説明

ポリウレタンエラストマー組成物及びその成形品

【課題】 本発明の目的は、圧縮永久歪に優れて、かつ強度に優れるポリウレタンエラストマー成型品の得られるポリウレタンエラストマー組成物にある。
【解決手段】 本発明は、数平均分子量1000〜5000の高分子量ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、分子量が1000未満の活性水素含有する鎖伸長剤(C)とから得られるポリウレタンエラストマー組成物において、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と1官能性エポキシ化合物(a2)とを(a1)/(a2)=1/1〜1/3(モル比)で開環反応させて得られる多分岐型ポリエーテルポリオール(D)を、質量比で前記鎖伸長剤(C)/前記多分岐型ポリエーテルポリオール(D)=99/1〜65/35の割合で含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンエラストマー組成物及びその成形品に関する。さらに詳細には、本発明は、硬度と柔軟性とがバランスし、圧縮永久歪に優れ、かつ引張り強度に優れたウレタンエラストマー成形品の得られるポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウレタンエラストマーは、高分子ジオールからなるソフトセグメントと低分子ジオールからなる鎖伸長剤、ポリイソシアネート化合物をハードセグメントとした構造からなり、構造を操作することにより硬度と柔軟性を調整でき、ポリウレタンエラストマー成形品を得て各種分野で使用されている。
【0003】
しかし、このポリウレタンエラストマー成形品は、硬度と柔軟性とを両立させることは困難であり、特に硬度あるいは強度を維持して圧縮永久歪に優れるものは得られていないのが現状である。例えば、トリレンジイソシアネートとポリオキシテトラメチレングリコール、3官能ポリカプロラクトンポリオールを成分とするイソシアネート末端ウレタンプレポリマーをアミノ基含有化合物および/または水酸基含有化合物を含有する2液硬化性ウレタンエラストマー形成性組成物が知られているが、圧縮永久歪17〜20%程度のものしか得られないといった問題があった(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−123767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、圧縮永久歪に優れて、かつ強度に優れるポリウレタンエラストマー成型品の得られるポリウレタンエラストマー組成物にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリウレタンエラストマー成形品の圧縮永久歪の改善について、鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、数平均分子量1000〜5000の高分子量ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、分子量が1000未満の活性水素含有する鎖伸長剤(C)とから得られるポリウレタンエラストマー組成物において、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と1官能性エポキシ化合物(a2)とを(a1)/(a2)=1/1〜1/3(モル比)で開環反応させて得られる多分岐ポリエーテルポリオール(D)を、質量比で前記鎖伸長剤(C)/前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)=99/1〜65/35の割合で含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物及びその成形品に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、圧縮永久歪に優れて、引張り強度にも優れたポリウレタンエラストマー成形品を提供することができるので、各種電気電子部品、自動車部品、工業用成型品に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用する高分子量ポリオール(A)とは、数平均分子量1000〜5000、好ましくは1200〜3000のものであり、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等から選択される1種以上である。
ポリエーテルポリオール(A−1)とは、多価アルコールとして水酸基を3個以上、好ましくは3〜6個有する化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等にアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を単独又は2種以上、好ましくは2〜9モル付加重合して得られるポリオールである。その数平均分子量は、好ましくは1200〜3000で、水酸基価は好ましくは250〜750である。
【0009】
本発明で使用するポリエステルポリオール(A−2)とは、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮合反応してなり、且つ好ましくは数平均分子量が1000〜3000のものである。
【0010】
上記多価アルコールとしては、好ましくは主鎖炭素数2〜15の直鎖グリコール、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンもしくはp−キシレングリコールなどのグリコール類の炭化水素を主鎖にするものである。炭素原子総数が好ましくは3〜34、より好ましくは3〜17のもので、例えば1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、ネオペンチルグリコール、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、3−フエニル−1,5−ペンタンジオール、3−(4−ノニルフエニル)−1,5−ペンタンジオール、3,3−ビス(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)シクロブタン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロペンタン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘブタン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシエドキシシクロヘキシル)プロパン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、これらを単独、または2種以上で用いることができる。
