説明

ポリアリーレンスルフィド繊維

【課題】本発明は、寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド繊維を提供することである。
【解決手段】ポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなる繊維により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアリーレンスルフィド繊維に関するものであり、さらに詳しくは寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド繊維に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアリーレンスルフィド(PAS)は、その優れた耐熱性,耐薬品性,難燃性を生かして電気・電子機器部材,自動車機器部材として注目を集めている。また、射出成形,押出成形等により各種成型部品,フィルム,シート,繊維等に成形可能であり、耐熱性,耐薬品性,難燃性の要求される分野に幅広く用いられている。
【0003】
ポリアリーレンスルフィドの繊維製造技術は従来より知られている(特許文献1〜3)。このようにして得られた繊維は耐熱性が高く、中でもポリフェニレンスルフィド繊維は工業用フィルターや防護服など過酷な条件下で使用する繊維製品の素材として用いられている。
【0004】
近年、ポリフェニレンスルフィド繊維の使用条件は更に過酷となっており、この過酷な条件下における耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が求められている。
【0005】
特許文献4にはポリフェニレンスルフィドに含まれる低分子量物を徹底的に除去することで繊維強度を改善することが提案されている。しかし、この方法では低分子量物を除去するためにPPSの洗浄を何度も繰り返す必要があり、商業的にはコストも高くなる問題がある。
【0006】
一方、PPSに別のポリマーを混練し、PPSの改質を行うことは従来より行われている。特許文献5にはPPSに共重合PETを含有させた樹脂組成物について提案されている。この方法では確かにエポキシとの接着性は向上するものの繊維形態における寸法安定性については低いものであった。また、特許文献6にはPPSとポリエチレンテレフタレート(PET)のアロイ樹脂組成物について提案されている。この方法によれば、PPSアロイ繊維の寸法安定性はPPSと比較し同等である。しかしながら、PETが高濃度で含まれているため耐薬品性、耐熱性は低下することがわかった。
【0007】
このように、従来技術では耐熱性、耐薬品性、高温時での寸法安定性を満足するような繊維は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭52−3609号公報
【特許文献2】特開昭57−143518号公報
【特許文献3】特開昭58−31112号公報
【特許文献4】特開平4−100915号公報
【特許文献5】特開平6−166816号公報
【特許文献6】特開2004−231908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題は、ポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなる繊維により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、産業資材用途に適した熱的寸法安定性に優れ、耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド繊維を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明はポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート 0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなることを特徴とした繊維である。
【0014】
本発明はポリアルキレンテレフタレート(PAT)の含有量は0.1〜8重量%とすることを特徴としている。ポリアルキレンテレフタレートの添加量をこの範囲とすることにより熱的寸法安定性と耐薬品性、耐熱性が良好となる。
【0015】
繊維の熱的寸法安定性が向上させる方法として様々考えられるが、繊維の結晶化度が高くすることで繊維の熱的寸法安定性が向上する。発明者らはポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを一定の割合でブレンドするとポリアリーレンスルフィドの結晶化速度が向上することを見出した。この原因は明らかではないが、ポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドと相溶し、ポリアリーレンスルフィド分子鎖の運動性が向上させるため結晶形態となりやすくなり結晶化速度が向上すると考えている。
【0016】
即ち、ポリアルキレンテレフタレートの添加量が少なくなると結晶化速度が著しく低下し、0.1重量%より少ないと熱的寸法安定性が得られない。一方、ポリアルキレンテレフタレートの添加量が8重量%を越えると特殊な条件ではポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドに相溶状態となるが、一般的にはポリアリーレンスルフィド中にポリアルキレンテレフタレートが分散相を形成しそのサイズは大きくなる。ポリアルキレンテレフタレートを分解しやすいアルカリや酸などが存在する場ではポリアルキレンテレフタレートが分解し、繊維中にボイドなどの欠点を生成するため繊維強度の低下を引き起こす。また、高温ではポリアルキレンテレフタレートの配向が乱れ繊維強度が大きく低下する。
