右側の隅柱において、隅柱上部が倒れた状態を説明する説明図である。
【図２４】可倒部の他の一例を示す概略図である。
【図２５】（Ａ）開口部の反対側から見た可倒部の概略図である。（Ｂ）可倒部と脚部が係合する様子を示す説明図である。
【図２６】（Ａ）短穴が形成された側面の側から見た可倒部の概略図である。（Ｂ）孔が形成された側面の側から見た脚部の概略図である。（Ｃ）可倒部と脚部が係合した状態を示す説明図である。
【図２７】（Ａ）サイドボード機構の他の一例を示す概略図である。（Ｂ）レール、連結部材の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００３５】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図２０に示すような従来のポストパレット１０１は、いわゆるワンウェイパレットとして用いられ、コストがかかってしまっていた。かつ、図２０、２１等に示すようなポスト部１０３ＦＲａ等の分離可能な部品が紛失したり、組み立て作業に時間がかかるという問題があった。
【００３６】
また、特開２００８−２６０５３７号公報のように、ポストをパレット上に倒すことが可能であるとともに、ポストパレット前面側のいずれか一方のみの隅柱において、その上部を、蝶番によってポストパレットの外側へ倒すことが可能な構造のものが開示されている。図２２にこのポストパレットの隅柱の一例を示す。
【００３７】
図２２に示すように、隅柱２０４は隅柱上部２１６と固定された隅柱下部２１７を有しており、蝶番２１８によって隅柱下部２１７と隅柱上部２１６を係合させ、各々に備えられた筒２２０にピン２２１を通すことで、隅柱下部２１７の上に隅柱上部２１６を直立に固定している。
そして、荷物の出し入れ等の作業時には、図２３に示すようにピン２２１を抜き、蝶番２１８を介して隅柱上部２１６をポストパレットの外側に倒すことができ、隅柱２０４が作業の邪魔にならないようにされている。
【００３８】
しかしながら、このような従来のポストパレットでは隅柱に破損が生じてしまう。
本発明者らがこの原因について調査を行ったところ、作業時に、ポストパレットの外側に倒した隅柱上部がフォークリフトや作業員の足等に接触することで破損してしまうことが分かった。さらには、隅柱上部において、隅柱下部と係合する箇所（図２３の点線で囲った箇所）がパレットの高さ位置から出っ張っており、荷物の出し入れの際に接触してしまい破損しやすく、また、作業の邪魔になることが分かった。
【００３９】
そこで、本発明者らは、ポストパレットの外側に隅柱を倒すのではなく、内側に倒し、折り畳まれたポスト上に折り畳むことで、フォークリフトや作業員の邪魔にならず、より効率よく作業を行うことができることを見出した。
また、隅柱の少なくとも上端部がコの字型になっており、ポストパレット上に内側に折り畳まれたポスト上に、そのポストを囲うようにして、同様に内側に向かって隅柱の可倒部を折り畳むことができれば、図２３の点線で囲った箇所のようにパレットの高さ位置からの出っ張りもなくすことができる。すなわち、パレットから内側に折り畳んだ隅柱までの高さ位置を従来に比べて低くすることができ、パレット上への荷物の出し入れ等を行いやすく、さらに作業効率を向上させることが可能である。当然、荷物と隅柱の接触を防ぐことができ、この点においても隅柱の破損を防ぐことが可能であるとともに、荷物を傷つけることも防止される。
本発明者らはこれらのことを見出して本発明を完成させた。
【００４０】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、ここでは、ポストパレットの前面側であり、かつ右側から荷物の出し入れを行う場合に特に適するポストパレットについて説明を行う。すなわち、前面側の右側の隅柱が内側に折り畳み自在な構造のポストパレットの場合である。ただし、左側から荷物を出し入れする場合に対応したものとすることもでき、その場合は左右入れ替えたものとすれば良い。さらには、例えば前面の全体から、あるいは左右の両側のどちらからも荷物の出し入れがし易いように、前面側の左右両方の隅柱を内側に折り畳み自在な構造とすることができる。
【００４１】
図１に本発明のポストパレット全体の一例の概略を示す。
本発明のポストパレット１は、荷物が載上され、荷物の底面を支持する矩形状のパレット２を備えており、その４隅にはポスト３がそれぞれ直立しており、さらに、そのポスト３を囲んで支持する隅柱４を有している。
また、ポストパレット１の左右には、荷物を左右の側面側から挟むようにして支持するサイドボード機構５、５’が設けられている。なお、図１では、左側のサイドボード機構５（右側は５’）のみ図示している。実際には、この左側のものと対峙して右側に同様の機構が設けられている。
【００４２】
なお、このポストパレット１の材料は特に限定されず、荷物を安定して支持することができる強度等を有するものであれば良く、載上する荷物の種類、重量等に応じて適宜決定することができる。材料を木材等とすることもできるが、例えばスチール製のものとすれば、強度も十分で従来からよく用いられている材質であるし、本発明における各構成部品をより簡単に製造することができるので好ましい。ここでは、スチール製のものとして説明をする。
【００４３】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
まず、パレット２は、棒状の部材を用い、これらを溶接等して、図１に示すように格子状のものとなっている。
そして、この格子状パレット２の中央付近には、ポストパレット１の前面側と後面側（背面側）を結んで（すなわち前後方向に）、２本の棒状部材が設けられており、その表面には緩衝材７が貼り付けられている。この緩衝材７が貼り付けられた箇所に荷物を載上し、荷物を傷つけることなく支持することができる。この緩衝材としては、例えば、ポリエチレンの発泡体を用いることができる。また、荷物の滑り止めとして、さらにその上にゴムシート等を接着しても良い。緩衝材７や滑り止めの材料は従来と同様のものとすることができる。
【００４４】
また、パレット２にはフォークガイド１０が設けられており、このフォークガイド１０にフォークリフトの爪を挿し通してパレット２を持ち上げて搬送できるようになっている。フォークガイド１０の位置や数等は適宜決めることができ、使用するフォークガイド等に応じて設ければ良い。
【００４５】
なお、パレット２において、上記緩衝材７を表面に貼り付ける箇所や、構成する棒状の部材の本数等は特に限定されず、載上する荷物の大きさ、形状、重量等に応じて適宜決定することができる。
また、パレット２は荷物を支持することができるものであれば良く、図１のような格子状のものに限定されない。例えば、面状のものを用いることもできる。製造コストや重量、強度、さらには搬送のし易さ等を考慮し、適切なものとすることができる。
このパレット２は、後に詳述するサイドボード機構５のレール２５の箇所以外は、例えば従来と同様の構造とすることができる。
【００４６】
次に、ポスト３および隅柱４について述べる。
最初に、全てのポスト３および隅柱４に共通する主な特徴について、図２、図３を用いて説明する。なお、本発明のポストパレットにおいては、前面側に備えられた２本の隅柱のうち、少なくとも一方の隅柱が内側に折り畳み自在な可倒部を有している。該可倒部を有する隅柱の場合は他の可倒部を有していない隅柱と構造が異なっているが、隅柱としてのポストとの関係に関しては同様であるので、共通する特徴についてはここでまとめて説明する。可倒部を有する隅柱独特の構造や、ポストとの独特な関係については別に後述する。
【００４７】
図２にポスト３の概略を、図３に隅柱４の概略を示す。
ポスト３は例えば角柱状のものであり、側面に長穴１３がポスト３の長さ方向に沿って形成されている。このポスト３は、隅柱４によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット２上に折り畳むことが可能である。ポスト３の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【００４８】
そして、４本の隅柱４は上端部にコの字型の形状（コの字部）１１を有しており、これにより、直立したポスト３を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部１５の方にポスト３を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱４の下方は筒状部１２で中空になっており、この中空部にポスト３の下端部を挿入することができ、これによってポスト３を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。また、隅柱４の下方はパレット２と接続されている。それぞれスチール製のものからなる図１のポストパレット１の場合、隅柱４とパレット２は溶接されて固定されている。
なお、隅柱４の下端部はポストパレット１が安定するように台状になっているが、ポストパレット１を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱４には、隅柱４の側面から上記ポスト３の長穴１３に嵌入するポスト回動用軸棒１４が挿入されている。なお、図２、３では、ポスト３と隅柱４を別個に図示しているため、ポスト３の長穴１３と隅柱４のポスト回動用軸棒１４が係合していないが、実際には、後述の図４、５に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【００４９】
ここで、ポスト３における上下動および回動と、隅柱４の関係についてさらに詳述する。
図４にポスト３の下端部が隅柱４の筒状部１２の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図５にポスト３の下端部が隅柱４の筒状部１２の中空部からコの字部１１まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト３を直立させる場合は、図４に示すように、ポスト３が隅柱４の中空部に挿入され、このとき隅柱４のポスト回動用軸棒１４はポスト３の長穴１３の上方（あるいは上端）に位置することになる。
一方、ポスト３を折り畳む場合は、図５に示すように、まず、ポスト３は、隅柱４の中空部からコの字部１１まで引抜かれ、これによりポスト３の長穴１３の下端にまで相対的に移動した隅柱４のポスト回動用軸棒１４を軸とし、ポスト３を回動することができる。このような構造により、ポスト３を、パレット２から分離することなく隅柱４のコの字部１１の開口部１５の方向に回動させることができる。なお、長穴１３は、図２のような形状とすることもできるし、図４、５のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト３を回動させるときに、ポスト３が隅柱４の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【００５０】
このように、パレット２の４隅に位置するポスト３、隅柱４は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。
図６（Ａ）は、ポストパレット１を前面側から見た正面図である。ただし、分かり易いように、前面側のポスト３（左が３ＦＬ、右が３ＦＲ）、隅柱４（左が４ＦＬ、右が４ＦＲ）とパレット２のみを示している。
図６（Ａ）に示すように、ポストパレット１の前面側に位置する２本の隅柱４ＦＬ、４ＦＲにおいては、各々開口部１５が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト３ＦＬ、３ＦＲが折り畳まれる場合、開口部１５の方向、すなわち、いずれもポストパレット１の内側に向って回動し、パレット２上に折り畳むことができる。
【００５１】
また、後面側の２本の隅柱４ＲＬ、４ＲＲにおいては、各々開口部１５がポストパレット１の前方を向いており、各々のポスト３ＲＬ、３ＲＲは、双方とも前方に向って回動し、パレット２上に折り畳むことが可能である。図６（Ｂ）は、後面側の右側のポスト３ＲＲの回動の様子を示したものであるが、後面側の左側のポスト３ＲＬも同様にして回動することができる。
なお、図１、６に示すように、後面側の２本のポスト３ＲＬ、３ＲＲは２本の補助部材９で連結されており、この２本の補助部材９を連結するようにして、荷物の背面側を支持するための板状の背もたれ６が、表面に緩衝材７を有した状態で２本設けられている。背もたれ６は、ポスト３を直立させて固定させた場合、例えば鉛直方向から（ポスト３ＲＬ、３ＲＲから）５°傾くようにして設けられている。このような傾きであれば、ガラス基板等の荷物を背もたれ６に傾けて支持させることが可能である。当然、これら補助部材９や背もたれ６の本数や形状、背もたれ６の傾き具合等は特に限定されない。
そして、これらの背もたれ６等ごと、後面側の２本のポスト３ＲＬ、３ＲＲを一緒に前方に折り畳むことができるようになっている。
【００５２】
なお、ポスト３が回動する軸となる隅柱４のポスト回動用軸棒１４の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図６（Ａ）に示すように前面側の右方の隅柱４ＦＲにおけるポスト回動用軸棒１４の高さ位置よりも、左方の隅柱４ＦＬにおけるポスト回動用軸棒１４の高さ位置が高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト３ＦＬ、３ＦＲが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
また、後面側においても、ポスト３の長穴１３は、くの字に曲がって形成されており、ポスト３を前方に折り畳むとき、また、逆に組み立てるときに、ポスト３が隅柱４の内面と干渉するのを防ぐことができる。
【００５３】
次に、可倒部を有する隅柱独特の構造やその隅柱に支持されるポストとの独特な関係について説明する。
