説明

ポリアクリレート系高分子樹脂及びその製造方法

【課題】本発明は、ポリアクリレート系高分子を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂、及び基材樹脂にアクリレート単量体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との混合物から選択された何れか一つの機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後、重合させて得られたポリアクリレート共重合体を含み、基材樹脂100重量部に対してポリアクリレート共重合体128乃至955重量部が分散されているポリアクリレート系高分子樹脂を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリレート系高分子に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド系樹脂は、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、耐熱性、耐化学性などの特性に優れており、全般的な物理的特性の均衡が優秀であり、自動車を始めとした全ての産業、スポーツなどの多様な分野に広範に使用されている。
【0003】
特に、ポリアミド系樹脂から形成された部品は、比較的に強靭な特性を有しているが、エンジニアリングプラスチック樹脂のうちポリアミド系樹脂は、強靭性を向上させることが比較的に容易である。耐衝撃強度を補強して非常に強靭なエンジニアリングプラスチック樹脂が得られるので、衝撃強度の向上したポリアミド系樹脂は、全体のポリアミド系樹脂の約10%以上を占めている。ポリアミド系樹脂の衝撃強度を補強するために、従来、エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−オクテンゴムなどの、分枝としてマレイン酸無水物が化学的結合によって導入された機能性樹脂を添加剤として使用している。しかしながら、所望の耐衝撃性を得るためには、多量の機能性樹脂が添加されねばならず、それにより他の物理的性質の低下をもたらすという問題がある。また、高価な機能性樹脂が多量添加されることにより、コスト上昇の問題が同時に発生する。それにより、従来の機能性樹脂に比べて少ない投入量でもポリアミド系樹脂に同等以上の衝撃強度を与えることができる補強材の製造技術の開発が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、機械的物性に優れたポリアクリレート系高分子樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成すべく、本発明に係るポリアクリレート系高分子樹脂は、ポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂と;前記基材樹脂に、アクリレート単量体と、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸とメタクリル酸との混合物から選択された機能性単量体と、重合開始剤とを吸収させた後、重合して得られたポリアクリレート共重合体と、を含み、ここで前記基材樹脂100重量部に対して前記ポリアクリレート共重合体128乃至955重量部が分散されている。
【0006】
一実施例において、前記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン共重合体、官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレン、又はこれらの混合物でありうる。
【0007】
一実施例において、前記官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレンは、ポリ(エチレン−コ−1−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)のうち何れか一つでありうる。
【0008】
一実施例において、前記ポリエチレン共重合体は、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸エチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−アクリルアミド)、ポリ(エチレン−コ−アクリロニトリル)又はポリ(エチレン−コ−マレイン酸)でありうる。
【0009】
一実施例において、前記アクリレート単量体は、アクリル酸アルキル単量体、メタクリル酸アルキル単量体、又はこれらの混合物でありうる。
【0010】
一実施例において、水に分散されたポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂に、アクリレート単量体及び重合開始剤を吸収させた後に1次重合し、前記1次重合による生成物にアクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後に2次重合して、得られうる。
【0011】
一実施例において、前記1次重合時に、前記基材樹脂に前記機能性単量体を吸収させることをさらに含みうる。
【0012】
一実施例において、前記1次重合における前記機能性単量体の量は、前記基材樹脂100重量部を基準に0.1乃至15重量部であり;前記2次重合における前記機能性単量体の量は、前記1次重合による生成物100重量部を基準に2乃至35重量部でありうる。
【0013】
一実施例において、前記重合開始剤は、それぞれ単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%含まれうる。
【0014】
上記の目的を達成すべく、本発明に係るポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法は、水500乃至1000重量部に分散されたポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂100重量部に、アクリレート単量体50乃至200重量部及び重合開始剤を吸収させた後に、前記単量体を1次重合し;前記1次重合による生成物100重量部にアクリレート単量体50乃至200重量部、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸とメタクリル酸との混合物から選択された機能性単量体2乃至35重量部及び重合開始剤を吸収させた後に、2次重合させて得られ、ここで前記重合開始剤は、1次重合及び2次重合でそれぞれ単量体のモル数、機能性単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%使用される。
【0015】
一実施例において、前記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン共重合体、官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレン、又はこれらの混合物でありうる。
【0016】
