説明

ポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法

【課題】引張強度、剛性に加え、ガスバリヤ性にも優れたポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂100質量部に対し、ヘクトライト0.5〜15質量部と繊維状粘土鉱物0.5〜15質量部を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の配合が20/80〜60/40(質量比)、ヘクトライトの平均粒子径が25〜85nmであり、かつ平均粒子間距離が20〜100nmであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張強度、剛性に加え、ガスバリヤ性にも優れたポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、膨潤性層状珪酸塩を樹脂中に分子レベルで分散させ、低比重でありながら機械特性を向上させたポリアミド樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1)。このようなポリアミド樹脂組成物は、剛性に加えガスバリヤ性を向上させることができるが、膨潤性層状珪酸塩の配合が増えるにしたがいガスバリヤ性は向上したが、十分な引張強度を得ることはできなかった。
【0003】
また、ガスバリヤ性を付与することを目的として、繊維状強化材と無機充填剤を併用させた樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。しかしながら、無機充填剤を多く添加する必要性があり、引張強度、剛性をバランスよく向上させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−98147号公報
【特許文献2】特開2008−297476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、引張強度、剛性に加え、ガスバリヤ性にも優れたポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部に対し、ヘクトライト0.5〜15質量部と繊維状粘土鉱物0.5〜15質量部を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の含有比率が20/80〜60/40(質量比)、ヘクトライトの平均粒子径が25〜85nmであり、かつ平均粒子間距離が20〜100nmであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)繊維状粘土鉱物がセピオライトおよび/またはパリゴルスカイトであることを特徴とする(1)のポリアミド樹脂組成物。
(3)さらにガラス繊維およびシランカップリング剤を含有してなる(1)または(2)のポリアミド樹脂組成物。
(4)ポリアミド樹脂を構成するモノマーを無機酸およびアミノ基を有する化合物とともに加熱溶融して攪拌し、次いで、ヘクトライトを添加して攪拌した後に、繊維状粘土鉱物を添加してポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合することを特徴する(1)または(2)記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(5)ポリアミド樹脂を構成するモノマーを無機酸およびアミノ基を有する化合物とともに加熱溶融して攪拌し、次いで、ヘクトライトを添加して攪拌した後に、繊維状粘土鉱物を添加してポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合に付した後、ガラス繊維とシランカップリング剤を混練することを特徴とする(3)記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(6)(1)〜(3)のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引張強度、剛性に加え、ガスバリヤ性にも優れたポリアミド樹脂組成物、およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形体のガスバリヤ性を評価するための装置を示す図である。
【図2】本発明のポリアミド樹脂組成物中に含有するヘクトライトの分散状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、ヘクトライト、および繊維状粘土鉱物を含有するものである。
【0011】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸、それらの一対の塩を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。ポリアミド樹脂の原料の具体例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸;ε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム;テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等のジアミン;アジピン酸、スべリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等のジカルボン酸などが挙げられる。
【0012】