【0017】
また、特殊な条件によりポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを相溶化した場合、ポリアリーレンスルフィドの運動性が向上するがポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドの結晶形態を阻害するため結晶性が低下し熱的寸法安定性が低下する。
【0018】
本発明のようにポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの量を適正化することにより熱的寸法安定性と耐熱性、耐薬品性を両立させることができる。また、驚くべきことに本発明の範囲内とすることにより、耐薬品性、耐熱性についてはポリアリーレンスルフィド単独と比較し向上することを見出した。この原因については明らかではないが、ポリアリーレンスルフィド繊維の構造が密になっているため耐薬品性や耐熱性が向上していると考えている。このように本発明の繊維は従来のポリアリーレンスルフィドよりも耐薬品性、耐熱性が向上していることから、過酷な条件で使用される特殊フィルター用途においても適用することが可能である。
【0019】
ポリアルキレンテレフタレートの含有量は好ましくは1.5〜8重量%であり、2〜5重量%である。
【0020】
本発明のポリアルキレンテレフタレートとは、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、ポリアルキレンテレフタレートの混合物などが挙げられる。
【0021】
上記のポリアルキレンテレフタレートとしては、ジオール成分とテレフタル酸成分を用いて得られる重合体が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(2′−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどおよびエステル形成能を持つそれらの誘導体が挙げられる。中でも1,4ブタンジオールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート、トリメチレングリコールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリトリメチレンテレフタレート、エチレングリコールまたはエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0022】
特にエチレンテレフタレートユニットが90モル%以上のポリエチレンテレフタレートを用いると、繊維の熱的寸法安定性が向上する傾向にありより好ましい。
【0023】
本発明のポリアリーレンスルフィドの含有量は92〜99.9重量%とすることを特徴としている。ポリアリーレンスルフィドの含有量がこの範囲とすることにより熱的寸法安定性と耐薬品性、耐熱性が良好となる。
【0024】
ポリアリーレンスルフィドは耐薬品性、耐熱性の高い樹脂であり、ポリアリーレンスルフィドが繊維の表面に配することで耐薬品性、耐熱性を得ることができる。よって、ポリアリーレンスルフィドが92重量%より少ないと耐薬品性、耐熱性が低下し、耐薬品性、耐熱性を必要とする用途では使用することができない。ポリアリーレンスルフィドの含有量は95重量%以上が好ましい。
【0025】
本発明のポリアリーレンスルフィドとは式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。上記Arとしては、下記式(A)から式(K)などで表わされる単位などが例示されるが、なかでも式(A)で表わされる単位が特に好ましい。
【0026】
【化1】

【0027】
(ただし、式中のR1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい)この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
【0028】
【化2】

【0029】
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であってもよい。
【0030】
【化3】

【0031】
これらPAS樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレン単位
【0032】
【化4】

【0033】
を90モルパーセント以上含有するPPS、ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられ、PPSが特に好ましい。
【0034】
本発明のブレンドポリマーとは、後述するような様々な方法により溶融紡糸が完結する以前の任意の段階においてポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートとが混練(ブレンド)されてなるポリマー組成物を意味する。
【0035】
本発明において、ブレンドポリマーには、本発明の効果を妨げない範囲で、ポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレート以外のポリマーを配合することができる。
【0036】
本発明の繊維は320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度(Tc)が90〜130℃であることが好ましい。
