説明

ポリウレタンフォームおよびその製造方法

【課題】ポリウレタンフォームの原料に含まれるVOCに代表されるアルデヒド類を吸着することで、これまで見過ごされて残留していた少量のアルデヒド類を低減したポリウレタンフォームおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】アルデヒド類を含有する原料を使用して製造されるポリウレタンフォームにおいて、アルデヒド類を含有する原料と、該アルデヒド類を吸着し得る吸着剤とを接触させ、該原料中に含有されるアルデヒド類を該吸着剤により除去し、その後アルデヒド類を吸着した該吸着剤を分離・除去した原料から製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリウレタンフォームおよびその製造方法に関し、更に詳細には、ポリウレタンフォームの各種原料と、所要の吸着剤とを接触させることで、該原料に含有されるアセトアルデヒドに代表されるアルデヒド類を吸着・除去し、これによりアルデヒド類の発生が抑制されているポリウレタンフォームおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住環境等の改善を目的として、室内空気汚染問題、所謂シックハウス問題も論議されている。このシックハウス問題において、殊に問題視されているのが揮発性有機化合物(以下、VOCと云う)である。このVOCについてはその影響を鑑み、最近厚生労働省が指針値を発表しており、社会的にも注目を集めている。またVOCおいて、例えばアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドおよびプロピオンアルデヒド等(以下、アルデヒド類と云う。請求項においても同じ)の低沸点物質は、室温程度でも揮発し、かつ人体に対しても悪影響を与えるため、殊にその発生量の低減が期待されている。なおアルデヒド類として代表的なアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドについての厚生労働省指針値は、夫々48μg/m(0.03ppm)および100μg/m(0.08ppm)に設定されている。
【0003】
一方、その耐久性および物性等が優れ、かつ高い加工性を備え、更に安価であるポリウレタンフォームは、住宅用建材や自動車用内装材等の素材として好適に使用されている。そしてポリウレタンフォームは、ポリオールおよびイソシアネートと、触媒や架橋剤として使用されるアミン系物質および整泡剤としてのシリコン等とを原料として製造されている。ここで、例えばポリオールや、アミン系物質およびシリコンは、その合成時においてアセトアルデヒド等のアルデヒド類が副生される。そしてこのようなアルデヒド類については、通常は蒸留等の作業によって除去されている。
【0004】
この他、以下の如き方法も採用されていた。すなわち、
(1)下記の特許文献1に記載の発明「特定化学物質の補修方法及びこれに用いる吸着剤」に開示される技術を応用して、製造されるポリウレタンフォームの原料中と、物理的にアルデヒド類吸着能がある活性炭等の表面積が大きな物質とを混合し、この混合物からポリウレタンフォームを製造する。
(2)下記の特許文献2に記載の発明「吸着剤、その製造方法及びフィルター材料」に開示される技術を応用して、製造されるポリウレタンフォームの原料中と、化学的にアルデヒド類を吸収する各種吸着剤とを混合し、この混合物からポリウレタンフォームを製造する。
【特許文献1】特開2003−80062号公報
【特許文献2】特開2001−198457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしポリウレタンフォームに含有されるアルデヒド類については、ポリウレタンフォームの原料の多くにその原因があると共に、前述([0002])した如く、その指針値が小さいため、アルデヒド類低減の重要性にも拘わらず有効な対策が取れていなかった。また前述の(1)および(2)の各方法の場合、以下の欠点が指摘される。すなわち、
(1)活性炭等を使用する場合のアルデヒド類の除去効果は、ポリウレタンフォームの原料中に混合され、ポリウレタンフォーム中に分散して残留するため、ポリウレタンフォームのアルデヒド類の発生部位等に拘わらず、かつ比較的簡便な方法である。しかしこの方法は、ポリウレタンフォームの製造過程で実施される加熱または完成品の利用過程における加熱により、物理吸着したアルデヒド類を再び放出してしまう。
(2)化学反応によりアルデヒド類を吸着する方法は、(1)に関わる可逆性は発生しない。しかし吸着剤自体が高価であると共に、一定以上の効果を得るためにはこの吸着剤を多量に加える必要があるため、必然的に製造コストが高くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服するため本発明に係るポリウレタンフォームは、アルデヒド類を含有する原料と、該アルデヒド類を吸着し得る吸着剤とを接触させ、該原料中に含有されるアルデヒド類を該吸着剤により除去し、その後、アルデヒド類を吸着した該吸着剤を分離・除去することで得られた原料から製造されることを特徴とする。
【0007】
前記課題を克服するため本発明に係るポリウレタンフォームの製造方法は、アルデヒド類を含有する原料を使用して製造されるポリウレタンフォームの製造方法において、
前記アルデヒド類を含有する原料を使用するに先立ち、該原料と該アルデヒド類を吸着し得る吸着剤とを接触させることで、該原料中のアルデヒド類を除去し、
