説明

ポリエステルを合成する方法及び装置

【課題】ポリエステルの合成において効率よく分子量を増大させる方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、一端に入口部及び他端に出口部を有する横型筒状反応器及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置であって、加熱装置が、反応器の入口部及び出口部の間の中段において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱するように構成されていることを特徴とする装置、ならびに該装置を用いてポリエステルを合成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルの合成方法及びポリエステルを合成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルとは多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体である。ポリエステル製造法の一つとして、多価カルボン酸のエステルを使用したエステル交換法がある。このエステル交換法は、通常、一定温度に加熱された原料を連続的に供給し、樹脂を連続的に排出する連続反応器内で行われるが、反応がある程度進行すると、分子量の増大に伴う反応物の溶融粘度の上昇による反応器伝熱面の熱伝達係数の低下、及び重合反応により生成する副生成物の揮発に伴う蒸発潜熱により、樹脂の温度が低下する場合がある。この際、重合反応が鈍化し、分子量の増加速度が小さくなる可能性があり、樹脂が必要以上に長い熱履歴を受け熱分解に伴う着色が発生する場合があった。このようなエステル交換法において、重合反応を進捗させるために、種々の改良技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ポリカーボネートの製造において複数の反応器を使用する方法が開示されている。しかし、この特許文献1に記載される方法では、樹脂温度低下はある程度解決できるものの、高価な反応器を複数用いるため設備コストが増大するという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特願平6−35691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ポリエステルの合成において効率よく分子量を増大させる方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記目的を達成すべく、上記課題について鋭意検討した結果、一端に供給口及び他端に排出口を有する横型筒状反応器、及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置を用い、加熱装置により、供給口近傍の入口部及び排出口近傍の出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱することにより反応を進行させることにより、樹脂の熱履歴の長期化を抑制でき、その結果、樹脂の熱分解を防止して着色が抑えられるともに、加熱エネルギーも節約できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)ポリエステルを合成する方法であって、
一端に供給口及び他端に排出口を有する横型筒状反応器、及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置の供給口から原料を導入し、
加熱装置により、供給口近傍の入口部及び排出口近傍の出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱することにより反応を進行させることを特徴とする、前記方法。
(2)加熱装置により、入口部において、出口部よりも低い温度で反応液を加熱することを特徴とする、(1)記載の方法。
(3)ポリエステル合成装置が、反応器内部の反応液の温度を測定する手段を有することを特徴とする、(1)記載の方法。
(4)反応器内部の入口部、出口部、及び中間部における反応液の温度をそれぞれ測定する手段を有することを特徴とする(1)記載の方法。
(5)ポリエステルがポリカーボネートであることを特徴とする(1)記載の方法。
(6)ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)記載の方法。
(7)一端に供給口及び他端に排出口を有する横型筒状反応器、及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置であって、
加熱装置が、供給口近傍の入口部及び排出口近傍の出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱するように構成されていることを特徴とする、前記装置。
(8)加熱装置が、入口部において、出口部よりも低い温度で反応液を加熱するように構成されていることを特徴とする、(7)記載の装置。
(9)反応器内部の反応液の温度を測定する手段を有することを特徴とする、(7)記載の装置。
(10)反応器の入口部、出口部、及び中間部における反応液の温度をそれぞれ測定する手段を有することを特徴とする(7)記載の装置。
(11)ポリエステルがポリカーボネートであることを特徴とする(7)記載の装置。
(12)ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする(7)記載の装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重合反応を順調に進捗させることで分子量の増加速度を保つことができ、原料収率及び反応効率が高く、安定したポリエステルの合成が可能になる。また、着色の少ない樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において横型筒状反応器は、その回転軸が地面に対して実質的に水平になるように設置された攪拌装置を有する筒状の反応器をさす。地面に対して実質的に水平とは、攪拌装置の回転軸が厳密に水平であることを意図するものではなく、地面、すなわち、地平線と回転軸とのなす角度が、通常−5°〜5°、好ましくは−1°〜1°、より好ましくは0°であることを意味する。