まず、可倒部を有する隅柱独特の構造について説明する。図７に可倒部を有する隅柱の主な構成部品の一例の概略を示す。前面側の２本の隅柱のうち、少なくとも一方が内側に折り畳み自在な可倒部を有しており、ここでは、前面側の右方の隅柱４ＦＲ（この場合、荷物の出し入れする側に相当する）が可倒部を有する場合について説明する。
この前面側の右方の隅柱４ＦＲは、大きく分けて、可倒部と、それを下方から支持する脚部からなっており、脚部はパレットと接続（溶接）されて固定されている。
図７（Ａ）に可倒部、図７（Ｂ）、（Ｃ）に脚部を示す。
【００５４】
図７（Ａ）に示すように、まず可倒部１６は、ポスト３を囲むように全体がコの字型の形状となっており、ポスト３を折り畳むときにポスト３が倒れる方向、すなわち、ポストパレット１の内側に向かって開口部１５’が設けられている。また、側面には短穴１８が可倒部１６の長さ方向に沿って形成されている。この短穴１８にはポスト回動用軸棒１４が嵌入する。なお、短穴１８の形状等は限定されない。
また、可倒部１６の下方は厚さが増しているが、これは、後述する脚部に備えられた可倒部受けに安定して嵌まって固定されるように調節されたものである。例えば適切な厚さを有するコの字型のカバー３６を可倒部１６の下方の外側に溶接等で設け、可倒部受けに確実に嵌まって固定されるように適宜厚さを調節することができる。
【００５５】
一方、図７（Ｂ）に示すように、脚部１７は、まず頭部１９を有している。該頭部１９は、可倒部１６の内寸よりも小さい外寸を有しており、可倒部１６と脚部１７を係合させる場合、上方から可倒部１６がかぶせられ、可倒部１６により囲まれるようになっている。この頭部１９はポスト３を囲むようにコの字型の形状を有しており、可倒部１６と同様に、ポスト３を折り畳むときにポスト３が倒れる方向、すなわち、ポストパレット１の内側に向かって開口部１５’’が設けられている。
また、側面には孔２０が形成されている。この孔２０にはポスト回動用軸棒１４が嵌入する。
【００５６】
そして、この頭部１９よりも下方では、他の隅柱と同様に筒状部１２’で中空になっており、この中空部にポスト３の下端部を挿入することができ、これによってポスト３を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。さらにはパレット２と溶接されて固定されている点、下端部が台状になっている点などについても他の隅柱と同様の構造になっている。
【００５７】
また、脚部１７はさらに可倒部受け３１を有している。この可倒部受け３１は、頭部１９に上方からかぶせられて頭部１９を囲う可倒部１６を支持することができるものであれば良く、特に限定されない。例えば図７（Ｃ）に示すように、可倒部１６の底面を支持する底面支持板３２と、可倒部１６の側面（開口部１５’の反対側の面）を支持する側面支持板３３からなるものとすることができる。
隅柱の開口部の反対側、すなわち、脚部１７における開口部１５’’の反対側の面に、底面支持板３２が溶接等で固定されており、その底面支持板３２の外面３４に側面支持板３３が溶接等により固定されている。側面支持板３３は、その上部が底面支持板３２よりも上方に突き出るように固定されているため、その突き出た側面支持板３３と頭部１９により隙間３５が形成されている。
なお、これらの底面支持板３２、側面支持板３３は形状、大きさ等特に限定されない。例えば側面支持板３３をＴ字型のものとすることができる。
【００５８】
ここで、図８に可倒部１６と脚部１７が係合し、脚部１７によって可倒部１６が支持されている状態を示す。図８に示すように、実際には、可倒部１６の短穴１８と脚部１７の孔２０には、同じポスト回動用軸棒１４が嵌入しており、それによって可倒部１６と固定された脚部１７が一体化し、隅柱４ＦＲを構成している。このとき、ポスト回動用軸棒１４は可倒部１６の短穴１８の上方（あるいは上端）に位置している。
なお、図８からも分かるように、隅柱４ＦＲは上端部にコの字型の形状（コの字部）１５を有しており、隅柱４ＦＲの開口部１５は、可倒部１６の開口部１５’と脚部１７の開口部１５’’が合わさって形成されている。
【００５９】
また、可倒部１６は、脚部１７の上方から頭部１９を囲うようにしてかぶせられており、隅柱４ＦＲの開口部１５の反対側において、頭部１９と側面支持板３３との隙間３５に嵌められて、底面支持板３２により底面が支持され、側面支持板３３により側面（開口部１５’の反対側の面）が支持されている。
【００６０】
ここで、可倒部や脚部に関して、他の実施形態について述べる。
図２４に可倒部の他の一例を示す。図２４に示す可倒部１６’では、長さ方向において途中で段３７が形成されており、この段３７を介して可倒部１６’の上方の内寸が下方に比べて小さくなっている。ただし、上方において、十分ポストを囲うことができる内寸を有している。そして、可倒部１６’と脚部を係合させる場合は、その可倒部１６’の下方の内寸よりも小さい外寸を有する脚部の頭部に、可倒部１６’の下方の部分をかぶせて囲うことができるようになっている。
【００６１】
図２５（Ａ）は、図２４の可倒部１６’をＢ矢印から見た場合である。すなわち、開口部の反対側の面を示すものである。
また、図２５（Ｂ）に、図２４の可倒部１６’と脚部が係合する様子を示す。なお、ここでは、係合時の可倒部１６’と脚部の底面支持板３２’との関係が分かりやすいように、脚部に関しては底面支持板３２’のみを示している。
図２５（Ｂ）に示すように、脚部の底面支持板３２’は、例えば上に凸の形状となっている。一方、図２５（Ａ）に示すように、可倒部１６’は、開口部の反対側の面の側において、底面支持板３２’の凸形状に対応した凹形状を有している。可倒部１６’を脚部に嵌める場合には、その可倒部１６’の凹形状が、脚部の底面支持板３２’の凸形状と嵌合される。これによって、脚部に対して可倒部をより確実に固定して嵌めることができる。
【００６２】
また、図２６（Ａ）に、図２４の可倒部１６’の短穴が形成された側面の下端をより詳細に示す。また、図２６（Ｂ）に、この可倒部１６’が嵌められる脚部１７’の頭部の孔が形成された側面を示す。そして、図２６（Ｃ）に、この可倒部が脚部に嵌められて係合している状態を示す。
まず、図２６（Ａ）に示すように、可倒部１６’は短穴１８が形成された側面において、下端が下に凸の形状（凸形状３８）となっている。
一方、図２６（Ｂ）に示すように、脚部１７’の頭部１９’には、孔２０が形成された側面において、上記可倒部１６’の下端の凸形状３８に対応した凹形状３９が形成されている。この凹形状３９としては、例えばコの字型の部材を溶接等により取り付けることによって備えることができる。
そして、図２６（Ｃ）に示すように、可倒部１６’を頭部１９’に嵌めるときには、可倒部１６’の凸形状３８を頭部１９’の凹形状３９に嵌合することができる。これによって可倒部１６’をより安定して位置固定することができる。
【００６３】
なお、上記可倒部の下端の凸形状や脚部の頭部の凹形状の組み合わせは、短穴や孔が形成された側面のうち片方の面だけに形成されていても良いし、両面に形成されていても良い。さらには開口部の反対側の面に形成することもできる。必要に応じて、具体的な形状や数、どの面に形成するかはその都度決定することができる。
【００６４】
さらに、可倒部の上下動および回動と、脚部の関係について説明する。なお、ここでは図７に示す可倒部１６および脚部１７を例として説明する。
図９に可倒部１６が脚部１７の可倒部受け３１から引抜かれて回動している状態を示す。
可倒部１６をポストパレット１の内側に折り畳む場合は、図９に示すように、まず、可倒部１６は、脚部１７の可倒部受け３１から引抜かれ、これにより可倒部１６の短穴１８の下端にまで相対的に移動したポスト回動用軸棒１４を軸とし、可倒部１６が回動させられる。このような構造により、可倒部１６を、隅柱４ＦＲの開口部１５の方向に回動させることができる。
【００６５】
次に、この可倒部を有する隅柱とポストとの独特な関係について説明する。
図１０に可倒部を有する隅柱とポストが係合している状態を示す。すなわち、図８に可倒部１６と脚部１７が係合し、脚部１７によって可倒部１６が支持されている状態を示したが、さらに脚部１７の内側でポスト３が係合されている状態である。図１０に示すように、ポスト回動用軸棒１４は、隅柱の側面から（この場合、可倒部１６の側面に形成された短穴１８および脚部１７の側面に形成された孔２０を通して）ポスト３の長穴１３に嵌入している。このポスト回動用軸棒１４により、隅柱４ＦＲの可倒部１６および脚部１７、ならびにポスト３が互いに係合して一体となっている。
【００６６】
ポスト３を直立させる場合は、脚部１７の筒状部１２’の中にポスト３の下端部が挿入され、安定して固定して支持できるようになっている。このようにポスト３は下端部を脚部１７で支持されており、それより上方において、脚部１７により支持されたコの字型の可倒部１６により囲われている。
そして、ポスト３をパレット２上に内側へ折り畳む場合は、直立したポスト３を脚部１７の筒状部１２’からコの字部まで引抜き、開口部１５の方に倒すことができる。ポスト３の折り畳み方は他のポストのときと同様である。図１１に可倒部１６を有する隅柱４ＦＲで支持されるポスト３を折り畳んだときの状態を示す。
【００６７】
また、図１２に、さらに隅柱４ＦＲの可倒部１６を内側に折り畳んだ状態を示す。折り畳むときの可倒部１６の上下動および回動の仕方は上述したとおりである。
可倒部１６は、元々ポスト３を囲うように全体がコの字型の形状となっているので、折り畳んだとき、図１２に示すように、直立しているときと同様にポスト３を囲うことができる。すなわち、折り畳まれたポスト３と重なるようにして可倒部１６を折り畳むことができる。このため、可倒部１６を折り畳んだ際に、パレット２（あるいはポスト３）よりも上方に大きく可倒部１６が突出しておらず、荷物の出し入れ等をする際にほとんど邪魔にならずに済む。さらには、ポスト３の長さやその保護の必要性に応じて、十分な長さの可倒部１６を確保することができる。長い可倒部１６であっても、高さ方向においてポスト３と重ねることができるので、折り畳んだときにやはり作業の邪魔にはならない。また、幅が狭い空間内（例えば、ポストパレットと同程度の幅）であっても、可倒部１６を回動させて折り畳むことができる。
【００６８】
また、このような構造とすることで、作業性の確保のために、必要以上に広い幅を有するポストパレットとなるのを防ぐことができる。すなわち、ポストパレットのサイズを可能な限り小さくすることができ、同じ大きさの荷物を積載する場合であっても、よりコンパクトなポストパレットを用いることができるので、コンテナ等への平積み台数を一層増加させることができる。
【００６９】
これに対して、図２２、２３に示すように隅柱の上部を外側に倒す従来品では、外側に倒した場合、隅柱下部と係合する箇所がパレットの高さ位置から突出しており、隅柱の破損や作業効率の低下につながってしまう。さらには、外側に倒す隅柱上部を必要に応じて長くした場合、その長さによっては、外側に倒したときに地面と垂直になるまでに倒しきれず、斜めに倒れた状態になってしまう。すなわち、水平方向に大きく場所をとってしまい、作業の邪魔になるし、接触して破損しやすくなる。これに対して隅柱下部を長くすれば、隅柱上部を垂直方向にまで倒すことができたとしても、当然隅柱下部の高さ位置が高くなり、やはり隅柱の破損や作業効率の低下につながる。また、幅が狭い空間内では、そもそも隅柱上部を外側に向かって回動させて倒すことができない。
【００７０】
さらには、従来品では隅柱上部と下部を係合させるのに、蝶番やピン、ピンをさす筒、チェーン等、細かい部品数が多くて紛失しやすく、破損の可能性も高くなる。
しかしながら、本発明のポストパレット１であれば、可倒部１６を脚部１７に係合させる場合、可倒部受け３１（底面支持板３２、側面支持板３３）、また、必要に応じて可倒部１６の下方の厚さ調節のためのカバー３６だけで足り、しかもそれぞれ溶接により固定されているため、紛失することもない。この点からも破損が生じ難く、ひいてはコスト削減につなげることができる。
【００７１】
なお、上述したように、ここでは前面側であり右側の隅柱４ＦＲのみが可倒部１６を有する場合について説明したが、本発明においては、この他、左側の隅柱４ＦＬのみが可倒部を有するものとすることができる。また、さらには左右両方の隅柱４ＦＲ、４ＦＬが、各々、可倒部を有するものとすることができる。
【００７２】
特には、前面側の左右の隅柱４ＦＲ、４ＦＬの両方において、各々、可倒部を有している場合、荷物の出し入れ等の作業時に、左右両側のポスト３および可倒部１６を内側に折り畳むことができるので、左右両側において邪魔するものがなく、極めて効率的に作業を行うことができる。図１９に、前面側の左右両方のポストおよび可倒部が折り畳まれている状態の一例を示す。図１９のように、前面側の全てのポスト、隅柱の可倒部を折り畳んでおけば、当然左右両側から荷物の出し入れを行いやすく、また、正面側からも出し入れを行いやすい。
しかも、可倒部は内側に倒すので、左右両側において、ポストパレット１の外側に作業の邪魔をするものがない。
【００７３】
ところで、図６（Ａ）のように、前面側のポスト３ＦＬ、３ＦＲを回動させて折り畳んだ時、パレット２に設けられた緩衝材７が、これらのポスト３ＦＬ、３ＦＲよりも高く位置している場合、双方のポストが邪魔になることなく、緩衝材７の上に荷物を出し入れすることができるので好ましい。図６（Ｃ）に、緩衝材７がポスト３ＦＬ、３ＦＲよりも高い位置に設けられた場合の、双方のポストと緩衝材の位置関係の一例を示す。さらには、図１９に示すように、同様に、隅柱４ＦＬや４ＦＲを内側に折り畳んだ場合においても、緩衝材７が高くなるようにすると良い。
【００７４】
また、後面側のポスト３ＲＬ、３ＲＲにおいてロック機構を設けることができる。
