説明

ポリアミド樹脂組成物

【課題】本発明は、高い機械的強度、吸水時においても高い剛性を有し、且つ、良好な外観をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物及び該ポリアミド樹脂組成物からなる車両用鏡体保持部品を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂30〜70重量%と(B)無機充填材70〜30重量%とからなる樹脂組成物であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%、(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される(A3)共重合ポリアミド樹脂であり、前記(B)無機充填材が(B1)ガラス繊維と(B2)ガラス繊維以外の無機充填材からなり、その重量比b1/(b1+b2)が0.1〜0.9であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水時の剛性低下が少ないポリアミド樹脂組成物に関し、特に吸水時の剛性低下が少ない上に、良好な外観をも兼備した車両用鏡体保持部品用ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂の中で特にナイロン66は、その強靱性、耐熱性から広く構造材として使用されており、また、ナイロン66にガラス繊維等の無機充填材を配合することでさらに強度剛性が増しその用途を広げている。しかし、ナイロン66は吸水すると剛性が低下するという欠点を有しており高剛性が必要な用途には向いていない。また、吸水時の剛性を向上させるために高濃度に無機充填材を配合すると表面に無機充填材が浮き出し表面平滑性が失われ、外観性が必要な用途に用いることができない。さらに、ガラス繊維等の異方性のある充填材を配合すると成形品に反りが生じ金型の設計を困難にしたり、用途が限定されていたりしていた。
【0003】
そこで、ナイロン66の吸水剛性を改良するために種々研究の結果、各種の半芳香族ポリアミドが見出され、ポリマー構造中に芳香環を導入することで低吸水化後の剛性低下の少ないポリマーが得られた(例えば特許文献1、特許文献2)。しかしながら、該ポリアミドは融点、固化点、ガラス転移温度が高いため、成形品において十分な結晶性を得るためには、オイル温度調節装置付きの金型で100℃以上の高温金型で成形する必要があり、かかる成形では設備コストの増大ばかりでなく、生産立ち上げ時において金型温度が上昇し安定するまでに大量の樹脂材料をロスするという欠点があった。
【特許文献1】特開平1−263151号公報
【特許文献2】特開平4−149234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い機械的強度、吸水時においても高い剛性を有し、且つ、良好な外観をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物及び該ポリアミド樹脂組成物からなる車両用鏡体保持部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヘキサメチレンセバカミド単位とをヘキサメチレンテレフタラミド単位を特定の割合で共重合してなる共重合ポリアミド樹脂に無機充填材を特定の割合で配合することにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリアミド樹脂30〜70重量%と(B)無機充填材70〜30重量%とからなる樹脂組成物であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%、(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される(A3)共重合ポリアミド樹脂であり、前記(B)無機充填材が(B1)ガラス繊維と(B2)ガラス繊維以外の無機充填材からなり、その重量比b1/(b1+b2)が0.1〜0.9であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物(ここで、b1はガラス繊維の含有量(重量%)、b2はガラス繊維以外の無機充填材の含有量(重量%)を示す。)、
(2)前記(A)ポリアミド樹脂が前記(A3)共重合ポリアミド樹脂と(A4)脂肪族ポリアミド樹脂の混合物である(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)前記(B2)ガラス繊維以外の無機充填材がガラスビーズ、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリンのうちから選ばれる少なくとも1種の無機充填材であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする車両用鏡体保持部品、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸水時の剛性低下が小さく、さらに、車両用鏡体保持品へ適用するのに必要な外観、成形性をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂のうち(A3)共重合ポリアミド樹脂とは(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位(以下ナイロン610またはN610とも称す)と(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下ナイロン6TまたはN6Tとも称す)とから構成されており、各成分の構成比は、N610が20〜80重量%、N6Tが80〜20重量%である。好ましい構成比はN610が30〜70重量%、N6Tが70〜30重量%である。N6Tが80重量%より多いとガラス転移温度が高くなることから、成形に高温金型が必要となり成形性が悪くなる。N6Tが20重量%より少ないと、高濃度に無機充填材を配合すると表面平滑性が失われ外観性が必要な用途に用いることができない。また、吸水時の剛性低下も発生し、本発明の目的にそぐわない。
【0010】