一実施例において、前記官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレンは、ポリ(エチレン−コ−1−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)のうち何れか一つでありうる。
【0017】
一実施例において、前記ポリエチレン共重合体は、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸エチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−アクリルアミド)、ポリ(エチレン−コ−アクリロニトリル)又はポリ(エチレン−コ−マレイン酸)でありうる。
【0018】
一実施例において、前記アクリレート単量体は、アクリル酸アルキル単量体、メタクリル酸アルキル単量体又はこれらの混合物でありうる。
【0019】
一実施例において、前記1次重合時に、前記基材樹脂100重量部を基準に前記機能性単量体0.1乃至15重量部を吸収させることをさらに含みうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本発明の一実施例に係るポリアクリレート系高分子樹脂を含むポリアミド樹脂組成物は、機械的強度及び曲げ弾性率に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例に係るポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法について詳細に説明すれば、以下の通りである。
【0022】
<1次重合>
まず、攪拌機、加熱装置及び冷却装置の装着された反応器に、水、基材樹脂、アクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を添加した後、反応器を密閉する。ここで、基材樹脂は、ペレット状態であり、水の量は、基材樹脂100重量部を基準に500乃至1000重量部を投入することができる。
【0023】
アクリレート単量体の量は、基材樹脂100重量部を基準に、50乃至200重量部でありうる。アクリレート単量体の投入量が50重量部以上であると、2次以降の重合時に、重合による生成物にアクリレート単量体及び機能性単量体が良好に吸収される。また、アクリレート単量体の投入量が200重量部以下であると、基材樹脂に吸収されない単量体の量が少なくなるため、重合収率が高まり、廃水処理などの後工程における問題の発生を低減させることができる。
【0024】
機能性単量体の量は、基材樹脂100重量部を基準に、0.01乃至15重量部でありうる。機能性単量体の投入量が0.01重量部以上であると、2次以降の重合時に、重合による生成物への機能性単量体の吸収が向上し、1次重合体によって、本発明が目的とする衝撃強度補強効果及び2次以降の重合体に対する分散性向上効果を得ることができる。また、機能性単量体の投入量が15重量部以下であると、基材樹脂に単量体が吸収されていない状態での重合反応を起こさないようにするか、又は水の中で単独で重合が起こる現象を防止することができる。
【0025】
重合開始剤の量は、投入したアクリレート単量体のモル数、機能性単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%でありうる。
【0026】
重合開始剤の投入量が、単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2モル%以上であると、単量体の重合を十分に誘導することができるので、1次重合を失敗したり、転化度が低いことによって未反応アクリレート単量体が多量に残存する現象を防止することができる。また、重合開始剤の投入量が、単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、2.5モル%以下であると、超低分子量のポリアクリレート重合体が生成されることを防止することができるので、1次重合体の乾燥及び工程管理を容易に行うことができる。
【0027】
次に、投入された物質を撹拌しつつ、密閉された反応器に高圧の窒素ガスを充填し放出して、反応器内の酸素を取り除く。その後、反応器の温度を、選択された重合開始剤に応じて、45℃乃至120℃の吸収温度に上げて、アクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を、基材樹脂に吸収させる。吸収時間は、基材樹脂の種類及びアクリレート単量体の種類に応じて、1時間乃至5時間がかかる。
【0028】
アクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を、基材樹脂ペレットに吸収させた後、反応器の内部のペレットと水を攪拌しつつ昇温させて、重合開始剤の分解及び単量体の重合を誘導する。反応器内の温度は、使用した重合開始剤の適正分解温度に応じて調節する。基材樹脂に吸収されたアクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤は、ペレット内で重合反応を起こしてポリアクリレート共重合体を形成する。
【0029】
重合反応時間は、基材樹脂、単量体及び重合開始剤の種類に応じて、2乃至10時間かかる。1次重合反応が終了した後に、反応器を十分に冷却し、反応混合物を濾過して、1次重合体を得る。1次重合体を温水で1回以上洗浄した後に、使用した基材樹脂及び単量体を、適切な乾燥条件で乾燥して、水分を完全に取り除く。
【0030】
<2次重合>
反応器に1次重合体、アクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を投入した後、1次重合と同じ方法で2次重合を実施する。
【0031】
アクリレート単量体の量は、1次重合体100重量部を基準に、50乃至200重量部でありうる。アクリレート単量体の投入量が50重量部以上であると、機能性単量体の含量に関係なく、重合されるポリアクリレート共重合体の量が少ないことによって耐衝撃性などの機能性が著しく低下するという問題を防止することができる。また、アクリレート単量体の投入量が200重量部以下であると、最終製品の剛性などの機械的物性が低下するという問題を防止することができる。
【0032】
機能性単量体の量は、1次重合体100重量部を基準に、2乃至35重量部でありうる。機能性単量体の投入量が2重量部以上であると、耐衝撃性などの機能性が十分に向上して、ポリアミド系樹脂と最終生成物との混合時に、最終生成物の混合量が多くなることによって生産コストが上昇することを防止することができる。そして、35重量部以下であると、混練加工、成形加工などにおいて無理な運転条件が不要であり、また、成形品の外観が不良になるか、又は機械的物性が低下することを防止することができる。
【0033】
