説明

ポリエステル樹脂組成物およびフィルム

【課題】本発明は、凝集粒子のない、優れた粒子分散性を示し、かつ透明性、滑り性を兼備した、複写用等の磁気材料用途や、窓張り用、離型用等の工業材料用途の、特に透明性の要求される分野に好適に使用することができるポリエステル樹脂組成物及びフィルムを提供する。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸性分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエステルが、少なくとも1種の有機化合物を共重合してなる、屈折率が1.60以下で、かつ耐熱性が360℃以上であるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有してなるポリエステル樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集粒子のない、優れた粒子分散性を示し、かつ透明性、滑り性を兼備した、複写用等の磁気材料用フィルムや、窓張り用、離型用等の工業材料用フィルムの、特に透明性の要求される分野に好適に使用することができるポリエステル樹脂組成物及びフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、その優れた物理的、化学的特性を有するため、繊維、フィルム、その他成形品として広く使用されている。しかし、その優れた特性とは逆に、上記成形品を得る成形工程における工程通過性、あるいは製品自体での取り扱い時における滑り性不良による作業性の悪化、製品価値の低下といった好ましくないトラブルが発生することも知られている。
【0003】
これらの問題に対して、ポリエステル中に微粒子を含有せしめて成形品の表面に適度の凹凸を付与し、成形品の表面の滑り性を向上させる方法が数多く提案されている。例えば特開昭55−133431号公報(特許文献1)では、酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイトなどの不活性無機粒子、また、特開昭57−125247号公報(特許文献2)ではベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、ポリテトラフルオルエチレン−ヘキサフルオルプロピレン共重合体、ポリフェニルエステル樹脂などの有機高分子微粒子をポリエステル合成反応系に添加する方法がある。しかし、かかる粒子を添加する場合、添加量が増加するにつれてポリエステルの重要な特性である透明度が減少する。フィルムに成形した場合、特に粒子とポリエステルの屈折率の影響および延伸による粒子まわりのボイド発生等により著しく透明性が損なわれることが知られている。粒子の屈折率に関してはポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの屈折率に近い粒子は少なく、屈折率の近い粒子があっても易滑性に劣るなどの問題がある。一方、特に有機高分子微粒子においては屈折率がポリエステルに近いものもあるが、一般に耐熱性が劣る。従って、ポリエステル重合時あるいは溶融成形時に軟化しやすく、これに起因して凝集によるポリマー中の有機粒子分散不良などの問題が生じる。特開昭55−155029号公報(特許文献3)などに開示されている架橋性の高分子粒子でも耐熱性は不充分である。
【0004】
複写用等の磁気材料用フィルムや、窓張り用、離型用等の工業材料用フィルムにおいて、易滑性および透明性という両特性の優れたフィルムの要求は依然強いが、未だ解決に至っていないのが現状である。例えば、特開昭55−152719号公報(特許文献4)ではポリエステルと共有結合する架橋高分子粒子からなる粒子が提案されているが、かかる粒子あるいは方法を用いてもポリエステル中での凝集粒子やボイドの発生は避け切れず、高度な表面均一性や透明性が必要とされる用途において十分に満足するものではなかった。さらに特開平1−240558号公報(特許文献5)では、熱分解温度が380℃以上かつ空隙率が40〜95%である平均粒径0.01〜5μmの架橋ポリスチレン粒子を配合する方法が提案されているが、かかる粒子を用いれば、フィルムの透明性、滑り性はある程度、効果はみられるが、さらに透明性を有する用途には十分に満足できるものではなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、上記提案されている粒子の欠点を改良し、特に優れた透明性と、滑り性のバランスに優れたポリエステルフィルムを得るために鋭意検討した結果、芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸性分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエステルが、少なくとも1種の有機化合物を共重合してなる、屈折率が1.60以下で、かつ耐熱性が360℃以上であるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有してなるポリエステル樹脂組成物およびフィルムによって目的を達成できることを明らかにした。
【特許文献1】特開昭55−133431号公報
【特許文献2】特開昭57−125247号公報
【特許文献3】特開昭55−155029号公報
【特許文献4】特開昭55−152719号公報
