説明

ポリイソブテンブロックおよびオリゴアミドから構成された熱可塑性エラストマーとしてのブロックコポリマー

本発明は、軟質セグメントとしてイソブテンモノマー単位に基づく少なくとも1つのブロック(A)、および硬質セグメントとして、少なくとも2つの基本単位から形成され、それぞれがアミノ基およびカルボニル基を互いにα、β、γまたはδ位に有するかまたは互いに直接結合したオリゴアミドに基づく少なくとも1つのブロック(B)を含む、熱可塑性エラストマーの特性を有する、特にトリブロックまたはマルチブロックコポリマーの形態での新規なブロックコポリマーに関する。このようなブロックコポリマーは、繊維、マイクロファイバーおよびフィルムを製造するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質セグメントとしてイソブテンモノマー単位に基づく少なくとも1つのブロック(A)、および硬質セグメントとして、各々がアミノ基およびカルボニル基を互いにα、β、γまたはδ位に有するかまたは互いに直接結合した少なくとも2つの基本単位から形成されたオリゴアミドに基づく少なくとも1つのブロック(B)を含む、熱可塑性エラストマーの特性を有する、特にトリブロックまたはマルチブロックコポリマーの形態での新規なブロックコポリマーに関する。本発明は、上記ブロックコポリマーの製造方法および繊維、マイクロファイバーおよびフィルムを製造するためのその使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
天然に生じる繊維またはネットワーク材料、例えば絹、コラーゲンまたは木材等は、驚くべき特性を有することが多いが、自然が穏やかな生理学的条件下で該特性を生成することを考えるとより一層注目に値する。このような特徴の1つの理由は、上記バイオポリマーが典型的には、異なった3次元規模の構造から構成されることである。例えばタンパク質の場合には、アミノ酸配列により決定される1次構造、1次構造において予備形成される鎖セグメントに起因して所定の構造を形成する2次構造、例えばαへリックスまたはβシート型構造等、2次構造の所定のより高度な空間的配置により構成される3次構造および生物学的活性タンパク質複合体の最終的な空間的配置である4次構造の間で区別される。より高度な3次元構造の自己組織的形成についての情報は、分子レベルにおいて既に存在することが明らかとなった。
【0003】
このようなバイオポリマーは、それに基づく性能特性を有するより高度な3次元構造を自己組織的に同様に形成すべきである合成ポリマーのための模範である。例えば、macromolecules 1995年、第28巻、第4426〜4432頁では、B.ZaschkeおよびJ.P.Kennedyは、軟質セグメントとして2官能性ポリイソブテンテレケリック、および硬質セグメントとしてジカルボン酸およびジイソシアネートからCOの除去を伴う重付加により得られたポリアミドブロックから構成される熱可塑性エラストマーを記載する。ここで、ZaschkeおよびKennedyにより使用されるジカルボン酸は、アジピン酸、アゼライン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、使用されるジイソシアネートは、1,3−(ビス(イソシアナトメチル)ベンゼンおよび1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンであった。
【0004】
R.H.WondraczekおよびJ.P.Kennedyは、J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.1982年、第20巻、第173〜190頁において、ナイロン−6ブロックおよびポリイソブテンテレケリックから形成されたジブロック、トリブロックおよび3星コポリマーを記載する。ヒドロキシル末端ポリイソブテンテレケリックの連結は、ナイロン−6ブロックへジイソシアネートより結合する。ナイロン−6ブロックは、ε−カプロラクタムを重合することにより得られる。WondraczekおよびKennedyにより記載のコポリマーは、より高度の構造に起因して有利な物理特性を有し、例えば比較的高い温度においてなお熱安定性である。
【0005】
H.Frauenrathおよび共著者は、Angew.Chem.2006年、第118巻、第5510〜5513頁において、およびNano Letters 2008年、第8巻、第6号、第1660〜1666頁において、水素化ポリイソプレンセグメントおよび天然に生じるα−アミノ酸から形成されるオリゴアミドセグメントから、必要に応じてアミド末端ジアセチレン単位から形成される合成ポリマーを記載する。ジアセチレン単位を最終的に用いてシート状構造を与える架橋重合を行う。ここでは、記載の天然に生じるα−アミノ酸から構成される1つのオリゴアミドセグメントは、テトラ−(L−アラニン)である。自己組織的なより高度な構造、特にβシート型構造により、上記合成ポリマーは、例えば光電子工学用途に適している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.ZaschkeおよびJ.P.Kennedy、「macromolecules」、1995年、第28巻、第4426〜4432頁
【非特許文献2】R.H.WondraczekおよびJ.P.Kennedy、「J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.」、1982年、第20巻、第173〜190頁
【非特許文献3】H. Frauenrath、「Angew.Chem.」、2006年、第118巻、第5510〜5513頁
【非特許文献4】H.Frauenrath、「Nano Letters」、2008年、第8巻、第6号、第1660〜1666頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、軟質セグメントとしてイソブテンモノマー単位に基づくブロック、特にポリイソブテンテレケリックを有し、硬質セグメントは、(i)ポリイソブテン軟質セグメントから相分離よりマイクロ−またはナノ構造のより良好な構造へ導き、および/または(ii)比較的高度の鎖剛性および/または単分散性(分子均質性)を有し、その結果、比較的短いセグメント長でも安定性硬質ドメインを形成し、従ってその特性寸法は、数ナノメーターに限定され、および/または(iii)キラリティとの組み合わせにおける顕著な異方性凝集の結果(例えば1つの空間方向における水素結合の結果、および他の空間方向における疎水性内部作用の結果)、高アスペクト比(長さと直径の比)およびナノメーター範囲での均質な直径を有するらせん形小繊維硬質ドメインの良好な形成が可能となる、熱可塑性エラストマー特性を有するブロックコポリマーを提供することである。
【0008】
最終的には、上記の熱可塑性エラストマーブロックコポリマーに基づく分子繊維強化複合材料も提供し、その材料特性は、セグメント長、硬質セグメントの分子均一性およびキラリティのようなパラメーターに応じて改良される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、軟質セグメントとしてイソブテンモノマー単位に基づく少なくとも1つのブロック(A)、および硬質セグメントとして、少なくとも2つの基本単位から形成され、それぞれがアミノ基およびカルボニル基を互いにα、β、γまたはδ位に有するかまたは互いに直接結合したオリゴアミドに基づく少なくとも1つのブロック(B)を含む、熱可塑性エラストマーの特性を有するブロックコポリマーを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
熱可塑性エラストマーの特性は、特に、熱可塑性挙動を生じさせる、熱の供給での硬質セグメントおよび軟質セグメントを有するブロックコポリマーの塑性変形能を意味すると理解される。熱可塑性エラストマーは、その分子の領域において、熱条件下で巨大分子分解を伴うことなく溶解する物理架橋点(2次原子価力または結晶子)を有し、従って「通常の」エラストマーより良好に加工することができる。熱可塑性エラストマーの典型的な測定可能な物理的材料特性は、圧縮永久歪み(DIN 53517またはDIN ISO 815またはASTM D 395)または残留伸びおよび応力緩和である。圧縮永久歪みまたは残留伸びは、上記エラストマーが長期にわたる一定圧縮およびその後の緩和下でどのように挙動するかの指標である:0%の値は、物体が元の厚みまたは形状を再び完全に得ること(実際には不可能である)を意味し、100%の値は、物体が試験の間に完全に変形し、復元力を示さないことを意味する。本発明のブロックコポリマーは、圧縮永久歪試験において、100%より遙かに低い値、特に80%未満、とりわけ50%未満の値を提供することとなる。
【0011】
好ましい実施態様では、少なくとも1つのブロック(A)は、単官能性ポリイソブテンブロックである。単官能性ポリイソブテンは、典型的には、高反応性ポリイソブテン、すなわち、高反応性末端ビニリデン二重結合の高い割合を有するポリイソブテンから、例えばEP−B244616に従うヒドロホルミル化および引き続きの水素添加性アミノ化により調製される。上記ポリイソブテンアミンは、ブロック(B)のオリゴアミド上へ末端アミノ官能基より容易に結合することができる。
【0012】