図１３にそのロック機構の一例を示す。ポストパレット１の前面側から見た図であり、左方のポスト３ＲＬを例に挙げている。隅柱４ＲＬの側面に、ポスト固定ピン２１を水平方向にスライドさせて挿入することができるよう差込口２２が形成されており、ポスト３ＲＬが直立して隅柱４ＲＬに固定する場合、この差込口２２にポスト固定ピン２１を挿入してポスト３ＲＬの対応箇所に設けられた穴にポスト固定ピン２１が入ることでロックできるようになっている。
【００７５】
次に、サイドボード機構５、５’について述べる。
左右の各サイドボード機構５、５’（左が５、右が５’）は、図１、およびサイドボード機構の概略を示す図１４の平面図にあるように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード２４、パレット２に形成され、ポストパレット１の横方向（左右方向）に延びるレール２５、レール２５を囲い、レール２５に沿ってスライド可能に配置されているレール受け２６、そして、このレール受け２６と上記サイドボード２４とを連結するアーム２７により構成されている。
【００７６】
サイドボード２４には荷物側の表面には緩衝材７が貼り付けられており、荷物を傷つけることなく横から支えることができるようになっている。ここで、図１５にサイドボード２４を裏面側から見た場合のサイドボードおよびレールの関係を示す。サイドボード２４の裏面側の下面中央には、ばね仕掛けで出し入れ可能なピン（サイドボード固定用ピン２８）が設けられている。
また、レール２５には、少なくともサイドボード固定用ピン２８を挿入することができる大きさを有するレール穴２９が形成されている。このレール穴２９の数は特に限定されず、レール２５に沿って、複数設けることができる。
【００７７】
また、図１６に、図１４のＡ矢印から見た場合のレール２５、レール受け２６およびアーム２７の断面図を示す。レール受け２６は、レール２５を囲うように筒形状に形成されており、レール２５に沿ってスライドすることができる。このレール受け２６の筒形状部から両側に延びた鉤型の端部２６’は、サイドボード回動用軸棒３０を介してアーム２７と連結されている。
また、アーム２７の他方は、サイドボード２４と連結されており（溶接されている）、サイドボードはアーム２７と一体となっている。
【００７８】
以上のような構成によって、レール受け２６をレール２５に沿ってスライドさせた場合、レール受けと連結したアーム２７、さらにはこのアーム２７と連結したサイドボード２４を、同様にしてレール２５に沿ってスライドさせることが可能である。
そして、サイドボード２４に設けられたサイドボード固定用ピン２８を適切なレール穴２９に挿入することによって、サイドボード２４を所望の位置に固定させることが可能である。この固定位置はパレット２に載上させる荷物の横幅等に応じて適宜決定することができる。固定位置を変更するときは、サイドボード固定用ピン２８をレール穴２９から一旦抜き出し、スライドして位置調整を行った後、別のレール穴２９に挿入することで簡単に行うことができる。
【００７９】
また、レール受け２６とアーム２７は、図１６に示すように、サイドボード回動用ピン３０で連結されていることから、このサイドボード回動用ピン３０を軸として、アーム２７をポストパレット１の内側に向かって回動させることが可能である。このとき、上述したように、サイドボード２４はアーム２７と連結されているので、アーム２７と一体となって回動することになる。このように、アーム２７およびサイドボード２４を内側に回動させることにより、パレット２上にサイドボード機構５、５’を折り畳むことができ、未使用時に一層コンパクトにすることができる。図１７に右側のサイドボード機構５’を折り畳んだ場合の様子を示す。図１７はポストパレット１の前面側から見た場合を示している。
【００８０】
そして、サイドボード２４と連結されているアーム２７が、レール受け２６とサイドボード回動用軸棒３０にて連結されている構造をとっているため、サイドボード回動用軸棒３０とサイドボード２４とはアーム２７によって離れた位置にて連結されており、サイドボード２４が作業時に簡単に内側へ倒れることを防ぐことができる。
【００８１】
なお、左右のサイドボード機構５、５’において、アーム２７の長さは左右で異なったものとすることができる。このような構造にすれば、すなわち、例えば右のサイドボード機構５’のアーム２７をより長くすれば、サイドボード２４をパレット２から右方向により一層離れた位置（パレットの外側）に配置することができ、サイドボード２４が邪魔になることなく、荷物の出し入れをより簡単かつ安全に行うことが可能になり、効率的に作業を進めることができる。
また、左右のサイドボード機構５、５’が左右連動して、例えば、上記のレール２５に沿ってサイドボード２４をスライドさせることが可能なものとしても良い。
これらの左右のサイドボード機構５、５’における形状差や連動性は、作業の効率性や製造に要するコスト、積載する荷物の種類等を考慮して、適宜決定することができる。
【００８２】
なお、サイドボード機構の他の一例としては、図２７に示すようなものが挙げられる。まず、図２７（Ａ）にサイドボード機構５’’の概略を示す平面図を示す。
図２７（Ａ）に示すように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード２４、パレット２に形成され、ポストパレット１の横方向（左右方向）に延びるレール２５、レール２５を囲い、サイドボード２４に直接取り付けられた連結部材４０により構成されている。
【００８３】
また、図２７（Ｂ）は、図２７（Ａ）のＡ’矢印から見た場合のレール２５、連結部材４０の断面図を示したものである。
連結部材は、１つの部材からなるものとすることができるし、あるいは、例えば図２７（Ｂ）に示すように、複数の部材（連結用上部材４１、連結用下部材４２）からなるものとすることもできる。図２７に示す例では、ボルトおよびナットにより、レール２５を囲うようにして連結用上部材４１と連結用下部材４２が連結されることで連結部材が構成されている。そして、連結用上部材４１の端はサイドボード２４に取り付けられている。
このような構造によっても、レール２５に沿ってサイドボード２４をスライドさせることが可能である。なお、その他、サイドボードを固定するための仕組み等については図１５等に示す例と同様のものとすることができる。
【００８４】
そして、以上詳述してきたパレット２、ポスト３、隅柱４、サイドボード機構５、５’は一体化されたものであるのが望ましい。特に、従来品では、ポスト３やサイドボード機構のサイドボード２４等は、分離可能なものであり、それ故分離した際に紛失してしまうことがあったが、本発明ではこれらが一体化されたものであるため、そもそも部品が分離することはなく、したがって、部品の紛失が発生するのを効果的に防止することができる。
【００８５】
以下、このような本発明のポストパレット１に荷物を載上する手順について述べる。ポストパレット１に載上する荷物は特に限定されないが、例えば複数枚のガラス基板をスタックしてブロック状とした荷物を載上する場合を例に挙げて述べる。
まず、荷物であるガラス基板は、基板同士を、間にガラス基板よりも一回り大きいポリエチレンシートを挟んだ状態で重ね合わせてスタックし、この重ね合わせたガラス基板全体をさらにビニールシートで包み込む。その後、ＰＰバンドで縛ることにより、ブロック状にまとめておく。
【００８６】
一方、ポストパレット１においては、まず、前面側の右側のポスト３ＦＲを内側に折り畳み、さらに隅柱４ＦＲの可倒部１６を内側に折り畳んだポスト３ＦＲ上に折り畳んでおく。他のポスト３は直立状態に固定させておけば良い。また、右側のサイドボード機構５’においては、レール受け２６をレール２５の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、サイドボード２４をパレット２から離しておく。
【００８７】
このようにして、荷物の出し入れを行いやすいように準備をした後、実際に荷物をパレット２上に載せる。例えば人の手やフォークリフト等を用いて載上すれば良い。そして、荷物は、背面側を背もたれ６に立てかけ、左右の側面側はサイドボード機構５、５’を用いて左右から挟んで支持する。このとき、サイドボード固定用ピン２８をレール穴２９に挿入することでサイドボード２４の位置を適切な位置で固定する。
また、最初に折り畳んでおいた前面側の右側の隅柱４ＦＲの可倒部１６を起こし、脚部１７と係合して固定する。また、ポスト３ＦＲを起こし、下端部を隅柱４ＦＲに挿入することで固定し、直立させる。
そして、載上した荷物をＰＰバンド等を用いてポストパレット１ごと縛り付け、さらに安定化させた後、フォークガイド１０にフォークリフトの爪を挿し込み、フォークリフトを用いてポストパレット１ごと荷物を搬送する。
【００８８】
また、前面側の両方の隅柱４ＦＬ、４ＦＲを折り畳んで荷物の出し入れ作業を行う場合について述べる。例えば、まず、前面側の右側のポスト３ＦＲおよび左側のポスト３ＦＬを互いに内側に折り畳んで重ねる。さらには、右側の隅柱４ＦＲの可倒部１６は、内側に折り畳んだポスト３ＦＲ上に折り畳み、左側の隅柱４ＦＬの可倒部を、内側に折り畳んだポスト３ＦＬ上に折り畳む。他の後面側のポスト３は直立状態に固定させ、右のサイドボード機構５’については、上記と同様にレール受け２６をレール２５の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、また、左側のサイドボード機構５については、レール受け２６をレール２５の可動範囲の最も左側にスライドしておくことにより、サイドボード２４をパレット２から離しておく。
【００８９】
このようにして、前面の全体から、あるいは左右の両側から荷物の出し入れを行いやすいように準備し、荷物をパレット２上に載せる。
その後、左右のサイドボード機構５、５’のサイドボード２４を適切な位置で固定して荷物の側面を支持する。また、最初に折り畳んでいた前面側の左右の隅柱４ＦＬ、４ＦＲの可倒部１６を起こして脚部１７と係合して固定し、さらにポスト３ＦＬ、３ＦＲを起こし、それぞれ、下端部を隅柱４ＦＬ、４ＦＲに挿入して固定し、直立させる。
そして、上記と同様に、フォークリフトを用いてポストパレット１ごと荷物を搬送することができる。
【００９０】
また、一方、搬送先から返却をする場合など、荷物を載上しないときは折り畳んでコンパクト化しておく。例えば、まず、サイドボード２４とアーム２７を内側に回動させることにより、サイドボード機構５、５’をパレット２上に折り畳む。そして、前面側のポスト３ＦＬ、３ＦＲを隅柱４ＦＬ、４ＦＲのコの字部１１まで引き抜き交互に内側に折り畳み、背面側のポスト３も同様にして前方に向かって回動させて、サイドボード機構５、５’の上に覆い被さるようにして折り畳むことができる。
このような状態であれば、ポストパレット１の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができ、特に海外に荷物を搬送する場合において、コスト面から、ワンウェイパレットとしてではなく、搬送先から返却させるリターナブルパレットとして使用することが可能になる。
【００９１】
ポストパレット１同士を積み上げた状態の一例を図１８に示す。
ポストパレットの隅柱の下端は下向きの椀形状を有しており、該椀形状に、他のポストパレットの隅柱の上端が嵌め込み自在になっている。すなわち、下段のポストパレットの隅柱の上端を、上段のポストパレットの隅柱の下端に挿し込んで嵌めることで安定して積重ねられる。
【００９２】
このとき、隅柱の上端に、例えばペンキ等でマークが施されていれば、段積みするにあたって、段積みできるように隅柱が立っているかどうか（可倒部が脚部に支持されて立っているかどう）を一目で確認することができる。さらには、正確に安定して段積みした場合に、該マークが隅柱の下端のお椀状のなかに隠れるようにマーキングされていれば、正確に段積みされているかどうかを一目で簡単に確認することができ、より安全性を高めることができる。
【００９３】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【００９４】
１…本発明のポストパレット、 ２…パレット、 ３…ポスト、
４…隅柱、 ５、５’、５’’…サイドボード機構、 ６…背もたれ、
７…緩衝材、 ９…補助部材、 １０…フォークガイド、
１１…コの字部、 １２、１２’…筒状部、 １３…長穴、
１４…ポスト回動用軸棒、 １５、１５’、１５’’…開口部、
１６、１６’…可倒部、 １７、１７’…脚部、
１８…短穴、 １９、１９’…頭部、 ２０…孔、
２１…ポスト固定ピン、 ２２…差込口、 ２４…サイドボード、
２５…レール、 ２６…レール受け、 ２６’…鉤型の端部、
２７…アーム、 ２８…サイドボード固定用ピン、 ２９…レール穴、
３０…サイドボード回動用軸棒、 ３１…可倒部受け、
３２、３２’…底面支持板、 ３３…側面支持板、 ３４…底面支持板の外面、
３５…隙間、 ３６…カバー、 ３７…段、 ３８…可倒部下端の凸形状、
３９…頭部の凹形状、 ４０…連結部材、
４２…連結用上部材、 ４３…連結用下部材。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、パレットの４隅にポストを有するポストパレットに関し、特には、パレット上への荷物の出し入れが簡単であり、かつ、未使用時のコンパクト化が可能なポストパレットに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年の国内や海外の流通の発展に伴い、例えばガラス基板等の荷物の搬送にあたっては、パレットの４隅に直立するポストを設けた、いわゆるポストパレットが多用されてきた。このようなポストパレットとしては、例えば特許文献１に開示されたものが挙げられる。
【０００３】
図２０に、従来のポストパレットの一例の概略を示す。
このスチール製のポストパレット１０１は、全体として、搬送する荷物を載上するための矩形状のパレット１０２の４隅に、それぞれ４本のポスト１０３が直立した構造となっている。
この４本のポストのうち、ポストパレット１０１の前面側の一方（ここでは、右手のポスト１０３ＦＲ）以外の３本は隣り合うポストと補助部材１０９で連結されている。