【0009】
横型筒状反応器の形状は、地面と実質的に水平な攪拌軸を有する筒状である。そして、該横型筒状反応器は、撹拌装置回転軸方向の一端に溶融原料を含む反応液を供給するための供給口を有し、他端に反応液を取り出すための排出口を有する。横型筒状反応器において、供給口近傍の領域を入口部と称し、排出口近傍の領域を出口部と称し、その間の領域を中間部と称する。供給された反応液は反応器内において、供給口近傍の入口部から排出口近傍の出口部の方向に、実質的に水平方向に移っていくことになる。供給口は、撹拌装置の軸より上側に位置するのが好ましく、排出口は撹拌装置の回転軸より下側に位置するのが好ましい。なお、反応器内部の反応液は重合反応することで変質し当初の原料とは異なる状態になっており、原料、生成樹脂、熱分解物、触媒等を含みうるが、本明細書では、各反応段階における反応液の組成を区別せず、単に反応液として表記する。
【0010】
横型筒状反応器に設置される撹拌装置としては、地面に対して実質的に水平方向に配置される回転軸を中心とした回転により攪拌を行うものであれば特に限定されない。例えば、円形、長円形、3角形、4角形、多葉形等の攪拌翼が回転軸上に間隔をあけて2枚以上設置された1軸又は互いに噛み合う2軸以上の混合機等が挙げられる。互いに噛み合う2軸以上の撹拌装置は、撹拌装置の回転軸や反応器への反応液の付着を防止することができるため、セルフクリーニング作用の観点から好ましい。複数の攪拌翼を有する2軸の混合機を使用する場合は、各回転軸の攪拌翼が互い違いに設置されているのが好ましく、また、各回転軸を逆方向に回転させるのが好ましい。
【0011】
回転軸は、必ずしも実在の回転軸部材を意味するものではなく、単なる回転中心としての回転軸線をも包含する。従って、撹拌装置の回転運動の回転中心が地面に対して実質的に水平に配置されるものであれば、必ずしも実在の回転軸部材は存在しなくてもよい。
【0012】
さらに横型筒状反応器としては、溶融したポリエステル樹脂の薄膜を形成し、高度な表面更新性及び脱揮能力を有する反応器の使用が好ましい。好適な反応器の具体例としては、遠心薄膜蒸発器、メガネ翼式二軸撹拌器、格子翼式二軸撹拌器等が挙げられる。
【0013】
横型筒状反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置としては、当技術分野において通常用いられる装置を使用することができる。例えば、反応器の外周部に熱媒のジャケットを設置し、反応器壁面を通した伝熱により反応液を加熱してもよく、攪拌装置の回転軸内部に熱媒を通して、伝熱により加熱してもよく、これらを単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本発明のポリエステル合成方法においては、加熱装置により、反応器の入口部及び出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱することにより反応を進行させる。従って、本発明のポリエステル合成装置においては、加熱装置が、反応器の入口部及び出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱するように構成される。
【0015】
反応器内部を、入口部、出口部及び中間部において異なる温度で加熱するためには、例えば、反応器内部を複数個の領域に区分けし、区分けした領域ごとに熱媒温度を変えられるような加熱装置を使用してもよい。反応器内部に堰を設け、堰間の領域に基づいて区分けしてもよい。複数個の加熱装置、例えば、複数個の熱媒ジャケットを利用して、複数個の領域をそれぞれ加熱してもよい。すなわち、複数個の加熱装置を用い、入口部と出口部の間に設置された任意の加熱装置の一つ以上を、入口部と出口部に設置された加熱装置より高い温度に設定してそれぞれ加熱してもよい。より高い温度で加熱するとは、加熱装置をより高い温度に設定することをさし、熱媒を用いる加熱装置の場合には、熱媒の温度をより高い温度にすることをさす。例えば、中間部を加熱した熱媒を入口部付近に供給することによって反応器内部に温度勾配を設定することもできる。
【0016】
反応器の入口部及び出口部の間の中間部においてより高い温度で加熱するとは、入口部及び出口部の間に、より高い温度で加熱される領域が少なくとも一つ存在することをさす。これにより、原料がある程度縮重合して分子量が増大し溶融粘度が増大することで伝熱係数が低下した場合においても、樹脂の温度を適切な温度に保ち、重合反応を順調に進捗させることで分子量の増加速度を保つことができる。また、従来装置で製造した場合と同様の分子量を有するポリエステルを製造する場合、分子量の増大が妨げられないため樹脂の滞留時間を短くすることができ、単位時間あたりでより多くの樹脂を製造できるため効率が良い。また、滞留時間が短くなることで熱履歴が短くなり、熱分解に伴う樹脂の着色や分子量の低下等を軽減することができる。
【0017】
また、入口部近傍では原料の蒸発や熱劣化が懸念されることから、反応器の入口部においては、出口部よりも低い温度で反応液を加熱することが好ましい。
【0018】
好ましくは、堰を設けるか否かにかかわらず、反応器内部を3つの領域に区分けし、供給口側を入口部、排出口側を出口部、真ん中を中間部とし、中間部>出口部>入口部の順に高温で加熱する。
【0019】
加熱装置による加熱温度は、合成するポリエステルの種類によって異なるが、中間部における加熱温度を、反応器全体を同じ温度で加熱する従来の方法で用いられる加熱温度に等しくなるように設定する。そして、このように設定した中間部温度を基準にして、出口部の加熱温度をそれより低く設定し、入口部の加熱温度をさらに低く設定することにより、ポリエステルの種類に応じて、入口部、出口部、中間部の加熱温度を設定することができる。
【0020】