【0011】
アルコール成分としては、水酸基数3以上の化合物を併用できる。併用し得る化合物としては、一般にポリエステルポリオールに使用されるものであればよく、例えば、グリセリン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミンなどの多官能ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0012】
本発明に用いる多価カルボン酸とは、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、又芳香族系ジカルボン酸としては例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸又はそれらの無水物等を単独あるいは2種以上併用して用いることができる。工業的見地からは主にアジピン酸が使用される。トール油脂肪酸の重合によって得られるダイマー酸等も使用できる。トール油脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸等の不飽和酸とパルチミン酸、ステアリン酸等の混合物である。
【0013】
以上に掲げられたような諸原料を用いて前記ポリエステルポリオールを得るには、従来公知のエステル化技術が採用できる。
【0014】
本発明で使用するポリカプロラクトンポリエステルポリオール(A−3)としては、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルジオール類も用いる事が出来る。このラクトン系ポリエステルジオール類としては、先に述べた多価アルコール類にε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の一種又は二種以上を付加重合させたものがいずれも使用出来る。
【0015】
本発明で使用するポリカーボネートポリオール(A−4)としては、例えば、低分子ポリオールとジアルキルカーボネートとを縮合反応させ得られるものである。前記低分子ポリオールとしては、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
【0016】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオールに更にラクトンを開環付加重合して得られるラクトン変性ポリカーボネートポリオールや、他のポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール等とポリカーボネートポリオールとを共縮合させた共縮合ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0017】
本発明で使用するポリイソシアネート化合物(B)は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、3,3−ジクロル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフェニレンジイソシアネートまたは1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンシイソシアネート、イホソロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびこれらの各種誘導体が挙げられる。
【0018】
本発明において使用する鎖伸長剤(C)としては、炭素数2〜10の低分子量直鎖ジオールが使用される。その代表例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2’−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4ジオール、シクロヘキサン−1,4ジメタノールなどの単独あるいは混合物が挙げられる。特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0019】
本発明において使用する多分岐ポリエーテルポリオール(D)は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを開環反応させて得られる多分岐ポリエーテルポリオールである。本発明では、このような構造を有することから、当該多分岐ポリエーテルポリオールの慣性半径が小さくなって、分子同士の絡みが少なくなる結果、粘度が低くなる。
【0020】
ここで、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)は、下記一般式(1)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0021】
【化1】


ここで、一般式(1)中、R1は、メチレン基、エチレン基、若しくはプロピレン基であり、一方、R2は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシアルキル基、又は炭素原子数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。また、炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、及び2−エチルヘキシル基が挙げられ、炭素原子数1〜5のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基が挙げられる。また、炭素原子数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及びヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0022】
かかる一般式(1)で表されるヒドロキシアルキルオキセタンの中でも、慣性半径がより小さくなって粘度低減に効果的であり、また、硬化物の硬度も良好となる点から、R1がメチレン基であり、かつ、R2が炭素原子数1〜7のアルキル基である化合物、とりわけ3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、及び3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタンが好ましい。
【0023】
次に、上記ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と開環反応させる1官能性エポキシ化合物(a2)は、オレフィンエポキサイド、アルキルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステル等が挙げられる。