また、ポストパレット１０１の左右の側面側には、サイドボード１０５が備えられている。各ポスト１０３の側面には、２枚で１組のボード差し込み用の板状部材１０５’が設けられており、サイドボード１０５はこの２枚の板状部材１０５’の間に差し込まれてポスト間に固定される。
【０００４】
また、ポストパレット１０１の後面側（背面側）には、補助部材１０９とパレット１０２を連結し、荷物の背面側を支持するための背もたれ１０６を有しており、背もたれ１０６の表面には緩衝材（ポリエチレンの発泡体）が設けられている。
さらに、パレット１０２には、荷物が載上される箇所には、荷物が滑るのを防止するために、パレット１０２の表面に緩衝材を設け、その上に、滑り止めのためのゴムシートが設けられている。
【０００５】
そして、上記のポスト１０３ＦＲは、図２１の説明図に示すように、２つ（ポスト部１０３ＦＲａ、脚部１０３ＦＲｂ）に分離可能なものであり、ポスト部１０３ＦＲａを筒状の脚部１０３ＦＲｂの内側に抜き差しすることで着脱可能になっている。パレット１０２上に荷物を出し入れする時には、このポスト部１０３ＦＲａを引き抜くことで外して作業を行い、ポスト部１０３ＦＲａが邪魔になるのを防ぐことができるようになっている。
一方、残りの３本のポスト１０３は、パレット１０２や補助部材１０９と溶接されており、取り外すことはできずに互いに固定されている。
また、荷物はビニール等で包装され、ＰＰバンド等で縛られた後、ポストパレット１０１上に載上され、ポストパレット１０１ごとＰＰバンドでさらに縛られて固定される。
【０００６】
従来では、このようなポストパレット１０１を用いて荷物を国内や海外へと搬送していた。そして、特に、海外へ搬送する場合、荷物とともに搬送したポストパレットを搬送先から返却しようとしてもコストが高くかかってしまうため、一般的には海外へ送られたポストパレットは返却させることはなく、海外へ送ったきりとし、いわゆるワンウェイパレットとして用いられてきた。
【０００７】
しかしながら、このように搬送先からポストパレットの回収を行わないと、使い捨てとなるわけだから、その分だけコストはかかってしまう。また、近年、流通業界においてコスト競争が増しており、このような面からも、荷物の搬送に要するコストの低減が望まれている。
また、図２０、２１等に示すように、ポストのポスト部１０３ＦＲａやサイドボード１０５など分離可能な部品があるが、むしろこのような構造としたために部品を紛失してしまうという問題が発生してしまっていた。また、組み立てには、これらの部品をまず探し出す必要があり、作業に時間を要してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開平０９−２１６６３０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクト化して一度に可能な搬送量を増やすことで、搬送先からの返却時等に要するコストを削減し、その結果、パレットのリターナブル化、搬送全体に要するコストの低減化を図ることができるとともに、かつ、簡単に組み立てることができ、しかも荷物の搬出入も容易なポストパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するために、本発明は、荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、前記４本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた２本において、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、少なくとも一方の隅柱は、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであり、後面側の２本のポストおよび隅柱においては、前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレットを提供する。
【００１１】
このように、本発明のポストパレットでは、まず、矩形状のパレット、そしてその４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、ポストパレット前面側の２本のポストおよび隅柱において、隅柱は各々開口部が内側を向いて対向しており、ポストがパレット上へ互いに内側に折り畳み自在になっている。さらに、後面側の２本のポストおよび隅柱においては、隅柱は各々開口部が前方に向いており、ポストがパレット上へ双方とも前方に折り畳み自在になっている。
【００１２】
すなわち、パレットの４隅に直立するポストはそれぞれパレット上に折り畳むことが可能であり、例えば、荷物の搬送先から単にポストパレット自体を返却するときのように、荷物を載せていない場合、折り畳んでコンパクトにすることができ、コンテナ等に一度に積み込む量を増やすことが可能である。したがって、荷物を載せていない場合でも形状が固定されていて、コンテナへの積み込み量を増やすことができない従来品とは異なり、搬送先からの返却に伴うコストを著しく低減することができる。この結果、コスト面から、特に、搬送先が海外であっても、送ったきりのワンウェイパレットとしてではなく、返却して再度利用するリターナブルパレットとすることができる。このため、最近の環境問題の解決方法の一つであるリユースが可能なものとなる。
【００１３】
さらに、ポストパレット前面側の少なくとも一方の隅柱は、内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するので、ポストをパレット上へ折り畳むとともに、さらにその上に可倒部を折り畳んでおけば、隅柱の可倒部が邪魔になることなく、パレット上への荷物の出し入れが非常に容易となり、作業効率が著しく上がる。特には、隅柱を内側に向かってポスト上に折り畳むことができるので、例えば外側に可倒部を倒す場合に比べて、隅柱を折り畳んで作業を行っているときに、ポストパレットの外側において、フォークリフトや作業員の足等に接触することをより効果的に防ぐことができ、可倒部が破損するのを防止できる。
【００１４】
なお、分離するポストのポスト部１０３ＦＲａ（図２１参照）を有する従来品とは異なり、本発明ではポストはいずれも折り畳み自在なものであり、可倒部を内側へ折り畳むことができるものであるため、例えば荷物をパレット上に載せるときに分離して、その後分離したポストを紛失することは起きないし、荷物を搬送する場合には、折り畳んだ状態のポストや、内側に折り畳んだ状態の隅柱を起こして組めばいいだけであるので簡単である。
【００１５】
このとき、前記前面側の２本の隅柱は、各々、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであるのが好ましい。
このようなものであれば、例えば荷物の出し入れ等の作業時に、前面側の２本のポストを内側に折り畳むとともに、前面側の２本の隅柱の両方の可倒部を内側に向かって折り畳むことができる。すなわち、前面側の左右のどちら側においても、ポストも隅柱も内側に折り畳むことが可能となり、作業の邪魔になるのを一層防ぐことができ、作業効率を極めて高めることが可能になる。
【００１６】
また、前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記ポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものとすることができる。
【００１７】
このようなものであれば、ポスト回動用軸棒により、ポストと隅柱をより確実に一体化させ、ポストが分離されて紛失することもない。かつ、ポストを隅柱によって直立に固定できる一方で、引抜かれてパレット上へと折り畳み可能なものとなる。
【００１８】
また、前記可倒部を有する隅柱は、可倒部を支持する固定された脚部を有しており、該脚部は、可倒部の内寸よりも小さい外寸を有する頭部と、該頭部を囲うようにして嵌められた可倒部を支持する可倒部受けを有しており、前記ポスト回動用軸棒が、可倒部の側面に形成された短穴から、脚部の頭部の側面に形成された孔を通して、前記ポストの長穴に嵌入していることにより、可倒部は固定された脚部に対し回動上下動可能に連結され、前記脚部の頭部を囲うようにして嵌められた可倒部は、前記可倒部受けから引抜かれて前記折り畳まれたポスト上に回動可能なものとするのが好ましい。
【００１９】
このようなものであれば、隅柱において、ポスト回動用軸棒により、ポストも含め、可倒部と固定された脚部をより確実に一体化させ、可倒部が分離されて紛失することもない。かつ、可倒部を、脚部の頭部を囲うようにして嵌めつつ可倒部受けで支持することができ、可倒部を脚部に固定することができる。その一方で、可倒部を可倒部受けから引抜き、内側に折り畳まれたポスト上に折り畳むことが可能なものとなる。
【００２０】
さらには、前記脚部の可倒部受けは、可倒部の底面を支持する底面支持板と可倒部の側面を支持する側面支持板を有し、前記底面支持板は、前記隅柱の開口部の反対側に固定されており、さらに前記側面支持板が底面支持板の外面に固定されていることにより、前記頭部と前記側面支持板とで隙間が形成されており、前記可倒部は、前記頭部と側面支持板により形成された隙間に嵌められて、底面が底面支持板で支持されるものであるのが好ましい。
【００２１】
このようなものであれば、可倒部受けとして、脚部の頭部と側面支持板との隙間に可倒部を嵌めることができ、可倒部の底面を底面支持板で支持することができるので、可倒部をより確実に脚部に固定することができる。また、ポスト、さらには可倒部に対して、特には隅柱の開口部の反対側の方向にかかる負荷がかかっても側面支持板により支えることができる。
【００２２】
このとき、前記可倒部は、少なくとも前記短穴が形成された側面において、下端が下に凸の形状を有しており、前記脚部の頭部は、少なくとも前記孔が形成された側面において、前記可倒部の下端の凸形状に対応した凹形状をさらに有しており、前記可倒部は、前記頭部に嵌められるときに、前記下端の凸形状が前記頭部の凹形状に嵌合されて固定されるものであるのが好ましい。
【００２３】
このようなものであれば、可倒部が脚部の頭部に嵌められるときに、可倒部の下端の凸形状が頭部の凹形状に嵌合されて固定されるので、可倒部の位置決めがより安定してなされ、脚部への固定がより一層確実なものとなる。
【００２４】
また、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる。
【００２５】
このように、さらに、荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しているものであれば、荷物をより安定させて搬送することができるので望ましい。そして、上記のような各サイドボード機構であれば、荷物を支持するサイドボードが、ポストパレットの横方向に延びるレールに沿ってスライド可能なレール受けとアームを介して連結されているため、サイドボードもレールに沿ってスライド可能である。さらには、各々のレールにはレール穴が形成され、サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、サイドボードの位置が固定されるものであるので、例えば荷物の横幅に合わせ、サイドボード固定用ピンを抜き挿しして、サイドボードをスライドしてその位置を調整するとともに、固定することが可能であり、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させることができる。
【００２６】
また、前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであるのが好ましい。
このようなものであれば、アームおよびサイドボードが、サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なので、サイドボード機構を有していても、アームやサイドボードをパレット上に回動することにより畳むことができ、荷物がない時に、一層コンパクト化が可能なものとなる。
【００２７】
また、前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲い、前記サイドボードに直接取り付けられた連結部材を備えており、前記連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、前記サイドボードが前記レールに沿ってスライド可能なものであって、前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものとすることができる。
【００２８】
上記のようなサイドボード機構を左右に有するものであれば、サイドボードに直接取り付けられた連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、サイドボードもレールに沿ってスライド可能であり、サイドボードの位置を固定することもでき、荷物を横方向から確実に挟んで安定化させて搬送することが可能である。
【００２９】
また、前記左右のサイドボード機構において、前記アームまたは前記連結部材の長さが左右で異なるものとすることができる。
このように、アームまたは連結部材の長さが左右のサイドボード機構で異なるもの、例えば、左右のうち、荷物の出し入れをする側の方を長くしておけば、サイドボードをパレットから十分に離すことができ、より一層荷物の出し入れ作業の邪魔にならないようにすることができる。
【００３０】
また、前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであるのが望ましい。
このように、パレット、ポスト、隅柱、サイドボード機構が一体化されたものであれば、これらの部品が分離することもなく、部品の紛失を防ぐことができる。一体化されているため、従来のように分離した部品を探す手間も省くことができ、効率良く部品の組み立て作業を行うことができる。