更なる好ましい実施態様では、本発明のブロックコポリマーの少なくとも1つのブロック(A)は、ポリイソブテンテレケリックである。テレケリックポリイソブテンは、特定の重合技術により、ジ−または多官能性開始剤(「イニファー」としても既知)およびイソブテンから典型的に調製される。従って得られるポリイソブテンテレケリックは、2以上のポリイソブテン鎖または(星形分子の場合には)ポリイソブテン分枝、例えば3または4のポリイソブテン分枝を有し、その遠位末端は、重合反応が停止した後、ハロゲン原子またはエチレン性二重結合を有する。本発明によるブロックコポリマーに対する更なる変換のために、これらは、他の官能性部分へ、例えばアミン、アルコール、アルデヒド、イソシアネートまたはチオール官能基へまたはより良好な結合性選択をブロック(B)へ与えることができるエチレン性またはアリル二重結合へ変換することができる。ポリイソブテンテレケリックにおいてブロック(B)へ結合するために働く官能基部分の数は、ポリイソブテン鎖またはポリイソブテン分枝1個あたり1〜3、好ましく1または2である。
【0013】
ポリイソブテンブロック(A)を、オリゴアミドを含むブロック(B)へ連結するために、従来使用されるペプチド結合性試薬を、ブロック(A)上で官能基部分の様式において用いることも可能である。この目的のための例は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート/N,N−ジイソプロピレンエチルアミン(「ヒューニッヒ塩基」)(「PyBOP/DIEA」)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩/ヒドロキシベンゾトリアゾールヒドレート/N,N−ジイソプロピルエチルアミン(「EDCl/HOBt/DIEA」)系である。
【0014】
上記ポリイソブテンテレケリックのための典型的な製造方法は、DE102005002772A1に記載されている。典型的な開始剤は、1,3−ビス(1−ブロモ−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン(1,3−塩化ジクミル)および1,4−ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン(1,4−塩化ジクミル)である。
【0015】
更に好ましい実施態様は、少なくとも1つのブロック(A)が270〜5000、好ましくは380〜5000、特に500〜5000の数平均分子量を有するポリイソブテンブロック、特にポリイソブテンテレケリックである本発明のブロックコポリマーである。本発明では、開始剤単位は、規定の量で存在させる。
【0016】
本発明のブロックコポリマーのブロック(B)のオリゴアミドは、好ましくはアミノ基およびカルボキシル基を、オリゴマー化前に同一分子中に互いにα、β、γまたはδ位に有する少なくとも2個、特に2〜20個、特に2〜10個、例えば2、3、4、5または6個の基本単位から正式に形成される。アミノ基は、特に第1級アミノ基である。従って、これらの塩基単位は、好ましくはアミノ酸である。オリゴアミド形成(オリゴマー化)は、好ましくは、同一または異なってよいアミノ酸分子の重縮合により行い、また、用いるアミノ酸のカルボキシル基は、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸無水物またはカルボン酸エステル等の反応性誘導体の形態で使用可能である。用いる基本単位は、原則として、対応する内部環式アミドまたはベタイン構造(内部塩)であってもよい。従ってオリゴアミド単位は、第1級アミノ基の場合、通常、式:
−CO−X−NH−(CO−X−NH)
(式中、Xは、同一または異なったアミノ酸の残存構造を表し、nは、≧1、特に1〜19を表す)
で示される鎖の構造を有する。
【0017】
好ましい実施態様では、本発明のブロックコポリマーの少なくとも1つのブロック(B)は、脂肪族α−、β−、γ−またはδ−アミノ酸または芳香族β−、γ−またはδ−アミノ酸のオリゴアミドを含む。基礎的な脂肪族β−アミノ酸基本単位の例は、3−アミノプロピオン酸(β−アラニン)、3−アミノ酪酸または2−アミノシクロヘキサンカルボン酸である。基礎的な脂肪族−γアミノ酸基本単位の例は、4−アミノ酪酸、4−アミノペンタン酸または3−アミノシクロヘキサンカルボン酸である。基礎的な脂肪族δ−アミノ酸基本単位の例は、5−アミノペンタン酸、5−アミノヘキサン酸または4−アミノシクロヘキサンカルボン酸である。基礎的な芳香族β−アミノ酸基本単位の1つの例は、オルト−アミノ安息香酸(アントラニル酸)である。基礎的な芳香族γ−アミノ酸基本単位の1つの例は、メタ−アミノ安息香酸である。基礎的な芳香族δ−アミノ酸基本単位の1つの例は、パラ−アミノ安息香酸である。また、芳香族アミノ酸のオリゴアミドは一般に、オリゴアラミドとも称される。
【0018】
特に好ましいのは、少なくとも1つのブロック(B)が、α−アミノ酸のオリゴアミド、特に単分散オリゴアミドを含む本発明のブロックコポリマーである。極めて特に好ましいのは、少なくとも1つのブロック(B)が、天然に生じるα−アミノ酸のオリゴペプチド、特に単分散オリゴペプチドをオリゴアミドとして含む。本発明では、「単分散」とは、オリゴアミドが規定の長さおよび構造の特定の分子単位であり、この点について任意の統計的分布に影響されないことを意味すると理解され、そうでなければポリマー分子についての場合である。言い換えれば、上記単分散オリゴアミド単位の多分散度は、1.0の値とみなされる。
【0019】
天然に生じるα−アミノ酸は、典型的には、以下のものを意味すると理解される:アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、システイン(Cys)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、バリン(Val)、アスパラギン酸(Asp)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)およびグルタミン(Gln)。これらの中でも1個のカルボキシル基および1個の第1級アミノ基を分子中に有するもの、すなわち、Ala、Cys、Gly、His、Ile、Leu、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValは、線形オリゴペプチドを与える。架橋または分枝状オリゴペプチドは、複数のカルボキシル基または複数のアミノ基を分子中に有する上記α−アミノ酸の架橋または分枝状オリゴペプチドを含む。
【0020】
更に適当なα−アミノ酸は、例えばシスタチオニン、シスチン、ホモシステイン、ホモセリン、ランチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、サルコシン、サイロニン、馬尿酸、アロファン酸とヒダントイン酸である。
【0021】
用いるα−アミノ酸は、(天然に生じる)L立体配置またはD立体配置において用い得る。
【0022】
このようなオリゴアミドまたはオリゴペプチドのための実施において行うことができる合成法は、当業者に既知である。Emil Fischerにより開発されたα−ハロカルボニル塩化物とアミノ基上で保護されていないアミノ酸エステルとの反応および引き続きのアミノ基についてのハロゲンのアンモニアによる交換に加えて、確立され始めた方法は、特に、保護アミノ基を有するアミノ酸を用いる方法である。本発明では、当該保護基は、アミドまたはペプチド結合を同時に破壊させずに、アミドまたはペプチド形成後に容易に再び取り外し可能であることが重要である。
【0023】
いわゆるオリゴアミドまたはオリゴペプチドの更なる合成法は、例えばEP−A2067801に記載のアミノ酸N−カルボキシ無水物(「NCA」)の対応するホモオリゴマー、ランダムコオリゴマーおよびグラフトコオリゴマーによる開環オリゴマー化である。NCAは、1環窒素原子を有する5員環式カルボン酸無水物であり、これは、2−置換アミノ酸から、特に2−置換α−アミノ酸から、または上記アミノ酸とホスゲンまたはトリホスゲンとのダイマーまたはトリマーから調製することができる。開環オリゴマー化は、特に、第1級、第2級または第3級アミンにより、およびアルコール、水または酸により開始される。オリゴマー化を中断することができる官能基は、保護基によりブロックすることができる。本発明において興味深いNCAの例は、グリシン、アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、tert−ブチルセリン、tert−ブチルチロセリン、tert−ブチルアスパラギン酸およびN−フェニルグリシン(「Leuchs無水物」を与える)から形成されるものであり、tert−ブチル官能基は、ヒドロキシル基のための保護基を構成する。
【0024】
適当なオリゴペプチドのための典型的なペプチド配列は、以下の通りである:
(Ala)1+n〔式中、n=1、2、3、4または5〕
(Gly)1+n〔式中、n=1、2、3、4または5〕
(Cys)1+n〔式中、n=1、2、3、4または5〕
【0025】
(Ala)1+n−Cys〔式中、n=0、1、2、3または4〕
(Gly)1+n−Cys〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Val−(Thr)1+n〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0026】
(Ala)1+n−Cys〔式中、n=0、1、2、3または4〕