重合開始剤の量は、2次重合において投入したアクリレート単量体のモル数、機能性単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%でありうる。重合開始剤の投入量が、単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2モル%以上であると、単量体の重合を十分に誘導することができるので、2次重合が失敗したり、又は転化度が低いことによって未反応アクリレート単量体が多量に残存したりする現象を防止することができる。そして、重合開始剤の投入量が、単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、2.5モル%以下であると、超低分子量のポリアクリレート重合体が生成されることを防止することができるので、2次重合体の乾燥及び工程管理が容易である。
【0034】
重合反応が完了したら、反応器を十分に冷却させ、反応器内の反応混合物を濾過してペレットを得る。このとき得られたペレットは、吸収されたアクリレート単量体及び機能性単量体がペレット内で共重合されて膨潤した状態である。得られたペレットを十分に乾燥させて水分を完全に取り除くことによって、基材樹脂に分散されたポリアクリレート系高分子樹脂を得ることができる。
【0035】
本発明の一実施例には、基材樹脂にアクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後に、1次重合を行い;1次重合による生成物にアクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後に、2次重合を行うと説明したが、2次重合後に重合をさらに行ってもよく、1回の重合のみを行ってもよい。
【0036】
さらに、1次重合時に、基材樹脂にアクリレート単量体及び重合開始剤のみを吸収させて重合し;1次重合による生成物にアクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後に、2次以上の重合を行って形成してもよい。このように、2次重合時に機能性単量体を添加すると、1次重合によるペレットに機能性単量体をさらに容易に吸収させることができる。
【0037】
前記の方法で得られたポリアクリレート系高分子樹脂を、ポリアミド系樹脂と混練して、その独特の機能性を与えることができる。但し、使用上の便宜、機能性の調節及び製造コストの節減のために、ポリアミド系樹脂との混練前に、ポリアクリレート系高分子樹脂と他の樹脂を混練して使用することができる。
【0038】
混練してよい樹脂としては、ポリアクリレート系高分子樹脂を製造するために使用した基材樹脂のうちの1種又は2種以上を使用することができ;混練する樹脂の量は、ポリアクリレート系高分子樹脂100重量部に対して、250重量部を超えないことが好ましい。250重量部を超えて混練しても、本発明の目的とするポリアミド系樹脂に対する衝撃強度補強効果は維持されるが、その効果が従来の機能性樹脂に比べて同等レベルに低下しうるので、その技術的優秀性を毀損する恐れがある。
【実施例】
【0039】
以下、下記の実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0040】
実験1:ポリアクリレート高分子樹脂を含むポリアミド系樹脂組成物の製造及びそれによる機械的物性の評価
【0041】
〔実験例1〕
<1次重合>
攪拌機及び加熱装置の装着された5Lの反応器に、前記ポリエチレン共重合体のペレット600g、n−アクリル酸ブチル300.0g、アクリル酸エチル300.0g、メタクリル酸30g、過酸化ラウロイル13.3g及び水4.5kgを投入し、反応器を密閉した。基材樹脂として、ポリエチレン共重合体であるポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)を使用した。反応混合物を撹拌しつつ、密閉された反応器に高圧の窒素ガスを充填し放出して、酸素を取り除いた。酸素濃度を低下させるために、前記操作を3回行った。その後、反応器の温度を55℃に上げて、n−アクリル酸ブチルをポリエチレン共重合体のペレットに2時間吸収させた。投入した単量体を完全に吸収させるために、反応器の温度を60℃に上げて1時間撹拌した。単量体の重合反応のために、反応器の温度を65℃に上げて1時間撹拌し、70℃に上げて1時間撹拌した。重合反応による発熱に注意しながら75℃に上げて、1時間維持した。反応終了後に得られたペレットを熱風オーブンで、85℃で6時間乾燥した。
【0042】
<2次重合>
次に、攪拌機及び加熱装置の装着された5Lの反応器に、前記ポリエチレン共重合体のペレット600g、n−アクリル酸ブチル390g、アクリル酸エチル60g、アクリル酸2エチルヘキシル210g、メタクリル酸75g、過酸化ラウロイル14.1g及び水4.0kgを投入し、反応器を密閉した。反応混合物を撹拌しつつ、密閉された反応器に高圧の窒素ガスを充填し放出して、酸素を取り除いた。酸素濃度を低下させるために、前記操作を3回行った。その後、反応器の温度を55℃に上げて、ペレットに単量体を2時間吸収させた。投入した単量体を完全に吸収させるために、反応器の温度を60℃に上げて2時間撹拌した。単量体の重合反応のために、反応器の温度を65℃に上げて1時間撹拌し、70℃に上げて2時間撹拌した。重合反応による発熱に注意しながら75℃以上で1時間維持した後、反応を終了した。得られたペレットを濾過し、2回洗浄した後、熱風オーブンで、85℃で6時間乾燥して、基材樹脂にポリアクリレート共重合体が分散されたポリアクリレート高分子樹脂を得た。
【0043】
前記重合によって得られたポリアクリレート高分子樹脂0.5kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gとよく混合した後、2軸押し出し機(SM Platek, 51mm, L/D=40)で混練してポリアミド樹脂ペレットを得た。
【0044】
得られたペレットを、射出成形機でASTM標準によって物性評価用の試験片に成形し、同標準によって物理的性質を評価した。
【0045】
〔実験例2〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル180g、アクリル酸エチル480g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル18.0gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0046】
〔実験例3〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル480g、アクリル酸エチル180g、過酸化ラウロイル16.4gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0047】
〔実験例4〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル480g、アクリル酸エチル90g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル22.7gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0048】
〔実験例5〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル180g、アクリル酸エチル480g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル7.2gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0049】