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でも、ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の併用により引張強度、剛性を高める効果を十分に引き出すことができる観点から、ナイロン6、ナイロン66が特に好ましい。
【0013】
本発明で用いるヘクトライトは、珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、天然に得られるものであってもよいし、合成により得られるものであってもよい。ヘクトライトの組成は、一般的には、Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si20(OH)・nHOで表される。
【0014】
ヘクトライトは、陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上であることが好ましく、60ミリ当量/100g以上であることがより好ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、膨潤能が低いために、ポリアミド樹脂組成物中においては、実質的に未劈開状態のままとなり、本発明に規定するサイズとならない。加えて、ポリアミド樹脂組成物中において、良好に分散することができない。そのため、引張強度、剛性をバランスよく兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を得ることができない。陽イオン交換容量の値の上限に特に制限はなく、現実に調製可能なヘクトライトの中から適宜選択できる。
【0015】
なお、ヘクトライトの陽イオン交換容量は、日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイト(粉状)の陽イオン交換容量測定方法(JBAS-106-77)などにより求められる。具体的には、浸出液容器、浸出管および受器を縦方向に連結した装置を用いて、まず初めに、ヘクトライトをpH=7に調製した1N酢酸アンモニウム水溶液により、その層間のイオン交換性カチオンの全てをNH4+に交換する。その後、水とエチルアルコールを用いて十分に洗浄してから、前記したNH4+型のヘクトライトを10質量%の塩化カリウム水溶液中に浸し、試料中のNH4+をKへと交換する。引き続いて、前記したイオン交換反応に伴い浸出したNH4+を0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定することにより、原料であるヘクトライトの陽イオン交換容量を求めることができる。
【0016】
本発明においては、ヘクトライトの初期サイズは特に制限されない。ここで初期サイズとは、ポリアミド樹脂組成物に含有される前のヘクトライトのサイズであり、ポリアミド樹脂組成物中に含有されるヘクトライトのサイズとは異なるものである。本発明の効果を奏するためには、ポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトのサイズを所定の範囲に規定することが必須である。ポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトのサイズが、ポリアミド樹脂組成物の各種物性、特に引張強度を大幅に向上させことができる。なお、ヘクトライトのサイズを調整するための方法として、ジェットミル等の公知の装置で粉砕することなど挙げられる。
【0017】
本発明で用いる繊維状粘土鉱物は、繊維状の含水マグネシウム珪酸塩鉱物であり、セピオライト、パリゴルスカイトなどを用いことができる。
【0018】
セピオライトはMg(SiO11)・3HOを主成分として含有する天然鉱物であり、パリゴルスカイトはMgAlSi20(OH)・8HOを主成分として含有する天然鉱物である。なお、パリゴルスカイトにおいては、マグネシウムが鉄やアルミニウムによって置換されていてもよい。
【0019】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、ヘクトライト0.5〜15質量部と繊維状粘土鉱物0.5〜15質量部を含有していることを必要とする。さらには、ヘクトライト1〜13質量部と繊維状粘土鉱物1〜13質量部を含有していることが好ましい。ヘクトライトの配合が0.5質量部未満であるとガスバリヤ性が低下する傾向があり、15質量部を超えると生産時の操業性が低下する。繊維状粘土鉱物の配合が0.5質量部未満であると引張強度が低下する傾向があり、15質量部を超えると生産時の操業性が低下する。
【0020】
本発明のポリアミド樹脂組成物に配合するヘクトライトと繊維状粘土鉱物の比率は、20/80〜60/40(質量比)である必要がある。ヘクトライトの配合比率が20質量%未満であると、得られるポリアミド樹脂組成物のガスバリヤ性を向上させる効果が乏しくなり、ヘクトライトの配合比率が60質量%を超えると、得られるポリアミド樹脂組成物の引張強度の向上効果が乏しくなる。
【0021】
本発明においては、ポリアミド樹脂の引張強度および曲げ弾性率をより向上させることを目的として繊維状強化材を用いることもできる。
【0022】
繊維状強化材としては、ガラス繊維や炭素繊維を好適に用いることができる。ガラス繊維、炭素繊維の種類は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。ガラス繊維の断面は、一般的な丸形状や、長方形や、それ以外の異形断面であってもよい。ガラス繊維のサイズも特に限定されない。また、ガラス繊維は、取り扱い性を向上させるために、束ねて造膜剤等を配合した薬液でコートし、集束させてもよい。造膜剤には一般的に公知となっているウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0023】