次いでアルデヒド類を吸着した吸着剤を前記原料から分離・除去するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るポリウレタンフォームおよびその製造方法によれば、ポリウレタンフォームの原料と吸着剤とを接触させることで、これまで見過ごされて残留していた少量のアルデヒド類も高い割合で除去するため、アルデヒド類を大きく低減した原料と、その原料からアルデヒド類を大きく低減したポリウレタンフォームを製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の好適な実施例に係るポリウレタンフォームにつき、その製造方法の一例と共に以下に説明する。実施例に係るポリウレタンフォームの製造工程は、図1に示す如く、基本的に原料準備工程S1、吸着剤接触・除去工程S2、成形工程S3および最終工程S4から構成される。ここで原料準備工程S1は主原料であるポリオールおよびイソシアネート並びに触媒および整泡剤等の副原料を準備する工程であり、成形工程S3はこれら各原料を所要の量比で混合して重合反応を開始させ、任意の形状に発泡成形する工程であり、最終工程S4は成形されたポリウレタンフォームに対する各種後処理および検査等が実施する工程であり、従来のポリウレタンフォームの製造方法と同様であるため詳細については省略する。
【0010】
アルデヒド類が含まれているポリウレタンフォームの原料(以下、アルデヒド類含有原料と云う)としては、その合成出発物質や合成途中にカルボニル基や、水酸基を有する物質を使用するもの、例えば主原料であるポリオール、重合開始の触媒や架橋剤として使用されるアミンや、シリコン整泡剤が挙げられる。中でも第3級アミンはその製造工程において、不純物として多くのアルデヒド類が排出され、このためポリウレタンフォーム製造の触媒として一般的な第3級アミンを使用した場合には、本発明による効果がより顕著に発現する。
【0011】
具体的なアルデヒド類含有原料を例示すると、脂肪族、芳香族、何れのアミン化合物が挙げられる。そしてアミン化合物であるアミン触媒については、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチノレプロピレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N−アセチルエチレンジアミン、N,N,N'−トリメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N"−テトラメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N',N",N'"−ペンタメチルテトラエチレンペンタミン、N,N,N',N",N'",N""−ヘキサメチノレペンタエチレンヘキサミン、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、トリメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルジエチレントリアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピノレ)アミン、N−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノイソプロパノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエチル−N'−メチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロピノレ−N'−メチルアミノエタノール、N,N,N'−トリメチル−N'−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチル−N'−メチルアミノエチル−N"−メチノレアミノイソプロパノール、N,N−ビス(3一ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N'−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、及び5−ジメチルアミノ−3−メチル−1−ペンタノール等が挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、3,4−ジクロロアニリン、オルトー、メターおよびパラートルイジン、2,4−キシリジン、3,4−キシリジン、2,5−キシリジン、3−プロピルアニリン、4−イソプロピルアニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、イソプロピルアニリン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,4,4'−トリアミノジフェニルエーテル、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4,4'−ビスメチレンジフェニルアミンまたは4,4'−メチレンジアニリン等といった第1または第2アミンや、これらの混合物が挙げられる。
【0012】
吸着剤接触・除去工程S2は、アルデヒド類含有原料と、シッフ反応によりアルデヒド類を吸着・除去する吸着剤(以下、単に吸着剤と云う)とを、混合・攪拌等の手段で接触させる接触段階S21と、この接触により各原料からアルデヒド類が吸着・除去された後に該原料と、吸着剤とを分離して吸着剤を除去する吸着剤分離・除去段階S22とからなる。基本的に接触段階S21における、アルデヒド類含有原料および吸着剤の接触は、混合と充分な攪拌とによって達成される。また吸着剤の大きさ(粒径)については、吸着剤分離・除去段階S22での分離・除去の容易性を考え、簡易な濾過等でも充分な除去が可能な1.0mm以上に設定される。この粒径については、1.0mm未満であってもよいが、この場合、後述([0016])の吸着剤分離・除去段階S22における吸着剤の充分な分離・除去に時間および手間が掛かるため好ましくない。また充分な分離・除去がなされない場合、得られるポリウレタンフォームの伸びや、圧縮歪み等の諸物性が悪化してしまう。