〔実験例6〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル660g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル30.9gを投入し、アクリル酸エチル及びアクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0050】
〔実験例7〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル600g、アクリル酸エチル120g、アクリル酸2エチルヘキシル120g、メタクリル酸120g、過酸化ラウロイル39.5gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0051】
〔実験例8〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル390g、アクリル酸2エチルヘキシル90g、メタクリル酸105g、過酸化ラウロイル15.8gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0052】
〔実験例9〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル510g、アクリル酸エチル180g、メタクリル酸60g、過酸化ラウロイル32.3gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0053】
〔実験例10〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル540g、アクリル酸エチル180g、メタクリル酸30g、過酸化ラウロイル31.7gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0054】
〔実験例11〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル420g、アクリル酸2エチルヘキシル240g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル28.0gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0055】
〔実験例12〕
2次重合において、アクリル酸2エチルヘキシル240g、メタクリル酸120g、過酸化ラウロイル28.6gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合でポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0056】
〔実験例13〕
2次重合において、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル14.5gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、ポリエチレン共重合体であるポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)(デュポン社製、溶融指数2g/10min.)3.5kgと、前記で製造したポリアクリレート高分子樹脂3.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)14gとをよく混合した後、2軸押し出し機を利用して混練して、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレットを製造した。
【0057】
製造されたペレットを、実験例1と同じ方法でポリアミド6と混練して、物性を評価した。
【0058】
〔実験例14〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル404.6g、アクリル酸75.4g、過酸化ラウロイル14.8gを投入し、メタクリル酸は投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合で、ポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0059】
〔実験例15〕
2次重合において、メタクリル酸ラウリル210g、メタクリル酸90g、過酸化ラウロイル13.7gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合で、ポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0060】
〔実験例16〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル345g、アクリル酸2エチルヘキシル240g、メタクリル酸105g、過酸化ラウロイル7.2gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。その後、実験例1と同じ割合で、ポリアミド6とポリアクリレート高分子樹脂とを混練して、物理的性質を評価した。
【0061】
〔実験例17〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル405g、アクリル酸エチル48g、アクリル酸2エチルヘキシル192g、メタクリル酸105g、過酸化ラウロイル9.4gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0062】
製造されたポリアクリレート高分子樹脂を、ポリエチレン共重合体と混合した。製造されたポリアクリレート高分子樹脂4.2kgと、ポリエチレン共重合体としてポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)2.8kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)7gとをよく混合した後、2軸押し出し機を利用して混練してペレットを製造した。
【0063】
製造されたペレットを、実験例1と同じ方法でポリアミド6と混練して、物性を評価した。
【0064】
〔実験例18〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル597g、アクリル酸エチル48g、メタクリル酸105g、過酸化ラウロイル10.1gを投入し、アクリル酸2エチルヘキシルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0065】
製造されたポリアクリレート高分子樹脂4.2kgと、ポリエチレン共重合体としてポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)2.8kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)7gとをよく混合した後、2軸押し出し機を利用して混練してペレットを製造した。