【００３１】
また、前記パレットにフォークガイドが設けられたものであるのが好ましい。
このように、パレットにフォークガイドが設けられたものであれば、荷物を載上したポストパレット、あるいはポストパレット自体をフォークリフトを用いて容易に安定して運ぶことが可能である。
【００３２】
また、前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであるのが好ましい。
このように、パレットが荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材が、パレット上へ互いに内側に折り畳まれたポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであれば、前面側の２本および隅柱を折り畳んだときでも、ポストが邪魔にならずに荷物の出し入れをすることが可能である。
【発明の効果】
【００３３】
本発明のポストパレットであれば、コンパクト化することができ、パレットのリターナブル化や搬送全体に要するコストの低減を図ることができる。さらに、組み立てが簡単であるとともに、荷物の搬出入を非常に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明のポストパレットの全体の一例を示す概略図である。
【図２】ポストの一例を示す概略図である。
【図３】隅柱の一例を示す概略図である。
【図４】ポストが直立して固定されている状態を説明する説明図である。
【図５】ポストが回動している状態を説明する説明図である。
【図６】（Ａ）前面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。（Ｂ）後面側のポストが折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。（Ｃ）折り畳まれた前面側のポストと緩衝材との位置関係の一例を示す説明図である。
【図７】可倒部を有する隅柱の一例を示す説明図である。
【図８】可倒部と脚部が係合し、脚部によって可倒部が支持されている状態を示す説明図である。
【図９】可倒部が脚部の可倒部受けから引抜かれて回動している状態を示す説明図である。
【図１０】可倒部を有する隅柱とポストが係合している状態を示す説明図である。
【図１１】可倒部を有する隅柱で支持されるポストを折り畳んだときの状態を示す説明図である。
【図１２】可倒部を有する隅柱で支持されるポストおよび可倒部を内側に折り畳んだときの状態を示す説明図である。
【図１３】後面側の左側のポストおよび隅柱におけるロック機構の一例を示す説明図である。
【図１４】サイドボード機構の一例を示す概略図である。
【図１５】サイドボードとレールの関係を示す説明図である。
【図１６】レール、レール受け、アームの関係を示す説明図である。
【図１７】サイドボード機構のアームおよびサイドボードが回動している状態を説明する説明図である。
【図１８】本発明のポストパレットが折り畳まれて積み上げられた状態を示す説明図である。
【図１９】前面側の左右両方のポストおよび可倒部が折り畳まれている状態の一例を示す説明図である。
【図２０】従来のポストパレットの一例を示す概略図である。
【図２１】従来のポストパレットのポストの一例を示す説明図である。
【図２２】従来の他のポストパレットにおける前面側の右側の隅柱において、隅柱上部が隅柱下部と係合してピンで固定されている状態を説明する説明図である。
【図２３】従来の他のポストパレットにおける前面側の右側の隅柱において、隅柱上部が倒れた状態を説明する説明図である。
【図２４】可倒部の他の一例を示す概略図である。
【図２５】（Ａ）開口部の反対側から見た可倒部の概略図である。（Ｂ）可倒部と脚部が係合する様子を示す説明図である。
【図２６】（Ａ）短穴が形成された側面の側から見た可倒部の概略図である。（Ｂ）孔が形成された側面の側から見た脚部の概略図である。（Ｃ）可倒部と脚部が係合した状態を示す説明図である。
【図２７】（Ａ）サイドボード機構の他の一例を示す概略図である。（Ｂ）レール、連結部材の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００３５】
以下では、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図２０に示すような従来のポストパレット１０１は、いわゆるワンウェイパレットとして用いられ、コストがかかってしまっていた。かつ、図２０、２１等に示すようなポスト部１０３ＦＲａ等の分離可能な部品が紛失したり、組み立て作業に時間がかかるという問題があった。
【００３６】
また、特開２００８−２６０５３７号公報のように、ポストをパレット上に倒すことが可能であるとともに、ポストパレット前面側のいずれか一方のみの隅柱において、その上部を、蝶番によってポストパレットの外側へ倒すことが可能な構造のものが開示されている。図２２にこのポストパレットの隅柱の一例を示す。
【００３７】
図２２に示すように、隅柱２０４は隅柱上部２１６と固定された隅柱下部２１７を有しており、蝶番２１８によって隅柱下部２１７と隅柱上部２１６を係合させ、各々に備えられた筒２２０にピン２２１を通すことで、隅柱下部２１７の上に隅柱上部２１６を直立に固定している。
そして、荷物の出し入れ等の作業時には、図２３に示すようにピン２２１を抜き、蝶番２１８を介して隅柱上部２１６をポストパレットの外側に倒すことができ、隅柱２０４が作業の邪魔にならないようにされている。
【００３８】
しかしながら、このような従来のポストパレットでは隅柱に破損が生じてしまう。
本発明者らがこの原因について調査を行ったところ、作業時に、ポストパレットの外側に倒した隅柱上部がフォークリフトや作業員の足等に接触することで破損してしまうことが分かった。さらには、隅柱上部において、隅柱下部と係合する箇所（図２３の点線で囲った箇所）がパレットの高さ位置から出っ張っており、荷物の出し入れの際に接触してしまい破損しやすく、また、作業の邪魔になることが分かった。
【００３９】
そこで、本発明者らは、ポストパレットの外側に隅柱を倒すのではなく、内側に倒し、折り畳まれたポスト上に折り畳むことで、フォークリフトや作業員の邪魔にならず、より効率よく作業を行うことができることを見出した。
また、隅柱の少なくとも上端部がコの字型になっており、ポストパレット上に内側に折り畳まれたポスト上に、そのポストを囲うようにして、同様に内側に向かって隅柱の可倒部を折り畳むことができれば、図２３の点線で囲った箇所のようにパレットの高さ位置からの出っ張りもなくすことができる。すなわち、パレットから内側に折り畳んだ隅柱までの高さ位置を従来に比べて低くすることができ、パレット上への荷物の出し入れ等を行いやすく、さらに作業効率を向上させることが可能である。当然、荷物と隅柱の接触を防ぐことができ、この点においても隅柱の破損を防ぐことが可能であるとともに、荷物を傷つけることも防止される。
本発明者らはこれらのことを見出して本発明を完成させた。
【００４０】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、ここでは、ポストパレットの前面側であり、かつ右側から荷物の出し入れを行う場合に特に適するポストパレットについて説明を行う。すなわち、前面側の右側の隅柱が内側に折り畳み自在な構造のポストパレットの場合である。ただし、左側から荷物を出し入れする場合に対応したものとすることもでき、その場合は左右入れ替えたものとすれば良い。さらには、例えば前面の全体から、あるいは左右の両側のどちらからも荷物の出し入れがし易いように、前面側の左右両方の隅柱を内側に折り畳み自在な構造とすることができる。
【００４１】
図１に本発明のポストパレット全体の一例の概略を示す。
本発明のポストパレット１は、荷物が載上され、荷物の底面を支持する矩形状のパレット２を備えており、その４隅にはポスト３がそれぞれ直立しており、さらに、そのポスト３を囲んで支持する隅柱４を有している。
また、ポストパレット１の左右には、荷物を左右の側面側から挟むようにして支持するサイドボード機構５、５’が設けられている。なお、図１では、左側のサイドボード機構５（右側は５’）のみ図示している。実際には、この左側のものと対峙して右側に同様の機構が設けられている。
【００４２】
なお、このポストパレット１の材料は特に限定されず、荷物を安定して支持することができる強度等を有するものであれば良く、載上する荷物の種類、重量等に応じて適宜決定することができる。材料を木材等とすることもできるが、例えばスチール製のものとすれば、強度も十分で従来からよく用いられている材質であるし、本発明における各構成部品をより簡単に製造することができるので好ましい。ここでは、スチール製のものとして説明をする。
【００４３】
以下、上記の各構成部品についてさらに詳しく述べる。
まず、パレット２は、棒状の部材を用い、これらを溶接等して、図１に示すように格子状のものとなっている。
そして、この格子状パレット２の中央付近には、ポストパレット１の前面側と後面側（背面側）を結んで（すなわち前後方向に）、２本の棒状部材が設けられており、その表面には緩衝材７が貼り付けられている。この緩衝材７が貼り付けられた箇所に荷物を載上し、荷物を傷つけることなく支持することができる。この緩衝材としては、例えば、ポリエチレンの発泡体を用いることができる。また、荷物の滑り止めとして、さらにその上にゴムシート等を接着しても良い。緩衝材７や滑り止めの材料は従来と同様のものとすることができる。
【００４４】
また、パレット２にはフォークガイド１０が設けられており、このフォークガイド１０にフォークリフトの爪を挿し通してパレット２を持ち上げて搬送できるようになっている。フォークガイド１０の位置や数等は適宜決めることができ、使用するフォークガイド等に応じて設ければ良い。
【００４５】
なお、パレット２において、上記緩衝材７を表面に貼り付ける箇所や、構成する棒状の部材の本数等は特に限定されず、載上する荷物の大きさ、形状、重量等に応じて適宜決定することができる。
また、パレット２は荷物を支持することができるものであれば良く、図１のような格子状のものに限定されない。例えば、面状のものを用いることもできる。製造コストや重量、強度、さらには搬送のし易さ等を考慮し、適切なものとすることができる。
このパレット２は、後に詳述するサイドボード機構５のレール２５の箇所以外は、例えば従来と同様の構造とすることができる。
【００４６】
次に、ポスト３および隅柱４について述べる。
最初に、全てのポスト３および隅柱４に共通する主な特徴について、図２、図３を用いて説明する。なお、本発明のポストパレットにおいては、前面側に備えられた２本の隅柱のうち、少なくとも一方の隅柱が内側に折り畳み自在な可倒部を有している。該可倒部を有する隅柱の場合は他の可倒部を有していない隅柱と構造が異なっているが、隅柱としてのポストとの関係に関しては同様であるので、共通する特徴についてはここでまとめて説明する。可倒部を有する隅柱独特の構造や、ポストとの独特な関係については別に後述する。
【００４７】
図２にポスト３の概略を、図３に隅柱４の概略を示す。
ポスト３は例えば角柱状のものであり、側面に長穴１３がポスト３の長さ方向に沿って形成されている。このポスト３は、隅柱４によって起立して直立した状態で固定、支持される一方で、パレット２上に折り畳むことが可能である。ポスト３の形状は特に限定されないが、角柱状であれば、折り畳んだ時に安定し易い。
【００４８】
そして、４本の隅柱４は上端部にコの字型の形状（コの字部）１１を有しており、これにより、直立したポスト３を隅柱から引き抜いた時に、コの字の開口部１５の方にポスト３を倒すことが出来るようになっている。
さらに、隅柱４の下方は筒状部１２で中空になっており、この中空部にポスト３の下端部を挿入することができ、これによってポスト３を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。また、隅柱４の下方はパレット２と接続されている。それぞれスチール製のものからなる図１のポストパレット１の場合、隅柱４とパレット２は溶接されて固定されている。
なお、隅柱４の下端部はポストパレット１が安定するように台状になっているが、ポストパレット１を安定させることができる形状であれば良い。
そして、隅柱４には、隅柱４の側面から上記ポスト３の長穴１３に嵌入するポスト回動用軸棒１４が挿入されている。なお、図２、３では、ポスト３と隅柱４を別個に図示しているため、ポスト３の長穴１３と隅柱４のポスト回動用軸棒１４が係合していないが、実際には、後述の図４、５に示すように、これらは互いに係合して一体となっている。
【００４９】
ここで、ポスト３における上下動および回動と、隅柱４の関係についてさらに詳述する。
図４にポスト３の下端部が隅柱４の筒状部１２の中空部に挿入され、直立して固定されている状態を示す。また、図５にポスト３の下端部が隅柱４の筒状部１２の中空部からコの字部１１まで引抜かれ、回動している状態を示す。
ポスト３を直立させる場合は、図４に示すように、ポスト３が隅柱４の中空部に挿入され、このとき隅柱４のポスト回動用軸棒１４はポスト３の長穴１３の上方（あるいは上端）に位置することになる。
一方、ポスト３を折り畳む場合は、図５に示すように、まず、ポスト３は、隅柱４の中空部からコの字部１１まで引抜かれ、これによりポスト３の長穴１３の下端にまで相対的に移動した隅柱４のポスト回動用軸棒１４を軸とし、ポスト３を回動することができる。このような構造により、ポスト３を、パレット２から分離することなく隅柱４のコの字部１１の開口部１５の方向に回動させることができる。なお、長穴１３は、図２のような形状とすることもできるし、図４、５のように、例えば先端が切り欠き加工され、くの字に形成されたものとすることもできる。このようなくの字のものであれば、ポスト３を回動させるときに、ポスト３が隅柱４の内面と干渉するのを防ぐことが可能である。