横型筒状反応器は、反応液の溶融粘度が低くプラグフロー性に影響すると予想される場合には、その反応器内に堰を設置してもよい。この堰は、反応器の供給口から排出口に向けて反応液が急速に流れるのを阻害するように設置される。堰の形状は、反応液の流れを阻害可能な形状であればよく、反応器の形状に基づいて決定することができ、好ましくは板状である。堰の設置方法についても特に制限されないが、例えば、堰が板状である場合は、地面に対し垂直に近い角度となるように設置される。好ましくは、攪拌装置回転軸と垂直な反応器断面における下側、例えば下側半分又は1/3を遮るように、反応器の底部内壁に設置される。ここで、地面に対し垂直に近い角度とは、地面と板状の堰とのなす角度が、85〜95°、好ましくは89〜91°、より好ましくは90°であることを意味する。
【0021】
堰の材質としては、断熱性を有するものを使用するのが好ましい。ポリエステルの流通性を高める観点から、堰には貫通孔を設けてもよく、貫通孔は、反応器の底部に近い部分、好ましくは反応器底部内壁との境目に設ける。貫通孔の数は、通常1〜10個、好ましくは1〜5個である。上記のような貫通孔を設けることにより、反応液を適度な速度で流通させることができる。
【0022】
堰の設置位置及び間隔等は、当業者であれば反応条件等に基づき適宜決定することができる。例えば、ポリエステルの粘度分布が同程度になる領域を分けるように堰の設置位置を決定することができる。また、反応器内の堰の設置位置を決めた後、所定の流量で反応液が貫通孔を通過する際の抵抗が、堰の前後における反応液ヘッド差による駆動力よりも小さくなるように貫通孔の孔径を決定することができる。
【0023】
2つの堰間の領域は、単一の混合セルと同様に作用し、攪拌装置によって攪拌されることにより反応液が均一化される。これにより、粘度の低い原料溶融物や重合度の低い低粘度の重合物が、重合度の高い高粘度の重合物よりも速く流れて両者が混ざり合う影響を抑制することができる。
【0024】
横型筒状反応器における入口部と出口部において、ヘッド差を設けることにより、反応液が入口部から出口部へと移動するための駆動力を与えてもよい。反応液は、上記貫通孔を通って流れるか、あるいは堰よりも高い位置にある反応液がヘッド差により後段の領域に流れることにより、横型筒状反応器を出口部方向へ流れることができる。
【0025】
横型筒状反応器において、反応液の供給量は特に制限されないが、横型筒状反応器の容量に対し、通常10〜70%、好ましくは40〜50%まで液が張り込まれる量で供給される。また、堰の高さを超えない量で供給するのが好ましい。未反応の原料が急速に流れるのを、効果的に抑制できるからである。
【0026】
横型筒状反応器には、必要に応じて反応液の液面を測定する装置を設置し、計測信号を反応器入口部の送液ポンプ又は反応器出口部の送液ポンプ等にフィードバックすることにより、液面の高さが所定値となるよう反応液の輸送量を調節することができる。液面の測定方法としては、例えば、放射性物質を反応器上部に設置し、そこから発生するガンマ線の反応液に対する透過量により測定する方法、反応器上部から超音波又は電磁波を発射してその反射波を計測することにより測定する方法、反応器上部に筒状のコンデンサーを設置して、これを反応液中に差込み、筒内部の反応液高さに伴う誘電率の変化を計測することで測定する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、ポリエステル合成装置として、反応器内部の反応液の温度を測定する手段を有するものを用いることが好ましい。反応器内部の入口部、出口部及び中間部における反応液の温度をそれぞれ測定する手段を有するものを用いることがさらに好ましい。各部位における反応液の温度を測定する温度測定器を設置することにより、目標とする温度を保つように加熱装置を制御することが望ましい。
【0028】
本発明の方法及び装置は、ポリエステルをエステル交換法で合成する場合に好適に用いられる。本発明の方法及び装置は、ポリエステルとしてポリカーボネートを合成する場合、特にポリカーボネートをエステル交換法で合成する場合に、好適に用いられる。
【0029】
一般に、ポリカーボネートの製造方法としては、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法である界面重縮合法、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる溶融エステル交換法が知られている。これらの方法のうち、界面重縮合法は、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム等の含塩素化合物によって製造装置が腐蝕すること、樹脂中に混入する水酸化ナトリウム等ポリマーの物性に悪影響を及ぼす不純物の分離が困難なこと、等の諸問題を有している。一方、溶融エステル交換法は、界面重縮合法と比較して、安価にポリカーボネートを製造することができる利点を有している。
【0030】
エステル交換法によってポリカーボネートを製造する場合、原料としては、特に制限はなく、例えば、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル、ジヒドロキシ化合物のジエステル及び炭酸ジエステル、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル及び炭酸ジエステル等が挙げられる。これらの中では、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルが好ましく用いられる。ジヒドロキシ化合物としては、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物、脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種の化合物を用いる。
【0031】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4,−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類、ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジシクロヘキシルビフェニル、3、3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類、ビス−オキシエチル−ビスフェノールA、ビス−オキシエチル−テトラクロロビスフェノールA、ビス−オキシエチル−テトラクロロヒドロキノン等のフェノールのエトキシ化またはプロポキシ化生成物等が挙げられる。
