説明

ポリイミドフィルムの製造方法

【課題】 耐熱性、機械的性質に優れたポリイミドフィルムの、極薄長尺フィルムを安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルムを得る製造方法であって、イミド化させる工程のフィルム端部固定式クリップテンターでポリイミド前駆体フィルムの幅方向両側端部のクリップで挟み込む部分に別に用意されたポリイミドフィルムに接着剤層を設けた細幅の易接着性ポリイミドフィルムを重ねてクリップで挟み込み固定することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリイミドフィルムの製造方法に関するものであり、特に厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルムを製造する際の最終熱処理時に、ポリイミド前駆体フィルムを高温熱処理してポリイミドフィルムとなす際におけるクリップテンター式(フィルム搬送)処理部におけるフィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム把持に特徴を有するポリイミドフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムを製造するとき、溶媒の一部が残っているポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を高温でイミド化する。この場合該ポリイミド前駆体フィルムを搬送しながら加熱して乾燥及び熱処理を行うが、これらの溶媒を少なからず保有しているフィルムは一般的に乾燥されるに従って収縮する。このようなフィルムの搬送・乾燥・熱処理において、フィルムの幅方向の両側端部を多数のピンやクリップで保持することによりフィルムの幅方向を張設した状態で搬送しフィルムを製造する装置として、所謂テンターと呼ばれるフィルム(シート)のテンター式搬送装置が知られている(特許文献1参照)。
また、ポリイミドフィルムの製造にテンター式搬送装置を使用することも多数知られている(特許文献2参照)。
【0003】
フィルム搬送装置は、布を染色した後の乾燥工程で布に皺が発生しないように乾燥する用途への使用も古くから良く知られている。布の乾燥の他にも溶剤製膜法での未乾燥なプラスチックフィルムのフィルムを乾燥工程で搬送しながら乾燥する場合にも使用される。 フィルム搬送装置を使用することにより乾燥・熱処理時の熱でフィルムがその幅方向に収縮するのを抑制し、乾燥・熱処理後のフィルムに収縮による皺が発生しないようにすることができる。
フィルムの収縮はフィルムの幅方向に限らず全方向に生じるが、フィルムの搬送方向は搬送テンションが作用しており収縮に対しての抑制効果があるとされているが、フィルム厚さが極端に薄くなるとフィルムの搬送方向においても収縮などによる把持部における損傷が大きくなる。このように、未乾燥のフィルムを熱処理する際にフィルムのテンター式搬送装置を使用して搬送することにより、乾燥・熱処理されたフィルムに必要な強度及び平面性を確保せんとしている。
【0004】
フィルムテンター式搬送装置のうち、フィルムの両側端部に沿って多数のピンを喰い込ませることによりフィルムを幅方向に張設した状態で保持するフィルムのテンター式搬送装置は、平行に配置された一対の移動チェンに列設支持されたピンシート上に多数のピンが配設されて構成される。このフィルムのテンター式搬送装置は、前記クリップ等のフィルム搬送装置に比べ構造が簡単であることあるいは乾燥室内での搬送コンベアの経路を反転させる構造にできる等のことから、装置コスト、装置のコンパクト化の点で優れている一方、フィルムにピンを喰い込ませる際にフィルムの微小片が発塵するために、なるべくピン本数を少なくする必要がある。また、フィルムの収縮力が大きくなると、フィルム面にピンを喰い込ませた孔がフィルムの幅方向に長孔状に破断するなどの課題を抱えている。
【0005】
これらの改良のために、フィルムのピンによる把持部において引き裂き強度大きいフィルムを別途補強用として重ねて使用する方式も提案されている(特許文献3参照))が、当該技術は引き裂き強度が低い、50〜150μmの厚さの高分子樹脂フィルムをフィルム端部固定式テンターにて処理する際に、特に幅方向に延伸する際に、該フィルム端部のシート把持部に該フイルムより引き裂き強度が高く且つ該フイルムと付着可能な補強フィルムを重ねあわせて付着し、該補強フィルムに力を加えて処理する引き裂き強度が低い高分子樹脂フィルムを安定にテンター処理する方法である。極薄ポリイミドフィルムについてのものではなく、処理されるべきフィルムがポリイミドフィルムの場合は、かかる厚さであれば把持部であえて補強する必要がないほど強度を保有しているものであり、しかもポリイミドのイミド化は500℃にも達する高温処理である。
従来のフィルムのテンター式搬送装置は、クリップでフィルム両側端部を挟持喰い込ませた部位でのフィルムの幅方向に破断する問題、皺の発生などの品質不良が発生し易く、生産ロスの原因となると共に生産効率の低下を招き、使用者にとって十分満足できるものではなかった。
特に極端に薄いポリイミドフィルムをテンター式搬送方法によって製造せんとするときは、上記の課題が顕著となり、従来の提案技術では克服することができなかった。
【0006】
【特許文献1】特公昭39─029211号公報
【特許文献2】特開平09−188763号公報