【0037】
結晶化温度をこの範囲とすることで繊維の熱的寸法安定性が向上する傾向にある。より好ましくは100〜125℃である。
【0038】
本発明の繊維は320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度ピークの半値幅(D)が5℃以下であることが好ましい。Dが5℃以下とすることで繊維の熱的寸法安定性が向上する傾向にあり、更に繊維の内部構造(結晶化度など)が均一化するために強度も向上する。より好ましくは4.5℃以下である。
【0039】
本発明の繊維の形態として、マルチフィラメント、短繊維、モノフィラメントであることが好ましい。これらの形態とすることで本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0040】
本発明の形態としてマルチフィラメントとした場合、実用的な観点から強度が2.0cN/dtex以上、より好ましくは2.5cN/dtex以上、さらに好ましくは3.0cN/dtexである。一方、強度の上限は工業的に安定して製造できるという観点から、8.0cN/dtex以下である。
【0041】
また、マルチフィラメントの伸度は用途により適宜選択されるが、汎用的には20〜80%の範囲であり、高い強度と寸法安定性が要求される用途であれば20〜50%、より好ましくは20〜40%である。
【0042】
更に、糸長手方向の品質の指標である糸斑U%は、0.1〜2.0%であることが好ましい。ポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの分散性が悪いと紡糸機パック内にて粘度斑が生じやすくバラス効果が生じやすく、口金孔間や長さ方向に繊度斑を生じるが、本発明は分散性が良好であり、糸斑のないマルチフィラメントにすることができる。糸斑U%は0.1〜1.5%がより好ましく、0.1〜1.0%がさらに好ましい。
【0043】
マルチフィラメントの単繊維繊度は用途により適宜決めればよく、通常0.1〜10000dtexである。また、マルチフィラメントとしての総繊度は5〜50000dtexとすることが好ましい。更に、断面形状は、丸断面、中空断面、扁平断面、三葉断面等の多葉断面、W断面、X断面その他の異形断面についても自由に選択することが可能である。
【0044】
本発明の形態として短繊維とした場合、実用的な観点から繊維長が3〜200mmであることが好ましい。
【0045】
また、短繊維の繊維強度は2.0cN/dtex以上が実用的であり好ましい。より好ましくは2.5cN/dtex以上、更に好ましくは3.0cN/dtex以上である。一方強度の上限は工業的に安定して製造できるという観点から、8.0cN/dtex以下である。
【0046】
また、短繊維の伸度は用途により適宜選択されるが、汎用的には20〜80%の範囲であり、高い強度と寸法安定性が要求される用途であれば20〜50%、より好ましくは20〜40%である。
【0047】
更に、十分な繊維絡合性や糸およびスライバーの集束性を得るために、本発明における短繊維の捲縮度は3〜35%が好ましく、10〜23%がより好ましく、13〜20%が更に好ましい。
【0048】
短繊維の単繊維繊度は用途により適宜決めればよく、通常0.1〜10000dtexである。また、断面形状は、丸断面、中空断面、扁平断面、三葉断面等の多葉断面、W断面、X断面その他の異形断面についても自由に選択することが可能である。
【0049】
本発明の形態としてモノフィラメントを用いた場合は、実用的な観点から直径が0.05〜4.00mmのモノフィラメントとすることが好ましい。
【0050】
また、モノフィラメントの強度は2.0cN/dtex以上が実用的であり好ましい。より好ましくは2.5cN/dtex以上、更に好ましくは3.0cN/dtex以上である。一方、強度の上限は工業的に安定して製造できるという観点から、8.0cN/dtex以下である。
【0051】
また、モノフィラメントのく結節強度が1.5〜4.5cN/dtex、同じく引掛強度が2.0〜10.0cN/dtexの各特性を有していることが望ましい。結節、引掛強度が上記強度範囲の下限未満では、工業用途に使用するには不十分な傾向となり、強度範囲上限を越えると、屈曲耐久性が著しく低下する傾向となる。
【0052】
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維は、180℃で24時間の加熱処理した後の収縮率が0〜10%であれば繊維および繊維製品の熱的寸法安定性が良好であり好ましい。より好ましくは1〜8%である。
【0053】
更に、本発明のポリアリーレンスルフィド繊維は、180℃で24時間の加熱処理した後の強度保持率が80〜100%であることが好ましい。
【0054】
収縮率や強度保持率は繊維の製造条件を適正化することで容易に変えることは一般的に知られている。しかしながら、本発明の繊維とすることでこれらの特性が容易に得ることができる。例えば汎用のポリフェニレンスルフィド繊維の強度保持率は実施例中の参考例1に示すとおり収縮率が10%、強度保持率が90%となるが、本発明の繊維とすることで同一の繊維製造条件を採用しても実施例1に示すように収縮率が3%であり強度保持率も95%と非常に高い強度保持率を得ることができる。一方、比較例1のようにポリフェニレンスルフィド中のポリエチレンテレフタレートの含有量を多くした場合には強度保持率が大きく低下する傾向にある。より好ましくは85〜100%である。
【0055】