【0032】
上記以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン及びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類等がある。例えば、レゾルシン、3−メチルレゾルシン、3−エチルレゾルシン、3−プロピルレゾルシン、3−ブチルレゾルシン、3−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾルシン、3−クミルレゾルシン、2,3,4,6−テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6−テトラブロモレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、3−メチルハイドロキノン、3−エチルハイドロキノン、3−プロピルハイドロキノン、3−ブチルハイドロキノン、3−t−ブチルハイドロキノン、3−フェニルハイドロキノン、3−クミルハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が挙げられる。
【0033】
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ブタン−1,4−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、N,N−メチルジエタノールアミン、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、p−キシリレングリコール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン及び二価アルコール等が挙げられる。
【0034】
本発明においては、ジヒドロキシ化合物として、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノールAを用いるのが好ましい。
【0035】
炭酸ジエステルとしては、例えば、炭酸ジアリール化合物、炭酸ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも一種の化合物を用いる。ここで、炭酸ジアリール化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ビスフェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げられる。また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ビスフェノールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。そして、炭酸アルキルアリール化合物としては、例えば、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、シクロヘキシルフェニルカーボネート、ビスフェノールAメチルフェニルカーボネート等が挙げられる。本発明において、炭酸ジエステルとしては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、ジフェニルカーボネートを用いるのが好ましい。
【0036】
前記ジヒドロキシ化合物及び前記炭酸ジエステル以外の原料としては、ジヒドロキシ化合物のジエステル類、例えば、ビスフェノールAのジ酢酸エステル、ビスフェノールAのジプロピオン酸エステル、ビスフェノールAのジブチル酸エステル、ビスフェノールAのジ安息香酸エステル等、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル類、例えば、ビスフェノールAのビスメチル炭酸エステル、ビスフェノールAのビスエチル炭酸エステル、ビスフェノールAのビスフェニル炭酸エステル等、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル類、例えば、ビスフェノールAモノメチル炭酸エステル、ビスフェノールAモノエチル炭酸エステル、ビスフェノールAモノプロピル炭酸エステル、ビスフェノールAモノフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
【0037】
本発明の方法及び装置によって好適に合成されるポリエステルの具体例としては、式I:
【化1】

で表されるポリカーボネート、ポリブチレンサクシネートなどのポリアルキレンサクシネート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0038】
反応器内部を3つの領域に区分けして加熱する態様において、加熱装置の加熱温度は、上記式Iのポリカーボネートを合成する場合は、入口部で250〜270℃、中間部で260〜300℃、出口部で250〜290℃に設定し、ポリブチレンテレフタレートを合成する場合は、入口部で150〜250℃、中間部で200〜300℃、出口部で200〜290℃に設定し、ポリトリメチレンテレフタレートを合成する場合は、入口部で200〜270℃、中間部で220〜300℃、出口部で210〜290℃に設定し、ポリブチレンサクシネートを合成する場合は、入口部で200〜260℃、中間部で220〜300℃、出口部で210〜270℃に設定することが好ましい。
【0039】
エステル交換法においては、必要に応じて、末端停止剤を用いることができる。このような末端停止剤の具体例としては、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキシルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n−ヘキシルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−n−ノニルフェノール、m−n−ノニルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノール、p−ナフチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジクミルフェノール、3,5−ジクミルフェノール等が挙げられる。このようなフェノール類のうち、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノールが好ましい。さらに、必要に応じて、フロログルシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、イサチンビス(o−クレゾール)等を分岐剤として用いることもできる。
