説明

ポリエチレン系樹脂組成物と架橋ポリエチレン管

【課題】 成形時に酸化防止剤や滑剤がブリードアウトすることに由来する目ヤニの発生が少なくて成形不良が少なく、かつ長期使用後でも酸化防止剤や滑剤が成形品表面に移行し難いシラン架橋ポリエチレン管が得られるポリエチレン系樹脂組成物とその樹脂組成物から得られる架橋ポリエチレン管を提供する。
【解決手段】 シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合しグラフト反応させたシラン変性ポリエチレンを含有する混合物に、数平均分子量2000〜4000、密度920〜940kg/cm3、酢酸ビニル含量8〜20重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体が前記混合物に対して1〜5重量%配合されているポリエチレン系樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形時に、賦形金型出口又は金型内面に発生する付着物(通称、目ヤニと呼ばれる)の発生が少なくて成形不良が少ないシラン架橋ポリエチレン管が得られるポリエチレン系樹脂組成物、及びその樹脂組成物から得られる架橋ポリエチレン管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合してグラフト反応させたシラングラフトポリエチレンを含有する混合物を所定形状に押出成形して製品を得る場合、押出成形金型出口に揮発シランが付着し、これが製品に流出して外観や性能を低下させたり、金型内面に付着物が発生し、これが製品スジとなって外観や性能を低下させるという問題点があった。
【0003】
目ヤニは、シラングラフトポリエチレンを含有する混合物から揮発するシラン(以下、揮発シランと記す)の単独縮合物により形成されている。揮発シランは金属表面に付着し易いという性質を有しているので、揮発シランが金型金属面に付着して水分と反応して縮合し、付着物として作用するものである。
【0004】
目ヤニの発生を防止するシラン架橋ポリエチレン成形体の成形方法としては、フッ素系化合物を用いる方法が知られている。例えば、シラン架橋ポリエチレンにフッ化ビニリデン系ゴムを配合する方法(例えば、特許文献1参照)、又はシラン架橋ポリエチレンにフッ素系エラストマーを配合する方法(例えば、特許文献2参照)、又はシラン架橋ポリエチレンにシリコーンを配合する方法(例えば、特許文献3参照)、溶融したシラン架橋ポリエチレンの押出機界面又は成形金型の界面にフッ素系エラストマーを介在させて押出す方法(例えば、特許文献4参照)等多くの方法が知られている。
【0005】
上記各文献における目ヤニ防止方法は、いずれも金型内面における樹脂成形品と金属面との界面の滑りを良くすることで揮発シランの金属面への付着性を低下させ、もって目ヤニの発生を抑止しようとするものである。
【0006】
一方、目ヤニは、上記揮発シランによるものの他、酸化防止剤や滑剤のブリードアウトに起因するものがある。即ち、架橋ポリエチレン管は、通常、長期間使用耐久性を高めるために、シラングラフトポリエチレン樹脂に各種酸化防止剤や滑剤を配合した組成物が用いられ、この組成物を押出成形して製造されている。
【0007】
一般的に、配合される酸化防止剤量を増すと長期耐久性は向上する。また、押出成形時の押出トルクを下げるために滑剤が配合される場合もある。しかしながら、酸化防止剤や滑剤は、一般的にポリエチレン樹脂とは相溶性が低く、配合量を増加すると、樹脂を成形加工する際に、酸化防止剤や滑剤などポリエチレン樹脂と相溶性が低い配合剤が成形品表面にブリードアウトし、いわゆる金型目ヤニとなって成形不良を引き起こす場合がある。
【0008】
更に、得られる架橋ポリエチレン管は例えば給湯管等に使用される場合では、長期間使用時に、管表面にブリードアウトした酸化防止剤等が温水中に溶出してしまい、架橋ポリエチレン管が急激な酸化劣化を引き起こしてしまうことがあった。
【特許文献1】特開2002−114887号公報 [特許請求の範囲]、段落番号[0008]〜[0009]
【特許文献2】特開平11−181164号公報 [特許請求の範囲]、段落番号[0012]〜[0015]
【特許文献3】特開平11−209537号公報 [特許請求の範囲]、段落番号[0010]〜[0012]
【特許文献4】特開2003−127203号公報 [特許請求の範囲]、段落番[0020]〜[0030]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、押出成形時に酸化防止剤や滑剤が溶融したシラングラフトポリエチレン樹脂からブリードアウトすることに起因する目ヤニの発生が少なくて成形不良が少なく、かつ長期使用後でも酸化防止剤が成形品表面に移行し難い架橋ポリエチレン管が得られるポリエチレン系樹脂組成物を提供し、かつその樹脂組成物から得られる架橋ポリエチレン管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のポリエチレン系樹脂組成物は(発明1)、シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合しグラフト反応させたシラン変性ポリエチレンを含有する混合物に、数平均分子量2000〜4000、密度920〜940kg/cm3、酢酸ビニル含量8〜20重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体が前記混合物に対して1〜5重量%配合されたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の架橋ポリエチレン管は(発明2)、前記ポリエチレン系樹脂が、密度910〜950kg/m3であるポリエチレン系樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明(発明3)は、前記ポリエチレン系樹脂が1−オクテンとのポリエチレン共重合体であり、メルトフローレートが0.2〜0.3g/10分、密度が930〜950kg/m3であることを特徴とする発明1のポリエチレン系樹脂組成物を押出成形して得られる架橋ポリエチレン管である。