【特許文献3】特開平11−254521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電子部品の基材や絶縁材などとして好適である平面性及び均質性に優れ、しかも高温処理しても変質しない耐熱性に優れたポリイミドフィルム、中でも7.5μm以下の厚さを有する極薄のポリイミドフィルムを、クリップテンター式搬送方法によってフィルムの両側端部で把持し製造せんとする際に、効率よく、フィルムの幅方向及び縦方向での、クリップによって挟持された部分で破断することなどによる品質不良が発生し易い課題を解消するためのポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、以下の構成によるものである。
1.芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリアミド酸を流延・乾燥しポリイミド前駆体フィルムを得て、ついで該ポリイミド前駆体フィルムをフィルムの幅方向の両側端部を多数のクリップで挟み込むことによって把持し幅方向及び/又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するクリップテンター方式でイミド化させて、厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルムを得るポリイミドフィルムの製造方法であって、該ポリイミド前駆体フィルムの幅方向両側端部のクリップで挟み込む部分に別に用意されたポリイミドフィルムに接着剤層を設けた細幅の易接着性ポリイミドフィルムを重ねてクリップで挟み込み固定することによって行うことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
2.ポリイミドフィルムの幅が500〜10000mm、長さが100〜100000mである前記1のポリイミドフィルムの製造方法。
3.細幅の易接着性ポリイミドフィルムの幅が、20mm〜80mmである前記1又は2いずれかのポリイミドフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリイミドフィルム製造方法は、厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルム製造時におけるテンター式処理部(搬送装置)において、フィルムの両側端部で、処理製造されるフィルムとは別に用意した細幅にスリットした接着層を積層した易接着性ポリイミドフィルムとを重ね合わせ、重ね合わせた状態でクリップにより挟持して、ポリアミド酸をイミド化する際などの500℃にも達する高温でも耐えて補強効果を充分に発揮し得るポリイミドフィルムで補強することによって、フィルムの縦方向、幅方向に破断し、収率の低下や品質不良が発生し易い課題を解消することができ、結果的に製造された極薄ポリイミドフィルムにおける品質上の課題が解消可能となり、極薄ポリイミドフィルム製造の生産性にも寄与し工業的に極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリイミドフィルムは、芳香族テトラカルボン酸類(無水物、酸、及びアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同じ)と芳香族ジアミン類(アミン、及びアミド結合性誘導体を総称して類という、以下同じ)とを反応させて得られるポリアミド酸溶液を流延、乾燥、熱処理(イミド化)してフィルムとなす。これらの溶液に用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、特にポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液、N,N−ジメチルアセトアミド溶液を使用する流延製膜方法による場合に最も好ましく適用し得る。
以下ポリイミドフィルムについて詳述するがこれらに限定されるものではない。
本発明に好ましく適用し得る、ポリイミドフィルムを得るための芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類との反応は、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを(開環)重付加反応に供してポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液を得て、次いで、このポリアミド酸の溶液からポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を成形した後に乾燥、イミド化(熱処理や脱水縮合)することにより製造される。
【0011】
本発明におけるポリイミドフィルムは、特に限定されるものではないが、下記の芳香族
ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙
げられる。
A.ベンザオキサゾ−ル骨格を有するジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。
D.上記のABCの一種以上の組み合わせ。
【0012】
本発明におけるジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4′−ジアミノジフェニルエーテル及びそれらの誘導体が挙げられ、本発明におけるフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン及びそれらの誘導体が挙げられ、本発明におけるベンザオキサゾ−ル骨格を有するジアミンとしては、下記具体例で示すジアミンが挙げられるが、これらのジアミンは全ジアミンの70モル%以上より好ましくは80モル%以上使用することが好ましい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