【特許文献5】特開平1−240558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、凝集粒子のない、優れた粒子分散性を示し、かつ透明性、滑り性を兼備した、複写用等の磁気材料用フィルムや、窓張り用、離型用等の工業材料用フィルムの、特に透明性の要求される分野に好適に使用することができるポリエステル樹脂組成物およびフィルムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ポリエステルに、少なくとも1種の有機化合物を共重合してなる、特定の屈折率をもつジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有したポリエステル樹脂組成物によって前記課題が解決できることを見出した。すなわち本発明は、芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸性分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエステルが、少なくとも1種の有機化合物を共重合してなる、屈折率が1.60以下で、かつ耐熱性が360℃以上であるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有してなるポリエステル樹脂組成物およびフィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有してなるポリエステル樹脂組成物は、粒子の屈折率を制御することにより、透明性が大幅に向上する。さらにかかるポリエステルをフィルムに成形した場合、ポリエステルとの親和性及び粒子分散性が優れているためボイドが生成しにくく、良好な透明性を有するフィルムを得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリエステルの二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を主とするものであり、具体的にはテレフタル酸、ナ2,6−フタリンジカルボン酸、1,2−ビス(2ークロロフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、そのエステル形成性誘導体としてテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタリンジカルボン酸ジメチル、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、なかでもテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルが好ましい。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、なかでもエチレングリコールが好ましい。これらジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体およびグリコール成分以外に他の成分を共重合してもよく、その成分は例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、5−ナトリウムスルホレゾルシンなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシジカルボン酸成分などが挙げられる。 ジカルボン酸成分がジカルボン酸の場合はグリコールとエステル化反応後、またジカルボン酸エステルの場合はグリコールとエステル交換反応後、高温、減圧下にて重縮合せしめポリエステルを得る。また、プレポリマー自身を出発物質として重縮合させることもできる。このようなモノマーから得られるポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特に透明性が要求される用途においてはポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0010】
本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は粒子を構成する主要組成がスチレンまたはその誘導体である粒子であり、粒子を構成するモノマーが、分子中に1個の脂肪族不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋成分として分子中に2個以上の脂肪族不飽和結合を有するジビニル化合物(B)と少なくとも1種の有機化合物(C)によって構成される。ここで化合物(A)の主要部分にスチレンまたはその誘導体、化合物(B)の主用部分にジビニルベンゼンまたはその誘導体を用いることによって本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を得ることができる。有機化合物(C)は、粒子の屈折率を制御し、透明性を向上させる点から、屈折率が1.50以下であることが好ましく、さらに1.45以下であることが好ましい。化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アクリルアルデヒド等のアルデヒド類、メタクリル酸メチル等のエステル類が挙げられる。中でも透明性及び粒子凝集抑制の観点から、特にエステル化合物が好ましく、メタクリル酸メチルが好適に用いられる。SiO2やTiO2等の無機化合物で被覆した場合、ポリエステルとの親和性が悪化し、粒子凝集を引き起こすため好ましくない。また、化合物(B)のジビニルベンゼン等の架橋成分は、粒子の耐熱性を向上させるために、30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。化合物(C)の有機化合物は、耐熱性を保持し、透明性を向上させるために、0.01〜10重量%未満が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量%未満、さらに好ましくは0.01〜1重量%未満である。
【0011】
本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は良好な透明性を得るために屈折率を1.60以下にする必要があり、好ましくは1.59以下、さらに好ましくは1.58以下である。屈折率が1.60より大きい粒子を用いた場合、フィルムに成形した場合に良好な透明性が得られない。さらに、平均粒径は0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜2μmである。平均粒径が0.01μm未満ではフィルムにした場合、滑り性が低下してくる。また平均粒径が5μmを越えるとボイドの発生、粗大突起に起因するフィルム表面の散乱の増加等によりフィルムの透明性が減少する。
【0012】