【0013】
シラン化合物としては、オレフィン系不飽和結合、又は加水分解可能な有機基を持つシラン化合物のことをいう。このような特徴を備え、本発明に用いるに好ましいシラン化合物としては、例えば、ビニルトリスアルコキシランがあり、中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランが好ましい。また、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等を使用しても良い。
【0014】
シラン変性ポリエチレンは、シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合し、グラフト反応させて得られ、 グラフト反応は、シラン化合物のオレフィン系不飽和結合部と、ポリエチレン系樹脂に発生させた遊離ラジカル部とを反応させることにより行われる。
上記遊離ラジカルを発生させる為のラジカル発生剤としては、特に限定されないが、例えば有機パーオキサイド、有機パーエステル等があり、例えば、ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イリプロピル)ベンゼン、シクロヘキサンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)ベレレート、ジーt−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカテート、t−ブチルパーオキシベンゾエー卜、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー卜、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ジアゾアミノベンゼン、N,N′−ジクロロアゾジカーボンアミド、トリクロロペンタジエン、トリクロロメタンスルフォクロリド、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0015】
これらのラジカル発生剤のうち、ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ペンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシペンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好ましく、ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンメチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシンー3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが、価格と性能のバランスが良く、製造しやすいのでより好ましい。
【0016】
次に、本発明で使用されるポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等)とのポリエチレン共重合体などが挙げられる。また、ポリエチレン系樹脂の密度および分子量は、特に限定されず、柔軟性、強度及び成形性の観点から便宜選定すればよい。床暖房用途に用いる小口径の架橋ポリエチレン管には柔軟性を要求されることから、1−オクテンとの共重合体が好ましい。
【0017】
シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合するには、押出機が使用される。使用される押出機は、特に限定されないが、たとえば、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。また、押出機から押し出された混合物を所定形状に賦形する押出金型としては、賦形される成形体形状により、様々なタイプが挙げられるため特に限定されないが、たとえば、成形体が樹脂管である場合は、通常樹脂管の製造金型として使用されるブリッジ、スパイダー、スパイラルなとのタイプが挙げられる。
【0018】
なお、上記押出機と金型との間には、シラングラフトポリエチレンを含有する混合物の流量の均一性を確保するためにギアポンプなどの昇圧押込装置を設置するようにしても構わない。また、成形体が架橋樹脂管である場合、この架橋樹脂管を成形するプロセスライン中に、管の肉厚を計測し、これをギアポンプや引取機へフィードバックすることも可能である。
【0019】
なお、本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物とは、シラングラフトポリエチレンと特殊なエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと記す)とにより構成され、少なくとも酸化防止剤又は滑剤を含む充填材が配合されている。充填材は、本発明の性能を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、粘着付与剤などの添加剤、および他の樹脂を混合することができる。