(Gly)1+n−Cys〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Val−(Thr)1+n〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0027】
Val−(Thr)1+n−Gly〔式中、n=0、1、2または3〕
Ala−(Gly)1+n−Ala〔式中、n=0、1、2または3〕
Gly−(Ala)1+n−Gly〔式中、n=0、1、2または3〕
【0028】
Ala−Gly−Ala−Gly−Ala
Val−Thr−Val−Thr−Gly
Val−Pro−Gly−Val−Gly
Ala−Gly−Arg−Gly−Asp
Gly−Arg−Gly−Asp−Ser
Ile−Lys−Val−Ala−Val
【0029】
Lys−Thr−Thr−Lys−Ser
Gly−Glu−Ala−Lys−Ala
Gly−Arg−Ala−Glu−Ala
Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly
【0030】
オリゴアミド単位またはオリゴアミド鎖は、好ましくは2〜10個、特に2、3、4、5または6個の同一または異なった記載のアミノ酸単位から構成される。
【0031】
更なる好ましい実施態様では、本発明のブロックコポリマーの少なくとも1つのブロック(B)は、保護基、発色団、蛍光色素分子、有機半導体およびこのような構造要素のための前駆体から選択される付加的な構造要素(S)を含み、いずれも、オリゴアミド単位またはオリゴアミド鎖の遠位末端にあるか、またはブロック(B)をブロック(A)へ接合するかまたは2個のブロック(B)を互いに接合する。構造要素(S)は、1価または多価、例えば2価であり得る。従って、ブロックコポリマー配置、特に(A)−(B)−(S)、(B)−(S)−(A)、(S)−(B)−(A)−(B)−(S)および[(A)−(B)−(S)−(B)−(A)]p(P≧1)型のブロックコポリマー配置が含まれる。
【0032】
保護基は、原則として、記載のオリゴアミドまたはオリゴペプチドの合成を制御する働きをする。この目的のために、一般に保護基としてペプチド化学に典型的に用いる全ての部分が適当である。通常、アミノ酸のアミノ基を、上記保護基でキャップし、次いで更なるアミノ酸と反応させてペプチド結合(CO−NH)を形成する。この保護基は、分子中に永久には残存しないが一時的に残存する場合、ペプチド形成後に、ペプチド結合を同時に再び破壊することなく容易に再び取り外し可能であることが重要である。アミノ官能基のための典型的な保護基は、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル(「Boc」)、パラ−トシル、フタリル、ホルミル、アセチル(「Ac」)、トリフルオロアセチル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(「Fmoc」)またはジメチルグリシン(「GlyMe」)である。
【0033】
付加的な構造要素(S)としての発色団、蛍光色素分子および有機半導体は、容易に動くことができる電子系を有し、従って色効果、光電子工学効果および/または電気的効果を、本発明のブロックコポリマー中にまたは本発明のブロックコポリマーにより生じさせることができる部分である。構造要素(S)は、原則として、例えば保護基機能を発揮するかまたは容易に動くことができる電子系を提供する官能基部分、および要素からまたは要素を分子の残りへ結合するスペーサーから形成され得る。典型的な部分(S)は、例えばブロック(B)の、式:
−(CS)
(式中、q=1〜6繰り返し単位)、
で示されるオリゴ−(2,5−トリエニレン)(「オリゴフェニレン」)、式:
−(C
(式中、r=1〜6繰り返し単位)
で示されるオリゴ−1,4−フェニレン(「オリゴフェニレン」)での、または「リレン誘導体」、例えばナフタレンジカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4−ジカルボン酸3,4−無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸3,4,9,10−二無水物、テリレンジカルボン酸無水物、テリレンテトラカルボン酸二無水物、クアテリレン二カルボン酸無水物、クアテリレンテトラカルボン酸二無水物、対応する高級リレンジカルボン酸無水物および対応する高級リレンテトラカルボン酸二無水物、コロネンジカルボン酸無水物、ヘキサペリヘキサベンゾコロネンジカルボン酸無水物、ヘキサペリヘキサベンゾコロネンテトラカルボン酸二無水物およびフラーレン誘導体、例えばフレロピロリジン等での変性により得られる。
【0034】
また、本発明の主題の一部を形成する他の実施態様は、少なくとも1つのブロック(B)は、2個のアミド部分間に配置される、発色団、蛍光色素分子、有機半導体およびこのような構造要素のための前駆体から選択される少なくとも1つの付加的な構造要素(S’)を含むブロックコポリマーの実施態様である。発色団、蛍光色素分子、有機半導体および上記構造要素(S’)のための前駆体は、構造要素(S)について上で規定のものと同じである。各側面上の2個のアミド部分は、例えば2個、特に2〜10個、とりわけ2〜5個、例えば2または3個のアミドベース単位から形成されたオリゴアミドサブ−ブロックの構成成分であってよく、またはいずれの場合にも単一のアミド基として上記ブロック(B)の各末端に存在してよい。各側面上のアミド部分および構造要素(S’)の間には、スペーサーが組み込まれ得る。
【0035】
ブロック(B)とこのような中央構造要素(S’)との典型的な例は、式:
−NH−CO−アルキレン−S’−アルキレン−CO−NH−
〔式中、「アルキレン」は、スペーサーを、C−〜C12−アルキレン部分、特にC−〜C−アルキレン部分、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレンまたは1,4−シクロヘキシレンの形態で示す〕
で示されるα,ω−ビスカルボキサミドである。
【0036】
本発明はまた、(A)が単官能性ポリイソブテンブロックを表し、および(B)が上記に従うブロックを表し、Rが水素または構造要素(S)、特に保護基である、(A)−(B)−R構造のジブロックコポリマーを提供する。このようなジブロックコポリマーは、本発明のブロックコポリマーを単官能性ポリイソブテンブロックにより組み入れる最も簡単な技術手段である。
【0037】
本発明のジブロックコポリマーの典型的な例は、PIB−(AA)1+n−R型の構造であり、AAは、アミノ酸、特にα−アミノ酸、とりわけ天然に生じるα−アミノ酸を表し、PIBは、単官能性ポリイソブテンを表し、Rは、水素または付加的な構造要素(S)であり、nは、1〜9、特に1〜5の整数である。AAは、この型の同一または異なったアミノ酸を表す。PIBおよびAA間の結合は、適当な官能基または結合試薬による。
【0038】
本発明のコポリマーのための実例となる個々の構造は、以下の通りである:
PIB−(Ala)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Gly)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Cys)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Ala)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Gly)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Cys)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Ala)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Gly)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
PIB−(Cys)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
【0039】
PIB−(Ala)1+n−Cys−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Ala)1+n−Cys−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Ala)1+n−Cys−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Ala)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Ala)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Ala)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Gly)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Gly)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Cys−(Gly)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0040】