【0013】
吸着剤は、アルデヒド基と結合することで赤紫色に変色してアルデヒド基(−CHO)の検出をなすシッフ試薬と同様の反応(所謂シッフ反応)により、アルデヒド基を有する、例えばアセトアルデヒドまたはホルムアルデヒド等のアルデヒド類を化学的に結合・吸着するものである。例えば、構造内にアミノ基(−NH)を備える脂肪族または芳香族の、所謂アミン系化合物や、ヒドラジド基(−NHNH)を備える脂肪族または芳香族が挙げられ、このアミノ基に対して除去されるべきアルデヒド基が電気的に結びつくことで、アルデヒド基の吸着がなされる。またアミノ基の他に、水酸基(−OH)を備えた構造を備える物質、殊に電気的な力が高まる、例えば芳香族物質について同様の作用が期待できる。
【0014】
具体的に吸着剤としては、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、P−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジドまたは3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド等のヒドラジド化合物や、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン−2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジドまたは2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等の(2塩基酸)ジヒドラジド化合物や、ポリアクリル酸ヒドラジドの如きポリヒドラジド化合物が挙げられる。殊にこれらの中でも、ジヒドラジド化合物、2塩基酸ジヒドラジドが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドがより一層好ましい。この他、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン等も使用可能である。
【0015】
通常、吸着剤は粒状の固体であり、アルデヒド類含有原料は液状であるため、その接触は、例えばプロペラミキサー等の公知の混合・攪拌による一般的な手法で実施される。この他、吸着剤を充填したカートリッジ等の容器内にアルデヒド類含有原料を通過させるといった方法により、両者を接触させる手法も採用し得る。この接触を混合・攪拌で実施する場合、100重量部のアルデヒド類含有原料に対して、吸着剤を5.0〜10.0重量部の範囲に設定することが好ましい。この混合量が5.0重量部未満であると、アルデヒド類の低減は可能であるが、厚生労働省の指針値であるアセトアルデヒド0.03ppm以下の達成が困難となる。一方この混合量が10.0重量部を越えると、吸着能力は向上する一方で吸着剤の使用量増加によるコストの悪化に繋がる。また混合・攪拌時間は、5時間以上であることが好ましい。また温度については、常温で問題ない。
【0016】
吸着剤分離・除去段階S22は、アルデヒド類含有原料からアルデヒド類を除去した後に、混合状態にある吸着剤を充分に分離・除去する段階である。吸着剤の如き粒状物がポリウレタンフォームの原料中に残留すると、前述([0011])した如く、発泡の障害となり、製品物性、殊に引張強度および圧縮歪への悪影響がでてしまう。吸着剤の形状および大きさによるが、具体的には、デカンテーション或いは網または濾紙による濾過等の公知の固液分離法によって分離・除去される。また分離・除去された吸着剤は、そのアルデヒド類の吸着能の全てを使い切る分けではないため、再度利用も可能である。
【0017】
このようにして、シッフ反応によりアルデヒド類を除去する吸着剤が、アルデヒド類含有原料からアルデヒド類を除去するため、この原料から製造されるポリウレタンフォームからのアルデヒド類の発生を低減し得る。またアルデヒド類の低減は、VOC(揮発性有機化合物)の低減にも大きな効果があるが、この場合、アミン触媒として反応成形後にポリオールと結合する末端官能基を備える反応型触媒の使用が好ましい。
【0018】
(実験例)
本発明に係る吸着剤によって処理された原料と、その原料から製造されるポリウレタンフォームとが排出するアルデヒド類についての実験例につき、以下に説明するが、本発明に係るポリウレタンフォームはこれに限定されるものではない。
【0019】
(実験1) アミン触媒から排出されるアルデヒド類について
アルデヒド類含有原料としてアミン触媒(商品名 カオーライザーNo.25(N,N−ジメチルアミノヘキサノール);花王製)を使用し、ここに下記の表1の割合で各吸着剤A〜Cを投入し、市販のプロペラミキサーにより常温下に混合・攪拌(5時間)し、その後、この混合物を濾紙(商品名 分液濾紙・無灰パルプ仕様;東洋濾紙製)を用いてアルデヒド類を吸着除去した吸着剤(吸着剤A〜C)と、アルデヒド類が吸着除去されたアミン触媒(原料)とに分離して得た実施例1−1および1−2並びに比較例1−1〜1−4に係るアミン触媒のアルデヒド類の濃度(ppm)を測定した。また使用した吸着剤およびアルデヒド類の測定方法は下に記す。なお参考例として、吸着剤と接触させないアミン触媒についても同様の測定を行なった。
【0020】
(吸着剤)
吸着剤A(活性炭):商品名 粒状白鷺Gx4/6;武田薬品工業製
吸着剤B(ゼオライト):アクシーズケミカル製(平均粒子径200μm、比重2.97)
吸着剤C(ジヒドラジド化合物):商品名 NS103;東亜合成製(粒径2mm)
・なお吸着剤Cは、微粒子含水二酸化ケイ素に脂肪族および芳香族系のモノヒドラジド化合物および/またはジヒドラジド化合物を担持させた構造となっている。