【0024】
ここで、オレフィンエポキサイドは、具体的には、プロピレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、1−ペンテンオキサイド、1−ヘキセンオキサイド、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシドデカン、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、スチレンオキシド、及び、フッ素原子数1〜18のフロロアルキルエポキシドが挙げられる。
【0025】
アルキルグリシジルエーテルは、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、i−プロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、i−ブチルグリシジルエーテル、n−ペンチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシル−グリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−メチルフェニルグリシジルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテル、及び、1〜18のフッ素原子数を有するフロロアルキルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0026】
アルキルグリシジルエステルは、グリシジルアセテート、グリシジルプロピオネート、グリシジルブチレート、グリシジルメタクリレート、及びグリシジルベンゾエートが挙げられる。
【0027】
これらの中でも特に、塗膜硬度が良好であり、また、分子量が小さくなる点からオレフィンエポキサイドが好ましく、とりわけプロピレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、1−ペンテンオキサイド、又は1−ヘキセンオキサイドが好ましい。
【0028】
ここで、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを開環反応させる方法は、具体的には、以下の(方法1)〜(方法3)が挙げられる。
【0029】
(方法1)
方法1は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを、モル基準で、(ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)/1官能性エポキシ化合物(a2))=1/1〜1/10、好ましくは1/1〜1/3となる割合で混合し、これらをパーオキサイドフリーの有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−i−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、t−アミルメチルエーテル、又はジオキソランで、原料成分/有機溶剤の質量比が1/1〜1/5、好ましくは1/1.5〜1/2.5となる割合で溶解する。
【0030】
得られた溶液を−10℃〜−15℃まで攪拌しながら冷却、次いで、重合開始剤を単独で、或いは溶液状態で、0.1〜1時間、好ましくは0.3〜0.5時間かけて滴下する。ここで、重合開始剤は、原料モノマーの全質量に対して0.01〜1質量%、好ましくは0.75〜0.3質量%なる割合で使用できる。また、重合開始剤を溶液状態で使用する場合、当該溶液中の重合開始剤の濃度は、1〜90質量%、特に25〜50質量%であることが好ましい。ついで、この重合溶液を25℃になる迄攪拌し、次いで、リフラックスする温度まで加熱し、0.5〜3時間かけて原料成分を全て反応するまで反応を行う。原料モノマーの転化率は、GC、NMR、又はIRスペクトルによって確認することによって制御できる。
【0031】
重合後、得られた前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)は、前記重合開始剤と当量の水酸化アルカリ水溶液による攪拌、又は、前記重合開始剤と当量のナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドの添加によって中和する。中和後、濾過し、溶媒で目的物を抽出後、減圧下に溶媒を留去し、目的とする多分岐ポリエーテルポリオール(D)を得ることができる。
【0032】
(方法2)
方法2は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを、モル基準で、(ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)/1官能性エポキシ化合物(a2))=1/1〜1/10、好ましくは1/1〜1/3となる割合で、70℃以上の沸点を有する炭化水素系溶媒中に溶解する。ここで、炭化水素系溶媒は、例えば、n−ヘプタン、i−オクタン、シクロヘキサンが挙げられ、とりわけ溶解性の点からシクロヘキサンが好ましい。また、原料モノマーと炭化水素系溶媒との比率は、前者:後者が1:1〜1:10、特に1:2.5〜1:3.5であることが好ましい。
【0033】
この混合物の温度は、0〜25℃、好ましくは5〜15℃、特に好ましくは10〜15℃に保持され、次いで、攪拌下に原料モノマーの全量に対して0.01〜1モル%、特に0.05〜0.15モル%の重合開始剤を一度に加える。
重合開始剤の添加直後、系内は不均一系になって25〜40℃まで系内温度が上昇する。一旦、15〜25℃まで冷却した後、反応混合物を40〜70℃、好ましくは50〜60℃まで加熱して、1〜5時間、好ましくは2〜3時間の間、原料モノマーが全て転化するまで反応を行う。反応終了後は、方法1と同様にして中和、濾過し、次いで、溶媒を留去する。
【0034】
(方法3)
方法3は、原料モノマーの全量に対して0.01〜1モル%、特に0.05〜0.15モル%となる量の重合開始剤を、70℃以上の沸点を有する炭化水素系有機溶媒に溶解し、これを0〜25℃、好ましくは5〜15℃、特に好ましくは10〜15℃に保持する。ここで、炭化水素系溶媒は、例えば、n−ヘプタン、i−オクタン、シクロヘキサンが挙げられ、とりわけ溶解性の点からシクロヘキサンが好ましい。また、該炭化水素系溶媒中の重合開始剤濃度は、0.01〜1質量%、特に0.025〜0.25質量%であることが好ましい。
【0035】