【0040】
エステル交換法は、好ましくは重合触媒の存在下で行う。ここで用いられる触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属化合物、アミン類、四級アンモニウム塩類等の含窒素塩基性化合物、あるいは硼素化合物等が挙げられる。これらの中では、特に、含窒素塩基性化合物が、塩基性を示し、反応系中に比較的残留しない特徴を有するので好ましく用いられる。
【0041】
重合触媒として好ましく用いられる前記含窒素塩基性化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン等の脂肪族第3級アミン化合物、トリフェニルアミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。また、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、アミノキノリン、ジアザビシクロオクタン等の含窒素複素環化合物が挙げられる。さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル基、アリール基、アルアリール基等を有するアンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。その他、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩が挙げられる。これらの含窒素塩基性化合物の中では、トリヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルアミノピリジンが好ましく用いられる。また、硼素化合物としては、例えば、硼酸、硼酸トリメチル、硼酸トリエチル、硼酸トリブチル、硼酸トリヘプチル、硼酸トリフェニル、硼酸トリナフチル等が挙げられる。
【0042】
前記触媒の添加量は、原料であるジヒドロキシ化合物に対して、通常、10-1〜10-8モル/モル、好ましくは10-2〜10-7モル/モルである。触媒の添加量を10-8モル/モル以上とすることにより、触媒効果を十分に発現させることができる。また、10-1モル/モル以下とすることにより、最終製品であるポリカーボネートの物性、特に、耐熱性、耐加水分解性の低下を防ぐことができ、また、コストの点からもこれを超えてまで添加する必要はない。
【0043】
エステル交換法によるポリエステルの合成は、通常、不活性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じて、不活性溶剤の存在下において行ってもよい。ここで、不活性溶剤としては、例えば、ジフェニルエーテル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ポリフェニルエーテル、ジクロロベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素等のガス、クロロフロロ炭化水素、エタン及びプロパン等のアルカン、シクロヘキサン、トリシクロ(5.2.10)デカン、シクロオクタン、シクロデカン等のシクロアルカン、エテン及びプロペン等のアルケン等各種のものが挙げられる。
【0044】
また、エステル交換法では、必要に応じて、酸化防止剤を使用してもよい。リン系酸化防止剤としては、具体的には、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシジフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(2−ブチルフェニル)ホスファイトの他、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト、トリス(2−クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイト等のトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(2,2’−ジ−t−ブチル
フェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート等のトリアルキルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート等のトリシクロアルキルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート等のトリアリールホスフェート等が挙げられる。
【0045】
以下、図面を用いることにより本発明の一実施形態について具体的に説明する。図1に示されるポリエステル合成装置においては、横型筒状反応器1の反応経路上流側に供給口2及び下流側に排出口3が設けられ、発生する気体の気体排出部4が反応器1の上部に配置される。そして、反応器外周部に、供給口近傍の入口部を加熱する加熱装置5Aと、排出口近傍の出口部を加熱する加熱装置5Bと、入口部と出口部の中間部を加熱する加熱装置5Cが設置される。中間部は重合反応の進行により樹脂の分子量が増大し溶融粘度が上昇するため反応器内壁面の熱伝熱係数が低くなり、かつ副生成物の脱揮による蒸発潜熱で樹脂の温度が加熱温度よりも低くなりやすいため、入口部及び出口部よりも加熱温度を高くする。加熱装置による反応器の加熱は熱媒の流通により、熱媒の加熱は電熱ヒーター等を用いて行うことができる。熱媒の温度は、入口部の反応液温度を測定する温度測定器6A、出口部の反応液温度を測定する温度測定器6B、中間部の反応液温度を測定する温度測定器6Cにより反応器内の反応液の温度を測定し、目標とする温度を保つように制御される。入口部では原料の蒸発や熱劣化が懸念されるため、加熱温度は出口部及び中間部よりも低く保つことが望ましい。出口部ではポリエステル樹脂の熱伝達係数は低いが副生成物の脱揮が中間部よりも少なく、また高温を保つと熱分解による分子量の低下及び着色等が懸念されるため、加熱温度は中間部より低く保つ。