本発明においては、繊維状強化材とポリアミド樹脂との接着性を向上させること、およびヘクトライトとポリアミド樹脂の接着性を向上させることを目的として、繊維状強化材はシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。その結果として、得られるポリアミド樹脂組成物の引張強度をより向上させることができる。なお、表面処理の方法としては、例えば、後述のシランカップリング剤を用いて、ディッピング等で繊維状強化剤表面に処理層を付与する方法が挙げられる。
【0024】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル系シランシランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤などを挙げることができる。
【0025】
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法について以下に説明する。
【0026】
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーを無機酸およびアミノ基を有する化合物とともに加熱溶融して攪拌し、次いで、ヘクトライトを添加して攪拌した後に、繊維状粘土鉱物を添加してポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合する製造方法である。
【0027】
すなわち、ポリアミド樹脂を構成するモノマーをアミノ基を有する化合物、無機酸とともに加熱溶融して攪拌する工程(以下、単に「前処理工程」と称する場合がある)と、該調製工程を経た調製液に、ヘクトライトを添加し攪拌した後、さらに繊維状粘土鉱物を添加して攪拌することで、ポリアミドスラリーを得る工程(以下、単に「スラリー調整工程」と称する場合がある)と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合するとともに、ヘクトライトおよび繊維状粘土鉱物がポリアミド樹脂中にて分散する工程(以下、単に「重合工程」と称する場合がある)とからなる。
【0028】
まず前処理工程について説明する。
前処理工程における攪拌方法は、ポリアミド樹脂を構成するモノマー、アミノ基を有する化合物、無機酸が均一に混合させるため、加熱溶融して攪拌しながら混合させる必要がある。また、必要に応じて水を添加することもできる。
【0029】
前処理工程の温度は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーが溶融する温度であれば特に限定されるものではない。また、攪拌条件に関しても、攪拌翼の形状や回転数などは特に限定されるものではない。
【0030】
前処理工程においては、アミノ基を有する化合物、無機酸を用いることが必要である。アミノ基を有する化合物は、無機酸と反応して4級アミンを形成するものである。4級アミンは、ヘクトライトの層間に侵入することにより、層間を疎水性に変化させ、のちの重合工程においてヘクトライトの劈開性を促進させることが可能である。
【0031】
アミノ基を有する化合物としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、デシルアミン、ステアリルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、メチルドデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルオクタデシルアミンなどの脂肪族アミン、ベンジルトリメチルアミン、ベンジルトリエチルアミン、ベンジルトリブチルアミン、ベンジルジメチルドデシルアミン、ベンジルジメチルオクタデシルアミンなどの芳香族アミン等が挙げられ、アミノ基以外の他の官能基を有するものであっても構わない。なかでも、ヘクトライト層間へのイオン交換のしやすさと重合の起点となりうるモノマーであるという観点から、12−アミノドデカン酸が好ましい。
【0032】
無機酸としては、pKa(25℃、水中での値)が6以下である酸であって、具体的には、リン酸、亜リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。なかでも、ヘクトライトのへき開のしやすさと設備へ腐食性が低いという観点から、亜リン酸が好ましい。
【0033】
アミノ基を有する化合物の使用量は、ポリアミド樹脂を構成するモノマー100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが必要であり、0.1〜4質量部であることが好ましい。アミノ基を有する化合物の使用量が0.05質量部未満であると、ヘクトライトの層間を十分に疎水化できず、ヘクトライトの劈開性が低下する場合がある。一方、5質量部を超えると、アミノ基を有する化合物がポリアミドの末端に付き、ポリアミド樹脂の重合度が上がらない場合がある。
【0034】
酸の使用量は、ポリアミド樹脂を構成するモノマー100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが必要であり、0.1〜4質量部であることが好ましい。酸の使用量が0.05質量部未満であると、ヘクトライトが十分に劈開しない場合がある。一方、5質量部を超えると、攪拌工程において操業性が低下する場合がある。
【0035】