また、本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は、熱天秤による熱分解温度(10%減量温度)が360℃以上の耐熱性を有する粒子である必要がある。すなわち、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子が易滑剤として作用を発揮するためには、ポリエステル重合時、または溶融成形温度で融解しない耐熱性が必要である。好ましくは熱分解温度が380℃以上、より好ましくは400℃以上である。熱分解温度が360℃未満ではポリエステル重合時、または溶融成形時に粒子が凝集し易滑剤として使用できない。
【0013】
本発明に用いるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子は透明性、易滑性の点から粒子形状が球状で均一な粒度分布のものが好ましい。均一な粒度分布を持つジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の製造方法としてはソープフリー乳化重合によりシード粒子を合成し、膨潤助剤を用いて膨潤させ、重合性モノマーを吸収して重合させる方法が特に好ましい。重合性モノマーを吸収させる方法としては、シード粒子を合成した水溶性分散体に対してこれらを一括添加する方法、重合を行いながら分割してまたは連続的に投入する方法があるが、本発明では、一括添加する方法が好ましい。重合性モノマーを分割して、または連続添加した場合、共重合成分が架橋粒子にランダムに重合され、透明性発現の効果が低減する。
【0014】
また本発明の粒子は、ポリエステルとの親和性をさらに高めるため、表面処理により各種官能基を導入することができる。例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、スルホン酸基等を挙げることができ、カルボキシル基を導入するにはメタクリル酸、水酸基にはアクリル系モノマー、アミド基にはメタクリルアミド、スルホン酸基にはスチレンスルホン酸を用いるのが好適であるが特に限定はされない。
【0015】
本発明のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子のポリエステルに対する添加量は、粒子凝集抑制の観点から、好ましくは0.001〜10重量%であり、より好ましくは0.002〜2重量%である。
【0016】
また、本発明の粒子は、ポリエステルに公知の種々の方法によって添加、混合できる。ポリエステルの製造段階に添加しても良いし、一軸、二軸などのエクストルーダー或いはベント機構を有するエクストルーダーを用いて溶融状態にあるポリマーに添加混合しても良い。ポリエステルの製造段階に添加する場合はポリエステル重合開始前から重合反応中の段階で添加するのが粒子分散性の点で特に好ましい。ポリエステル樹脂組成物を製造する前駆段階または重縮合段階における粒子の添加は、エチレングリコールのスラリーとして添加するのが好ましい。そのスラリー濃度としては0.5〜20重量%程度が適当である。
【0017】
エチレングリコール等の分散媒への分散法は例えば高速分散機、サンドミル、ロールシール等を用いてもよい。
【0018】
また分散時にはリン酸、亜リン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン原子含有化合物、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシルアミンなどの窒素原子含有化合物、アルカリ化合物、陽イオン、陰イオン、両性もしくは非イオン性などの界面活性剤あるいは水溶性高分子等の分散剤を使用するとスラリーおよびポリマー中のジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の分散性がさらに向上し、特に好ましい。
【0019】
さらにポリエステルの製造時に通常用いられるリチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン等の化合物の金属化合物触媒、着色防止剤としてのリン化合物、ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子以外の粒子として、従来公知の例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、リン酸カルシウム、カオリン、シリカアルミナ、炭酸カルシウムなどの無機粒子、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属とリンとを構成成分の一部としポリエステル重合反応系内で析出してくるいわゆる内部粒子、またはホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などからなる有機高分子微粒子も必要に応じて適宜添加できる。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、単層、複層のいずれのフィルムにも適用することができるが、フィルムの易滑性、表面の均一性の点から、本発明のポリエステル樹脂組成物からなるフィルムを少くとも1層、特に最外層に有する積層フィルムとすることができる。このようなフィルムは従来公知の方法によって製造することができる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、得られたポリエステルの各特性値の測定は次の方法に従って行なった。
(A)粒子の粒径
平均粒径は粒子の電子顕微鏡写真によって測定した50体積%の点にあたる粒子の等価球直径により求めた。等価球直径とは粒子と同じ体積を有する球の直径である。
(B)粒子の熱分解温度
理学電気TAS−100にて窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minでの熱天秤減量曲線を測定した。10%減量温度を熱分解温度とした。
(C)屈折率
アッベの屈折計により測定した。
(D)ポリマーの極限粘度
o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(E)ポリマー中の粒子分散性