【００５０】
このように、パレット２の４隅に位置するポスト３、隅柱４は、それぞれ上記のような共通する特徴を有している。
図６（Ａ）は、ポストパレット１を前面側から見た正面図である。ただし、分かり易いように、前面側のポスト３（左が３ＦＬ、右が３ＦＲ）、隅柱４（左が４ＦＬ、右が４ＦＲ）とパレット２のみを示している。
図６（Ａ）に示すように、ポストパレット１の前面側に位置する２本の隅柱４ＦＬ、４ＦＲにおいては、各々開口部１５が内側を向いて対向している。このため、各々のポスト３ＦＬ、３ＦＲが折り畳まれる場合、開口部１５の方向、すなわち、いずれもポストパレット１の内側に向って回動し、パレット２上に折り畳むことができる。
【００５１】
また、後面側の２本の隅柱４ＲＬ、４ＲＲにおいては、各々開口部１５がポストパレット１の前方を向いており、各々のポスト３ＲＬ、３ＲＲは、双方とも前方に向って回動し、パレット２上に折り畳むことが可能である。図６（Ｂ）は、後面側の右側のポスト３ＲＲの回動の様子を示したものであるが、後面側の左側のポスト３ＲＬも同様にして回動することができる。
なお、図１、６に示すように、後面側の２本のポスト３ＲＬ、３ＲＲは２本の補助部材９で連結されており、この２本の補助部材９を連結するようにして、荷物の背面側を支持するための板状の背もたれ６が、表面に緩衝材７を有した状態で２本設けられている。背もたれ６は、ポスト３を直立させて固定させた場合、例えば鉛直方向から（ポスト３ＲＬ、３ＲＲから）５°傾くようにして設けられている。このような傾きであれば、ガラス基板等の荷物を背もたれ６に傾けて支持させることが可能である。当然、これら補助部材９や背もたれ６の本数や形状、背もたれ６の傾き具合等は特に限定されない。
そして、これらの背もたれ６等ごと、後面側の２本のポスト３ＲＬ、３ＲＲを一緒に前方に折り畳むことができるようになっている。
【００５２】
なお、ポスト３が回動する軸となる隅柱４のポスト回動用軸棒１４の高さ位置は特に限定されないが、例えば、前面側においては、図６（Ａ）に示すように前面側の右方の隅柱４ＦＲにおけるポスト回動用軸棒１４の高さ位置よりも、左方の隅柱４ＦＬにおけるポスト回動用軸棒１４の高さ位置が高くなるようにして設けることができる。このようなものであれば、折り畳んだ時に各々のポスト３ＦＬ、３ＦＲが平行に積み重なり、よりコンパクトに折り畳むことが可能であるため好ましい。
また、後面側においても、ポスト３の長穴１３は、くの字に曲がって形成されており、ポスト３を前方に折り畳むとき、また、逆に組み立てるときに、ポスト３が隅柱４の内面と干渉するのを防ぐことができる。
【００５３】
次に、可倒部を有する隅柱独特の構造やその隅柱に支持されるポストとの独特な関係について説明する。
まず、可倒部を有する隅柱独特の構造について説明する。図７に可倒部を有する隅柱の主な構成部品の一例の概略を示す。前面側の２本の隅柱のうち、少なくとも一方が内側に折り畳み自在な可倒部を有しており、ここでは、前面側の右方の隅柱４ＦＲ（この場合、荷物の出し入れする側に相当する）が可倒部を有する場合について説明する。
この前面側の右方の隅柱４ＦＲは、大きく分けて、可倒部と、それを下方から支持する脚部からなっており、脚部はパレットと接続（溶接）されて固定されている。
図７（Ａ）に可倒部、図７（Ｂ）、（Ｃ）に脚部を示す。
【００５４】
図７（Ａ）に示すように、まず可倒部１６は、ポスト３を囲むように全体がコの字型の形状となっており、ポスト３を折り畳むときにポスト３が倒れる方向、すなわち、ポストパレット１の内側に向かって開口部１５’が設けられている。また、側面には短穴１８が可倒部１６の長さ方向に沿って形成されている。この短穴１８にはポスト回動用軸棒１４が嵌入する。なお、短穴１８の形状等は限定されない。
また、可倒部１６の下方は厚さが増しているが、これは、後述する脚部に備えられた可倒部受けに安定して嵌まって固定されるように調節されたものである。例えば適切な厚さを有するコの字型のカバー３６を可倒部１６の下方の外側に溶接等で設け、可倒部受けに確実に嵌まって固定されるように適宜厚さを調節することができる。
【００５５】
一方、図７（Ｂ）に示すように、脚部１７は、まず頭部１９を有している。該頭部１９は、可倒部１６の内寸よりも小さい外寸を有しており、可倒部１６と脚部１７を係合させる場合、上方から可倒部１６がかぶせられ、可倒部１６により囲まれるようになっている。この頭部１９はポスト３を囲むようにコの字型の形状を有しており、可倒部１６と同様に、ポスト３を折り畳むときにポスト３が倒れる方向、すなわち、ポストパレット１の内側に向かって開口部１５’’が設けられている。
また、側面には孔２０が形成されている。この孔２０にはポスト回動用軸棒１４が嵌入する。
【００５６】
そして、この頭部１９よりも下方では、他の隅柱と同様に筒状部１２’で中空になっており、この中空部にポスト３の下端部を挿入することができ、これによってポスト３を起立させた状態に安定して固定して支持できるようになっている。さらにはパレット２と溶接されて固定されている点、下端部が台状になっている点などについても他の隅柱と同様の構造になっている。
【００５７】
また、脚部１７はさらに可倒部受け３１を有している。この可倒部受け３１は、頭部１９に上方からかぶせられて頭部１９を囲う可倒部１６を支持することができるものであれば良く、特に限定されない。例えば図７（Ｃ）に示すように、可倒部１６の底面を支持する底面支持板３２と、可倒部１６の側面（開口部１５’の反対側の面）を支持する側面支持板３３からなるものとすることができる。
隅柱の開口部の反対側、すなわち、脚部１７における開口部１５’’の反対側の面に、底面支持板３２が溶接等で固定されており、その底面支持板３２の外面３４に側面支持板３３が溶接等により固定されている。側面支持板３３は、その上部が底面支持板３２よりも上方に突き出るように固定されているため、その突き出た側面支持板３３と頭部１９により隙間３５が形成されている。
なお、これらの底面支持板３２、側面支持板３３は形状、大きさ等特に限定されない。例えば側面支持板３３をＴ字型のものとすることができる。
【００５８】
ここで、図８に可倒部１６と脚部１７が係合し、脚部１７によって可倒部１６が支持されている状態を示す。図８に示すように、実際には、可倒部１６の短穴１８と脚部１７の孔２０には、同じポスト回動用軸棒１４が嵌入しており、それによって可倒部１６と固定された脚部１７が一体化し、隅柱４ＦＲを構成している。このとき、ポスト回動用軸棒１４は可倒部１６の短穴１８の上方（あるいは上端）に位置している。
なお、図８からも分かるように、隅柱４ＦＲは上端部にコの字型の形状（コの字部）１５を有しており、隅柱４ＦＲの開口部１５は、可倒部１６の開口部１５’と脚部１７の開口部１５’’が合わさって形成されている。
【００５９】
また、可倒部１６は、脚部１７の上方から頭部１９を囲うようにしてかぶせられており、隅柱４ＦＲの開口部１５の反対側において、頭部１９と側面支持板３３との隙間３５に嵌められて、底面支持板３２により底面が支持され、側面支持板３３により側面（開口部１５’の反対側の面）が支持されている。
【００６０】
ここで、可倒部や脚部に関して、他の実施形態について述べる。
図２４に可倒部の他の一例を示す。図２４に示す可倒部１６’では、長さ方向において途中で段３７が形成されており、この段３７を介して可倒部１６’の上方の内寸が下方に比べて小さくなっている。ただし、上方において、十分ポストを囲うことができる内寸を有している。そして、可倒部１６’と脚部を係合させる場合は、その可倒部１６’の下方の内寸よりも小さい外寸を有する脚部の頭部に、可倒部１６’の下方の部分をかぶせて囲うことができるようになっている。
【００６１】
図２５（Ａ）は、図２４の可倒部１６’をＢ矢印から見た場合である。すなわち、開口部の反対側の面を示すものである。
また、図２５（Ｂ）に、図２４の可倒部１６’と脚部が係合する様子を示す。なお、ここでは、係合時の可倒部１６’と脚部の底面支持板３２’との関係が分かりやすいように、脚部に関しては底面支持板３２’のみを示している。
図２５（Ｂ）に示すように、脚部の底面支持板３２’は、例えば上に凸の形状となっている。一方、図２５（Ａ）に示すように、可倒部１６’は、開口部の反対側の面の側において、底面支持板３２’の凸形状に対応した凹形状を有している。可倒部１６’を脚部に嵌める場合には、その可倒部１６’の凹形状が、脚部の底面支持板３２’の凸形状と嵌合される。これによって、脚部に対して可倒部をより確実に固定して嵌めることができる。
【００６２】
また、図２６（Ａ）に、図２４の可倒部１６’の短穴が形成された側面の下端をより詳細に示す。また、図２６（Ｂ）に、この可倒部１６’が嵌められる脚部１７’の頭部の孔が形成された側面を示す。そして、図２６（Ｃ）に、この可倒部が脚部に嵌められて係合している状態を示す。
まず、図２６（Ａ）に示すように、可倒部１６’は短穴１８が形成された側面において、下端が下に凸の形状（凸形状３８）となっている。
一方、図２６（Ｂ）に示すように、脚部１７’の頭部１９’には、孔２０が形成された側面において、上記可倒部１６’の下端の凸形状３８に対応した凹形状３９が形成されている。この凹形状３９としては、例えばコの字型の部材を溶接等により取り付けることによって備えることができる。
そして、図２６（Ｃ）に示すように、可倒部１６’を頭部１９’に嵌めるときには、可倒部１６’の凸形状３８を頭部１９’の凹形状３９に嵌合することができる。これによって可倒部１６’をより安定して位置固定することができる。
【００６３】
なお、上記可倒部の下端の凸形状や脚部の頭部の凹形状の組み合わせは、短穴や孔が形成された側面のうち片方の面だけに形成されていても良いし、両面に形成されていても良い。さらには開口部の反対側の面に形成することもできる。必要に応じて、具体的な形状や数、どの面に形成するかはその都度決定することができる。
【００６４】
さらに、可倒部の上下動および回動と、脚部の関係について説明する。なお、ここでは図７に示す可倒部１６および脚部１７を例として説明する。
図９に可倒部１６が脚部１７の可倒部受け３１から引抜かれて回動している状態を示す。
可倒部１６をポストパレット１の内側に折り畳む場合は、図９に示すように、まず、可倒部１６は、脚部１７の可倒部受け３１から引抜かれ、これにより可倒部１６の短穴１８の下端にまで相対的に移動したポスト回動用軸棒１４を軸とし、可倒部１６が回動させられる。このような構造により、可倒部１６を、隅柱４ＦＲの開口部１５の方向に回動させることができる。
【００６５】
次に、この可倒部を有する隅柱とポストとの独特な関係について説明する。
図１０に可倒部を有する隅柱とポストが係合している状態を示す。すなわち、図８に可倒部１６と脚部１７が係合し、脚部１７によって可倒部１６が支持されている状態を示したが、さらに脚部１７の内側でポスト３が係合されている状態である。図１０に示すように、ポスト回動用軸棒１４は、隅柱の側面から（この場合、可倒部１６の側面に形成された短穴１８および脚部１７の側面に形成された孔２０を通して）ポスト３の長穴１３に嵌入している。このポスト回動用軸棒１４により、隅柱４ＦＲの可倒部１６および脚部１７、ならびにポスト３が互いに係合して一体となっている。
【００６６】
ポスト３を直立させる場合は、脚部１７の筒状部１２’の中にポスト３の下端部が挿入され、安定して固定して支持できるようになっている。このようにポスト３は下端部を脚部１７で支持されており、それより上方において、脚部１７により支持されたコの字型の可倒部１６により囲われている。
そして、ポスト３をパレット２上に内側へ折り畳む場合は、直立したポスト３を脚部１７の筒状部１２’からコの字部まで引抜き、開口部１５の方に倒すことができる。ポスト３の折り畳み方は他のポストのときと同様である。図１１に可倒部１６を有する隅柱４ＦＲで支持されるポスト３を折り畳んだときの状態を示す。
【００６７】
また、図１２に、さらに隅柱４ＦＲの可倒部１６を内側に折り畳んだ状態を示す。折り畳むときの可倒部１６の上下動および回動の仕方は上述したとおりである。
可倒部１６は、元々ポスト３を囲うように全体がコの字型の形状となっているので、折り畳んだとき、図１２に示すように、直立しているときと同様にポスト３を囲うことができる。すなわち、折り畳まれたポスト３と重なるようにして可倒部１６を折り畳むことができる。このため、可倒部１６を折り畳んだ際に、パレット２（あるいはポスト３）よりも上方に大きく可倒部１６が突出しておらず、荷物の出し入れ等をする際にほとんど邪魔にならずに済む。さらには、ポスト３の長さやその保護の必要性に応じて、十分な長さの可倒部１６を確保することができる。長い可倒部１６であっても、高さ方向においてポスト３と重ねることができるので、折り畳んだときにやはり作業の邪魔にはならない。また、幅が狭い空間内（例えば、ポストパレットと同程度の幅）であっても、可倒部１６を回動させて折り畳むことができる。
【００６８】
また、このような構造とすることで、作業性の確保のために、必要以上に広い幅を有するポストパレットとなるのを防ぐことができる。すなわち、ポストパレットのサイズを可能な限り小さくすることができ、同じ大きさの荷物を積載する場合であっても、よりコンパクトなポストパレットを用いることができるので、コンテナ等への平積み台数を一層増加させることができる。
【００６９】
これに対して、図２２、２３に示すように隅柱の上部を外側に倒す従来品では、外側に倒した場合、隅柱下部と係合する箇所がパレットの高さ位置から突出しており、隅柱の破損や作業効率の低下につながってしまう。さらには、外側に倒す隅柱上部を必要に応じて長くした場合、その長さによっては、外側に倒したときに地面と垂直になるまでに倒しきれず、斜めに倒れた状態になってしまう。すなわち、水平方向に大きく場所をとってしまい、作業の邪魔になるし、接触して破損しやすくなる。これに対して隅柱下部を長くすれば、隅柱上部を垂直方向にまで倒すことができたとしても、当然隅柱下部の高さ位置が高くなり、やはり隅柱の破損や作業効率の低下につながる。また、幅が狭い空間内では、そもそも隅柱上部を外側に向かって回動させて倒すことができない。