この溶液に対して、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを、モル基準で、(ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)/1官能性エポキシ化合物(a2))=1/1〜1/10、好ましくは1/1〜1/3となる割合で、混合した混合物を、系内の温度が20〜35℃になるように連続的に滴下する。滴下終了後も系内の温度が20〜25℃になるまで攪拌を行う。次いで、反応混合物を40〜70℃、好ましくは50〜60℃まで加熱して、1〜5時間、好ましくは2〜3時間の間、原料モノマーが全て転化するまで反応を行う。原料モノマーの転化率は、GC、NMR、又はIRスペクトルによって確認することによって制御できる。反応終了後は、方法1と同様にして中和、濾過し、次いで、溶媒を留去する。
【0036】
ここで用いる重合開始剤は、H2SO4、HCl、HBF4、HPF6、HSbF6、HAsF6、p−トルエンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸などのブロンステッド酸、BF3、AlCl3、TiCl4、SnCl4などのルイス酸、トリアリールスルフォニウム−ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルフォニウム−アンチモネート、ジアリールイオドニウム−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリールイオドニウム−アンチモネート、N−ベンジルピリジニウム−ヘキサフルオロホスフェート、N−ベンジルピリジニウム−アンチモネートなどのオニウム塩化合物、トリフェニルカルボニウム−テトラフルオロボレート、トリフェニルカルボニウム−ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルカルボニウム−ヘキサフルオロアンチモネートなどのトリフェニルカルボニウム塩、p−トルエンスルホニルクロライド、メタンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、メタンスルホン酸メチルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルなどのアルキル化剤が挙げられる。
【0037】
これらのなかでも特に、HPF6、HSbF6、HAsF6、トリフェニルカルボニウム−ヘキサフルオロホスフェートが活性に優れる点から好ましく、特にHPF6及びトリフェニルカルボニウム−ヘキサフルオロホスフェートが好ましい。
【0038】
このようにして得られる多分岐ポリエーテルポリオール(D)は、その分子構造中に1級水酸基(H1)と2級水酸基(H2)とを有しており、かつ、前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)の数平均分子量(Mn)が1,000〜3,500、水酸基価が150〜350mg・KOH/gであることを特徴としている。
【0039】
即ち、多分岐ポリエーテルポリオール(D)は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを開環反応させて得られる多分岐構造を有することから該多分岐ポリエーテルポリオールの慣性半径が小さくなり、更に、数平均分子量(Mn)が1,000〜3,500という低い値を有することから、従来になく流動性が極めて良好となる。また、水酸基価が150〜350mg・KOH/gであり、分子量が小さい割に多くの水酸基を有することから硬化時の架橋密度が高くなって、硬質の塗膜を形成できる。
【0040】
更に、分子構造中に1級水酸基(H1)のみならず、2級水酸基(H2)を有することから、該2級水酸基(H1)の反応遅延性に起因して可使時間を長時間確保することができる。本発明においてこのような反応性の低い2級水酸基(H2)を有しながらも、最終的な硬化物の硬度が良好となるのは、当該多分岐ポリエーテルポリオール(D)の分子構造が球状形状をとり、該球状体の外側に向けて水酸基が存在するため、反応速度が低下しても、最終的には殆どの水酸基が十分に反応に寄与し、硬化物の架橋密度が極めて高くなるためである。このような可使時間と硬化物硬度とのバランスの点から特に前記2級水酸基(H2)の存在割合が全水酸基数に対して20〜70%となる割合であることが好ましい。
【0041】
なお、多分岐ポリエーテルポリオール(D)中の全水酸基数に対する2級水酸基(H2)の割合は、多分岐ポリエーテルポリオール(D)をトリフロロ酢酸エステルとを反応させた後、19F−NMRで測定することによって特定することができる。
【0042】
このような多分岐ポリエーテルポリオール(D)の具体的構造は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、1官能性エポキシ化合物(a2)とを開環反応させて得られる種々の構造が含まれる。具体的には、下記一般式(1)
【0043】
【化2】

(ここで、一般式(1)中、R1及びR2は、前記したものと同一である。)
で表されるヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と、下記一般式(2)
【0044】
【化3】

(ここで、一般式(2)中、R3は前記1官能性エポキシ化合物(a2)のエポキシ基の他の構造を表す。)で表される1官能性エポキシ化合物(a2)とを開環反応させた場合、下記の構造で表される繰り返し単位、および、末端構造単位の中から適宜選択される構造単位で前記多分岐ポリエーテルポリオールは構成されることになる。
【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
ここで、前記各構造単位において実線部分は当該構造単位内の単結合を示し、破線部分は、他の構造単位とエーテル結合を形成する単結合を示す。また、前記OR1〜OR3、OE1、及びOE2は、ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)に起因する構造単位であって、OR1〜OR3は繰り返し単位を表し、OE1及びOE2は末端構造単位を表す。
また、ER1、EE1、及びEE2は、前記1官能性エポキシ化合物(a2)に起因する構造単位であって、ER1は繰り返し単位を表し、EE1及びEE2は末端構造単位を表す。
【0048】
前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)は、前記OR1〜OR3及びER1から選択される繰り返し単位によって多分岐構造が形成され、末端に前記OE1、OE2、EE1、及びEE2から選択される末端構造単位を有するものである。なお、これらの繰り返し単位及び末端構造単位はランダムに存在していてもよいし、OR1〜OR3が分子構造の中心部分を構成し、末端に前記末端構造単位を有するものであってもよい。なお、本発明では2級水酸基(H2)が必須であることから、前記EE1は必須の構造単位として多分岐ポリエーテルポリオール中に存在する。