スラリー調整工程としては、調整工程の後に、ヘクトライト、繊維状粘土鉱物を添加し攪拌する際に、最初にヘクトライトを添加し攪拌した後、次に繊維状粘土鉱物を添加し攪拌しポリアミドスラリーを得ることが好ましい。最初にヘクトライトを添加することで、形成された4級アミンが、ヘクトライトの層間に侵入し、層間を疎水性に変化させ、ヘクトライトの劈開性を促進させることができる。次に繊維状粘土鉱物を添加し攪拌することで、ポリアミドスラリー中でのヘクトライト、繊維状粘土鉱物の分散性を向上させることができる。最初のヘクトライトに代えて繊維状粘土鉱物を添加した場合は、生成した4級アミンが、繊維状粘土鉱物に吸着してしまい、次にヘクトライトを添加し攪拌したとしても、ヘクトライトを十分に劈開させるに足る4級アミンがもはや残存しておらず、ヘクトライトの劈開性、さらには分散性を低下させ、本発明のポリアミド樹脂組成物において、優れたガスバリヤ性を得ることが困難になる。
【0036】
ヘクトライトは、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすいものである。加えて、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さいものである。そのため、従来技術のように、カプロラクタムやアミノカルボン酸などのポリアミド樹脂を構成するモノマー、水を、ヘクトライトとともに攪拌・重合に付してポリアミド樹脂組成物を得る場合、ヘクトライト層間の親水性が高いため、急激に水を吸収し、ヘクトライトの量が増加すると、該ポリアミド樹脂組成物の粘度が大きくなり、均一な攪拌が困難である。加えて、得られる樹脂組成物の取扱性も悪化するという問題があった。従って、ヘクトライトの配合量を増加させることができず、ポリアミド樹脂の各種物性をバランスよく兼ね備えることが困難となる。
【0037】
一方、本発明においては、好ましい態様として、まず、ポリアミド樹脂を構成するモノマー、アミノ基を有する化合物、無機酸を前処理工程に付して、スラリー調整工程において、最初にヘクトライトを添加、次に繊維状粘土鉱物を添加した後、重合工程に付している。そのため、ヘクトライトの層間がアミノ基を有する化合物と無機酸が反応して形成される4級アミンに置換され、疎水性となり、層間には、水分子は入り込みにくくなり、その結果として膨潤しにくくなる。一方で、ヘクトライトの層間には、ポリアミド樹脂が入り込むことで、劈開し、均一分散される。その結果、ポリアミドスラリーの粘度増加を抑制することができ、取扱性の低下を防止しつつ、得られるポリアミド樹脂組成物の各種物性をバランスよく向上させることが可能となる。
【0038】
次に重合工程について説明する。
【0039】
重合工程における重合温度は、230〜280℃であることが好ましく、245〜275℃であることがより好ましい。重合温度が230℃未満であると、重合度が上がり難かったり、ヘクトライトの分散性が低下したりするという問題がある。一方、重合温度が280℃を超えると、ポリアミド樹脂が分解し、黄変する場合がある。
【0040】
重合工程における圧力は、0.1〜1.5MPaであることが好ましく、0.2〜1.0MPaであることがより好ましい。圧力が0.1MPa未満であると、ヘクトライトが良好に分散しない場合があり、ひいては、引張強度、曲げ弾性率、寸法安定性、反り性が十分に発現しない。一方、圧力が1.5MPaを越えると、重合性、ヘクトライトの分散性の向上が期待できる反面、耐圧能力の高い設備仕様としなくてはならず、経済面の負担が高くなる場合がある。
【0041】
本発明で得られたポリアミド樹脂組成物には、本発明に効果を損なわない範囲において、必要に応じて、他の重合体や添加剤を配合することも可能である。なお、これらの他の重合体や添加剤配合は、任意の段階で行われる。
【0042】
重合工程におけるヘクトライトの形態は、ポリアミド樹脂を構成するモノマー中における分散性を向上させることができれば特に制限されるものではない。
【0043】
ポリアミド樹脂組成物中でのヘクトライトの状態について、以下に説明する。ヘクトライトは、膨潤性層状珪酸塩であり、複数の層構造が重なっているものであるが、樹脂中では、十分に分散している必要がある。その平均粒子径は、25〜85nmであることが必要であり、35〜75nmであることが好ましく、45〜65であることがより好ましい。平均粒子径が30nm未満であるとガスバリヤ性の効果に乏しく、80nmを超えるとヘクトライトの分散性が不十分であるためガスバリヤ性が向上しない。平均粒子間距離は、20〜100nmであることが必要であり、30〜90nmであることが好ましく、40〜80nmであることがより好ましい。平均粒子間距離が20nm未満であるとヘクトライトの劈開および分散が進み過ぎガスバリヤ性が向上せず、100nmを超えてもやはりヘクトライトの劈開および分散が進んでいないためガスバリヤ性が向上しない。ヘクトライトの平均厚み(すなわち、該層構造における重なり部分の合計の平均厚み)が1〜5nmであることが必要であり、1.5〜4.5nmであることが好ましい。ヘクトライトの平均厚みが5nmを超えると、劈開が不十分であり、十分な曲げ弾性率、ガスバリヤ性が発現しない。一方、1nm未満であると、十分な補強効果が得られないという問題がある。
【0044】
ポリアミド樹脂組成物中での繊維状粘土鉱物の状態について以下に説明する。繊維状粘土鉱物は、ポリアミド樹脂中に十分に分散することが好ましく、ポリアミド樹脂中に繊維状粘土鉱物が単分散した繊維状結晶や、複数の繊維状結晶が束になった凝集物の状態で分散していることがより好ましい。それにより、本発明のポリアミド樹脂組成物は、強度と弾性率に優れるものとなる。
【0045】