【0066】
ポリアミド64.6kg、前記で製造されたペレット0.4kgを2軸押し出し機で混練した後、物性評価用の試験片を製造して物性を評価した。
【0067】
〔実験例19〕
実験例18と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した後、ポリエチレン共重合体と混練して、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレットを製造した。
【0068】
実験例1と同じ方法で、すなわち、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.5kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gとよく混合して、2軸押し出し機(SM Platek, 51mm, L/D=40)で混練してポリアミド樹脂ペレットを得た後、物性評価用の試験片に成形して、同標準によって物理的性質を評価した。
【0069】
〔実験例20〕
1次重合において、基材樹脂として、ポリアミド6 1.0kg、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)4.0kgを2軸押し出し機で混練して使用し、2次重合において、n−アクリル酸ブチル477g、アクリル酸エチル48g、アクリル酸2エチルヘキシル60g、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸105g、過酸化ラウロイル10.1gを投入したことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0070】
その後、前記ポリアクリレート高分子樹脂4.2kgと、ポリエチレン共重合体としてポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)2.8kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)7gとをよく混合した後、2軸押し出し機を利用して混練してペレットを製造した。
次いで、ポリアミド64.6kgと、前記で製造されたペレット0.4kgとを2軸押し出し機で混練した後、物性評価用の試験片を製造して物性を評価した。
【0071】
〔実験例21〕
実験例20と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した後、ポリエチレン共重合体と混練して、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレットを製造した。
【0072】
その後、実験例1と同じ方法で、すなわち、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.5kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gとよく混合して、2軸押し出し機(SM Platek, 51mm, L/D=40)で混練してポリアミド樹脂ペレットを得た。その後、物性評価用の試験片に成形して、同標準によって物理的性質を評価した。
【0073】
〔実験例22〕
1次重合において、基材樹脂として、ポリアミド61.5kg、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)4.5kgを2軸押し出し機で混練して使用し、2次重合において、n−アクリル酸ブチル504g、アクリル酸2エチルヘキシル99g、メタクリル酸メチル48g、メタクリル酸99g、過酸化ラウロイル15.2gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0074】
また、製造されたポリアクリレート高分子樹脂4.2kgと、ポリエチレン共重合体としてポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)(デュポン社製、溶融指数4g/10min.)2.8kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)7gとをよく混合した後、2軸押し出し機を利用して混練して、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレットを製造した。
【0075】
その後、実験例1と同じ方法で、すなわち、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.5kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gとよく混合して、2軸押し出し機(SM Platek, 51mm, L/D=40)で混練してポリアミド樹脂ペレットを得た。その後、物性評価用の試験片に成形して、同標準によって物理的性質を評価した。
【0076】
〔比較例1〕
ポリアミド6と、改質エチレン−プロピレン−ジエンゴムとを混合した。改質エチレン−プロピレン−ジエンゴムとしては、デュポン社製のFUSABOND 416Dを使用した。前記製品は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの分枝に、マレイン酸無水物が化学的結合によって導入された機能性樹脂であって、多様な用途に使用されているが、特に、ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックの衝撃強度を向上させるための添加剤として使用されている。
【0077】
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.5kg、FUSABOND 416D 0.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを、実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0078】
〔比較例2〕
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.0kg、FUSABOND 416D 1.0kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0079】
〔比較例3〕
ポリアミド6と改質エチレン−オクテンゴムとを混合した。改質エチレン−オクテンゴムとしては、デュポン社製のFUSABOND 493Dを使用した。
【0080】
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.0kg、FUSABOND 493D 1.0kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0081】
〔比較例4〕