【0049】
本発明では、組成物中に質量比で前記鎖伸長剤(C)/前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)=99〜65/1〜35の割合で含有するものである。好ましくは、前記(C)/(D)が、質量比で98〜80/2〜20である。この範囲を外れると、圧縮永久歪が悪く、強度に劣るものとなる。
【0050】
以上の原料を用いて従来公知の方法、例えばワンショット法、プレポリマー法等種々の方法によりポリウレタン組成物を製造すれば良い。プレポリマー法とは、ポリオール成分とポリイソシアネートをあらかじめ反応させ一種のプレポリマーを得、次いでウレタンフォームを製造する際にはこれに発泡剤,触媒、整泡剤及びその他添加剤の存在下反応させるものであり、エラストマーを製造する際にはこのプレポリマーに鎖伸長剤やポリオール成分を加え架橋反応させるものである。あるいはワンショット法とは、触媒、発泡剤、整法剤等のその他添加剤の存在下にポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させるものある。好ましくはプレポリマー法である。
【0051】
さらに各種成分を溶融状態で反応せしめるバルク重合法の他に、ウレタン反応をジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、トリクレン等の1種または2種以上からなる溶媒中で行う溶液重合法も用いることができる。その混合割合は、前記ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基(NCO)と、前記ポリオール成分(A)と多分岐ポリエーテルポリオール(D)と鎖伸長剤(C)との水酸基(OH)とのモル比(NCO/OH)で0.9〜1.1であることが好ましい、より好ましくは1.0〜1.05である。
【0052】
更に、本発明のポリウレタンエラストマー組成物は、必要により、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、充填剤、着色剤、強化剤、離型剤、難燃剤等を添加し得る。さらに、他の熱可塑性ポリウレタンエラストマーや、それ以外の汎用熱可塑性樹脂、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド等を本発明による熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物の効果を損なわない範囲で添加し得る。本発明の組成物には、界面活性剤、触媒、安定剤、及び顔料から選ばれた各種添加剤を含有しても良い。
【0053】
本発明のポリウレタンエラストマー組成物は、公知の射出、押出、注型等の成形技術により成形品(ホース、チューブ、フィルム、シート)とされ、自動車部品、電子機器部品、事務用品等の成形品に用いられる。
【実施例】
【0054】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、例中の部は重量部を意味するものとする。
【0055】
合成例1<イソシアネート末端プレポリマー1の合成>
2L4ツ口フラスコにPTMG2000(三菱化学製:ポリテトラメチレングリコール分子量2000)608部、ミリオネートMT(日本ポリウレタン製:4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート)を392部仕込み、窒素導入管より窒素パージしながら80℃5時間反応させ、イソシアネート当量400のイソシアネート末端プレポリマーを得た。以後、このイソシアネート末端プレポリマーをプレポリマー1という。
【0056】
合成例2<イソシアネート末端プレポリマー2の合成>
2L4ツ口フラスコにエクセノール2020(三菱化学製:ポリオキシプロピレングリコール分子量2000)618部、ミリオネートMT(日本ポリウレタン製:4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート)を382部仕込み、窒素導入管より窒素パージしながら80℃5時間反応させ、イソシアネート当量410のイソシアネート末端プレポリマーを得た。以後、このイソシアネート末端プレポリマーをプレポリマー2という。
【0057】
合成例3<多分岐ポリエーテルポリオール(D)の合成>
リフラックスコンデンサー、マグネット式攪拌棒、温度計を具備した2リットル三口フラスコ中で、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン 348g(3モル)と、プロピレンオキサイド 348g(6モル)とを、乾燥かつ過酸化物フリーの1リットルにメチルターシャリーブチルエーテルに溶解し、次いで、このフラスコを−14℃のアイスバスで冷却した。
【0058】
次いで、HPF6 5.5gの60質量%水溶液を10分で滴下した。反応混合物は僅かに白濁した。次いで、室温で一晩反応させ、翌朝、透明な反応混合物を3時間還流した。次いで、前記開始剤は、NaOMe9gの30質量%メタノール溶液を加えて失活させた。濾過した後、減圧下でバス温度75℃でジエチルエーテルを除去した。ジエチルエーテルを完全に除去した後、多分岐ポリエーテルポリオール(多分岐ポリオール1)667gを得た。収率89%であった。
この多分岐ポリエーテルポリオールは、Mn=2,440、Mw=5,850、OHV=258mg・KOH/gであり、プロトンNMRから、モル基準で3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン:プロピレンオキサイド=1:1.9であることが判明した。
【0059】
実施例1
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4ブチレングリコール(三菱化学製、以下1,4BG)、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4ブチレングリコールを10.2部、多分岐ポリオール1を5.5部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0060】
実施例2
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを10.8部、多分岐ポリオール1を2.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0061】
実施例3