【００７０】
さらには、従来品では隅柱上部と下部を係合させるのに、蝶番やピン、ピンをさす筒、チェーン等、細かい部品数が多くて紛失しやすく、破損の可能性も高くなる。
しかしながら、本発明のポストパレット１であれば、可倒部１６を脚部１７に係合させる場合、可倒部受け３１（底面支持板３２、側面支持板３３）、また、必要に応じて可倒部１６の下方の厚さ調節のためのカバー３６だけで足り、しかもそれぞれ溶接により固定されているため、紛失することもない。この点からも破損が生じ難く、ひいてはコスト削減につなげることができる。
【００７１】
なお、上述したように、ここでは前面側であり右側の隅柱４ＦＲのみが可倒部１６を有する場合について説明したが、本発明においては、この他、左側の隅柱４ＦＬのみが可倒部を有するものとすることができる。また、さらには左右両方の隅柱４ＦＲ、４ＦＬが、各々、可倒部を有するものとすることができる。
【００７２】
特には、前面側の左右の隅柱４ＦＲ、４ＦＬの両方において、各々、可倒部を有している場合、荷物の出し入れ等の作業時に、左右両側のポスト３および可倒部１６を内側に折り畳むことができるので、左右両側において邪魔するものがなく、極めて効率的に作業を行うことができる。図１９に、前面側の左右両方のポストおよび可倒部が折り畳まれている状態の一例を示す。図１９のように、前面側の全てのポスト、隅柱の可倒部を折り畳んでおけば、当然左右両側から荷物の出し入れを行いやすく、また、正面側からも出し入れを行いやすい。
しかも、可倒部は内側に倒すので、左右両側において、ポストパレット１の外側に作業の邪魔をするものがない。
【００７３】
ところで、図６（Ａ）のように、前面側のポスト３ＦＬ、３ＦＲを回動させて折り畳んだ時、パレット２に設けられた緩衝材７が、これらのポスト３ＦＬ、３ＦＲよりも高く位置している場合、双方のポストが邪魔になることなく、緩衝材７の上に荷物を出し入れすることができるので好ましい。図６（Ｃ）に、緩衝材７がポスト３ＦＬ、３ＦＲよりも高い位置に設けられた場合の、双方のポストと緩衝材の位置関係の一例を示す。さらには、図１９に示すように、同様に、隅柱４ＦＬや４ＦＲを内側に折り畳んだ場合においても、緩衝材７が高くなるようにすると良い。
【００７４】
また、後面側のポスト３ＲＬ、３ＲＲにおいてロック機構を設けることができる。
図１３にそのロック機構の一例を示す。ポストパレット１の前面側から見た図であり、左方のポスト３ＲＬを例に挙げている。隅柱４ＲＬの側面に、ポスト固定ピン２１を水平方向にスライドさせて挿入することができるよう差込口２２が形成されており、ポスト３ＲＬが直立して隅柱４ＲＬに固定する場合、この差込口２２にポスト固定ピン２１を挿入してポスト３ＲＬの対応箇所に設けられた穴にポスト固定ピン２１が入ることでロックできるようになっている。
【００７５】
次に、サイドボード機構５、５’について述べる。
左右の各サイドボード機構５、５’（左が５、右が５’）は、図１、およびサイドボード機構の概略を示す図１４の平面図にあるように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード２４、パレット２に形成され、ポストパレット１の横方向（左右方向）に延びるレール２５、レール２５を囲い、レール２５に沿ってスライド可能に配置されているレール受け２６、そして、このレール受け２６と上記サイドボード２４とを連結するアーム２７により構成されている。
【００７６】
サイドボード２４には荷物側の表面には緩衝材７が貼り付けられており、荷物を傷つけることなく横から支えることができるようになっている。ここで、図１５にサイドボード２４を裏面側から見た場合のサイドボードおよびレールの関係を示す。サイドボード２４の裏面側の下面中央には、ばね仕掛けで出し入れ可能なピン（サイドボード固定用ピン２８）が設けられている。
また、レール２５には、少なくともサイドボード固定用ピン２８を挿入することができる大きさを有するレール穴２９が形成されている。このレール穴２９の数は特に限定されず、レール２５に沿って、複数設けることができる。
【００７７】
また、図１６に、図１４のＡ矢印から見た場合のレール２５、レール受け２６およびアーム２７の断面図を示す。レール受け２６は、レール２５を囲うように筒形状に形成されており、レール２５に沿ってスライドすることができる。このレール受け２６の筒形状部から両側に延びた鉤型の端部２６’は、サイドボード回動用軸棒３０を介してアーム２７と連結されている。
また、アーム２７の他方は、サイドボード２４と連結されており（溶接されている）、サイドボードはアーム２７と一体となっている。
【００７８】
以上のような構成によって、レール受け２６をレール２５に沿ってスライドさせた場合、レール受けと連結したアーム２７、さらにはこのアーム２７と連結したサイドボード２４を、同様にしてレール２５に沿ってスライドさせることが可能である。
そして、サイドボード２４に設けられたサイドボード固定用ピン２８を適切なレール穴２９に挿入することによって、サイドボード２４を所望の位置に固定させることが可能である。この固定位置はパレット２に載上させる荷物の横幅等に応じて適宜決定することができる。固定位置を変更するときは、サイドボード固定用ピン２８をレール穴２９から一旦抜き出し、スライドして位置調整を行った後、別のレール穴２９に挿入することで簡単に行うことができる。
【００７９】
また、レール受け２６とアーム２７は、図１６に示すように、サイドボード回動用ピン３０で連結されていることから、このサイドボード回動用ピン３０を軸として、アーム２７をポストパレット１の内側に向かって回動させることが可能である。このとき、上述したように、サイドボード２４はアーム２７と連結されているので、アーム２７と一体となって回動することになる。このように、アーム２７およびサイドボード２４を内側に回動させることにより、パレット２上にサイドボード機構５、５’を折り畳むことができ、未使用時に一層コンパクトにすることができる。図１７に右側のサイドボード機構５’を折り畳んだ場合の様子を示す。図１７はポストパレット１の前面側から見た場合を示している。
【００８０】
そして、サイドボード２４と連結されているアーム２７が、レール受け２６とサイドボード回動用軸棒３０にて連結されている構造をとっているため、サイドボード回動用軸棒３０とサイドボード２４とはアーム２７によって離れた位置にて連結されており、サイドボード２４が作業時に簡単に内側へ倒れることを防ぐことができる。
【００８１】
なお、左右のサイドボード機構５、５’において、アーム２７の長さは左右で異なったものとすることができる。このような構造にすれば、すなわち、例えば右のサイドボード機構５’のアーム２７をより長くすれば、サイドボード２４をパレット２から右方向により一層離れた位置（パレットの外側）に配置することができ、サイドボード２４が邪魔になることなく、荷物の出し入れをより簡単かつ安全に行うことが可能になり、効率的に作業を進めることができる。
また、左右のサイドボード機構５、５’が左右連動して、例えば、上記のレール２５に沿ってサイドボード２４をスライドさせることが可能なものとしても良い。
これらの左右のサイドボード機構５、５’における形状差や連動性は、作業の効率性や製造に要するコスト、積載する荷物の種類等を考慮して、適宜決定することができる。
【００８２】
なお、サイドボード機構の他の一例としては、図２７に示すようなものが挙げられる。まず、図２７（Ａ）にサイドボード機構５’’の概略を示す平面図を示す。
図２７（Ａ）に示すように、主に、荷物の側面を横方向から支持するサイドボード２４、パレット２に形成され、ポストパレット１の横方向（左右方向）に延びるレール２５、レール２５を囲い、サイドボード２４に直接取り付けられた連結部材４０により構成されている。
【００８３】
また、図２７（Ｂ）は、図２７（Ａ）のＡ’矢印から見た場合のレール２５、連結部材４０の断面図を示したものである。
連結部材は、１つの部材からなるものとすることができるし、あるいは、例えば図２７（Ｂ）に示すように、複数の部材（連結用上部材４１、連結用下部材４２）からなるものとすることもできる。図２７に示す例では、ボルトおよびナットにより、レール２５を囲うようにして連結用上部材４１と連結用下部材４２が連結されることで連結部材が構成されている。そして、連結用上部材４１の端はサイドボード２４に取り付けられている。
このような構造によっても、レール２５に沿ってサイドボード２４をスライドさせることが可能である。なお、その他、サイドボードを固定するための仕組み等については図１５等に示す例と同様のものとすることができる。
【００８４】
そして、以上詳述してきたパレット２、ポスト３、隅柱４、サイドボード機構５、５’は一体化されたものであるのが望ましい。特に、従来品では、ポスト３やサイドボード機構のサイドボード２４等は、分離可能なものであり、それ故分離した際に紛失してしまうことがあったが、本発明ではこれらが一体化されたものであるため、そもそも部品が分離することはなく、したがって、部品の紛失が発生するのを効果的に防止することができる。
【００８５】
以下、このような本発明のポストパレット１に荷物を載上する手順について述べる。ポストパレット１に載上する荷物は特に限定されないが、例えば複数枚のガラス基板をスタックしてブロック状とした荷物を載上する場合を例に挙げて述べる。
まず、荷物であるガラス基板は、基板同士を、間にガラス基板よりも一回り大きいポリエチレンシートを挟んだ状態で重ね合わせてスタックし、この重ね合わせたガラス基板全体をさらにビニールシートで包み込む。その後、ＰＰバンドで縛ることにより、ブロック状にまとめておく。
【００８６】
一方、ポストパレット１においては、まず、前面側の右側のポスト３ＦＲを内側に折り畳み、さらに隅柱４ＦＲの可倒部１６を内側に折り畳んだポスト３ＦＲ上に折り畳んでおく。他のポスト３は直立状態に固定させておけば良い。また、右側のサイドボード機構５’においては、レール受け２６をレール２５の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、サイドボード２４をパレット２から離しておく。
【００８７】
このようにして、荷物の出し入れを行いやすいように準備をした後、実際に荷物をパレット２上に載せる。例えば人の手やフォークリフト等を用いて載上すれば良い。そして、荷物は、背面側を背もたれ６に立てかけ、左右の側面側はサイドボード機構５、５’を用いて左右から挟んで支持する。このとき、サイドボード固定用ピン２８をレール穴２９に挿入することでサイドボード２４の位置を適切な位置で固定する。
また、最初に折り畳んでおいた前面側の右側の隅柱４ＦＲの可倒部１６を起こし、脚部１７と係合して固定する。また、ポスト３ＦＲを起こし、下端部を隅柱４ＦＲに挿入することで固定し、直立させる。
そして、載上した荷物をＰＰバンド等を用いてポストパレット１ごと縛り付け、さらに安定化させた後、フォークガイド１０にフォークリフトの爪を挿し込み、フォークリフトを用いてポストパレット１ごと荷物を搬送する。
【００８８】
また、前面側の両方の隅柱４ＦＬ、４ＦＲを折り畳んで荷物の出し入れ作業を行う場合について述べる。例えば、まず、前面側の右側のポスト３ＦＲおよび左側のポスト３ＦＬを互いに内側に折り畳んで重ねる。さらには、右側の隅柱４ＦＲの可倒部１６は、内側に折り畳んだポスト３ＦＲ上に折り畳み、左側の隅柱４ＦＬの可倒部を、内側に折り畳んだポスト３ＦＬ上に折り畳む。他の後面側のポスト３は直立状態に固定させ、右のサイドボード機構５’については、上記と同様にレール受け２６をレール２５の可動範囲の最も右側にスライドしておくことにより、また、左側のサイドボード機構５については、レール受け２６をレール２５の可動範囲の最も左側にスライドしておくことにより、サイドボード２４をパレット２から離しておく。
【００８９】
このようにして、前面の全体から、あるいは左右の両側から荷物の出し入れを行いやすいように準備し、荷物をパレット２上に載せる。
その後、左右のサイドボード機構５、５’のサイドボード２４を適切な位置で固定して荷物の側面を支持する。また、最初に折り畳んでいた前面側の左右の隅柱４ＦＬ、４ＦＲの可倒部１６を起こして脚部１７と係合して固定し、さらにポスト３ＦＬ、３ＦＲを起こし、それぞれ、下端部を隅柱４ＦＬ、４ＦＲに挿入して固定し、直立させる。
そして、上記と同様に、フォークリフトを用いてポストパレット１ごと荷物を搬送することができる。
【００９０】
また、一方、搬送先から返却をする場合など、荷物を載上しないときは折り畳んでコンパクト化しておく。例えば、まず、サイドボード２４とアーム２７を内側に回動させることにより、サイドボード機構５、５’をパレット２上に折り畳む。そして、前面側のポスト３ＦＬ、３ＦＲを隅柱４ＦＬ、４ＦＲのコの字部１１まで引き抜き交互に内側に折り畳み、背面側のポスト３も同様にして前方に向かって回動させて、サイドボード機構５、５’の上に覆い被さるようにして折り畳むことができる。
このような状態であれば、ポストパレット１の高さを例えば半分以下にすることができ、コンテナに一度に積み込む量を著しく増やすことができる。これによって、返却にかかるコストを低減することができ、特に海外に荷物を搬送する場合において、コスト面から、ワンウェイパレットとしてではなく、搬送先から返却させるリターナブルパレットとして使用することが可能になる。
【００９１】
ポストパレット１同士を積み上げた状態の一例を図１８に示す。
ポストパレットの隅柱の下端は下向きの椀形状を有しており、該椀形状に、他のポストパレットの隅柱の上端が嵌め込み自在になっている。すなわち、下段のポストパレットの隅柱の上端を、上段のポストパレットの隅柱の下端に挿し込んで嵌めることで安定して積重ねられる。
【００９２】