【0046】
本発明によれば、加熱装置を用いて反応器の入口部、出口部、中間部の加熱温度をそれぞれ変化させることで、重合反応を順調に進捗させ、分子量の増加速度を保つことができるため、原料収率が高く、安定したポエステルの製造が可能になる。
【0047】
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
〔実施例1〕
図1に示されるポリエステル合成装置を用いてポリカーボネートの製造を行った。
【0049】
横型筒状反応器として、メガネ翼二軸撹拌器を使用した。この反応器にビスフェノールA、炭酸ジフェニル、更に触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを投入した。加熱装置による加熱温度は入口部で250〜270℃、中間部で260〜300℃、出口部で250〜290℃の範囲となるように制御した。真空度は1〜100Torrの範囲で制御した。滞留時間は0.5〜2時間とした。得られたポリカーボネートについて、重量平均分子量を測定したところ30000であった。また、得られたポリカーボネートの着色はb値で2.5であった。
【0050】
〔実施例2〕
図1に示されるポリエステル合成装置を用いてポリブチレンテレフタレートの製造を行った。本実施例では、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを溶融状態でエステル交換反応させる溶融エステル交換法でポリブチレンテレフタレートの製造を行った。
【0051】
横型筒状反応器として、格子翼二軸撹拌器を使用した。この反応器にテレフタル酸、1,4−ブタンジオール、更に触媒としてチタンテトラブトキシドを投入した。加熱装置による加熱温度は入口部で150〜250℃、中間部で200〜300℃、出口部で200〜290℃の範囲となるように制御した。真空度は1〜100Torrの範囲で制御した。滞留時間は0.5〜2時間とした。得られたポリブチレンテレフタレートについて、重量平均分子量を測定したところ30000であった。また、得られたポリカーボネートの着色はb値で2.5であった。
【0052】
[比較例]
実施例1と同様のプロセスでポリカーボネートの製造を行った。ただし、加熱装置により、反応器全体(すなわち、入口部、出口部及び中間部すべて)を加熱温度250〜300℃の範囲の同じ温度で加熱した。得られたポリカーボネートについて、重量平均分子量を測定したところ10000であった。また、得られたポリカーボネートの着色はb値で4.4であった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のポリエステル合成装置の一実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0054】
1 反応器
2 供給口
3 排出口
4 気体排出部
5 加熱装置
6 温度測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルを合成する方法であって、
一端に供給口及び他端に排出口を有する横型筒状反応器、及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置の供給口から原料を導入し、
加熱装置により、供給口近傍の入口部及び排出口近傍の出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱することにより反応を進行させることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
加熱装置により、入口部において、出口部よりも低い温度で反応液を加熱することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリエステル合成装置が、反応器内部の反応液の温度を測定する手段を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
反応器内部の入口部、出口部、及び中間部における反応液の温度をそれぞれ測定する手段を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
ポリエステルがポリカーボネートであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
一端に供給口及び他端に排出口を有する横型筒状反応器、及び該反応器内部の反応液を加熱するための加熱装置を備えたポリエステル合成装置であって、
加熱装置が、供給口近傍の入口部及び排出口近傍の出口部の間の中間部において、入口部及び出口部より高い温度で反応器内部の反応液を加熱するように構成されていることを特徴とする、前記装置。
【請求項8】
加熱装置が、入口部において、出口部よりも低い温度で反応液を加熱するように構成されていることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
反応器内部の反応液の温度を測定する手段を有することを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項10】
反応器の入口部、出口部、及び中間部における反応液の温度をそれぞれ測定する手段を有することを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項11】
ポリエステルがポリカーボネートであることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項12】
ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項7記載の装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−191131(P2009−191131A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31977(P2008−31977)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】