本発明においては、前記前処理工程、スラリー調整工程に記載した製造方法を用いることで、ヘクトライト、および繊維状粘土鉱物を好ましい分散状態で分散させることが可能になる。
【0046】
上記重合工程で得られたポリアミド樹脂には、さらにガラス繊維とシランカップリング剤を配合することができる。配合する方法としては、特に限定はされず、例えば、二軸混練押出機を用いた溶融混練などが挙げられる。混練条件についても特に限定はされず、例えば、溶融温度240〜290℃、スクリュー回転150〜400rpmの条件下で溶融混練することが好ましい。シランカップリング剤の配合方法としては、ポリアミド樹脂とガラス繊維の溶融混練時に同時に添加する方法、予めシランカップリング剤で処理されたガラス繊維をポリアミド樹脂とともに溶融混練する方法が挙げられる。
【0047】
ガラス繊維、シランカップリング剤としては、特に限定はされず、通常のものが用いられる。ガラス繊維の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。含有量が5質量部未満では補強効果が不十分でり、100質量部を超えるとガスバリヤ性の効果が劣ることがある。シランカップリング剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.02〜0.9質量部であることがより好ましい。含有量が0.01質量部未満であるとポリアミド樹脂組成物とガラス繊維の密着性が乏しく、3質量部を超えるとポリアミド樹脂組成物の靭性が損なわれる。
【0048】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等が含有されていてもよい。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
本発明で得られたポリアミド樹脂組成物を通常の成形加工方法に付することにより、本発明の成形体を作製することができる。例えば、射出成形、押出成形、吹き込み成形、焼結成形などの熱溶融成形法を用いて、成形体とすることができる。なかでも、本発明のポリアミド樹脂祖組成物の特性である優れた引張強度、曲げ弾性率、寸法安定性を最も効果的に用いることができるという観点から、射出成形により成形体とすることが好ましい。かかる場合の成形条件は、特に限定されないが、例えば、樹脂温度230〜290℃、金型温度80℃程度が好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を有機溶媒溶液に溶解させ、流延法に付することにより、薄膜とすることもできる。
【0050】
本発明のポリアミド樹脂組成物より得られる成形体は、優れた引張強度、剛性を有するため、自動車用部品、電気部品、家庭用品等に用いることができる。特に、自動車のトランスミッション周り、エンジン周りで使用される部品に用いる部品として使用できる。具体的には、自動車のトランスミッション周りとしては、シフトレバー、ギアボックス等の台座に用いるベースプレート、エンジン周りとしては、シリンダーヘッドカバー、エンジンマウント、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー等に好適に用いられる。
また、張強度、剛性に加え、優れたガスバリヤ性を有することから、自動車用部品の中でも燃料タンク周辺部材、配管、ホース部材としても好適に使用することができる。
【実施例】
【0051】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた原料は次の通りである。
【0052】
1.原料
(A)ポリアミド樹脂を構成するモノマー
・ε―カプロラクタム(宇部興産社製)
(B)ヘクトライト、またはその他の膨潤性層状珪酸塩
・B−1:ヘクトライト(Elementis Specialities社製Bentone HC)[組成:Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si20(OH)・nHO](陽イオン交換量:80ミリ当量/100g)
・B−2:膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製ME−100)(陽イオン交換量:110ミリ当量/100g)
・B−3:モンモリロナイト(クニピア社製クニピアF)(陽イオン交換量:100ミリ当量/100g)
(C)繊維状粘土鉱物
C−1:セピオライト(TOLSA社製PANGEL HV)
C−2:パリゴルスカイト(昭和KDE社製POLEISY)
【0053】
2.評価方法
【0054】
(1)ポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩の平均粒子径
得られたポリアミド樹脂組成物から、射出成形により、ISO試験片を作製した。該試験片の流動方向と直角方向から、適当なサイズで一部を取り出し、凍結ミクロトームを用いて厚さ70nmの超薄切片を作製した。該超薄切片を透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230 TEM)(加速電圧100kv)により、ポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩の分散状態を調べた。すなわち、観察された電子顕微鏡写真から、ポリアミド樹脂組成物中に分散しているヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩の粒径をn=100で測定し、平均値を算出した。なお、粒径とは、前記電子顕微鏡写真で確認されるヘクトライト薄片の1片における最長長さを示す。ヘクトライト薄片の分散状態により、実際は、ヘクトライトは様々な向きで観察されるが、向きは特に考慮せず、ヘクトライト薄片の任意100点において、それぞれの最長長さを各々の粒径として計測し平均粒子径を算出した。