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維は、93℃の30%水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した際の強度保持率が90〜100%であることが好ましい。本来、ポリアリーレンスルフィド繊維はアルカリに対する耐性は高い繊維である。しかし、アリーレンスルフィド繊維に耐アルカリ性の低いポリエステルなどを混合すると、アルカリによりポリエステル成分が分解し、繊維の強度は低下する傾向にある。しかしながら、本発明の繊維はポリアルキレンテレフタレートの含有量を適正化することにより耐アルカリ性を向上させることに成功した。また、驚くべきことにポリアルキレンテレフタレートを添加していないPPS繊維と比較し、対アルカリ性は向上することを発見したものである。そのメカニズムについては明らかとなっていないが、本発明の繊維ではポリアルキレンテレフタレートは繊維強度には起因しておらず、ポリアルキレンテレフタレートを添加することで繊維の構造が密となりアルカリ処理後の繊維強度低下を抑制しているものと考えている。より好ましくは、95〜100%である。
【0056】
本発明の繊維の製造方法は特に限定されないが、例えば紡糸機内でのブレンドや予めポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを溶融混練した後、繊維化する方法が挙げられる。特に、ポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを予めブレンドした後、繊維化することで本発明の繊維が得られやすいためより好ましい。
【0057】
本発明の繊維の製造において用いられるポリアリーレンスルフィドの形状は特に限定されるものではない。例えば、PPSでは樹脂の形状が公知の製造方法によれば顆粒状かパウダー状であるので、それをそのまま使用してもかまわない。また、一旦フレークやペレットの形状にした後、使用してもかまわない。
【0058】
本発明で用いられるポリアルキレンテレフタレート樹脂の形状は特に限定されるものではなく、例えば、ペレット、フレーク、顆粒状、パウダーなどが挙げられる。
【0059】
溶融混練の方法は特に限定されず、公知の加熱溶融混合装置を使用することができる。
【0060】
加熱溶融混合装置としては、単軸押出機、2軸押出機、スクリューが3軸以上備えられた多軸押出機、それらの組み合わせの多軸押出機、ニーダー・ルーダーなどを使用することができる。中でも、2軸押出機を用いるとポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの分散性が向上することから紡糸性が向上するため好ましく用いられる。より好ましくはニーディングゾーンが2箇所以上ある2軸押出機を用いることである。
【0061】
溶融混練の方法において、混練時のポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートの混練機への供給方法は特に限定されず、例えば、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートを予めブレンドし混練機へ供給する方法、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートの各々を計量しながら混練機へ供給する方法、ポリアリーレンスルフィドを供給した混練機へポリアルキレンテレフタレートをサイドフィードで供給する方法が挙げられる。
【0062】
溶融混練の温度は、280〜350℃で溶融混練することが好ましい、ここでいう温度とは混練部分や混練機先端にある樹脂の温度である。通常、混練機先端に温度計を取付けて測定することができる。溶融混練の温度がこの範囲とすることで紡糸の安定性や得られる繊維の強度、色調など品質が良好となるので好ましい。
【0063】
混練時間は特に限定されないが、0.5〜30分であることが好ましい。混練時間をこの範囲とすることで、分散性とポリアリーレンスルフィドの熱分解抑制が両立でき、紡糸の安定性や得られる繊維の強度、色調など品質が良好となるので好ましい。
【0064】
本発明の繊維は、上記溶融混練した後、紡糸温度は285〜310℃で溶融紡糸することが好ましい。この温度範囲とすることでポリマーの流動性と有機系低重合度物や分解物などの揮発成分の発生量が両立でき、安定して繊維を製造することができることから好ましい。より好ましい紡糸温度は285〜300℃である。
【0065】
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維の製造方法において、溶融混練工程を経て、溶融紡糸工程により溶融紡糸されれば特に限定されるものではない。具体的には例えばPPS樹脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂を予め押出機で溶融混練したペレットを使用しても良いし、ポリアルキレンテレフタレート樹脂を高濃度に含有したマスターバッチを作成しておき、紡糸工程で任意の濃度に希釈しても良い。また、混練機を紡糸機に直結し、ペレットを得ることなく混練した溶融物を直接紡糸してもかまわない。
【0066】
紡糸工程では、増粘によるゲル化を防止するため、窒素雰囲気下で上記紡糸温度に加熱し、口金より吐出することが望ましい。口金は通常の溶融紡糸に使用するもの、例えば吐出孔径Dが0.15〜5mmφで、吐出孔深さLが0.2〜2.0mm程度のものが好ましく用いられる。
【0067】
口金から吐出した糸条は、通常、紡出後に風速5〜100m/分のチムニー風や温水により冷却され、マルチフィラメントや単繊維では集束剤として油剤を適量付与させて、巻き取ることにより得られる。
【0068】