【0022】
【化10】

【0023】
【化11】

【0024】
【化12】

【0025】
【化13】

【0026】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。
また、上記以外の芳香族ジアミン類としては、下記の芳香族ジアミン類が本発明において全アミンの30モル%未満、より好ましくは20モル%未満であれば使用できる。
【0027】
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
【0028】
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0029】
4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
【0030】
1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、
【0031】
4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0032】
1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、
【0033】
1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類及び上記芳香族ジアミン類の芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシ基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシ基で置換された芳香族ジアミン類等が挙げられる。
該芳香族ジアミン類は、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
【0034】
本発明において用いられる芳香族テトラカルボン酸類は、好ましくは芳香族テトラカルボン酸無水物類であり、下記化14、化15は、全酸成分の70モル%以上使用することが好ましく、80モル%以上使用することがさらに好ましい。これら以外に使用できるものは、具体的には、以下のものが挙げられるが、これらは全酸成分の30モル%未満、より好ましくは20モル%未満で使用する。
【0035】
【化14】

【0036】
【化15】

【0037】
【化16】

【0038】
【化17】

【0039】
【化18】

【0040】
【化19】

これらの芳香族テトラカルボン酸無水物類は単独でも二種以上を用いることも可能である。
【0041】
本発明においては、全テトラカルボンの30モル%未満より好ましくは10モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上を併用しても構わない。用いられる非芳香族テトラカルボン酸二無水物類としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等である。これらの非芳香族テトラカルボン酸二無水物類は単独でも二種以上を用いることも可能である。
【0042】
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられるが、なかでもN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましく適用される。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%となるような量が挙げられる。
【0043】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが1.5以上が好ましく、2.0以上がさらに好ましく、なおさらに2.5以上が好ましい。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の溶液を製造するのに有効である。さらに、以下述べるポリアミド酸の溶液を支持体上に流延・塗布するに際して予め減圧などの処理によって該溶液中の気泡や溶存気体を除去しておくことも、本発明のポリイミドフィルムを得るために有効な処理である。
【0044】
ポリアミド酸溶液を流延(塗布)する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有するポリイミドフィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。また支持体の差によって乾燥における風量や温度は適宜選択採用すればよく、支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
【0045】
イミド化工程として、閉環(イミド化)触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
熱閉環法の熱処理温度は、150〜500℃が好ましく、熱処理温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間熱処理するところの初期段階熱処理と後段階熱処理とを有する2段階熱処理工程が挙げられる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
【0046】
本発明におけるポリイミドフィルムの厚さは7.5μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
従来7.5μm以下、特に5μm以下のポリアミドフィルムの長尺フィルムを工業的に安定的に製造することが困難であったが、本発明のポリイミドフィルムの製造方法はこの課題を解決せんとするものである。ポリイミドフィルムの厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明におけるポリイミドフィルムの幅は、例えば、500〜10000mm、長さは100〜100000mであり、電子機器の部品や機械部品などの連続生産にも利用することができる。。
【0047】
本発明におけるポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜1μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