【0020】
ポリエチレン系樹脂組成物中のポリエチレン系樹脂は、密度が910kg/m3〜950kg/m3であるポリエチレンであることが好ましい。密度が910kg/m3 未満又は950kg/m3より大であると、万一目ヤニが発生した場合に、成形不良になる虞が大きくなる。
【0021】
通常、酸化防止剤又は滑剤の表面張力値はポリエチレンの表面張力値と乖離しているため、酸化防止剤又は滑剤を混合したポリエチレンにおいては、これを溶融して混練すれば、酸化防止剤又は滑剤がブリードアウトする。本発明における特殊なEVAは、シラングラフトポリエチレンに配合されて、酸化防止剤又は滑剤が相溶化剤として機能してブリードアウトすることを防止する。それゆえ、特殊なEVAを配合することで、製造中のブリードアウトも、成形後の使用中のブリードアウトも防止できる。
【0022】
特殊なEVAは、数平均分子量2000〜4000、密度920kg/m3〜940kg/m3、酢酸ビニル含量8重量%〜20重量%とされる。数平均分子量が2000未満又は4000より大であったり、密度が920kg/m3未満又は940kg/m3より大であったり、酢酸ビニル含量が8重量%未満又は20重量%より大であると、万一目ヤニが発生した場合、成形不良になる虞が大きくなる。
【0023】
また、特殊なEVAの配合量は、上記シラン変性ポリエチレン混合物に対して1重量%〜5重量%とされる。1重量%未満であると目ヤニ発生防止効果が小さく、5重量%より大であると製造される架橋ポリエチレン管の物性を低下させるので、好ましくない。
【0024】
本願のポリエチレン系樹脂組成物には、少なくとも酸化防止剤又は滑剤を含む充填材が配合されている。酸化防止剤は押出成形時の熱劣化を防止し、かつ得られた製品が日光による光劣化を防止するものであれば特に限定されない。
【0025】
滑剤は、押出成形時の混練トルクを下げて低出力で十分な混練ができ、かつ押出成形時に押出しし易くするものであれば特に限定されない。
【0026】
また、その他の充填材としては特に限定されず、必要に応じて、難燃剤、顔料、帯電防止剤、紫外線防止剤、増量剤、繊維等強度向上剤、粘着付与剤などの添加剤、又は他の樹脂等、適宜目的に応じて選択して用いられれば良い。
【0027】
発明2は、発明1のポリエチレン系樹脂が特定の密度の樹脂組成物を押出成形して得られる架橋ポリエチレン管であるので、押出成形時に目ヤニができ難く、外観がきれいで、成形後長期間に渡って酸化防止剤等がブリードアウトしない架橋ポリエチレン管となる。
【0028】
発明3は、発明1のポリエチレン系樹脂組成物のシラン変性ポリエチレンが、1−オクテンをコモノマーとし、メルトフローレートが0.2〜0.3g/10分、かつ密度が930〜950kg/m3である架橋ポリエチレン管である。コモノマーが1−オクテンであるので、床暖房用途に好適な柔軟性を有する小径の架橋ポリエチレン管が得られるので好ましい。
【0029】
1−オクテンをコモノマーとするシラングラフトポリエチレンのメルトフローレートが0.2g/10分未満又は0.3g/10分より大であったり、密度が930kg/m3未満又は、950kg/m3より大であれば、給水給湯用の架橋ポリエチレン管として要求される物性を満足しない。
【発明の効果】
【0030】
発明1においては、ポリエチレン系樹脂組成物が、シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物に、所定の物性を有する特殊なEVAを所定量だけ配合してあるので、押出成形中に、揮発シランに由来する目ヤニや酸化防止剤や滑剤等がブリードアウトして賦形金型出口に付着する目ヤニを少なくでき、長時間に渡って製造ができる。
【0031】
発明2においては、発明1のポリエチレン系樹脂が特定の密度の樹脂であるので、得られる架橋ポリエチレン管を長期に使用しても、酸化防止剤や滑剤等が成形品表面に移行しない架橋ポリエチレン管となる。
【0032】
発明3においては、ポリエチレン系樹脂組成物中のシラン変性ポリエチレンのコモノマーが1−オクテンであり、かつシラン変性ポリエチレンが所定の物性を有するので、柔軟性に優れた床暖房洋の小径の架橋ポリエチレン管となる。この管は、通常の給湯配管や温水床暖房用給湯配管等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に実施例を引いて本発明を説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
コモノマーが1−ブテンであり、密度が0.929kg/m3であるシラングラフトポリエチレンと、数平均分子量2500、密度929kg/m3、酢酸ビニル含量14重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソウ社製、ウルトラセン7A55A)をシラングラフトポリエチレンに対して0.5重量%を配合した樹脂混合物100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)を0.5重量部、滑剤としてダイナマーFX9613(3M社製)を0.1重量部配合したポリエチレン系樹脂組成物を、通常の押出成形法によって押出し、外径7.2mmφ、内径5mmφの架橋ポリエチレン管を得た。
【0035】