PIB−(Gly)1+n−Cys−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Gly)1+n−Cys−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Gly)1+n−Cys−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Val−(Thr)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Val−(Thr)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−Val−(Thr)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Thr)1+n−Val−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Thr)1+n−Val−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
PIB−(Thr)1+n−Val−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0041】
PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−H〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−H〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−H〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−H〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
【0042】
PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−H
PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−H
PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−H
PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−H
PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−H
PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−H
【0043】
PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Ac
PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−Ac
PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−Ac
PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−Ac
PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−Ac
PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−Ac
【0044】
PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Fmoc
PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−Fmoc
PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−Fmoc
PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−Fmoc
PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−Fmoc
PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−Fmoc
【0045】
PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−H
PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−H
PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−H
PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−H
【0046】
PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−Ac
PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−Ac
PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−Ac
PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−Ac
【0047】
PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−Fmoc
PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−Fmoc
PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−Fmoc
PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−Fmoc
【0048】
本発明は、R−(B)−(A)−(B)−R構造〔式中、(A)は、ポリイソブテンテレケリックを表し、および(B)は、上記に従うブロックを表し、Rは、水素または上記構造要素(S)、特に保護基である〕のトリブロックコポリマーを更に提供する。2つのブロック(B)は、異なるか、または好ましくは同じである。このようなトリブロックコポリマーは、本発明のブロックコポリマーをテレケリックポリイソブテンブロック(A)で導入する最も単純な技術手段である。
【0049】
本発明のトリブロックコポリマーの典型的な例は、R−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n−R型〔式中、AAは、アミノ酸、特にα−アミノ酸、特に天然に生じるα−アミノ酸を表し、PIBは、二官能性ポリイソブテンテレケリックを表し、Rは、水素または付加的な構造要素(S)であり、nは1〜9、特に1〜5である〕の構造である。AAは、この種の同一または異なったアミノ酸を表す。同様に、2つの変数Rは、同一または異なった定義を有する。PIBおよびAA間の結合は、適当な官能性基または結合試薬によるものである。
【0050】
本発明のトリブロックコポリマーのための例示的な個々の構造は、次の通りである:
H−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
H−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
H−(Cys)1+n−PIB−(Cys)1+n−H〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Ac−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Ac−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Ac−(Cys)1+n−PIB−(Cys)1+n−Ac〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Fmoc−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Fmoc−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
Fmoc−(Cys)1+n−PIB−(Cys)1+n−Fmoc〔式中、n=1、2、3、4または5〕
【0051】
H−Cys−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−Cys−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−Cys−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−Cys−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−Cys−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−Cys−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
H−(Ala)1+n−Cys−PIB−Cys−(Ala)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−(Ala)1+n−Cys−PIB−Cys−(Ala)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−(Ala)1+n−Cys−PIB−Cys−(Ala)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