また、紡糸速度は500m/分〜10000m/分にすることで分子配向が生じ、後の延伸工程での工程通過性を高めることができ好ましい。なお、本発明における紡糸速度とは糸条を引き取るための第1ゴデットローラーの周速度をいう。
【0069】
また、製造プロセスも一旦巻き取り公知の延伸機を用いて延伸処理する方法や、一旦巻き取ることなく紡糸延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸方式などのプロセスが適用できる。
【0070】
さらに、短繊維を製造する際には、必要に応じて、紡糸で得られた糸条を温水浴中、もしくは熱板上にて適正倍率にて延伸後、必要に応じてスタッフィングボックス型クリンパーにて捲縮を付与し、所定の温度にて弛緩熱処理を施し、次いで、油剤を付与後、所定の長さに繊維を切断し、短繊維を得ることができる。
【0071】
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維は繊維構造物として、織物、編み物、不織布、パイル、綿などの種々の布帛形態で好適に用いることが可能であり、組合せる繊維としては天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などが挙げられ、引き揃えや撚糸、混繊を行っても良い。その他の組合せる繊維としては、木綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維や、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリルおよびポリ塩化ビニルなどの合成繊維などが適用できる。耐薬品性や耐熱性が要求される用途では、本発明の繊維を単独で使用することもできる。
【0072】
本発明の繊維構造物として織物形態では、例えば一重組織である三原組織や変化組織、二重組織であるよこ二重組織やたて二重組織などの織物に製織すればよい。このときの織物の質量は50g/m2以上1500g/m2以下の範囲が好ましい。
【0073】
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維は、優れた耐熱性、耐薬品性を有した繊維であり、経済性に優れるため、バグフィルター、モーター結束紐、モーターバインダーテープおよび抄紙用ドライヤーカンバス、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、乾燥機または熱処理機内搬送用ベルトおよびフィルターなどの用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下に本発明を実施例で具体的に説明する。なお、実施例における材料特性は次の方法で行った。
(1)結晶化温度(Tc)および結晶化ピーク半値幅(D)
示差走査熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。まず始めに、繊維を320℃で5分間保持して、完全に融解させた後、液体窒素にて急冷し、樹脂中に結晶が残存しない状態とした。続いて50℃から320℃まで16℃/分で昇温したときに観測される発熱ピークの温度を求めた。
【0075】
装置 :TA Instruments製 DSC Q2000
データ解析:TA Instruments製 ユニバーサル アナリシス 2000
(2)強度(cN/dtex)、伸度(%)
JIS L 1013の方法に準拠し、試長25cm、引張り速度30cm/分の条件で測定した。
(3)糸斑U%(%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
(4)捲縮度(%)
試料からランダムに短繊維を抜き取り、この短繊維の一端を固定し、他端に2mg/dおよび300mg/dの荷重をかけ、そのときの繊維長をそれぞれ測定し、次式により捲縮度を算出する。試験回数は10回とし、その平均値で示す。
捲縮度[%]=100(B−A)/B
ただし、A、Bについては、以下に示すものとする。
A:2mg/dの荷重をかけたときの繊維長[mm]
B:300mg/dの荷重をかけたときの繊維長[mm]
(5)結節強度、引掛強度
JIS L 1013の方法に準拠し、試長25cm、引張り速度30cm/分の条件で測定した。
(6)180℃熱処理後の熱収縮率、強度保持率
熱安定性の指標として熱収縮率を180℃に温度調節されたでオーブンに24時間放置後の初期長さに対する熱収縮率(%)として求めた。
【0076】
また、加熱処理後の繊維の強度を測定し、初期の強度に対する強度保持率(%)として求めた。
(7)NaOH処理強度保持率
耐アルカリの指標として、30%のNaOH水溶液に繊維を浸漬した。その後、NaOH水溶液を加熱し、93℃で24時間熱処理後の繊維の強度を測定し、初期の強度に対する強度保持率(%)として求めた。
参考例1
PPS(東レ(株)社製、E2280)を2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃、口金口径0.23mm、口金孔数24ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
【0077】
次いで得られた未延伸糸を、延伸温度90℃で3.8倍に延伸し、235℃で熱セット後0.98倍の条件で弛緩処理することにより延伸糸を得た。
【0078】
結果を表1に示した。
実施例1