【0048】
本発明における細幅の易接着性ポリイミドフィルムの易接着剤層に使用される接着剤としては、特に限定はされないが、熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤がある。
この細幅の易接着性ポリイミドフィルムの幅は20〜200mmが好ましく、特に20〜80mmが好ましい。またこの処理されるポリイミド前駆体フィルムとは別に用意された細幅のフィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくはポリイミドフィルムとして製造されるためのポリイミド前駆体フィルムと同程度の厚さが好ましく、ポリイミド前駆体フィルムの厚さの0.5〜4倍、例えば5〜20μmである。厚さが薄く5μm未満の場合には重ね合わせの補強効果が低減しがちとなり、また厚すぎて20μmを超える場合には重ね合わせの補強効果にばらつきが発生する場合がある。
【0049】
熱可塑性接着剤としては、耐熱性及びフィルムとの接着性などの観点から熱可塑性(熱圧着性)ポリイミド系樹脂からの接着剤が好ましく、これら熱可塑性(熱圧着性)ポリイミド系樹脂としては、230〜400℃程度の温度で熱圧着できる熱可塑性のポリイミド系樹脂が好ましい。かかる熱圧着性ポリイミドとしては、好ましくは、ジアミン類として、
APB :1,3−ビス(3−アミノフェノキシベンゼン)、
m−BP :4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、
DABP :3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
DANPG:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、
から選ばれる少なくとも一種のジアミン類と、テトラカルボン酸無水物として、
PMDA :ピロメリット酸二無水物、
ODPS :3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、
BTDA :3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
BPDA :3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
α−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ODPA :4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸二無水物から得られるポリイミドを用いることができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。さらにジアミン類或いはテトラカルボン酸無水物類の各々50モル%を超えない範囲で、先に例示した、その他のジアミン類あるいはテトラカルボン酸無水物類を併用することができる。
この他、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂などを単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
また本発明の利点を損なわない限りにおいて、本発明の熱可塑性接着剤に熱硬化性の接着剤例えばエポキシ系やシアナート系の接着剤を混合使用してもよく、全接着剤層におけるこの熱硬化性接着剤の割合は高々40質量%である。
【0050】
熱硬化性接着剤としてはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、イミド系、ポリアミドイミド系などを用いることができ、例えば、主としてポリアミド樹脂等のフレキシブルな樹脂とフェノール等の硬質の材料とを主成分として、エポキシ樹脂、イミダゾール類等を含むものが例示される。さらに具体的には、ダイマー酸ベースのポリアミドイミド樹脂、常温固体のフェノール、常温液状のエポキシ等を適度に混合したもの等を例示できる。適度な軟らかさ、硬さ、接着性等を有し、半硬化状態を容易にコントロールできる。また、ポリアミドイミド樹脂としては重量平均分子量が5000〜100000のものが好適である。また、フェノール樹脂やエポキシ樹脂だけでなく、マレイミド樹脂、レゾール樹脂、トリアジン樹脂等も使用できる。またニトリルブタジエンゴムなどを配合、共重合する事も可能である。熱硬化性接着剤は硬化状態を半硬化状態にコントロールされるが、硬化状態をコントロールする方法としては、例えば、接着剤を基材上に塗布、乾燥させる際の温風による加熱、遠/近赤外線による加熱、電子線の照射などが挙げられる。加熱によるコントロールでは、100〜200℃で、1〜60分加熱することが好ましく、130〜160℃で、5〜10分加熱することがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性接着剤は、いったん半硬化状態とされた状態で用いられる。半硬化状態とは、加熱することにより軟化又は溶融し、最終的に硬化することが可能な固相状態のことである。
【0051】
本発明においては、ポリイミド前駆体フィルムをフィルム端部固定式テンターにてイミド化(熱処理などの)処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップが配されたシートをエンドレスに回転して、該各クリップがフィルム両側端部を挟持することでなされ、幅方向及び又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するクリップテンター式処理部を有するポリイミドフィルム製造方法において、クリップで挟まれる部位で、処理されるポリイミド前駆体フィルムと別に用意された細幅のフィルムとの重ね合わされた状態であることを必須とする製造方法である。