本発明で用いられる(A3)共重合ポリアミドの分子量は、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度ηrとして0.5〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.5〜2.9である。ηrが0.5より低いと樹脂が脆くなり、さらに、成形時にシリンダーのノズル先端からのドローリングが激しくなり成形できなくなり好ましくない。ηrが3.0より高いと樹脂の溶融粘度が高く成り過ぎて、成形時に金型のデザインによっては樹脂を金型内に充填できなくなり好ましくない。
【0011】
本発明のポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド樹脂と(B)無機充填材の組成比は、(A)ポリアミド樹脂が30〜70重量%、(B)無機充填材が70〜30重量%であり、好ましくは(A)ポリアミド樹脂が40〜60重量%、(B)無機充填材が60〜40重量%である。(A)ポリアミド樹脂が30重量%を下回る場合表面平滑性が失われ外観性が悪くなり、70重量%を越えると剛性が劣る。また、(B)無機充填材が70重量%を越えると外観性が悪くなり、30重量%を下回ると剛性が劣る。
【0012】
本発明ではポリアミド樹脂組成物の衝撃性を向上させるために、(A)ポリアミド樹脂に(A4)脂肪族ポリアミド樹脂を含有することが好ましい。本発明で用いる(A4)脂肪族ポリアミドとは−CH−を有する実質的に直鎖状のポリアミドのことであり、具体的にはナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66とナイロン6のコポリマー、ナイロン66とナイロン610のコポリマー、ナイロン66とナイロン612のコポリマーなどが挙げられ、2種類以上配合されていてもよい。更に好ましくはナイロン6、ナイロン66またはナイロン66/6コポリマーが良い。(A4)脂肪族ポリアミドの分子量は、特に限定がなく公知の分子量範囲であればよいが、好ましくはηrとして1.5〜7.0の範囲のものが好ましく、特に2.0〜6.0の範囲の脂肪族ポリアミド樹脂が好ましい。(A4)脂肪族ポリアミド樹脂の配合量は(A)ポリアミド樹脂全量に対し5〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜30重量%である。(A4)脂肪族ポリアミド樹脂の配合量が5重量%未満となると衝撃性向上効果が小さく、配合量が50重量%を越えると吸水時の剛性低下が大きくなり好ましくない。
【0013】
また、本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させるために銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの銅化合物などが挙げられる。なかでも1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第一銅、ヨウ化第一銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は通常、共重合ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が2重量部よりも多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリ化合物を添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0014】
本発明で用いる(B)無機充填材のうち、(B1)ガラス繊維とは、樹脂強化材用に一般的に用いられるガラス繊維である。
【0015】
本発明で用いる(B)無機充填材のうち、(B2)ガラス繊維以外の無機充填材とは、板状、棒状、球状などの形状を持った長径と短径の比率であるアスペクト比が5以下の充填材を言い、このような無機充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などが挙げられる。こられは中空であってもよく、さらにはこれら無機充填材を2種類以上用いることも可能である。また、これら無機充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。
【0016】
これら(B2)ガラス繊維以外の無機充填材の中でも、剛性、表面外観、寸法安定性に優れる点でガラスビーズ、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリンが好ましい。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満では凝集が起こりやすく剛性に劣る場合がある。また平均粒径が10μmを超えると剛性、表面外観に劣る場合がある。なお、平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒径の50%積算値として求めることができる。
【0017】
本発明においては、(B)無機充填材として(B1)ガラス繊維と(B2)ガラス繊維以外の無機充填材を特定比率で用いることが特徴である。本発明のポリアミド樹脂組成物中における(B1)ガラス繊維の含有量をb1(重量%)、(B2)ガラス繊維以外の無機充填材の含有量をb2(重量%)とした場合、その比率がb1/(b1+b2)が0.1〜0.9であることが必要であり、好ましくは0.4〜0.9である。その比率が0.1未満であると剛性が劣り好ましなく、また、0.9を超えると表面平滑性が失われ外観性が悪くなり好ましくない。
【0018】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0019】
本発明のポリアミド樹脂組成物は吸水時の剛性低下が小さいことから、この特性を活かしてドアミラーやルームミラー、バックミラー等を車体に保持する車両用鏡体保持部品、ドアーハンドル、サンバイザーアーム、アシストグリップ、レバースイッチ類、シフトノブ、シリンダーヘッドカバー、エンジン遮音カバー、タイミングベルトカバーなどのカバー類、各種スイッチやセンサーのケース類、ホイールキャップ、フューエルフィラーキャップ、チャイルドシート部品などの自動車関連部品や、自転車部品、車椅子およびベビーカー部品、椅子脚、肘掛け、手摺り、窓枠、ドアノブ、床材およびその支柱、ボルトやねじ等の生活関連部品や家具建材関連部品、パソコンの筐体など電気・電子機器関連における用途などに好適に用いることができる。特に自動車のドアミラーやルームミラー、バックミラー等を車体に保持する車両用鏡体保持部品に用いることが好ましい。
【0020】