【0021】
(測定方法)
アルデヒド類:縦30×横30×厚さ5mmの試験片に加工し、容量1リットルのガラスデシケータ内に載置して、その内部を窒素置換した後に、65℃、2時間の条件で汎用の恒温槽を使用して加熱を施す。そしてこの加熱によって発生したアルデヒド類(ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド)の濃度をガスクロマトグラフによりJIS Z 8808に準拠して測定した。
【表1】

【0022】
(実験1の結果)
実験1の結果を表1に併せて記す。表1から明らかなように、吸着剤A(活性炭)または吸着剤B(ゼオライト)を用いた比較例1−1〜1−4では、アルデヒド類が検出されるのに対し、ヒドラジド化合物を吸着剤として用いた実施例1−1および1−2においては、ホルムアルデヒドの検出がなく、アセトアルデヒドも微量であることが確認された。
【0023】
(実験2) 実験1で得られたアミン触媒を使用して製造されたポリウレタンフォームから排出されるアルデヒド類について
表2に記載される各原料と、実験1で得られたアミン触媒とを表2に記載の割合で使用し、通常のスラブ発泡により実施例2−1および2−2並びに比較例2−1〜2−4に係るポリウレタンフォームを製造した(実施例1−1および1−2並びに比較例1−1〜1−4に係るアミン触媒を使用したポリウレタンフォームは夫々実施例2−1および2−2並びに比較例2−1〜2−4に対応する)。具体的には、先ず、イソシアネートを除くそれぞれの成分を表2に記載の量比でハンドミキサーを用いて攪拌して得たポリオール成分と、イソシアネートとを混合攪拌し、この混合物540gを縦300mm、横400mm、高さ400mmの寸法の発泡箱内で発泡、硬化させることでポリウレタンフォームを製造した。そしてそのアルデヒド類の濃度(ppm)と、各種物性値(密度(kg/m)、硬さ(N)、引張強さ(kPa)、伸び(%)および歪み(%))とを測定した。使用した原料および各種物性値の測定方法は下に記す。なお参考例として、吸着剤と接触させないアミン触媒を使用したポリウレタンフォームについても同様の測定を行なった。
【0024】
(原料)
ポリオール:商品名 GP3000;三洋化成製
イソシアネート:商品名 TDI−80;日本ポリウレタン工業製
整泡剤:商品名 シリコーンSZ1136;日本ユニカー製
触媒:商品名 スタノクト(オクチル酸第1スズ);エーピーアイ・コーポレーション製)
発泡剤:水
【0025】
(測定方法)
密度、引張強さ、伸びおよび歪み:JIS K 6400に準拠して測定した。
硬さ:JIS K 6400 A法に準拠して測定した。
【表2】

【0026】
(実験2の結果)
実験2の結果を表2に併せて記す。表2からアルデヒド類が吸着された吸着剤を分離・除去したアミン触媒を用いて成形した実施例2−1および2−2のポリウレタンフォームでは、アセトアルデヒドが微量に検出されただけであった。比較例2−1〜2−4では、吸着剤として活性炭またはゼオライトを用いてアルデヒド類を吸着、分離・除去したアミン触媒を用いたが、アルデヒド類は検出された。また吸着剤で処理しないアミン触媒を使用したポリウレタンフォームからは大量のアルデヒド類が検出された。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の好適な実施例に係るポリウレタンフォームの製造工程造を示す工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒド類を含有する原料と、該アルデヒド類を吸着し得る吸着剤とを接触させ、該原料中に含有されるアルデヒド類を該吸着剤により除去し、その後、アルデヒド類を吸着した該吸着剤を分離・除去することで得られた原料から製造される
ことを特徴とするポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記吸着剤として使用される物質は、モノヒドラジド化合物またはジヒドラジド化合物である請求項1記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
アルデヒド類を含有する原料を使用して製造されるポリウレタンフォームの製造方法において、
前記アルデヒド類を含有する原料を使用するに先立ち、該原料と該アルデヒド類を吸着し得る吸着剤とを接触させることで、該原料中のアルデヒド類を除去し、
次いでアルデヒド類を吸着した吸着剤を前記原料から分離・除去するようにした
ことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
ポリウレタンフォームから発生するアルデヒド類におけるアセトアルデヒドの発生量は0.03ppm以下に低減される請求項3記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
前記吸着剤として、モノヒドラジド化合物またはジヒドラジド化合物が使用される請求項3または4記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
前記吸着剤は、アルデヒド類を含有する原料100重量部に対して、5.0〜10.0重量部使用される請求項3〜5の何れかに記載のポリウレタンフォームの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−77128(P2006−77128A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262791(P2004−262791)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】