H−(Gly)1+n−Cys−PIB−Cys−(Gly)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−(Gly)1+n−Cys−PIB−Cys−(Gly)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−(Gly)1+n−Cys−PIB−Cys−(Gly)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0052】
H−Cys−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−Cys−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−Cys−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−Cys−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−Cys−(Gly)1+n−PIB−(Gly)1+n−Cys−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
H−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
H−Val−(Thr)1+n−PIB−(Thr)1+n−Val−H〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Ac−Val−(Thr)1+n−PIB−(Thr)1+n−Val−Ac〔式中、n=0、1、2、3または4〕
Fmoc−Val−(Thr)1+n−PIB−(Thr)1+n−Val−Fmoc〔式中、n=0、1、2、3または4〕
【0053】
H−Ala−(Gly)1+n−Ala−PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−H〔式中、n=0、1、2または3〕
Ac−Ala−(Gly)1+n−Ala−PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
Fmoc−Ala−(Gly)1+n−Ala−PIB−Ala−(Gly)1+n−Ala−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
H−Gly−(Ala)1+n−Gly−PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−H〔式中、n=0、1、2または3〕
Ac−Gly−(Ala)1+n−Gly−PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
Fmoc−Gly−(Ala)1+n−Gly−PIB−Gly−(Ala)1+n−Gly−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
H−Val−(Thr)1+n−Gly−PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−H〔式中、n=0、1、2または3〕
Ac−Val−(Thr)1+n−Gly−PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
Fmoc−Val−(Thr)1+n−Gly−PIB−Gly−(Thr)1+n−Val−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
H−Gly−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−H〔式中、n=0、1、2または3〕
Ac−Gly−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−Ac〔式中、n=0、1、2または3〕
Fmoc−Gly−(Thr)1+n−Val−PIB−Val−(Thr)1+n−Gly−Fmoc〔式中、n=0、1、2または3〕
【0054】
H−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−H
H−Val−Thr−Val−Thr−Gly−PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−H
H−Val−Pro−Gly−Val−Gly−PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−H
H−Ala−Gly−Arg−Gly−Asp−PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−H
H−Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−H
H−Ile−Lys−Val−Ala−Val−PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−H
【0055】
Ac−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Ac
Ac−Val−Thr−Val−Thr−Gly−PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−Ac
Ac−Val−Pro−Gly−Val−Gly−PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−Ac
Ac−Ala−Gly−Arg−Gly−Asp−PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−Ac
Ac−Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−Ac
Ac−Ile−Lys−Val−Ala−Val−PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−Ac
【0056】
Fmoc−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−PIB−Ala−Gly−Ala−Gly−Ala−Fmoc
Fmoc−Val−Thr−Val−Thr−Gly−PIB−Gly−Thr−Val−Thr−Val−Fmoc
Fmoc−Val−Pro−Gly−Val−Gly−PIB−Gly−Val−Gly−Pro−Val−Fmoc
Fmoc−Ala−Gly−Arg−Gly−Asp−PIB−Asp−Gly−Arg−Gly−Ala−Fmoc
Fmoc−Gly−Arg−Gly−Asp−Ser−PIB−Ser−Asp−Gly−Arg−Gly−Fmoc
Fmoc−Ile−Lys−Val−Ala−Val−PIB−Val−Ala−Val−Lys−Ile−Fmoc
【0057】
H−Ser−Lys−Thr−Thr−Lys−PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−H
H−Ala−Lys−Ala−Glu−Gly−PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−H
H−Ala−Glu−Ala−Arg−Gly−PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−H
H−Gly−Gly−Phe−Gly−Thr−PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−H
【0058】
Ac−Ser−Lys−Thr−Thr−Lys−PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−Ac
Ac−Ala−Lys−Ala−Glu−Gly−PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−Ac
Ac−Ala−Glu−Ala−Arg−Gly−PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−Ac
Ac−Gly−Gly−Phe−Gly−Thr−PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−Ac
【0059】
Fmoc−Ser−Lys−Thr−Thr−Lys−PIB−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser−Fmoc
Fmoc−Ala−Lys−Ala−Glu−Gly−PIB−Gly−Glu−Ala−Lys−Ala−Fmoc
Fmoc−Ala−Glu−Ala−Arg−Gly−PIB−Gly−Arg−Ala−Glu−Ala−Fmoc
Fmoc−Gly−Gly−Phe−Gly−Thr−PIB−Tyr−Gly−Phe−Gly−Gly−Fmoc
【0060】
記載の本発明のトリブロックコポリマーは通常、マイクロファイバーを与えるために電気紡糸(典型的には25〜30重量%のクロロホルム溶液中で、例えば15000Vおよび14cmの間隔にて)により、および繊維を与えるために融解紡糸または溶液紡糸により容易に処理して安定性エラストマーフィルムを形成することができる。