【0055】
(2)ポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩、繊維状粘土鉱物の平均粒子間距離
(1)と同様の操作手順によりポリアミド樹脂組成物中のヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩の分散状態を調べた。すなわち、観察された電子顕微鏡写真から、ポリアミド樹脂組成物中に分散しているヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩、繊維状粘土鉱物の粒子間距離を測定し、平均値を算出した。粒子間距離とは、ポリアミド樹脂組成物中に分散しているヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩、繊維状粘土鉱物の中心から、最も近くにあるヘクトライトまたは膨潤性層状珪酸塩、繊維状粘土鉱物の中心までの直線距離を測定したものである。なお、n=100とした。
(3)引張強度
ISO527に従って測定した。なお、110MPa以上であるものを合格とした。
【0056】
(4)曲げ弾性率
ISO178に従って測定した。曲げ弾性率は、4GPa以上のものを合格とした。
【0057】
(5)ガスバリヤ性
得られたポリアミド樹脂組成物から、射出成形により、厚み1mmtで60mm角の試験片を成形して、試験片から直径50mmの円板を切り取った。アルミ製の試験カップ(スクリューキャップ、開放部44mmφ)に試験溶液を約10ml入れ、直径50mmの円板の試験片をテトラフルオロエチレン製パッキン(1mmt、デムナムグリースL−200をパッキンの上下に塗布)で挟んだ状態でキャップにて図1のように固定した。試験溶液は、イソオクタン/トルエン/エタノールを45/45/10の容積比で混合したものである。試験雰囲気は、窒素流通下で、65℃である。2000時間経過後の重量を測定した。重量減少量が0.1g以下であるものを合格とした。
【0058】
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造するにあたり、ポリアミドスラリー、またはポリアミド樹脂を構成するモノマーに対し、層状珪酸塩および繊維状粘土鉱物を配合する手順として、製造方法A〜Eの5種類の配合手順にしたがって、それぞれポリアミド樹脂組成物を得た。配合手順を図1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例1 (製造方法A)
ε−カプロラクタム100質量部、12−アミノドデカン酸1質量部、亜リン酸0.4質量部を配合して、80℃で加温溶融しながら10分間攪拌した。次いで表2の配合に従い、ヘクトライト(B−1)2質量部を仕込み10分間攪拌した後、さらに、セピオライト(C−1)8質量部を仕込み1時間攪拌した。得られたポリアミドスラリーに対し水を添加して、260℃、0.7MPa下1時間攪拌した。次いで260℃、常圧で1時間攪拌し重合を行ってポリアミド樹脂組成物(P−1)を得た。得られたポリアミド樹脂組成物(P−1)を用いて射出成形機(東芝機械社製EC−100型)を用いてシリンダー温度250℃、金型温度80℃で射出成形を行い、各種試験片を得て評価を行った。その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例2〜9 (製造方法A)
ヘクトライト(B−1)の配合、セピオライト(C−1)またはパリゴルスカイト(C−2)の配合を表2の配合に変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリアミド樹脂組成物(P−2)〜(P−9)を得て評価を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
実施例10
実施例1で得られたポリアミド樹脂組成物(P−1)100質量部に対し、さらにガラス繊維10質量部、シランカップリング剤0.02質量部を配合した後、二軸混練押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用いて、バレル温度は250〜270℃、スクリュー回転200rpm、吐出15kg/hの条件下溶融混練を行い、ポリアミド樹脂組成物(P−10)を得て評価を行った。その結果を表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例11
ガラス繊維の配合を80質量部、シランカップリング剤の配合を0.2質量部とした以外は実施例6と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P−11)を得て評価を行った。その結果を表3に示す。
【0066】
比較例1〜10 (製造方法A)
表4に記載の配合に従い、実施例1と同様の操作を行ってポリアミド樹脂組成物(P−12)〜(P−21)を得て評価を行った。その結果を表4に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
比較例11 (製造方法B)
ポリアミドスラリーの製造において、セピオライト(C−1)8質量部を仕込み10分間攪拌した後、ヘクトライト(B−1)2質量部を仕込み1時間攪拌した以外は実施例1と同様の操作を行ってポリアミド樹脂組成物(P−22)を得て評価を行った。その結果を表4に示す。