ここで、別に用意された細幅のフィルムは、ポリイミドフィルムであれば特に限定されるものではないが、処理されるポリイミド前駆体フィルムと同質のものが好ましく、製造されるポリイミドフィルムとは別に、同じポリアミド酸溶液を流延・乾燥して別のポリイミド前駆体フィルムを作製しイミド化させた、予め細幅にスリットし用意した細幅ポリイミドフィルムであるものが好ましく、その細幅フィルムの幅は20mm〜80mmが好ましい。またこの別に用意された細幅のフィルムの厚さは、特に限定されないが好ましくは処理される(ポリイミドフィルムとして製造される)ポリイミド前駆体フィルムと同程度の厚さが好ましく、5μm〜20μmであり、5μm未満の場合には重ね合わせの補強効果が低減しがちとなり、また20μmを超える場合には重ね合わせの補強効果が、ポリイミドフィルムとして製造されるべきポリイミド前駆体フィルムに及び難くなりがちとなる。
【0052】
本発明においては、ポリイミド前駆体フィルムをフィルム端部固定式クリップテンターにてイミド化(熱処理などの)処理をする際に、フィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム端部把持が、多数のクリップによりフィルム両側端部を挟持することでなされ、幅方向及び又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するクリップテンター式処理部を有するポリイミドフィルム製造方法において、クリップによりフィルム両側端部を挟持する部位で、処理されるポリイミド前駆体フィルムと別に用意された細幅のフィルムとの重ね合わされた状態であることを必須とする製造方法である。
【0053】
本発明においてポリイミドフィルムを熱処理する端部固定テンターのクリップ部は、公知のクリップ部であれば、特に限定されるものではないが、クリップ部に通気性のある耐熱素材を用いたものが好ましく、その形態、性状については特に限定されないが、好ましくは、熱分解温度が400℃以下の多孔質物体ないし繊維集合体である通気性耐熱素材を使用する。本発明における通気性耐熱素材として、多孔性のセラミックスを用いることができる。セラミックスの材質そのものに特段の制限はなく、アルミナ、カルシア、マグネシア、シリカなどの単独又は複数からなる素材を用いればよい、多孔質度合いを示す空隙率は体積比で30%以上が好ましく40%以上がなお好ましく50%以上がなおさらに好ましい。多孔質度合いがこの範囲より低いと、ポリマーフィルムからの揮発成分の自由な発散が妨げられる。また90%を超えるとセラミックス自体が脆くなり実用性に乏しくなる。同様に多孔質体としては発泡セメント、石膏、ガラス、金属、その他リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、金属酸塩等の無機の固体を用いることができる。
本発明における通気性耐熱素材として、無機繊維の集合体を用いることができる。本発明において用いられる無機繊維とはカーボンファイバー、アルミナウール、ガラスウール、石綿、各種の硝子繊維等を用いることができる。これらは織布形状でも不織布形状、あるいはフェルトのごとき厚手でもかまわない。
本発明における通気性耐熱素材として金属繊維の集合体を用いることができる。金属種としては耐食性に優れるステンレス系の素材が好ましい。
本発明における通気性耐熱素材として、耐熱高分子繊維の集合体を用いることができる。耐熱高分子繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリベンゾチアゾール繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミドベンゾオキサゾール繊維などを用いることができる。
【0054】
フィルム端部把持を多数のクリップで挟み込むことによってなす本発明のテンターは該クリップがフィルムと接する把持部の温度が180℃未満となるように冷却する手段を有することがさらに好ましい。
以下、クリップ冷却手段を詳述する。かかるクリップを固定手段として用いるテンターはクリップテンターと称される。クリップテンターのクリップは多くの場合駆動チェーンに組み合わせれ、無限軌道として設置される。クリップテンターの駆動チェーンは、往復とも処理炉内を通る型式と、復路は処理路の外を通るように配置される型式が知られているが、本発明では、往復とも処理炉内を通る型式に適用されることが好ましい。このような型式の場合には装置全体をコンパクトにすることが可能である。
図3に示すように熱処理などの処理を受ける処理室内では、クリップが配されたクリップブロックが多数フィルム両端部に配されており、これらのクリップがフィルム両端を把持して搬送し、処理室内ではこれらクリップはフィルム両端で互いに並行に走行しているものであり、かつ極めて高温に維持されてフィルムの熱処理がおこなわれるもので、少なくともこの処理室内ではクリップも高温に曝され、フィルム熱処理が終了してターンして元の位置にてまた新たにフィルムを把持する様になっている。
本発明においてクリップ及びクリップブロックの冷却は、処理炉の入り口側における駆動チェーンの復路からクリップニングゾーンまでの間にて行うことが好ましい。
【0055】
従来のテンター式搬送装置では、これらのクリップがフィルム両端を把持して搬送を開始する時点で、一端熱処理温度例えば490℃に加熱され冷却手段、温度制御手段がなく高温にて温度バラツキが維持されており、クリップによるフィルム両端の把持において、フィルム把持の均一性が保たれ難く、クリップにて挟んだ部分近傍にてフィルム厚み斑や亀裂が入りやすく、亀裂の拡大によりフィルム破断が生じ易い。さらに、フィルム全体での歪の増加、フィルム厚み斑の拡大が生じる。そのため本発明ではクリップがフィルム熱処理が終了してターンしてフィルム把持を開始する位置に戻る直前の部位において冷却手段を設けて、クリップがフィルム把持開始時点においては充分に冷却され、かつ温度制御されており、クリップによるフィルム把持の均一性が保たれ、クリップ近傍での破れやフィルム全体での歪の減少、フィルム厚み斑の低減が達成できる。
本発明における冷却手段としては、空冷、水冷いずれでもよく、また空気、水以外の冷媒を用いても良い。冷却効率の点からは液体の冷媒を用いることが好ましく、さらに、テンター自身が一般の有機溶剤の発火点以上に加熱されることを考えると、水冷仕様による冷却手段にすることが最も好ましい。また冷却部付近においては結露を防止するため、雰囲気、並びに冷媒として空気を用いる場合には冷風の露点制御することが好ましい。