ポリアミド6と、ポリエチレン共重合体とを混合した。ポリエチレン共重合体としては、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)(デュポン社製、ELVALOY 1224 AC)を使用した。本製品は、主鎖にアクリル酸メチルを有するポリエチレン共重合体であって、多様な用途に使用されているが、ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックの衝撃強度を向上させるための添加剤としても使用されている。
【0082】
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.5kg、ELVALOY 1224 AC 0.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0083】
〔比較例5〕
ポリアミド6と、改質エチレン−プロピレン−ジエンゴムとを混合した。改質エチレン−プロピレン−ジエンゴムとしては、錦湖(KUMHO)ポリケムKEP−A1130を使用した。本製品は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの分枝にマレイン酸無水物が化学的結合によって導入された機能性樹脂であって、多様な用途に使用されている。特に、ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックの衝撃強度を向上させるための添加剤として使用されている。
【0084】
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.5kg、錦湖ポリケムKEP−A1130 0.5kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0085】
〔比較例6〕
ポリアミド6(KOPLA,U160ER)4.0kg、錦湖ポリケムKEP−A1130 1.0kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gを混合した後、2軸押し出し機で混練してペレットを製造した。製造されたペレットを実験例1と同じ試験片に成形して、物性を評価した。
【0086】
〔比較例7〕
2次重合において、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1.2g、過酸化ラウロイル19.2gを投入したことを除いては、実験例2と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0087】
その後、実験例1と同じ方法でポリアミド6と前記ポリアクリレート高分子樹脂とを混練して試験片に成形して、物性を評価した。
【0088】
〔比較例8〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル330g、アクリル酸2エチルヘキシル240g、メタクリル酸240g、過酸化ラウロイル34.7gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0089】
その後、実験例1と同じ方法で、ポリアミド6と前記ポリアクリレート高分子樹脂とを混練して試験片に成形して、物性を評価した。
【0090】
〔比較例9〕
2次重合において、n−アクリル酸ブチル120g、アクリル酸2エチルヘキシル180g、メタクリル酸メチル30g、メタクリル酸390g、過酸化ラウロイル33.6gを投入し、アクリル酸エチルは投入しないことを除いては、実験例1と同じ方法でポリアクリレート高分子樹脂を製造した。
【0091】
その後、実験例1と同じ方法で、ポリアミド6と前記ポリアクリレート高分子樹脂とを混練して試験片に成形して、物性を評価した。
【0092】
下記表1は、前記実験例1乃至実験例23による機械的物性を評価した結果を示す表であり、下記表2は、前記比較例1乃至比較例9による機械的物性を評価した結果を示す表である。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
前記表1に示すように、本発明の実験例1乃至実験例22によって製造されたポリアクリレート系組成物は、衝撃強度、曲げ弾性率、破断伸度などの機械的特性が、前記表2に示す比較例1乃至比較例9に比べて非常に優れているということが分かる。
【0096】
特に、実験例2と比較例7とを比較すれば、同じ化学組成で、比較例7のように、架橋単量体である1,6−ヘキサンジオールジアクリレートをさらに添加して重合した場合、ポリアクリレート高分子樹脂によるポリアミド6の衝撃強度補強効果が非常に低下するということが分かる。
【0097】
また、比較例8及び比較例9の場合、加工性が非常に不良であり、射出成形によって試験片を得ることができなかった。特に、比較例9の場合、圧出機を利用してポリアミド6樹脂と混練加工する過程で不良が発生して、ペレットが得られなかった。
【0098】
実験2:ポリアクリレート高分子樹脂の添加量によるポリアミド系樹脂組成物の機械的物性の評価
【0099】
〔実験例23〕
実験例22と同じ方法で、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレットを製造した。その後、ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.25kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.75kg及び耐熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals, Irganox 1010)5gとよく混合した後、2軸押し出し機(SM Platek, 51mm,L/D=40)で混練してポリアミド樹脂ペレットを得た。
【0100】
射出成形機を利用して、得られたペレットをASTM標準によって物性評価用の試験片に成形し、同標準によって物理的性質を評価した。
【0101】
〔実験例24〕
ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.4kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.6kgと混練したことを除いては、実験例23と同じ方法でポリアミド樹脂ペレットを得た。その後、ASTM標準によって物性評価用の試験片に成形し、同標準によって物理的性質を評価した。
【0102】
〔実験例25〕
ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット0.75kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.25kgと混練したことを除いては、実験例23と同じ方法でポリアミド樹脂ペレットを得た。その後、ASTM標準によって物性評価用の試験片に成形し、同標準によって物理的性質を評価した。
【0103】
〔実験例26〕
ポリアクリレート高分子樹脂を含むペレット1.0kgを、ポリアミド6(KOPLA社製、製品名:U160ER)4.0kgと混練したことを除いては、実験例13と同じ方法でポリアミド樹脂ペレットを得た。その後に、ASTM標準によって物性評価用の試験片に成形し、同標準によって物理的性質を評価した。
【0104】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂と、