PPS(東レ(株)社製、E2280)95重量%および固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(東レ(株)社製、以下PETと略記)5重量%を320℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PPS95重量%およびPET5重量%であるポリマーチップを得た。
【0079】
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度300℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は295℃、口金口径0.23mm、口金孔数24ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
【0080】
次いで得られた未延伸糸を、延伸温度90℃で3.8倍に延伸し、235℃で熱セット後0.98倍の条件で弛緩処理することにより延伸糸と得た。結果を表1に示した。
【0081】
得られた繊維の熱安定性を測定したところ、180℃における収縮率はや強度保持率は非常に高く、PPS単独糸(参考例1)と比較しても高い寸法安定性と強度保持率が得られた。また、耐アルカリ性の指標であるNaOH処理後の強度保持率も高いものであり、PPS単独糸(参考例1)よりも耐アルカリ性の高いものであった。
実施例2、3、比較例1
PETをポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。PPに変更したもの(比較例1)は熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例4〜6、比較例2
PPSとPETの比率を変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。PETの量が10重量%であった比較例2は熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が低下した。また、耐アルカリ性が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0084】
【表2】

【0085】
参考例2
PPS(東レ(株)社製、E2280)を2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃、口金口径0.23mm、口金孔数100ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
【0086】
引き続き、得られた未延伸糸を、温度98℃の温水中で延伸倍率を3.2倍として延伸を行い,次いで熱延伸後と定長熱処理の間で2%弛緩、定長熱処理と捲縮付与前の間で2%弛緩させた条件で、200℃に加熱されたローラーにて4秒間の定長熱処理を行った。その後スタッフィングボックス型クリンパー内で210℃のスチームで捲縮を付与し、熱固定した後、油剤を付与、90℃で乾燥してから長さ51mmに切断して、PPS短繊維を得た。結果を表3に示す。
実施例7
PPS(東レ(株)社製、E2280)95重量%および固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(東レ(株)社製、以下PETと略記)5重量%を320℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PPS95重量%およびPET5重量%であるポリマーチップを得た。
【0087】
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度300℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は295℃、口金口径0.23mm、口金孔数100ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
【0088】
引き続き、得られた未延伸糸を、温度98℃の温水中で延伸倍率を3.2倍として延伸を行い、次いで熱延伸後と定長熱処理の間で2%弛緩、定長熱処理と捲縮付与前の間で2%弛緩させた条件で、200℃に加熱されたローラーにて4秒間の定長熱処理を行った。その後スタッフィングボックス型クリンパー内で210℃のスチームで捲縮を付与し、熱固定した後、油剤を付与、90℃で乾燥してから長さ51mmに切断して、PPS短繊維を得た。結果を表3に示す。
【0089】
得られた繊維の熱安定性を測定したところ、180℃における収縮率や強度保持率は高く、PPS単独糸(参考例2)と比較しても高い寸法安定性と強度保持率が得られた。また、耐アルカリ性の指標であるNaOH処理後の強度保持率もPPS単独糸(参考例2)よりも高く、耐アルカリ性の高いものであった。
実施例8、9、比較例3
PETをポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)に変更した以外は実施例7と同様にして行った。結果を表3に示す。PPに変更した比較例3は熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0090】
【表3】

【0091】
実施例10〜12、比較例4
PPSとPETの比率を変更した以外は実施例7と同様にして行った。結果を表4に示す。PETの量が10重量%であった比較例4は、熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が低下した。また、耐アルカリ性が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0092】
【表4】

【0093】
参考例3