さらに本発明においては該クリップ部の温度を測定する手段と、測定結果に応じて冷却度合いを制御する制御系を備えることが好ましい。温度測定手段については熱電対、あるいは放射温度計などの公知の手段を用いることができる。制御系は通常の負帰還制御を用いればよい。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0057】
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドン(又は、N,N−ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
【0058】
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。MD方向、TD方向の意味は上記と同様である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0059】
〔参考例1〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.11μmであった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールを入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて24時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.8dl/gであった。
【0060】
〔参考例2〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後,コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックスDMAC−ST30(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)、ピロメリット酸二無水物217質量部を加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
【0061】
〔参考例3〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
【0062】
〔参考例4〕
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、及び輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のp−フェニレンジアミンを入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部の3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Dが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
【0063】
〔参考例5〕
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン930質量部を入れ、ジメチルアセトアミド15000質量部を導入し、均一になるようによく攪拌した後、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(商品名)DMAC−Zl(日産化学工業株式会社製)40.5質量部(シリカを8.1質量部含む)を加え,この溶液を0度まで冷やし、4,4’−オキシジフタル酸無水物990質量部を添加、17時間攪拌した。薄黄色で粘調なポリアミド酸溶液(E)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは3.1dl/gであった。
【0064】
(易接着性細幅フィルムの作製)
参考例1で得たポリアミド酸溶液AとCを使用して、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(塗工幅1240mm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ13μm、幅1200mmのポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルムともいう)を得た。この得られたポリイミド前駆体フィルムを下記実施例の方法に準じて、クリップテンター方式の製造方法で、長尺ポリイミドフィルムを得た。
テンターの熱処理設定は以下の通りである。第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、生産性を無視して、速度を抑えて、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、ロール状に巻き上げ、各ポリアミド酸溶液からの褐色を呈する厚さ8μmポリイミドフィルムAとポリイミドフィルムCを得た。
次いで、DMAC(ジメチルアセトアミド)で10倍に希釈したポリアミド酸溶液(E)を作製し、得られたポリイミドフィルムA、ポリイミドフィルムCの一面上に、バーコーターを用いてコーティングした。次いで、90℃にて10分間乾燥し、易接着性ポリイミドフィルムA、易接着性ポリイミドフィルムCを得た。これらにおける易接着性層の厚さは、ポリイミドフィルムA、ポリイミドフィルムCの厚さ1に対しての比は、0.1/1である。 この得られた易接着性ポリイミドフィルムA、易接着性ポリイミドフィルムCをそれぞれスリットし、幅35mmの細幅長尺スリットフィルムAと細幅長尺スリットフィルムCを用意した。
【0065】
<実施例1>
参考例1で得たポリアミド酸溶液Aを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし(塗工幅1240mm)、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ8μm、幅1200mmのグリーンフィルムを得た。得られたグリーンフィルムに前記幅35mmの細幅長尺スリットフィルムA(易接着性細幅長尺スリットフィルムA)を両側端部に重ね合わせながら、図1〜図2に示すクリップであってフィルムに接する部分の素材として繊維径8μmのナスロン繊維製のフェルト(厚さ約2mm)を使用したクリップを使用し、放射温度計によるクリップ把持部の温度測定手段を備え、さらに図3に模式的に示すように冷却部を設けたクリップテンターに通し、クリップシート間隔を1140mm、すなわちグリーンフィルム両端の各30mmをクリップにて把持し、第1段が170℃で5分、第2段220℃5分、第3段480℃5分にて加熱を施して、イミド化反応を進行させた。なお、クリップ把持部での温度は160℃プラスマイナス5℃の範囲にて制御された。ここにナスロン繊維とは日本精線株式会社製のステンレススチール繊維である。