このとき、隅柱の上端に、例えばペンキ等でマークが施されていれば、段積みするにあたって、段積みできるように隅柱が立っているかどうか（可倒部が脚部に支持されて立っているかどう）を一目で確認することができる。さらには、正確に安定して段積みした場合に、該マークが隅柱の下端のお椀状のなかに隠れるようにマーキングされていれば、正確に段積みされているかどうかを一目で簡単に確認することができ、より安全性を高めることができる。
【００９３】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【００９４】
１…本発明のポストパレット、 ２…パレット、 ３…ポスト、
４…隅柱、 ５、５’、５’’…サイドボード機構、 ６…背もたれ、
７…緩衝材、 ９…補助部材、 １０…フォークガイド、
１１…コの字部、 １２、１２’…筒状部、 １３…長穴、
１４…ポスト回動用軸棒、 １５、１５’、１５’’…開口部、
１６、１６’…可倒部、 １７、１７’…脚部、
１８…短穴、 １９、１９’…頭部、 ２０…孔、
２１…ポスト固定ピン、 ２２…差込口、 ２４…サイドボード、
２５…レール、 ２６…レール受け、 ２６’…鉤型の端部、
２７…アーム、 ２８…サイドボード固定用ピン、 ２９…レール穴、
３０…サイドボード回動用軸棒、 ３１…可倒部受け、
３２、３２’…底面支持板、 ３３…側面支持板、 ３４…底面支持板の外面、
３５…隙間、 ３６…カバー、 ３７…段、 ３８…可倒部下端の凸形状、
３９…頭部の凹形状、 ４０…連結部材、
４２…連結用上部材、 ４３…連結用下部材。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、
前記４本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた２本において、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、少なくとも一方の隅柱は、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであり、
後面側の２本のポストおよび隅柱においては、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項２】
前記前面側の２本の隅柱は、各々、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであることを特徴とする請求項１に記載のポストパレット。
【請求項３】
前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記ポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、
前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のポストパレット。
【請求項４】
前記可倒部を有する隅柱は、可倒部を支持する固定された脚部を有しており、
該脚部は、可倒部の内寸よりも小さい外寸を有する頭部と、該頭部を囲うようにして嵌められた可倒部を支持する可倒部受けを有しており、
前記ポスト回動用軸棒が、可倒部の側面に形成された短穴から、脚部の頭部の側面に形成された孔を通して、前記ポストの長穴に嵌入していることにより、可倒部は固定された脚部に対し回動上下動可能に連結され、
前記脚部の頭部を囲うようにして嵌められた可倒部は、前記可倒部受けから引抜かれて前記折り畳まれたポスト上に回動可能なものであることを特徴とする請求項３に記載のポストパレット。
【請求項５】
前記脚部の可倒部受けは、可倒部の底面を支持する底面支持板と可倒部の側面を支持する側面支持板を有し、
前記底面支持板は、前記隅柱の開口部の反対側に固定されており、さらに前記側面支持板が底面支持板の外面に固定されていることにより、前記頭部と前記側面支持板とで隙間が形成されており、
前記可倒部は、前記頭部と側面支持板により形成された隙間に嵌められて、底面が底面支持板で支持されるものであることを特徴とする請求項４に記載のポストパレット。
【請求項６】
前記可倒部は、少なくとも前記短穴が形成された側面において、下端が下に凸の形状を有しており、
前記脚部の頭部は、少なくとも前記孔が形成された側面において、前記可倒部の下端の凸形状に対応した凹形状をさらに有しており、
前記可倒部は、前記頭部に嵌められるときに、前記下端の凸形状が前記頭部の凹形状に嵌合されて固定されるものであることを特徴とする請求項４または請求項５に記載のポストパレット。
【請求項７】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、
前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項８】
前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであることを特徴とする請求項７に記載のポストパレット。
【請求項９】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲い、前記サイドボードに直接取り付けられた連結部材を備えており、
前記連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、前記サイドボードが前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１０】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームまたは前記連結部材の長さが左右で異なるものであることを特徴とする請求項７から請求項９のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１１】
前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであることを特徴とする請求項７から請求項１０のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１２】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであることを特徴とする請求項１から請求項１１のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１３】
前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであることを特徴とする請求項１から請求項１２のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１】
荷物を載上するためのポストパレットであって、少なくとも、矩形状のパレットと、該パレットの４隅に、各々、直立するポストおよび該ポストを囲んで支持する少なくとも上端部がコの字型の隅柱を備えており、
前記４本のポストおよび隅柱のうち、前記荷物を出し入れするポストパレット前面側に備えられた２本において、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が内側を向いて対向しており、前記ポストは、前記パレット上へ互いに内側に折り畳み自在であるとともに、少なくとも一方の隅柱は、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであり、
後面側の２本のポストおよび隅柱においては、
前記コの字型の隅柱は、各々開口部が前方に向いており、前記ポストは、前記パレット上へ双方とも前方に折り畳み自在なものであることを特徴とするポストパレット。
【請求項２】
前記前面側の２本の隅柱は、各々、前記内側に折り畳まれたポスト上に折り畳み自在な可倒部を有するものであることを特徴とする請求項１に記載のポストパレット。
【請求項３】
前記ポストには、側面に長穴が形成されており、前記隅柱の側面から前記ポストの長穴に嵌入するポスト回動用軸棒により、ポストは隅柱に対し回動上下動可能に連結され、
前記隅柱に挿入することで固定されたポストは、隅柱のコの字部まで引抜かれて前記パレット上へ回動可能なものであることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のポストパレット。
【請求項４】
前記可倒部を有する隅柱は、可倒部を支持する固定された脚部を有しており、
該脚部は、可倒部の内寸よりも小さい外寸を有する頭部と、該頭部を囲うようにして嵌められた可倒部を支持する可倒部受けを有しており、
前記ポスト回動用軸棒が、可倒部の側面に形成された短穴から、脚部の頭部の側面に形成された孔を通して、前記ポストの長穴に嵌入していることにより、可倒部は固定された脚部に対し回動上下動可能に連結され、
前記脚部の頭部を囲うようにして嵌められた可倒部は、前記可倒部受けから引抜かれて前記折り畳まれたポスト上に回動可能なものであることを特徴とする請求項３に記載のポストパレット。
【請求項５】
前記脚部の可倒部受けは、可倒部の底面を支持する底面支持板と可倒部の側面を支持する側面支持板を有し、
前記底面支持板は、前記隅柱の開口部の反対側に固定されており、さらに前記側面支持板が底面支持板の外面に固定されていることにより、前記頭部と前記側面支持板とで隙間が形成されており、
前記可倒部は、前記頭部と側面支持板により形成された隙間に嵌められて、底面が底面支持板で支持されるものであることを特徴とする請求項４に記載のポストパレット。
【請求項６】
前記可倒部は、少なくとも前記短穴が形成された側面において、下端が下に凸の形状を有しており、
前記脚部の頭部は、少なくとも前記孔が形成された側面において、前記可倒部の下端の凸形状に対応した凹形状をさらに有しており、
前記可倒部は、前記頭部に嵌められるときに、前記下端の凸形状が前記頭部の凹形状に嵌合されて固定されるものであることを特徴とする請求項４または請求項５に記載のポストパレット。
【請求項７】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲うレール受けと、該レール受けと前記サイドボードを連結するアームを備えており、
前記レール受けはレールに沿ってスライド可能なものであり、前記アームを介してレール受けに連結されたサイドボードが、前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項８】
前記レール受けと前記アームは、サイドボード回動用軸棒を介して連結されており、前記アームおよびこれに連結されたサイドボードは、該サイドボード回動用軸棒を軸として、一体となって、ポストパレットの内側に向って回動可能なものであることを特徴とする請求項７に記載のポストパレット。
【請求項９】
前記ポストパレットは、さらに、前記荷物を挟んで支持するためのサイドボード機構を左右に有しており、
該各サイドボード機構は、少なくとも、荷物を支持するサイドボードと、前記パレットに形成され、ポストパレットの横方向に延びるレールと、該レールを囲い、前記サイドボードに直接取り付けられた連結部材を備えており、
前記連結部材がレールに沿ってスライド可能なものであることで、前記サイドボードが前記レールに沿ってスライド可能なものであって、
前記レールにはレール穴が形成されているとともに、前記サイドボードは、サイドボードの位置を固定するためのサイドボード固定用ピンを有しており、
該サイドボード固定用ピンが前記レール穴に挿入されることで、前記サイドボードの位置が固定されるものであることを特徴とする請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１０】
前記左右のサイドボード機構において、前記アームまたは前記連結部材の長さが左右で異なるものであることを特徴とする請求項７から請求項９のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１１】
前記パレット、前記ポスト、前記隅柱、前記サイドボード機構は、一体化されたものであることを特徴とする請求項７から請求項１０のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１２】
前記パレットにフォークガイドが設けられたものであることを特徴とする請求項１から請求項１１のいずれか一項に記載のポストパレット。
【請求項１３】
前記パレットは荷物を載上するための緩衝材を有しており、該緩衝材は、パレット上へ互いに内側に折り畳まれた前記ポストパレット前面側の２本のポストおよび該ポスト上に折り畳まれた隅柱よりも高く位置するものであることを特徴とする請求項１から請求項１２のいずれか一項に記載のポストパレット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【公開番号】特開２０１１−７９５５５（Ｐ２０１１−７９５５５Ａ）
【公開日】平成２３年４月２１日（２０１１．４．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２３４１８２（Ｐ２００９−２３４１８２）
【出願日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【出願人】（５９３１４５７６６）美浜株式会社 (10)
【出願人】（５９８０７００１６）花岡産業株式会社 (3)
【出願人】（５９１１７２７９９）港製器工業株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年４月２１日（２０１１．４．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【出願人】（５９３１４５７６６）美浜株式会社 (10)
【出願人】（５９８０７００１６）花岡産業株式会社 (3)
【出願人】（５９１１７２７９９）港製器工業株式会社 (13)
【Ｆターム（参考）】
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