押出成形中の成形品中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表1に示す。金型目ヤニ不良発生頻度は、製造開始後、目視によって最初に成形品表面に付着物が認められた時間及びその付着物を除去した後再び付着物を認めた時間の平均時間とした。また、長期耐久性は、得られた架橋ポリエチレン管を95℃熱水に2000時間浸漬し、浸漬前後での架橋ポリエチレン管から所定の試料を採取してこれを示差走査型熱量計(DSC)によって温度210℃で保温し、試料ポリエチレンが酸化して起こる発熱ピークが検出されるまでの時間を酸化誘導時間とし、酸化誘導時間の加熱前後の時間低下率(%)とした。
【0036】
なお、密度及び数平均分子量はJIS K 6760により測定し、酢酸ビニル含量はJIS K 7372によって測定した。
【0037】
(実施例2)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して1重量%とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表1に列記する。
【0038】
(実施例3)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して3重量%とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表1に列記する。
【0039】
(実施例4)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して5重量%とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表1に列記する。
【0040】
(比較例1)
エチレン酢酸ビニル共重合体を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表1に列記する。
【0041】
(実施例5)
コモノマーが1−オクテン、密度が929kg/m3であるシラングラフトポリエチレンと、数平均分子量2500、密度929kg/m3、酢酸ビニル含量14重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して0.5重量%とを配合した樹脂混合物100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)を0.5重量部、滑剤としてダイナマーFX9613(3M社製)を0.1重量部配合したポリエチレン系樹脂組成物を、通常の押出成形法によって押出し、外径7.2mmφ、内径5.0mmφの、温水床暖房用の給湯配管に用い得る架橋ポリエチレン管を得た。
【0042】
押出成形中の成形品中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表2に示す。なお、金型目ヤニ不良発生頻度、長期耐久性は、実施例1と同様にして測定した。
【0043】
(実施例6)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して1重量%とした以外は実施例5と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表2に列記する。
【0044】
(実施例7)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して3重量%とした以外は実施例5と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表2に列記する。
【0045】
(実施例8)
エチレン酢酸ビニル共重合体をシラングラフトポリエチレンに対して5重量%とした以外は実施例5と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表2に列記する。
【0046】
(比較例2)
エチレン酢酸ビニル共重合体を配合しなかった以外は実施例5と同様にしてポリエチレン管を得、同様に成形中の金型目ヤニ不良発生頻度、及び得られた架橋ポリエチレン管の長期耐久性を表2に列記する。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン化合物とポリエチレン系樹脂とを混合しグラフト反応させたシラン変性ポリエチレンを含有する混合物に、数平均分子量2000〜4000、密度920〜940kg/cm3、酢酸ビニル含量8〜20重量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体が前記混合物に対して1〜5重量%配合された
ことを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレン系樹脂が、密度910〜950kg/m3であるポリエチレン系樹脂組成物を押出成形して得られる
ことを特徴とする請求項1記載の架橋ポリエチレン管。
【請求項3】
前記ポリエチレン系樹脂は、1−オクテンとのポリエチレン共重合体であり、メルトフローレートが0.2〜0.3g/10分、密度が930〜950kg/m3であるポリエチレン系樹脂組成物を押出成形して得られる
ことを特徴とする請求項1記載の架橋ポリエチレン管。

【公開番号】特開2006−265364(P2006−265364A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85009(P2005−85009)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】