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを11.0部、多分岐ポリオール1を1.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0062】
実施例4
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを11.2部、多分岐ポリオール1を0.7部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0063】
実施例5
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを11.3部、多分岐ポリオール1を0.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0064】
実施例6
合成例2で得られたプレポリマー2、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー2を100部、1,4BGを10.7部、多分岐ポリオール1を1.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0065】
実施例7
合成例2で得られたプレポリマー2、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー2を100部、1,4BGを10.8部、多分岐ポリオール1を0.7部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0066】
【表1】

【0067】
比較例1
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BGを80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを11.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0068】
比較例2
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、合成例3で得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを9.3部、多分岐ポリオール1を9.3部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0069】
比較例3
合成例1で得られたプレポリマー1、1,4BG、トリメチロールプロパン(三菱ガス化学製、以下TMP)を80℃に温調した。温調したプレポリマー1を100部、1,4BGを5.5部、TMPを5.5部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0070】
比較例4
合成例2で得られたプレポリマー2、1,4BGを80℃に温調した。温調したプレポリマー2を100部、1,4BGを10.8部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0071】
比較例5
合成例2で得られたプレポリマー2、1,4BG、合成3にて得られた多分岐ポリオール1を80℃に温調した。温調したプレポリマー2を100部、1,4BGを9.2部、多分岐ポリオール1を9.2部、以上を500mlデスカップに入れ、ハンドドリルにて1分間攪拌後、100℃にて遠心成型し2mm厚シート状のウレタンエラストマーを、別途専用金型に流し込み、圧縮永久歪用試験体を得た。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例で得られたポリウレタンエラストマー成形品は、いずれも圧縮永久歪と強度に優れたものであった。多分岐ポリオールを使用しない比較例1では、強度は良いが圧縮永久歪が悪いものであり、比較例2、5では、鎖伸長剤/多分岐ポリオール1が50/50である為に圧縮永久歪は良いが強度に劣るものであった。比較例3では、TMPで多少圧縮永久歪が改善されるが強度が劣るものであった。比較例4では、圧縮永久歪、強度ともに良くなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量1000〜5000の高分子量ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、分子量が1000未満の活性水素含有する鎖伸長剤(C)とから得られるポリウレタンエラストマー組成物において、
ヒドロキシアルキルオキセタン(a1)と1官能性エポキシ化合物(a2)とを(a1)/(a2)=1/1〜1/3(モル比)で開環反応させて得られる多分岐ポリエーテルポリオール(D)を、質量比で前記鎖伸長剤(C)/前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)=99/1〜65/35の割合で含有することを特徴とするポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記(C)/(D)が、質量比で98〜80/2〜20である請求項1に記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)が、その分子構造中に1級水酸基(H1)と2級水酸基(H2)とを有しており、かつ、前記多分岐ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)が1000〜3500、水酸基価が150〜350mg・KOH/gである請求項1に記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項4】
前記多分岐ポリエーテルポリオール(D)が、その分子構造中に2級水酸基(H2)を、全水酸基数に対して20〜70%の割合で有するものである請求項1〜3いずれか1項に記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項5】
前記1官能性エポキシ化合物(a2)が、オレフィンエポキサイドである請求項1に記載のポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項6】
請求項1記載のポリウレタンエラストマー組成物から得られる成形品。

【公開番号】特開2009−292945(P2009−292945A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147979(P2008−147979)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】