フィルムの搬送状態は良好であり、テンター内での「クリップはずれ」は生じなかった。またテンター出口でのクリップ把持部にてもフィルム裂けはほとんど観察されなかった。
得られたフィルムを室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する実施例1のポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に記載する。
【0066】
なお、フィルムの平面性、有効幅は、以下のように定義した。
まず得られたフィルムを清浄な表面を有する定盤に広げ、フィルム端部にてウネリにより定盤との間に空間が空いてしまう部分を平面性不良な部分として捉えた。フィルムの端部が定盤表面から持ち上がらずに、フィルム全体が定盤に密着するようになるまで、フィルム両端をカットし、その時のフィルム幅を有効幅と定義した。
また、クリップ部での裂けは、フィルムの先頭から10m程度の部分にて、クリップ部での幅方向、縦方向でのフィルム裂けを目視判定し、該裂け部位が10ヶ以上あるものを×、10ヶ〜3ヶ程度のものを△、2ヶ以下のものを○とした。
クリップ部からのフィルム剥離性は、熱処理(イミド化)が終了してフィルムが引き離しロールにより各クリップより剥離するときの状態を目視評価し,スムースな引き離しは良好とし,クリップにフィルムが引っ掛りが生じる場合をやや不良とし、引っ掛りによりフィルムに流れ方向の裂けが生じる場合は不良とした。
【0067】
<実施例2〜8>
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液A〜Dを使用し、塗工厚と、表に示す細幅長尺スリットフィルムを両側端部に重ね合わすこと以外は実施例1と同様にしてそれぞれのポリイミドフィルムを得た。
同様にしてその評価をした。結果を表1に示す。
【0068】
<比較例1〜4>
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液A〜Dを使用し、細幅長尺スリットフィルムを両側端部に重ね合わすことをせずに、厚さ8μm、幅1200mmのグリーンフィルムをそのまま使用して処理すること以外は、実施例1と同様にしてそれぞれのポリイミドフィルムを製造したが、クリップ挟持部位において幅方向や縦方向に裂けて、フィルムが皺になったり、破断部位ができるなどして、連続して評価できるほどの長尺ポリイミドフィルムを製造することができなかった。
【0069】
<比較例5〜8>
参考例1〜4で得たポリアミド酸溶液A〜Dを使用し、細幅長尺スリットフィルムを両側端部に重ね合わすことをせずに、厚さ5μm、幅1200mmのグリーンフィルムをそれぞれ得て、それらの両側端部で細幅フィルムと重ね合わすことなく、そのまま使用して処理すること以外は、実施例1と同様にしてそれぞれの厚さ2.5μmのポリイミドフィルムを製造したが、クリップ挟持部位において幅方向や縦方向に裂けて、フィルムが皺になったり、破断部位ができるなどして、連続して評価できるほどの長尺ポリイミドフィルムを製造することができなかった。
【0070】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0071】
以上述べてきたように、本発明のイミド化させる工程のフィルム端部固定式テンターでフィルムの幅方向の両側端部におけるフィルム把持が、イミド化されるポリアミド酸フィルムと別の細幅のフィルムとを重ねてピンで突き刺し固定することで、ピン孔がフィルムの縦方向、幅方向に長孔状に破断する問題、カールの発生、皺や歪みなどの発生による品質不良が発生し易い課題を解消することができ、厚さが7.5μm以下の長尺極薄ポリイミドフィルムの安定的生産が可能となる。厚さが7.5μm以下の長尺極薄ポリイミドフィルムは、電子機器の部品や機械部品などとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のクリップテンターにおけるクリップ部分の側面概略を示す。
【図2】本発明のクリップテンターにおけるクリップ部分の正面概略を示す。
【図3】本発明のクリップテンターにおける全体の概略を示す。
【符号の説明】
【0073】
1.クリップ可動部
2.ローラー
3.クリップ把持部
4.回転軸
11.冷却部
12.熱処理ゾーン
13.クリップ駆動チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリアミド酸を流延・乾燥しポリイミド前駆体フィルムを得て、ついで該ポリイミド前駆体フィルムをフィルムの幅方向の両側端部を多数のクリップで挟み込むことによって把持し幅方向及び/又は搬送方向に張設した状態でフィルムを搬送するクリップテンター方式でイミド化させて、厚さが7.5μm以下のポリイミドフィルムを得るポリイミドフィルムの製造方法であって、該ポリイミド前駆体フィルムの幅方向両側端部のクリップで挟み込む部分に別に用意されたポリイミドフィルムに接着剤層を設けた細幅の易接着性ポリイミドフィルムを重ねてクリップで挟み込み固定することによって行うことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項2】
ポリイミドフィルムの幅が500〜10000mm、長さが100〜100000mである請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項3】
細幅の易接着性ポリイミドフィルムの幅が、20mm〜80mmである請求項1又は2いずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−285514(P2008−285514A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129075(P2007−129075)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】