【0069】
比較例12 (製造方法C)
ポリアミドスラリーの製造において、セピオライト(C−1)8質量部と、ヘクトライト(B−1)2質量部を同時に仕込み1時間攪拌した以外は実施例1と同様の操作を行ってポリアミド樹脂組成物(P−23)を得て評価を行った。その結果を表4に示す。
【0070】
比較例13 (製造方法D)
ポリアミドスラリーの製造において、ε−カプロラクタム100質量部、12−アミノドデカン酸1質量部、亜リン酸0.4質量部の配合と同時にセピオライト(C−1)8質量部を仕込み10分間攪拌した後、ヘクトライト(B−1)2質量部を仕込み1時間攪拌した以外は実施例1と同様の操作を行ってポリアミド樹脂組成物(P−24)を得て評価を行った。その結果を表4に示す。
【0071】
比較例14 (製造方法E)
ポリアミドスラリーの製造において、ε−カプロラクタム100質量部、12−アミノドデカン酸1質量部、亜リン酸0.4質量部の配合と同時にヘクトライト(B−1)2質量部を仕込み10分間攪拌した後、セピオライト(C−1)8質量部を仕込み1時間攪拌した以外は実施例1と同様の操作を行ってポリアミド樹脂組成物(P−25)を得て評価を行った。その結果を表4に示す。
【0072】
実施例1〜9
本発明のポリアミド、ヘクトライト、繊維状粘土鉱物の配合に従ってポリアミド樹脂組成物を得たため、引張り強度、曲げ弾性率、ガスバリヤ性のバランスに優れた材料が得られた。
【0073】
比較例1〜3
繊維状粘土鉱物を使用しなかったため、十分な引張り強度が得られなかった。
【0074】
比較例4
ヘクトライトを使用しなかったため、十分なガスバリヤ性が得られなかった。
【0075】
比較例5
ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の比率が過小であったため、十分なガスバリヤ性が得られなかった。
【0076】
比較例6
ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の比率が過大であったため、十分な引張り強度が得られなかった。
【0077】
比較例7
ヘクトライトに代えて膨潤性フッ素雲母を用いたため、十分な引張り強度が得られなかった。
【0078】
比較例8
ヘクトライトに代えてモンモリロナイトを用いたため、十分なガスバリヤ性が得られなかった。
【0079】
比較例9
ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の添加量が過多であったため、溶融粘度が高くなり過ぎ、重合釜からポリアミド樹脂組成物を払い出すことができず、ポリアミド樹脂ペレットを得ることはできなかった。
【0080】
比較例10
ヘクトライトの添加量が過少であったため、十分なガスバリヤ性が得られなかった。
【0081】
比較例11〜13
ヘクトライトの分散状態が悪く、分散後の平均粒径が所定よりも大きく、かつヘクトライト間の平均粒子間距離が所定よりも広がっていたため、ガスバリヤ性が低下した。

【符号の説明】
【0082】
A:試験片
B:試験溶液
C:アルミ製カップ
D:テトラフルオロエチレン製パッキン





































【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂100質量部に対し、ヘクトライト0.5〜15質量部と繊維状粘土鉱物0.5〜15質量部を含有してなるポリアミド樹脂組成物であって、ヘクトライトと繊維状粘土鉱物の含有比率が20/80〜60/40(質量比)、ヘクトライトの平均粒子径が25〜85nmであり、かつ平均粒子間距離が20〜100nmであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
繊維状粘土鉱物がセピオライトおよび/またはパリゴルスカイトであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
さらにガラス繊維およびシランカップリング剤を含有してなる請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
ポリアミド樹脂を構成するモノマーを無機酸およびアミノ基を有する化合物とともに加熱溶融して攪拌し、次いで、ヘクトライトを添加して攪拌した後に、繊維状粘土鉱物を添加してポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合することを特徴する請求項1または2記載のポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項5】
ポリアミド樹脂を構成するモノマーを無機酸およびアミノ基を有する化合物とともに加熱溶融して攪拌し、次いで、ヘクトライトを添加して攪拌した後に、繊維状粘土鉱物を添加してポリアミド樹脂を構成するモノマーを重合に付した後、ガラス繊維とシランカップリング剤を混練することを特徴とする請求項3記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。


























【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−72309(P2012−72309A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219113(P2010−219113)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】