ポリマーを超薄膜作成装置によって800Å前後の超薄切片にしたのち、透過型電子顕微鏡により、ポリマー中の粒子分散状態を観察した。
【0022】
粒子分散性の判定は次のとおりに行なった。
◎:二次凝集粒子がなく、目的を達成する。
○:二次凝集粒子はほとんど観察されず、目的を達成する。
△:わずかに二次凝集粒子が存在し、目的を達成しない。
×:ほとんどの粒子が二次凝集粒子であるので目的を達成しない。
(F)フィルム特性
1)表面粗さ:Ra(μm)
触針式表面粗さによる測定値で示した(カットオフ値0.08mm、測定長0.5mm。ただしJIS−B−8601に従った。)
2)滑り性
ASTM−D−1894B−63に従い、スリップテスターを用いて、静摩擦係数(μs)ならびに動摩擦係数(μd)を測定した。
3)フィルムヘイズ
ASTM−D1003−52に従い、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。全光線透過率Tt、散乱光透過率をTdとした場合、下記の式によって計算される。
【0023】
フィルムヘイズ=Td/Tt x 100
4)全光線透過率
3)項により測定したTtの値を全光線透過率とした。
【0024】
実施例1
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部から酢酸カルシウム0.09重量部を触媒として常法により、エステル交換反応を行ない、その生成物に三酸化アンチモン0.03重量部、リン酸トリメチル0.2重量部および5重量%濃度のエチレングリコールスラリーとして分散させた熱分解温度が400℃、平均粒径0.8μmのジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子1.0重量部を添加し、常法により重合して、極限粘度0.615、軟化点260.2℃のポリエチレンテレフタレートを得た。ポリマー中の粒子を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、粒子分散状態は二次凝集が少なく、ほぼ単分散状態で存在していた。
【0025】
該ポリマーを290℃で溶融押し出しし、85℃で縦方向に3.3倍、95℃で横方向に3.6倍延伸した。その後205℃で熱固定し、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。なおフィルム中での粒子添加量は0.05重量%とした。該フィルム特性を評価した結果、滑り性および透明性が良好であった(第1表)。
【0026】
実施例2〜8
含有するジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の化合物(C)の種類、組成比屈折率、耐熱性、平均粒径を変えて実施例1と同様にポリエチレンテレフタレートの二軸配向フィルムとした。該フィルム特性を評価した結果、実施例1と同様に滑り性、透明性共に優れていた。
【0027】
比較例1〜5
含有するジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の化合物(C)の種類、組成比屈折率、耐熱性、平均粒径を変えて実施例1と同様にポリエチレンテレフタレートの二軸配向フィルムとした。しかしながら、粒子の特性が本発明外である時は滑り性と透明性を共に満足させることはできなかった。
【0028】
比較例6,7
含有する粒子として、高分子粒子として熱分解温度の低いスチレン−アクリル共重合体粒子、無機粒子としてコロイダルシリカを用い、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートの二軸配向フィルムとした。いずれも滑り性、透明性を共に満足させることはできなかった。
【0029】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸を主とする二官能性酸性分と少なくとも一種のグリコール成分よりなるポリエステルが、少なくとも1種の有機化合物を共重合してなる、屈折率が1.60以下で、かつ耐熱性が360℃以上であるジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子を含有してなるポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子に含有されるジビニルベンゼンの量が、30重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子に共重合される有機化合物の屈折率が1.50以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子に共重合される有機化合物の量が、0.01〜10重量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子に共重合される有機化合物がエステル結合をもつことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子に共重合される有機化合物がメタクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の平均粒子径が0.01〜5μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
ジビニルベンゼン・スチレン架橋粒子の製法がシード重合であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物樹。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物よりなるフィルム。

【公開番号】特開2006−16422(P2006−16422A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192896(P2004−192896)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】