アクリレート単量体と、
アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸とメタクリル酸との混合物から選択された機能性単量体と、
重合開始剤と、を
前記基材樹脂に吸収させた後、重合して得られたポリアクリレート共重合体と、を含み、
前記基材樹脂100重量部に対して、前記ポリアクリレート共重合体128乃至955重量部が分散されていることを特徴とする、ポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項2】
前記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン共重合体、官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレン、又はこれらの混合物である、請求項1に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項3】
前記官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレンは、ポリ(エチレン−コ−1−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)のうち何れか一つである、請求項2に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項4】
前記ポリエチレン共重合体は、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸エチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−アクリルアミド)、ポリ(エチレン−コ−アクリロニトリル)又はポリ(エチレン−コ−マレイン酸)である、請求項2に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項5】
前記アクリレート単量体は、アクリル酸アルキル単量体、メタクリル酸アルキル単量体、又はこれらの混合物である、請求項1に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項6】
水に分散されたポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂にアクリレート単量体及び重合開始剤を吸収させた後に1次重合し、
前記1次重合による生成物に、アクリレート単量体、機能性単量体及び重合開始剤を吸収させた後に2次重合して得られる、
請求項1に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項7】
前記1次重合時に、前記基材樹脂に前記機能性単量体を吸収させることをさらに含む、請求項6に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項8】
前記1次重合における、前記機能性単量体の量は、前記基材樹脂100重量部を基準に0.1乃至15重量部であり、
前記2次重合における、前記機能性単量体の量は、前記1次重合による生成物100重量部を基準に2乃至35重量部である、
請求項7に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項9】
前記重合開始剤は、それぞれ単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%含まれる、請求項6又は7に記載のポリアクリレート系高分子樹脂。
【請求項10】
水500乃至1000重量部に分散されたポリアミド系又はポリエチレン系樹脂を含む基材樹脂100重量部に、アクリレート単量体50乃至200重量部及び重合開始剤を吸収させた後に、前記単量体を1次重合し、
前記1次重合による生成物100重量部に、アクリレート単量体50乃至200重量部、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸とメタクリル酸との混合物から選択された機能性単量体2乃至35重量部、及び重合開始剤を吸収させた後に、2次重合させて得られ、
前記重合開始剤は、1次重合及び2次重合でそれぞれ単量体のモル数、機能性単量体のモル数及び重合開始剤のモル数の総量を基準に、0.2乃至2.5モル%使用されることを特徴とする、
ポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン共重合体、官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレン、又はこれらの混合物である、請求項10に記載のポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記官能性基が分枝として化学結合によって導入されたポリエチレンは、ポリ(エチレン−コ−1−オクテン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)、ポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン)のうち何れか一つである請求項11に記載のポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記ポリエチレン共重合体は、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸エチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸ブチル)、ポリ(エチレン−コ−アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチレン−コ−アクリルアミド)、ポリ(エチレン−コ−アクリロニトリル)又はポリ(エチレン−コ−マレイン酸)である請求項11に記載のポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記アクリレート単量体は、アクリル酸アルキル単量体、メタクリル酸アルキル単量体、又はこれらの混合物である、請求項10に記載のポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。
【請求項15】
前記1次重合時に、前記基材樹脂100重量部を基準に、前記機能性単量体0.1乃至15重量部を吸収させることをさらに含む、請求項10に記載のポリアクリレート系高分子樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2008−285676(P2008−285676A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−130582(P2008−130582)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(508148943)ポリマーズネット カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】