【0061】
トリブロックコポリマーAc−Cys−(AA)1+n−PIB−(AS)1+n−Cys−Ac、特にAc Cys (Ala)1+n−PIB (Ala)1+n Cys Acは、繊維、マイクロファイバーまたはフィルムを製造する類似の方法に用いることができるが、これは、チオール官能基の、システインから繰り返し単位:
−CH−CH(NHAc)−CO−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n−CO−CH(NHAc)−CH−S−S− 〔n=1〜5〕、または
−CH−CH(NHAc)−CO−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−CO−CH(NHAc)−CH−S−S− 〔n=1〜5〕
を有する遙かに高い分子量の不溶性ポリマーへの引き続きの空気酸化により変換することができる。
【0062】
本発明また、マクロ構造要素として、式:
−(B)−(A)−(B)−
〔式中、(A)および(B)は、上記に従うブロックを示す〕
で示されるトリブロックコポリマー構造要素を含むマルチブロックコポリマーを提供する。ブロック(A)および(B)の間での結合は、適当な官能性基または結合試薬によるものである。
【0063】
典型的には、上記の本発明によるマルチブロックコポリマーは、記載のトリブロックコポリマーと、結合試薬として、一般式:Hal−CO−Y−CO−Hal
(式中、Halは、ハロゲン、例えばイオジン、フッ素、臭素または特に塩素を表し、Yは、C−〜C12−アルキレン、C−〜C−シクロアルキレンおよびフェニレンから選択される架橋環である)
で示されるジカルボニルハライド、またはジカルボン酸無水物、特に一般式:
(−CO−Y−CO−)O
(式中、Yは、上に定義の通りである)
で示される環式構造、または一般式:
OCN−Y−NCO
(式中、Yは、上に定義の通りである)
で示されるジイソシアネートとを反応させることにより得られる。記載のジカルボニルハライドの例は、塩化マロニル、塩化スクシニル、塩化グルタリル、塩化アジポイル、塩化ヘキサンジカルボニル、塩化オクタンジカルボニル、塩化デカンジカルボニル、塩化1,2−シクロヘキサンジカルボニル、塩化1,3−シクロヘキサンジカルボニル、塩化1,4−シクロヘキサンジカルボニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイルおよび塩化テレフタロイルである。記載のジカルボン酸無水物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸およびグルタル酸無水物である。記載のジイソシアネートは、ヘキシレン1,6−ジイソシアネート、フェニレン1,4−ジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニル4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートおよびナフタレン1,5−ジイソシアネートである。上記構造要素(S)がジハライド、ジカルボン酸無水物またはジイソシアネート官能基を有する場合、これらを上記結合試薬として働かせることもできる。
【0064】
これは、繰り返し単位:
−CO−Y−CO−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n−、または
−CO−NH−Y−NH−CO−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n
を有するマルチブロックコポリマー構造を与える。アミノ酸(AA)は、結合に用いる官能基または結合試薬に従って、アミノ官能基と連携してPIBブロック(例えばカルボキシ官能基化されたPIBブロック)を与えるか、または好ましくはカルボキシル官能基と連携してPIBブロック(例えばアミノ官能基価PIBブロック)を与え得る。
【0065】
他の本発明のマルチブロックコポリマーは、繰り返し単位:
−CH−CH(NHAc)−CO−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n−CO−CH(NHAc)−CH−S−S− 〔n=1〜5〕、または
−CH−CH(NHAc)−CO−(Ala)1+n−PIB−(Ala)1+n−CO−CH(NHAc)−CH−S−S− 〔n=1〜5〕
を有する上記の比較的高い分子量ポリマーである。
【0066】
H−(AA)1+n−PIB−(AA)1+n−H型の構造を有する上記トリブロックコポリマーと、他のポリマーまたは他のトリブロックコポリマー、例えばカルボニルハライド末端基またはカルボニルハライド末端オリゴアミド末端ブロックを有しおよびイソブテン以外のモノマーまたはPIB以外のテレケリックミドルブロックに基づくトリブロックコポリマーとを共重縮合することも可能である。PIB以外のテレケリックミドルブロックは、例えばポリイソプレン(「PI」)、ポリスチレン(「PS」)、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレンオキシド(「PEO」)またはポリ(L−乳酸)[「PILLA」]を基づき得る。共重縮合により得られる上記ポリマーにおける典型的な繰り返し単位は、
−(AA)1+n−(AA)−POL−(AA)−(AA)1+n−PIB−
(式中、POLは、イソブテンに基づかないポリマーまたはポリイソブテンに基づかないテレケリックポリマーを表し、mは0〜3であり、およびAA、PIBおよびnはそれぞれ上に定義の通りである)
である。
【0067】
有利な性能特性を有する類似の複合材料は、本発明のトリブロックコポリマーの記載のマルチブロックコポリマーへの導入とは別に、本発明のトリブロックコポリマーとポリマーまたは一般式:
R−(AA)POL−(AA)−R
〔式中、R、AA、POLおよびmはいずれも上に定義の通りである〕
で示されるトリブロックコポリマーとの簡単な物理混合により得ることもできる。
【0068】
本発明はまた、ブロック(A)に、適当な反応性一官能性または多官能性基、例えば二官能性基を付与すること、およびブロック(A)をブロック(B)のオリゴアミド上へこれらの官能性基より結合することまたはブロック(A)をブロック(B)のオリゴアミド上へ適当な結合試薬により結合することを含む本発明のブロックコポリマーの製造方法を提供する。この方法は、オリゴアミド単位またはオリゴアミド鎖の遠位末端にあるかまたはブロック(B)をブロック(A)へ、または2つのブロック(B)を互いに結合する構造要素(S)を有するブロックコポリマーの製造に特に適当である。反応性官能基は、好ましくは、アミン、アルコール、アルデヒド、イソシアネート、チオール、ハライド、エチレンまたはアリル二重結合、ジカルボニルハライド、ジカルボン酸無水物および2官能性構造要素(S)、例えば2官能性発色団または蛍光色素分子から選択される。結合は、末端アミノ官能基により、または末端アミノ基が通常保護基によりキャップされるので、オリゴアミドの末端カルボキシル官能基により、従来用いられる合成法によって行うことができる。
【0069】
本発明は、末端アミノ官能基またはカルボキシル官能基を有するブロック(B)の適当な前駆体と、反対の末端カルボキシルまたはアミノ官能基を有する対応するブロック(A)とを反応させることを含む、中央構造要素(S’)を有する本発明のブロックコポリマーを製造するための方法を更に提供する。遊離カルボキシル官能基の代わりに、対応する反応性カルボン酸誘導体、例えばカルボニルハライド、カルボン酸無水物またはカルボニルイソシアネート等を用いることも可能である。例えば式:
HOOC−アルキレン−S’−アルキレン−COOH
〔式中、「アルキレン」は、C−〜C12−アルキレン部分、特にC−〜C−アルキレン部分、例えばメチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレンまたは1,4−シクロヘキシレン等の形態でのスペーサーを表す〕
で示される、PIB−NH−CO−アルキレン−S’−アルキレン−CO−NH−PIB構造で示されるトリブロックコポリマーを与えるアミノ末端ポリイソブテンブロックでのα,ω−ビスカルボン酸。本発明では、典型的な構造要素(S’)は、例えば、式:
−(CS)
〔式中、q=1〜6の繰り返し単位〕
で示されるオリゴ(2,5−チエニレン)(「オリゴチオフェン」)、式:
−(C
(式中、r=1〜6の繰り返し単位)
で示されるオリゴ−1,4−フェニレン(「オリゴフェニレン」)、または「リレン誘導体」、例えばナフタレンジカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4−ジカルボン酸3,4−無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸3,4,9,10−二無水物、テリレンジカルボン酸無水物、テリレンテトラカルボン酸二無水物、クアテリレンジカルボン酸無水物、クアテリレンテトラカルボン酸二無水物、対応するより高度のリレンジカルボン酸無水物および対応するより高度のリレンテトラカルボン酸二無水物、コロネンジカルボン酸無水物、コロネンテトラカルボン酸二無水和物、ヘキサペリヘキサベンゾコロネンジカルボン酸無水物、ヘキサペリヘキサベンゾコロネンテトラカルボン酸二無水物、フラーロピロリジンのようなフラーレン誘導体である。
【0070】