PPS(東レ(株)社製、E2280)を2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃とし口金より繊維状に押出し、80℃の温水で冷却した。次いで、冷却糸条をゲージ圧1.96kPaの加圧飽和水蒸気雰囲気下、かつ4.1秒間で3.8倍に一次延伸を行い、150℃の熱風中で1.2倍に二次延伸し、次いで140℃、0.98倍の条件で弛緩熱処理することにより、直径0.45mmの円形断面を有するモノフィラメントを得た。結果を表5に示す。
実施例13
PPS(東レ(株)社製、E2280)95重量%および固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(東レ(株)社製、以下PETと略記)5重量%を320℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PPS95重量%およびPET5重量%であるポリマーチップを得た。
【0094】
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃とし口金より繊維状に押出し、80℃の温水で冷却した。
【0095】
次いで、冷却糸条をゲージ圧1.96kPaの加圧飽和水蒸気雰囲気下、かつ4.1秒間で3.8倍に一次延伸を行い、150℃の熱風中で1.2倍に二次延伸し、次いで140℃、0.98倍の条件で弛緩熱処理することにより、直径0.45mmの円形断面を有するモノフィラメントを得た。結果を表5に示す。
【0096】
得られた繊維の耐アルカリ性の指標であるNaOH処理後の強度保持率は高く、PPS単独糸(参考例3)よりも耐アルカリ性の高いものであった。
実施例14、15、比較例5
PETをポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)に変更した以外は実施例13と同様にして行った。結果を表5に示す。PPに変更したもの(比較例5)は熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0097】
【表5】

【0098】
実施例16〜18、比較例6
PPSとPETの比率を変更した以外は実施例13と同様にして行った。結果を表6に示す。PETの量が10重量%であった比較例6は、熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が低下した。また、耐アルカリ性が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
【0099】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなる繊維。
【請求項2】
320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度(Tc)が90〜130℃であることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度ピークの半値幅(D)が5℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維。
【請求項4】
ポリアルキレンテレフタレートが、エチレンテレフタレートユニットが90%以上有するリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維。
【請求項5】
ポリフェニレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維。
【請求項6】
繊維がマルチフィラメントであって、そのマルチフィラメントの物性が以下の特性を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維。
強度 2.0〜8.0cN/dtex
伸度 20〜80%
糸斑U% 0.1〜2.0%
【請求項7】
繊維長が3〜200mmの短繊維であって、その短繊維の物性が以下の特性を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維。
強度 2.0〜8.0cN/dtex
伸度 20〜80%
捲縮度 3〜35%
【請求項8】
直径が0.05〜4.00mmのモノフィラメントであって、モノフィラメントの物性が以下の特性を示すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維。
強度 2.0〜8.0cN/dtex
結節強度 1.5〜4.5cN/dtex
引掛強度が 2.0〜10.0cN/dtex
【請求項9】
180℃で24時間の加熱処理した後の繊維特性が以下の特性となることを特徴とする請求項1〜8記載のいずれか1項記載の繊維。
収縮率 0〜10%
強度保持率 80〜100%
【請求項10】
93℃の30%水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した際の強度保持率が90〜100%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の繊維。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の繊維を含有することを特徴とする繊維構造物。

【公開番号】特開2011−106060(P2011−106060A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262591(P2009−262591)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】