本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法としては、特に制限はないが、溶融混練において、たとえば2軸押出機で溶融混練する場合に(A)ポリアミド樹脂と(B)無機充填材をあらかじめブレンダーを用いてブレンドし、メインフィーダーから供給する方法、メインフィーダーからポリアミド樹脂を供給し、無機充填材を押出機の先端部分のサイドフィーダーから供給する方法や事前にポリアミド樹脂を溶融混練した後、無機充填材と溶融混練する方法などが挙げられる。
【0021】
本発明の車両用鏡体保持部品は公知の方法で賦形でき、その成形方法に関しても制限はなく射出成形、押出成形、吹込成形、プレス成形等を利用することができる。中でも射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形から選ばれる一方法を採用することが生産性に優れ工業的に本発明を実施する上で好ましい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0023】
A.使用した材料
共重合ナイロン1:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレープ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cmに保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレープ底部から差圧10kg/cmで反応混合物を取り出し、ηr=2.3のポリマーを得た。
共重合ナイロン2:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.45であった。
共重合ナイロン3:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は共重合ナイロン1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.35であった。
共重合ナイロン4:セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩900gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩100g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は参考例1と同様の方法でポリマーを作成した。得られたポリマーのηrは2.50であった。
脂肪族ポリアミド樹脂1:ナイロン6“アミラン”CM1017(東レ社製)
脂肪族ポリアミド樹脂2:ナイロン66“アミラン”CM3001N(東レ社製)
ガラス繊維:TP57(エヌエスジーヴェトロテックス社製)
ガラスビーズ:EGB731AQ(ポッターズバロティーニ社製)
タルク:LMS300(富士タルク工業社製)
マイカ:21PU(山口雲母社製)
ワラステナイト:SH1800(キンセイマチック社製)
カオリン:トランスリンク445(エンゲルハード社製)
【0024】
B.評価方法
材料強度:
DRY物性・・引張強伸度はASTM D638に、曲げ弾性率はASTM D790に準じて測定した。
WET物性・・成形品を65℃、95%RHに調整された恒温恒湿槽に100時間放置して吸湿処理し、成形品の吸湿状態が変化しないよう保管し、吸湿処理後10時間以上経過後に曲げ弾性率をASTM D790に準じて測定した。
【0025】
表面外観
80×80×3mmの角板の表面上のGFの浮きの有無を目視判定した。
○:角板表面上にGFの浮き上がりがない。
×:角板表面上にGFの浮き上がりがある。
【0026】
実施例1〜8、比較例1〜4
各材料を表1に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業射出成形機PS60E9ASEで試験片と80mm×80mm×3.2mmの角板を成形し、材料強度、表面外観を評価した。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例1〜8および比較例1〜4との比較より明らかなとおり、N610とN6Tを特定の割合で共重合してなる共重合ポリアミド樹脂に無機充填材を特定の割合で配合されたポリアミド樹脂組成物を用い、必要に応じ脂肪族ポリアミドを配合した本発明の樹脂組成物は、高い機械的強度、吸水時においても高い剛性を有し、良好な表面外観を兼ね備えたものであり、車両用鏡体保持品として好適なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド樹脂30〜70重量%と(B)無機充填材70〜30重量%とからなる樹脂組成物であって、前記(A)ポリアミド樹脂が(A1)セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%、(A2)テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される(A3)共重合ポリアミド樹脂であり、前記(B)無機充填材が(B1)ガラス繊維と(B2)ガラス繊維以外の無機充填材からなり、その重量比b1/(b1+b2)が0.1〜0.9であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物(ここで、b1はガラス繊維の含有量(重量%)、b2はガラス繊維以外の無機充填材の含有量(重量%)を示す。)。
【請求項2】
前記(A)ポリアミド樹脂が前記(A3)共重合ポリアミド樹脂と(A4)脂肪族ポリアミド樹脂の混合物である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B2)ガラス繊維以外の無機充填材がガラスビーズ、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリンのうちから選ばれる少なくとも1種の無機充填材であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなることを特徴とする車両用鏡体保持部品。

【公開番号】特開2007−77309(P2007−77309A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268159(P2005−268159)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】