本発明のブロックコポリマーは、繊維、マイクロファイバーおよびフィルムを製造するのに際立って適当である。このような繊維、マイクロファイバーおよびフィルムは、天然に生じる繊維またはネットワーク材料、例えば絹、コラーゲンまたは木材等により処理されたものと同様の特性および3次元構造を有する。本発明のブロックコポリマーは、発色団、蛍光色素分子および有機半導体を、付加的な構造要素(S)として更に含む場合、色彩効果、光電子工学効果および/または電気的効果が上記材料にもたらされ、これらを工業において特定の用途に適するようにする。
【0071】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであって、制限するためのものではない。
【実施例】
【0072】
実施例1:トリブロックコポリマーAc−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)−Acの調製
N−アセチル−L−アラニル−L−アラニン(700mg、3.46ミリモル)、および開始剤として1,3−ビス(1−ブロモ−1−メチルエチル)ベンゼンおよびイソブテンから得られおよび遠位末端のいずれにもアミノ官能基が付与された二官能性ポリイソブテンテレケリック(3.93g、1.73ミリモル、M=2270)を、300mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。これに、0.89mL(5.19ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび1.98g(3.81ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。16時間室温にて撹拌後、反応混合物を、過剰の塩酸水溶液で希釈し、有機溶媒を留去し、室温に冷却後に沈殿した生成物をろ過し、60℃にてテトラヒドロフランに再び溶解した。概説の精製操作を、過剰の塩酸水溶液での再沈殿により2回繰り返した。最後に、生成物を、ジクロロメタン中に溶解および溶液の濃縮による沈殿により更に精製した。生成物を、定量的収率で、未だ幾分湿っている白色固体の形態で得た。
【0073】
実施例2:トリブロックコポリマーFmoc−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)−Fmocの調製
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニル−L−アラニン(4.36mg、9.61ミリモル)および開始剤として1,3−ビス(1−ブロモ−1−メチルエチル)ベンゼンおよびイソブテンから得られ、および遠位末端のいずれにもアミノ官能基が付与された二官能性ポリイソブテンテレケリック(10.9g、4.81ミリモル、M=2270)を、400mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。これに、2.47mL(14.42ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび5.50g(10.58ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。16時間室温にて撹拌後、反応混合物を、過剰の塩酸水溶液で希釈し、有機溶媒を留去し、室温に冷却後に沈殿した生成物をろ過し、60℃にてテトラヒドロフランに再溶解した。概説の精製操作を、過剰の塩酸水溶液での再沈殿により2回繰り返した。最後に、生成物を、ジクロロメタン中に溶解および溶液の濃縮による沈殿により更に精製した。14.18g(94%収率)の白色固体を得た。
【0074】
H NMR (200MHz、CDClおよびTFA):δ=0.81(s、12H、2PhC(CH)、0.96〜1.20(m、186H、2CHCH、30CH(CH)、1.29〜1.42(m、60H、30CH)、1.85(s、4H、 2CHC(CHPh)、2.80〜3.50(m、4H、2CHNH)、3.90〜4.80(m、12H、6CHCH(O)NH、2フルオレニルCH、2FmocCOCH)、7.15〜7.79(m、20H、芳香族H)ppm
【0075】
実施例3:トリブロックコポリマーH−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)−Hの調製
実施例2からのトリブロックコポリマーFmoc−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)3−Fmoc(11.00g、3.50ミリモル)を、200mLのピペリジンに溶解した。30分間撹拌後、溶媒を減圧下で留去し、粗製生成物を、低温n−ヘプタンで3回洗浄した。最後に、生成物を、ジクロロメタン中に溶解および溶液の濃縮による沈殿により更に精製した。7.76g(82%収率)の白色固体を得た。
【0076】
H NMR(200MHz、CDClおよびTFA):δ=0.81(s、12H、2PhC(CH)、0.96〜1.20(m、186H、2CHCH、30CH(CH)、1.29〜1.42(m、60H、30CH)、1.85(s、4H、2 CHC(CHPh)、2.80〜3.50(m、4H、2CHNH)、3.90〜4.80(m、6H、6CHCH(O)NH)、7.15(s、3H、芳香族H)、 7.38(s、1H、芳香族H)ppm
【0077】
実施例4:トリブロックコポリマーFmoc−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)−Fmocの調製
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニル−L−アラニン(283.8mg、0.74ミリモル)および実施例3からのH−(L−Ala)−PIB−(L−Ala)−H(1.00g、0.37ミリモル)を、200mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。これに、0.19mL(1.11ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび290mg(0.56ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。16時間室温にて撹拌後、反応混合物を、過剰の塩酸水溶液で希釈し、有機溶媒を留去し、室温に冷却後に沈殿した生成物をろ過し、60℃にてテトラヒドロフランに再溶解した。概説の精製操作を、過剰の塩酸水溶液での再沈殿により2回繰り返した。最後に、生成物を、ジクロロメタン中に溶解および溶液の濃縮による沈殿により更に精製した。1.12g(88%収率)の白色固体を得た。
【0078】
HNMR(200MHz、CDClおよびTFA):δ=0.81(s、12H、2 PhC(CH)、0.96〜1.20(m、186H、2CHCH、30CH(CH)、1.29〜1.42(m、60H、30CH)、1.85(s、4H、2CHC(CHPh)、2.80〜3.50(m、4H、2CHNH)、3.90〜4.80(m、16H、10CHCH(O)NH、2フルオレニルCH、2FmocCOCH)、7.15〜7.79(m、20H、芳香族H)ppm
【0079】
実施例5:トリブロックコポリマーFmoc−(L−Gly)−PIB−(L−Gly)−Fmocの調製
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−グリシル−L−グリシン(200mg、0.56ミリモル)および開始剤として1,3−ビス(1−ブロモ−1−メチルエチル)ベンゼンおよびイソブテンから得られ、および遠位末端のいずれにもアミノ官能基が付与された二官能性ポリイソブテンテレケリック(0.64g、0.28ミリモル、M=2270)を、0.29mL(1.69ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンと共に、50mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。これに、352.5mg(0.67ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。16時間室温にて撹拌後、反応混合物を、200mLの1モル塩酸水溶液と混合し、30分間撹拌した。次いで有機溶媒を減圧下で留去し、生成物を、粘着塊として水性相に沈殿させた。該生成物を、テトラヒドロフランに再び溶解に溶解した。概説の精製操作を、1モルの塩酸水溶液での再沈殿により2回繰り返した。精製生成物を、ジクロロメタン中に溶解および硫酸マグネシウム上で乾燥させた。減圧下での濃縮は、0.67gの生成物(89%収率)を、粘着性黄色油の形態で与える。
【0080】
H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.8(s、12H、2PhC(CH)、0.9〜1.2(m、186H、2CHCH、30CH(CH)、1.2〜1.5(m、60H、30CH)、1.84(s、4H、2CHC(CHPh)、2.99、3.16(m、4H、2CHNHR)、3.87(s、4H、COCHNHCO)、3.92(s、4H、COCHNHCO)、4.22(t、J=6.4 Hz、2H、フルオレニルCH)、4.46(d、J=6.4Hz、4H、OCH)、7.12(s、3H、芳香族H)7.31(t、J=7.2Hz、2H、Ar−H)、7.4(t、2H、J=7.2Hz、Ar−H)、7.58(d、J=7.2Hz、4H、Ar−H)、7.76(d、J=7.2Hz、4H、Ar−H)ppm
【0081】
実施例6:ジブロックコポリマーPIB−(L−Ala)−(L−Gly)−Fmocの調製
構造HC−C(CH−[CH−C(CH16−CH−CH(CH)−(CH−NH(1.00g、2.71ミリモル、M=1040)、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−グリシル−L−アラニン(283.8mg、0.74ミリモル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.39mL、8.14ミリモル)を、200mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。これに、1.70g(3.26ミリモル)のベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを添加した。16時間室温にて撹拌後、反応混合物を、400mLの1モル塩酸水溶液と混合し、30分間撹拌した。次いで有機溶媒を減圧下で留去し、生成物を、粘着塊として水性相に沈殿させた。除去した水性相を、更なるジクロロメタンで抽出した。組み合わさったジクロロメタン層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、1モル塩酸水溶液で3回洗浄し、減圧下で濃縮した。生成物を、定量収率で、粘着性黄色油の形態で得た。
【0082】
H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.9〜1.5(m、145H、脂肪族H、3H CHCH)、3.15〜3.35(m、2H、CHNHR)、3.87 (m、2H、COCHNHCO)、4.22(t、J=6.8Hz、1H、フルオレニルCH)、4.43(m、2H、OCH、1H、CHCH)、5.5(s、1H、カルバメート NH)、6.08(s、1H、NH)、6.64(d、1H、NH)、7.31(t、J=7.2Hz、2H、Ar−H)、7.4(t、2H、J=7.2Hz、Ar−H)、7.58(d、J=7.2Hz、2H、Ar−H)、7.76(d、J=7.2Hz、2H、Ar−H)ppm
【0083】
実施例7:ビス(アミドプロピル)テトラ(2,5−トリエニレン)ミドルブロックとのトリブロックコポリマーの調製
C−C(CH−[CH−C(CH−CH−CH(CH)−(CH−NH構造(0.09g、0.15ミリモル、M=590)および5.5’’’−ビス(ブタン酸)−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−テトラチオフェン(36.9mg、0.07ミリモル)を、70mLの無水テトラヒドロフランに溶解した。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(76.0mg、0.60ミリモル)およびベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(97.0mg、0.18ミリモル)を添加した。2時間の反応後、溶液を減圧下で濃縮した。残留物を、氷冷1モル塩酸水溶液中に注いだ。次いで形成された沈殿物を、テトラヒドロフラン中に再溶解した。沈殿操作を、3回繰り返した。0.12gの精製生成物(90%の収率に対応)を黄色油の形態で得た。該生成物は、以下の構造式:
【化1】

を有する。
【0084】
H NMR(200MHz、CDCl):δ=0.9〜1.5(m、200H、脂肪族H)、1.8(m 4H、2CH)、2.1(m、4H、2C(O)CH)、2.8(4H、2CH)、3.2(m、4H、CHNHR)、5.3(s、1H、NH)、6.7(d、2H、芳香族H)、7.0(m、6H、芳香族H)ppm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質セグメントとして、イソブテンモノマー単位に基づく少なくとも1つのブロック(A)、および硬質セグメントとして、少なくとも2つの基本単位から形成され、各々がアミノ基およびカルボニル基を互いにα、β、γまたはδ位に有するかまたは互いに直接結合したオリゴアミドに基づく少なくとも1つのブロック(B)を含む、熱可塑性エラストマーの特性を有するブロックコポリマー。
【請求項2】
少なくとも1つのブロック(A)は、単官能性ポリイソブテンブロックである、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項3】
少なくとも1つのブロック(A)は、ポリイソブテンテレケリックである、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項4】
少なくとも1つのブロック(A)は、270〜5000の数平均分子量を有するポリイソブテンブロックである、請求項1〜3のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項5】
少なくとも1つのブロック(B)は、脂肪族α−、β−、γ−またはδ−アミノ酸または芳香族β−、γ−またはδ−アミノ酸のオリゴアミドを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項6】
少なくとも1つのブロック(B)は、天然に生じるα−アミノ酸の単分散オリゴペプチドをオリゴアミドとして含む、請求項1〜5のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項7】
少なくとも1つのブロック(B)は、付加的な構造要素(S)を含み、該構造要素は、保護基、発色団、蛍光色素分子、有機半導体およびこのような構造要素のための前駆体から選択され、各々がオリゴアミド単位またはオリゴアミド鎖の遠位末端にあるかまたはブロック(B)をブロック(A)へ接合するかまたは2つのブロック(B)を互いに結合する、請求項5または6に記載のブロックコポリマー。
【請求項8】
オリゴアミドは、2〜10個のアミノ酸単位から構成される、請求項5〜7のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項9】
少なくとも1つのブロック(B)は、少なくとも1つの付加的な構造要素(S’)を含み、該構造要素は、発色団、蛍光色素分子、有機半導体およびこのような構造要素のための前駆体から選択され、2つのアミド部分間に配置される、請求項1〜4のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項10】
(A)−(B)−R構造
〔式中、(A)は、請求項2または4に記載のブロックを表し、および(B)は、請求項1、5、6、8または9に記載のブロックを表し、およびRは、水素または請求項7に記載の構造要素(S)である〕
のジブロックコポリマー。
【請求項11】
R−(B)−(A)−(B)−R構造
〔式中、(A)は、請求項3または4に記載のブロックを表し、および(B)は、請求項1、5、6、8または9に記載のブロックを表し、およびRは、水素または請求項7に記載の構造要素(S)である〕
のトリブロックコポリマー。
【請求項12】
マクロ構造要素として、式:
−(B)−(A)−(B)−
〔式中、(A)は、請求項3または4に記載のブロックを表し、および(B)は、請求項1、5、6、8または9に記載のブロックを表す〕
で示されるトリブロックコポリマー構造要素を含むマルチブロックコポリマー。
【請求項13】
ブロック(A)に、適当な反応性単官能性基または多官能性基を付与すること、およびブロック(A)をブロック(B)のオリゴアミド上へこれらの官能性基より結合することまたはブロック(A)をブロック(B)のオリゴアミド上へ適当な結合性試薬により結合することを含む、請求項1〜8および10〜12のいずれかに記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項14】
反応性官能基は、アミン、アルコール、アルデヒド、イソシアネート、チオール、ハライド、エチレンまたはアリル二重結合、ジカルボニルハライド、ジカルボン酸無水物および請求項6に記載の2官能性構造要素(S)から選択される、請求項13に記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項15】
末端アミノ官能基またはカルボキシル官能基を有するブロック(B)の適当な前駆体と、逆の末端カルボキシル官能基またはアミノ官能基を有する対応するブロック(A)とを反応させることを含む、請求項9に記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項16】
繊維、マイクロファイバーおよびフィルムを製造するための、請求項1〜12のいずれかに記載のブロックコポリマーの使用。

【公表番号】特表2013−507504(P2013−507504A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533610(P2012−533610)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065267
【国際公開番号】WO2011/045309
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(510015257)ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア (6)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【Fターム(参考)】